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  • 技術よりも大事なことを学ぶ 「ファースト・ティ」

    谷光高
    兵庫県神戸市出身、1970年生まれ 甲南大学経営学部卒 株式会社リクルートフロムエー(現株式会社リクルート)を経て、1996年新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部運営会社)に入社、コース管理で勤務の傍ら、...
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    有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)は2016年から、大学一般教養科目の体育でゴルフを履修する学生にコース体験をさせる「Gちゃれ」を開催。これまで5つの大学に対応してきた。また、新型コロナによるパンデミック下の今夏も、甲南大学の「Gちゃれ正課授業」を昨年に続き開催。感染防止及び熱中症の対策を万全にすることで、何とか開催にこぎつけた。 当連載では過去3回にわたり「Gちゃれ」について書いてきたが、今号は趣向を変えて当ゴルフ場で取り組んでいる「ファースト・ティ・プログラム」を取り上げる。この活動についてご存じの方も多いと思われるが、簡単に説明しよう。 ファースト・ティは米フロリダ州に本部を置き、1997年にプログラムを開始して以降、アメリカをはじめニュージーランド、カナダのゴルフ場や学校、軍施設で展開し、全世界で200以上の支部、1000ヵ所以上の施設で、累計1500万人以上の子どもが参加しているゴルフレッスンプログラムである。 このレッスンの目的は人間性を育むことであり、技術的指導は最優先事項ではない。ゴルフを通じて子どもたちの健全な人間形成を図り、「ライフスキル」(生きていく上で必要な能力)の学習を目的とした教育プログラムだ。 定義するライフスキルは「ナインコアバリュー」(9つの重要な価値観)と呼ばれ「正直」「誠実」「スポーツマンシップ」「尊敬」「自信」「責任」「忍耐」「礼儀」「判断」から構成。ゴルフの練習やプレーにおけるシーンの中で、気づかせ、学ばせるのが特徴だから、競技ジュニアとは一線を画す。 有馬カンツリー倶楽部では、2018年8月より小学生を対象に毎月教室を開き、これまでに延べ1000人を超える子どもたちが参加している。 また、2019年10月からは、地元兵庫県三田市の「健やか育成課」が進める課外学習プログラムに参画し、地元の子どもたちを対象にファースト・ティ・ゴルフ体験教室を開いている。地域の各小学校区PTA等からの依頼を受けて開催を決定する流れである。

    「おどおど」から「キラキラ」

    2020年はコロナ禍で夏休みの予定がなくなった子どもたちに、3密を回避できる屋外学習として、多くのPTA等から依頼を受けて開催し好評を博した。 プログラムは、午後2時頃から90分ないしは120分とし、土日祝を中心に開催日を決めている。 主にゴルフ場のドライビングレンジをホームグラウンドとし、内容によっては、後半の時間に1番ホール等コースの空いたホールを利用してレッスンを行う。プラスチック製の スナッグゴルフとジュニア用ゴルフクラブを使うが、道具はゴルフ場ですべて用意している。 プログラムは、毎回コーチが詳細を決めるが、その内容は主に「アイスブレイク」という挨拶からはじまり、今日のテーマについて話し合う。その際に安全やレッスンのルールについて子どもたちに伝える。 次にウォーミングアップだが、ここでは様々な遊びを用意している。ドッジボールを使う「キャッチボール」や「長縄跳び」、夏は「水風船投げ」、さらに斜面を利用してダンボールに乗った「芝滑り」や「竹馬」もする。大人には懐かしい遊びかもしれないが、今時の子どもたちには経験のない新鮮な遊びのようで歓喜の声が響きわたる。 そしていよいよゴルフのレッスンだが、ドライビングレンジでは、チップショットとドライビングショット。その日の子どもたちのレベルに合わせて、スナッグゴルフの「ランチャー」を使うか、ジュニア用ゴルフクラブを使うか決めている。 チップショットは様々な「的」を用意して得点を競いながら進めている。時間があるときは練習グリーンに移動してパット練習も行う。 次に、ドライビングレンジ全体を使って、スナッグゴルフによる模擬ラウンドを行ったり、1番ホールなどコースに移動して実際のゴルフプレーを行うが、ここではチームを決めて協力して前に進むことを学ぶ。 最後に「ラップアップ」。これは学校でいう「ホームルーム」のことだ。今日のテーマについてレッスン中にどんなことができたか、また普段の生活ではそのテーマについて、どんなことが考えられるのかをみんなで話し合う。ファースト・ティ・プログラムでは、この時間が一番大切な時間といえる。 レッスンプログラムの流れは以上である。子どもたちのエピソードなどは次号以降、機会があれば書かせていただくが、このプログラムを開催するたびに、子どもの表情や行動の変化を見るのがとても楽しいと感じている。 わずか120分で、「おどおど」「もじもじ」から「キラキラ」した目と「ワーワー」に変わるのである。ゴルフ場で子どもたちが大騒ぎしながら楽しむ光景はあまり見られないのではないだろうか。 この話をするときに必ず聞かれるのが、「会員から子どもたちにクレームはないの?」だが、これまでにただの一度もない。

    ファースト・ティ有馬教室のレッスンルール

    1)プレーヤーから必ず「セーフティゾーン」として約3メートル離れて、自分の順番を待つこと。 2)ゴルフクラブは杖のようにヘッドを手元にする「ケインスタイル」で持つこと。 3)他人のショットには必ず声をかけること。良いショットには「ナイスショット!」、ミスショットには「ドンマイ」。 4)打順を交代するときは必ず「ハイタッチ」すること。※コロナ禍の現在は中止。 5)コーチは絶対に子どもたちを怒らない。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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