ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンターは、千葉県市川市鬼高にある200ヤード、2階80打席の練習場である。京成鬼越駅より徒歩6分、JR本八幡駅・下総中山駅より徒歩12分、車でも京葉道路の市川ICから2㎞とアクセス抜群な場所にある。ショッピングモールのニッケコルトンプラザに隣接しており、賑わいのある街に位置している。その成り立ちやコンセプトについて、同施設を運営する株式会社ニッケウエルネス・執行役員・ゴルフ事業部部長の小林ひとみ氏に取材した。
<img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki2.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83587" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター入り口
ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンターは1988年に開場している。「ニッケ」は日本毛織株式会社の通称で、1896年創業の100年企業だ。現在、ニッケグループは祖業である毛織物業から「みらい生活創造企業」を目指して多様な事業を展開中。ニッケウエルネスは「人とみらい開発事業本部」に所属するニッケのグループ企業である。
ニッケがゴルフ練習場事業に参入したのは1971年のこと。ニッケグループが保有していた兵庫県明石にあった土山牧場(5・5万坪)の土地を有効活用して、収益性の高い事業を模索する中で、ゴルフの大衆化という時代の要請もあり、9ホールのショートコース・土山ゴルフ場と、50打席の練習場・ニッケ土山ゴルフセンターを開設したのが始まりだ。その後工場跡地、遊休地を活用して、1972年ニッケ京口ゴルフセンター、1983年ニッケ加古川ゴルフセンター、1986年ニッケ弥富ゴルフコース、1987年ニッケ岐阜ゴルフセンター、1988年ニッケコルトンゴルフセンター(現ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター)を開場。合計8拠点のゴルフ施設を運営している。
<img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki3.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83589" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター受付
今回取り上げるニッケゴルフ倶楽部コルトンセンターは、ニッケの中山工場跡地(5・1万坪)である千葉県市川市の中心帯の土地活用から生まれた。この地域でニッケの50年以上にわたる地元とのつながりを踏まえ、市の発展につながる商業施設と地域コミュニティの中心としての役割、レジャー・スポーツ・憩いの広場を提供し、地元との一体感を醸成するなど、多様な開発計画の一環としてゴルフ練習場が組み込まれた。1988年に商業施設のニッケコルトンプラザが誕生し、その付帯施設という位置づけである。
開業当初は「ニッケコルトンゴルフセンター」の名称だったが、2020年にスポーツ事業をニッケウエルネスにまとめ、それ以前の2018年に練習場をニッケゴルフ倶楽部に統一、現在の名称になっている。
練習場や商業施設に付記される「コルトン」は、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサンベルナルディーノ市内のリゾート地・コルトン地区に由来している。東京都心と市川市の位置関係が、コルトン地区の所在地と似ていることが命名の理由。また、「COLT」は英語で子馬の意味で、「緑」「水」「生活」のバランスがとれ、シティーリゾートとして成長・発展したいとの願いが込められている。
シニアと若者を大切に
<img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki4.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83590" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター・打席
「ニッケ全体として、天然芝のフィールドを特色にしています。ここも150ヤードまでは天然芝。解放感を楽しみながら、ゴルフ場に近い環境で練習でき、アプローチ練習にも有効だと思っています」
と、小林部長は強調する。
ニッケウエルネスのコーポレートミッションとして“人びとの健康とスポーツの未来に貢献できる「スポーツのチカラ」を創造する”があり、“地域に根差した企業として、子供からお年寄りまでの体作りをサポートしていく”との方針がある。
「長くゴルフを続けて頂くために、2019年から練習場内でコンディショニングスクールを運営。ケガをしない体をつくって、長く健康でゴルフを楽しんで頂きたい」
コンディショニングスクールはインストラクターが指導するが、会員はスクール時間外も自由に可動域と柔軟性を高めるストレッチ機器等を使用できる。この考え方は練習場の営業方針にも反映されており、基本的に通常営業は球貸しのみで打ち放題はやっていないが、
「若い世代にはゴルフを始めてもらい、シニア世代にはゴルフを続けてもらいたいとの思いから、75歳以上と、18歳~29歳の世代には90分打ち放題を実施しています」
<img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki5.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83591" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター・案内板
年代別の来場者は、50代:28%、60代:20%、40代:17%、30代:13%の順で、18歳~29歳の打ち放題利用者が徐々に増えているとか。女性比率は15%となっている。
商圏は練習場を中心に5㎞圏内をカバー。市川市を中心に江戸川より東側で、商業施設のコルトンプラザに家族で買い物に来た時に、練習場へ立ち寄るパターンもある。
スクールはブリヂストンゴルフアカデミーを導入し、生徒数は500名以上。ゴルフ用品の販売にも貢献している。また、全店共通の「ニッケスコアアップシステム」を独自に開発。レベル1~9までをスコアで分け、レベル1がコース未経験者、レベル9が74以下のスコアが対象。ステップアップを実感することで、モチベーションの維持やスクール継続に役立てている。
小林部長は今後の課題について、
「ゴルフ人口減少の中で、まずは現状維持が大切です。そのためにはシニアを大事にすること、若い方にもスポットを当てることです。ゴルファーを生み出し、継続してもらうためには、ゴルフスクールの活性化が大事だと考えています。また、開場から年数が経っているので、事業継続のためにも施設老朽化が課題となっています」
近年、企業系の練習場は閉鎖傾向が目立っている。そんな中、ニッケグループが掲げる“人びとの健康とスポーツの未来に貢献”は、ゴルフ界にとって光明であり、確立された収益モデルは他施設の参考になるだろう。この事業の発展を願う。
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この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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