連載SDGs 第56回 温暖化防止への道 日本環境教育フォーラム会長 岡島成行

連載SDGs 第56回 温暖化防止への道 日本環境教育フォーラム会長 岡島成行

COP30ベレン会議

今年11月10日からブラジルのベレンでCOP30(国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議)が開催されました。COPというのは、条約に参加した「締約国の会議」という意味です。その30回目の会議です。COPはコップと発音し、COP30は「コップサーティ」と言っています。 気候変動枠組み条約とは難しそうな名称ですが、温暖化防止のための条約です。温暖化は、多くの問題を発生させているので条約名は気候変動という言葉になっています。 「枠組み」となっているのは、温暖化を防止するためには様々な課題が複雑に絡み合っていて、いきなり細かいところまでは決められないので大枠だけでも決めていこうよ、という意味で「枠組み」条約となっています。 1992年、同じブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球環境サミットがこの条約の出発点でした。 その後、ドイツのボンで第1回の会議すなわちCOP1が開催されました。そしてCOP3が京都で開かれ京都議定書がまとまり、条約が実質的に動きだしました。 この時も各国の思惑が錯綜し、会議は揉めて行き詰まったのですが、最終的には、アメリカのクリントン大統領と日本の橋本龍太郎首相との電話会談で決着したのです。 以来、計30回に及ぶ会議が開かれており、徐々にではありますが会議の内容は進展してきました。 しかし今回は、世界第2位の温暖化ガス排出国のアメリカが参加しません。トランプ大統領が「温暖化は陰謀だ」としてパリ協定を脱退してしまったからです。 アメリカはこれまでこの条約を強力に推し進めてきました。しかも、温暖化に関する重要な基礎データを長年提供し続け、会議で決まったことへの費用も多く出していました。

地球全体を覆う温暖化

地球が温暖化しているというのは世界全体が影響を受けます。この問題は一つの国や地域の課題ではなく世界全体の問題なのです。 しかし今は国家単位の秩序で世界が動いていますので、国によっては自分のことだけで精一杯、他人のことなど構っていられない、というところもあります。また、温室効果ガスを長い間排出し続けたのは先進国であって大多数の途上国には責任がない、先進国がまず責任を取る形で温暖化に取り組むべきだ、と主張します。そして温暖化対策について、先進国からの支援を訴えます。 とどのつまりは先進国が途上国にいくら援助するか、という課題なのです。 先進国は支援が本当に環境対策に使われているのか疑問視し、途上国の要求を額面通り受け入れられないという思惑もあり、交渉は難航しがちです。 そこに、クリントン、橋本会談のような世界のリーダー国の姿勢の見せ所があるのですが、トランプ大統領はその反対です。

世界をリードする

先ほども申しましたが、ことは世界全体に被害が及ぶ話です。自国の利益追求だけでは到底前進できる話ではないのです。 ここに、政治姿勢が問われることになります。トランプ氏にはその視点が欠けている。全世界が直面する危機よりも自国の経済的利益を求める。これでは到底世界をリードする政治家とは言えないでしょう。 困るのはトランプ氏の考えが世界の経済界に悪影響を及ぼしていることです。大企業の社長たちの間には、めんどくさい環境から離れて自由に金儲けをしたい、と思う人達がトランプ氏の影響を受け始めていることです。 世界の経済界はこれまで環境対策を重視するとともにESG(環境・社会・企業統治)を尊重する動きになっていましたが、これを放棄する企業が増えてきています。

これから先の地球環境は?

世界の科学者が何年もかかって調査を続けてきた結果、温暖化は確実に進展していることが明らかになっています。温暖化は人間が作り出しています。地球は確実に変化し始めています。そう遠からず気候が異常に変化し、人間がとても住みにくくなり、私たちの子どもや孫の世代はどうなるのか分かりません。 そんな大事な状況であるのに、無視している人が多すぎます。はるか遠い先のことどうでもいいじゃん、何とかなるよ、と思っている人も多いのです。 堅い言葉で言うと環境教育が必要です。特に大人の認識を改めてもらうのが大事です。 ゴルフは自然の変化を感じやすいスポーツです。基本的に屋外ですし、暑さ、寒さ、風、雨などを考慮する必要があります。夏の異常熱波など気候変動を身近に感じられるスポーツであり、紳士淑女、すなわち礼儀礼節やフェアプレー、他の人や自然を尊重する人のスポーツです。 ゴルファーこそ率先して、世界の気候安定のために動いていただきたい。小さなことでいいのです。孫や子のために何かひとつ、行動を起こしたいですね。

京都議定書とパリ協定

京都議定書は、1997年に開かれたCOP3で採択されました。先進国が温室効果ガスの排出量を削減することを約束しました。この議定書では先進国は2012年まで排出量を削減する目標を設定することが決まり、温暖化対策の具体的な取り組みがスタートしました。 2015年のCOP21ではパリ協定ができました。京都議定書をバージョンアップして、気候変動対策として初めて法的拘束力のある国際条約となりました。世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えることが決まり、締約国は、2030年までに温室効果ガス排出量を削減する目標を設定し、具体的な行動を取ることが求められています。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら