干し柿状態
私は64歳の時にゴルフを始めました。以来、17年間、ほとんど上達していません。初めの1年間ぐらいで100を切ったのですが、以後は92を最高に、良くて90台、100を超えることもしばしばある状態がずっと続いています。
ゲレンデでのスキーは60歳から始めて64歳で2級を取得し、74歳で1級バッジをいただきました。時間はかかったものの着実に技術は進歩してきました。しかしゴルフは全く上達しない。
考えてみますとスキーは先生に習っていました。これに対し、ゴルフは先輩にちょっと教えていただいた以外は自己流です。だから干し柿(ヘタが固まっている状況)になっているようです。
80歳を過ぎて自己流がいけないことに気が付き、今年9月からスクールに通い始めました。初日に、もうびっくりでした。画像に映し出された自分のスイングがかなりガタガタです。第一、腰が全く動かないで手だけで打っています。自分では腰を捻転しているつもりだったのですが正面を向いたままでした。
先生にこれを指導され、いわゆるビジネスゾーンの繰り返し。2回目にはそれがかなり良くできるようになり、自宅でスイングの練習に励みました。次にハーフで打ってみるよう言われ、左肩を正面に向け、打ちおろすときに右腕をわき腹に付けて打つよう促され、それを日課に振り続けています。
おかげさまで、アイアンのハーフまではかなりの頻度で芯に当たるようになりました。身体が右にスエーすることがなくなり球筋はまっすぐになりました。
本を読んでも分からない

今まで何をしていたのだと悔やんでいます。単行本や雑誌を何冊も買い、見様見真似で振り回していたのですが、これが「干し柿」の素となっていました。
習い始めてから、少しずつ成果が表れていくのが楽しみになっています。練習をしながら、ふと思いつくことがありました。ゴルフを始めてすぐに倉本昌弘さんの『90を切るゴルフ上達問答集』(2009年、日経ビジネス文庫)を買い、何度も読み返していました。たくさん本を買い、読みましたが、倉本さんの本が一番わかりやすく自分に合っていたのです。線を引きながら読み返していたのですが、習うようになって初めて倉本さんが書いていることが分かるようになり、驚いています。
これまではただ字を追って、分かった気になっていただけでした。スクールで基本を教えていただいた後に、改めて読み直すと、書いてあることがすべて腑に落ちるようになりました。
高齢化の余波
この歳になって教育の本質を再認識しています。教えることと習うことの基本です。人はいくつになっても習うことが大事です。
若いころは人の忠告や教えを柔軟に受け入れることができます。しかしある程度の年齢になると、自分の考えが固まり、人の声を受け入れにくくなり、そのため人は何も忠告してくれなくなります。そして裸の王様状態になっていきます。
私が危惧するのは、ゴルフ人口の一番多い年代が60歳から70歳であることです。「レジャー白書2024」によると、コース参加者530万人のうち、70代が約133万人で最も多く、60代、50代がそれぞれ約95万人、約101万人と続いています。
女性や若者が少ないということもゴルフ界の課題ですが、それとは別に、年代が高い層が多いこと自体も心配です。一般的に年をとるとともに考えが固まってくる、忠告を素直に聞けない、という傾向が強くなるということです。私自身の今回の経験が良い例です。
社会的地位が高く、経済的にもゆとりがある方々が多い年代です。知らず知らずのうちにゴルフへの考え方も固定化されてきている危険性が高くなるのではないでしょうか。
ゴルフの楽しさを引き継ごう

ベテランからは、初心者や若者がコースに出るとマナー違反やルール無視が目立つ、という批判があります。でもそれは、ルールやマナーをよく知らないからです。
ゴルフの各種団体は、例えば初心者への割引をする代わりにマナー講習会を義務付けたり、スロープレーへの注意を促すポスターなどをクラブハウスの様々な場所に張り付けるなどの努力をすべきでしょう。
いずれにしても年配のゴルファーが多いということはクラブにとっても大変大きな財産でもあるのです。彼らの経験、楽しみ方へのうんちくなどが若い世代などに受けつながれていくことは日本のゴルフ文化がより豊かになるでしょう。
そしてクラブの重鎮には、初心者、家族連れ、小、中学生、若者、女性などを迎え入れる具体的な活動やアイディアを受け入れてほしいのです。そうなれば、クラブも伝統を活かしながら時代に合った運営に向かって舵を切ることになるでしょう。
そういう状況になることがSDGsの最終的な目標でもあるのです。
誰一人取り残さないSDGs
平成27年9月27日、当時の安倍晋三総理大臣は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択する国連サミットに出席、ステートメントを発表しました。その中で安倍総理は次の3点をを強調しています。まさに地球人全員で取り組む課題です。
①このユニバーサルなアジェダの実施には、旧来の「南北」の二分法を乗り越え、すべての国、民間企業、市民社会など、あらゆるステークホルダーが役割を果たす、新たなグローバルパートナーシップが不可欠です。
②女性も、障害者も、若者も参加する取組が必要です。
③誰一人取り残されないよう、脆弱な人々の保護と能力強化を重視します。特に保健、教育、防災、気候変動などが重要です。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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