PGMホールディングス(PGMHD)は本日、2014年度第5四半期(2014年1月~2015年3月)の通期決算報告会を開催。売上高は908億6600万円、営業利益109億3100万円、経常利益87億2600万円だった。
同社は当期、決算期を12月から3月に変更したことに伴い、上記は第1Qから第5Qまでの累計業績となるため前年比は不記載となる。しかし、比較対象が少々分かりづらいので、「2013年度4月~3月」と「2014年度4月~3月」に換算したものは以下の通り。
■売上高:770億600万円(前年同期比102.0%)
■営業利益:119億2200万円(同122.3%)
■経常利益:107億9000万円(同144.0%)
増収増益の決算内容だった。さらに、今回の業績報告会で特筆するポイントは次の2点。
①顧客単価のうち、「プレーフィ+カートフィ」の単価アップ
②親会社である平和が株式交換により、PGMHDを完全子会社化
まずは①について、同社の田中耕太郎社長は次のようにコメント。
「顧客単価を4月~3月の年間で比較すると、2014年度は9076円(前年同期比99.5%)ですが、キャディフィの減少を除くと100.0%となり、価格コントロールの成果が出てきた結果となっております。また、顧客単価のうち、最も大きなウェイトを占め、利益率を左右する『プレーフィ+カートフィ』をみれば、5933円で同101.4%です。過去15年間、客単価は低落しておりますが、当期、プレーフィを回復基調に持っていけたことは、当社にとって大きな成果」
田中社長によれば、プレーフィの向上は既存ゴルフ場の設備投資、コース管理によるもの。具体的には、気候の問題などでコース内が荒れ、プレー不可能な状況に陥るコースが1つもなかったという。ようするに、プレーの機会損失がなかったことが大きな要因。
「それだけではありません。オペレーション面に目を向ければ、社内に『価格戦略グループ』を設置。現在15名体制で、予約の出し入れ、プライスコントロールを集中して管理しております。これらの取り組みがカタチとなって表れてきたということです」(田中社長)
続いて②のトピックスについて説明する。平和は連結子会社であるPGMHDを、株式交換により完全子会社化することを発表。正式には6月23日に開催される定時株主総会の承認を得たうえで、8月1日に効力発生するもの。それに先立ち、7月29日付でPGMHDは上場廃止となる。同社財務経理本部の太田裕本部長は、目的を次のように語る。
「現在、ゴルフ場運営事業環境は、ゴルフ人口の減少、ゴルフ場供給過多、価格競争の激化など、一層の厳しさを増しています。そこで、業界再編を図るため、厳しい環境に対応できる基盤・体制の構築が急務だと考えます。平和の完全子会社になることで、迅速な意思決定のもと、グループの柔軟な資金調達手段を活用。既存施設の老朽化に対した投資や新規M&Aの推進を図ります」
ところで気になるのは、同社のステークホルダーの持株だ。
「今回の株式交換では、PGMHDの普通株式1株に対し、平和の普通株式0.54株を割当交付いたします」(太田本部長)
そのほか、これまで通り同社の株主優待は継続、配当金に関しても平和80円(1株)、PGMHD10円(1株)だから、仮にPGMHDの株式を100株持っていた場合、配当金1000円だったものが同4320円となる。株主にとってプラス材料になる要素が多いという。13日の発表後、同社の株価は前日終値から35円高の1316円で取引を終了。一時、1337円という高値をつける場面もあった。最後に2016年3月期の経営戦略方針を田中社長が語る。
「まずは、M&Aの強化。具体的には、18ホール換算で12コースのゴルフ場取得を目指します。さらに、会員系募集の積極的推進、商品価値の向上と価格戦略の徹底を行い、次期は売上高796億円、営業利益119億円、経常利益107億円を目指します」