1. SDGs

ゴルフ界で進むSDGsとエコ対策(2)

SDGs 片山哲郎

キャロウェイが取り組む多様な環境活動の中身

ゴルフ用品業界のエコ対策はどうだろう。日本ゴルフ用品協会(JGGA)は早くからこの問題に着目して、物流の合理化や段ボールの使用量などについて議論しており、アレックス・ボーズマン会長もエコ問題には強い関心をもっている。同氏は以前、本誌の取材に対して、

「ゴルフ界はもっと積極的にSDGsに取り組む必要がありますが、中でも環境対策が急がれます。実はCO2の排出量が2番目に多いのはアパレル産業なんですよ。当社もゴルフアパレルを扱っているので、積極的に取り組む必要があると考えています」

同氏はキャロウェイゴルフの社長でもあるため、上記の発言になるわけだが、環境意識が高い欧州のアウトドア用品メーカー(ジャック・ウルフスキン)を傘下にもつことも社内の方針づくりに影響している。同社ブランドコミュニケーション部の菅野泰臣ディレクターによれば、

「当社はゴルフを生業とする企業として、自然環境と真摯に向き合っています。ゴルフは敷地内に生きる動植物、池や小川や風土を感じながら楽しむスポーツなので、自然環境への貢献は製品開発と同じくらい大事だと思っています」

そこで2011年から9年間、収益の一部を「ワン・フォー・グリーン」( CO2の吸収量を購入)の活動に充て、森林保護に役立ててきた。この活動は一昨年12月に終了したが、今はジャック・ウルフスキンが手掛けるリサイクル素材の開発と共同歩調をとる。

2017年にはリサイクル・ポリエステルを使ったテキサポール・エコスフィア素材を衣類に採用。キャロウェイアパレルもCO2の排出量と水の使用を削減できる再生ポリエステルや、必要分量だけ編み上げるホールガーメント製法で糸の使用量を減らしている。

昨年2月から「認定中古クラブ」の販売も開始したが、これは運搬中にキズついたり顧客から下取りした中古品を、外部の中古店ではなく自ら管理・販売するもの。認定中古のアイアンセットはプラスチック製の梱包袋を使用しない。また、米国本社と梱包袋の削減を検討中で、具体策が固まれば世界展開の態勢を整える構え。

数値目標を決めたフジクラ

すでに数値目標を決めて取り組むのがシャフトメーカーの藤倉コンポジットで、「脱プラ」を掲げている。

「脱プラについてはプラスチックの使用料や代替素材の研究をしています。梱包袋や緩衝材の年間使用量8トンを年2・5%削減し、シャフトの基材でエポキシ樹脂を含有するものは、サーマルリサイクルや廃材を再利用する活動に注力しています」(渡辺貴史部長)

流通時における「製品保護」にプラスチック素材が使われるため、まずはこの点の削減からはじめているが、同様の意識は売り場にもあるようだ。

「当社は数十年来、簡易包装に努めてきたんですよ」

と話すのは、二木ゴルフの二木一成社長だ。同社は簡易なだけではなく、不使用にも工夫を凝らしている。

「具体的にはクラブやキャディバッグを手渡すときにビニール袋で包むのを止めて、購入したことがわかる『紙の目印』で代用しています。手提げ袋も再利用可能なものを使い、資源が無駄にならないよう努めています」

企業理念に「健康、健善を創造」と掲げる朝日ゴルフは、GPS距離計測器の『イーグルビジョン』が主力商品だが、地球環境への取り組みが企業活動の骨子になると考えている。だからといって、大掛かりな活動をするわけではない。

「8年ほど前、消臭抗菌を裏地に使った風呂敷袋を発売しましたが、当時は環境意識が育っておらず、商品としては失敗しました(苦笑)。それを今、ランドリーバッグの『着替え入れ』に変えて販売しています。1社では大きなことができませんが、当社なりに環境意識をリードする商品を出し、人々の意識を変えていきたい」(内本浩史社長)

また、クラブ製造に関わる製品を展開するグラストでは、早くから環境問題に取り組んでおり、同時に特許申請にも意欲的だ。

具体的にはグリップ挿入時の両面テープや溶剤にCO2排出ゼロの素材、塗装レス技術の開発で有機溶剤の使用を減らしてCO2削減。梱包時に使用するビニール袋用生分解性プラスチックの開発。クラブ製造時に発生する産業廃棄物のリサイクル技術など‥‥。大道浩一社長の話。

「ゴルフは自然と協調し、自然を使わせてもらっているスポーツです。なので企業理念として、環境への配慮は最も大事な活動になります」――。

(つづく、毎週月曜日掲載)


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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  • サステナブルな地球と暮らし JKホールディングス 青木慶一郎社長

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