住友ゴム工業が来年1月1日、ダンロップスポーツを事業統合(吸収合併)することを受け、ダンロップスポーツの木滑和生社長は「事業の可能性が広がる」と好感する。
一部には、同社がスポーツ専業メーカーとして東証一部上場(2006年10月)を果たし、独立性を保ちながら順調な推移を辿っていただけに「なぜ、出戻るのか?」との疑問もある。
事業統合の背景には今年4月、スポーツ分野において「ダンロップ」の商標を全世界で展開できる権利を得たことがある。これまでは日本、韓国、台湾に限定した「日韓台条約」に縛られていたが、その規制がなくなったことで「事業ドメインとスポーツ事業の双方が拡大できる」(住友ゴム池田育嗣社長)ことに期待したもの。
<strong>今後、戦略の詳細を詰めていくが、「従来はスポーツはスポーツ、タイヤはタイヤで分かれていたが、両者を絡ませ相乗効果を生み出して、そのスピードを速めたい」(池田社長)</strong>
住友ゴムからの支援は資金・技術・人材交流に集約されそうだ。木滑社長はそのメリットを「M&Aを考えた場合、当社と住友ゴムの投資額はケタが違う。また、素材の基礎研究についても膨大な知見があるため、新たな市場へ進出できる可能性が広がる」と説明する。
住友ゴムは介護・医療用精密部品を手掛けているが、2020年の東京五輪・パラリンピックで障害者アスリート用の製品開発に乗り出すこともあるのだろうか。「おっしゃるとおり。そういうことです」(木滑社長)――。このような事業で得た技術をゴルフ市場へフィードバックできれば、高齢者のゴルフリタイアに歯止めを掛けられるかもしれない。
池田社長は、今回の合併によって「ゴルフ事業が疎かになることは絶対にない。特に『ゼクシオ』に代表されるブランドの優位性は大きな財産だと考えている」と断言。その上で「世の中には沢山のスポーツ分野がある」と事業の拡大に意欲をみせた。
以下、木滑社長との動画インタビューをお届けする。同氏は当日、風邪で声が出にくかったが、振り絞るように今後の展開を話した。
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