地方創生へのチャレンジ 五島カントリークラブ視察ツアーレポート

地方創生へのチャレンジ 五島カントリークラブ視察ツアーレポート
昨年の10月18日から2泊3日、長崎県の五島カントリークラブ視察ファムツアーに参加した。矢野経済研究所の三石氏がスポーツ資産を活用した地域創生を模索する中で、五島市福江島に唯一存在するゴルフ場を知ったことがきっかけだった。 翌年同氏は五島市を初訪問し、五島カントリークラブで初めてプレー。ゴルフを軸とした地方創生、地域活性化プランを提案し、2023年に「五島市長杯椿カップゴルフ大会」の開催が実現。また、「五島の地域資源を活用した着地型旅行商品の支援事業」にて業務委託契約を締結した。 五島市は10の有人島と53の無人島で構成され、令和5年3月現在の人口は3万4542人で、戦後のピーク時に比べ、65年間で約5万8000人、63%減少している。 これに対し、2017年に施行された有人国境離島法では、排他的経済水域等を適切に管理する必要性が増大していることから、活動拠点の機能を維持するため国から支援を受け、様々な施策に取り組んでいる。雇用機会拡充事業、再生可能エネルギーの実用化、UIターン促進などがあり、今回のような体験型観光推進への取り組みも強化している。 今回、10名のゴルフ関係者を招待した視察ツアーは、五島ゴルフ+αの魅力を体感し、メディアを通じて幅広く認知を拡大することに加え、ゴルフ場施設や観光資源の優位性や課題を関係者にフィードバックすることが目的で開催された。 離島と聞くと、果てしなく時間がかかるのではと心配になるのだが、長崎空港からはプロペラ機で30分ほど。オリエンタルエアブリッジは、CO2排出量や騒音に対する環境性能が優れている最新のエコな機材を採用しており、ストレス無く移動ができた。滞在中は、島々を一望できる絶景ゴルフ体験はもちろん、こぼれんばかりに輝く星空を眺めたり、新鮮な魚介類、五島牛、焼酎など魅力的な食文化を堪能したり、バスで美しい自然や歴史的な見どころを巡ったりと、存分に島の魅力を満喫できた。 ツアーの企画や事務局を務めた三石氏に話を聞いた。 「地元のゴルフ資産を活用した地域創生に市が予算を行使する、という全国でも恐らく初の事例だと思います。それを、限界離島である五島市が先鞭を切ったという点が非常に画期的。一方、市の職員でゴルフをしている人は少なく、深く理解しているとは言い難い状況の中、改善意識をもった能動的な取り組みにつなげられるのかが課題です。 単に、島外からゴルファーを誘致するだけでは〝真の地方創生〟は果たせません。あの場所であの人に会いたい、というような人間関係の構築こそが大切なポイントです。ジュニアも含め、ゴルフ体験機会を創出し、市内・島内のゴルファーを増やすことも中長期的に取り組んでいくべきだと考えています」 今まで、ゴルフがきっかけで、世界中の様々な場所に行って、色々な人との交流を重ねてきた。日本にも素晴らしいデスティネーションが数多くあるが、アジアも含めた海外のゴルフリゾートはパッケージ化されたプレゼンテーションが優れていると感じる。誰でもラクをして〝映え体験〟ができるくらいに、コンテンツが磨き上げられているのだ。五島市には数多くの観光資源があるが、点在していて、限られた時間でどれだけ楽しめるかは個人の力量によるところがある。今回のフィードバックを受けて、観光地としてどれだけ大きく成長できるかが楽しみだ。 2024年2月25日には島外参加者60名獲得を目指し、2度目となる「五島市長杯椿カップゴルフ大会」を開催し、次年度以降に向けた持続的な地方創生実現に向けた基礎固めを行う予定だ。石井良介プロのレッスンイベント、カリスマフィッター鹿又芳典氏のクラブ相談会、SKE48メンバーの山内鈴蘭さんとのニアピン対決など、さらにパワーアップしたコンテンツが用意されている。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら