連載SDGs 第62回 むだ遣い文明を見直す 日本環境教育フォーラム会長 岡島成行

連載SDGs 第62回 むだ遣い文明を見直す 日本環境教育フォーラム会長 岡島成行

包装がカラーから白黒に

[caption id="attachment_95487" align="aligncenter" width="788"] カルビーのポテトチップス。目を引く色鮮やかな包装です。[/caption] 連休明けに、スナック菓子大手のカルビーが「ポテトチップス」など主力製品のパッケージを彩り華やかなカラーから白黒に衣替えする、と発表しました。イランとアメリカの戦争のあおりで石油の輸入が滞る見通しとなったため、インキ用の溶剤に使う原油やナフサの調達が難しくなるためです。 みんなが愛用するお菓子なので反響が大きいようでした。なんか寂しい、貧乏くさい、などの声が上がりました。 でも私は、よくやった、と感じました。中身が変わらないし、むしろこれまでが「贅沢ラップ」だったと思うのです。売るためなのでしょうが、店に並ぶ様々な商品の多くは過剰包装に見えます。 これは、カルビーだけの話ではなく、今の日本ではあらゆるところでこの「過剰」があふれていると思いませんか。いらないものがあふれかえっているようです。 こんなことを書くと、80過ぎのジジイがうるさいことを言い始めた、と思われるかもしれませんが、日本は、客観的なデータを見ても、世界の中でもかなりむだ遣いが多い国だと思えるのです。 [caption id="attachment_95489" align="aligncenter" width="788"] カラー写真をモノクロに変えたイメージ。印象は変わりますが、今の時代、逆に目立ちます。[/caption]

食べ残しが多すぎる

[caption id="attachment_95490" align="aligncenter" width="788"] 日本での日常生活での食べ残し、作りすぎは異常に多い。反省、ですね。[/caption] 政府の統計によると、日本では、食品が「供給」されてから消費されるまでに、かなりの量が失われています。内容は大きく分けて①まだ調理できる部分を捨てる②食べ残し③調理くず、の3点で年間約472万トンです。これは家庭と事業者(スーパー、コンビニ、外食、食品工場など)を合わせた量です。 家庭からは約236万トン前後で、内容は、冷蔵庫で期限切れ、作りすぎ、食べ残しなど。事業系は約236万トン前後で、売れ残り、返品、外食の食べ残しなどです。 472万トンという量は、かなり大きい数値で、「国民1人あたり毎日おにぎり1個分程度を捨てているのに等しい量」と説明されています。 世界には食料不足で飢餓に苦しんでいる人が約6・7億人もいるのに、もったいないと思います。 日本の食料自給率は38%程度で、残りは海外からの輸入です。食料を大量に輸入しているのに、その多くを捨てている。これもおかしいですね。日本人はかなり罰当たりな生活をしているようです。 捨てることはまた別な費用が発生します。一般ごみの処理費用は、年間2兆円以上かかっています。ごみの焼却によるCO2の排出や埋立地の運営などにも多額の費用がかかっています。 政府は2030年度までに家庭系、事業系ともに半減する計画ですが、この問題は国民一人一人の課題でもあります。食材を使い放題、捨て放題の生活習慣を改める時でしょう。

循環型社会を目指す

[caption id="attachment_95491" align="aligncenter" width="788"] 自動車をはじめ各種工業製品のリサイクルは必須です。[/caption] 話を戻すと、石油が足りないといっていたずらに不安をあおったりせずに、現在の私たちの生活のむだを削り取っていけば、案外耐えられるのではないかと思います。それはまた、新しいエネルギーや革新的なエネルギー効率を発揮する技術開発などに力を入れる良いチャンスではないでしょうか。 地球温暖化は容赦なく進んでいます。ゴルフでも真夏には熱中症の危険さえあります。南極、北極やグリーンランドの氷床が溶け出しています。そのため海水面が上昇し、多くの都市が波に洗われるようになっています。 経済活動もこの地球温暖化の影響を受けてきています。様々な自然災害が多発するようになり、保険会社や再保険会社が苦闘しています。 温暖化防止への対策は世界共通の課題となり、二酸化炭素など温室効果ガスの削減圧力が強くなっています。大企業や行政に温室効果ガスの削減が義務付けられるようになりつつあります。 その結果「排出量取引」が世界全体に広がっていくでしょう。これは政府が一定の基準のもとに各企業に温室効果ガスの排出枠を割り当て、排出枠を超えた場合はその分を排出枠以内に抑えた企業から枠を買い取ることができるという制度です。 日本では2026年度から温室効果ガスの直接排出量が多い事業者を対象として「排出量取引制度」が本格稼働しました。排出削減に向けた先行投資を推進するとともに新たな産業競争力の強化が狙いです。

生活態度の変革を

[caption id="attachment_95492" align="aligncenter" width="788"] 自宅の近く300坪ほどのクヌギ林。よく見ると、様々な幼木が生まれています。クロモジ、モミジ、ウルシ、サンショウ、アオダモ、ホオノキ、ヤマブキなど30種以上の幼木が成長しています。虫や草などを合わせると数えきれない命が生きています。地球上に人と一緒に生きている仲間です。[/caption] いずれにしても、世界人口80億人が人間らしく生きていくためには先進諸国のむだ遣いを減らす必要があります。 どんなに技術が発展してもそれに比例して贅沢病が広がれば地球規模の環境問題は解決しません。いたずらに欲望を満たし続けることは、有限の資源しかない地球上ではいずれ行き詰まるのです。 また、地球上には人間だけが生きているのではなく、様々な生物が共存しているのです。人間以外の生き物のことにも配慮すべきです。私たち人類は、自分たちの欲望を追いかけるだけの生き方を変えるべき時を迎えています。 しかしそれは、昔からあらゆる宗教、思想、哲学が言い続けてきていることなんですけど……。

つくる責任つかう責任

食品ロスやライフスタイルの変革などについては、SDGsの12番目に述べられています。主な指摘は 1)2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。 2)2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。 3)開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら