サッカー協会の動き
このところ日本サッカー協会が温暖化対策に積極的に対応するというニュースが出始めています。
2月27日の日本経済新聞には「温暖化対策Jクラブ競う」とスポーツ欄のトップ記事として掲載されました。Jリーグが複数の国のサッカー・リーグが参加する英国の団体「スポーツ・ポジティブ・リーグ(SPL)に参加したと報じています。
この記事の中では「SPLはスポーツ界の温暖化対策の旗振り役といえる」と説明、現在は600以上のスポーツ関連団体を擁しているそうです。
ヨーロッパでは、このSPLに4か国5リーグが参加しており、この流れにJリーグが乗ったのでしょう。
ではこのSPLに参加して、具体的には何をするのか。いわゆる「環境にやさしいこと」をするのです。プラスチック廃棄物を減らしたり、太陽光発電を推進したり、水や資源の無駄遣いをやめる努力をする。リサイクルを充実させ、ごみの減量について観客にも協力してもらう。
SPLが定めた環境改善策12項目を数値化して、JリーグのJ1からJ3までの60チームを評価します。そして上位20チームを公表します。
評価の高かった各チームは名誉にもなるし、ファンも鼻が高い。そして人気も出る、さらにはチームの商業的価値が高まる、スポンサーが付きやすい、という狙いです。
温暖化とスポーツ界の役割
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ヨーロッパでは幼少期からのサッカークラブが整っている。小さい時からサッカー技術だけでなくマナーや自立心、そして環境についても教えています。[/caption]
日本サッカー協会では、異常気象で試合が安定的に開催できなくなることや夏の異常高温による悪影響を心配しています。台風や悪天候によって試合が中止になるケースが、この10年間で、その前の10年間に比べて4・6倍も増えているからです。
スキーやスノーボードも同じような状況で雪が少なくなり、シーズンがかなり短くなっています。
特に夏の高温にはどのスポーツ大会も苦慮しています。なにしろ熱中症などの心配でスポーツを楽しむことが危険な状態になっています。夏のトレーニングや大会などは場所や時期を変えて行わざるを得ない状況なのです。
それならばスポーツ界が結束して温暖化防止や地球環境の改善に取り組みましょう、という動きが世界的に出てきています。
スポーツは誰にも浸透する力を持っています。学校でいくら教えてもピンとこない子供でもサッカーの有名選手が地球環境の危機を唱え、リサイクルなどに取り組めば素直に耳を傾けるでしょう。一般市民に訴える力が大きいのです。
ゴルフの役割
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SPLのシンボルマーク緑のカップ。[/caption]
ゴルフは、これまで何度も書いてきましたが、温暖化や異常気象の影響を最も受けやすいスポーツです。それだけ自然との接点が多い競技だからでしょう。ということは選手も一般プレーヤーも異常気象や温暖化の波が静かに押し寄せていることに気が付いている方が多いのではないかと思います。
にもかかわらず、サッカーのようにSPLに入って活動をしよう、という声がなぜ出ないのでしょうか。以前、この欄で書かせていただいた中日クラウンズなど、単発に努力しているゴルフ場や大会、関連機関はあるのですが、競技団体やゴルフ場の団体などが本気で異常気象や地球環境の課題に取り組もうという動きは感じられません。誰かがリーダーシップを発揮してくれないものでしょうか。
Jリーグにはサステナビリティ分野を統括する役員がいます。担当の辻井隆行執行役員は日本航空の広報誌SKYWARD3月号で「欧州ではスタジアムでおいしいビーガン食を提供し、再生エネルギーの活用など気候変動対策に無理なくつながる仕組みが整っている」と話し、Jリーグとしては自治体や企業がハブになって未来世代への応援団を作りたい、としています。
スター選手の活動
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プロ野球はナイターが主役。この照明を何とか太陽光で賄おうという実験が始まりました。セ・リーグはJERAと「灯セ、みんなで」プロジェクトを始めました。[/caption]
Jリーグ関連ではさらに、浦和レッズのスター選手であった小野伸二さんが日本経済新聞に投稿(3月3日)し、「気候変動、僕ができること」という見出しで、小野選手自身が環境問題に取り組んでいく決意を明らかにしています。
引退後Jリーグのサステナビリティ活動にかかわるようになってから「僕らが当たり前だと思っていた環境は今や当たり前ではない。地球温暖化が進めば、未来はサッカーどころか、日々の生活さえもままならないことになってしまう」という危機感を持つようになった。そして「僕もサッカー教室を通じて地道に、精いっぱい伝道師として取り組んでいきます」と決意を語っています。
ゴルフでもスター選手がことあるごとに異常気象や温暖化への懸念を発言していただきたい。ゴルフ場の緑化整備、太陽光利用、用具のリサイクルなどに興味を持ってもらえれば、おのずと日ごろの発言に反映されてくる。そして多くのファンに影響を与えることができます。
最近のスポーツ界の動き
1)冬季パラリンピックでアシックスとユニクロが環境配慮のウエアを提供。アシックスは今回初めて公式ウエアに環境配慮を打ち出し、材料の調達から廃棄までの過程で出る温暖化ガス排出量を「カーボンフットプリント」として内側のタブに表示した。
2)ユニクロはスウェーデン選手団のユニフォームを手掛けたが、温暖化ガスの排出を抑える素材を全体の42%とした。
3)発電大手JERAがプロ野球セントラル・リーグと提携、照明に必要な電力を太陽光発電でまかなう「脱炭素ナイター」を実施する。
4)スキー場が客と共同で「雪のある冬を守ろう」活動を始めている。スノーボーダーらによる環境団体「POW」(長野県大町市)が支援している。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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