• TOP
  • GEWとは
  • ライター一覧
  • GEW 購読申し込み
  • GEW 見本誌申し込み
  • 広告掲載について
  • 運営会社
  • 事業内容
  • 企業理念・ミッション
  • CEOメッセージ
  • 会社沿革
  • プライバシーポリシー
  • サイトポリシー
  • お問い合わせ
  • ゴルフ業界求人
  • PGA会員専用求人
  • 月刊GEW12月号 「飛ばないボール」ゴルフ市場への影響は如何に?

    ハッシュタグ「コロナ」記事一覧

    ゴルフ関連16団体が加盟する日本ゴルフサミット会議はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する啓発ポスターを作成した。紙製ではないデジタル版で、ゴルフ場、練習場、ゴルフショップなど業界関係者はダウンロードしてプリントアウト、それぞれの施設に掲示する。また、一般ゴルファーに向けてはシェア・拡散してほしいと呼び掛けている。 ポスターは<a href="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/Ttype_A.jpg">Aタイプ</a>と<a href="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/typB.jpg">Bタイプ</a>の2種類で、ゴルフをする際の注意事項をイラストで示したもの。 通常このような案件は、月一度開催される定例会議に諮り、16団体の承認を得てから実施するが、コロナ禍で急を要するため、日本ゴルフ協会(JGA)、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の3者が見切り発車、他団体の事後承諾を得る形で作成した。NGKの手塚寛理事長が経緯を説明する。 「とにかく今回のポスターは、時間との勝負でした。6月19日以降は全都道府県を越境する移動が可能になるため、感染拡大の危険性が高まってくる。移動距離が長いゴルフは、その点が懸念されるわけです。3者が初会合をもったのは5月18日、完成は6月11日という早業でした。 コロナの状況は日々、激しく変化します。夏は熱中症が心配だから、マスクを外した方がいいということもある。そのため注意事項が変わる可能性もありますが、デジタル版は紙と違い、その都度内容を変更できるメリットもあります」 サミット会議はこれまで、ゴルフ場利用税の撤廃や廃棄プラスチックの撲滅など、様々な啓発ポスターを作ってきたが、いずれも紙製だから制作時間や印刷コスト、配送にも手間が掛かる。「デジタルポスター」にはそれがなく、迅速な対応ができたと胸を張る。 <h2>ポケットマネー発言も</h2> デザインの費用も見切りだった。JGRAと取引のあるデザイナーに依頼したが、 「その費用はサミット会議に諮るか、もし通らなければわたしと横山さんのポケットマネーで負担しますよ(笑)。とにかく予算決めの時間も惜しかった。今後の課題は、このポスターをどうやって拡散するかですが、ゴルフメディアにも協力を仰ぎたい」 と、ポケットマネー発言も飛び出した。名指しされた「横山さん」はJGRA横山雅也会長のこと。同氏の話。 「このポスターはフリー素材だから、誰でもシェア・拡散できます。業界内だけではなく、多くのゴルファーに共有・認知してもらい、感染拡大を防ぎたい。仮にゴルフ施設で発症すれば、営業を見直すことになるかもしれない。そうならないためにも、ゴルファーの皆さんに拡散の協力をして頂きたい」――。 ところで、ゴルフは他のスポーツ産業に比べて市場規模が大きく、様々な業種が混在する。サミット会議に16団体も加盟するのはそのためで、先の3団体以外にもゴルフ用品、男女プロツアーやそのスポンサー団体、会員権やコース設計の団体など、船頭が多く対応の遅れが指摘されてきた。 その弊害を解決するためには「総論賛成・各論反対」の体質を改めることで、それぞれの課題と関係が深い団体が離合集散して解決するタスクフォース型が効果的。その意味で今回のデジタルポスターは、新態勢のひな型になりそう。 「諸事スピードが求められる今回のコロナは、業界体質を改める好機です。それぞれの団体が特徴を生かし、一致団結で取り組みたい」 手塚理事長は語気を強めた。 国内ツアーは、女子の17戦目となる「アース・モンダミンカップ」(6月25~28日)で遅い幕開けを迎えるが、18~21戦目までは中止が決定。男子も国内8戦目の「日本プロゴルフ選手権」(7月2~5日)まで見送られ、ゴルフシーンは停滞中。そのような状況下、ゴルフ場でクラスター感染が発生したらイメージダウンばかりではなく、入場者の減少など痛手を被る。 それを回避するためのデジタルポスターだが、下段にはサミット16団体のロゴマークが並んでいる。一致団結の象徴としたいものだ。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/Ttype_A.jpg" alt="" width="250" height="344" class="aligncenter size-full wp-image-62787" /> 新しいゴルフスタイルを共有してプレーを楽しみましょう! Aタイプ <a href="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/Ttype_A.pdf">PDF無料ダウンロード</a>(7.94MB) <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/typB.jpg" alt="" width="250" height="344" class="aligncenter size-full wp-image-62788" /> 新しいゴルフスタイルを共有してプレーを楽しみましょう! Bタイプ <a href="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/Ttype_B.pdf">PDF無料ダウンロード</a>(5.3MB)
    (公開)2020年06月16日
    国内女子ツアーが当初の予定から3か月半遅れで開幕となりそうだ。日本女子プロゴルフ協会と主催のアース製薬は本日3日、「アース・モンダミンカップ」(6月25~28日、カメリアヒルズCC、千葉県)を「無観客」及び「非公開」で開催する方針を発表した。賞金総額は2億4000万円となる。 同大会は第17戦目だが、18戦目の「資生堂アネッサレディース」と19戦目の「ニッポンハムレディース」及び21戦目の「大東建託・いい部屋ネットレディース」は既に中止を決めており、全37戦中19試合が中止となっている。 昨季賞金女王の鈴木愛は念願のツアー開幕について、 「不安な日々が続いておりましたが、トーナメント再開が決まり、素直に嬉しく思っています。再開に向けてご尽力頂いた関係者の皆様、本当にありがとうございます。 ただ、新型コロナウイルスは終息したわけではありませんので、引き続き感染予防に努め、万全の態勢を整えて試合に臨みたいと思います」 とコメントした。
    (公開)2020年06月03日
    国内のプロゴルフトーナメントに関わる5団体は20日、新型コロナウイルス感染防止と大会の開催について「ガイドライン」を発表した。現状、ツアー開幕の目途は立っていないが、指針と対策を示すことで判断基準が明確になる。開幕に向けて大きな一歩といえるだろう。 5団体の内訳は、日本ゴルフ協会、日本プロゴルフ協会、日本女子プロゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構、日本ゴルフトーナメント振興協会で、これまで対策会議を重ねてきた。 ガイドラインは日本プロ野球機構と日本プロサッカーリーグが設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の提言を参考にして、感染症専門医の東邦大学・炭山嘉伸理事長の監修を得た。今後、状況に応じて改訂していく。 内容は「基本方針」「感染症対策を考える重要事項」「選手・大会関係者への対応」「トーナメント開催の基本方針」「観客への対応」「観客の入場を前提とした試合開催」の6項目だが、注目されるのは「開催」に関わる諸事項だ。 開催可否の判断基準は、1政府及び自治体の見解、2開催自治体の状況、3選手の状況及び動向、4他のスポーツの動向、5ツアー全体の状況で、「1」については特定警戒都道府県での開催は不可能であり、それ以外の地域での開催も行政・医療機関と協議して慎重に判断することが求められる。 大会で感染者が出た場合は「社会的な責任が大きく問われ、主催・協賛・開催ゴルフ場だけではなくゴルフ全体のダメージが大きく、産業活動の継続が困難になる場合がある」(要約)ことを指摘している。 <h2>大会実施の「5段階定義」</h2> ガイドラインでは、大会を開催する場合でも5段階の定義があるとする。具体的には、1通常開催、2催事の縮小、3無観客開催、4非公開開催、5延期・開催地変更・中止である。 「1」は政府方針、自治体との協議等で安全が確認された場合に踏み切るが、ギャラリーの入場時にサーモメーター等を使った体温チェックを実施。37・5度以上を目安に注意を呼び掛けるほか、マスク着用、「3密」の回避、選手との握手やサイン禁止など、10項目の注意事項を示した。 「2」はプロアマ、前夜祭等の中止検討やギャラリーの入場制限など5項目を検討。「4」はメディアの取材を禁じ、リモートによる取材や記者会見に対応するなど3項目。 これ以外では、各大会は事前に感染症専門医のアドバイザーを決め、予め所轄の保健所に開催の旨を通知、検査体制(抗原検査、PCR検査、検温、医師の問診)を整えることも付記された。 また、外務省から渡航中止勧告が出ている「レベル3」地域や国への訪問歴がある選手は、公式練習日から起算して14日以内の場合「出場できない」旨も明記された。 大会期間中に選手とその濃厚接触者に陽性反応が出た場合は「その場で中止すべきかを検討し、続行の場合は会場に出入りする全員に検温など健康チェックを行う」ことになる。 夏の「甲子園大会」が中止となるなど、多くのスポーツイベントが難しい判断を迫られている。個人競技のゴルフトーナメントは多くの選手・関係者が様々な地域から集まるため、県の越境が必然となる。そのため判断材料は多岐にわたるのだが、ガイドラインが出たことは大きな前進といえるだろう。
    (公開)2020年05月21日
    全国141コースを運営するPGMはこのほど、4月の業績を発表した。売上は4割減と深刻で、 「東日本大震災のときは3割減。あれよりかなり悪いです」 田中耕太郎社長はそう話した。大震災時は、被災地域のゴルフ場で修復工事等が必要だったが、それ以外のエリアは無傷だったことが被害を限定的にした。今回のコロナ禍は全国に自粛が広がって、業績を著しく押し下げた。 既存店ベースの実績は139コースとなり、売上は42億8800万円で前年同月比42・6%減。来場者は46万5000人で34・5%減。売上と来場者の数字に8ポイントの開きがあるのは、客単価が18・0%下がったことによる。このあたりの事情について同氏は、 「コンペの減少が非常に大きい。当社の場合は通常、コンペの入場者が3割で、コンペ関連の売上は4割を占める。パーティやお土産代が含まれるから収益への貢献が大きいのです。 ところが、主催コンペで感染者が出たら、その企業は姿勢を問われてしまう。コンペが続々とキャンセルになったことが業績に反映したのです。 この状況は5月も続くでしょう。4~5月は昨対で半減するかもしれない。そのような見立てをしていますが、他の業種、たとえば飲食業や旅行、ホテル業に比べればゴルフは恵まれていると思います」 ただし、この状況を逆手に取る戦略も同時に考えている。スループレーの普及によって、ゴルフの大衆化を一気に進める青写真がそれ。同社は5月以降、全コースでスルーに対応し、約6割に相当する80コースを「スルー専用」にするという思い切った手を打った。 短期的にはランチ収益の減少、ツーサムプレーの積極化やスタート間隔を空けるなどで入場者減も予想されるが、 「業界は今後、若者と女性ゴルファーを増やす必要がある。その意味でスルーの普及は、中長期的に見ればゴルフの大衆化に寄与できます。コロナでピンチをチャンスにしたいですね」 ゴルフ場運営の最大手が、80コースを「スルー専用」に切り替える大英断。そのあたりの詳細はGEW6月号に掲載する。
    (公開)2020年05月18日
    スポーツ小売最大手のアルペンはこのほど、4月の業績を発表した。これによると既存店ベースでの売上は前年同月比45・4%減、全店でも46・2%減とほぼ半減。同社によれば、 「新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言による自粛の影響で、当初想定していた売上が大幅に減りました」 そのため、経費削減の一環として役員報酬を大幅に引き下げる。5月から9月までの5か月間、代表取締役は月額報酬の50%、常勤取締役は10%の減額を決めた。 政府は先頃、緊急事態宣言の延長を5月末までと発表したが、出口戦略が示されずに厭世観が漂っている。コロナ禍は「政治不況」の色も帯びはじめ、小売市場を直撃した。 首都圏を中心に26店舗を運営する有賀園ゴルフは、緊急事態宣言以降8店舗を休業したが、営業を続ける店舗の売上は平均35%減で4月を終えた。この業績について有賀史剛社長は判断に苦しむ様子でもある。 「悪いと言えば悪いし、さりとて健闘と言えなくもない。もっと悪化することを予想していたので、どちらかと言えば健闘でしょうか」 同社が休業した8店舗は百貨店やアウトレットのインショップが中心で、施設自体が休業したため営業の続行を断念。また、都心部の新橋、神保町店も出勤自粛により客足が見込めず、臨時休業に踏み切った。その反面、利益率は高まったという。 「利益の落ち込みは3割なので、利益率だけを見てみると7~8%改善しています。セールのDMや新聞広告を全面休止したことと、このような状況で来店客の値引き要求がなくなったこと。この2点が大きいです。会社としてもコロナを機に様々な工夫をしているので、今後の展開につなげたいですね」 <h2>3割減でも明るい広島</h2> 有賀社長が話す「工夫」の詳細は後述するが、広島県で4店舗を運営する広島ゴルフショップも4月の売上は3割減と苦戦した。しかし、山田一夫社長の声は意外に明るい。 「今は『コロナの雪』が積もっていますが、いずれ雪解けするでしょう。5月中は厳しいけど、6月に市場は動くと見ています。その後、新しいゴルフ界がはじまりますが、それは世情の動きと無縁ではありません」 どういったことか? 同氏が指摘するのは、コロナを経験したことで働き方が急速に変わり、ゴルフの位置づけも変わるということらしい。 「これまではひとつの会社に勤めて、一日8時間労働が当たり前でした。それがコロナを経験したことで、優秀な人間は時間に縛られず、複数の仕事を同時にこなすようになる。すると出会いも増えてきます。 ゴルフはビジネスの縁を取り持つのに最適だし、新しい仕事が次々に生まれる中で商機が広がる。従来の価値判断はお金でしたが、これからの価値観はヒトですよ。人の出会いがもっと大事になってくれば、ゴルフの価値も高まってくる。新しい時代の幕開けです」 同氏は6月以降、そのような視点で施策を考えていくという。詳細は明らかにしていないが、そもそも同社は顧客への提案や催事を積極的に開催し、大手専門チェーンが版図を拡大する中で県内4店舗の牙城を守ってきた。地元有力者とのパイプも太く、となれば「二世会」や異業種交流の拠点としてゴルフショップの新たな価値が創造できる。 「おたくもね、メディアだけやってる時代じゃないですよ。もっと挑戦しなければ」 と、本誌にエールまで送ってくれた。 <h2>売場は濃厚接触の恐怖と戦っている</h2> 前出の有賀社長もアフター・コロナの青写真を描いているが、その中身を一問一答で紹介しよう。 <strong>コロナを機に、どのような青写真を描いているのか?</strong> 「たしかに売上は厳しいけど、利益率は上がっています。直接的な要因は3月以降、DMや新聞への宣伝広告をゼロにしたことが大きくて、5月も予算を使わない予定です。政府は5月14日、出口戦略を発表しますが、それを見て6月以降のマーケットが動くことを期待しています。 ただ、期待するばかりではなく、同時に体質改善も進めています。新横浜店の販売員は常時13~14名体制でしたが、今は最大6名でまわしています。雇用調整助成金を使いながら出勤調整をしてますが、これによりいろんなことが見えてきた」 <strong>たとえば?</strong> 「これまで当たり前にやってきたことのムダですね。ぼく自身、今日は6店舗まわりましたが、現場を見る重要性はありつつも、移動や会議の在り方はもっと合理的に進められる。販売員の人数も、雇用を守るのが前提ですが、少数精鋭によるスキルアップや効率的なローテーション。1店舗に専従しない在り方も考えていく必要があります」 <strong>メーカーとの関係性も見直す必要がありますか。</strong> 「見直すというよりも、いろいろ思うことはありますよ。メーカーと小売りは運命共同体だと思ってますが、我々小売りは日々、コロナに怯えながら接客しています。その一方、メーカーはテレワークで在宅勤務じゃないですか」 <strong>メーカーは安全地帯にいると。</strong> 「ええ。運命共同体ということであれば、店頭に来て支援してもらいたいし、我々の厳しい日常をもっと理解してもらいたいとも思います。ただ、ヨネックスなど国内メーカー3社は、マスクを200枚ずつ送ってきました。それぞれ社員の人数分で、マスクが足りなかった時期だけに涙が出るほど嬉しかったです」 <strong>メーカーの支援という意味で、支払い面でのサポートはどうですか?</strong> 「それは個別の話し合いですが、支払いの猶予を2か月延ばしてくれたり、店頭在庫を半分返品で受けてくれるところもあり、その面では非常に感謝しています」 <strong>反転攻勢の時期はいつぐらいですか。</strong> 「現状、6月から積極的に打って出ようと思っています。4月は不測の事態として、タレントの石田純一さんがゴルフ場で罹患して来客が一気に減りましたが、今後は一人10万円の給付金もある。 当社の顧客は生活に困っている人が少ないので、声高に言うことじゃないかもしれませんが、給付金がゴルフ需要にまわる可能性もありますから、いろんな刺激策を考えます」 コロナ禍に沈んだ4月のゴルフ市場だが、この間、様々な善後策を考えている様子。前出の山田社長がこう話す。 「この数か月はジッと耐えてきましたよ。外に飲みに行くこともなくなった。でも、この間いろいろ考えました。逆に言えば、コロナ自粛の期間中に何も考えなかったところはダメでしょうね。 世の中は大きく変わります。むしろワクワクしています」
    (公開)2020年05月09日
    日本ゴルフ協会(JGA)と全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)はこのほど、日本民間放送連盟(民放連)に「報道是正」の申し入れをした。ゴルフ関連施設をパチンコ店と同列に報じてもらいたくない、との主旨。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い多くの業種が休業する中、屋外のゴルフ施設は休業要請の対象外となった。しかし、ゴルフを楽しむ姿がパチンコ店の行列と関連付けて報じられ、世間の反感を買っている。これを重く見たもので、JGAの永田圭司副会長は、 「緊急事態宣言が出るまでは、自然と触れ合えるゴルフは健康的という風潮がありましたが、宣言が全国に拡大され、さらに5月末まで延長される中で、ゴルフだけ自粛しないことへの風当たりが強くなってきた。一部の有名人がゴルフ場で罹患したニュースも拍車を駆けています。 そのような状況でJGRAから、ゴルフに関わる報道が過度にマイナスイメージを与えることに疑問が呈され、要望書を出したという経緯です」 要望書は以下の内容だ。 <strong>(新型コロナウイルスの拡大で)全国のゴルフ場やゴルフ練習場の多くが存続の危機に直面しております。そのような中、政府からの指導にもある3密を避けながら出来るゴルフは、各ゴルフ場やゴルフ練習場が様々な工夫をしながら営業をしております。</strong> <strong>ゴルフ施設は、国が掲げる感染防止コントロールをしながら、運動の推奨が同時に満たされる場である一方、最近の報道を拝見しますと、あたかもゴルフ関連施設に人が集まって「密」の状態を誇張するようなシーンやコメントが見られ、自粛要請対象になっていないにも関わらず、パチンコ店や飲食店と同じように扱われております。</strong> <strong>このような報道が、いわゆる「自粛警察」のターゲットになり、自主的な閉鎖に追いやられ、結果営業を続ける施設に人が集まり、利用者の集中や混雑を生むという悪循環を生み出しているように思われます。</strong> <strong>つきましては、メディア、特に影響力の大きいテレビの報道において、必要以上に今回のコロナウイルスと関連付ける形で、ゴルフ関連施設を取り上げた内容を放送しないようお願い申し上げる次第です。</strong> この書状での特記事項は、「パチンコ店と関連付けて報道される」ことへの見直しである。JGRAの横山雅也会長は、 「特に1週間ほど前から多摩川の河川敷練習場を空撮した映像が頻繁に流れ、パチンコの行列と同じ扱いで報道されるようになったのです。いわゆる『自粛警察』からクレームが入り、中には脅迫めいた抗議もあった。我々としては2・5mの打席幅を設け、3密を避ける対応をしてますが、空撮ではそれもわからない。 コメンテーターの話も一方的なので、どうにか是正できないかと。それが申し入れの主旨でした」 JGAとJGRAは、ゴルフ関連16団体が加盟する日本ゴルフサミット会議のメンバーだが、今回2団体で要望に踏み切ったのは、急激にクレームが強くなり、ゴルフのマイナスイメージ助長を懸念したことが大きい。業界全体のコンセンサスを得る前に迅速な対応を優先した。以下、永田副会長、横山会長との一問一答を掲載する。 <h2>JGA永田副会長との一問一答</h2> <strong>一連のコロナ報道でゴルフへの逆風は感じますか?</strong> 「それは、やはり感じますね。ゴルフは自然の中でプレーできる健康的なスポーツですが、みんなが自粛で耐えている中、ゴルフだけやっているのはおかしいという風潮が強まっています。一般的な印象としては、ゴルフ場は限られたメンバーであり、それ以外の人は利用できないと見られていることもあるでしょう」 <strong>「それ以外」というのは、ゴルフをしない9割以上の国民も含めてですか。</strong> 「そうですね」 <strong>となると、ゴルフのネガティブイメージが加速する。特権的だし自粛にも協力しないとなれば、風当たりは強くなるでしょう。コロナを機に、ゴルフ界からメッセージを出す必要もありますね。</strong> 「今回のコロナ問題は、人類に対する大きな課題だから、ゴルフだけがどうこうというのは難しいと思います。コロナはかなり手強いし、部分的に解除されるとしても、長期戦を覚悟する必要があるでしょう。 ただ、ゴルフ界としてのメッセージは、考えていないわけではありません。利用税がなかなか廃止されないことを含め、ゴルフが穿った目で見られることも承知していますので、スポーツとしてのゴルフの魅力をどうやって発信していくのか。これは大事な課題だと考えています」 <strong>5月中にはメッセージを発信する?</strong> 「具体的なことは言えませんが、トーナメントも開催できず、それ以外にもいろんな業種が傷んでいます。ゴルフ界よりもっとひどいところもありますので、世情を睨んでのことになるでしょう」 <strong>日々、状況が激変する中、メッセージを出すタイミングと中身が難しい。</strong> 「はい。どのタイミングでどんなメッセージを出すのかは、非常に悩ましいところです。我々としてはUSGAが様々な対策を講じており、それらを参考にしながら判断したいですね」 <strong>民放連に対しては、要望書の通達以外に何かアクションは考えていますか。</strong> 「いえ、今回に関しては要望書を送っただけで、それ以外は考えていません」 <h2>JGRA横山会長との一問一答</h2> <strong>民放連に要望書を出した経緯を教えてください。</strong> 「特に1週間ほど前から多摩川の河川敷練習場を空撮した映像が頻繁に流れ、コメンテーターの否定的な意見やパチンコの行列と同等に扱う番組が増えたのです。それでいわゆる『自粛警察』から脅迫めいたクレームも入りました。 これは看過できない、もっと正確な情報を伝えてもらう必要があると考えて、JGAに相談したわけです」 <strong>視聴者からのクレームは、JGRAに対してですか?</strong> 「いえ、個々の事業者に対してで、メールや電話もありました。かなりキツイ言葉もありましてね。それで民放連に『お願い』という形で要望書を出しましたが、トーナメントスポンサーの団体であるトーナメント振興協会のルートからもお願いしています。 スポーツ局と報道局の違いはあるにせよ、どうにか伝えてもらいたいと。それで振興協会のルートも使ったわけです」 <strong>練習場は昨年、台風による鉄柱倒壊もあった。今回のコロナで営業中の施設も多いですが、周辺住民からの風当たりや白眼視は感じますか。</strong> 「白い目で見られる、営業しにくいという感じはたしかにあります。ですから、連盟としてはゴルファーに訴え掛けることも必要で、ホームページには『健康維持、ストレス解消の範囲内で皆様のお役に立ちたい』というメッセージを掲載しています。 ただ、国民の8割が接触を避ける、外出自粛という目標の中で営業しているわけだから、難しい面は多々あります。『格別のストレスがない場合は来場を控えてください』というメッセージも発信するなど、悩みながらやっています。 営業しないと生きていけない。これは飲食業に顕著ですが、我々も同様です。屋外のゴルフ施設は休業要請の対象外ですが、人々の健康とストレス解消に役立ちながら、どうやって周囲の理解を得ていくのか。本当に難しい課題ですよ」 <strong>ゴルフ界から外部へのメッセージという意味では、多分、今回の要望書が初めてじゃないか。ネガティブイメージ醸成への焦りがあった?</strong> 「そうですね。連盟内にコロナ対策本部を設け、7地区の代表者と10日に1回、ズーム会議を開いていますが、日々状況が変わる中でスピーディな対応を心掛ける。そのため敢えて今回は、他団体に諮ることなく、JGAとの連名で要望書を出しました」 以上、一問一答を掲載した。 民放連への異例の「お願い」は、同じ映像を繰り返し流すテレビ局の悪癖を突いたものでもある。映像の使い回しは番組の制作コストを下げられるため、テレビの定番コンテンツになっているが、その結果、視聴者への刷り込みや「自粛警察」の培養にもつながっている。魔女狩り的にゴルフが悪者になるわけで、今回の要望書は「言うべきは言う」という姿勢の表れだろう。 いずれにせよゴルフ界は今後、ゴルフをしない9割以上の国民に理解を求める一方で、ゴルファーには施設の有効利用と自粛を同時に訴える難しい舵取りが迫られる。それだけに、ゴルフ界からのメッセージが不可欠だ。感染率が一定のレベルに下がった段階で、市民にゴルフ場を開放するなど業界挙げての施策も必要だろう。 コロナに掛けて、9月6、7日の2日間、全国のゴルフ場が一斉に散歩コースとして開放すれば、世間に与えるインパクトは大きいはず。
    (公開)2020年05月05日
    ゴルフアパレルメーカー、スタッツの片山良二社長はコロナ禍で翻弄された一人。1、2月は中国など各国のサプライチェーンが寸断され、発注した商品の納期遅れが懸念されたが、今はまったく逆の状況だとか。供給先の小売店、特に多くの百貨店が自主休業に入った結果、 「受注会で成約した商品は納品しましたが、追加分は小売り側の受け入れが難しく、生産しないほうがいいと判断しています」 先々月までは納期遅れにやきもきし、今は商品がないほうがいいという。翻弄というのはその意味だ。 同社の主力ブランドは『カミーチャースポルティーバプラス』で、コンセプトは「大人のラグジュアリー感漂うゴルフウエア」というものだ。価格はパンツ1万5000~2万円、ウエアは1万~1万5000円が中心で、百貨店や高級路線のゴルフ場(太平洋クラブ等)を販路としてきた。 ところが一連の影響で、新たな生き残り策を考える必要が生じてきた。コロナ自粛のさなかにあって、片山社長、真剣に次の一手を探るのだ。そこで閃いた答えが面白い。 「ゴルフアパレルを『仕事着』にしたい。そこに活路を求めます」 どういったことか? 「コロナの影響でテレワークが進んでいます。するとビジネススーツの需要が減り、『街着』が注目されるはず。とはいえルーズな普段着で仕事をするのは抵抗があるから、やり方によってはゴルフウエアが代替できると考えたのです。 ゴルフウエアならではの機能性やラグジュアリー感を訴求して『仕事着にゴルフウエア!』とPRすれば、チャンスはあると思います」 ゴルフウエアには多彩な機能が満載だ。吸湿速乾やuvカット、動きやすい縫製やストレッチ性、あるいはシャリ感といったように快適な肌触りも備えている。デザインも、ビジネス用として十分通用するから、ゴルフアパレルより遥かに大きな市場に打って出られる。 同氏は元々ワールドの出身だけに、紳士服事情に通じており、それも発想の背景にあるはずだ。 コロナ→テレワーク→ゴルフウエア→仕事着の四段論法。他のゴルフアパレルメーカーも追随すれば、新たな市場確立となるかもしれない。 <h2>チャンス到来で「3K」払拭</h2> 緊急事態宣言が全国に拡大された4月はゴルフ用品市場も急降下。売上半減のショップも多く、コロナの収束が見えない中で市場には濃い霧が漂っている。 が、意気消沈しているところばかりではない。マスク不足で中国依存を脱しようと、多くの異業種がマスクを国内生産し、素材も国内で作るなど「メイド・イン・ジャパン」が加速中。ゴルフクラブの生産にも同様の動きが見えはじめた。 昨年、日本に輸入されたクラブは371万4266本、そのうち中国製は297万564本で8割を占めたが、今春はコロナで大混乱。チャイナリスクを嫌気して、国内回帰の兆しがある。 その恩恵を受けそうな1社が栃木県のササキで、いわゆるOEM工場だ。既に大手数社のクラブを下請けで一貫生産しているが、 「中国に頼らない生産体制の構築は、この国の課題だと思います。ゴルフクラブも同じなので生産強化に努めたい。具体的にはキャパアップ、コストダウン、納期のスピード、人材育成です」 佐々木政浩社長はチャンス到来を前にして、緊張感を漂わせる。それは、国内回帰を背負う緊張だ。 これを実現するためには「3K」イメージの払拭が不可欠だという。いわゆる「きつい」「きたない」「危険」というものだが、佐々木社長は具体的な施策を打っている。 「今年2月下旬、品質マネジメントの国際規格であるISO 14001と環境マネジメントシステムのISO 9001を取得したのです。特に前者の『14001』は、3Kと言われる製造業において従業員が働きやすい環境を実現するもので、優秀な人材の確保につながると思っています」 国際規格の取得は、3Kイメージの払拭に向けた覚悟の表れといえる。 その文脈で同氏はイメージの重要性を指摘する。一時、接待ゴルフに依存したゴルフ界はその反省から、個人需要を促すポケットマネーゴルフの下地作りに注力したが、接待ゴルフを否定するのではなく、呼び方を変えればいいと考える。 「接待ゴルフを『コミュニケーションゴルフ』に変えて、業界全体で訴求することです。そうすれば昔のイメージが払拭されて、より幅広くゴルフを利用してもらえると思います。要はイメージの問題でしょう」 コロナ自粛の時間にあって、そんなことも考えている。 <h2>無償提供でスクールを支える</h2> アナザーショットゴルフという会社がある。オンラインレッスンなどゴルフスクールを運営するためのシステム提供が主業務だ。 「ところが、コロナの影響で室内のゴルフスクールは休業状態。退会者が相次いで、当社の新規営業も止まってしまった」 佐々木光英社長は嘆く。そこで同社の機能を無償提供して、スクールの支援に乗り出す構え。 「多くのスクールが退会者の増加を食い止めようと、オンラインレッスンや自宅でできるドリル動画の配信に注力しています。当社にはオンラインレッスン動画のやり取りができる機能があるので、これの一部無償提供を決めました」 簡単にいえば、同社にはスクール運営の基幹システムがあり、予約、オンラインレッスン、電子カルテをクラウドで提供。その機能の一部を提供するものだ。この分野ではトップシェアで、ブリヂストンスポーツ直営のインドアスクールや有賀園ゴルフ杉並店が同社のカルテを導入している。 「クラウドサーバーのソフトを利用するため、新たなソフト開発が必要なく、導入コストを下げられます。一連のシステム名は『AGSスクール』で、月額利用料は5万円。5月末まで一部の機能を無償で提供します」 濃厚接触を避けるため、各所でオンラインスクールが広がっている。簡便なのは、練習場のスクールが休止となり、職を失ったレッスンプロがスマホで動画配信するなどだが、これ以外にも大学の体育授業でゴルフの「オンライン講義」を採用するなど、eスクールは今後のカギになりそうだ。 コロナ禍で無償提供を決めた佐々木社長、スクール支援とシステムの普及を一気に進める考えだ。
    (公開)2020年04月28日
    政府は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を予防する目的で7都府県(東京、千葉、神奈川、埼玉、大坂、兵庫、福岡)に緊急事態宣言を発出、これを受けて東京都は10日、他府県に先立ち休業要請対象の7施設(遊興、大学等、運動、劇場、展示、集会、商業施設)を発表し、6府県もこれに準じる方針を明かしていた。 その後足並みが乱れたが、本日16日、埼玉県が最終確定したことで、7都府県での「運動施設」におけるゴルフ場、ゴルフ練習場の扱いが決まった。屋外のゴルフ場、ゴルフ練習場は休業要請の「対象外」、屋内のゴルフ練習場は「使用停止要請の対象」で統一される。 埼玉県に確認した日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事によると、 「事前に一部のメディアが埼玉県の扱いについて、屋内外を問わずゴルフ場、ゴルフ練習場とも休業要請の対象と報じましたが、本日、埼玉県の最終決定により改めて内容が決まったので、この点を周知していきます」 当初、東京都はゴルフ関連施設を総じて休業要請の対象にしたい考えだったが、経済の停滞を最小限にとどめたい国との間で綱引きがあった。結果、都では屋内を除くゴルフ関連施設は「対象外」となり、他府県の動向が注目されていた。 7都府県の屋内ゴルフ練習場が休業要請の対象になったことで、インドアを中心にレッスン活動を行うプロゴルファーの生活不安が深刻化しそう。約5600人の会員をもつ日本プロゴルフ協会(PGA)にも対応が迫られるが、伊藤靖士広報部長は現状を次のように説明する。 「会員の大半は個人事業主なので、休業補償に関わる情報共有は大事ですが、自治体によって対応が異なる部分もありますので、現状、詳細は掴みきれていません。取り敢えず『中小企業金融給付金相談窓口』の連絡先を、今日発送するDMに明記したところです」 PGAの対策はこれまで、会員向けの連絡網を通じて「コロナ対策ガイドライン」の情報共有が主だという。検温を徹底して37・5度以上の場合は指導しない、体調不良者が出た場合は即座に中止、指導者と生徒にマスクを義務付け、1打席分の間隔を空けるなど、計19項目にわたり示している。 「本日現在、会員でコロナを発症したとの連絡はありませんが、そのあたりの情報を何らかの形で集める必要性は感じています。予防対策を徹底して、会員の意識を高めたい」(伊藤部長) PGAは先頃、今年のプロテスト延期を発表したが、会員数は業界最多であり、そのほとんどが立場の不安定な個人事業主。それだけに、迅速かつ細やかな対応が求められる。 なお、政府は本日、緊急事態宣言の対象を全都道府県に広げる調整に入ったとされ、休業要請の対象施設も7都府県に準じる可能性が高い。
    (公開)2020年04月16日
    新型コロナウイルスの感染者が世界で200万人に迫る中、全米プロゴルフ協会、PGAツアー、R&amp;A、USGAなど7団体は先頃、以下の共同声明を発表した。 「今はパンデミックの影響により全ての人が困難な時です。各組織はそれぞれの保険局の指示に従いながら、安全が確保でき責任が持てる場合に大会を開催します」 これに伴いR&amp;Aは今年の「全英オープン」を中止、来年セントジョージズで開催すると発表した。6月の「全米オープン」は9月に、5月の「全米プロゴルフ選手権」は8月に延期。4月の「マスターズ」も11月の開催を発表した。 目を国内に転じると、本日現在、女子ツアーは11戦目の「ほけんの窓口レディース」まで、男子も5戦目の「ミズノオープン」まで中止(関西オープン延期含む)され、今後も開幕の目処がまるで立たない。これにより女子は約10億円、男子は6億円近い賞金が消えたことになる。 日本ゴルフツアー機構(JGTO)元副会長の大西久光氏は、厳しい口調でこう語る。 「ただでさえ不人気の男子ツアーは今後、大会スポンサーが減るかもしれません。今回のコロナウイルスは、世界のあらゆるシステムが一度『白紙』に戻る機会だと思いますが、職場をなくした男子プロも今後の在り方を白紙で考えるべき。 この期に及んで考えることさえしなければ、単なるアホとしか言いようがありません」 同氏は現在、ゴルフ緑化促進会(GGG)の理事長を務めているが、過去には国内初のトーナメント運営会社を設立するなどツアー界の礎を築いた人物。それだけにコロナ禍になす術もなく、呆然と佇むプロゴルファーに喝を入れる。 先頃、3期目の会長に選出された青木体制の舞台裏を含め、JGTOの現状を厳しく問う。以下、一問一答を再現しよう。 <h2>これで変われなきゃアホですよ!</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2017/03/170317_onishi2.jpg" alt="これで変われなきゃアホですよ!" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-36575" /> <strong>新型コロナウイルスとゴルフ界、特に男子プロと関連付けてどのような印象を持ってますか?</strong> 「ひとつ言えることは、コロナウイルスは世界のあらゆるシステムや考え方を含め、すべてを一度『白紙』に戻す契機になるんじゃないか。職場を失くしたトーナメントプロも、今後の在り方を白紙で考えるべきですよ。 この期に及んで考えることさえしなければ、単なるアホとしか言いようがありません」 <strong>何をどのように考え直すのか、具体的なヒントをください。</strong> 「その前に、過去のゴルフ界を簡単に振り返ってみましょう。そこに考えるヒントがあると思いますから。 まず、バブルのピークは30年前、1990年です。それが崩壊して、経済の縮小とデフレが始まった。ゴルフ業界もコースや用品市場など軒並み売上を下げましたが、トーナメントの賞金額だけが2倍近く上がっているんです。 特筆すべきは97年4月、消費税率が3%から5%に上がり、ゴルフ関連の売上数字が全部落ちた。それでも賞金額は上がり続けてるんですね。視聴率も上がらない、ギャラリー数も増えないのにです。 そのことを選手は真剣に考える必要がありますよ。特に上位の選手は、試合数が少なくて賞金が高いから効率的に稼げるじゃないですか。 そんなぬるま湯に浸かっていること自体が問題なので、コロナで試合がなくなったこの時期にトーナメントプロとは何者なのか、なぜ大会を開いてもらえるのか、この点を真摯に考える必要があるわけです」 <strong>なぜ賞金だけが上がったんですか?</strong> 「まあ、諸々の要因があると思います。元NHKの会長だった海老沢さんがJGTOの会長を務められた時、スポンサーに値上げをお願いしたこともありましたし、スポンサーにしてみれば賞金が高い方がPR効果が上がると考えたこともあるでしょう。 実際、これはバブル前の話ですが、ぼくがプロデュースしたダンロップフェニックスの賞金を2億5000万円にしましてね、当時は全英オープンと比肩する額だった。それで世界の一流選手を呼んで本気にさせたわけですが、他のスポンサー企業のトップから『あまり上げないでくれ』と言われたこともありました(笑)」 <strong>そこはインフレとの連動があったのでしょうが、バブル崩壊から30年、この間賞金が上がり続けたのはスポンサー企業の見栄ですかね。うちはこれだけ払えると。</strong> 「まあ、マスターズの場合は観客が増えて入場料収益が高まれば、比例して賞金も増えますが、日本の場合はギャラリー数と賞金は連動しません。ツアー公認の最低額は賞金総額5000万円で、すると選手は安い大会を休んで高額大会に備えるとか、そういった傾向も指摘されます」 <strong>冠スポンサーの出費は、1大会につき賞金総額の3倍と言われますね。ギャラリースタンドやその他諸々のコストが掛かる。すると1億円大会で3億円、2億円大会で6億円です。</strong> <strong>企業の経常利益率を売上の5%とした場合、120億売って6億の大会ができるという計算も成り立ちますが、これは冠企業の社員が汗水垂らして稼いだ金でもある。安い大会は休むという姿勢自体、厳しく問われるべきですね。</strong> 「トーナメントの総コストは、以前はたしかに3倍でした。最近のことは知りませんが、それでも2~3倍ほどだと思います。 おっしゃるように自分達の賞金がどこから来ているのか、それを思えば感謝の気持ちも生まれるはずです。それがなければスポンサーも払う金額への見返りが期待できないし、大会はさらに減るでしょう」 <strong>ひと昔前、ゴルフメーカーの売上は1営業マン当たり1億円という目安がありました。今はそれより遥かに下がってますが、仮に1億円として、120億作るには120人が丸一年、必死に働いた成果です。</strong> <strong>その利益(賞金)をプロゴルファーはたった4日間のゴルフで持っていく。ここに思いを致さないと本当の感謝は生まれません。</strong> 「まったくですなあ。経常利益で5%とすれば売上は20倍。それで総経費3億円の大会とすれば60億円の売上が必要になるし、6億円とすれば120億。これに匹敵する価値をトーナメントが生み出しているのかと言えば、これはまったくないですよ。 すると何が起きるのか。昔はワンマン社長が独断で『大会をやるぞ』と決めましたが、今は役員会に諮られる。そこで『60億の価値があるんですか?』と詰め寄られれば、返す言葉はありませんよ。 大会コストはテレビCMのように連続的な経費ではなく、一回で大きな塊として出る。現状はコロナで中止ですが、それでコストの塊が消えれば経営は一気に楽になる。まして今はコロナで先行きがまったく読めないから、トーナメントの継続を見直そうと考えて当然です」 <strong>スポンサーをやめさせない対策はありますか?</strong> 「その私案を考えている最中ですが、ひとつは冠スポンサーへの依存度を下げることです。あらゆるプロスポーツが肥大化して、サッカーのトップ選手は年俸数十億円とか異常なレベルになってますが、この話は五輪も同様で、健全化を目指す上でダウンサイジングが必要になる。 ゴルフの『冠方式』はわたしが作ったシステムですが、あれはインフレ時代のやり方ですよ。 デフレ時代に合わせるという意味では、たとえば賞金総額の上限を1億円にして、個々のスポンサーニーズを細かく分析する。この大会のスポンサーはテレビ中継を求めないから中継コストを削減できるとか、地域密着型でやりたいなら、大掛かりな観覧席や沢山の簡易トイレも不要になる。 要するに、ニーズを細かく分析して個別に企画を練ることです。『冠方式』の1社依存型は、早急に改める必要があるでしょうね」 <h2>ジャンボ尾崎が開示請求</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/06/onishi-2.jpg" alt="大西久光" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-45006" /> <strong>トーナメント改革を進めるには、選手の意識改革も不可欠ですが、その意識が極めて低い印象です。最近の話でいえば青木会長の3選を巡る紛糾もありましたが、結局は選手会が問題意識を共有できず不発に終わった印象があります。</strong> <strong>簡単に言えば、青木会長と個人的なつながりが深い3人の理事が独断専行的にコトを進める。利益誘導や相反が疑わしいから、3人の理事を外してくれと一部の選手が反旗を翻した。で、3月末の総会で結果が明らかになるはずだった。</strong> 「わたしはJGTOを離れて久しいので、伝聞の部分もありますが、まず、ツアーの出場権を持つ205名の選手が投票権を持っています。そのうち41名が先の理事を外す嘆願書に署名するという動きが総会前にありました。 基本的に理事候補は一人ずつ承認されるわけですが、その要求がなければ一括でまとめて承認されます。 今回は結局、41名分の嘆願書が提出されず、承認も一括になったようです。まあ、事前に選手に対して何らかの働きかけがあったんでしょうね。総会ではどの理事が何票取ったかの開示もありませんでした」 <strong>開示義務はないんですか。</strong> 「開示請求がなければ問題ありませんが、投票権を持つ選手が1人でもこれを要求すれば開示義務が生じます。そこで今回の総会後、執行部に不満を持つ有志が集まって、ジャンボ尾崎に開示請求の代表になってほしいと頼んだそうです」 <strong>なるほど。ジャンボはそれを受けたんですか?</strong> 「はい、それで彼の署名と判子をついた書状を送達したと聞いてます。結果はまだわかりませんが、近く公表されると思いますよ」 <strong>編集部注 採決の結果はJGTOのHPで「別表」に公開された。特記事項は2号議案の昨年度決算報告で賛成97、反対86票、3号議案の理事選任で上田昌孝氏が賛成97、反対86票と拮抗した以外は賛成多数。</strong> <strong>ジャンボ尾崎が代表者名というところに、青木会長との確執を感じさせますが、それはともかく、理事になるための得票数は?</strong> 「過半数だと思います」 <strong>開示して過半数に未達の理事がいたら大問題ですね。</strong> 「それは当然そうでしょう。ただ、それ以前に問題なのは、選手の意識レベルが低いこともありましてね、18人の理事には選手も含まれるわけですが、執行部に問題があったなら、選手会の総意をまとめて反対すればいいんです。 それがね、わずか205人の考えを確認することもせず、白紙委任状が多かった。一体、何をやっているんだと。 試合がないのはコロナが悪い。理事の責任じゃないと執行部は言うかもしれませんが、選手はこれを鵜呑みにして他人任せにしている印象が強い。つまり、何が問題かわかっていない選手が多いんでしょうな。プロゴルファーの低い意識が一方の問題だと思いますよ」 <strong>執行部の問題として、具体的に何が指摘されますか?</strong> 「一例としてAbemaTVツアーの今後があります」 <strong>アベマはいわゆる下部ツアー。レギュラーツアーに届かない若手に実戦経験を積ませる大会ですね。</strong> 「おっしゃるとおりです。アベマとの契約は3年間で、今年末に更新時期を迎えますが、コロナの影響で軒並み開催の目処が立っておらず、来年の継続は微妙です。 で、そもそもの話をすれば、アベマは当初1年契約を強く望んだわけですが、当時の執行部が人脈を辿り、アベマの藤田さんに影響力のある人を介して3年契約にした経緯があります。つまり、トーナメント営業を司る執行部には情熱と人脈、相手を説得する力量が求められるわけですよ。 先ほどの話、現在の理事にそれがないとすれば、アベマは更新されないでしょう。すると若手は実戦経験を積む場を失い、世界との実力がますます開いてしまう。これは大きな問題ですよ」 <h2>古田敦也と時松隆光</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2017/03/170317_onishi1.jpg" alt="170317_onishi1" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-36577" /> <strong>そこで思い出すのが「プロ野球労組」のストライキです。当時ヤクルトの古田敦也が先頭に立って、球団の減少と1リーグ制に猛反対した。相手は読売や西武のトップなど錚々たる企業人だったにも関わらず、結果的に引っ繰り返した。</strong> <strong>そんな大太刀周りを時松選手会長に求めるのは酷だとしても、ちょっとレベルが違いますね。プロゴルファーは個人事業主。それが教育なり連帯なりの脆弱につながっていると思えます。</strong> 「たしかに個人事業主という面はあるでしょうが、それ以上に個人競技の面が強いんだと思いますよ。以前、サッカーの川淵さんに『ゴルフは個人競技だから教育が大変でしょう』と言われたことがありますが、まったく頷ける話です。 サッカーは11人、野球は9人。いずれもチームプレーだから日々の練習にも連係が求められるし、チームに悪影響を与える選手は外に出されてしまう。つまり職場を失うことになりますから、どんなに個性的な選手でも、一人では勝てないという意識が染み込んでいるわけですよ。 ところがゴルフは、自分さえ強ければいい、稼げればいいという世界でしょ。そのような自分本位が災いしてるわけですよ。 今回の理事選に見られるように、仮に選手の為にならない理事がいたとして、それを否認する意志さえ示せないとすれば、選手全員の責任ですよ。 ただでさえ試合が減っているのに、ましてコロナでこんな惨状になっているのに、それでも自分達の職場を改善する努力を放棄するなら、これはまったくアホですよ」 <strong>選手会を労働組合と位置付ければ、団交で休業補償を要求することも必要でしょうが、そのような話はまったく聞こえてこない。一部の上位選手は金持ちかもしれないけど、中堅以下は苦しいでしょう。</strong> 「まったくですね。選手は獲得賞金の3%を機構に収めるわけですが、すると年間9000万円です。コロナで職場を失った時期だからこそ、休業補償すべきだし、そのような話が聞こえないところに組織的な欠陥があると思いますね。 もうひとつ指摘したいのは、男子も女子も同じですが、1試合ずつ中止を発表している。たしかにコロナの今後は誰にもわかりませんが、だとしても中期的な方針なり考え方をきちんと発表すべきですよ。じゃないと選手もファンも不安だけが募ってしまう。 もっと協会が主体になって、試合がなければそれに代わる企画を選手と作って、ゴルフネットワークとの連携で積極的に流すとかね。選手もギャラを受け取らず、ファンと一緒にコロナと戦う姿勢を見せるとか。 試合がないときに何ができるのかがその選手の本質的な価値ですし、だから日頃、高い賞金をもらえるわけですから」 <strong>球打ちが上手いだけで高額賞金をもらえると思ったら大間違いですね。</strong> 「おっしゃるとおり(苦笑)」 <h2>「ゴルフ精神」に本質がある</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/06/onishi-1.jpg" alt="「ゴルフ精神」に本質がある" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-44935" /> <strong>意識的にも組織的にもレベルが低い。それはゴルフ界の教育制度に問題があるわけですか?</strong> 「そうですね。これは自分自身の反省も大いにありますが、強いプロを作ることに精力を注いで、ゴルフ精神を教えることを疎かにしてきました。昔、ダンロップのジュニアスクールを開いた時に、スコットランドの指導者を招きましてね、こんなことを言われたんです。 『ミスター・オオニシ、技術指導はわかったけれど、エチケットとマナーはいつ教えるのか?』と。この言葉に赤っ恥をかいた思いがしましてね、なぜなら指導マニュアルにはエチケット・マナーがなかったからです。今もその状況はあまり変わっていないと思います。 残念なのは、2019年のルール改定で、冒頭の『ゴルフ精神』が削除されました。第1章の『エチケット』で示された文章にゴルフの本質があるわけで、非常に残念なことだと思います」 <strong>編集部注 「ゴルフ精神」要約</strong> <strong>(前略)ゴルフゲームは、プレーヤーの一人一人が他のプレーヤーに対して心配りをし、ゴルフ規則を守ってプレーするというその誠実さに頼っている。プレーヤーは皆、どのように競い合っている時でもそのような事と関係なく、礼儀正しさとスポーツマンシップを常に示しながら、洗練されたマナーで立ち振る舞うべきである。これこそがまさに、ゴルフ精神なのである。</strong> <strong>「ゴルフ精神」は美文だし、崇高な精神が謳われている。これを削除したのは、世界的にゴルフ人口が減少する中、精神性に偏り過ぎると敷居が下がらないという判断があったんでしょうか。</strong> 「その点はよくわかりませんが、『ゴルフ精神』の普及はゴルフの活性化を阻害するどころか、正しく普及するために大切な柱だと思っています。ルールを守る、他人に迷惑をかけない、自分のことは自分でする。 以上に加えて、自然が相手であり、ほかの競技のように他人の邪魔をするのではなく、互いに讃え合いながら切磋琢磨するという競技性がありますよね。 ところが日本のゴルフの現実は、上手な人が下手な人をバカにする、見下すという風潮があって、それがプレー人口の広がりを阻害するという現実がある。 『ゴルフ精神』をきちんと理解すれば、活性化にもつながるという一例ですよ」 <h2>ゴルフは「反・孤立主義」にも通じる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/onishi-hisamitsu.jpg" alt="大西久光" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-54625" /> <strong>ゴルフは人格形成に寄与すると言われますが、ゴルフをしない人からすれば、ゴルフ万能主義というか、ゴルフへの偏愛が鼻につく感じもありますね。「自然が相手」と言うならば、登山のほうが過酷だし、ゴルフは箱庭的な自然になる。</strong> 「登山を愛好する人は、そこで自然への畏怖なり畏敬を感じればいいと思うんですね。わたしが話しているのは、ゴルフの正しい捉え方という意味であって、それが今のコロナ問題にも通じると思えます」 <strong>つまり?</strong> 「つまりコロナは世界的に、これまでの在り方をすべて一度『白紙』にして、根本から考え直すべきという警告だと思うんですよ。トランプ大統領に代表される自国優先主義、あるいはEUの危機的状況もそうですが、世界は孤立主義に走っている。 ところがコロナは全世界が団結して、協力しないと解決できない。人類に対して『連帯して生きる』ことの大切さを強く求めるメッセージだと思うんです」 <strong>なるほど。自分だけ儲かればいいという強欲資本主義は、わずか二千数百人の大金持ちが全人類の半分と同等の富を握る格差を生み出してしまった。貧しい国の4割は満足に手を洗うこともできませんが、それでコロナが拡大すれば豊かな国も滅んでしまう。</strong> 「もう少し身近な例で言うと、ゴルフ場に一人だけマナーが悪い人間がいれば、その他大勢が迷惑するじゃないですか。バンカーは荒れ放題、グリーンは凸凹、全体の進行も滞ってしまう。 要するにゴルフは自分だけがよければいい、自分だけが楽しむということではなく、自分以外の周囲が楽しむことが大事なんです。 これは『3密』を避けることと同じですよね。コロナで外出自粛となっても、自分一人なら飲み歩いても大丈夫だろうと考える者がいる。すると真面目に自粛している人が迷惑を被るどころか、生命の危機に晒されてしまう。それとまったく同じだと思うんですよ。 『ゴルフ精神』には、どのように競い合っている場合でも、相手に配慮し、洗練されたマナーとスポーツマンシップを発揮すると書いてありますが、他人に迷惑をかけないなんて日常生活で当たり前の話じゃないですか。 ですからコロナは、ゴルフの本質を考えるために『白紙』になる時間を与えてくれた。そのように考えて根本から見直せば、コロナが終息したあとにきちんとした価値を創造できると思います」 <strong>この話を冒頭の問題意識につなげれば、プロゴルファーは「ゴルフ精神」の伝道者たれ、と。そこに根本的な価値を置いて、トーナメントの意義を再構築する。そのような世界観を築くべきでしょうね。単に球打ちが上手いだけではなく。</strong>
    (公開)2020年04月14日
    新型コロナウイルスの感染拡大を受けて小池百合子都知事は10日、東京都が独自に定める「休業要請」の対象施設を発表した。具体的には遊興、大学等、運動、劇場、展示、集会、商業施設の7業種で、運動施設は体育館、プール、ボウリング場、スケート場等が要請の対象となり、昨日の段階で含まれていたゴルフ練習場は除外された。11日午前零時からの施行となる。 経済活動の停滞を最小限にとどめたい国と、都民の人命第一を掲げる都の間で綱引きがあったようで、小池知事は「(都政を預かる)代表取締役かと思っていたら天の声が聞こえてきて、中間管理職になった気分」と話すなど、危機感の共有に齟齬があったことを伺わせた。 都は独自に「感染拡大防止協力金」を創設し、都内で1店舗を運営する事業者に対して50万円、2店舗以上の事業者に100万円を給付することも発表。給付時期は決まり次第公示する。 「休業対象」から外れたことについて、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の横山雅也会長は、 「当初入っていたのが抜けたことで、事業継続の可能性が見えたと同時に、感染を発生させない責任も生じます」 と口元を引き締める。以下、同氏との一問一答でコロナを巡る練習場の今を浮き彫りにする。 <h2>休業ドミノが混雑を招いた</h2> <strong>小池都知事の記者会見を見終わっての印象は?</strong> 「当初入っていたのが抜けたことで、事業継続の可能性が見えたと同時に、感染を発生させない責任も生じます。JGRAとしてはこれまでもアルコール消毒の徹底や待合室で椅子を離すなど、注意喚起を行ってきましたが、今後はこれをより徹底していきます。なるべく早期に細部をまとめ、まずはHP等でアナウンスします」 <strong>都市部の練習場は2、3月、盛況ぶりが目立っていた。在宅勤務のサラリーマンなどが足繁く通っていたわけだが、それがマスメディアに取り上げられて顰蹙を買った面もある。</strong> 「地域性によって事情は異なるものの、2、3月は総じて好調だった印象はあります。ただ、4月7日に緊急事態宣言が出されましたが、その1週間ほど前から入場者は落ち着いてきたと思いますよ。 それと、首都圏の練習場が混雑したのは業界固有の事情もあった。神宮外苑の練習場が閉鎖して、行き場を失ったゴルファーがロッテ葛西に集中した。そのロッテは待合室でのクラスター感染を懸念して臨時休業に入りましたが、すると近隣の練習場もそれに倣って休業するなど、ドミノ現象が起きてしまった」 <strong>なるほど。休業ドミノが発生して、営業中の施設にゴルファーが集中したと。</strong> 「そういった面はあると思います。ですから今回、都内の練習場が休業対象から外れたことはよかったのではないか。仮に都内の練習場が全部閉まると、千葉、神奈川など近隣県の施設が混雑する可能性がありますから。 今後大事なのは、繰り返しになりますが、予防対策をしっかりして、クラスター感染させないこと。今日の会見で営業できることはわかりましたが、ある程度の時短は必要だと思いますね」 <h2>レッスンプロは職場失う</h2> <strong>問題はインドアです。「ゴルフ練習場」という括りで判断すると、インドアスクールも入りかねない。これは「3密」の業種だと思われる。</strong> 「そのあたりは都の正式文書をしっかり読み込む必要がありますが、『ゴルフ練習場』については屋外のスポーツ施設という考えがあると思います。都は休業施設に対して『協力金』を払うわけだから、指定業種をきちんと分類しているはずだし、この点は早急に確認します」 <strong>もうひとつの課題はレッスンプロですね。練習場は打席収益とレッスン収益の二本柱で成り立っていますが、屋外の練習場でもレッスンは「密接」になりかねず、続けることを躊躇する施設もあるでしょう。</strong> 「そうですね。当社(千歳ゴルフセンター、都内世田谷区)の場合、打席とレッスンの収益は5対5で、ほかの練習場もレッスンは大事な収益源です。 少人数のグループレッスンは一般的に6人程度、当社は10人以下ですが、指導者と生徒はマスクをして、ソーシャル・ディスタンスを守りながらやってました。ただ、今日の会見を受ける形で明日11日から1ヶ月間、当社ではレッスンを休止します」 <strong>するとレッスンプロは職を失う。</strong> 「ウチのプロ(9名)は社員なので、ほかの仕事をしてもらいますが、個人事業主で教えているプロは食い扶持をなくす可能性がある。政府の休業補償で急場を凌ぐにせよ、レッスンプロを統括する団体は苦しい立場だと思います。職場を提供する練習場とプロ団体が話し合って、解決策を探る必要があるでしょう」 <h2>「振興券」の発行求める</h2> <strong>都と国の綱引きに「パチンコ店」の扱いがありました。国は休業対象から外したい、都は対象にしたい。結果的に休業対象になりましたが、ゴルフ練習場も同様で、都は対象にしたかったという説もある。外れたのは、業界団体として営業継続を働き掛けたこともある?</strong> 「今回に関しては、そこまでのパワーゲームはないでしょうが、コロナの問題を含めて練習場は厳しい局面が予想されるので、応援してくださいということを折に触れて要望しています」 <strong>台風で鉄塔が倒壊するなど、練習場には課題が山積している。お願いする先は「ゴルフ議連」ですか? そもそもゴルフ業界は「議連」を通じてゴルフ場利用税の撤廃を要請してきたが、実現の可能性は極めて低い。そこで今度はコロナや台風被害への支援を求めるとか。</strong> 「まあ、議連を含めて常に働き掛けています。今後大事なのは、コロナが終息したあとの産業復興じゃないですか。その際、観光業界や他の産業も国に復興支援を働き掛けている。この流れにゴルフ産業も乗る必要があって、ゴルフ単独で厳しければスポーツ産業全体でやることも考えられます。 具体的には、ゴルフはスポーツ界最大の産業なので、他団体と協力して『スポーツ振興券』の発行を要請するとか。順番としては第一にコロナ対策、第二に支援策となりますが、ゴルフ場、練習場、用品のゴルフ産業団体が素案をまとめ、ゴルフサミット会議の合意を取り付けて進めることも考えられます」 以上、横山会長との一問一答をまとめた。 都内の感染者は本日、過去最多の185人以上を記録し、小池都知事は記者会見で何度も「感染爆発の重大局面」を連呼した。今後事態が深刻化する中で、練習場は「休業対象」から外れたが、それで安心できるわけではない。 感染防止を徹底し、同時に終息後の復興ストーリーを描くことが急務といえる。
    (公開)2020年04月10日
    「これまでゴルフは屋外のスポーツだから人が入っている、という話でしたが、いよいよ影響が出てきました」 と話すのは、有賀園ゴルフの有賀史剛社長。同社は群馬県高崎市に本社を構えるが、市内のサンコー72CCの客入りは、 「先週の土日で例年の6~7割減。都心からの来場者が多いゴルフ場ですが、いよいよプレーどころではなくなってきた。県内藤岡市のツインレイクスCCも3~4割減の状況です」 緊急事態宣言(7都府県)は都市封鎖などの強制権を持たないが、人心に及ぼす影響は大きい。ゴルフ練習場も自粛対象の業種になるなど、「外出禁止」の気運が高まっている。 そんな中、大手ゴルフ専門店も対策を迫られている。各社の現在の営業状況は以下の通り。 <strong>ゴルフ5</strong> 東京エリア15店舗、神奈川エリア10店舗、埼玉エリア10店舗、千葉エリア10店舗、茨城エリア4店舗は10~19時までの時短営業とする。詳細は随時ウェブサイトでアナウンス。 <strong>つるやゴルフ</strong> 関東では八重洲店、神田駅前店が平日10~20時の営業時間を4月30日まで11~20時に短縮営業。また、関西では大丸梅田店が金土曜が10~21時、日~木曜が10~20時30分のところを4月14日まで10~20時に短縮営業。正式な緊急事態宣言が出次第、休業店舗等を協議するが、現状は未定。 <strong>ヴィクトリアゴルフ</strong> 営業時間を11~19時(一部店舗20時まで)に短縮して営業中だが、各自治体の外出自粛要請に伴い町田東急ツインズ店が4月11、12日、セレオ八王子店も同じ日に臨時休業とする。緊急事態宣言を受けて店舗運営を協議し、決まり次第ウェブサイトでアナウンスする。 <strong>有賀園ゴルフ</strong> 全日10時30~19時30分だが、小田急ハルク、東武池袋百貨店、越谷レイクタウン店は個別に対応する。御茶ノ水神保町店は先週金曜より臨時休業。 <strong>二木ゴルフ</strong> 4月8日~24日まで、緊急事態宣言が発令された7都府県(東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・福岡)30店舗のみ時短営業。平日10時30~19時、土日祝は10~19時。その他の店舗は通常営業。
    (公開)2020年04月07日
    国内14コースを運営するリソルゴルフの富樫孝之社長がこう話す。 「あくまでも肌感覚ですが、志村けんさん(70)死亡の報道がされてから、コンペのキャンセルが増えたような気がします」 ゴルフ市場を支えるのはシニア層。志村さん死去の一報は多くの人にショックを与えたが、同年配が多いゴルファーは他人事ではなく、日常生活に影響を与えたようだ。まずは富樫社長に最新事情を取材した。 <h2>スループレー広げるチャンス</h2> <strong>コロナが深刻度を増していますが、御社の景況感を教えてください。</strong> 「そうですねえ。業界はどこも2月は良くて、当社もそうだったわけですが、これは閏年で1日多かったのと、天皇誕生日などで土日祝日が計11日。単純に日まわりが良かったのが理由とも思われます。 その後、3月になるとコロナ報道の過熱でキャンセルが続き、一度落ち着いたと思ったわけですが、30日に志村さんの件が報道されてから、コンペのキャンセルが増えたように思います」 <strong>今後の予測はどうですか。</strong> 「5~6月のコンペはキャンセルが増えているわけですが、個人の予約は入っています。そこで、需要喚起につなげるためにハーフやスループレーなど、多種多様なプランを用意して対応したいと考えています。 それと、自粛気運が高まると外に出にくくなりますが、せめてゴルフ場へ来た日には思いっきりプレーしたいという気持ちが働きます。そんな需要に応えるべく27ホールや36ホールのプレーを用意したところ好評です。 具体的にどの程度の需要があったかの詳細はまとめていませんが、感覚的に実感できます」 以上、富樫社長との一問一答を紹介したが、コメントにあるスループレーの普及はゴルフ界にとって積年の課題であったといえる。「ゴルフは丸一日掛かる」という時間的な縛りが若年層に敬遠され、大衆化を阻害してきた経緯があるからだ。 今回のコロナを機に一気にスルー化につなげたいという思いは国内141コースを運営するPGMも同様で、同社は3月初旬に50コースだったスループレーの予約枠を現在、約100コースにまで広げている。 「プレーはしたいけど浴場や食堂での感染が怖いという気持ちが強くなっているので、これを機にスルーを強化してカジュアル化を進めたいと考えています」(広報担当・大嶋智氏) また、日本長江GC(千葉県市原市)のファン・チャンイル支配人は、 「当コースの来場者は東京、神奈川が7割ですから、秒読み段階に入った首都封鎖は大変心配です」 と前置きして、次のように続ける。 「ただし、ゴルフには野外スポーツという利点があります。現在週1日のセルフデーを完全セルフ化に移行することを考えており、となれば食堂や浴場を閉鎖して少人数でオペレーションできるでしょう。仮に首都封鎖が現実化すれば、セルフを経営施策の柱にすることもありえます」 小池百合子都知事が3月に発言した「ロックダウン」(首都封鎖)は、欧米とは異なり、日本では法律的な強制権をもたないが、アナウンス効果は強いと思われる。それはともかく、同社以外にもセルフ&amp;スルーの重要性を主張する関係者は多い。ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏がこう話す。 「コロナで『ピンチはチャンス』を考えると、新たなプレースタイルを普及させる活動もできます。特に昼休憩を挟まないスルーには可能性がある。ゴルフ場の食堂は儲けがなく、長年の習慣でやっていますが、今なら『コロナでスルー』と言えますよね。普及すれば時間短縮を含めて敷居を下げられるでしょう」 別の観点からこの点に同調するのは、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事だ。 「USGAのハンディシステムは9ホールでのスコア提出を認めていますが、これを導入したJGAは18ホールを義務付けています。9ホールを認めればハーフプレーが認知され、時間短縮の意識がスルーの普及につながっていく。この点も大事なポイントだと思いますね」 ゴルフ場の運営は、経営の収支を司る事業会社と会員から選ばれる理事会によって方向性が決まる。そこで古株の理事が「昼休憩は当たり前」と主張すれば、スループレーの普及が足止めされる。三田村氏が指摘するように「コロナだからスルー」という空気が醸成されれば、大きな前進となりそうだ。 <h2>ミウラは製造の国内回帰実感</h2> 目をゴルフ用品市場に転じると、商況は斑模様の様相を呈す。関東で26店舗を運営する有賀園ゴルフは2月、テーラーメイドの『SIM』とキャロウェイの『マーベリック』が牽引して、昨対40%増を記録したが、 「3月は厳しく見て、昨対3割減を想定しましたが、結果的には15%減で収まりました。ただし、4月はかなり厳しくなることが予想されます。キャッシュを厚く持つことが重要になるので、金融機関との話し合いを進めているものの、金利は0・5%から0・8%など、政府の姿勢とは裏腹に便乗値上げが目立ちます」(有賀史剛社長) ゴルフ用品市場は首都圏の需要が牽引してきたが、首都封鎖が実行されれば一気に冷え込む。日本の法律上、移動の自由を制限する「封鎖」は強制力をもたないが、ひとたび発令されれば人心に大きな影響を与える。それを見越して有賀園は体力温存を図る構えだ。その一方で最大手のゴルフ5は3月、都市部で苦戦、九州、北海道は増加など、地方商圏の底堅さが目立っている。 地クラブメーカー、ドゥーカスの原健太郎社長もそのあたりの動きを実感しているようで、同社の売上は2、3月に前年実績をクリアしたが、理由についてこう話す。 「都市部以外の商圏が中心ということも売上維持の原因です。今後も従来の路線を踏襲して、これまで以上に地方の工房を積極的に攻めたいと考えています。当社はゴルフシューズも扱っており、これがイタリア製ということで目処が立っていませんが、それ以外はまったく悲観していません」 大手メーカーは総じて苦戦を予想しており、首都圏需要の低落を危惧するが、大都市への依存度が低い地クラブメーカーは事業規模が小さいこともあり、今のところ柔軟な立ち回りを演じている。 会員制の通販でオリジナルクラブを販売する日本フローラルアートの山下信治常務も、現段階では、 「コロナの影響はほとんどありません。主要顧客がシニアなのでコロナによる収入減の不安がなく、1本8万円のドライバーも堅調に動いています」 大手メディアは連日連夜、コロナ災禍を報道し、世界の感染者100万人突破など不安材料を喧伝する。これらは感染防止のための警鐘であり、行動制限も当然の話だが、業界の細部を見てみるとすべてが不安一色ではなく、それなりの経済活動が維持されているといえそうだ。 特筆すべきは、これまで中国に一極集中していた生産拠点が、コロナを機に「国内回帰」が始まったこと。兵庫県の三浦技研は自社工場を運営しているが、三浦信栄社長によれば、 「コロナで国内生産が注目されるようになりました」 という。様々なリスクを抱える中国依存から脱し、アジアの周辺国に生産拠点をもつチャイナ・プラスワンが加速する一方で、国内生産の価値が再認識されているようだ。以下、三浦社長との一問一答。 <strong>コロナに関わる印象を聞かせてください。</strong> 「こんな時期だからこそ、日本の物作りが元気を出さなければと実感しています。国内工場を維持するのは難しい局面もありますが、現状、国内に生産拠点があるおかげで販売店への商品供給に支障はありません。 1月24日発売のアイアン『TC-101』も順調に推移しており、越谷にあるフィッティングスタジオの予約も埋まっています」 <strong>苦しくても国内工場を維持してきた。それが報われた格好ですね。</strong> 「そうですね。コロナの影響で国内生産に意識が向き始めた。以前は意識が薄かった企業も我々の話に耳を傾けてくれるようになったと思います。『脱中国』と言われますが、それを考えるきっかけになっているのでしよう」 <strong>それだけに、工場でコロナの感染者が出たら大問題。工場の衛生管理は大事ですね。</strong> 「おっしゃる通りです。そのため事務所棟の入り口には、塩素系の微酸性次亜塩素酸水のビージア水を加湿器のような機械で噴霧して、空間除菌・消毒しています。また、フィッティングは濃厚接触の危険があるので、来場者には除菌・消毒の重要性を強く訴えかけています」 製造の国内回帰は、ある種の朗報と言えるだろう。当初は中国の安い人件費を求めて多くの工場が大陸進出を果たしたが、以後、中国の労賃は急上昇。現在の平均賃金は535㌦だが、これはミャンマーの162㌦、カンボジアの201㌦、ベトナムの220㌦などと比べて倍以上。コスト競争力の魅力はなくなっている。 むろん、国内生産に比べれば割安感は残っているが、中国共産党の一党支配は、コロナ以前にも多くのチャイナ・リスクを現出させた。前触れなく、クラブ工場が軍需工場に衣替えするなどが典型例だ。 かつて、多くの国内メーカーが新潟県の遠藤製作所に鍛造チタンヘッドの製造を依頼していた。その後、中国の台頭で下火になるが、現在は栃木県のササキなどが高品質をウリにした生産態勢を整えている。同社の佐々木正浩社長は、 「コロナの件もそうですが、日本の製造業は国内回帰しつつあります。中国は多くのリスクや人件費の高騰もある。日本で大量生産はしないにせよ、ジャパン・メイドの付加価値がありますから、ゴルフクラブの国内回帰も必然だと思います」 そのような動きが随所に散見される。 <h2>中国工場全面稼働</h2> 生産の国内回帰が起こる一方で、中国の工場も徐々に人員が戻り、3月末にようやく通常稼働に戻った現場も目立ち始めた。そのあたりの事情をトライアルの山本憲一社長に取材した。同社は初心者向けの低価格セットや、グリーン周りでウエッジ数本を持ち運べるセルフスタンドのバッグが主力商品。 <strong>中国の工場は現状、どんな感じですか?</strong> 「当社の場合は広東省の東莞でクラブ関係3カ所、キャディバッグやヘッドカバーを4カ所の工場で作っていますが、3月末にようやく通常稼働に戻りました。各工場とも従業員150名ほどの規模で、大半の工員が戻っており、全面稼働と言ってもいいでしょう」 <strong>ビジネスの目処が立つようになった?</strong> 「そう思いたいですね。なんせ、3月の売上は半減でしたから」 <strong>半減の理由は?</strong> 「ゴルフフェアの中止が大きかったですね。実は、商品自体は旧正月前に9割ほど入荷していましたが、3月中旬に取引店にカタログを配布して、ゴルフフェアで注文を受け、3月末の出荷を予定していたのに、すべて崩れてしまったわけです。 コロナの終息は見えませんが、どうにか取り戻したいと思っています」 また、現地の事情に詳しい日幸物産の傅偉氏も次のように話す。 「コロナの発生源となった武漢で外出禁止令が解除されたのが3月22日。一定の条件をクリアすれば外出できるとのニュースが流れました。これにより3月末から湖北省の出身者も工場に戻り、4月初旬には通常稼働できそうな感じです。 2月初旬に予定されていた納期は2~3カ月遅れるでしょうが、例年5~6月は閑散期なので、ここで遅れを一気に取り返す。そんな流れになると思いますね」 今後2カ月程度で遅れを取り戻し、挽回に努める算段だという。 実際、中国の感染者数は急激に減っているが、それでも安心できるわけではない。日本政府はこのほど、中国の一部からの入国禁止措置を中国全土からに切り替えた。中国の発表数字が信用できないことの裏返しであり、通常稼働に戻った工場で感染者が出れば二番底を迎えてしまう。 このあたりの状況は神のみぞ知るで、まったく予断を許さない。 <h2>平日の満席率8割</h2> 神奈川県横浜市にゴルフ練習場とレストランを併設する「パームスプリングス」は、コロナの影響で痛し痒しの状況だという。どういったことか? 相原裕太社長に話を聞いた。 <strong>ビジネスの現状はどうですか?</strong> 「レストランの方は厳しいですね。コロナの影響で歓送迎会が相次いでキャンセル。3月は600人弱、4月も今の段階で80人弱の予約が取り消しになりました。いずれも直前のキャンセルが多く、営業計画が立てにくい状況です」 <strong>キャンセル料はとれない?</strong> 「通常は3日前のキャンセルだと発生しますが、このような状況だと請求できないので影響は非常に大きいです」 <strong>練習場はどうですか。</strong> 「こちらは好調ですね。当社は1、2階で各18打席ですが、在宅勤務が増えた影響か、以前は平日の満席率が50%でしたけど、現状は80%で推移しています。増えた3割は30~40代が占めているため、現役のサラリーマン層が来場するケースが多いと言えます。休日についてはほぼ終日で待ち時間が発生しています」 <strong>大繁盛はけっこうですが、待合室でクラスター感染の危険性もある。</strong> 「なので、感染防止には万全を期しています。打席清掃は1時間ごとに行い、打席の椅子は2時間ごとに消毒します。また、ボール購入のコインは毎回アルコール消毒、受付でもアルコール消毒を促すなど、細心の注意を払っています」 その一方、同じく神奈川県の練習場・第百ゴルフは3月28、29日(土日)の2日間、コロナ対策の一環として臨時休業に踏み切っている。山本桂支配人によれば、 「毎日多くの来場者がありますが、3月26日に発せられた県知事からの要請を受け、臨時休業に踏み切ったのです。 医療崩壊につながる感染爆発を防ぐためには、不要不急の外出を避けてくださいとの主旨で、『不要不急』の定義は生活に必要な日用品の購入以外、つまり娯楽やショッピングなどを指すため、当施設もそれに従いました。 迷いながらも勇気を振り絞り、運営姿勢を示したいと考えています」 上記の両社に共通するのは、テレワークの普及などで来場者が増えたことであり、特に首都圏の練習場においては総じて似たような状況になっている。そんな中、第百ゴルフは土日の臨時休業に踏み切っており、経営判断がわかれている。 <h2>仕事を失ったプロがオンラインレッスン</h2> 『ビバハート』や『ヒールクリーク』などのゴルフアパレルを展開するグリップインターナショナルは、 「契約プロを起用したオンライン・レッスンを考えています」(竹内裕美子部長) という。男女ツアーとも開幕の目処が立たず、失業状態のプロゴルファー。そこで窮余の一策としてオンライン・レッスンとなるわけだが、今後に向けて新たな商機となるかもしれない。 「コロナ関連の暗いニュースが世の中に蔓延しているので、何か盛り上げる施策はないだろうかと、そんなことを話し合っているんですね。そんな折、当社契約の横田英治プロからオンライン・レッスンの提案がありました。 東京本社のフロアを使って、そこから発信するという企画で、ゴルフ熱を盛り上げたいと考えています」 竹内部長のコメントを聞くまでもなく、ゴルフトーナメントを含む世界のスポーツイベントは軒並み自粛。日本ゴルフツアー機構(JGTO)は国内3戦目の「アジアパシフィックオープン ダイヤモンド杯」の中止を決定するなど、開幕の目処が立っていない。 日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長は3月30日、4期目の会長就任を発表し、併せてシニアの開幕戦となる「金秀シニア沖縄オープン」(4月10、11日)の開催を明言していたが、これも本日、2戦目の「ノジマチャンピオン杯」を含む4月の2試合をいずれも延期する旨発表した。 グランド・ゴールド競技の6試合も延期となり、計8試合が開催未定。女子ツアーは初戦から6試合連続中止など、男子を含めて8億円を超える賞金が消えたことになる。 JGTOとLPGAは本誌の取材に対して、いずれも「選手への休業補償は予定していない」と答えており、プロゴルファーは失業状態になっている。 その一方、米PGAツアーは選手やキャディに対して金銭的な支援を行うことを明らかにした。対象者は3月8日時点でフェデックスカップ順位150位まで、シーズン終了後に配分されるボーナスを最大50%、上限10万㌦まで受け取れるとのこと。キャディも「キャディ基金」に金銭的な要望ができるという。このあたり、日米の違いが浮き彫りになった格好だ。 米ツアーの相次ぐ中止は様々な波紋を広げているが、その波をもろに被ったのがゴルフ専門TVのジュピターゴルフネットワーク。多額の契約金で放映権を得たものの、肝心の試合が飛んでしまった。前田鎮男社長が苦しい胸の内をこう語る。 「そんなわけで現状は、過去の名勝負をかき集め、新たな番組を編成中。タイガーの優勝や松山が活躍した試合の特集などで乗り切ろうと思っています。 ただ、中止や延期が長期化すると、経営の圧迫要因になりかねません。コロナという不測の事態なので、補償面について請求できるか検討中です」 昨秋のzozo選手権でタイガー・ウッズが優勝。米ツアーへの注目度が格段に上がり、その流れで今夏の東京五輪につながれば、有料視聴者は大いに増えるはずだった。むろん、五輪の放映権はもっていないが、相乗効果は期待できた。 そのような計画が根底から崩れてしまった。新型コロナウイルスは、各社の事業計画を粉砕して、終息の気配は見えていない。
    (公開)2020年04月03日
    新型コロナウイルスの感染者が世界で70万人を超え、日本でも感染爆発が懸念される中、男女国内ツアー開幕の目処が立たなくなっている。タレントの志村けんさん(70)がコロナで死去との一報が流れるなど、深刻さが増している。 女子は本日、第6戦の「スタジオアリス女子オープン」(4月10~12日、兵庫県・花屋敷GCよかわC、賞金総額6000万円)の中止が決まり、開幕の「ダイキンオーキッドレディス」から6試合連続で見送り、賞金5億4000万円が消滅したことになる。男子は国内初戦の「東建ホームメイト杯」と「中日クラウンズ」の2試合中止が決まっており、2億5000万円がなくなった。 男女合わせて7億9000万円が消えたことになる。 「中日クラウンズ」の開催予定は4月30~5月3日で、仮に女子ツアーが男子と歩調を合わせて同時期まで中止となれば、9戦目の「パナソニックオープン」までになり、女子だけで計8億円が消滅する計算だ。 選手について休業補償はあるのだろうか? この点について日本ゴルフツアー機構と日本女子プロゴルフ協会は、異口同音にこう答えた。「現状、その予定はありません」 コロナの終息がまるで見えず、「首都封鎖」が現実味を帯びる中で、プロゴルファーの生活にも深い霧が漂っている。 昨年「中日クラウンズ」を制した宮本勝昌は、以下のコメントを発表している。 「ファン、ボランティアのみなさまをはじめ、大会に関わるすべての方々の安全を第一に、非常に厳しいご決断を下してくださった主催の株式会社CBCテレビと中日新聞社のみなさまには、心より感謝を申し上げたいと思います。 また、長きにわたり大会を開催し、私たち選手に活躍のチャンスを与え続けてくださる主催者のみなさま、そして、私たちプロゴルファーを、毎年あたたかく迎えてくださるファンのみなさまにもこの場をお借りして、改めて深くお礼申し上げます。 いつも本当にありがとうございます。 今の混乱ができるだけ早く収束することをお祈りしつつ、再びファンのみなさまと笑顔でお会いできますことを、楽しみにしております。 再会の日まで、みなさまどうかお元気でお過ごしください」
    (公開)2020年03月30日
    球春到来を告げる「ジャパンゴルフフェア」(JGF2020、3月19~21日、パシフィコ横浜)が新型コロナウイルスの影響で中止となり、振り込まれた出展料の「扱い」が注目されていたが、主催者の日本ゴルフ用品協会(JGGA)はこのほど、約8割の返金を決定。関係者には安堵感が漂っている。 それもそのはず。中止が発表されてからの約3週間、様々な噂が飛んでいた。なかでも会場のパシフィコ横浜にキャンセル料としてかなりの金額を払うのではとの憶測もあり、だとすれば出展社への返金は雀の涙になってしまう。フェアが中止され、おまけに少額の返金なら、出展者にとっては泣きっ面に蜂。 その意味で約8割の返金は久々に明るいニュースといえ、最大のコストである会場のキャンセル料が発生しなかったことが大きい。 今回の返金についてJGGAは、JGF2020の出展要項の第12-4条(「不可抗力による開催中止・短縮」)の第1項に則って決めた。以下、JGGAが出展各社に配布した書状の中身を要約しよう。 主催者である当協会の判断によりJGF2020の開催を中止できる「 不可抗力により 展示会開催が著しく困難となった場合 」の一例として、「天災」や「テロ」と並んで「感染症」及び「第三者からの指示・命令」の影響による場合も明記されております。さらに、出展要項の第12-4項の第2項には、「開催以前に、不可抗力により全日程が開催中止となった場合、当協会は弁済すべき必要経費を差し引いた出展小間料金の残高を出展社に返却します。」と規定されます。 また、「弁済すべき必要経費」とは、例年JGFを実施するにあたり通常発生している、JGF開催のための必要な経費であり、JGF2020に関しての必要経費は約3633万円、これに対し、JGF2020の出展社から入金される出展料の総額は1億7793万円となる。したがって、出展料の総額に対する必要経費の比率は、 3633万円/1億7793万円=20.41824%≒20.42% 以上により、出展各社には、出展料の20.42%の金額を差し引いた残金を返金することになるという。 これ以外にもブースの装飾代金など、業者への支払いは個別に発生する可能性もあるが、返金割合が決まったことで今後の事業計画が立てやすくなる。主催者のJGGAはコロナに振り回された格好だが、「残務処理」として大きな山を越えたといえる。
    (公開)2020年03月17日
    新型コロナウイルスの猛威が止まらない。発生源の中国が、今度は各国からの入国制限に踏み切る一方、米国では英国を除く欧州からの入国を30日間禁止する措置を発表するなど、人の流れが止まり始めた。 このような状況で、ゴルフ界はどのような問題を抱えているのか? 3月初旬、業界の声を拾ってみた。 <h2>「影響がない」から「大打撃」まで</h2> <strong>朝日ゴルフ 内本理己専務</strong> 「当社の主力はGPS距離計の『イーグルビジョン』ですが、昨年12月に大量発注した在庫が現在、過去最大規模でストックしてあります。コロナを想定したわけではなく、運が良かっただけですが、この在庫と1~3月の発注分が予定通り入荷すれば、夏頃まで在庫の心配はありません。 ただ、中国工場の状況が読めないため、1~3月の発注分は懐疑的に見る必要がある。販売が過去のペースで推移して、入荷が予定を下回れば夏前に在庫がショートする可能性もあります。 いずれにせよ、暖冬の影響で2月までのゴルフ市場は好調でした。ゴルフ場、練習場、ゴルフショップの売上は総じて良かったので、3月12日現在では切実な不況を感じていません。 問題はこれからですよ。昨日、WHOは『パンデミック』を宣言しましたが、これが消費マインドに与える影響は大きいはず。いずれ薬ができれば人心は落ち着くでしょうが、過度に委縮することなく、ゴルフの魅力を訴求することが我々の務めだと思っています」 <strong>WOO-EAST 北條雅弘社長</strong> 「当社は高濃度の水素ガスを生成できる『ダブル水素ボトル』を販売しています。水素は免疫力が高まると言われるため、コロナ報道が過熱した前後で売上が2~3割伸びました。これは、ウイルスへの不安の裏返しだと思います。 この製品は日本製なので、中国の状況は生産に影響していません。自粛ムードの蔓延で自宅で過ごす人は多いでしょうが、こんな時だからこそ良い空気を吸えるゴルフ場に行くべきです」 <strong>ケンコー・トキナー 古城一秀課長</strong> 「3月になり、コロナの影響で停止していた中国の工場とようやく連絡が取れました。ただ、工員が数%しか戻っておらず、主力製品の双眼鏡は大幅な納期遅れとなっています。5月中旬に発売予定だったレーザー距離計の目処も立ちません。 現状、中国の工場は再開する際、国への申請が必要で、コロナ対策の詳細を明記する必要があります。全工員の出身地も記入して、申請書の提出後も国が審査を行うため、稼働には時間が掛かるのです。 大手の家電量販店とも商談しますが、商談前には検温が必須、原則来社はNGで、メールや電話での対応が求められる。日々の業務に支障を来たしていますが、今後が読めないのが辛いところ」 <strong>マニューバーライン 坊野寿貴部長</strong> 「当社はキャロウェイのレーザー距離計や練習器具を販売していますが、サーフィンやスノーボード製品も扱っています。2月中旬にパシフィコ横浜で開催されたボード・フェアの『インタースタイル』(2月18~20日)は、来場者3割減という感じでした。 当社の主催で3月、スノボ催事をやる予定でしたが、これは中止を決めました。各所で中止の連鎖が止まらないのは、自社の催事で感染者が出たら困るという意識の蔓延でしょう。中国の工場は今も再稼働の目処が立ちませんし、バイヤーから納期への問い合わせが相次いでます。 在庫不足への対策は米国からの空輸で補填しますが、中国→米国→日本というルートになるため関税が25%も掛かってしまう。それでも上代は変えられないので、利益を削るしかありません。苦渋の決断ですよ。こんな時期だからこそ、メーカーと販売店が一体となり、協力体制を組む必要があります」 <strong>ゴルフリサーチ 長野豪洋社長</strong> 「当社はコンペの主催業務も行っていますが、『桜を見る会』と称した100名規模のコンペがコロナの影響で30名ほどしか集まらず、先頃中止を決めました。 このコンペは法人ではなく、個人が中心となって参加者を集めますが、万一感染者が出た場合、参加を呼び掛けた人の責任が問われてしまうから、積極的に動けない。そんな心理が働きます。 ただ、リモートワークやテレワークの普及などで、平日に安くプレーできるチャンスは広がっています。午前中はゴルフ、午後は仕事といったように自分で時間を管理できる風潮が強まっている。 屋外のゴルフは健康的だし、感染のリスクも少ないはず。そういったメリットを訴求しつつ、地域のゴルフ場同士が連携してキャンペーンを打つとか、今こそ力を合わせて活性化につなげるべきです」 <strong>日本プロドラコン協会 松谷伸次代表</strong> 「当協会はドラコンプロとアマチュアゴルファーが一緒にラウンドするプロアマスクランブルゴルフの『飛びゴル』というイベントを行っています。次回は茨城県常陸太田市のボボスカントリークラブ久慈川コースで3月22日に開催しますが、プロ70名、アマチュアゴルファー40名が現在参加予定です。 参加予定のアマチュアゴルファーから問い合わせが多いのが、『コロナウイルスの影響で大会は自粛ですか?』というものです。参加者と遣り取りすると競技というよりコンペに参加することをゴルフの楽しみとしているゴルファーが多く、『コンペ難民』というイメージです。 ゴルフは屋外のスポーツですから、今回の大会も通常の表彰式やトークショーも屋外で行い、各組のカートにも消毒液を用意するなど、対策すればコンペは開催可能だと思います。そういうゴルファーのプレー自粛の救済になりたいですね」
    (公開)2020年03月12日
    日本ゴルフ場経営者協会(NGK)は昨日、新型コロナウイルスの影響による3、4月の入場者予測をまとめた。加盟200コースにアンケート調査を行ったもので、87コースから回答を得た。調査期間は2月下旬から3月5日までの約2週間。大石順一専務理事が次のように説明する。 「ゴルフ場経営者や支配人からメール回答を得ました。今回は第1回の調査ですが、3月末に同様の調査を再度行い『現場の肌感覚』がどれほどの精度か検証したい。これに各種経済指標を絡ませれば、有益なデータになるはずです」 調査は関東・甲信越(23コース)、中部(15)、関西(18)、中四国(16)、九州(15)の5ブロック。1、2月は入場者実績における前年同月比で、3、4月はコロナの影響を踏まえた入場者の減少予測となる。以下、数字を列記しよう。 <strong>関東・甲信越 1月91・1%  2月122・2%  3月10~15%減  4月10~15%減</strong> <strong>中部 104・5%  118・7%  10%減  10%減</strong> <strong>関西 106・2%  120・2%  10~15%減 10~15%減</strong> <strong>中四国 129・4%  136・6%  15%減  15%減</strong> <strong>九州 92・3%  121・3%  10~20%減  10~20%減</strong> 「1、2月は暖冬の影響で各エリアとも非常に好調でした。特に中四国は、2018年の西日本豪雨の影響が昨年まで残ったため、増加幅が大きくなっています。 ただ、2月25日に政府がコロナ感染の基本方針を発表したあたりから企業のゴルフ自粛が目立ち始めました。感染者を出すと社会的な問題になることから、企業・団体のコンペキャンセルが相次いだのです。最多は千葉県に36ホールを運営するゴルフ場で、ここのキャンセル数は855件(3月5日現在)となっています」 同コースは3月の売上を昨対3割減と見込んでおり、3組以上の法人コンペが激減した。これは極端な例ではあるが、概ね100キャンセル程度が平均的。3月の需要予測もコ―スによって温度差があり、25~35%減と辛く見積もるコースがある半面、平均的には10~20%減との見方が大半を占めた。 「この予想値の範囲内なら、すぐに経営不振とはならないでしょう。ゴルフ場には固定収入の年会費があり、名変料もある程度見込めます。ただ、政府の新たな方針発表を含めて流動的な要素が多過ぎる。段階的にステージが悪化して、さらに夏枯れの7、8月は売上が2割ほど落ちるため、コロナが長期化すれば苦しくなる。 最大の懸念は自粛ムードの高まりですよ。ゴルフは屋外の健康的なスポーツであることを訴求して、沈滞ムードを払拭しなければなりません」 スポーツイベントの主催者も、判断が様々に分かれている。無観客試合に踏み切った大相撲。選抜高校野球も無観客で開催の方針を示し、一連のマラソン大会では沿道に数万人の観客を規制せずに実施した。一方、国内女子ゴルフの1、2戦は中止となったが、その理由は「国の方針に協力する」というもので、ゴルフならではの特異性は議論されたのか。この点の詳細は明かされていない。 未知の感染症であることが不安を煽るとしても、ゴルフ界は専門機関の知見を得て、自ら安心・安全をアピールする必要がある。
    (公開)2020年03月10日
    国内142コースを運営するPGMは、新型コロナウイルスの影響でコンペのキャンセルが相次いでいる。3月5日現在、2月以降のコンペ(3組以上)は1600件、1万1500組がキャンセルされ、法人需要が中心だった。 また、同日現在の予約状況は既存137コースとの前年同月比で3月95・0%、4月96・0%、5月に103・0%となり、5月に上向き傾向が見られるが、3、4月は厳しい商況となりそうだ。 顧客心理として「ゴルフはしたいけど、レストランでの食事や入浴など、クラブハウスでの長時間滞留を嫌気する傾向がある」と分析。そこで同社はこの機を捉え、以前から注力する1ラウンドスループレーの枠を増やし、コロナ対策とゴルフのカジュアル化を同時に進める。 現状、約50コースでスループレー枠を公開しているが、3月11日を目処に「スループレー特集」を全国にメルマガ配信。丸一日掛かるゴルフの敷居を下げることで、今後の需要開拓につなげる構え。 安全対策として、ビュッフェ形式の朝・昼食を原則、全コースで中止(一部スタッフの盛り付け有り)。来場者への注意喚起として、全コースの玄関に消毒等の励行を掲示する一方、従業員へはマスク着用、咳エチケット、健康管理を徹底させる。 また、同社が特別協賛するPGM世界ジュニアゴルフ選手権・日本代表選抜大会(東日本5、西日本3会場=2月29~4月19日)は主催者が3月2日に中止を決定、高校ゴルフ連盟主催の春季大会(滋賀GC、3月24~26日)も3月2日に中止が決まった。 スポーツイベントは全国的に中止・延期となる傾向だが、大相撲は無観客試合で開催中など、個々に判断が分かれている。ゴルフ界では国内女子ツアーが初戦から2試合連続中止となったが、専門家の意見を判断材料に取り入れる必要がある。
    (公開)2020年03月09日
    世界ランク5位のダスティン・ジョンソンが「東京五輪不参加」を表明、波紋が広がっている。ジョンソンのマネージャーが通信社の取材に語ったもの。世界ランク15位以内の選手は各国4人まで五輪に出場でき、ジョンソンは米国代表が確実視されていた。 理由は米ツアーの過密スケジュールで、8月中旬以降のプレーオフを優先したという。1月には五輪辞退を示唆しており、新型コロナウイルスは不参加の理由としていない。 2016年にゴルフが五輪競技に復帰したリオ大会では、ジカ熱への懸念等で多くの男子トップ選手が不参加。ジョンソンや松山英樹も欠場した。比べて女子選手は積極的に参加しており、男女の意識差が明白になった。 コロナ災禍で東京五輪の開催が危ぶまれる時期での「不参加表明」は、理由がどうあれ、影響が大きい。ジョンソンの生涯獲得賞金は約6228万㌦(約68億5000万円)で歴代5位。豪快なショットで人気の選手だけに、各所で失望を買いそうだ。 本間ゴルフはこのほど、新型コロナウイルスの影響で新商品の発売延期を決めた。3月13日に発売予定だった『TW TR20』シリーズのドライバー2機種とアイアンが3月20日の発売となる。
    (公開)2020年03月04日
    国内女子ツアー2戦目「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」(3月13~15日、高知県・土佐CC)の中止が本日決まった。理由は初戦の「ダイキンオーキッドレディス」と同じ。 「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、(中略)国家的な課題として感染防止に取り組む政府の姿勢を強く受け止め、慎重に検討を重ねた結果、我々に出来る最大限の協力として開催を中止することにいたしました」(大会事務局) 同大会の主催は横浜ゴムだが、特別協賛に明治安田生命が名前を連ねて初開催となる予定だった。前夜祭とプロアマ大会も中止される。 女子ツアーの相次ぐ中止について業界内では「選手の健康を考えれば妥当な措置」「大会でコロナに感染すれば社会的な非難を浴びる」「中止、続行いずれにしてもゴルフ界の考えを示すべき」「他のスポーツ団体と連携して緊急連絡会議を招集すべき」など、多様な意見が出ている。 これに開催県や主催企業の判断が加わるため、運営者は難しい判断を迫られる。 また、ゴルフアパレルメーカーのグリップインターナショナルは、予定していた今年秋冬物の展示会を延期する。「神戸展」は3月4、5日から3月17、18日へ、「東京展」が3月11、12日から25、26日へそれぞれ2週間程度先延ばした。「新型肺炎に伴う工場稼働の遅れ」が原因だ。 ウエアは季節感が大事な商品だけに、既に多くのアパレルメーカーが春商戦の落ち込みを覚悟しているが、秋冬商戦についても影響が出始めたようだ。 関東を中心にチェーン展開する有賀園ゴルフはこのほど、2月の売上実績を発表した。既存23店舗の売上は前年同月比20%増、リニューアルオープンした杉並店(都内)とEC事業を含めた全体実績では41%増だったという。有賀史剛社長が次のように話す。 「安倍首相の方針発表により2月の最終週は鈍化しましたが、今回の『ゼクシオ』から値引き販売が沈静化しており、2月発売の『SIM』と『マーベリック』も適正価格で売られています。新商品効果と適性販売が好調要因でしょう。 ただし問題は3月以降で、先行きはまったく読めません。女子ツアーの相次ぐ中止も消費マインドに影響を与えるはず。ゴルフは屋外のスポーツです。仮にコロナの影響がゴールデンウイークまで続くとしても、業界がゴルフの特性をアピールすれば需要喚起につなげられる。落胆はしていません」 「中止ドミノ」が止まらないゴルフ界だが、業界の考えを鮮明にして、メッセージを発信する必要がある。
    (公開)2020年03月02日

    すべて読み込まれました。