2013年1月からスタートしたInterFM「Hot Shot with GDO」が10周年を迎えた。タケ小山氏がDJを務め、17年目に突入した人気のラジオ番組「Green Jacket」は、ゴルフをメインに社会情勢や競馬予想など、多岐にわたる話題を届けるラジオプログラムで、1都6県で毎週土曜午前5~9時にオンエア。スター選手だけでなく、これからのゴルフ界を担う若手選手を発掘してインタビューするコーナーは、7時50分から聞くことができる。
遡ること20年前、2003年9月に「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で、高校3年生だった宮里藍が国内女子ツアーで30年ぶりのアマチュア優勝を飾ったことに端を発し、女子プロゴルフブームが巻き起こった。
翌年からレギュラーツアーに本格参戦し、同年5勝を挙げた宮里に、追い付け、追い越せと横峯さくら、上田桃子、諸見里しのぶ、有村智恵など同世代のライバルが鎬を削り多くのファンが熱狂した。その後は、不動裕理、大山志保の時代を経て、2010年頃からはジョン・ミジョン、アン・ソンジュ、テレサ・ルーなど外国人選手が台頭。2015~2016年はイ・ボミが賞金女王となり、人気を博した。
渋野日向子、原英莉花、小祝さくらなど1998年度生まれの「黄金世代」、古江彩佳、吉田優利、西村優菜など2000年度生まれの「プラチナ世代」から週替わりでヒロインが生まれ、宮里に憧れてプロゴルファーを目指した世代が更なる女子プロゴルフ人気を押し上げた。
宮里がアマチュア優勝した2003年、日本の女子ゴルフツアーはレギュラーツアー30試合、ステップアップツアーは4試合で、賞金総額は約18億円だった。2023年はレギュラー38試合、ステップアップは昨年から4試合増えて21試合。賞金総額は初の50億円突破となり、20年間で約2・8倍に膨れ上がった。
大きなターニングポイントは、JLPGAプロテストとクォリファイングトーナメント(QT)の制度変更が実施された2019年。受験資格が18歳以上から17歳以上に引き下げられ、QTの受験資格がJLPGA会員のみに限定された。昨年のプロテスト総受験者数は649人。合格者は18位タイまでの20人で、合格率は3・1%。かつては単年登録でレギュラーツアーに参戦していた選手でさえ出場権を失い、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、台湾、韓国などの海外ツアーQTにチャレンジする選手が増加した。
これに伴い、15試合を開催する「マイナビネクストヒロインゴルフツアー2023」、月例競技会を主催しメディアと連携して活動支援を呼びかける「DSPE」、サポーター制度を導入し、6月23日に平尾CC(愛知県)で第9回大会を開催する「Thanks Women's Tour」など、若手女子ゴルファーを支援する動きが活発化している。7月14日には、九州発の清涼飲料メーカー「PLEIADES(プレアデス)」が若手の試合経験創出を目的に「PLEIADES CUP 横峯さくら DREAM GOLF LADIES 2023」を福岡雷山GC(福岡県)で開催予定。
選手年齢が劇的に変わっている。20年前の国内女子ツアーシード選手の平均年齢は32・5歳だったのに対し、今年は26・6歳。昨年、有村智恵と原江里菜が発起人となり、30歳以上の選手を対象にしたツアー外競技「KURE LADY GO CUP」を開催し、注目を集めた。出場した金田久美子や藤田さいきが大会後にレギュラーツアーで優勝し、ベテランが盛り返すきっかけとなった。
今季から、JLPGAは住友商事と共同で、数大会のツアー会場に託児所を設置すると発表。女子プロ人気に奢らず、改革の手を緩めない。
##■女子プロゴルファーに「これまでの10年、ここからの10年」を聞いた。
東浩子(1月ゲスト・31歳)

ルーキーだった10年前と比べると、活躍する選手の入れ替わりが激しいと感じます。
当時は、注目選手でも1年ほど下積みがあり、翌年以降に優勝するパターンが多かったが、今はプロテストに合格し、QTを通過した勢いで優勝。自分達の世代では考えられないスピード感に圧倒されます。
昨年は自身のキャリアで最悪のシーズンでしたが、ゴルフとの向き合い方をあらためて考え直す、いいきっかけになりました。今年1月に入籍しました。今後もプロゴルファーとして、自分の目標に向かって精進して参ります。
青山加織(3月ゲスト・37歳)
宮里藍と横峯さくらは同級生で、ジュニアの頃から試合で一緒になることが多く、これまでの10年でそれぞれの道を歩みながら、ゴルフ界に貢献できていると感じています。
昨年、11年ぶりに優勝した藤田さいきも同級生で、大きな励みになっています。岡本綾子師匠がUSLPGAツアーで賞金女王になったのが36歳なので、30代でもまだまだやれると思っています。
若い選手が台頭する中、いつまで出場できるか気になる時期もありましたが、今は楽しさを見出して、マイペースで充実した日々を送っています。
原江里菜(3月ゲスト・35歳)
昨年、周囲の協力を得て30歳以上の選手のためのツアー外競技「KURE LADY GO CUP」を開催しました。
年齢を重ね、何を選択するべきか、変化の中で振り回されながらも、この世代で頑張っている女性の姿を見て欲しいという願いからです。
味のあるプレーと生き様を見せていきたいですね。いつかは選択する必要がありますが、今はまだ試合に出ていたい。欲張りなので結婚もしたいし、子供も産みたいし、キャリアも積みたいです。
識西諭里(6月ゲスト・26歳)

プロテストに合格していないので、今年はアメリカ下部ツアーと欧州ツアーの出場資格で世界を転戦します。
移動だけでも大変で、エントリー、就労ビザ、予防接種など準備することが山積み。つたない英語を駆使して、全て自分で手配しています。
参戦のための費用は軽く1000万円以上で、ありがたいことにスポンサー8社に支えられています。ホームシックで寂しくなることもありますが、自分の未来は自分の手で切り開くしかないと強く言い聞かせています。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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