唐突だが、昨年度より有馬カンツリー倶楽部の地元兵庫県三田市にある「三田市企業人権を考える会」(三企考)の監査役を仰せつかった。昭和53年に三田市企業同和教育推進協議会として設立した団体で、現在は三田市産業政策課内に事務局を構えている。
「三企考」は三田市内の事業所で構成され、企業内での人権教育を通じて働きやすい職場づくりをすすめている。年に数回、人権に関するセミナーなどの主催や研修用書籍、DVDの提供を行っている。
弊社は昔から加入しているものの、ほぼ「三企考」を活用することはしてこなかった。
しかし令和4年4月1日より、労働施策総合推進法において中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化され、職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントなどを一元的に防止する対策が企業に求められるようになった。そのため「三企考」でもハラスメント問題を取り上げることが多くなった。
そこで、弊社でもパワハラ防止措置の義務化を前に、DVDを借りて社内勉強会を開いたり、セミナーにも参加したりと、ここに来てようやく「三企考」とつながりを持つようになった。
こうした動きもあってか監査役の申し出を受けたということである。
しかし市内事業所の考え方として、職場環境改善と「三企考」の活動が一致しないのか、セミナーの参加者はいつもまばら。10人参加しても半数以上が市の職員ということもあった。
そこで、さっそく私は提案した。
スナッグゴルフによる職場コミュニケーション向上のレクリエーションイベントとハラスメントセミナーをセットにして、加入事業所に案内してはどうかと。
すると、事務局である産業政策課の人たちは意外にもすぐに乗り気になってくれた。よほど人集めに苦労しているのだろう。
まずは「市役所職員でスナッグゴルフの体験をしてみたい」との要請がきた。開催日は今年の9月6日。開催会場はゴルフ場でも市役所前の芝生広場でもなく、いつもセミナーを開催している屋内多目的ホールである。しかし面積は約457㎡とかなり広い。時間は業務終了後の18時から19時30分までの90分。参加者は三田市産業政策課と都市整備課の有志9名だった。
<h2>大切なのは「ゴルフの原則」</h2>
まずは、スナッグゴルフのランチャー(アイアン)を使って、軽く打つ練習をしてクラブの扱いに慣れてもらい、その後は6ホールを作って、18ホールのローラー(パター)によるパット大会を行った。
あくまで職場のコミュニケーション向上を目的としたレクリエーションである。まずは楽しむことが第一。ゴルフについての技術指導等は一切言わないようにした。しかし、ゴルフの原則である「安全を含め、周囲や他者に配慮しつつ、ルールを守る。その上で全員が楽しめるようにする」ということは声を大にして説明した。
ラウンドプレーだからこそ、後からプレーする人が問題なく気持ちよくプレーできるようにする。これはスナッグゴルフであろうが、屋外だろうが、屋内だろうが変わらない〝ゴルフの原理原則〟である。
この原理原則があるからこそ、職場での立場が違う人同士が一緒に楽しむことができるレクリエーションになるし、職場コミュニケーション向上にも役立つと考えている。
それこそが事務局の人たちに体験して感じて欲しかった一番大切な要素である。
短い時間ながら、初めてクラブを握る人も、普段からゴルフをされる人も一緒になって汗をかいてもらった。
今回のスナッグゴルフ体験を通じて、今後の「三企考」活動だけでなく、ハラスメントや人権問題を防止するためのツールのひとつとして広く〝ゴルフ〟を活用していただけるようになれば嬉しく思う。
<hr />
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
<a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>