連載SDGs 第42回 人や国の不平等をなくそう

連載SDGs 第42回 人や国の不平等をなくそう

函館

先月号でお医者様のコンペに募金箱を、という趣旨の文章を書きました。それを北海道の二つの病院の理事長に連絡しましたところ、お二人とも快諾してくれまして、9月に行われた病院のコンペで募金箱を置いてくれました。 [surfing_other_article id=84337][/surfing_other_article] 先月号の原稿を書き終わって、函館の医療法人・雄心会(伊藤丈雄理事長)の金子達也本部長に「チャリティ募金箱」を設置していただけないか、と問い合わせたところぜひにという回答をいただきました。 8月31日夕、函館の大沼プリンスホテルに出向きましたところ、レセプションのすぐ横にコンペの受付があり、何とそこには「障害者ゴルフの普及に向けて」と銘打ったSDGsの募金箱がありました。約束通り金子本部長が用意してくれたのです。お手製の心のこもった募金箱です。 金子本部長は「今回の募金は障害者ゴルフの普及を目指す運動に寄付したい」と説明してくれました。夜には食事を兼ねてのコンペ前夜祭が開かれ、その席で金子本部長は2025年7月に函館で第7回日本スティニュレーションセラピー学会学術大会を開き、その後、日本障害者ゴルフ協会の大会を開催する予定で、今回の寄付金をその運営資金に贈呈したい、と説明をされ、続いて私が募金箱設置の趣旨をお話させていただき「千円程度の募金を」と呼びかけましたところ参加者の皆様から強い拍手が起こりました。 [caption id="attachment_84712" align="aligncenter" width="788"] 夏の大沼ゴルフコース。駒ケ岳が生える。[/caption] 翌日は「北海道カントリークラブ大沼コース」でコンペです。快晴に恵まれ楽しいゴルフができました。募金箱には想像以上の寄付金が入っていたそうです。

釧路

[caption id="attachment_84715" align="aligncenter" width="788"] 大沼ゴルフコースのティーインググラウンドにある木彫りの熊。[/caption] それから2週間後の9月16日、釧路の社会医療法人・孝仁会(斎藤孝次理事長)のコンペです。前夜祭の会場には函館に置かれていた募金箱が移動していました。雄心会の金子本部長が来年の学会と障害者ゴルフ大会について協力を求め、私が募金の趣旨をお話いたしました。函館同様参加した皆さまから暖かい拍手をいただきました。 16日の阿寒カントリ―クラブはまたまた快晴になり、グリーンの難しいアンジュレーションに苦労しながらも、「誰でもゴルフが楽しめるように図るべきだね」とプレーの手を休め、障害者以外の課題についても話し合うなどSDGsの趣旨について理解を高めていただきました。

日本障害者ゴルフ協会

[caption id="attachment_84713" align="aligncenter" width="788"] 第1回日本障害者オープンのポスター。DAG提供。[/caption] 様々な障害を抱える方々にゴルフを楽しんでもらおうと1991年、東京に「日本障害者ゴルフ協会(DGA)」が設立されました。その後、特定非営利法人となり、現在にいたっています。代表理事の松田治子さんは「今は三つの目標があります。①ゴルフをパラリンピックに、②次は誰もが楽しめるゴルフを③DGA を末長く続く組織に、です」とホームページに書いておられます。 DGAは「誰もがゴルフを楽しめる環境づくり」をモットーに、障害のレベルに応じた大会開催や国際交流や研修会など様々な活動を展開しています。競技活動では、1996年11月に「第1回日本障害者オープンゴルフ選手権」を栃木県のウイングフィールドゴルフ倶楽部(現パインズ日光ゴルフ倶楽部)で開催して以来連綿として続き、今年は11月に福岡県の麻生飯塚ゴルフ倶楽部で第29回大会を開きます。 この大会も始めのうちは参加者が少なく運営にも苦労しましたが、最近は人気が出て、今年の大会では参加者70人を募集したところ募集開始2日で定員を超える盛況となっています。

国際大会からパラリンピックへ

[caption id="attachment_84714" align="aligncenter" width="788"] 昨年、千葉県で行われた第28回日本障害者オープンのポスター。DAG提供。[/caption] DGAは発足当初から国際的な活動を視野に入れていました。 1997年に代表理事に就任した佐藤成定氏は世界の障害者ゴルフ団体との国際交流を進め、2000年にはアメリカの「切断者ゴルフ協会」NAGA (National Amputee Golf Association)のチャンピオンシップに選手3人と役員2人を派遣しています。 その年の日本障害者オープンゴルフ選手権にはアメリカから2人、オーストラリアから1人の障害者ゴルファーを招き、国際交流大会となりました。また、2005年からは日本障害者オープンゴルフ選手権に「グランプリの部」を創設し、世界の有数の選手が参加するようになり、2021年からは世界ランキング対象試合となっています。

プロ選手の支援

いよいよパラリンピックへの機運が高まってきています。加えて、今年から堀川未来夢プロがDGAアンバサダーに就任されました。有名なプロ選手が後押しをしてくれるようになれば、DGAへの期待は一気に高まっていくでしょう。 函館から始まった募金箱は釧路を経て次にどこに飛ぶか楽しみです。募金額はいくらでもよいのです。世直しプランともいうべきSDGsに力を貸すことで、スコアが伸びないときでも気持ちが軽くなると思います。

不平等をなくす

SDGsの 10番目は「国内および国家間の格差を是正する」趣旨ですが、具体的な目標が10 項目あります。今回はその中から4項目を挙げておきます。 1)2030年までに年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 2)差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。 3)税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。 4)地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら