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  • ~この素晴らしい世界をゴルフ未経験者にも~第1回 万全を期したコロナ下のゴルフ授業

    谷光高
    兵庫県神戸市出身、1970年生まれ 甲南大学経営学部卒 株式会社リクルートフロムエー(現株式会社リクルート)を経て、1996年新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部運営会社)に入社、コース管理で勤務の傍ら、...
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    2020年夏、新型コロナウイルスの第2波が騒がれていた最中、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では甲南大学(兵庫県神戸市)の体育ゴルフ授業「Gちゃれ」を開催した。「Gちゃれ」はいわゆる「部活」ではなく、一般教養科目の体育としてゴルフ未経験の学生も多く参加する。当ゴルフ場では2017年から毎年1回、3日間の集中授業を行っている。 甲南大学との授業のきっかけは受講定員数の問題だった。以前から近隣パブリックコースで授業を行っていたが、定員数が12名という少なさが問題となっていた。授業の最終目標をゴルフプレーの18ホール完走とされていたため、最終組でスタートする。後半折り返しの一般プレーヤーがすぐ後ろに付いてくるためプレーファーストが要求される。 ある程度練習場で事前授業をしているとはいえ、やはり初心者学生には高いハードルである。3名の引率教員が面倒を見るには3組12名が限界だが、それでも一般プレーヤーからクレームがくる。ゴルフ場は低価格での協力はしてくれるものの、その他に人的な協力はなく、発生するすべてのトラブルは、当然先生及び大学の責任になる。授業の存続自体が難しい状況となっていた。 この状況を聞いた私は、以下の3点を提案した。 ①技術指導からラウンドプレーまで全面的にゴルフ場が協力する。 ②最終組の後半スタート後や休場日、空き枠を効率的に利用するなど、一般プレーヤーと切り離して授業を進める。そうすることでレベルに応じたペースで授業ができるようにする。 ③ゴルフ場側から受講定員限定の要求はしない。  筆者は以前から未経験若年者のゴルフ場デビューについて研究したいと思っていたので、甲南大学の状況は、未経験者に対してゴルフ場がどのような環境を整えればよいかを実践する良い機会だと捉えたのである。

    コロナ禍のゴルフ授業

    2020年夏――。 コロナ下の渦中で大学側は、授業開催をよくOKしたと思う。7月までの前期授業のすべてが、休講かオンラインによる授業のみで、対面授業をまったく行っていない。にもかかわらず、甲南大学の場合は初めての「対面授業」がこのゴルフ授業だった。むろん、授業に際して大学側の要望はとても細かいものだった。屋内でのミーティングは行わない、クラブバスは定員の半数乗車で「3密」を回避。授業中においてはソーシャルディスタンスの徹底、手洗いの徹底、使用するゴルフ用具の消毒の徹底、さらにレストランでの食事は一般来場者と引き離す等々。様々な要件をクリアして、ようやく開催にこぎつけた。 先生方も大変なご苦労をされたことと推察する。もしも授業でクラスターが発生すれば責任問題になりかねず、相当な覚悟を持って授業開催に踏み切られたことだろう。国内約800大学は、少子化の波をもろに被り、大半が定員割れの状況と聞く。今後、廃校や統廃合が進む中で大学教員のリストラも深刻化する。ましてコロナ禍でクラスター感染が発生すれば、わが身が危うくなるのは必定だ。 一言で「覚悟」と前述したが、そんな諸々を考えると、私たちゴルフ場側も中途半端なことは絶対にできない。改めてそう決意したが、同時に酷暑期の熱中症対策にも万全を期した。こまめな水分補給はもちろんのこと、以前小さなブームを起こした「ファン付き日傘」を全員に貸し出し、「シャツクール」をスプレーし、氷や塩飴も随時補給するなど、考え得る万全の態勢で授業に臨んだのだ。

    鬱屈晴らす青空授業

    参加学生は例年の半数以下の12名だったが、よく参加してくれたと思う。クラブバスでの移動中、乗車している学生にこれまでのコロナ禍生活を聞いてみた。 「授業もなく、ずっと自宅に引きこもっていた」「どこにも遊びに行っていない」「久しぶりに身体を動かせる!」といった声が多く、学生たちも悶々としたコロナ下生活を過ごしていたようだ。 ゴルフコースの「青空授業」で、そんな不自由な思いを少しでも晴らせたなら嬉しい限りだ。授業はケガもなく無事終了。その後も新型コロナウイルスの感染者が出なかったかと心配していたが、9月に入って大学側から当期の見積り要請があったので、胸をなでおろした。 ちなみに一人当たりの参加費は昼食のカレーライス等を含め3000円(税別)である。

    忘れていた傘

    2020年夏の「Gちゃれ」。ソーシャルディスタンスの確保と熱中症予防で活躍したのが「ファン付き日傘」であった。10年ほど前にブームとなって、ネットでも売り切れ続出で値段が吊り上がったので、覚えている読者も多いだろう。 これを当時、先代社長が「全カートに常備せよ」と命令を下した。私はエッと驚き、瞬時に計算を働かせた。この日傘、当時の価格で1本6000円ほど。60台のカートに4人分で計240本。締めて144万円也。ありえない額である。 そこで私は「メーカーに在庫がない」とごまかして50本だけ仕入れ、酷暑が過ぎるのをひたすら待った。翌年から、忘れ去られた高級日傘は倉庫に眠り続けていた。 そのことをふと思い出し、コロナ下の「Gちゃれ」で倉庫から引っ張り出した。当の日傘たちもこんな形で出番がまわってくるとは、思いもしなかったろう。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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    2023年10月18日
    岡島 成行
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