中古から高級志向へ転進するゴルフキング
同社は2003年6月、中古クラブチェーンのゴルフ・ドゥにFC加盟することで業界へ参入。2005年4月に自社運営のゴルフキングを設立して以後、愛知県下の中古チェーンとして「価格破壊王」を謳い文句に知名度を上げた。現在は新品と中古の折衷型で、オンラインショップの楽天市場でもゴルフ用品販売の上位に位置づけられる。
そんな同社が一転、イオンタウン鈴鹿店でラグジュアリー系の売り場を目指すという。中古ショップから発祥し、最安値で地歩を固めたゴルフキングの転身法とは?
今回の新店は、生活雑貨卸や店舗企画を主業務とするワンズオウンとの新業態開発プロジェクトから生まれたという。ワンズオウンの設立は1993年3月で、当初は寝具店を対象にした活性化事業を手掛けていたが、現在は国内40店舗のライフスタイルショップ等を運営する。そのノウハウをゴルフキングに導入することで、洗練された店舗空間や商品陳列で脱中古を図る試み。
買取はゴルフクラブだけではなく、ウエア、キャディバッグ、用品類も対象となり、
「ウエアの買取については、ゴルフキングの各店舗に加え、2年前に立ち上げた姉妹サイト『ゴルフウェア買取.com』により、既に3万8000点の買取実績があります。また、新店は工房や試打スペースを完備するほか、ニッチ系のアパレル(ラウドマウス等)も取り扱い、総合展開を図る方針です」(森社長)
と、今後の展開に期待を寄せる。
大手中古チェーンは近年、FC加盟率の低下が目立ち、数の優位性を保つために直営の出店でカバーする傾向が強い。離脱したFCは事業継続を断念するか、他の業態へ転換することも多いのだが、ゴルフキングの成否によっては、中古FCから独立して、異業種とのジョイントで総合化を進める「元中古店」が増えるかもしれない。
いずれにせよ、中古店から発祥したゴルフキングが新品との融合で独自路線を歩み、さらに高級志向へ向かう様は、売り場の発展様式が多岐化したことの表れでもある。メーカーは、多様化する小売市場への対応に苦慮している。