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    ハッシュタグ「中井学」記事一覧

    月刊ゴルフ用品界2016年3月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <hr /> 伊藤誠道は昨年20歳になったばかりである。13歳からプロのトーナメントに出場し、2009年の関東アマに優勝し、その年の日本アマでもいきなりランナーアップ(準優勝)となった。その13歳の時代からアマチュア選手として活躍、さらには2013年からJGTOのチャレンジトーナメント、QTを受けて、ツアー選手となった。 その彼が昨年プロテストを受験し、中井学とともに2位タイで合格してプロゴルファーとなったのである。 なぜツアー選手というプロゴルファーではなく、PGAの資格を獲ろうと思ったのか? 伊藤誠道はこう話す。 「うーん。いろいろな思いがあったんです。例えば、一般のアマチュアの方々と一緒にラウンドするときや、どこかで紹介されたときに『プロゴルファー?』って聞かれることが、よくあったんですね。おそらくその人達は、僕がまだ若いですし、子供っぽかったから聞いたのかもしれませんが、そんなときに、プロゴルファーですって、なんとなく答えられないものがあったんですよ。 QTの2次を通過すれば、プロゴルファーっていう感じなのでしょうけど、僕が、堂々とプロゴルファーですと答えられないわだかまりが、心のどこかにあったから、20歳になったんだし、資格を取ろうと決めたんです。個人的なことを言えば、初めてQTのサードで落ちたんです。これは、しっかりと組み立て直さないといけない、ということも理由のひとつですね」 JGTOのホームページを見ると「ツアープレーヤーになるには」とあって、QTのファーストから、ファイナルまでの4段階に別れ、そのうちセカンドからファイナルまでの出場者を翌年の「ツアープレーヤー」と呼称し、最終ステージであるファイナルQTでの上位者が、翌年度のツアートーナメント及びチャレンジトーナメントへの出場資格(ツアーメンバー資格)ランキングを獲得することができる、とある。 確かに、ここではプロゴルファーという記述はどこにもなく、あくまでもツアープレーヤー、そしてツアーメンバーという呼び方になっている。 プロゴルファーという定義は、ルール上からみれば、ゴルフの技能で金銭の授受があれば、アマチュア資格がなくなるとあるだけだ。そこで、伊藤誠道は、自分が堂々とプロゴルファーと言えるには、その資格を取りたいという気持ちになったのも、頷ける。 <h3>内側からもの申す</h3> 一方、同じ2位タイで合格した1人に中井学がいた。中井は、ずっとプロコーチとして活躍し、その知名度も高く、理論やコーチングに定評があった。つまり、いまさらプロテストを受験し、プロゴルファーの資格を取らなくても、生計にもいまの立場での仕事も大きな支障がない状態だった。 にもかかわらず、43歳で敢えてプロテスト受験にこだわったのである。 なぜ? 中井は語る。 「これまでグレーゾーンだったプロコーチとかティーチングプロという僕たちの立場でなく、今後の日本のティーチングに関わるひとりとして、やはり、その資格認証をしているPGAの中に入って、基本カリキュラムから改善し、良き指導者を輩出していくことが、日本のゴルフのレベルを高めることだと思ったんです。そのためには、自分がしっかりと資格認証テストに合格して、PGA会員の一員としてもの申したいと思いました」 通常ならティーチングプロという資格を取得するならば、2年間を費やしてティーチングプロとしての受験でいいわけだ。でも、敢えてトーナメントプロ資格というハードルの高いほうを選んだ。 「もちろんトーナメントにも出たいですし、いま43歳ですから今後シニアツアーもあります。それ以上に、教わる側と同じ立場でいたいと思ったんです。そして、自分がプレッシャーにかかったプレーをするときに、自分がこれまで説いてきたゴルフ理論が正しいかどうかも試してみたかった」という。 中井は、PGAという中に入って、ティーチングの教本など、いまの時代にマッチしたものを早急につくり直さないと、これからのジュニアゴルファーたちが、どんどん技術的にも遅れてしまう。そういう仕事、作業を手伝いたいし、改善を促したいと語っている。 その中井学は、JGJAが独自の目線でゴルフ界に貢献した人物に贈る「JGJA大賞」(第2回)を受賞し、その授賞式の前に、トークショーを開催した、そのトークの中で熱き思いを饒舌に語っていた。 <h3>プロでもアマでもない</h3> 中井の言うグレーゾーンは、なにもティーチングプロの世界だけではないと思う。 伊藤誠道のように、ツアープレーヤーという呼称で、プロゴルファーなのか? と悩む選手もいるわけである。 毎年、QTに挑戦する選手が数多くいる。運良く、実力でQTファイナルまでたどり着き、上位者になれれば翌年のトーナメントに出場できるわけだが、それは当然、ほんの一握り。極端な表現をすれば、アマチュア選手でもない、さりとて認定プロゴルファーでもないという選手たちが、どんどん生まれてくるわけである。 そういう選手たちが、アマチュア選手として復帰できないわけではないけれど、それには、どうしてもブランク期間が必要になってくる。 すると後戻りもできず、さりとて、さらに実力をつけてというには、生活費から大変だ。過去に、ファイナルまでたどり着いた選手に聞かれたことがある。 「来年も、またこのQTに挑戦したほうがいいんでしょうかね」という質問だった。 その裏には、やはり受験費用もかなり高いし、かと言って、それに見合う稼ぎがあるという確約もないし、チャンスも薄いという説明だった。 弱肉強食の世界だから、賞金が稼げる稼げないは、本人の実力次第。でも、プロゴルファーという資格が正式に貰えないのは、いまのJGTOの仕組みだ。 ここで浮き彫りにされるのは、いみじくも中井学が言ったグレーゾーンである。 JGTOは、あくまでもトーナメントを基軸にした組織だけでしかないのだ。従って、トーナメントに出場できる資格を決めさえすればいいのである。 「新人セミナーで、ツアー選手、ティーチングだけでなく、初めてプロゴルファーの役割やなすべきことを知りました」という伊藤の言葉が、響いた。
    (公開)2017年06月19日

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