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    ハッシュタグ「コトブキゴルフ」記事一覧

    AnotherShotGolf(ASG)が提供する『ASG School』は、「スクール」と「練習場ビジネス」に特化した運営管理システムだ。他業態でも汎用性があるシステムとは違い、ゴルフ練習場独特の商慣習を熟知したうえで開発された。 導入施設は、約90店を運営するブリヂストンゴルフアカデミーのほか、有賀園ゴルフや第一ゴルフ、コトブキゴルフ、インドア数十店舗など多岐に渡る。 さらに同社が運営するインドア「ゴルフストイック」でも実際に同システムを使うことで、小さな課題も逃さずあぶり出し、常にバージョンアップを続けているのも同システムの強みだ。 多くのスクールに支持されている『ASG School』だが、練習場やインドアのスクール業務にどのように寄与しているのだろうか? <h2>施設ごとの膨大なプランを管理する豊富な「予約制限」機能</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/asg2.jpg" alt="" width="1280" height="896" class="aligncenter size-full wp-image-79449" /> 練習場のスクールは施設によってプランが全く異なる。同一の施設でも一般的な「月額制」以外に「平日会員」「休日会員」「月〇回会員」「ナイト会員」「チケット制」など様々なプランが存在する。 特に練習場は歴史の長い施設が多く、古くからの会員も存在するため昔のプランが残っていることも多い。さらにマンツーマンレッスンやグループレッスン、初心者レッスンなど形態は多岐に渡り、そこに打席数とレッスンプロの人数、シフトなどが関係してくるため組み合わせは膨大だ。 『ASG School』はこういった他社ではなかなか管理し切れない様々なプランを一括管理し、月・週・日の上限、予約可能な曜日・時間帯など、豊富に用意された制限の組み合わせにより、様々な料金プランに応じた「予約制限」を実現できるのが最大の強みだ。 また高度な会員管理(CRM)を基盤として、そこに「ネット予約」、レッスンの「電子カルテ」「決済サービス」「スマートロック(入退室管理システム)」連携(「RemoteLOCK」「Akerun」「顔認証」)など様々な機能が連動しているのも特徴だ。 <h2>レッスンの質をUPする様々な連動機能</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/asg4.jpg" alt="" width="1189" height="911" class="aligncenter size-full wp-image-79450" /> まず導入スクールから重宝されているのが「電子カルテ」の存在だ。グリップやアドレスなどの基本メソッドをシステム上で細かく設定・共通化できるため、同じスクールなのにインストラクターによって教え方が違うというありがちな問題を解消している。 もちろんカルテ上では申し送り事項が共有されており、会員も閲覧可能なので上達過程が一目で分かる。また、スイング動画のアップロードや保存もでき、インストラクターと会員がコミュニケーションを取れるメッセージ機能も搭載されている。専用のスマホアプリもシステムに連動しているため、レッスン中に動画撮影やカルテの入力を行える。 さらに「電子チケット」の機能によって、従来の紙チケットのやり取りが全てアプリ上で完結できるため、インストラクターの業務負担も大幅に軽減され質の高いレッスンに繋がっている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/asg5.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="aligncenter size-full wp-image-79451" /> それだけではない。多店舗展開をしているスクールの横断的な管理もできるので、例えばある会員が転勤などで引っ越した際に、以前の店舗で習った内容を電子カルテを通して移転先の店舗でも引き継ぐといったことも可能になっている。 他にも会員への「ヒアリングシート」や「顧客分析」、従業員の「タスク管理」など、練習場のスクール業務を効率化する様々な機能が搭載されている。月額利用料は登録会員数により異なるが、5万円~となる。 <h2>手厚いサポート体制</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/asg6.jpg" alt="" width="1280" height="896" class="aligncenter size-full wp-image-79452" /> 同社のもう一つの強みは徹底的なサポート体制を備えている点だ。導入前にはフロントスタッフ、インストラクター、オーナーと、それぞれの役割別に現地説明会を複数回開催。納得してもらったうえで導入を提案している。 さらに導入当日(店舗オープン日)には同社スタッフが終日立ち合い、一番不安なオープン初日をサポートする。導入後も日々の運用で発生する質問や操作サポートを365日電話にて対応している。さらに、実際の施設利用者である会員からのアプリ操作の質問やトラブルの一次対応まで担う。 導入施設目線の機能だけでなく、この徹底的なサポート体制こそが同システムが信頼を集め支持されている理由と言えそうだ。 昨今出店ラッシュの続く無人インドアは価格や立地以外の差別化が難しい。その意味でも今後は施設の付加価値を上げるスクールの存在が重要になってくる。『ASG School』を導入することで、最終的には施設の付加価値の向上だけでなく会員の顧客満足度向上にも繋がりそうだ。
    (公開)2023年12月23日
    日本のゴルフは「1903年」に始まった 「日本のゴルフ」は1903年、六甲山頂に神戸ゴルフ倶楽部が開かれて誕生した。その8年後に初のパブリックとして雲仙ゴルフ場(長崎県)が開業する。 もう100年以上前の話で、当時は「ゴルフ産業」と呼べるような市場はなく、一部のマニアが楽しむ程度だった。以後、第二次世界大戦で多くのゴルフ場が「芋畑」となったが、終戦後は米・英軍に接収されて、将官専用のゴルフ場として復活した。 都内銀座界隈の焼け残りビルもGHQに接収され、進駐軍相手の商売としていくつかの「ゴルフ屋」が細々と生業を営んでいた。今のゴルフ工房やメーカーの走りである。 この商売は戦前からのマツダゴルフ(1930年創業)が代表格で、これに銀座ゴルフ商会、アリガゴルフの3社が御三家と呼ばれた。本誌78年9月号、近藤経一氏のコラム「炉辺雑話」に往時を振り返ったこんな下りがある。 「私は毎日のように松田君(編注・マツダゴルフ創業者松田久一氏)の店に行った。そして少し大げさに言えば、一週間に一本ずつドライバーを作ってもらったが、もっぱらそれを作ってくれたのが斉藤君(編注・元アリガゴルフ社長斉藤今朝雄氏)であり、二十歳前後の青年であった。 その時分は、安田幸吉君や浅見緑蔵君という松田君の顧問格の大プロ達も来店して、とても楽しい時代であった」 当時のゴルフ屋はメーカーの役割も担っており、顧客とプロと店主が密接な関係を交わす社交場のようであった。その頃の仕事内容について、マツダゴルフの社史「球のゆくへ」に松田綾子会長のこんな一節がある。 「当時、ヘッドの塗り替えは1本1ドルだった。その頃の1ドルは360円の円安時代。日本人にとっては大金なのに、アメリカ人には10円の感覚だったのね。 たった1ドルでこんなにきれいにしてくれて、安い、安いって言ってたもの。おかげでこっちは塗り替え1本やれば何日かは楽に暮らせたのよ」 敗戦の混乱が落ち着くと、ゴルフを再開する日本人が徐々に増えてきた。マツダゴルフは当時、進駐軍の将校から買った中古クラブを修理して、日本人に「10倍の値段で再販」していたという。銀座界隈を中心に、牧歌的に稼げる時代がしばらくあった。 <h2>ゴルフクラブを軍用機で</h2> その様子が一変するのは「アメ横時代」の幕開けによる。牧歌的な銀座のゴルフビジネスは終焉を迎え、喧騒に溢れる時代がはじまった。 戦後の闇市として栄えたアメ横(上野・御徒町)には、全国から生活物資が流入し、その後ゴルフ用品も大量に持ち込まれた。米兵やPX(米軍経営のショップ)の出入り商人が、輸入した米国製クラブの横流しをはじめたのだ。 たとえば正規仕入れで3万5000円だった『マグレガー』のクラブセットが、銀座では倍の7万円で売られていたが、アメ横では4万円を切った。出入り商人がPXに発注すると「舶来御三家」(マグレガー、スポルディング、ウイルソン)のクラブが軍用機で大量に運ばれてきたと、往時を知る業界関係者は話している。 その「アメ横」でゴルフ専門店の開祖は1950年創業のシントミゴルフで、終戦5年目のことだった。その後66年のコトブキゴルフ、71年の二木ゴルフとつづく。本誌94年10月号で、コトブキゴルフの木戸豊専務が次のように回顧している。 「シントミの渡邊明さんは銀座や上野で露天商みたいなことをしていてね、そのうち大量のゴルフクラブをリヤカーに乗せて、アメ横の道端で売り出したんだ。それから創業して本店を御徒町に構え、共同輸入組合みたいな組織のボスになったんです。20軒ほどに配給して、配給が受けられないとゴルフの商売はできなかった」 露天商からゴルフ屋のボス……。当時は似たような成功物語が数多あり、腕と度胸のある者がのし上がる時代だった。 <h2>売れねえじゃねえかッ!</h2> この地の商売人は向こうっ気が強く、いつまでも人の風下に立っている者ばかりではない。ほどなく自前のルートを開拓する者が現れて、菓子現金問屋を発祥とする二木ゴルフもそのひとつだった。同じ号で二木ゴルフの西脇弘部長は、 「ウチはね、シントミさんが扱わない物を仕入れました。ただ、社長(二木一夫氏)が渡米して集めたのは『ウイルソン』の2番アイアンだけとかね、舶来とは名ばかりの粗雑な物が多かったなぁ。 2番アイアンだけなんて、半分騙されたようなもんですよ(苦笑)。その在庫が大量に溜まって『ちっとも売れねえじゃねえかッ』て社長は怒っていたけどね」 今となれば笑い話だが、当時の焦りは容易に想像できる。 「大袈裟ではなく、倉庫の床が抜けるかと心配しましたよ(笑)。夜もおちおち寝られなかった」(西脇部長) 国内メーカーの台頭は、80年代の初頭を待たねばならない。それ以前は「舶来御三家」が飛ぶように売れるため、激しい争奪戦が展開された。『ウイルソン』の2番アイアンは、そのような熱気の産物だった。(つづく)
    (公開)2023年06月05日
    グローブライドは3月、3年ぶりのフルモデルチェンジとなる『ONOFF LADY』(オノフレディ)を発売した。 「飛びと、彩りのオノフレディ。」をコンセプトに、今作は見た目やカラーカスタムの見直しだけでなく、飛距離性能にもこだわった。 そこでGEWでは、『オノフレディ』の予約が開始して間もない2月、数多くのレディスゴルファーに接する3大ショップのカリスマ女性店員を総力取材。『オノフレディ』を試打してもらい、その特徴を動画で解説してもらった。是非参考にしてもらいたい。 第3回目は、コトブキゴルフ編。コトブキゴルフ ワールド館の石井美由紀さんが解説。ベテラン販売員として初心者から上級者まで多くの女性ゴルファーから人気の石井さんによる解説を観てもらいたい。 <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/0LFHE3776LI" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe>
    (公開)2023年04月17日
    ダンロップスポーツマーケティングは3月10日、12代目となる『ゼクシオプライム』のドライバー、FW、ハイブリッド、アイアンを発売する。今回の『ゼクシオプライム』は高初速で大きな飛びと優れた方向安定性を実現しており、特にドライバー、アイアンは飛距離、方向安定性に対する前評判が高い。 今回は、その『ゼクシオプライム』のドライバーと7番アイアンを4大店舗の敏腕販売員が徹底検証。テスターは、コトブキゴルフワールド館の深町健フィッター、ヴィクトリアゴルフ五反田店の石川尚店長、アルペンTOKYO/ゴルフ5フラッグシップストアの松村直樹プロインストラクター、二木ゴルフ川越インター店の林宜光店長(2月下旬現在)。その実力は如何に。 <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/GSzF2ikFq84" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe>
    (公開)2023年02月17日
    11月19日、待望のスリクソン『ZX5 Mk II』『ZX5 Mk II LS』『ZX7 Mk II』が発売される。すでにJLPGAでは勝利を重ねており、大いに期待できるドライバーだ。 ラインアップはスタンダードに位置づけられ大きな飛距離、寛容性が特徴の『ZX5 Mk II』、同じフォルムながらソールのウエイト位置が異なって低スピンで大きな飛距離と寛容性の『ZX5 Mk II LS』、そして少し小ぶりで大きな飛距離と操作性を重視したセレクトショップ限定モデルの『ZX7 Mk II』だ。 今回は、カリスマフィッターでゴルフマジック主宰の鹿又芳典氏が、コトブキゴルフに突撃試打。コトブキゴルフ敏腕販売員の深町健氏が解説。その実力は如何に!? <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2022/10/a032ab94d8ec1a67a18e35be7fa347b6.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-73938" /> 鹿又氏「何これ?」連発で、曲がらないし、飛ぶ!? スリクソンらしくない易しさ!? <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/YCDlEjb1Z_4" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> 1968年東京都生まれ。ゴルフショップマジック代表。メディアに引っ張りダコで、“ゴルフギアのご意見番”として活躍中。 1976年東京都生まれ。コトブキゴルフの敏腕販売員。販売員歴26年、クラフトマン歴15年。ダンロップ公認IFCクラブフィッター。
    (公開)2022年10月21日
    <strong>「ウチで試打してネットで買うお客さんが非常に多い。冗談じゃありませんよッ。ウチはボランティアじゃないんだから!」</strong> <strong>過去十余年、ゴルフ専門店から聞かれた言葉である。その心中は察して余りある。店舗を構えて在庫を持ち、「鳥かご」のような試打室で来店客に無料でクラブをフィッティング。</strong> <strong>にもかかわらず、最適なクラブを教えてもらった客は「ありがとう」の一言を残して去ってゆく。彼らの購入先は専門店よりも安いネットショップ。専門店の徒労感は倍加するばかり。</strong> <strong>が、そんな状況に変化が見えはじめた。新型コロナに端を発したサプライチェーンの混乱や物不足で格安ネットの在庫が減り、価格競争が落ち着いた。加えて、ITの進化で計測・フィッティング技術が長足の進歩を遂げている。</strong> <strong>巻き返しを図るリアルショップの現状をリポートしよう。</strong> <h2>物不足がネットの安売りを止めた</h2> 物不足の影響から市中在庫が激減して、格安ECは玉不足。値引競争が沈静化したことを受け、多くのゴルフ専門店が息を吹き返した印象がある。現状、大手専門チェーンの売価は税込み価格の2割引き程度に収まっており、かつての3~4割引きが当たり前の値引き競争は影を潜めている。 さらに追い風となるのがフィッティング関連機器の進化である。ITの進化はこれまで、ECに有利に働いてきたが、近年は弾道計測器の進化だけではなく「姿勢推定」や「骨格抽出」によるスイングの映像解析など、新たな要素に彩られる。 フィッティングにエンタメ要素を交えながら、リアルならではの進化を遂げようとしているのだ。 スポーツ量販大手のアルペンは先頃、都内新宿駅東口に巨大旗艦店を立ち上げた。岡本眞一郎常務がこう話す。 「リアルとe-comのシームレスな融合を含め、小売りにはまだまだ進化の可能性があります」 ECとリアルの融合で、可能性を広げようとしているのだ。 その詳細は後述するが、ここで現在の市況を簡単に見てみよう。コトブキゴルフ(都内御徒町)の安本昌煥社長の弁。 「コロナ禍によるゴルフ熱の高まりで業績は順調ですが、今後、ウィズ・コロナの定着でレジャー消費が分散し、年内にはゴルフ関連支出が減るだろうと感じています」 現在、コロナの第7波が猛威を振るっており、それがゴルフ市場の「コロナ特需」を延命させるのか、それとも他のレジャーに食われるのかは神のみぞ知るだが、新規需要も一巡したとの見方が支配的だ。 「市場の先行きには不透明感が漂っています。長引くウクライナ戦争や資源・エネルギー不足に円安が加わって、値上げするメーカーも増えている。秋に発売される新商品は値上げ含みで、ドライバーは2万円ほど上がると思います」(安本社長) 輸入量の減少とコスト高、おまけに円安が加わって、市場の先行きは深い霧に包まれている。 <h2>ECの強みは「中毒性」?</h2> 財務省の輸出入統計によると、昨年輸入されたゴルフクラブは514万本超だった。バブルピークの1990年が1140万本弱だったから、往時とは比較すべくもない。 リーマンショック翌年の2009年が608万本超、東日本大震災の2011年が601万本弱。コロナ禍の2021年はこれより15%ほど減っている。 上記の数字は物不足と、格安ECの不調を裏付ける。流通量が減って製造原価が高まれば、フィッティング技術に長けた専門店にゴルファーが戻って来る。そんな見方は、あながち希望的観測とばかりは言えないだろう。 以上のことを前提にして、リアルとECの優劣を専門店各社に語ってもらおう。まずは「ECの強み」について、各店はこんな印象を話す。 ■ゑびすや 岩瀬文平社長 「ECの強みはコンビニエンス性があって、隙間時間を使って生産的な買い物ができることでしょう。あとは圧倒的な情報量と、ECストアを回遊する中毒性もあると思います」 ■リフレックスゴルフ丸山恭生代表 「やはり値段です。ひと頃より価格競争は落ち着きましたが、我々工房は値段じゃECに勝てませんよ。ECでの購入者はリアルなフィッティングに価値を感じない層が多いと思います」 ■二木ゴルフ川崎宮前店 伊藤弘輔店長 「特に大手ECの強みは価格競争力とポイントに尽きます。ヤフーショッピングや楽天は定期的にポイントキャンペーンをやっていて、ポイントはほかの買い物にも使えるためこの面では対抗できません」 以上のコメントから、ECの強みは「価格」「利便性」「中毒性」「情報量」「幅広く使えるポイント」などがあげられそうだ。 <h2>販売員の気づきが「価値」</h2> ECの強みの裏返しが「リアルの弱み」となるわけだが、コトはそれほど単純ではない。次にリアルショップが考える自身の弱みを列記しよう。 ■アルペン岡本眞一郎常務 「リアル店は出店する環境に影響を受けます。特にモールなどへの出店では、モール自体の集客力やコロナで閉鎖といったように外部要因に左右される。出店コストや人件費、光熱費などのランニングコストもECと比べた弱点でしょう」 ■ゴルフサーティ菅野實社長 「長年ゴルフショップを経営してますが、各種計測器を揃えるなど何をするにもコストが掛かり過ぎる。それが最大の弱点だと思います。すべての専門店が生き残れる時代ではないし、ゴルファー自身、情報量が多過ぎて何が正解かわからなくなっています」 ■コトブキゴルフ安本昌煥社長 「販売員の高齢化と人材不足も課題ですね。当社は販売員30名で、平均年齢50歳に近づいている。社内で新しい試みをするのに『年齢の壁』を感じますし、求人募集でもなかなか人が集まりません」 以上の声を聞いてみると、ECの軽快さに比べてリアルの「重さ」が際立って見える。それも当然で、そもそもITはリアル社会の不便を解決することで様々なビジネスを生み出してきた。物販系のECも、リアル店の弱点を解決して伸びてきたわけだ。 ただし、技術進歩はECにのみ恩恵を与えるわけではない。リアルの重さは「人と人」のコミュニケーションに関わる「密度」の濃さに代表されるが、ここに最新の技術を加えれば「重さ」はECにはない長所に早変わりする。 二木ゴルフの大木克也取締役は「体験」「体感」「信頼」がリアル店の強みだとして①商品サンプルの充実、②販売員の体感、③フィッティングの高度化を強化すべきポイントにあげている。 「特に②は、社員が真剣にゴルフと向き合う姿勢が大事です。ゴルファーの気持ちを理解して、どんな小さなサインも見逃さない。このことが本当に大事なんです」 ゴルフサーティの菅野社長も、ゴルフならではの特性をこう語る。 「ゴルフは自分と向き合う時間が長く、だから悩みが深いんです。我々の仕事は一人ひとりの悩みを熟知して、時間を掛けて理解を得る。専門店の役割は、精神科医と同じだと思いますね」 ゑびすやの岩瀬社長もこの点に同調する。 「ECは『物』、リアルは『コト』だと思うんです。当店は顧客の悩みをベースにメニューを開発しており、ECでは対応できないカスタマイズも、その場で調整→作る→合わせる、というプロセスで売場の価値を高めています」 その分、手間は掛かる。経費も掛かる。それでも手を緩めないのは、合理性では価値化できない価値があるからだろう。 球を打って穴に入れるだけの行為に一喜一憂するゴルフは、そもそも合理性に馴染まない。合理ではないから趣味ともいえるわけで、ゴルファーの購入スタイルも理屈一辺倒ではないようだ。 <h2>年間1600万円買う「太い客」</h2> 「10年ほど前、常識では考えられない買い方をする人がいました」 と前置きして、コトブキゴルフの安本社長がこう続ける。 「クラブで1000万円、ウエアで600万円。年間1600万円も買う顧客です。気に入らないと、一度使っただけで他人にあげちゃう。下取りなんかしませんよ。今はそこまでの顧客はいませんが、年間数百万円買う人はそこそこいます」 こういった「太い客」は、店ではなく個々の販売員につく傾向が強いという。つまり専門店の実力は、如何に優秀な販売員を揃えるかにかかっているのだ。 同社の場合、売場は1~4階で、2階がクラブのメインフロア。そのフロア長を務める深町健氏は販売歴25年、5人いるトップセールスの一人である。個人のケータイ番号を交換する「太い客」を100人ほどもち、紹介等で客層を広げている。指名客は約200人で、 「売上的に見た場合、ドライバーを2か月に一度買い替える人が上顧客の目安かもしれません。中には1か月に4回アイアンセットを買い替えた人もいます。 フィッティングは長くて1時間。日頃の雑談で悩みやゴルフへの想いを聞くようにします。『鳥かご』(試打室)に入って試打すると、計測器が様々なデータを出しますが、そのデータを全部参考にすると混乱するので、取捨選択します。 また、データ的には合ったとしても、そのクラブはこの人に合わないと直感的に閃く場合もありますね」 現状「鳥かご」に持ち込むドライバーは一人3本程度で、キャロウェイ、テーラーメイド、ピンの外資系3社が人気。自然、鳥かごに持ち込む試打クラブも3社のモデルが多いわけだが、 「人気モデルを名指しで買いに来ても、それ以外のメーカーのクラブを推奨する場合があります。実際に打ってぼくの推奨品に決まると、販売員冥利に尽きますね」 逆に、丁寧にフィッティングして販売しても、毎週のように買い替える顧客もいる。売上は立つが、プロフィッターとしては辛いところだ。 「売上的にはありがたいのですが、販売員冥利には尽きません(苦笑)。1時間必死に接客して、翌週『ダメだよ』って来られると、悲しくなります」 同氏はイップスに苦しんだ経験があり、ゴルフと真剣に向き合う顧客の気持ちがわかる。単なる販売員ではなく、ゴルファーの気持ちを瞬時に理解できることがトップセールスの要諦だ。 この点を重視するコトブキゴルフは1回につき5000円のプレー補助金を年2回、社員に出す。今後4回に増やす予定で、 「ゴルフ場へ行けばいろんな気づきがある。それを見て感じることが大事なんですよ」(安本社長) 一連の話からキーワードを抽出すると、販売員に必要な能力は「雑談力」「観察力」「共感性」に加えて「直感力」も大事な要件と言えるかもしれない。 今や大半のメーカーがSNSで商品情報の拡散に務めるが、それで認知度が上がったとしても「鳥かごの3本」に選ばれるまでにはハードルがあり、さらに購買決定には販売員の推奨がモノを言う。 販売員の「直感」は経験が瞬時に表れる「感性」であり、多くの顧客と「雑談」を交わした成果でもある。 <h2>「ソムリエ」という販売戦略</h2> ドライバー1本で20万円超の高額クラブを展開するマジェスティゴルフは、販売員の役割を高く評価するメーカーのひとつで、「ソムリエ制度」に注力している。 同社の工場(千葉県松戸市)を視察して学んだ販売員に「ソムリエ」の資格を付与。有資格者は約300名で、ソムリエの在籍店は230店ほどだという。 「その数を無闇に増やすつもりはまったくありません」 と前置きして、西原徹朗社長がソムリエの意義を力説する。 「当社にとってソムリエは、非常に大事な存在です。今年12代目の『プレステジオ』を発売しましたが、ドライバーは約25万円。その価値を正確に伝えるには、伝道師たる理解者が必要なんですよ。 単に金ピカのクラブということではなく、高いにはそれなりの理由がある。そこを丁寧に伝えるのが日々ゴルファーと接するソムリエであり、その存在なくして我々のビジネスは成立しません」 同社の立ち位置は、価格設定や購買年齢から見ても独特だが、それだけにリアル店の付加価値を重視する。ネットでは伝えきれない微妙な機微を、ヒトを介して染み込ませるところに価値を置く。 <h2>フィッティング術は千差万別</h2> 本題に入ろう。ECでは体験できないリアル店のフィッティング術についてである。実は、各店各様の技術があり、プロフィッターとしての矜持もある。以下、各氏の声を列記しよう。 ■ゴルフレンド松戸 大野照男代表 「私はこの道30年以上ですが、その経験からゴルファーの『振り心地』を重視します。ドライバーの場合は様々な仕様を15本用意。1本につき1球打つことを15本繰り返して、それを3セット行います。 合うクラブは3球全部理想の球が出ますが、フィッティングで『1球』にこだわるのは、1本のクラブで連続して打つと10球目に会心の当たりが出ることもある。でも、それはスイングをクラブに合わせた結果であり、勘違いの場合が多いんです。ロフトは0・1度、ライ角は0・25度刻みで調節します」 ■東京リシャフトラボ杉山賢一氏 「私は3年ほどキャディをした経験があるので、沢山のスイングを見てきました。そこで重視するのがフィニッシュの形です。最適な『重量』だとピタリと止まる。フィニッシュの『位置』でフレックスやキックポイントの適合度もわかります。 ただ、以上の2点が最適だとしても、スイングに『よどみ』がある場合はグリップのサイズを確認します。これが合わないと力みが出ますから」 ■ブルーターフ菊地正之店長 「工房歴は10年ですが、私は顧客が過去に経験したスポーツを重視します。野球の打者は飛ぶけれど、インパクトで身体が前に突っ込み気味だからスライス傾向が強い。 また、振りかぶる投手の動作は上半身を捻転するので、インサイドにテイクバックしやすく上達が早い。その投手に近いのがテニス経験者で、剣道経験者はアドレスが美しく、サッカー経験者はほとんどクセがありません」 上記3氏のコメントは、いずれもサワリの部分にすぎない。本当はここから深みに入るのだが、紙幅の都合で割愛する。続けよう。 ■アルペン岡本常務 「試打室に持ち込むクラブは、発売前に分析・テストを終え、どのようなゴルファーに何をどう推奨するかを突き詰めます。さらにお客様の希望を確認した上で、希望するクラブと最適と判断したクラブの両方を持ち込んで比較する。このやり方を原則にしています」 ■リフレックスゴルフ丸山代表 「ウチでは『トラックマン4』など最新の計測器を導入して、試打席のコースボールは月に一度全部入れ替えます。試打クラブは、スイング軌道等によって最適重量がある程度決まるので、合うと思われる試打クラブを打ち、弾道データを確認して、再度推奨クラブを提案するという流れになります。 計測器の進化で様々なデータが採れますが、肝心なのはフィッターが数値を『解読』する力です。個々のゴルファーによって何が大事な指標かをきちんと読み解くことが大事なんです。 近年、ユーチューバーがいろんな説を唱えますが、正しくないことも多いので問題だと思いますね」 ■二木ゴルフ田無店 菅野涼副店長 「メーカーごとに説明や基準がバラバラなので、まずは統一したデータを作成します。その上で、会話の中から使用クラブへの不満や悩みを聞き出して、病院のように処方箋を頭に描く。 試打クラブは『鳥かごの3本』という感じではなく、10本でもそれ以上でも、納得するまでアドバイスを続けます」 <h2>進化するリアル店の可能性</h2> フィッティングに対する考え方は千差万別の印象だが、最適なクラブを導き出すには「人と人」の濃密な時間が必要という点で一致している。つまり、手間を惜しまない姿勢がカギになる。 その上でITの進化を取り入れながら、リアル店自体が進化していく青写真をそれぞれ描く。 アルペンの岡本常務はECとリアルの「シームレス化」を目指しており、アパレルを例にとりながら次のような説明をする。 「品数が多いアパレルは店頭に十分な在庫をもてないので、端サイズや差し込みカラーを店頭で確認、その場で決済。さらに商品はe-comから配送する仕組みが考えられます。 バーチャルフィッティングルームで『仮想試着』をして、気に入った商品を実際に試着して決める流れもあるでしょうね。リアルとITが融合すれば専門店はまだまだ進化します」 むろん、この話はアパレルに限ったものではなく、ギアへの適用も考えられる。店頭に「コト」の要素を持ち込めば、ライフコンサルティングとしての広がりも期待できるだろう。二木ゴルフの大木取締役は、 「ゴルフを生涯スポーツとして続けられるよう、ショップで身体のメンテナンスをすることも視野に入れたいですね」 と語っているが、近年では理学療法士がゴルフ指導の資格を取り、レッスン市場に参入する動きもある。 身体の構造を熟知した理学療法士のレッスン&amp;フィッティングが実現し、これにAIの画像解析が加われば、まったく新しい世界観が表れるかもしれない。専門店の進化は、まだまだノビシロがありそうだ。
    (公開)2022年08月03日
    グローブライドは3月、2年ぶりのフルモデルチェンジとなる『ONOFF LADY』(オノフレディ)を発売した。今作は、クラブ重量を軽量化し、より振りやすさをアップ。レディスゴルファーに飛びの喜びをもたらす女性専用設計のクラブに仕上がっている。 そこでGEWでは、新『オノフレディ』の予約が開始して間もない2月上旬、販売現場で数多くのレディスゴルファーに接する4大ショップの女性店員を総力取材。『オノフレディ』のドライバーを試打してもらい、どんな女性ゴルファーに最適か解説してもらった。 <h2>【動画】4大ショップのカリスマ女性店員が『オノフレディ』を試打&解説</h2> ゴルフ5 プレステージ広尾店の豊田世菜さん、コトブキゴルフ ワールド館の石井美由紀さん、ヴィクトリアゴルフ御茶ノ水店の齊藤綾さん、二木ゴルフ 平塚店の稲井敬子さんの4名による試打インプレッションと解説を動画で。 <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/P8F5kZabknI" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> <h2>ゴルフ5 プレステージ広尾店 豊田世菜さん『オノフレディ』解説</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/03/onoff-lady2.jpg" alt="オノフレディ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-66447" /> 一般的なレディスモデルに比べて、『オノフレディ』はシャフトもしっかり目で、ヘッドも重さがあるので、ヘッドスピードの速い女性でも左へのひっかけやフックにならず、高さも出てキャリーで飛距離を出せます。シャフトフレックスは2種類あり、AとLで10gの差があるので、もちろんヘッドスピードが遅めの女性でもLなら十分振れます。 女性は潜在的にボールをつかまえたいという意識が強いので、逃げ顔のクラブは敬遠される傾向がありますが、『オノフレディ』は適度なフックフェースになっているので、「つかまりやすそうで安心する」という声が多いですね。 また、くすんだ打音のドライバーが増えている中、高くて良い音がするんですね。実は女性にとって音は重要で、音で飛んだ感覚を感じやすい傾向があるので、打音も女性好みに仕上がっていると思います。性能面は、フェースのたわみが大きくなっているのでミスヒットにも強いです。 それと、シャフトとグリップのカラーを無料で選べるのは良いですね。過去モデルでも購入した方の半分以上はカスタムしています。女性はやはりオシャレにもこだわりたいので。 <h2>コトブキゴルフ ワールド館 石井美由紀さん『オノフレディ』解説</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/03/onoff-lady4.jpg" alt="オノフレディ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-66449" /> シャフトのフレックスが2種類ありますが、Aは長めなので、背の高い方やヘッドスピードの速い方に、Lは軽いクラブを探している方に最適です。ヘッドが効いている分、重さとシャフトのしなりを活かして楽に振れるので、逆に疲れないんですね。 今回はウエッジがセットになっておらず、2種類から選べるようになっている点は女性ゴルファー目線ですごく良いですね! 個人的には『フロッグス リープ』ウエッジは売れると思います。ソールの広いウエッジはネット通販モデルに多くて、実は探している女性は多いんですよ。それが『オノフ』のようなしっかりしたブランドから出るのはとても助かります。 ヘッドも大きくて安心感がありますし、女性はフェースを開いて打てる方は少ないので、上げて下ろすだけでバンカーからも出やすいお助けウエッジとして沢山売れそう。こういうの待ってたんだよ! という感じです。 <h2>ヴィクトリアゴルフ御茶ノ水店 齊藤綾さん『オノフレディ』解説</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/03/onoff-lady3.jpg" alt="オノフレディ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-66448" /> 『オノフレディ』はヘッドに重さを効かせているので、何かスポーツをやっていた女性や、コロナを機にゴルフを再開して昔の重いクラブを振り慣れていた女性は、重さを活かして飛距離や初速を出すことができるので、最適なクラブだと言えます。 今回は前作より若干重量を軽くしつつもバランスは同じなので、同じ力で打った時にパワーが伝わりやすいと思います。 それと特筆すべきはシャフトです。軟らかいだけのシャフトだとトップでしなってしまうので、ダウンスイングでシャフトが戻らないんです。ところが『オノフレディ』のシャフトはしなり戻りがあって、走り感とつかまり感がある。さすが釣り具メーカーという感じです。 特にアイアンに言えることですが、弾くような音だけど、しっかり当たった時は吸い付く打感を感じられます。これって実はとても重要なことで、音だけで誤魔化さずに、感触でスイングの良し悪しが分かるクラブというのは上達の近道になるんです。 <h2>二木ゴルフ 平塚店 稲井敬子さん『オノフレディ』解説</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/03/onofflady5.jpg" alt="オノフレディ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-66450" /> 『オノフレディ』の良い所は、大きくデザインが変わっていない所です。世界観をしっかり持っていて、流行りすたりに流されない。歴代モデルを通してデザインに統一感があるので、『オノフレディ』ユーザーが1本だけ買い替えるということが違和感なくできます。女性はクラブの買い替えサイクルが長いのでこれは女性にとっては嬉しいです。 シャフトはそれぞれに特性があって、ゆったり振る方にはLシャフト、力があってしっかり振れる方にはAシャフトがお勧めです。さらに物足りない方には『オノフ赤』のR2シャフトを勧めるという方法もあるので、お客様に合わせてバリエーションを作りやすいんです。 それと、今回はサンドウエッジが最初からセット組みされていないのは選ぶ幅が広がるので、良いですね。 新しく出た『フロッグス リープ』ウエッジは言い訳ができないくらい打ちやすい。58度を軸に追加で持ってもいいですし、グリーン周りでフルショットする方にはAWもいけそうです。
    (公開)2021年03月30日
    「ゴルフクラブの定価はあってないようなもの」 そんな時代が長らく続いた。ニューモデルの値段が発売直後に4割引き。ゴルファーにとっては嬉しい半面、「定価ってなに?」との疑念を抱かせた。 激安のきっかけは2008年9月のリーマンショックと2011年3月の東日本大震災だ。ふたつの大きな出来事により新商品は市場にだぶつき、「処分セール」が常態化していった。 ところが今年、その流れが止まりつつある。専門量販店のゴルフ5を展開するアルペンによれば、 「以前の最大45%引きが、今年は20%引きに止まっています」 ゴルファーにとっては残念なことだが、業界にしてみれば「適正価格販売」の実現は積年の課題。それがようやく定着の兆しを見せたことに、市場関係者は安堵の表情を浮かべている。 今春、コロナ禍により中国の生産工場が操業停止、それで供給本数が減ったなどが一因とされるが、コトはそう単純ではなさそうだ。安売り競争鎮静化の背景を追ってみた。 輸入クラブが激減している <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/038-039_3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-65175" /> 月刊ゴルフ用品界12月号 最新の輸出入統計(財務省)によると、今年9月までの輸入クラブは累計で231万778本となり、前年同期比21・1%減だった。 コロナ禍で中国の製造工場が止まった春先は、ほぼ日本に入ってこない状況が続き、この夏頃は人気商品の欠品が店頭で相次いだ。 当たり前だが、実売価格は需要と供給のバランスで決まる。物がなければ安売りをする必要がないわけで、激安ネット販敗の動きも鈍る。二木ゴルフの北條圭一取締役は、 「直近の平均値引率は店頭上代の1割引きから、さらに12%引きにとどまっています。当社の場合、クラブの販売構成比は全体の5割を占めますので、利益率の向上が期待できる」 コトブキゴルフ(都内御徒町)の安本昌煥社長も、 「現状、過去の激しい値引競争は止まっています。というか売れ筋は総じて欠品ですよ。今年は春先から品薄で、夏に物不足が本格化しましたが、その状況は今も続いてます」 また、アルペン商品本部の岡本眞一郎副本部長は、 「ニューモデルの割引率は確実に改善してますね。これまでは『ミズノプロ』の一部などを除き25~45%オフでしたが、最近は10~20%オフとかなり良くなっています」 同様のコメントはまだまだ続く。つるやゴルフ広報宣伝課の木下信一朗主任は、ゴルフの「3密回避」効果により、初心者セットの売れ行きが倍増していると前置きして、 「従来の平均割引率は35%前後でしたが、今年は25~30%引きに落ち着いており、5~10ポイント(p)の改善です」 この話はニューモデルを扱うショップばかりではない。中古チェーンのゴルフ・ドゥは新製品も扱っているが、この部門に限った当期の販売見込みを本数で76・4%、金額で70・0%と苦戦を予想しつつ、その反面、 「割引率については改善傾向が見られるんです。過去3年は28・8%でしたが、今年は1・8P改善して27・0%になりそうです」 このように、各所で安売りの緩和が具体的に聞かれるのだ。 目立つのはアルペンの改善率で、最大値引の45%が20%に落ち着くなど、15~25Pの好転を見せる。この点について岡本副本部長は、 「当社はフィッティングに関わる設備、社員教育、時間の掛け方を含めて注力してますが、市場自体もそれを求める動きが強まっています」 二木ゴルフでは以前、そもそも割引きが少ないミズノと、大手外資メーカーとの間には14%の粗利差があったというが、全体的に値引差が縮小して、安定した商いになっている。 <h2>リーマンと大震災</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/2009_0131.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-65176" /> 2009年PGAショー 振り返れば、輸入クラブのピークは1990年(1139万7114本)で、その前年と合わせ2年連続1000万本の大台を突破した。以後、バブル景気の破綻に伴い輸入本数は右肩下がりで、昨年は371万4210本まで縮小している。 この間、大きなエポックがふたつあった。2008年9月のリーマンショックと2011年3月の東日本大震災だ。本誌はリーマンショックの翌年1月、世界最大のゴルフ見本市である米PGAショーを取材しているが、当地の関係者は一様に、 「今年(2009年)はまったくビジネスにならない」 と諦め顔で、会場は閑古鳥が鳴いていた。 その反動で、多くの米国メーカーは新製品の捌け口を日本市場に求めて雪崩れ込む。グローブライドの大澤登課長(ゴルフ営業部)は、 「あれが非常に大きかった」 と述懐する。 「この市場は長らく大量生産・消費が常態化していました。発売間もなく5割引きなんてこともあり、ゴルファーの信頼を失ったのです。そこにリーマンショックが追い打ちをかけた。 膨大な在庫処分で価格が崩壊しましたが、これを機に当社は真剣に方策を考えましてね、5年ほど前『正価販売』に踏み切ったのです」 そのリーマンショックの2年半後に大震災が発生し、市場はさらに冷え込んでいく。ゴルフなんかしてる場合じゃない、という空気が蔓延し、大量に投入された春のニューモデルは停滞した。 大澤課長が指摘する旧来の市場構造は、ダブルパンチで完全に崩壊した。発売されたドライバーがいきなり「4~5割引き」で、新商品としての寿命も「3か月」という異常事態に発展。 加えて、ECサイトがあぶれた商品をかき集めて、人気商品を破格値で狙い撃ちするなど、「定価」はいつしか「割引率」の根拠を示す記号となった。 その流れが一応、止まったことで、前記各社のコメントは一様に喜色を帯びるのである。 値引競争が鎮静化した一因について「供給本数の減少」を挙げるムキは多いが、それを端的に表すのが今年8月の輸入量(24万2040本)だ。前年同月比で53・4%減と「半減」まで落ち込んだ。 コロナ禍に揺れた春先ではなく、生産拠点の中国が再稼働に踏み切っていた時期だけに、半減のインパクトは大きかった。 が、この点について二木ゴルフの北條取締役は、 「8月の半減だけを見て、騒ぐ必要はないと思いますよ」 と前置きし、こう続ける。 「去年の9月は消費増税の駆け込み需要が期待されて、各メーカーともこれに合わせて商品を投入しています。その入荷が8月だから、むしろ去年8月の輸入量が突出している。今年とは単純に比較できません」 つまり「8月半減」を真に受けると、正確な動きを見誤るとの指摘である。 <h2>「限定商品」の抑制効果</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/IMG_5439.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-65189" /> 「売価を決める最大の要因は需給バランスです。商品が足りなければ値引きは止まる。当たり前の話ですよ」 コトブキゴルフの安本社長はそう話して、だけど、と自らの言葉をこうつなぐ。 「その原因が大事です。コロナの『3密回避』で日本のゴルフ場は好調ですが、それは世界的に同じことで、アメリカのゴルフ場は40年ぶりの好況です。 プレー需要に引っ張られてクラブ需要も旺盛ですが、それで日本に回る分が足りなくなった。タイトリストの『TSi』などは、その典型だと思いますね」 同氏の指摘は、日本市場だけを注視すると、全体の動きを見誤るとの警句だろう。一言で供給量の減少といっても、背景には複数の事情が絡み合う。 市中在庫の減少以外にも、値引抑制の理由はありそうだ。アルペンの岡本副本部長は、 「まず、フィッティングに焦点を当てたセレクトストアの専用商品が増えています。当社の場合は、これに引っ張られる形で通常商品の値引きが減少したんですね。 さらに商品サイクルが1年から2年に長期化して、エクステンション(拡販)モデルも減りました」 このコメントには多少、注釈が必要だろう。 同氏が言う「セレクトストア専用商品」は、カスタム路線を重視する系列のプレステージ店専用モデルのこと。大量販売で市場シェアを高めたゴルフ5は近年、大量消費の限界を見て、一部でカスタム・フィッティング専門の「プレステージ」を立ち上げた。 ここに供給する代表例がミズノのウエッジ『ザ・クラフト』であり、ブリヂストンスポーツなど他社も追随した。その後、プレステージ店専用モデルはゴルフ5全店に波及したという経緯がある。 専用モデルは他店との値引競争が発生しない。これにフィッティング重視のトレンドが加わって、社内的に「適正価格」での販売が浸透していった。そんな流れがイメージできる。 <h2>地域専門店も売価安定</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/2020120402.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-65193" /> 大手チェーンが値引圧力を弱めた影響は大きい。その周辺に点在する小資本の専門店が落ち着いた商売をできるからだ。SKゴルフショップ(栃木県)の鈴木康友氏がこう話す。 「当店は地クラブ中心で、有名メーカーの扱いはタイトリスト、テーラーメイド、ダンロップですが、大手量販の値引きが弱まったことは好感できます。 顧客から量販店と同じ割引率を求められるのは本当にキツイ。今は2割ほどに落ち着きました。ただ、顧客に聞いたところ、周辺の量販店は2割引きにポイント15%還元が加わるという話なので、割引率が減ったのはポイントへの移行もあるんでしょう」 ポイント還元と割引率の関係については後述するが、つるやゴルフもポイントに注力しており、前出の木下主任は、 「割引率を抑える分、ポイント還元でリピートする仕組みに注力しています。当社オリジナルのポイントはありませんが、数年前から楽天ポイント、昨年からdポイントの還元を始めました。 楽天は10倍還元で、通常の1%還元を10%にできるから顧客メリットは大きいんです。その分、楽天への手数料は増えますが、ユーザー・ファーストを重視した結果です」 それはともかく、SKゴルフと同じく地クラブ中心に展開するオキコバランス(広島県)の沖健一郎代表も、大手量販の値引圧力が弱まったと見る。 「当店は地クラブ工房なので大手製品の具体的なデータはありませんが、肌感覚では実感できます。かつて3~4割引きだった大手メーカーの値段は、2割引き程度に落ち着いた印象ですね。 値段で呼んだ客は値段で逃げることに、ようやく気づいたのでしょう。ウチの工房はスタッフの技術力と発信力を重視しますが、先頃、プロを目指す女性を採用するなど、スタッフのファンづくりに励んでいます」 商品の値引率で客を呼ぶのではなく、販売員の魅力で顧客を増やすという考えだ。 顧客にカスタム・クラブを販売する地クラブ工房は、そもそも大手メーカーの値段競争に巻き込まれにくい。自然、値引き目当ての客が減り、販売員の技術と人柄が「経営資源」となる。 「機能商品」であるゴルフクラブの販売方法としては原点回帰といえ、逆に、このような販売スタイルが大手チェーンにも拡大中。 二木ゴルフは計測器『ディテクト』の導入を新たに決め、半年後を目途に全店配備を終える予定だが、同様の動きは他店にも散見される。 フィッティングの接客時間は30分から長くて1時間はかかる。 以前は専門店の無料フィッティングで最適なスペックを確認し、実際の購入は激安ネットというのが泣き所だったが、一部ではフィッティングの有料化が浸透、その店で買えば無料になるという特典と、品不足でネットの在庫量が減ったこともあり、成約率が高まっている。 <h2>メーカーの自社ウェブ強化</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/thumb_IMG_2267_1024.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-65191" /> 「メーカーがオンラインショップの限定品や、マークダウン品を自社ウェブで販売するなど、以前には見られない動きが目立ちますが、この点も値下圧力が弱まった一因だと思います」(ゴルフ・ドゥ千葉氏) この指摘も興味深い。 周知のようにマークダウンは、新旧商品の入れ替え時期に行われ、代表的なのが住友ゴム工業の『ゼクシオ』だ。 夏頃を境に旧商品の一掃が始まり、年末のニューモデル投入に備えるが、これは小売店にしてみれば臨時賞与の趣がある。瞬時にキャッシュを稼げるため、人気商品であればあるほどマークダウン品の「配給」が待ち遠しい。 が、一方では弊害もある。前作が人気モデルの場合、新商品需要の「先食い」現象が起きるからだ。そのため、メーカーはこれを自社ウェブに集約する動きを強めており、千葉氏はその点を指摘している。 このことは「処分セール」の話にとどまらない。前出の安本社長は、 「メーカーはいずれ、自社ECでの販売に本腰を入れるはず。すでにそのような動きは散見され、我々小売りは対抗策を講じる必要があります」 と語気を強める。 その動きは表層的に、SNSを活用した消費者の囲い込みが目立つのだが、キャロウェイはすでに自社中古品の下取りを自社ウェブに組み込んでおり、テーラーメイドはカスタム・フィッティングへの注力で特約店に専用商品を供給するほか、自社ECの強化を志向する。 こういった意識はプロギアも同様で、他の国内メーカーも様子を伺いながら追随の時機を探っている。メーカーと小売店はビジネスパートナーである半面、水面下では激しい駆け引きが行われるのだ。 軍配はどちらに挙がるのだろう? 両者の力関係について二木ゴルフの北條取締役は、 「どう考えても小売りのほうが強いと思いますよ。我々は、メーカーにとって客ですから」 と自信を見せる。一義的には「買手」と「売手」の関係を指しての言葉だが、フィッティング販売が介在する現代では、小売店の販売技術がモノを言う。その強みを言外に込めてのコメントだろう。 <h2>NBの地クラブ参入</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/2020120401-1.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-65194" /> 近年、地クラブが再注目されているが、それは一連の話と無縁ではない。 今年20年目に突入したグローブライドの『オノフ』は先述の「正価販売」に踏み切ったが、これは同時に供給店舗の減少を覚悟する必要があった。 多くの地クラブメーカーは供給先の工房200店舗を上限とするケースが多いが、『オノフ』はナショナルブランド(NB)でありながら、これより一回り多い流通規模に落ち着いている。 つまり、量を求めない地クラブの世界観にNBが近づく傾向で、NBの「地クラブ化」といえるかもしれない。 典型的な例にキャスコとトキタ・acのアクションがある。いずれも今秋、地クラブ市場への参入を表明した。 前者はキャスコの社名を表に出さず『バティックゴルフ』を、後者はSPA(製造直販)で大量廉価販売のアメリカン俱楽部を縮小して、ヘッド単価6万8000円の『巧匠』(こうしょう)を投入するもの。 供給先の工房は上限200店舗を計画し、「量より利益」への転換を図っているが、外資大手のテーラーメイドも同様の動きを強めており、マーク・シェルドン‐アレン社長はこう宣言している。 「これから当社はカスタマイズに注力し、この分野で世界一を目指します」 同社はかつて、シェア至上主義ともいえる物量戦で市場占有率を高めたが、過剰在庫に苦しみ一転、一人ひとりのゴルファーに手間を惜しまず向き合う方針に舵を切った。 素材開発やAI解析など、様々な技術進化がありながら、ゴルファーに向き合う姿勢は原点回帰。同一仕様の大量販売は、一定の役割を終えたといえる。 地クラブの『Aデザインゴルフ』で販売代理店を務めるテイクスインクの田辺寿明セールスマネージャーは、 「当初は200店舗の工房と取引していましたが、その後、取引先は自然に絞られました」 として、地クラブ市場の現状を次のように話す。 「それでも売上は横這いなんですよ。一時のブームで取引メーカーを広げた工房が、値段競争を嫌気して数を減らした結果です。工房側がメーカー数を絞り込んだことで、安売りは減ったと思います」 実は「地クラブメーカー」の定義は曖昧で、本来は地ビールなど「地産地消」をイメージした呼称だが、地クラブ市場拡大の機運も手伝って、カスタム・ブランドの色合いを帯びる。 基本的にはヘッド単品を工房に卸し、年商は「片手の億」で大きい方。小資本であり、財政基盤は脆弱だ。 以上の要素を前提とすれば、兵庫県の三浦技研は地クラブの範疇に収まらない。というイメージで、国内には50社ほどの地クラブメーカーが群雄割拠すると見られている。 <h2>地クラブの値上がりと危惧</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/2020120403.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-65195" /> その地クラブ市場で、ウッドクラブが値上がりしているという。『ラズルダズル』を展開するアザスゴルフの阿部歩エグゼクティブプロデューサーによれば、値上がりは生産拠点の事情が大きいという。 「当社はウッドを展開してませんが、調べたところ、いくつかの要因がわかりました。まずは中国の人件費高騰で、製造原価が10年前の1・5倍になったこと。もうひとつはロットの事情です。 10年前の最少ロットは300個以上、それが今は100個、場合によっては50個でも受ける工場があるそうです」 俄かには信じられない数量であり、製造原価で多くを占める金型の管理も気になるが、最少ロット50個は、地クラブの群雄を支える背景となる。同氏はさらにこう続ける。 「ロットが少なければ製造原価は上がりますが、連動して卸価格と店頭価格も上昇する。仕入原価が上がれば工房の利益は減りますから、安売りの工房が減ってきた。地クラブの値上がりには、そんな背景もあるんです」 高価格で値崩れしない、技術と信頼を備える工房にはコアゴルファーが集積する。そんな印象から地クラブ市場へ参入するNBが増えているが、別の側面を見る必要があるのかもしれない。 ただし、地クラブの将来を不安視する声もある。本来は個性的な商品開発で少数のターゲットを狙う地クラブが、一連のブームで量を狙い始め、結果、無個性化しつつあるとの指摘だ。クラブコーディネーターの鹿又芳典氏は、 「たとえば飛び系アイアンです。本来は地クラブメーカーが率先すべき分野ですが、大手メーカーが先鞭をつけてスタンダードになった。キワモノがキワモノでなくなったのです。 地クラブメーカーはこのことを真剣に考える必要がありますよ。10人に1人で十分という覚悟がないと、キャスコなど開発力のあるメーカーが参入する中で、負けてしまう可能性がある」 NBの「地クラブ化」、地クラブの「NB化」という両極からの歩み寄りが、次のステージで始まりつつあるようだ。 以上、コロナに端を発した売価適正の動きを駆け足で見てきた。取材する前は、コロナ禍→供給量の減少→安売りの鎮静化という三段論法を予想したが、コトはそれほど単純ではなさそうだ。 販売技術を高める小売店と、ユーザーへの直接的な影響力を強めたいメーカーとの水面下の鍔迫り合いも見えてきた。 その渦中で、俄かに存在感を高める「地クラブ流」の在り方も、少量・高付加価値の雛型として注目を浴びている。 二木ゴルフの北條取締役は、今後の専門店の姿をこう話す。 「今、改めて思うのは、これまで無駄な値引きをしてたんじゃないかということです。初心者モデルなどは1割ちょっとの値引きで買ってくれますから。 小売店の進化形を想像すると、試打在庫+フィッティングの方向が考えられます。当社は現状、地クラブをほとんど扱っていませんが、今後は二木の『地クラブ専門店』もまったくNOではありません」 大量に仕入れて大量に売る。そんな時代は終焉を迎えたということだろう。
    (公開)2020年12月04日
    <iframe src="https://www.youtube.com/embed/yQos3jB3jPU" width="788" height="433" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe> 「ここ数年、米国を中心とした外資メーカーのユニークな技術力が存在感を高めています。我々も真剣に商品開発を行っていますが、それが『進化』にとどまって、『先行技術』の創出ができなかった。そのような危機感を持っていたのです」 ヤマハゴルフHS事業推進部の吉田信樹部長が、透明マスク越しに語気を強めたのには理由がある。同社は今年5月、ゴルフクラブ開発のための新施設「ゴルフR&amp;Dセンター」(1444㎡)を天竜工場内(静岡県浜松市)に開設した。ここには試作室、屋内テストレンジ、実打音録音スペース、耐久試験室、精密測定室などの充実した設備に、これまで分散していた開発技術者や契約プロサポートチームを一挙に集約。「独自技術に磨きをかけた製品開発を通じ、喜びや感動を提供する」がコンセプトだ。 吉田部長がこれまでの経緯を説明する。 「R&amp;Dセンターは昨年7月の着工で、今年4月に竣工しました。ちょうど5か月が過ぎたところです。今後はここで機能的な研究から、製品開発に落とし込むことを強化します。スピード感、開発サイクルを高めないとダメだと考えています」 <img class="alignnone size-full wp-image-64256" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/201008_yamaha1.jpg" alt="ヤマハ R&amp;Dセンター" width="788" height="525" /> <h2>開発陣の士気が高揚新技術開発にも注力</h2> 働き方はどう変わったのか? 素材などの先行開発と商品開発チームを統括する角田幸介リーダーは、 「まず、開発スタッフのモチベーションが全然違います」 と前置きしてこう続けた。 「以前は施設がバラバラで、テストフィールド、倉庫、事務所の往来に5~10分かかっていましたが、新施設ができてからはサっという感じで、クラブをちょっと曲げたり、調整してもすぐ打てるようになりました。 やはり屋内テストフィールドの存在が大きいですね。打席からネットまで30ヤード以上で、高さも10ヤード以上という条件で設計したので、球が曲がりだすところまで目視できる。今まではフィールドか鳥カゴで天候にも左右されましたから」 同氏の入社は2006年。以来、開発畑ひと筋で、新しい商品にフォーカスすると、時間的な制約の中で、限界を感じたが、 「それと同時並行で新技術を開発しないと、革新的なクラブは作れません。その意味でスピーディな環境が整った」 ここには開発と選手対策チームの総勢20名が揃う。以前は同じ敷地内でも建屋が別々で、「意思の疎通がとりづらい、なんてことはしょっちゅう。それが、やっと解消されました」 と安堵の溜息をつく。 <img class="alignnone size-full wp-image-64260" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/201008_yamaha4.jpg" alt="センター内風景" width="788" height="525" /> <h2>自分たちがやりたいことをすぐカタチにできる</h2> ヤマハがゴルフに参入してから38年――。「やっと」という言葉に万感を込めた。 「自分たちで全部出来ることが目的ではなく、自分たちがやりたいことを『すぐカタチにできる』のが一番の目的です。モノ創りの発想やアイデアは、情熱的なことも含め、止めずにすぐ次のステップに進めることが非常に大事。迷いが生じたり、停滞すると、熱も冷めますから」 クラブ開発には様々な先進技術が導入されるが、基本は開発陣の熱量で、ヒトの想いを高次元に維持することも重視された。 <img class="alignnone size-full wp-image-64259" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/201008_yamaha3.jpg" alt="センター内風景" width="788" height="525" /> <h2>R&amp;Dセンター設立で役員へ決死のプレゼン</h2> ヤマハのゴルフ事業は、ピアノ、発動機などに比べると売上構成比は小さい。にも関わらずR&amp;Dセンターへの投資を引き出すには、経営陣に「本質的価値」を伝えることが不可欠だった。吉田部長が了承を得るのに半年かかったと振り返る。 「経営会議がありましてね。役員室の長机がずらっ並び、その端に立って、3回に分けたプレゼンを行いました。設立の意図や効果をしっかり伝えましたが、実は我々の売上よりも、国内のゴルフビジネスをどうしたいのか、存在感を示すための方策が求められました」 <img class="alignnone size-full wp-image-64258" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/201008_yamaha5.jpg" alt="ヤマハ 吉田事業部長" width="788" height="525" /> <h2>R&amp;Dセンターの存在価値とヤマハゴルフの未来</h2> 総工費は非公開だが、ゴルフ事業の規模感に照らせば、 「かなり大きな投資です。ただし、このセンターはひとつの手段にすぎません。ここを活用するスタッフがどれだけ成果を出せるのかが本質的な部分になる。中期的には日本市場で存在感を示すこと。上位メーカーと互角に戦えるポジションを目指します。ヤマハのゴルフ製品が、憧れのブランドになることが長期的な目標です」 実際、ヤマハを含む国内メーカーは外資大手の後塵を拝している。コトブキゴルフの安本社長は同社について、 「ポリシーが見えない」 と辛辣だが、その一方で吉田部長は長テーブルの端に立ち、大型投資への予算交渉に懸命だった。 その成果が試されるのが10月16日発売の三代目『インプレスUD+2』になる。竣工から僅か半年で施設の優位性を投影するのは酷な話だが、新施設の立ち上げと同時にロケットスタートを切りたいところ。角田リーダーが言葉を強めていう。 「他社メーカーを含めて国産ブランドが頑張っていかないとダメですよ! その意味でも『UD+2』が勢いをつけたいんです。これをやられちゃったら全部外ブラにやられちゃう」 三代目に賭ける意気込みはハンパじゃない。従来の飛びと超真っすぐ」の両立がキーワード。レディスモデルも専用設計を施している。国産ブランド復権が試される。 <img class="alignnone size-full wp-image-64257" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/201008_yamaha6.jpg" alt="inpres UD+2" width="788" height="525" />
    (公開)2020年10月09日
    今年3月、JR御徒町駅前に3店舗を運営していたコトブキゴルフはバーディ館と北口店の2店舗を閉鎖、ワールド館に集中して専門店の新たな可能性を模索する。 実はこのワールド館、バブル時代には単独で年商30億円を記録して、「単店世界一」の売上を記録している。今年創業54年。旗艦店への一極集中を決断し、そしてコロナ禍に見舞われた。 「変化がおそろしく速い時代にあって、ヘタをすれば我々小売りはいらなくなる」――。 ECの伸長や、メーカーの直販体制が進む中、安本昌煥社長は口元を引き締める。世界一のゴルフショップだった同社は今後、どのような青写真を描くのか? (聞き手・GEW片山哲郎) 初心者セットが2倍売れた <strong>この夏、ゴルフ市場は総じて回復基調ですが、「コロナ特需」の面が強いですね。そこでまず、ここまでの商況を振り返ってください。</strong> 「わかりました。まあ、1~2月はコロナの影響が少なくて、昨対をクリアしていますが、ウチには特殊事情がありましてね、3月末にバーディ館と北口店を閉めたじゃないですか。 それで3月は閉店前の在庫削減とコロナのダブルパンチで厳しくなって、4月にコロナの本格化でさらに暗転した。2月頃は春節で中国人のインバウンド需要も多かったけど、4月の売上は6掛けで、5月は半減。この頃が本当に厳しかったですね」 <strong>で、緊急事態宣言の解除を受けた6月から上向いてくる。</strong> 「はい。5月26日の解除後に客足が徐々に戻りますが、解除後も感染者数は一進一退を続けました。増えると高齢者の来店が極端に落ちる、減ると増えるという繰り返しで、」 <strong>高齢者は重症化率が高いから怯えるのも当然でしょう。ところで、安本さんはいくつになりました?</strong> 「十年(とおねん)取って57です」 <strong>67歳ですか。コロナになったらヤバいですね。</strong> 「だから健康に気をつけて、今朝も6時からスポーツジムで走りましたよ。余命はあと33年しかありませんから(笑)」 <strong>百まで生きる?</strong> 「そのつもりです。いずれにせよ、感染者の増減で高齢者の需要が凹んだ分を若者需要が埋めてる感じもあるんですよ。 実は、初心者セットの売上は数量ベースで2倍を記録するなど、絶好調でしてね。これはコロナでゴルフが見直された結果だと思いますが、売価はキャディバッグ付きのフルセットで7万~8万円が中心です」 <strong>初心者セットの売れ筋はどれですか。</strong> 「まずキャロウェイの『ウォーバード』が好調で、BSの『ツアーステージ』も人気ですが、それ以上に注目すべきはレディスクラブなんですよ。もの凄い勢いで売れていて、こちらも倍増の実績です。 強いのはやっぱり『ゼクシオ』で、キャロウェイの『ソレイル』にBSも健闘してますが、『オリマー』もそこそこ頑張ってます。 『ゼクシオ』はメンズも健闘してますが、レディスは圧勝状態で、前作の『テン』に比べると遜色はあるけど勢いは続いてます。 ウチの場合はフルセットで『ゼクシオ』を買うとキャディバッグをサービスしてるんですよ。それで過度な値引きをしなくても、フルセットの購入者が非常に多い。実売30万円を超える商品だから、売場にとってはありがたいですね」 <strong>値引率は商品によってマチマチでしょうが、押し並べて御社の値引率は何割ですか。</strong> 「まあ、他店並ですよ(笑)」 <strong>2割5分引いてポイント還元を1割つけるとか?</strong> 「そこまではいきません。ウチのポイントは7%だから」 <strong>すると全体的には3割引が目安ですか。</strong> 「そのあたりはご想像に任せますが、競合他店の売価をマメにチェックして思うのは、最近はみなさん、意外と値引き幅が少なくなっていて、店頭では以前の価格競争が影をひそめた感じですね。 お客さんはいろんな店をまわるじゃないですか。それでウチの店員が他店の値引情報を聞くとですね、値引率はかなり少ないんです」 <h2>夏は売れ筋商品が店頭から消えた</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/yasumoto2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-63829" /> <strong>売価の安定はいいことですね。ゴルフクラブは一時、発売と同時に3割引、その後4割引とか荒れ放題だった。</strong> 「そうですねえ」 <strong>二木ゴルフは本社ビルを売却しましたが、金融機関から適正利益への要望があったかもしれないし、アルペンも経営層の減俸に踏み切った。ゴルフショップは以前の売上拡大主義から利益主義に転換している。</strong> 「でもねえ、そうするとお客さんはネットに行くよ。あっちは今も荒れ放題だから。まあ、それに負けないための付加価値をリアル店は実現する必要があって、ウチはネットに対抗する値段が出せないから、ほかのメーカーとの交換キャンペーンなど知恵を絞ってやっています。 これは過去十数年の課題ですが、ネット価格に負けないリアルの在り方は常に模索するところですね。それで当社ではゴルフゾンの計測器『GDR』を複数台設置して、フィッティングに注力してるんですよ。 土日は試打で3組ほど待ちが出る人気ぶりで、データ解析によるフィッティングは非常に好評です。おかげで成約率もかなり上がりました」 <strong>成約率は何割ですか。</strong> 「もちろん100%まではいかないけど、8割にはなりますね」 <strong>それは凄い。以前は「一生懸命接客しても、客は聞くだけ聞いて安いネットで買ってしまう」と憤慨してましたが、状況が一変したわけですか。</strong> 「う~ん、変わったというか、相変わらずECの売価は荒れてますからねえ。ただ、フィッティングによる成約率の向上は、評価すべき点だと思っています。 それは外ブラも同様で、外資4社(テーラーメイド、キャロウェイ、ピン、アクシネット)も成約率が高いんですよ。先ほど6月までの商況を話しましたが、夏場はピンの売上が目立っています」 <strong>『410』のクローズですね。</strong> 「そう。『410』のクローズアウトで、夏商戦はピンの売上が外ブラ全体の4~5割を占めました。それで商品が店頭から消えちゃったわけですが、それだけじゃなくて『SIM MAX』や『マーベリック』も売れ筋は店頭にまったくない。お盆明けの売場は売る物がなくて困りました(笑)」 <strong>欠品で困ったという話は、近年はあまり聞きませんが、コロナの影響も大きいでしょう。値引幅が少なくなったのもそうですが、コロナで生産量が減った分、市場全体が生産調整したのと同じになった。</strong> 「それもかなり大きいですね」 <strong>で、夏場は欠品で商売にならなかった?</strong> 「それがですねえ、在庫が底をついたと思ったら、8月に出たプロギアの『RS5』が絶好調なんですよ。全体的に物がないから、売場としては出たばかりのプロギアを薦めましたが、試打で『GDR』の計測値を見ると非常にいいんです。 今回の『RS5』は物がいいし、実際に打てば外ブラに負けてない。そのことを証明しましたよね。だって、毎日アイアンセットとウッド2~3本が必ず売れるんだから。たった1店舗で毎日売れるって凄いですよ。 なのでプロギアの責任者には『今度のRSは大事に売りましょうよ』って話しました。まあ、これには裏があって、オフレコだから後で話しますが、とにかく『RS5』は好調です」 <h2>国内大手の弱点は社長交代の早さ</h2> <strong>このところピンは絶好調ですが、その要因をどう見ます?</strong> 「まあ、渋野が出たり、若手の女子プロを粘り強くサポートしたこともありますが、価格的な優位性も見逃せません。ピンのウッドは実売価格が3万円台半ばだから、特に国内他社と比べて価格競争力があるんですよ。 でね、これは企業のポテンシャルの話ですが、たとえばヨネックスはジュニアへの投資がもの凄いじゃないですか。でも、」 <strong>育つと外資系を含む他社に取られてしまう。</strong> 「それをヨネックスの米山会長は『仕方ない面もある』と達観した感じもあるんですが、つまり嘆いても仕方ないと思うんですね」 <strong>仕方ない?</strong> 「はい。だって外資企業は世界のマーケットをカバーしているけど、日本のメーカーは国内と東南アジアの一部でしょ。外ブラが1モデル10万本作ったとして、日本は1万本にも満たないから、スケールがあまりにも違いすぎる。 大量生産によるコスト格差は歴然とあるし、R&Dへの投資もハンパじゃない。このあたりは『SIM』と『マーベリック』を見ればわかりますよ」 <strong>国内メーカーは開発面でも劣勢だと?</strong> 「ところがですよ、国内メーカーの話を深く聞くと、彼らも凄い開発をやっている」 <strong>どっちですか?</strong> 「ねえ(笑)。要するにね、日本のメーカーも素晴らしい開発をしているけど、美味しいところは全部外ブラに取られちゃう、という話です。 プロギアは前作のカチャカチャでネック部分を2軸でやったし、ヘッドの異素材ハイブリッドはBSが先鞭をつけている。昔も今も、日本メーカーの技術は凄いんですよ」 <strong>国内メーカーはトーナメントを開催したり、市場育成に多大な投資をしてますが、美味しいところは外資に刈り取られると。それは「仕方ない」わけですね。</strong> 「仕方ないというか、構造的に太刀打ちできません」 <strong>「構造」というのはスケールの話?</strong> 「それも当然あるけれど、たとえばピンは過去十数年、若手の女子プロをサポートして、それが2~3年前から開花している。つまり軸がブレないわけですよ。 一方、日本の大手メーカーを見ると親会社からゴルフ事業の社長に下りて2~3年、腰掛的にやるだけじゃないですか。少なくとも5年や10年やらないと長期的な戦略は描けないし、そういった構造がある限り、ぼくは難しいと思ってますよ。 国内の大手は総じて同じで、ヤマハもポリシーが見えなくなった」 <strong>具体的には?</strong> 「飛び系アイアンのハシリとして『UD+2』が出たじゃないですか。あれは画期的な製品だし、非常にヤマハらしかった。 その前に『RMX』で革新的なことをやったのがヘッドとシャフトの別売りで、そのメリットを理解させるために販促チームが店頭を訪問した。それで顧客の声を聞いてカスタマイズする一方、ブランド的には藤田と谷口の裏付けがあった」 <strong>あれは流通戦略としても革新的だったですね。当時、ヘッドとシャフトのマッチング販売は売り方としても多大な労力が必要だった。一言でいえば面倒臭いわけですが、汗をかいてメリットを浸透させた。</strong> 「そう、あれは在庫の持ち方としても非常に挑戦的でしたね」 <strong>それを浸透させる下準備に時間を掛けたわけですが、今はネットでイメージ動画を配信するとか、それはそれで大事だけど、やり方が簡便になったんですかね。</strong> 「あの頃のヤマハには迫力がありましたよね。流通を巻き込んで変えてやろうって気概があった」 <strong>ヤマハのポリシーは何ですか?</strong> 「だから『革新』ですよ。単に商品開発の話じゃなくてね」 <strong>つまり革新的じゃなくなった?</strong> 「と思いますよ」 <strong>なぜですか?</strong> 「わかりませんよ(苦笑)。ただねえ、これはヤマハさんだけの話じゃなくて、もっと言えばゴルフ業界だけの話でもなく、前任者が実績を残すと後任は守ろうとするじゃないですか。それで新しいことがなかなかできない。 だから根本的に変わるには、一度落ちるしかないんです」 <strong>そもそも企業は伸縮する生き物だから、局面的には落ちることもある。問題は、下降期にファイティングポーズをとれるのか、このあたりの胆力と構想力が試される。</strong> 「あのねえ、ぼくはヤマハに期待しているし、BSにも期待してるんですよ。BSのノウハウは素晴らしいし、クラブの性能も高いんです。だけど目立った優位性が表現できてない。 昔ターボラバーをやったじゃないですか。あれをもっと磨き込んで、磨いた先に製販一体で全国展開するとかね。ちょっと古い話だけど、大須賀さんが社長だった頃のBSは非常に迫力がありました」 <strong>ナイキのボールをBSがOEMで作って、タイガーに使わせる。それでタイトリストが得意だった糸巻きボールの牙城を引っ繰り返した。慌てたタイトリストはソリッドボールの『プロV1』に踏み切りましたが、大須賀さんは世界を見ていた。糸巻きの技術や特許はタイトリストに勝てないから、ソリッドボールの土俵に引きずり込もうと。</strong> 「ねえ。当時のBSは、やることなすこと迫力がありましたよね」 <strong>タイトリストを特許侵害で訴えたり。とんでもない金額で訴えて、NHKのニュースにもなった。</strong> 「その大須賀さんが社長をやめてからローコスト戦略に切り替えてしまった。中国のベンダーが賃上げに入った時期のことで、これを抑え込もうとしたわけですよ。でもね、当時は『ゼクシオ』の台頭期と重なっていて、店頭で両社のクラブを見比べるとゴルファーはわかる。 だって、自分が使う道具だから。個人的には、あの政策が市場での評価を下げた一因だと思えますね」 <h2>メーカーと小売りの共通課題</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/kotobuki.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-63831" /> <strong>ミズノへの評価はどうですか。ミズノは逸早くカスタム戦略に注力して、利益体質に転換した。それで値引競争に巻き込まれにくい点が売場に評価されてますが。</strong> 「んー。ミズノが、ということではなく、カスタムで製品を絞り込むと市場での存在感が薄くなるんですよ。 固定経費を賄うためには、損益分岐点の一定水準を超える売上が必要になる。だけどカスタマイズに絞り込んで、昔は1000売れたのが300になれば、当然、固定費の捻出が難しくなるじゃないですか。 これはメーカーに限った話ではなくて、我々小売りも同じですが、規模と利益のバランスは常に悩むところですね。 ウチは同業他社と同じぐらいの店頭価格で売ってますが、本当は定価で売りたいんですよ。だけどそれで売上が落ちれば、経費が賄えなくなってくる」 <strong>一時は大手のメーカーも小売りもシェア主義に走って、プライスリーダーを目指しました。それで他社を振り落として、寡占化して価格決定権を握ろうと。</strong> 「それで失敗したところは沢山ある」 <strong>ところで、ショップの場合は仕入れを除けば、コストは家賃と人件費に集約されますが、御社は自社ビルだから家賃がない。従業員は何人ですか?</strong> 「今は社員が50人ほどですが、バーディ館と北口店があったときは78人ぐらいでした。このワールド館には事務とネットショップもありますから、店はふたつなくなったけど人員は半分になっていません。 でね、それが功を奏したと思えるのは、10年以上通う馴染み客は気に入った店員を指名するじゃないですか。だからベテラン社員の存在は非常に大事だし、売上に直結するんです」 <strong>実は今日、早めに来て接客トークを盗み聞きしました。客のフリをして。</strong> 「怖いねえ(笑)」 <strong>ベテラン店員が二人組に接客していて、上司と部下だと思いますが、年配客が「このひとに任せれば間違いないから」って。店員も単に物を売るだけじゃなく、ゴルフのトータルアドバイザーみたいな感じで話していて、信頼感が伺えましたね。</strong> 「ありがとうございます」 <strong>顧客は暑い中わざわざ足を運ぶわけだから、ECを超える何かがあるんだなぁ、と。</strong> 「そうです、そうです。そこは非常に大事なことです」 <h2>数か月前は極限状態だった</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/Photo_20-09-09-13-12-58.489.jpg" alt="" width="788" height="394" class="aligncenter size-full wp-image-63838" /> <strong>3月に閉店した北口店(売場面積33坪、2階)は小ぶりですが、大型のバーディ館(同272坪、6階)は今後、テナントビルにでもするんですか?</strong> 「ぼくの弟がコトブキの専務でしたが、閉店に際してバーディの建物は彼が見ることになったので、いろいろ判断するでしょう」 <strong>それでゴルフ事業は安本さんの専権になるんでしょうが、このワールド館(同386坪、5階)はバブル時代、単店で世界一の売上を記録してるんですよね。</strong> 「そうです。当時はワールドだけで30億円を売りました」 <strong>それは凄い。今はどれくらいですか?</strong> 「まあ、当時とは比べ物にならないですよ(苦笑)。ただね、3店舗を合わせた昨対実績には届かないけど、さっきの話、単店ベースでは驚くほどいいんです」 <strong>いくらですか?</strong> 「まあ、あんまり強気なことを言うとアレなんでね、詳しい数字はオフレコにしておきますが、コロナ禍の分を差し引いても大健闘です。 だって、キャロウェイ、ピン、テーラーメイド、売る物ないんだから(笑)。ショートパンツも完売だし、シューズは昨対200%ですよ。これは若者需要が盛り上がった結果だと考えてます」 <strong>コロナの反転需要があったとしても、経営戦術が奏功した?</strong> 「経営戦術とかね、そこまで大それたことは言えませんが、今年の頭はインバウンド消費がけっこうあって、店によっては売上の2~3割を占めていた。 それが消えた。消えたのに数字が伸びてるのは、日本人がゴルフに興味をもちはじめたということでしょう」 <strong>というか、3店舗が1店舗に集約されて、2店舗分がワールドに集中した。要因はこれでしょう。</strong> 「それはたしかに大きいです。そもそも2店舗を閉めたのは、この商圏で3店舗は多いと考えたのが理由ですから。 今のアメ横は昔ほどひとの流れがないし、外国人でもっていた。それが消えて、浅草も同じですが、閑古鳥が鳴いてますよ。だから逆にバーディ館と北口店をもっていたら、かなり苦しかったと思いますね」 <strong>閉店は絶好のタイミングだった?</strong> 「結果的にね。閉店に伴う経費も出ましたが、ありがたいのはメーカーさんの協力でね、閉店を睨んで発注を抑えていたところにコロナが発生した。それで在庫の戻しに応じてくれたり、支払いの先延ばしも受けてくれて」 <strong>なるほどねえ。今は「完売」で笑いが止まらないけど、つい数か月前は、</strong> 「コロナと閉店のダブルパンチで極限状態だったですよ」 <strong>経営はジェットコースターみたいなものですね。上がったり下がったりで心臓にわるい。</strong> 「ほんとだよねえ(苦笑)」 <h2>問われる専門店の価値</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/yasumoto3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-63830" /> <strong>で、2店舗閉鎖の理由は商圏の疲弊と同時に新展開への挑戦もありました。挑戦は、具体的に何ですか?</strong> 「新展開はEコマース以外にもあるんだけど、ちょっと今は言えないですねぇ。コロナの収束を含めて今後の情勢を見ています」 <strong>じゃあ、今後の情勢をどう見ます?</strong> 「それについて私見を述べると、アパレルと同じようになる可能性が高いと思ってます。代表的なのがナイキで、自社サイトで集中的に売ってますよね。ゴルフも外資だけではなく、国内メーカーも自社サイトの充実で直販の流れになっている。 それとテーラー、ナイキ、キャロウェイは自社でアウトレットをもっていますよね。そう考えると、みんながユニクロになっていくんじゃないか」 <strong>キャロウェイは中古クラブを自社サイトで引き取る活動をはじめましたが、この流れが加速すると顧客の囲い込みが強化されて、物販もサブスク的な連続性で形態を変える。すると小売りは、</strong> 「いらなくなるでしょ。市場は劇的に変わりますよ。 そんな環境で参考になるのは関西の朝日ゴルフです。業界では唯一残ったゴルフ問屋というか、ヤマニさんも頑張ってますが、朝日の内本社長は自社ブランドで距離計(イーグルビジョン)を立ち上げたりとメーカー色を強めている。 アレが理想だなって気がしますね」 <strong>朝日ゴルフは以前、主力の卸部門でテーラーメイドなど外資系メーカーの売上依存が高かったけど、今は自社ブランドの構成比が5割を超えたと思います。</strong> 「そうですか」 <strong>これは内本さんの悲願だった。他社への依存度が高いと経営自体が馬なりになるから、安定性を著しく欠く。</strong> 「言えますよね。それとヤマニも自社で作って展開している。そんな方向性になるんだなあ、と」 <strong>コトブキもメーカーになる?</strong> 「ねえ、どうしようかな。余命はあと33年だから(笑)、死ぬまでにはやりたいですよね。だけど市場はもっと縮小していきますよ」 <strong>その「市場の縮小」ですが、これをどんな概念で捉えてますか?</strong> 「ん、質問の意味がわからない」 <strong>市場の「外周円」の話です。中古クラブは「市場」に入りますか。</strong> 「当然入るでしょ。ゴルフ用品を個人売買するネットオークションも入ります」 <strong>以前、キャロウェイのボーズマン社長が「中古やネットオークションは新品市場に多大な影響を与えているけど、その実態は誰にもわからない」と。つまり、市場の総体を合算すると新品市場は減るけど「全体」は増える。誰にもわからないボリュームが格段に増える。</strong> 「それは流通量の話でしょ。金額ベースで落ちるのは確実です」 <strong>そうですね。個人売買が広がれば新品市場には一銭も落ちない。つまり、業界に1円も入らない「ゴルフ市場」が急拡大している。</strong> 「だから会社は数量ベースではなく金額ベースで経営しています」 <strong>キャッシュフロー経営ですね。</strong> 「そう。その際、今の話を含めてね、一括りで『ゴルフ業界』なり『用品市場』を語れない時代になってますよね。こっちのマーケット、あっちのマーケット、よく見ればあそこにもマーケットがあるということで、そうなると実態はつかめません。 問題は、従来は新品のクラブを買うマーケットだけが我々の意識に存在していて、市場構造もそうでした。我々もそこで生きてきたし、メーカーもそう。その部分だけを切り取れば市場の縮小は確実だけど、それ以外の部分が大事になる」 <strong>現状、新品市場を支えるのがシニア層で、</strong> 「その需要がなくなると我々業界は、若者の可処分所得と向き合います。実は昨日も営業会議でその話になって、若年層の予算感を聞いたんですよ。 ぼくね、セットで5万円ぐらいだと思っていたの。だけど接客している社員に言わせれば『社長、3万円台ですよ』だって。スマホやゲームに小遣いが取られて、ゴルフクラブには3万円」 <strong>中古やネットオークションを使えばもっと安く買えるから、これがますます肥大化する。「市場」の実態がわからなくなるし、そもそも若者は実生活の相場観が違います。</strong> 「言えますよね。アパレルで若者に人気の『グローバルワーク』はしゃれたシャツが千数百円でしょ。それでゴルフができますし、彼らの相場観がそこだとすれば、ゴルフシャツの1万2000円なんか信じられない値段ですよ。あと『ワークマンプラス』ね」 <strong>作業着だと思っていたら、アウトドア系の商品で勢いがある。</strong> 「あそこのTシャツなんか数百円だし、ファッション要素も入るから女性客も多いんですよ。せっかく若者がゴルフ市場に入ってきても、現状ではここのギャップが埋められないし、青写真も描けない。どうしよう、という感じですね(苦笑)」 <strong>安本さんが百歳になったとき、コトブキゴルフはなくなってる。そんな話を一生懸命してるんですか?</strong> 「いやいや(苦笑)。ただ、残るとしても業容は大きく変わるでしょうね。ゴルフがバックボーンだとしても在り方を変えなきゃいけないし、だって百年の歴史をもつ百貨店やアパレルのレナウンが飛んじゃう時代ですよ。コロナが加速度的に変化を早めている」 <strong>10年の変化が半年だから。これはもう、有無を言わせないスピード感ですね。</strong> 「ほんとだよねえ。そう考えると今は外資系のギアが好調だけど、それもいつどうなるかわからないし。まあ、新展開を考えているので、時期が来たら連絡します」 <strong>ゴルフギアって何ですかねえ。</strong> 「大人のオモチャですよ」 <strong>安本さんが言うとビミョーなんですよね(笑)</strong> 「真面目に聞いてくださいよ。やはり飛ばしたいという欲があって、スコアを縮めたい欲もあるから、妄想に駆られて新しいクラブに飛びつくんです。でね、それはそれでいいんです。 ゴルフは健康志向を満たせるし、ヒトとの出会いや屋外の魅力もある。それだけにゴルフにはまだまだ可能性があるし、我々がやれてないことも沢山ある。そう考えると、」 <strong>ゲホッ、ゲホホホッ。</strong> 「なにっ、コロナ? 花粉症?」 <strong>換気で窓を開けてるから、室外機のチリが喉に入ったんです。</strong> 「ああ、よかった」 <strong>百歳まで生きてください。</strong> <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/5mzFMUJPVy4" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
    (公開)2020年09月11日
    ゴルフのストロークは等価です。ドライバーの飛距離を重視しがちですが、やはり最後はアプローチが重要になってきます。 キャスコの<strong>『ドルフィンウエッジ』</strong>から新モデル『DW-120G』が発売された。「お助けウエッジ」とも言われている『ドルフィンウエッジ』だが、はたしてアマチュアゴルファーのアプローチにどう貢献するのか? <strong><strong>『DW-120G』</strong>、『DW-118』、『DRW-119/DFW-119』</strong>の3モデルを、YouTubeで人気の元祖YouTuberプロこと坂本龍楠が試打。その性能を解説する。 累計販売数26万本以上の『ドルフィンウエッジ』とは? <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/IMG_2839.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-61917" /> キャスコの『ドルフィンウエッジ』は「アベレージゴルファーのアプローチとバンカーをやさしくしたい」をコンセプトに2013年に誕生したウエッジだ。 初代の『DW-113』発売以降も、常にゴルファーの声を反映させながら進化し続け、今年4月の段階で累計販売数は26万本を突破。やさしいウエッジの代名詞にもなっている。 ソールヒール部分の形状が特徴的で、バンカーでのエクスプロージョンショット時にヘッドが砂に潜りすぎることを防ぎ、ヘッドの抜けの良さをサポートする。イルカのフィンのような形をしていることから『ドルフィンウエッジ』と名付けられたことは有名だ。 最初はバンカー専用ウエッジとして浸透したが、そのやさしさが口コミで広がり、様々なアプローチに対応できるウエッジとして今では複数本をバッグに入れているゴルファーも多い。 <h2>2種類の『ドルフィンウエッジ』 『DW-120G』と『DW-118』の違いとは?</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/IMG_2887.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-61918" /> 今回新たに発売された『DW-120G』はセミグースネックとなっている点が特徴だ。ストレートネックの『DW-118』と併せてラインアップすることで、ユーザーの好みに対応することができる。 早速『DW-120G』と『DW-118』の2モデルを坂本龍楠プロに打ち比べてもらい、その違いを解説してもらった。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/IMG_2920.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="788" height="525" class="size-full wp-image-61920" /> 左:DW-118 右:DW-120G グースネックとストレートネックの2種類を揃えたことで、自分が持っているアイアンの形状に合わせられるため、違和感なく構えられると思います。ノーメッキのタイプもあるので、ゴルファーそれぞれの好みに合わせて選べますね。 『DW-118』はストレートネックなので、歯が入れやすくスピンが効きます。球もフワッと上がります。 『DW-120G』はグースネックですので、つかまりやすく球を前に押してくれます。『DW-118』に比べて低めの弾道でグリーンを攻められるのではないでしょうか。 選び方のポイントとしては、普段使っているクラブのフェース面の傷のつき方を見てみてください。傷が斜めに入っている人は『DW-118』、傷が真っすぐ入っている人は『DW-120G』を選ぶとマッチしやすいと思います。 <h2>『ドルフィンウエッジ』は女性ゴルファーの味方</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/kasco3.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="800" height="533" class="alignnone size-full wp-image-61913" /> 前述したように『ドルフィンウエッジ』はバンカーから楽に出せるウエッジとして人気があるが、特に女性ゴルファーからの要望が多いという。レディス用品フロアで多くの女性ゴルファーを接客するショップ店員に話を聞いた。 <strong>コトブキゴルフ ワールド館 石井美由紀さん</strong> 「女性はバンカーでザックリやってしまう方が多いため、とにかくバンカーから出やすいウエッジを探している方が多いですね。 女性のアイアンセットにはサンドウエッジが組み込まれてしまっていますが、ヘッドが軽く作られていることが多く、それもバンカーショットがうまくいかない原因だと思います。 そんな方に『ドルフィンウエッジ』を試打してもらうと、構えやすく楽に打てるという反応をいただけます。ヘッドは男女共通なのでヘッドの重さを活かしてバンカーショットが打てますし、シャフトも軽量スチールからカーボンまで女性に合わせて選べるようになっています。 ストロングロフト化するアイアンに合わせて『DW-120G』は44度から選べるので、一人で2~3本買う方もいます」 それでは、『ドルフィンウエッジ』は実際に女性ゴルファーにどう映るのか? それを検証するために女性アマチュアゴルファーの竹前貴子さんに『ドルフィンウエッジ』を使ってバンカーショットに挑戦してもらった。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/kasco2.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="800" height="533" class="alignnone size-full wp-image-61912" /> 普段バンカーでトップしてしまいグリーンを飛び越えてしまうという悩みを抱えていた竹前さんだったが、見事にバンカーからナイスアウト。 <strong>竹前貴子さん</strong> 「ノンストレスで、普段使っているサンドウエッジと比べて楽に出すことができました」 女性は男性に比べて非力ということもあり、どうしても砂の抵抗に負けてしまいますので、ボールに向かってヘッドを刺しにいってザックリということになってしまいます。 とは言え脱出しなくてはいけませんので、無意識で球を上げようする動作が出てしまい体が起き上がってトップしてホームランというケースが一般的です。その点『ドルフィンウエッジ』のソール機能はバンカーで砂に潜りすぎてしまうことを防いでくれますので、抜けが良くなり竹前さんもしっかり体を回して振り抜くことができていました。 バンカーショットではフェースを開かなくてはいけないと言われますが、実際に開き方が分からない女性ゴルファーは多いと思います。『ドルフィンウエッジ』はソールヒール部分のフィンの効果で、普通にアドレスしてもフェースを開いているのと同じ状態になりますので、無理に開こうと考えずに構えられる点も特長だと思います。 <h2>難易度の高いライに有効な「クアッドソール」</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/IMG_2991.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-61922" /> 次にアマチュアゴルファーを代表してGEWの大矢も『ドルフィンウエッジ』を試打。 シチュエーションは、グリーンまで20ヤードのラフ、若干のつま先上がり、エッジまでの距離が短いという状況。ラフに引っかかってミスするケースも起こりうるが、無事グリーンをとらえることができた。 ゴルフは手首の角度を崩さずにスイングすることが重要なのですが、アマチュアゴルファーの皆さんはどうしても球を上げたいという気持ちが働き、すくってしまう動作が出て、このような状況のアプローチをミスしてしまいます。 ですが『ドルフィンウエッジ』には「クアッドソール」というお助け機能が搭載されています。「クアッドソール」とはソールヒールのフィンと、ソールセンターの山形ソールを組み合わせたものです。ソールセンターを山形にすることによって、歯がボールに入りやすくザックリを防ぎながら、芝に突っかかることなくその先は抜けてくれるという効果が得られます。 大矢さんもすくう動作が入っていましたが、ソールの効果で抜けが良くなり自然に球が浮いてくれました。グリーンエッジに球が落ちたのでランはあまり出ませんでしたが、まず1打でグリーンオンさせることが重要なので成功と言えるでしょう。 <h2>『DRW-119』・『DFW-119』は20ヤード以内の武器になる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/IMG_2798.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-61915" /> 続いて、グリーンまで15ヤード前後の短いアプローチに挑戦した。ここで武器になるのが『DRW-119』(ドルフィンランニングウエッジ)と『DFW-119』(ドルフィンフライングウエッジ)だ。 『DRW-119』はロフト角が39度となっており、その名の通り転がしてグリーンを狙えるウエッジだ。一方、『DFW-119』はロフト角が55度となっており、球を上げてグリーンを狙えるウエッジとなっている。 いわゆるチッパーのような役割のクラブだが、性能はチッパーのそれと違う。チッパーというとどうしても「カッコ悪い」、「初心者っぽい」などの抵抗感を感じるが、まず見た目が通常のウエッジに見える。ソールも「ドルフィンウェーブソール」という専用設計を施しており、細部にもぬかりはなさそうだ。 こちらもアマチュアゴルファー代表でGEW大矢が試打。グリーンエッジ付近から『DRW-119』、グリーン周りの砲台気味のラフから『DFW-119』をそれぞれ使って10ヤードのアプローチに挑戦したところ、両方ともグリーンオン。短い距離ながら弾道の違いも出た。 15ヤード前後の短いアプローチは距離感がつかみにくく、思わぬミスが出てしまいます。 『DRW-119』と『DFW-119』はヘッドも重く設計されているので、通常のチッパーでは難しいラフであっても、慣性モーメントで芝を押しのけてくれます。また、グリップも太めに作られているので、パターのようなストロークで打てるので、手首を使って球をすくってしまうことによる、ザックリやトップなどの大ミスを防ぐこともできます。 せっかく近くまで来てもこの距離でグリーンを行ったり来たりしてはスコアになりません。『DRW-119』と『DFW-119』は思わぬミスを防ぎ、アマチュアゴルファーの方がまず70点の場所まで確実に寄せられるクラブですので、あまり使わないクラブを抜いて代わりに入れてみると一つの武器になると思います。 <h2>動画で解説 『ドルフィンウエッジ』を試打&評価</h2> 『DW-118』、『DW-120G』、『DRW-119/DFW-119』を使って様々な状況からアプローチに挑戦しながら『ドルフィンウエッジ』を徹底解説したので動画で観てもらいたい。 <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/hEkoW-tXLl0?rel=0" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> <h2>『ドルフィンウエッジ』の総評</h2> 『ドルフィンウエッジ』はアマチュアゴルファーのアプローチの悩みをよく考えて作られているウエッジです。シチュエーションによって打ち方やスイングを変えようとせずに、とにかく一通りの打ち方をしてもらえれば自然に結果がついてくるウエッジだと思います。 また女性ゴルファーのスイング特徴を研究して作られていますし、シャフトも色々選べますので、アプローチに悩みがある女性には試してもらいたいウエッジです。 番手も多く、それぞれのモデルに特徴がありますので、単品で選んでいく楽しさも感じられるウエッジだと思いますね。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/kasco1.jpg" alt="ドルフィンウエッジ" width="800" height="533" class="alignnone size-full wp-image-61911" /> <strong>■価格</strong> <strong>『DW-118』』・『DW-120G』</strong>  1万8000円~2万3000円(ヘッドタイプ、シャフトによって異なる) <strong>『DRW-119/DFW-119』</strong>  1万8000円 詳しくは下記を参照のこと。 <a href="http://www.kascogolf.com/jp/catalog/club/dolphinwedge/dw.html">『ドルフィンウエッジ』専用ウェブサイト</a>
    (公開)2020年04月23日
    都内御徒町に3店舗(ワールド、バーディ、北口店)を構えるコトブキゴルフは3月末、バーディ館(売場面積272坪、6階)と北口店(33坪、2階)を閉鎖し、ワールド館(386坪、5階)の単独営業に踏み切る。この決断について安本昌煥社長は「ルビコン川を渡る覚悟」と心情を語った。 「ルビコン川」は古代ローマ時代、ポンペイウスとの対決を決意したカエサルが「賽(サイ)は投げられた」と号令を掛け、後戻りできない覚悟で渡った川。転じて「重大な決断」を表わすもので、同氏の決意が伺える。 コトブキゴルフの創業は1966年、翌年2月に法人化しており、シントミゴルフ、二木ゴルフと並ぶ御徒町の御三家と呼ばれた。バブル全盛期、ワールド館は年商約30億円で単独店舗日本一の売上を記録し、世界一との見方もあったほどだ。 以後、都内恵比寿に高級志向の「エビスゴルフクラブ」を出店して「脱御徒町」を掲げ、都内西部地区の需要開拓に挑戦したが、約10年間営業したのち2013年12月に閉店。御徒町での一極集中に回帰している。 今回2店舗を閉鎖することについて、安本社長はこう話す。 「当社は御徒町アメ横地区で53年間、ゴルフ専門店一筋で一度もリストラをすることなく、ワンチームの心意気で頑張ってきました。しかし、年を重ねるごとに市場環境は厳しさを増し、企業形態に変化が求められてもいた。今回の2店舗閉鎖は変化に対応するもので、新たな展開で巻き返したい」 同氏が指摘する環境の変化は、団塊世代の高齢化とECの台頭によるリアル店の疲弊に集約される。価格競争の激化により粗利の確保が難しくなり、集客が見込める繁華街に複数店を構える必要性がなくなってきた。 特に深刻なのが団塊の世代の高齢化だ。この層は1947~49年生まれの約680万人で、日本のゴルフ市場を牽引してきた大集団。その第一陣が昨年、日本人男性の「健康寿命」である72歳に突入し、ゴルフリタイアの顕在が兆してもいる。これら諸事情を勘案して、 「同一商材で同一商圏3店舗は、必要ないとの結論に達したのです」 <h2>モノからコトへの展開探る</h2> ただし、今後については前向きだ。4月以降は旗艦のワールド館とEC(KG-NET)に経営資源を集中させ、 「すべての人員、商材、機能をこの2つに特化して、効率の高い経営を目指します。特にウェブ経由のビジネスを強化・拡充する方針で、モノからコトへのビジネスモデルに転換したい」 同社は比較的早期にECへ参入していたが、御徒町に大型2店舗を近接したことでネットとリアル店の価格整合に苦しんだ。それも当然で、同一商圏に3店舗、計691坪の売場は如何にも大きい。今後、これが半減することで自社競合の余地をなくし、併せてECとの連携で新展開を図っていく。 モノからコトへの転換については模索中だが、1フロア約70坪のスペースがあるため、最新の機材を取り揃えたインドアスクールやゴルフフィットネスの導入で、売場と連動させる可能性もある。過去数年、最新のIT機器を備えたインドア施設の台頭が目立っており、5Gの普及を視野に入れた次世代レッスンへの期待も高まる。 「そのあたりについては専門企業との交流を深め、様々な意見を聞いていきたい。創業54年目にしてルビコン川を渡るからには、従来にない挑戦をしなければと考えています」 今後、反転攻勢の青写真を描いていく。
    (公開)2020年01月10日
    ヨネックスは先頃、コトブキゴルフのワールド館とバーディ館(台東区)にて「ヨネックス Presents 森田遥トークショー&レッスン会」を開催した。 まずは、当日の模様をショート動画で。 <iframe width="788" height="525" src="https://www.youtube.com/embed/_6xumHQs1v4" frameborder="0" allowfullscreen="" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture"></iframe> 当日は、事前にヨネックス製品を同店舗で購入のユーザー向けに、森田遥のミニレッスンや、サイン&写真撮影会が実施されたほか、豪華賞品がもらえる、来店者全員参加のじゃんけん大会も行われた。 <img width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-52447" alt="ヨネックス森田遥" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/12/18122105.jpg"> ミニレッスンはファンに森田遥が熱心にアドバイス。アプローチに悩むファンをその場で上達させるなど、来店者を盛り上げた。 <img width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-52441" alt="ヨネックス森田遥" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/12/18122103.jpg"> <img width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-52442" alt="ヨネックス森田遥" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/12/18122104.jpg"> ファンやヨネックスのクラブへの想いなどを語った、森田遥の単独インタビューを動画で。 <iframe width="788" height="525" src="https://www.youtube.com/embed/5JO7PZSPrOk" frameborder="0" allowfullscreen="" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture"></iframe>
    (公開)2018年12月30日
    ヨネックスは11月上旬、契約プロのキム・ヒョージュ選手を招聘し、創業50周年を迎えるコトブキゴルフ(東京都台東区)のバーディ館1階で来日イベントを開催した。当日は、一般ユーザー及び報道関係者合わせて60名ほどが、同店舗に集結。一流選手のなかでも、特に「美しいスイング」と定評のあるキム・ヒョージュ選手を一目見ようと、多くのギャラリーが集まった。 同イベントは、自己紹介から始まり、現在使用しているヨネックスのクラブ、シャフトの感想、ギャラリーからの質問に答えるなど、多くのファンと交流を深めた。 「ヨネックスのクラブは、シンプルな形状でデザインも格好よくとても気に入っています。特に、飛ぶところが一番ですね。最近、アイアンのシャフトをスチールからヨネックスのカーボンシャフトに変えましたが、フィーリングもよく、疲れにくいので、1年を通じてツアーを戦ううえで、非常に助かっています」(キム・ヒョージュ選手) <img alt="161115T2.jpg" src="http://www.gew.co.jp/news/images/161115T2.jpg" width="650" height="433" class="mt-image-center" style="text-align: center;margin: 0 auto 20px" /> また、当日、ヨネックス製品を購入したエンドユーザーへの特典として、レッスン会やサイン会、写真撮影会を実施。コトブキゴルフ・バーディ館の稲垣憲店長は、 「1時間半ほどのイベントでしたが、20万円以上の売上もあり、大盛況でした。やはり女子プロ人気はすごいですね。このようなイベントを実施してくれることは、いままで一度も当店に入ったことのないお客さまが入ってくれるきっかけにも繋がるので、大変助かっています。ヨネックスのクラブは『XPG』を中心に、20代から40代のお客さまに好評です。特に、ドライバーの苦手なお客さまにすすめると、結果が出るので購入に繋がっていますね」 とコメント。それを受けて、ヨネックスの国内ゴルフ営業統括の山本美雄執行役員は、 「日ごろお世話になっているコトブキゴルフ創業50周年に対して、当社として何か協力したかったのです。米LPGAツアーで戦う選手が、都内のイベントにでてくれるのは非常に珍しいケース。イベントも盛況に終わり、一安心です。今後も、できることは協力していきたい」――。 なお、キム・ヒュージュ選手の使用クラブは以下の通り。 ■ドライバー:EZONE XPG<br /> ■FW・UT:EZONE XPG<br /> ■シャフト:レクシスカイザL(ドライバー、FW、UTすべて)<br /> ■アイアン:N1‐CBアイアン ※メイン画像は、キム・ヒョージュ選手(左)、コトブキゴルフの安本昌煥社長(右)
    (公開)2016年11月16日
    葬儀は故人の遺志により近親者でのみ執り行われた。 心よりご冥福をお祈りいたします。
    (公開)2016年01月04日
    <div class="check-point"> check point <ul> <li>■履き心地とフィット感が◎</li> <li>■グリップ力が高い</li> <li>■どんなファッションにも合わせやすいシンプルなデザイン</li> </ul> </div> <div class="item_comment"> <h3>片桐由美子さん(コトブキゴルフワールド館営業)のインプレッション</h3> <h4></h4> 『D.N.A. Boa』ウィメンズは、待ちに待っていたモデルです。メンズでの人気は分かっていましたし、レディスが出れば絶対売れると思っていたので、メーカーさんに"早く出してほしい"って、お願いしていたほどでした。発売当日も目当てのお客様は多かったですね。女性はもちろんですが、夫婦で来店されて旦那さんが薦める姿も見られました。購入されたお客様は『フットジョイ』のファンの方が多かったのですが、実は私もファンの一人。今までは柔らかい履き心地とフィット感がよくて『イーコンフォート』がお気に入りでした。ただ、柔らかいという点でいえば、『D.N.A. Boa』はそれ以上ですね。アッパー素材はこのモデルのために開発されたという防水人工皮革「クロモスキン」を使っていますが、とにかく薄くて柔らかい。すごく足が楽で解放感も抜群。まるで履いてないような感覚で不安になっちゃうくらいです(笑)。当然、疲れにくいのでベテランゴルファーから初心者まで幅広い層に推奨できますよ。そして、私がもう一つ気に入っているのが、スパイクです。爪がしっかりあるだけではなく、それぞれのスパイクが単体の島になっているのでグリップ力がさらにパワーアップした感じです。これならスイングをしっかりと足元からサポートしてくれますね。あと、チャチャっと拭けば汚れもすぐ落ちるので、お手入れが楽な点もお客様への推奨ポイントになるでしょう。 </div> <div class="item_data"> <h3>商品詳細</h3> フットジョイ『D.N.A. Boa』ウィメンズは、ゴルフに必要な機能を凝縮させたモデルとなるが、まず初めに説明したいのが、「BoaRクロージャーシステム」の搭載だ。かかとにダイヤルを配置する「ヒールマウントシステム」を採用しているので、足の甲から履き口までの全体をホールドすることができ、他では体験できないフィット感が味わえる。また、足首の形状にフィットする「3Dフォームカラー」、安定性とクッション性を併せ持つ「FTF? インソール」など、女性の足を快適にサポートしてくれるテクノロジーが満載だ。 ■カラー/ホワイト×シルバー(94803)、ホワイト×ピンク(94811)、ホワイト×ブルー(94829)、ホワイト×ブラック(94837)、ブラック×シルバー(94845) ■ウィズ・サイズ/W22.5~25.0cm ■価格/オープン(実勢価格:1万9000 円+税、ゴルフ用品界調べ) </div> <div class="contact"> <h3>取材協力</h3> <h4>コトブキゴルフ ワールド館</h4> TEL:03-3836-4141 </div> <div class="contact"> <h3>商品のお問い合わせ</h3> <h4>アクシネットジャパンインク</h4> TEL:0120-935-325 <a href="http://www.footjoy.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">http://www.footjoy.jp</a> </div> <div class="feature_summary"> <ul> <li>∇ &lt;a href=&quot;"&gt;</a></li> <li>&lt;a href=&quot;"&gt;</a></li> </ul> </div> <p style="margin-top:20px"><a href="https://www.gew.co.jp/tieup/">【今月の特集のトップへ戻る】</a></p> </div>
    (公開)2015年05月01日
    昼12時からスタートしたイベントは、明治神宮外苑ゴルフ練習場で「チームJPX」の面々が『JPX EⅢ』のデモンストレーション、トークショー、名刺交換会と進行して、都内ゴルフショップへ移動。 「チームJPX」の面々は、二木ゴルフ・アメ横本店、コトブキゴルフ・バーディー館、ゴルフプラザ・アクティブAKIBA、ヴィクトリアゴルフ神田店、エスポートミズノ東京店を次々と訪問。来店客や販売員と記念撮影をしながら『JPX EⅢ』をPR。興味深いのが、各会場で行われた名刺交換会。配布されたのが、「チームJPX」各選手の名前入り名刺。各自が各会場で50枚を配布したことから、50枚×5人×6カ所で1500枚を一日で配ったことになる。 一般ゴルファーや店頭スタッフにも野球ファンは多く、ある女性定員は与田選手に握手を求めながら、「私、名古屋出身で、以前から応援していました。感激です!」と大満足の様子。   今回のイベントは、『JPX EⅢ』発売日の翌日。『JPX EⅢ』は、飛距離の落ちてきた50代以上のゴルファーをターゲットに絞っている。そのクラスターが憧れ、そして共感を生むのが「チームJPX」。各選手が現役時代、ミズノの野球用品を愛用していたことから、メンバーが集められた。事前PRが功を奏し『JPX EⅢ』は事前予約も多く好調なスタートを切っている。往年の名選手の影響力が発揮された。
    (公開)2014年01月31日
      同シリーズの前評判は高く、主要ゴルフショップも"今秋の一押しモデル"と位置づけていた。   「モノとしての所有感の高さが秀逸です。カラーリングやデザインがきれいなことに加えて、機能面もやさし過ぎず難しすぎずと、いいところに落とし込んでいます」(ヴィクトリアゴルフ新宿店の小倉聖チーフ)   また、コトブキゴルフワールド館の岡崎和彦フロア長も、「すごくバランスの取れたモデルなので中上級者だけではなく、これからゴルフを本格的に始める初心者にも推奨していきたいと思っています」と語っていた。   発売直後にトップシェアを確保した背景には、主要ゴルフショップから強いお墨付きを得ていたことが大きな要因。流通段階で製品の理解度を高めたB2B戦略が奏功したといえるだろう。   その一方、B2Cにも注力した。発売前に練習場とタイアップした試打会を積極的に実施、エンドユーザーに製品を体感してもらい取扱店への誘客も促進させた。トップダウンとボトムアップを上手く融合させたプレイベントの効果が発揮されたわけだ。   キャロウェイゴルフは2012年、創業30周年を迎える。様々な施策でアニバーサリーイヤーを盛り上げることが予想されるが、『レガシー・ブラック』がその火付け役となりそうな気配が漂い始めた。   (※)GFKライフスタイルトラッキングジャパンが全国有力販売店において収集した実績に基づく(9月12~同18日の1週間、ドライバー、フェアウェイウッド、アイアンの販売金額NO.1)
    (公開)2011年09月28日

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