ツアーサポートの舞台裏 話題のパター『TRI-BEAM』を探る!

ツアーサポートの舞台裏 話題のパター『TRI-BEAM』を探る!
今回はツアーで話題のオデッセイ『TRI-BEAM』について報告します。『TRI-BEAM』はネック形状がテーラーメイドの『トラスパター』同様、三角形の形状(ラケットホーゼル)となっていることから「三角戦争」はどうなるのか? といった見方もあるようですが、今回は別の視点からこの『TRI-BEAM』のメリットを探っていきます。 今年のLPGA開幕戦で、あまりクラブを変えようとしない上田桃子プロがエースパターからあっさりと変更! その後もこのパターを使用する選手が練習グリーン上では増え続けています。 今回はエースパターに変えて、『TRI-BEAM #7』で練習する永井花奈プロに話を伺いました。 Q 『TRI-BEAM』の何がエースパターと違いますか? A 自分のゴルフはショットが曲がらずにパーオン率も高いのですが、距離が出ないためピンフラッグより遠くにパーオンすることが多い。そんな状況下でのパターは距離が残り、少しのストロークでスムーズに転がるパターが理想です。 現在使用中のオデッセイと比べて『TRI-BEAM』で練習することで手が動くようになることがありがたいです。現在は手を動かす練習に使用していますが、うまくフィッティングすれば、新たに『TRI-BEAM』がエースパターになると思います。 トーナメントの世界で、パターの際に手が動きづらくなるのは当然のことと受け止められていますが、『TRI-BEAM』のようにパター全体の慣性モーメントが大きく、ヘッドだけではなくグリップ、シャフトを含めたパター全体が動きやすくなるのは凄い発想だと思われます。 永井プロがもう一つ強調していたのは、 「クランクネックでグースであるにもかかわらず、フェースの先に重量が感じられるためにシャフトの延長線上に重心が感じられ、センターシャフトの易しさと三角形のネックによりオフセンターでの球のよじれも感じません」 といったコメントでした。 ★筆者の感覚でも手が動かされることと、永井プロがコメントしたセンターシャフトに近い感覚があると感じました。これはヘッドに装着されるタングステンウエイトがソール底部にではなく、フェースの裏側に縦に入ることで引き起こされるのではとも考えられ、フェースが上を向くというより下に進みやすくフェースが開かなくなる利点を感じました。 ★1987~1995年において、当時のタイトリストから発売されたデッドセンターパターで発案されたクランクネックに代わる三角形のネック。当時のカタログには「クロスヘアアライメントシステム設計」によりオフセンターヒットのねじれを減らす目的でトウとヒールに重量配分をしてあると表記されていました。テーラーメイド『トラス』との三角戦争といわれますが、このシステムはすでに30年近く前に実用化されていたのです。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら