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    ハッシュタグ「工房探訪」記事一覧

    <h2>ゴルファーの近くにいたいからクラフトマンへ転身</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/intergolf2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65917" /> 日本でも屈指の高級住宅街の港区麻布(東京都)。ロシア大使館なども近い閑静な住宅街で営業するのが、インターゴルフ工房。2020年2月から工房を切り盛りするのが小泉晃店長だ。大東文化大学のゴルフ部で鍛えられ、ゴルフ場運営会社PGMに就職。一転、もっとゴルファーと直接触れ合い悩みを解決したいと、クラフトマンに転身した。 「もっとゴルフを楽しんでもらいたい。クラブでゴルフが良くなってもらいたいという想いでクラフトマンになりました」--。 それにしても「麻布」といえば全国屈指の高級住宅街。ほとんどの顧客が近隣のゴルファーかといえば、実はそうでもないという。 「もちろん港区のお客様も多いのですが、2018年6月からはじめたブログの影響もあって、全国からの問い合わせも多いんです。遠方のゴルファーには動画を送って頂き、スイングを見てクラブのアドバイスをすることも多くなりました」  その際に注意することは、 「遠方のお客様の場合、当店が推奨する完璧なスペックが少なくなります。これまでもクレームはないですが、微妙なミスマッチを防ぐために試打クラブを貸し出すようにしています。これによりゴルファーにマッチしたクラブを提案することを心掛けています」  もちろん、来店できるゴルファーも遠方のゴルファーも、一度作ったクラブの調整は無料。その積み重ねが信用となってゴルファーの拠りどころとなっている。 <iframe width="788" height="430" src="https://www.youtube.com/embed/WZBqvCwTg7k" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> <h2>インサイドかアウトサイドか 動画で見るフィッティング</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/intergolf3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65918" /> 先述の通り、遠方のゴルファー、遠方のゴルファーには動画でフィッティングするというが、スイングを見るポイントは何なのか? 「動画は飛球線後方から撮ってもらいます。ひとつのポイントは、テークバックでインサイドにクラブを引いているのか、アウトサイドに引いているのか。スイングプレーンの癖を見ています」 それによって何が分かるのか? 「多くのゴルファーは飛ばしたいという想いが強く、テークバックをインサイドに引きすぎる傾向が強いようです。なので、合わないクラブ、特にシャフトの性能を見極めて、シャフトのしなるポイントを変えてアドバイスしてますが、具体的には秘密です(笑)」 小泉店長自身が大学ゴルフ部出身ということもあり、動画を見てスイングに関してワンポイントアドバイスをすることもあるというから、来店できない全国のゴルファーからの問い合わせも増加中。それに加え、1年ほど前に新設した完全個室の試打室が、新たなゴルファーを集めているという。 <h2>完全個室50分2500円 買わずに練習&調整できる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/intergolf4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65919" /> 昨年1月、空き室になった隣のテナントを借りて、完全個室の試打室を設けた。スカイトラックなどを完備し、試打室があることで試打クラブも充実。試打クラブを使ったフィッティングで、成約率も高まったという。また、試打室を50分2500円で練習場として貸し出している。 「外からは見えないスペースなので、有名人が来店することもあります(笑)。それはともかく、練習に使って頂き、調整だけを依頼されるゴルファーが増えました。弾道計測器もありますから、自分のスイングやクラブを確認してもらって工房で調整します。『打たせてください』『クラブが合っているか見てください』と、自分のクラブを持って来店されるゴルファーが増えました」  工房は一部のコアゴルファーの憩いの場という位置づけもあるが、ゆえに「入りづらい」「敷居が高い」といわれる。その敷居を下げたのが試打室の開放だ。 「地クラブのドライバーは高額なものが多いですよね。当店でも1本10万円以上がほとんどです。だから、誰でも新たに地クラブのドライバーに手を出せないと思います。それが、試打室を練習場として使ってもらえれば、ちょっとした調整ならすぐにできます。それで工房の敷居が下がっていると思います」  一般的なゴルフ工房は取扱商品も地クラブが中心で、ゆえにギアにうるさいゴルファーの溜まり場になりかねない。売っているものも高額だから、入店しづらい。それを払拭するのが試打室の有効活用だ。 「クラブを買わないで練習する、調子が悪ければ調整する、というところからスタートしたら、ゴルファーに利用してもらえています。僕自身もゴルフの調子が悪いとクラブを調整しています(笑)」  そんな工房が全国各地に増えると、工房のイメージアップにも繋がるだろう。 ■企業情報 インターゴルフ工房 〒106-0044 東京都港区東麻布2-14-2 1F TEL/FAX:03-6277-8557 HP www.inter-golf.com <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/intergolf5.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65920" />
    (公開)2021年02月08日
    <iframe width="788" height="525" src="https://www.youtube.com/embed/JJzIE7y0Q3k" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> <h2>細かい対応で客に合うクラブ提供で地クラブが増える</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/golfplus2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65307" /> 群馬県高崎市に老舗専門店がある。有賀園ゴルフショップ(有賀商事)が前身のゴルフプラス本店だ。開業は2005年。当初高崎市吉井町に開業し、2011年に関越自動車道前橋ICから車で3分の立地に移転。2階建ての売り場は100坪を超え、ナショナルブランド(NB)と地クラブを扱い、NBでは北関東最大級のピンフィッティング店となっている。常駐するのは若林一店長を含む4名。この本店に加えて練習場(グリーウッドゴルフレンジ)とインショップの前橋店を統括するのが、有賀正起代表だ。 家業がゴルフショップだったこともあって、若い頃にはマルマン(現マジェスティゴルフ)の研修でリペアを学んだ。 「22歳くらいの時に、マルマンの松戸工場で1年間リペアを学びました。当時、特注課という部署があって、修理やプロの特注品に細かく対応していた。それがフィッティングにこだわる原点です」 開業当時からいち早くピンに注目し、その影響もあってフィッティングの幅を広げる過程で地クラブが増えてきたという。 「地クラブはエポンで始まり、中条カムイなどが続きます。5年ほど前にロマロ提供の番組で取扱店として紹介されたのを機に地クラブの問い合わせが増え、いまは多くのブランドを揃えています」  春には地クラブメーカー30社以上の合同試打会を開催するほど。ただ、有賀代表はストーリーのない地クラブは売りづらいという。 <h2>高性能を前提に物語は必須価値、価格、性能を合わせる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/golfplus3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65310" /> 有賀代表の語気が強まる。 「地クラブには老舗だとか開発者の出自などのストーリーが必要不可欠で、それが価値となって、ゴルファーに納得してもらえます。その意味で、クラブとしての性能は大前提ですが、それが価格に反映される。どんなに高性能でも、その価値がゴルファー個々のライフスタイルに合わなければ、格好悪い。だからブランドのストーリーが必要なんです」  開業から数年はフィッティングでピンを中心としたNBの販売がメインだった。だが、NBよりも飛距離性能に長けたブランドの要望や新規顧客のライフスタイルに合わせて地クラブを提案している。 「新規のお客様でブランドの指定がなければピンのフィッティングをオススメしますが、話している中で独特のこだわりを持っていることが分かる時があります。その時は、その嗜好に合わせて地クラブを勧めています」  極端に言えばフェラーリに乗っているゴルファーに、性能がフィットしてもボリュームゾーンのリーズナブルな商品は提案しない。 「フィッティングで重要視するのは、スイングや求める弾道を実現するマッチングはもちろんですが、ゴルファーの価値観、そして付随する価格が重要だと思っています。その3要素が揃って初めて『合うクラブ』ということになるのではないでしょうか?」  そのゴルフプラスが考えるフィッティングは、上達を前提としたフィッティングだ。 <h2>上達志向のフィッティング シャフト挿入長で微調整する</h2> こだわりのフィッティングはスイングリズムにあるという。 「敢えて言うならスイングリズムですね。バックスイングとダウンスイングの速さですが、バックスイングが速く浅い人は手打ちの傾向が強く、スイングのリズムは速くなりがちです。インパクトはダウンブローの傾向が強い。スイングの上達を前提に、ゆっくりバックスイングを上げてタメを作れるように手元がユルいシャフトを提案します」 例えば、トライファスの『バシレウス レジーロ』などで、現状のスイングを観察して、スイング技術の向上を加味したフィッティングを提供している。それに加えて、ドライバーならシャフトの挿入長で打感や操作性に味付けすることもあるという。 「昔と比べて接着材が進化しているので、シャフトの接着面積は少なく挿入長は短くてもインパクト時の衝撃には耐えることができます。ただ、シャフトの挿入は長いほど重心に近くなるので、打感と挙動はしっかり感がでて操作性もあがる。その部分は挿入長で調整しています」  基本的には打感を軟らかく仕上げる時に浅く挿入することが多いというが、長年修理やクラフトを経験してきて蓄積された知見が背景にあるという。 「スルーボアのクラブがあった時代に学んだことです。それでシャフトの挿入長で打感などを微調整しています」  同店は有賀代表以外で4人のフィッターが交代で常駐している。誰が対応しても分かるように顧客別のカルテがあるのも大きな特長。それが大きな財産だが、地方の老舗ならではで、ゴルファーの育成も大きな使命。だからゴルファーのライフスタイルに寄り添うフィッティングでゴルファーを育てている。 2020年12月現在、工房担当兼ショップスタッフが1名増え、工房機能を充実。全体では5名体制から6名体制へとゴルファーへのサービス体制も対応キャパも向上した。長年PINGのコンセプトショップとして営業する傍ら、直近ではPXGブランド、ロマロブランドの新商品にも注力してゴルファーに対応している。 ■企業情報 〒370-0001 群馬県高崎市中尾町1408-1 TEL:027-395-0763 FAX:027-364-8569 URL:http://www.golf-plus.net/ <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/golfplus4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65308" /> この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものです。
    (公開)2020年12月14日
    <h2>集客するには競技会で入賞して発言機会を作る</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/ysfactory2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65090" /> 東京都町田市。町田街道沿いの一角で競技ゴルファーが集まる工房ワイズファクトリーが営業している。神奈川の名門と呼ばれる横浜CC、保土ヶ谷CC、戸塚CC、相模原CCから10㎞圏内で、多くのトップアマに対応しているのがプロフィッターでもある山下博由代表だ。 33歳で初ラウンド。その時の同伴競技者は、女性二人でスコア80台のツワモノ達。彼女らに負けた悔しさからゴルフにハマった。それで毎日練習場に通い、週1回のラウンドを続けたという。しかし、 「全然上達しなくて、疑問を感じて工房に通うようになりました。そうしたら工房店主に『クラブが合ってないから、上手くなるはずない』と言われましてね。クラブを調整してもらったら2年でパープレー。その重要性を伝えたくて工房を始めたのです」  開業は2011年。とはいえ、開業当時は客がいない。だから、 「クラブ競技やコンペを含めて年間10大会ほどエントリーして、とにかくドライバーを飛ばして、名刺を配りまくりました(笑)。それに加え、表彰式で挨拶できるのは『ドラコン』『ニアピン』『ベスグロ』なので、いずれかを獲得すれば、マイクをもって表彰式で挨拶ができます。それで店のPRを積極的に行いました」  その甲斐もあって常連客は100人ほどになり、クラブチャンピオンは16人を数えるまでになった。  そのフィッティングとは? <h2>オーバースイングは適正重量で修正できる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/ysfactory3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65091" /> 昨今、女子プロのオーバースイングを見ることが少なくなったと山下氏は指摘する。 「フィッティングが定番化して、振りやすい適正重量のクラブを提供できる環境が整ったのでしょう」  同氏のフィッティングは、その意味でまず重量に注目する。 「ゴルフは練習すればある程度は上達します。しかし、クラブが合わなければ上達は遅い。女性でも子供でも、体力に合わせた適正な重量のクラブであれば、振りやすくなるはずです」  例えば、アイアンにダイナミックゴールドS200のスチールシャフトを装着するなら、重量フローを考えるとドライバーの総重量は300g以上になる。ところがドライバーは300g以下で心地良く振り切れるゴルファーでも、超重量帯のスチールアイアンを使用するゴルファーが多いという。 「重要なのは静的ではなく動的に感じる重量です。ゴルフは静から動の動作があり、動的重量が重すぎれば、オーバースイングをはじめ、始動でも無駄な動きを誘発してしまう。シャフトの硬さも重要だから、4年前からマミヤの振動数理論を導入しています」  前提となるのは、ヘッドスピード(HS)と飛距離の誤差。スイングプレーンはクラブ重量が影響して、ミート率はシャフトの硬さや振動数が影響するため、 「ゴルファーに合わせたシャフトの硬さや振動数をフローさせてミート率を上げれば、HSと飛距離の誤差がなくなります。振りやすく飛ぶクラブが出来るわけです」  HSが速いけど飛ばない。そんなゴルファーに理解してほしいと山下代表は語気を強めた。 <h2>潰れそうな工房は同じ臭いがする!?</h2> 工房開業以前、同氏は新興グリップメーカーの卸業に携わっていたことがあるという。九州以外の工房を行脚するうちに、経営の厳しい工房の〝ある種の臭い〟を感じたという。 「潰れそうな工房は同じ臭いがしましたね。活気がないこと、壁にパーツメーカーのポスターが貼っていないとか、薄暗いなど。それが共通点です。そのため、開業するときは当時勢いのあった『クレイジーファクトリー』の店構えを参考にしたのです」  ところで、同工房には48歳の山下代表をはじめ、最年少は27歳の栗原・M・俊哉店長など4人体制。将来は暖簾分けという形で、各自に独立してほしいという。 「元々は上達しないゴルファーに適正なクラブを提供することで、ゴルフが楽しくなることを伝えたかった。それを多くのゴルファーに提供するには今の店舗だけでは難しい。幸いにして、経営の厳しい工房を見る機会が沢山ありました。その点からも、成功する工房を多店舗展開で経営して、適正なクラブを多くのゴルファーに提供したいですね」  後継者不足で廃業する工房が多いなか、次世代のフィッターやクラフトマンを育てるのも工房の大きな役割。そんな工房経営者が増えることが業界の活性化につながるはずだ。 2020年12月現在、取材当時よりも藤倉コンポジット、シャフトラボなどの試打シャフトが充実。コロナ禍で完全予約制で営業を徹底しており、予約なしでの来店客にはフィッティングサービスの提供ができないほどの盛況ぶり。是非、予約をしてフィッティングを受けたいものだ。 ■企業情報 〒194-0015 東京都町田市金森東3-14-27 シティハイム21 1F TEL:042-706-9802 FAX:042-706-9803 HP:http://ys-factory72.jp <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/ysfactory4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65092" /> この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2018年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものです。
    (公開)2020年12月06日
    <h2>元競技ゴルファーの憩いの場所</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/greentarget2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65048" /> 栃木県小山市。小山駅から徒歩10分。グリーンターゲットは地元の経営者が贔屓にしている工房だ。25坪の店内に試打席はないが、作業スペースと応接ソファー以外は、試打クラブが隙間なく陳列されている。取材時も途切れることなく訪れる常連客に対応するのが、代表の近藤親弘氏だ。  同氏は高校卒業後、アパレル企業に就職したが、1993年に小山駅近隣に開業したゴルフショップの店長を任された。 「アパレル時代にゴルフにハマりました。それで店長を任されたという経緯ですが、当時はジャンボさんの全盛期。『MTNⅢ』や『Jʼs』の時代で、リシャフトが流行り始めた頃でした」  店長業をこなしながら、工房業務も少しずつ増えてきた。 「組立はクラブメーカーや問屋さんの研修で勉強しましたが、その経験が今も生きてます」  11年間店長を務めた後、同店の閉鎖を機に2004年7月に独立。常連客がいたことから、同じ小山駅近くに工房を構えた。 「前の店から引き継いだゴルファーが半分、独立してからの顧客が半分で、常連客は50人ほど。スコアは70~90前後で上手な方が多いですね。元競技ゴルファーも沢山います」  取材中、居合わせた常連客が話をしてくれた。 「競技ゴルフをやっていましたが、ゴルフ場が多くて競技者も多い土地柄か、言葉でのつぶし合いを仕掛けるゴルファーも多いんです。楽しくプレーして、楽しく競いたいから不快感が残る。それが嫌で競技を卒業しました」  近藤代表も競技ゴルファーだったが、競技をやめたのは同じ理由。だから、常連客の気持ちが分かるという。そんな元競技ゴルファーの憩いの場がグリーンターゲットなのだという。 <h2>「弾く」「運ぶ」の好みで振りやすさを見極める</h2> 「元競技ゴルファー」を中心とした常連客に、独特の視点でフィッティングを施すという。 「ひとつの視点は打感です。『弾く』打感が振りやすいと感じるのか、『運ぶ』打感を振りやすいと感じるのかを重視してます」  トップからの切り返しのタイミングも重要視するが、 「『弾く』打感を振りやすいと感じるゴルファーは、先調子のシャフトでスピン量を増やします。シャフトでいえば『TPT』のLシリーズです。ヘッドはシャローもディープも合いますが、ロフトは多めを提案しますね」  一方で、「運ぶ」打感が振りやすいと感じるゴルファーには中・元調子のシャフトでスピン量を少なめに調整する。ディープフェースのヘッドが合う場合が多いという。シャフトなら振動数が高く硬い『TPT』のMシリーズを推奨するという。 フィッティングは近隣の練習場に弾道計測器『GC2』を持ち込み、打ち出し角、ボール初速、スピン量を見極めながら行うが、 「特にスピン量は1500~2000回転が理想だと思います。3000回転を超えるとスピンが多すぎる。一概にはいえませんが、個人的にはヘッドが4割、シャフトが6割影響すると思うので、その点にも注意しながらフィッティングを行っています」  そんな近藤代表のこだわりは、組立にもあった。 <h2>接着剤4種類で打感を調整する</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/greentarget3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65050" /> 組立にもこだわりがあるという。 「まず、シャフトのスパイン、シャフトの背骨みたいなものですね。個体差によるものだと思いますが、複数ヵ所あるシャフトも時々あります」 そのスパインを測定して、飛距離追求なのか、方向性を求めているのかによってシャフトを挿し込む方向を調整することに加え、 「試打クラブはドライバーだけで約200本ありますが、その試打クラブが合う人もいます。ただ、試打クラブだからシャフトがへたっている場合がある。そのため、試打クラブの振動数と組み立てるクラブの振動数を合わせることも大事だと思っています」  さらにヘッドとシャフト、グリップの組立では、下巻きテープ6種類、接着剤4種類を使い分けるというこだわりよう。 「特に接着剤は4種類を使い分けています。違いは乾いたときの硬さですね」  その硬度が微妙に打感に影響するとか。 「ハードヒッターには、乾いた時にクラブが硬く感じる接着剤を使用することが多いですね。インパクトの衝撃に耐えられることが大前提ですが、インパクトが強いので乾いた時に硬くてもパワーがあるから軟らかく感じることが多い。あくまでも微調整ということになりますね」 誤解を恐れずにいえば、クラブの組立は手順を追えば誰にでもできる。だから、専門的に組立やフィッティングを勉強することなく開業した工房が増えているといわれている。ただ、クラブの組立も極めれば接着剤ひとつで打感を調整できる。グリーンターゲットの近藤代表はその意味で、打感の魔術師といったところだろうか。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/greentarget4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65051" /> ■グリーンターゲット 〒323-0032 栃木県小山市天神町2-8-50トーヨービル1F TEL/FAX:0285-21-2367 http://www.green--target.com/ <iframe width="788" height="525" src="https://www.youtube.com/embed/2_qMWwvqG0E" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> 2020年11月現在、グリーンターゲットは元競技ゴルファーの憩いの場として営業を続けており、多くのゴルファーがギアの悩みを相談する拠り所となっている。 この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものです。
    (公開)2020年11月28日
    中古チェーンの修理を受けて信用と新規顧客を作る  <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/golfbarn2.jpg" alt="ゴルフ工房バーン" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65007" /> 埼玉県川越市。関越自動車道の川越ICと三芳ICの中間地点で営業する練習場・トミーゴルフプラザ。その駐車場片隅のプレハブで営業するのがゴルフ工房バーンだ。代表でクラフトマンの吉井兼一氏は、元美容師という経歴。30歳で独立して美容室を経営し、独立時にゴルフにハマった。 「自分の美容室を持ってからケガの少ないスポーツをしようとハマったのがゴルフで、道具を自分で改造するため、個人でも工具が購入できるジオテックゴルフコンポーネントで工具を揃えました。美容室のバックヤードが工房になっちゃいましたよ」  40歳でセミリタイアし、ジオテックのテナントショップ(埼玉県ふじみ野市)の店長を3年ほど経験。2011年に独立し、2014年からトミーゴルフプラザの片隅で営業している。 「美容師の道具はハサミですが、使い手の意向を汲んで刃先を研いでくれるプロが少なくなり、時間もかかってしまう。だから、自分でやるようになりました。同じようにクラブもリシャフトを量販店に頼むと1週間以上かかることおありました。だったら自分でやろうと。それが最初のきっかけで、仕事にしたわけです」 常連客は50人程度。紹介で新規顧客が増えているが、中古チェーンからの修理依頼を受けており、そこから顧客になるのが3割を超えるという。 「中古チェーンは製造物責任法(PL法)の問題があり、リシャフトなど修理をやりたがりません。加えて、リシャフトされたクラブの売り戻し価格は、10分の一程度と査定額が低い。それで修理依頼を当社の名前で受けて当社の名前で領収書を用意すると、あとあと屋号や住所を見てゴルファーが来てくれるわけです」  中古チェーンとの持ちつ持たれつの関係で、常連客を増やしている。 <h2>ターフの取れ具合でライ角調整を行う</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/golfbarn3.jpg" alt="ゴルフ工房バーン" width="788" height="525" class="size-full wp-image-65008" /> 取材当時は練習場駐車場の片隅だったが、現在は練習場内で営業している。 練習場の片隅で営業するからといって、練習場をフル活用するかといえば、そうではない。 「練習場にベッタリだと、トラブルが起きたとき練習場に迷惑がかかります。なので、ほとんどフィッティングはゴルフ場です。年間50〜60回のラウンドですが、ほとんどが常連客と行っていますね」 そこで観察するのが、アイアンのターフの取れ具合。目標に対して真っ直ぐ構えていて、インパクトゾーンのクラブ軌道がスクエアな場合を前提とするが、 「インパクトで取れたターフの形を見ますね。飛球線に対して真っ直ぐなターフでも、ヘッドが抜けた時のターフの形がフェース幅に対してヒール側が短く、トゥ側が長い台形のターフなら、ヒールからヌケているということになります。ハンドアップや手首をインパクトで返している場合が多く、チーピンやフックになるケースが多いです」  その場合は0.5度刻み、最大± 1度程度でライ角を調整するという。この台形は様々な形にあり、それによって調整方法を考えるという。このターフの取れ具合には深さもあり、インパクト直前が深くヘッドが抜けた時が浅い場合や逆のケースもあり、 「ラウンド中には飛んでいったターフの形ばかり見ているかもしれません(笑)」  もうひとつ注意していることがあるという。それは、 「僕が行っているのは、フィッティングというよりミーティング。どのような弾道を将来的に打ちたいのか、ということです。常連客には、『新しいクラブを作りたいから飲みに行こう』という誘いもあるくらいで、それを一番重要視しています」  客が望むことと、工房マンが勧めること。その折り合いをコミュニケーションで解決するのは、美容師業で培った会話力だという。 <h2>リグリップはロゴの真ん中を見ずに、ロゴの余白の幅を合わせる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/golfbarn4.jpg" alt="ゴルフ工房バーン" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-65009" /> 美容師で培った技が生きるのはほかにもあるという。それがグリップ交換だ。 「グリップを交換する時、多くのクラフトマンはロゴのセンターとグリップエンドの印を合わせますが、僕の場合は違うんです。グリップのチップ側のロゴには左右に余白がありますが、その幅を同じ幅にします。これは美容院でいうところのカットと同じですね」  カットの場合、顔の骨格はひとそれぞれだから、左右対称のヘアースタイルにするのは難しい。そこで耳の上の髪の厚みを同じにすると、左右対称のバランスの取れた髪型になるのだとか。  その時の注意点はグリップ交換もカットも同じで、 「片目をつぶって見るのではなく、両目で見るのが基本です。片目だと右脳または左脳しか使わない。それでは正しく見えていると判断できません。だから両目で見るのが基本なんです」  ターフの取れ具合やグリップのロゴの余白を見るセンスは美容師時代に培われた能力だが、感覚重視なのはデータに表れにくい領域で活躍してきたからだろう。手先も器用だというから、こんなクラフトマンが研磨師になれば、超一流になるのかもしれない。 ■企業情報 〒350-1151 埼玉県川越市今福1293  トミーゴルフプラザ内 TEL:049-293-2116 FAX:049-293-2097 http://www.golfbarn.jp <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/golfbarn5.jpg" alt="ゴルフ工房バーン" width="788" height="525" class="size-full wp-image-65011" /> 2019年1月からはトミーゴルフプラザ練習場の建屋の中で営業中。 2020年11月現在、ゴルフ工房バーンは練習場内で営業。工房も以前の2倍ほどの広さになっており、ゴルファーが店舗内で待つこともできるようになっている。また、代表でクラフトマンの吉井兼一氏は練習場連盟のインストラクター資格を取得。ゴルフ場を中心としたラウンドフィッティングが変わっていないが、現在はインストラクターとして常連客のスイングにも言及しているという。 この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものです。
    (公開)2020年11月21日
    <h2>ゴルフ場への入口に出店 行き帰りのゴルファーを狙う</h2> ゴルフ場からの帰り道。ギアにこだわるゴルファーが集まるのが、栃木県佐野市のアフターゴルフだ。北関東自動車道・佐野田沼ICから車で2分。多くのゴルフ場の案内板が設置される交差点に工房を構えている。26歳まで研修生でプロを目指し、その後2年間にわたり佐野市の工房で修業。10年前に独立したのが、奥さんと二人で店を切り盛りする佐藤順代表だ。 同店は開店当初、タイトリストの販売が中心で、工房は修理・リシャフトが中心だった。その後、4~5年前から地クラブ中心の店へ様変わり。いまでは売上の8割が地クラブで構成されるという。 「この場所は高速道路から降りてゴルフ場へ向かう際に必ず通るので、ゴルフ場への行き帰りのゴルファーを狙って店を構えました。当初はタイトリストが中心で、その後ダンロップやリョーマゴルフ、オノフを扱ったものの、利益が取れない時代になって地クラブを中心にしたのです。幸運にも商圏にゴルフショップはほとんどなく、ライバルがないからやっていられます」 そんなアフターゴルフの常連客は50人程度。県外からのゴルファーが7割で、競技者もいるが半数はクラブ競技一歩手前の腕前が多いという。 「私が38歳とあってか、40歳代の顧客が多いですね。会員権を持たないゴルファーが多いことも、競技層に特化しない店づくりにつながっていると思います」 とはいえ、佐藤代表は県内屈指のトップアマ。主な戦績は後述するが、そのため周囲には競技ゴルファーも多く、 「トップアマの連中は仲間なので顧客にはなりません。だからエンジョイゴルファーを中心にクラブをフィッティングしています」 そのトップアマが提供するフィッティングとは? <h2>試打クラブ100本は無駄!? 打たせすぎは迷いのもと</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/aftergolf3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64822" /> 「クラブを作るお客さんの意識はヘッドが第一で、それを選んで合うシャフトを購入するというケースが多いですね」 フィッティングでは、インパクト時の打ち出し角や入射角、スピン量を弾道計測器スカイトラックで計測して、シャフトを選ぶ。 「スイング全体を診てインサイド・アウトか、アウトサイド・インかにもよりますが、スピン量が3000~3500回転のゴルファーは、トップスイングでタメがなく、突っ込み気味でアウトサイド・インのスイングになる傾向が強い。そういったタイプには、タメを作ってくれる手元調子の柔らかいシャフトを勧めます」 具体的にはトライファス「レジーロ」が挙げられるが、 「1フレックス系のデザインチューニング『メビウス』やリョーマの『ビヨンドパワー』などもいいですね。女性用シャフトの男性版というイメージです」 そのようなフィッティングを行うが、店内にはドライバーだけで一時100本の試打クラブがあったという。 「打ってみないと分からないという私の主義で、月10本ペースで作りましたが、多すぎると客が迷って販売につながらない。反省しましたね(苦笑)」 多い時は10本のクラブを試打するゴルファーもいて、迷いに迷ったあげく購入しない。 「試打は3~4本で十分かも」 そんなボヤキもふと漏らす。 <h2>関東大会での上位入賞は集客にはつながりません!</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/aftergolf2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64820" /> 先述のとおり、佐藤代表は県内屈指のトップアマで、2016年には県内アマ4競技(県アマ、知事杯、社会人アマ、県ダブルス)を制覇し、2017年は関東ミッドアマで3位に入賞した。しかし、 「関東ミッドアマ3位は、地元の下野新聞に載りません。それよりも身近な県内4競技の結果が下野新聞に載ったことで注目され、地元のお客さんが少し増えました。関東大会での上位よりも県トップの方が効果的なんですよ(笑)」 また、栃木県の知事杯争奪ゴルフ競技は、決勝大会まで4段階で予選大会も数多く開催される。そのため、ガチガチの競技ゴルファー以外も予選には参加でき、同伴競技者同士が使用クラブを気にすることも多いのだとか。 「関東大会は出場者のみんながピリピリしていて、他人の道具なんて気にしていません。一方で県内競技はレベルも予選はユルいので、他人の使用クラブを気にする。優勝すれば使用クラブも注目されます」 それが集客につながり、だからクラブ競技一歩手前のゴルファーが集まる場所となっている。 「もちろん、競技にあまり参加しないゴルファーを集客した方が、フィッティングの結果が出やすいという面もあります。競技ゴルファーとエンジョイ派の境目がなくなってきたこともあり、そのあたりを重視した経営も工房では大事だと思います」 トップアマはクラブを自身で診断できることもあり、同店の場合顧客になりづらい。狙うは、競技一歩手前のゴルファーだ。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/aftergolf41.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64816" /> ■企業情報 アフターゴルフ 〒327-0317 栃木県佐野市田沼町368-3 TEL:0283-62-52371 FAX:0283-62-5271 HP: http://aftergolf-71.com/ <iframe width="788" height="525" src="https://www.youtube.com/embed/EQwKkxbGtfI" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2018年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2020年11月13日

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