ハワイでのゴルフ
この正月に友人二人とハワイでゴルフをしてきました。以前は毎年のように行っていたのですが、学校の仕事が忙しく、またコロナがあったため長らくご無沙汰していました。8年ぶりでしょうか。
私がいつも行くのはハワイ島のコナにあるワイコロア・リゾートで、ヒルトンホテルが経営しているコンドミニアムです。部屋はコースに面していて、朝のコーヒーを飲んでいる人のすぐ目の前でティーショット。うまくいくと「ナイスショット」と声がかかります。
のどかな気分でゴルフができるのが良いところです。また、私が特に気に入っているのはOBがほとんどない点です。広いフィールドのどこに飛んでいこうがまずOBはない。そこから打てばよいのです。時たま海に落ちたり、溶岩の間に飛び込んで回収不能がありますが、ほぼOBの心配はなく気持ちよく打てます。
OBがなく広い青空の下で伸び伸び打てるので案外スコアは良くなります。私には合っているゴルフスタイルです。ま、下手は下手なりの楽しみを見つけるもんですね。
98歳の名人
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レギュラー・ティから打つ山田さん。98歳とは思えない強烈な振りでした。[/caption]
ハワイに来ると必ず思い出すのが山田21のオーナーである山田真早志さんです。最近は車いす生活のためゴルフはされませんが、98歳の時にゴルフをご一緒させていただいたのが最後のラウンドでした。
山田さんとは年に何回か、七、八年にわたりプレーをしましたが一度も勝てませんでした。山田さんはいつも80台を出され、私は90を切ることができませんので、当たり前ですが、とにかくどんな時でも基本はボギーなのです。
パー4の場合、私は200ヤード程度ですが山田さんは160ヤードで、ここでは私が一歩リードです。しかし、山田さんは必ず3オン、2パットでボギー。私は2オンを狙ってバンカーにはまったりチョロしたりで大体3、4オンで、下手をしたら3パット。このようにして、引き離されていく。終わってみれば10ストロークぐらいの差になる、というのがいつものパターンでした。
間違いなくボギーオンを続け、2パットが基本で、たまにパーとダブルボギーが交差する。そして調子が良ければ80台、というのが普通のアマチュアの基本だと思うのですが、実践になると欲が出てつい力む。その結果100をオーバーなんてことになります。
ここで言いたいことは、軽く振っても3オンは可能であり、あとは2パットを決めることなんですね。
山田さんは寸分狂わずこのペースを維持できるんです。何しろ公式戦でエイジシュートが78回、80過ぎてからはほとんどエイジシュート、若いころはシングルだったというのです。怪物のような山田さんはきっとこのハワイでのプレーのように軽く楽しんでおられるのだなといつも思うのです。
力まないでSGDs
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熱い日差しを浴びてコースを進む。右側にはコンドミニアムが並ぶ。[/caption]
ゴルフの名人が言うように、何事も力むとよろしくありません。でもこれは全てに当てはまるのではないでしょうか。
SDGsにおいてもそうです。あんまり生真面目にやろうとすると人はついてきません。いや、やろうとしても続かないのです。ちょっと遊び加減を入れて進めていかないと人はなかなかついてきません。
なるべく余裕のある試みをすることです。多少のズレや失敗があっても気にしない。少しでも進展していればそれでよし、とするのです。
例えば、30by30にしてもゴルフ場が推進しようとする場合、日の長い時に近所の子どもたちに林の中で自然遊びをしてもらい、樹木の数や樹種を調べる。虫取りをする。また、高校生や大学生、大人らに動物調査をしてもらう。しっかりした指導員がついていれば、それだけで健全な生態系が維持されているかの調査になります。
その調査結果を写真や図などにまとめてレストランに展示しておくのも良いでしょう。案外、お客様が反応すると思います。子供の頃を思い出して話が弾み、力みが消えるのではないでしょうか。そしてスコアが良ければ皆さん喜ぶでしょう。
キャディさんにも勉強してもらって、ゴルフ場回りの林や鳥、虫、小動物の状況がプレーの合間の話題になれば、またそれも力みをなくすことにも繋がるでしょう。ゴルフを通しての環境教育です。
日本では、女性や子どもが環境問題に敏感で、おじさんはかなり鈍感なのです。女性ゴルファーにも理解を深めてもらい、ゴルフ場での話題をリードしていただければことはスムースに運ぶでしょう。
しかし、おじさんたちは問題に気が付くと力を発揮します。ゴルフを通じて社会的影響力のある方々が環境問題に立ち向かってくれると、課題解決に向けて大きく前進すると思います。
30by30の要件
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30by30の認証に必要な手続きや仕事が書いてあります[/caption]
30by30についてはこの連載18回で詳しく説明しましたが、2030年までに世界の陸域の30%、海域の30%を自然度の高い地域とする計画です。現在の日本では陸域の20.5%、海域で13.3%が保護地域ですが、環境省はこれに「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)」を加えて30by30を達成する計画です。このため環境省では昨年から「自然共生サイト」を選定しています。ゴルフ場ももちろん参加OKです。
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その条件は1)境界が定まっていること2)管理する人と土地があること3)生き物が正常な形で生きているか確認できること4)保全のための管理やモニタリングができることの4点です。
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この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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