学習イベントとしてのゴルフの価値

学習イベントとしてのゴルフの価値
前日までの雨が嘘のような快晴で、絶好のゴルフ日和となった3月27日、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)にて「YMCAしろがねこども館」の学習イベントがはじめて開催された。 きっかけは、弊社が加盟している一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(以下NGK)が参画している文部科学省の「土曜学習応援団」プログラムを通じてのことだった。 「土曜学習応援団」とは、土曜日をはじめとして夏休み、冬休み、平日の授業や放課後等を対象に、地域や学校からの要請を受けて、多様な経験や技能を持つ民間企業・団体・大学などが学習プログラムを提供。子供たちの豊かな学びを支えながら、地域の特色や魅力ある教育活動を推進していく取り組みだ。2012年より、文部科学省が活動を開始したもの。 この取り組みに対し、「ゴルフ界はウェルビーイングな社会の実現に貢献する」というビジョンを掲げているNGKが、①生涯にわたって運動・スポーツを継続する子供の増加と体力の向上、②誰もがスポーツに参画できる社会の実現、を目的に【みどりの体験学習教室「ゴルフ場で自然を学ぼう」】という教育プログラムで参画しているため、今回のイベント開催に至った。 今回連絡をいただいたYMCAしろがねこども館のアフタースクールでは、学童保育として、平日の放課後や夏休み、春休みなどに小学生を預かり、適切な教育、遊びを通じて安心して過ごせる環境を提供されている。 また、楽しみながら取り組める社会体験プログラムなども積極的に行い、子どもたちが自ら「したい」「学びたい」気持ちを伸ばすように努められている。様々なプログラムを通じて、指導員のサポートのもと、子どもたちが小集団の中で様々な影響を受けながら 互いに認め合い、達成感を得る。そのような体験を重ねることで、子どもたちの健全な内面の育成を目指されている。 その流れで今回は、春休みのビッグイベントとしてゴルフ体験に白羽の矢が立ったわけだ。

ファーストティとの相性

春休みや夏休みで学校が休みの間は、平日の早朝から夕方遅くまで、毎日子どもたちを預かっている。そのため日々、子どもたちの新たな学びを作るために試行錯誤が行われている。そうした学童保育のご苦労について、わずかではあるが理解することができた。 今回のプログラムは、NGKの【みどりの体験学習教室「ゴルフ場で自然を学ぼう」】ということではあったが、弊社が以前から行っているファーストティプログラムを活用することにした。 時間は午前11時から午後2時まで。プログラムは午後1時までに終了し、その後芝生の上で持参のお弁当を食べて、30分程度芝生で自由に遊んで終了といった内容である。 参加した37名の小学生に怪我や事故はなく、とても楽しいイベントとなったようである。また、指導員の方々にもご満足いただき、「ぜひ次回もお願いします」という言葉を残して帰られた。 今回、ファーストティプログラムを活用したのは、以前から学童保育と親和性があると考えていたからである。ファーストティはアメリカで発祥し、広く受け入れられている。ゴルフの技術指導に偏ることなく、礼儀や誠実、スポーツマンシップなどナインコアバリュー(9つの徳目)を重視するのが特徴で、学校教育や放課後教育に活用されている。現在も積極的にOB・OGのボランティアが参加して、子どもたちを事件や事故から防ぐ放課後の安全な見守り活動の一翼を担っている。 ゴルフを通じて子どもたちの健全な人格形成を図り、「ライフスキル(生きていく上で必要な能力)」や、人生の価値を教えることを目的とした教育プログラムであり、YMCAアフタースクールの目的とも一致している。 今回、YMCAの学童保育イベントとして協同し、これまで考えてきたことが確信に変わった。 普段の平日の放課後保育に活用することはまだ難しいかもしれないが、今回のように春休みや夏休みの定期屋外プログラムでは、ファーストティプログラムを通じ、ゴルフが学童保育に一役買うことは間違いない。ウェルビーイングな社会に向けて、ゴルフの可能性を広げたい。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら