日伸精工が製造する四輪車用電動パワーステアリング部品(スペーサー)の製造工程では、年間約24トンの端材が発生している。これらは通常、電炉で溶解し鉄材として再利用されるが、その過程で多量のCO2が排出され、環境負荷の一因となっている。
こうした状況を踏まえ、同社が着目したのが、廃材を溶解せず別の製品へと生まれ変わらせる「アップサイクル」という発想だ。端材を有効活用することで、資源効率の向上と環境負荷低減の両立を目指している。
まず、スペーサーの端材形状をそのまま生かせないかと検討を重ねた結果、サイズ感が近いゴルフ用ボールマーカーに着目し、商品化のアイデアを発案。あわせて、埼玉県産業振興公社の補助事業化支援に申請。従来の「作って、使って、捨てる」といった線形の経済(リニアエコノミー)を見直し、廃棄物を前提としない有効活用、すなわちアップサイクルしていく戦略が評価され、2025年度サーキュラーエコノミー補助事業化支援に同事業が採択に至った。

商品化にあたり、最初の大きな課題となったのは、鉄材特有の錆の発生だった。そこで防錆対策と付加価値の向上を両立させる手法として、加飾による表面処理を採用。加工方法には鍍金、塗装、コーティングの3種類を用意した。さらに企業ロゴや名称など、レーザー刻印を可能にし、ノベルティやオリジナルアイテムとしての展開にも対応した。

同社はこの取り組みを広く発信するため、2025年12月10日から東京ビッグサイトで開催された「エコプロ2025」に出展。来場した多くの企業および個人から賛同を得た。同時に実施したアンケート調査では、3日間で101件の回答が集まり、そのうち約40%が「何らかの形で使ってみたい」と回答する結果となった。
これらの結果を踏まえ、企業ゴルフコンペの記念品やCSR活動におけるノベルティとしての活用が見込まれる。また、環境配慮型の金属廃材製ゴルフマーカーとして、市場での明確な差別化が図れると考えられる。今後はゴルフマーカーにとどまらず、他のゴルフ用品や生活雑貨への展開にも挑戦し、販路をゴルフ業界に限らず、記念品やイベント市場へと広げていく方針だ。
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