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    ハッシュタグ「練習場」記事一覧

    桜宮ゴルフクラブは、大阪市都島区にあるゴルフ練習場である。アクセス抜群で、JR環状線・京阪・地下鉄の「京橋駅」、JR東西線「大阪城北詰駅」、JR環状線「桜ノ宮駅」からそれぞれ徒歩10分、大阪梅田からも約4Kmの場所にある。 クラブハウスは天井が高く明るく、受付スタッフが笑顔で迎えてくれた。120ヤード3階94打席で、年間13万人以上が訪れる。正三角形の独自の形をした敷地にある同施設の成り立ちやコンセプトについて、桜宮ゴルフクラブ株式会社・取締役会長・川﨑益彦氏、代表取締役社長・川﨑博之氏に話を聞いた。取材場所は練習場横の川﨑益彦氏が代表取締役を務める大阪冷蔵株式会社の事務所。この会社名に同練習場の成り立ちの歴史が刻まれている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/2410shimasaki2.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83897" /> 桜宮ゴルフクラブ 大阪冷蔵定款 桜宮ゴルフクラブが開場したのは1992年である。この事業の始まりは、1898年に鳥取で日本初の冷蔵倉庫を開業した日本冷蔵商会に始まる。1905年に会社・工場を神戸に移し、更に1906年現在の練習場がある大阪に日本冷蔵倉庫合資会社として移転。冷凍設備を利用した「凍り豆腐(高野豆腐)」の製造を主力事業とし、冷蔵倉庫、製氷も行っていた。会社は1909年に大日本冷蔵株式会社として登記されている。川﨑家は代々この会社の経営には携わっておらず、堺で乾物・海産物卸を生業としてきた。川﨑会長の祖父・徳次郎氏が、同社の「凍り豆腐」を大口で取り扱っていたことから経営に参画し、その後同社の株式を取得したという経緯。 戦前は軍需用の凍り豆腐を製造しており、戦後1950年に大阪冷蔵株式会社に社名変更。主力の「凍り豆腐」は競合が増え、過当競争による価格暴落もあり、徳次郎氏は大阪冷蔵の再建を考えて1951年に凍り豆腐事業から撤退を決めた。 徳次郎氏の息子で、川﨑会長の父の益男氏が1952年大学を卒業、大阪冷蔵に入社した。益男氏は学生時代から新しい事業に挑戦する夢を持ち、アイススケートが流行ると考え徳次郎氏に提案した。凍り豆腐事業から撤退したタイミングで、工場跡地の活用、新規事業を考えていたため、アイススケートリンク事業への進出を決めた。大阪冷蔵の製氷技術をそのまま生かせ、京橋駅から近い地の利も幸いした。1953年3月別会社として、桜宮スケートリンク株式会社を設立、10月に現在の練習場と同じ場所に開場。大阪で5番目のスケートリンクであった。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/2410shimasaki3.jpg" alt="" width="898" height="973" class="size-full wp-image-83898" /> 桜宮ゴルフクラブ スケートリンクの歴史 開業から2年間は赤字だったが、1955年には予想通りブームとなり、入場待ちの行列ができる盛況ぶり。ところが、開場して20年が経過し、70年代後半になるとレジャーの多様化や競合でスケート事業は不振に陥る。1982年に川﨑会長が大学卒業、三洋電機に勤務後大阪冷蔵へ入社、会社全体の改革に着手。 当時、冷蔵倉庫やスケートリンク事業など会社全体として赤字体質に苦しんでいた。さらにバブル経済の中、1990年土地基本法の施行、税制改正があり、固定資産税が3・5倍になる。事業を整理して土地活用を考え、1992年桜宮スケートリンクは39年の歴史に幕を閉じ、ゴルフ練習場事業へ転換した。 川﨑会長が理由を話す。 「三角形の2500坪の土地は一筆で価値があり、更に練習場として打席が広くとれ、フェアウエイは三角形なのでボールが集めやすいメリットもあります。また、ゴルフ練習場を賃貸する場合、フェアウエイが主体で駐車場と同じ扱いだから借地権が発生しない。いつでも次の事業に活用できるメリットもある」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/2410shimasaki5.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83899" /> 桜宮ゴルフクラブ 三角形のフェアウエイ そこでまず、ゼネコンから練習場運営会社を紹介され、練習場設備を大阪冷蔵が建設して大家となり、練習場運営会社から家賃収入を得るモデルで1992年11月に開業。運営会社が設計した練習場は、鉄塔の間隔が8mの贅沢な仕様で、既存の事業整理を含めて10億円以上の投資だったが、運営会社からの家賃収入は投資回収するのに十分な金額だったという。が、その後経営不振で家賃の支払いが滞り、1998年から直接経営を始めている。 ゴルフウエアの古着を寄付 桜宮ゴルフクラブの名称は、近隣に桜宮神社があり、桜宮スケートリンクの名前をそのまま引き継いでいる。直接経営を始めてから改革に取り組んだのがスクールだった。 「スクールは、新規で毎月30人入るけど30人やめる状況でした。そこでプロが独自で開講していたスクールを桜宮ゴルフスクールに統一し″お好きな時間に、お好きなプロに”のコピーで、生徒がプロを自由に選べるようにしたのです。その結果ゴルフスクールの定着率と売上が順調に伸び、経営改善に貢献しました。また、従業員の提案でISO9001を取得。一貫した従業員教育でサービスの質を向上させ、お客様に喜んでもらえるゴルフ練習場を目指しています」(川﨑会長) その中で、顧客サービス基本方針を定めた。全文は割愛するが、 《当社はお客様が元気に楽しくゴルフを練習できるサービスおよび環境を提供します。そのために、スタッフ全員が笑顔で誠実におもてなしをいたします》 を掲げている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/2410shimasaki4.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83900" /> 桜宮ゴルフクラブ 受付 2010年にクラブハウスをリニューアル、2019年には健康増進のための低酸素・高酸素ジムAORもオープンした。社会貢献として、ゴルフウエアの古着を集め、釜ヶ崎の労働者に寄付する活動を10年前から始め、関西ゴルフ練習場連盟も巻き込んで実施している。 今後の課題について川﨑社長は、「若い世代のリピート率を上げ、スクールの定着率を上げていくこと」 と回答した。次代を担う同氏は「ゴルフと健康」にも学術的に取り組んでいるという。川﨑会長、川﨑社長とも大学は理科系だけに、合理的かつ新しい切り口で練習場業界に新風を吹き込んでいる。「元気に楽しく」という言葉が、練習場活性化のキーワードになると感じた。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年11月17日
    ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンターは、千葉県市川市鬼高にある200ヤード、2階80打席の練習場である。京成鬼越駅より徒歩6分、JR本八幡駅・下総中山駅より徒歩12分、車でも京葉道路の市川ICから2㎞とアクセス抜群な場所にある。ショッピングモールのニッケコルトンプラザに隣接しており、賑わいのある街に位置している。その成り立ちやコンセプトについて、同施設を運営する株式会社ニッケウエルネス・執行役員・ゴルフ事業部部長の小林ひとみ氏に取材した。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki2.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83587" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター入り口 ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンターは1988年に開場している。「ニッケ」は日本毛織株式会社の通称で、1896年創業の100年企業だ。現在、ニッケグループは祖業である毛織物業から「みらい生活創造企業」を目指して多様な事業を展開中。ニッケウエルネスは「人とみらい開発事業本部」に所属するニッケのグループ企業である。 ニッケがゴルフ練習場事業に参入したのは1971年のこと。ニッケグループが保有していた兵庫県明石にあった土山牧場(5・5万坪)の土地を有効活用して、収益性の高い事業を模索する中で、ゴルフの大衆化という時代の要請もあり、9ホールのショートコース・土山ゴルフ場と、50打席の練習場・ニッケ土山ゴルフセンターを開設したのが始まりだ。その後工場跡地、遊休地を活用して、1972年ニッケ京口ゴルフセンター、1983年ニッケ加古川ゴルフセンター、1986年ニッケ弥富ゴルフコース、1987年ニッケ岐阜ゴルフセンター、1988年ニッケコルトンゴルフセンター(現ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター)を開場。合計8拠点のゴルフ施設を運営している。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki3.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83589" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター受付 今回取り上げるニッケゴルフ倶楽部コルトンセンターは、ニッケの中山工場跡地(5・1万坪)である千葉県市川市の中心帯の土地活用から生まれた。この地域でニッケの50年以上にわたる地元とのつながりを踏まえ、市の発展につながる商業施設と地域コミュニティの中心としての役割、レジャー・スポーツ・憩いの広場を提供し、地元との一体感を醸成するなど、多様な開発計画の一環としてゴルフ練習場が組み込まれた。1988年に商業施設のニッケコルトンプラザが誕生し、その付帯施設という位置づけである。 開業当初は「ニッケコルトンゴルフセンター」の名称だったが、2020年にスポーツ事業をニッケウエルネスにまとめ、それ以前の2018年に練習場をニッケゴルフ倶楽部に統一、現在の名称になっている。 練習場や商業施設に付記される「コルトン」は、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサンベルナルディーノ市内のリゾート地・コルトン地区に由来している。東京都心と市川市の位置関係が、コルトン地区の所在地と似ていることが命名の理由。また、「COLT」は英語で子馬の意味で、「緑」「水」「生活」のバランスがとれ、シティーリゾートとして成長・発展したいとの願いが込められている。 シニアと若者を大切に <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki4.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83590" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター・打席 「ニッケ全体として、天然芝のフィールドを特色にしています。ここも150ヤードまでは天然芝。解放感を楽しみながら、ゴルフ場に近い環境で練習でき、アプローチ練習にも有効だと思っています」 と、小林部長は強調する。 ニッケウエルネスのコーポレートミッションとして“人びとの健康とスポーツの未来に貢献できる「スポーツのチカラ」を創造する”があり、“地域に根差した企業として、子供からお年寄りまでの体作りをサポートしていく”との方針がある。 「長くゴルフを続けて頂くために、2019年から練習場内でコンディショニングスクールを運営。ケガをしない体をつくって、長く健康でゴルフを楽しんで頂きたい」 コンディショニングスクールはインストラクターが指導するが、会員はスクール時間外も自由に可動域と柔軟性を高めるストレッチ機器等を使用できる。この考え方は練習場の営業方針にも反映されており、基本的に通常営業は球貸しのみで打ち放題はやっていないが、 「若い世代にはゴルフを始めてもらい、シニア世代にはゴルフを続けてもらいたいとの思いから、75歳以上と、18歳~29歳の世代には90分打ち放題を実施しています」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2409shimazaki5.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83591" /> ニッケゴルフ倶楽部コルトンセンター・案内板 年代別の来場者は、50代:28%、60代:20%、40代:17%、30代:13%の順で、18歳~29歳の打ち放題利用者が徐々に増えているとか。女性比率は15%となっている。 商圏は練習場を中心に5㎞圏内をカバー。市川市を中心に江戸川より東側で、商業施設のコルトンプラザに家族で買い物に来た時に、練習場へ立ち寄るパターンもある。 スクールはブリヂストンゴルフアカデミーを導入し、生徒数は500名以上。ゴルフ用品の販売にも貢献している。また、全店共通の「ニッケスコアアップシステム」を独自に開発。レベル1~9までをスコアで分け、レベル1がコース未経験者、レベル9が74以下のスコアが対象。ステップアップを実感することで、モチベーションの維持やスクール継続に役立てている。 小林部長は今後の課題について、 「ゴルフ人口減少の中で、まずは現状維持が大切です。そのためにはシニアを大事にすること、若い方にもスポットを当てることです。ゴルファーを生み出し、継続してもらうためには、ゴルフスクールの活性化が大事だと考えています。また、開場から年数が経っているので、事業継続のためにも施設老朽化が課題となっています」 近年、企業系の練習場は閉鎖傾向が目立っている。そんな中、ニッケグループが掲げる“人びとの健康とスポーツの未来に貢献”は、ゴルフ界にとって光明であり、確立された収益モデルは他施設の参考になるだろう。この事業の発展を願う。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年10月20日
    前回は練習場経営において大事な指標となる「安定化率」について簡単に触れましたが、今回はこの点を深掘りします。 安定化率は来場者の動きを調べたもので、「比較対象期間に安定化していなかった顧客のうち、集計期間に安定化した割合」のこと。安定化していなかった顧客とは「年間来場回数11回以下」の人であり、逆に安定化した顧客は「年間来場回数12回以上」と定義しますが、「12回以上」で分けた根拠は、以前当連載で紹介した山岸勝信代表(ゴルフ産業需要調査研究所)の、前年来場回数と翌年来場割合の図5を見るとわかります。 前年に12回以上来場した人は、翌年に「8割以上継続」して来場するというデータがある。つまり平均月イチ以上の来場者は、その練習場へ通うことが習慣化→安定化したと言えるかもしれません。 当社のシステムでは、図6にある分析システムで簡単に自分の練習場に関するこのグラフが確認できますが、私がざっと確認した感じでは、年間8回以上で8割を超える感じでした。それが年間12回を超えれば、ほぼどの練習場でも継続的に来場してくれると思います。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/image5.jpg" alt="" width="788" height="590" class="size-full wp-image-82963" /> 図5 図5でもう一つ大切な点は、年間1回しか来場しなかった人の多さです。有名練習場に出張ついでに、という一見さんが多い練習場は別として、一般的な練習場でもグラフの傾向は同じです。つまり、せっかく来てくれたお客さんの多くが再来場していない現実が明らかなのです。 そもそも、練習場経営にとって重要なことは、如何に「初めて来てもらえるか」です。1回目がすべての始まりなので、これがなければ2回目も3回目もありません。 初めてのお客さんは、ゴルフを始めようという人や、しばらくやめていた再開組、あるいは転居してきた人かもしれません。他の練習場に通っていた人に来てもらうこともそう簡単ではないでしょう。様々な事情や困難を乗り越えて「1回目」があるわけですが、にもかかわらず、2度と来ない割合がとても高い。その原因を分析して安定化率を高めることが如何に大事かわかります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/image6.jpg" alt="" width="788" height="433" class="size-full wp-image-82964" /> 図6 実は、再来場を促すテクニックはたくさんあります。初回のチャージを、1回で使いきれない金額で入れてもらう施策も効果的だし、次回使えるクーポンなどを渡すのも良いでしょう。しかし、それよりも大切ななことは「ゴルフって楽しい!」「また来たい!」と思える体験をしてもらうことだと思います。 そのためには練習すること自体の楽しみに限らず、スタッフの気持ち良い対応や清潔な環境、コミュニティとしての居心地の良さなどさまざまな要因が考えられます。そのための対策を行った結果、年間12回を超える来場をしてくれれば、ゴルフの楽しさがわかり、その練習場にとって「常連化」→「安定化」したということになります。 この安定化率が、わずか10%にも届かない現状は深刻ですが、逆に考えれば、ゴルフを始めたい人を増やして安定化率を高められれば、まだまだ来場者を増やせるでしょう。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/image7.jpg" alt="" width="788" height="398" class="size-full wp-image-82965" /> 図7 顧客数増減クロス集計をグラフ化したのが図7の実稼働顧客増減です。週1ゴルファーは前に説明したように2022年に比べて2023年は28名減ったという感じに増減の様子が確認できます。トータルでは363名減少しています。コロナ禍ピークの2021年から徐々に減少傾向だったことは全国的なトレンドです。この練習場では年間1回だけの来場と、コースプレー準備中(年間2〜4回来場)の減少が多いので、常連はそれほど減っていないという見方もできます。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年09月18日
    私がゴルフ練習場システムに関わるようになった8年前は、プリペイドカードに対してリライトカードやICカードのメリットは「カードを使い捨てしないですむこと」くらいでしたが、熱心な練習場経営者と交流を続ける中で、「顧客情報を預かる代わりにきめ細かなサービスを提供できる」メリットを学びました。 さらに「来場分析をして、料金体系などのサービスを検討する大事な判断材料」として活用できることも学び、当社のシステムを導入する際に「こういう帳票を出して欲しい」と要望されることもありました。 当初、帳票は経理的な活用だろうと考えましたが、そうではないということを、福島県いわき市の荒川ゴルフクラブ佐藤社長と、福岡市の小戸ゴルフセンター川上支配人から教わりました。練習場経営のポイントは多岐にわたりますが、特に「価格改定の考え方」「打席使用率を上げる方法」「リニューアルなど投資の判断基準」等が大事であり、データ分析→予測→決定に活かせます。 このような学びを経て、我々がやるべきことは「ゴルフ練習場が将来に向けて発展を続けるためのお手伝い」だと考え始め、分析システムの開発に着手。株式会社ONE Story山﨑代表のコンサルティング手法をシステム化し、練習場の要望に応える形で「現状分析機能」を追加。さらに昨年、ゴルフ需要調査研究所の山岸代表と出会い、マクロ分析や「山岸流分析手法」をシステムに取り込む。それが当社の現在地です。 山岸代表の「来場者が増えた・減ったの大雑把な視点では本質は見えない」という言葉は、目からうろこでした。なぜなら来場者の増減は、コロナ禍の影響はもちろん、気象状況や景気など様々な外的要因に左右されるため、単に増減だけを見ても本質は見えないからです。山岸代表は、「新規来場者を増やす工夫は大事だが、同時に、新規来場者をどれだけ『常連客』に育てられたかを見続けなければ、練習場の安定経営は難しい」と話しており、同氏はこの基準を「安定化率」と呼んでいます。 来場者を年間来場回数で階層分けし、各階層の来場者がどのように変化したかを観察すれば「常連になった顧客の数」や、逆に「来場回数が減ったり離脱した常連客数」など、具体的な動向が観察できます。 「来場詳細分析」とは? 以上を前提に、山岸代表の指導を受けながら開発したのが「来場詳細分析」です。次にこの点を説明しましょう。なお、文中のデータは金額など生々しい情報は含みませんが、架空のサンプルデータではなく実データを用います。当社の分析システム導入施設の中で最も「安定化率」が高かった、栃木県宇都宮市の西の森ゴルフパーク・中川支配人よりデータ使用の許可を頂きました。 同施設は2021年2月に当社ICカードシステムでリニューアルしたため、それ以降のデータが分析できます。リニューアル後は来場者の評価も高まっており、その声は、私が著した「ゴルフ練習場行脚録」でも紹介しています。(<a href="https://ncad-golf.com/?p=396" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://ncad-golf.com/?p=396</a>) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2404image1.jpg" alt="" width="640" height="566" class="size-full wp-image-82461" /> 図1 来場ゴルファーを図1のように階層分けして分析します。ポイントは年間来場回数11回以下を細分化した点ですが、大きな括りで見ると、年間来場回数11回以下を「不安定(常連化前)ゴルファー」と位置づけ、同12回以上を「安定(常連化)ゴルファー」と定義します。 「12回」で分けた根拠は後述しますが、これまでの分析画面同様、来場詳細分析でも集計期間と比較対象期間を指定できます。今回は、2022年の来場者が2023年にどう変化したのかを見ていきます。「来場者数」と「来場回数」の2視点で見ますが、まずは来場者数から。 最初に図3の顧客数クロス集計の表を説明します。集計期間(2023年1年間)と比較対象期間(2022年1年間)のクロス集計表ですが、比較対象期間である2022年の顧客数を見ると、一番下の「総計行」の右端により、2022年に来場した「顧客数総計」は、7061名から「消滅」「休眠」の1545名を引いた5516名となります。同様に、週1ゴルファーは下から2行目の右端にある460名です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2404komaimage2.jpg" alt="" width="1000" height="200" class="size-full wp-image-82462" /> 図2 各階層の顧客が翌2023年にどう変化したのかは、縦に見ていくとわかります。たとえば右から2列目の週1ゴルファーは、上から2022年に一度も来場しなかった人から16名60回以上来る(週1ゴルファー)ようになり、1回だけ来ていた人のうち2名が60回以上来るようになり、2~4回来ていた人から0名、5~11回来ていた人から9名、12~59回来ていた人から94名、60回以上来ていた人から311名が、そのまま60回以上来てくれた、という感じです。また、2022年の週1ゴルファーは総計460名だったので、2023年の432名と比較すると28名減でした。 ここで大事なのは、2022年にそれほど来場しなかった人がどれくらい「常連化」したか、です。青色の部分が2022年に1~11回来てくれた人、つまり常連化していなかった人の総計です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2404image3.jpg" alt="" width="1000" height="288" class="aligncenter size-full wp-image-82463" /> 次にオレンジ色の部分です。2022年に1~4回来場した人のうち2023年に月1ゴルファーになった人は26名、82名、154名で、2023年に週1ゴルファーに育った人も2名、0名、9名いる。その様子をまとめた表が図4です。2022年の1年間で1~11回しか来なかった常連化前の人が図3の青色部分合計の3499名。そのうち月1か週1ゴルファーになった人が273名なので、常連化した人、つまり「安定化率」は7.8%です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/komataimage4.jpg" alt="" width="788" height="252" class="size-full wp-image-82464" /> 図4 当社の分析システム導入施設の平均が5.9%なので、7.8%は高い値ですが、一見客が多い練習場の安定化率は高くなりにくいので、高ければ良いという単純な比較はできません。他の練習場と比較するより自社の練習場が以前と比べてどうかを見るのがよいでしょう。次回は安定化率をもっと深掘りします。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年08月23日
    「ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば」は、1985年に「科学万博つくば」が開催された跡地に建設された科学万博記念公園に隣接、茨城県つくば市水堀大塚に位置している。つくばエクスプレスの万博記念公園駅から徒歩15分、つくば中央インターから車で5分の便利な場所にある。建屋入り口の外観はお洒落な別荘風で高級感があり、ジャック・ニクラスの名前に相応しい雰囲気を漂わせている。 その成り立ちについて田辺正博支配人に取材した。 同練習場はその名が示す通り、ゴルフの帝王・ジャック・ニクラスが監修、1992年に開場した。ニクラスのメジャー大会18勝は、タイガー・ウッズ(15勝)も破れなかった金字塔だ。設立時は三菱商事とサントリーが出資した会社が運営し、社長は三菱商事から、支配人はサントリーからという体制であった。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2407shimasaki2.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-82452" /> 2_ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば 開業ニクラス来場 なぜ、ニクラスの名前を冠したゴルフ練習場が出来たのか? 実は、サントリーは1984年にマグレガージャパンの株式を75%取得しているが、ニクラスは『ターニー』などマグレガーのクラブを愛用し、米国マグレガーの経営にも関わっていた。当時サントリーの副社長だった鳥井道夫氏はゴルフ事業に関心があり、ニクラスとは個人的にも親しかった。その関係で、米国のジャック・ニクラスゴルフアカデミーのノウハウを導入。そのような流れが練習場開業の背景にある。 当時マグレガージャパンはサントリーのゴルフ事業部門といった位置づけで、男子ツアー「サントリーオープン」の運営にも関わっていた。田辺支配人は大学を卒業後マグレガーに入社してすぐ、研修を兼ねてこの練習場に1年間出向していた。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2407shimasaki3.jpg" alt="" width="1000" height="707" class="size-full wp-image-82454" /> ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば 初期パンフレット 「ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば」が1号店で、東京の大森に2号店もできたが、バブル崩壊の影響もありそれ以上の展開は見送られた。その後、三菱商事、サントリーは撤退し、もともとこの施設を所有していた地元のつくばゴルフガーデン株式会社が運営している。 田辺支配人は10年前にこの練習場に再就職、5年前から支配人を務めている。同社はジャック・ニクラスの商標を、米国のゴールデンベア・インターナショナル・インクからライセンスの許諾を受けている。大森店は別の経営になり、練習場の名前も変わっている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2407shimasaki4.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-82455" /> ジャック・ニクラスゴゴルフセンターつくば ミスト設備 打席は2階84打席240ヤード。ニクラスのコンセプトで、コース同様のアンジュレーションを持つフェアウェイ、ターゲットグリーン、バンカーが巧みに配置され、打席ごとに景観が変わり、「狙い」「アドレス」の戦略的な練習ができるように設計。打席から見るとゴルフ場で打っているのと同じような感覚だ。 現在、日本でジャック・ニクラスの名前が付いたゴルフ練習場はここだけである。スタッフウエアの胸には、ニクラスがパターを入れた瞬間の刺繍があしらわれている。1992年10月の開所式には、ニクラスが来場し始球式を行った。その写真がフロントに飾られ、クラブハウスのそこかしこにニクラス関係の写真が見られる。田辺支配人は、 「ニクラスは年配の皆さんはご存じですが、若い20代では知らない方が増えてきています」 と、時代の流れを感じている。 バンカーの砂にもこだわる 随所にこだわりが感じられる。 「お客様にゆったりと過ごしていただきたいので、打席幅は2.7mと広く、椅子も木製で、2人掛け用も一定間隔で配置しています。ボールのオートセッターは、この地域では少ないですね。レストランやヨガスタジオ、カイロプラクティックの併設も特徴で、ゴルフに関係なく来場される女性の方も多いんですよ」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2407shimasaki5.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-82456" /> ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば 野菜販売 レストランでは地元の野菜や和菓子なども販売され、クラブ工房も併設されている。 「エリアでナンバーワンの練習場を目指しています。建屋などの設備に負けないよう、スタッフの接客などソフト面も充実させたい。マットとボールを常に綺麗にすることを心掛けており、ボールは毎年少なくとも3万球は交換しています」 打席の横には屋根付きのバンカーも備えており、 「こだわっているのは茨木県高萩産の砂で、近隣の茨城ゴルフ倶楽部や東筑波カントリークラブで使われているのと同じ砂で練習できます」 また、夏でも快適に練習できるよう、10年以上前から全打席にミスト設備を設置。井戸水の使用でコストも抑えられるとか。冬の寒さ対策として遠赤外線の暖房を天井に設置。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2407shimasaki6.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-82457" /> ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば ジュニアスクール そもそも練習場の始まりはスクールで、現在3名のJPGAティーチングプロが、ジャック・ニクラスゴルフアカデミーの認定プロとして教えている。スクール生専用のアプローチエリア、バンカー、パター練習場など充実した設備を備え、実技前の座学用の教室もある。スクールは8回がワンクールで年に6期あり、開業から190期を数える。女性ビギナーのための基本レッスン、より高いレベルの安定したスコアを目指すレッスンやジュニアコースなど、多様な6コースで対応する。 新規の来場者が多いのも特徴で、学園都市に位置するため来場者の中心は40~50歳。この練習場事業を健康産業の一環として地元つくばに貢献したいとの思いが強く、60歳以上のシニアには価格を低く設定している。課題について田辺支配人は、 「開場から30年以上経過して、設備の維持・メンテナンスをきちんとしなければなりません。ゴルフ人口の減少をどうやって食い止めるかも課題です。一練習場としてやれることは限られますが、接客で敷居を低くして若い人が来やすくする、コミュニティ誌に練習場の情報を掲載してゴルフに興味を持ってもらえるよう努力しています」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/08/2407shimasaki7.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-82458" /> ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば 外観 ゴルフ振興のためにも、若い世代が集う筑波学園都市の「ジャック・ニクラスゴルフセンターつくば」が賑わうことを期待したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年08月18日
    今回も前号からの続きです。荒川ゴルフクラブ(福島県)の実データを基に来場者動態を分析します。 図7は「時間帯-年代別分析」の総来場者です。朝は年配者が多く、夜は若者が多いというグラフになっています。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image7.jpg" alt="" width="1000" height="480" class="size-full wp-image-82223" /> 図7 図8は「年代別の平均総打球数」です。総打球数は年代によって大きな差があるわけではありません。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image8.jpg" alt="" width="1000" height="477" class="size-full wp-image-82224" /> 図8 図9は「時間帯-性別分析」の総来場者数のグラフです。私の感覚では、女性は全体の1割程度の練習場が多く、2割程度のところは女性の集客をかなり頑張っているというイメージです。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image9.jpg" alt="" width="1000" height="479" class="size-full wp-image-82225" /> 図9 図10は「性別の平均打球数」のグラフです。このグラフを見た感じでは、やや男性の方が打球数は多い傾向でしょう。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image10.jpg" alt="" width="1000" height="479" class="size-full wp-image-82226" /> 図10 図11は「曜日-来場者分析」のグラフです。一般的に、女性は平日に少ない傾向があります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image11.jpg" alt="" width="1000" height="459" class="size-full wp-image-82227" /> 図11 「打席別分析から」 図12は「打席別分析」の回転数のグラフで、金額関連の情報は除外してあります。横軸が打席番号です。一般的に真ん中付近が人気があり、両端は利用されにくい傾向がありますが、打席棟への出入り口の場所も影響します。さらに左打席や左右兼用打席は、左打ちの人を最優先する練習場が多いので、回転数が下がる傾向があります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image12.jpg" alt="" width="1000" height="479" class="size-full wp-image-82228" /> 図12 図13は「打席ごとの利用率」で、回転数は営業時間が長いほど増えます。そのため、異なる練習場とは比較しにくいので、営業時間に対して利用されていた時間の割合も表示できるようにしています。グラフの形状は回転数と同じになります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image13.jpg" alt="" width="1000" height="480" class="size-full wp-image-82229" /> 図13 図14は「打席ごとの平均総打球数」です。球数を多く打つ人がよく選ぶ打席がわかります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image14.jpg" alt="" width="1000" height="477" class="size-full wp-image-82230" /> 図14 図15は「打席ごとの総打球数」です。ティーアップユニットのメンテナンスのタイミングを知る基準にも使えます。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image15.jpg" alt="" width="1000" height="481" class="size-full wp-image-82231" /> 図15 <h2>「来場者分析から」</h2> 図16は「総来場者・新規来場者」の様子です。来場者の年代や性別が人口ピラミッドのようにイメージしやすく表示されます。新規来場者に若い世代が多い練習場は、この先も長く通ってくれる期待が持てますので、荒川ゴルフクラブの新規来場者のグラフはとても理想的です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image16.jpg" alt="" width="1000" height="719" class="size-full wp-image-82232" /> 図16 図17は総来場者を「顧客ごと」から「来場回数ごと」にしたものです。「顧客ごと」と一緒に見比べると、年配者ほど一人当たりの来場回数が多いのがわかります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image17.jpg" alt="" width="1000" height="1432" class="size-full wp-image-82233" /> 図17 今回ご紹介したように、他所の練習場の様子のうち、金額関連を除く情報を練習場同士で共有できれば、自社の特徴・強み・弱みなどがはっきりとイメージできるようになります。この機能はまだ公開しておらず、さらに、他の分析の「切り口」も増えているため、ここに入れるべき機能は増加中です。 しかし「前編」の冒頭で書いたように、当社のシステムを利用している練習場にデータの「公開・共有」を認めてもらう話し合いはできていません。オーナーが直接運営している練習場は理解を得やすいと思いますが、親会社の承認が必要な練習場はハードルが高いかもしれません。 今回、自社データの記事掲載を快諾してくれた荒川ゴルフクラブの佐藤社長は、様々な練習場改革を成功させていますが、その背景にはデータ分析→企画立案→実行、という裏付けがあります。 筆者はこれまで、知人の練習場関係者を佐藤社長に紹介してきましたが、その都度、同氏は、 「せっかく来てくれたのだから必要な情報はなんでも公開しましょう。業界が活性化するために役立つなら、うちのデータをどんどん使ってください」 と、オープンな姿勢。同社と同じことをしても、練習場ごとに立地条件や、リーダー・スタッフの個性も違うのだから、 「参考にするのは良いけれど、真似をすればうまくいくものでもない」 という考えがあります。 システム提供側の当社としては、前述の機能が、練習場が交流するきっかけになれば嬉しい限り。交流によって業界全体が共存共栄することを願うばかりです。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年07月26日
    前回まで2回に分けてゴルフ練習場ごとの「様子」の違いを紹介しました。他所の練習場の様子を知りたいオーナーや支配人はとても多いのですが、その一方で自分の練習場の様子は知られたくない、「敵に手の内を見せてたまるか!」という思いが強いので、他社の様子を知ることはとても難しい。これは、練習場に限った話ではありません。 しかし、自社情報を頑なに守ることは、果たして得策なのでしょうか。少子高齢化が進む中で、何もしなければゴルファーも減少します。見せてたまるか!で「既存客を奪い合う」のではなく「業界全体で新規客・再開客の開拓」をしなければ、練習場業界自体が縮小します。 ゴルフへの入り口である練習場の来客が減れば、ゴルフ業界全体の縮小につながります。ですから、練習場同士が「どんな工夫をしたらどのような成果につながったか」などの成功事例を共有しながら、業界全体を活性化しなければいけない。私はそう考えるのです。 「自分の練習場だけ儲かれば良い」という考えは、短期的には上手く行くかもしれません。生き残り競争に敗れて近隣の練習場が閉場すると、一時的にそこの顧客が回ってきて来場者は増えますが、その後「少し遠くなったし・・・」と、来場回数を減らしたり、練習をやめてしまったりするものです。自動車ディーラーやファミリーレストランが乱立している場所は、集積のメリットで全店が繁盛する。その効果を見逃すことはできません。 そこで前回は、練習場同士が情報交換をして、互いの良い取り組みを参考にするための「情報の整理と開示」の重要性を書きました。今回は一歩進めて、今後に向けた取り組みを書いてみます。 荒川ゴルフクラブの事例 分析システムは、システムを導入する練習場ごとにアカウントを用意して、自社の分析データを確認できるようにしてあります。さらに、同じような切り口で他所の練習場の様子がわかれば、参考になるだけではなく、練習場同士の交流のきっかけがつくれる。情報交換の磁場になり得るのです。 生々しい金額関連の情報は開示したくないでしょうから、「来場者数」や「打球数」などの情報に絞って他社の様子を確認できる仕組みを既に開発しています。とはいえ、いきなり実用化すると強い拒否反応を示す練習場もあると思いますので、「開示しても構わない」という練習場を徐々に増やすべく、訪問して、説明する必要がありますが、交渉の時間がなかなか取れず、この機能を公開できていないのが現状です。 そんな中、福島県いわき市の荒川ゴルフクラブ佐藤社長は「業界の役に立つならうちのデータはいくらでも使っていい」と、非常に協力的なので、今回も同社の実データを参考にしながら説明します。 まず、図1のように「参照したい練習場」を選択し、表示期間と比較対象期間を指定できます。本稿の執筆が昨年末なので、2023年のほぼ1年分を期間に指定します。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image1-1.jpg" alt="" width="1000" height="78" class="size-full wp-image-81834" /> 図1 <h2>「ダッシュボードから」</h2> 図2のように、通常のダッシュボード画面から金額関連のデータを除外したグラフが表示されます。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image2-1.jpg" alt="" width="1000" height="499" class="size-full wp-image-81835" /> 図2 まずは「総来場者数」の様子で、大きな丸が土日祝日です。青い方が今年、オレンジが昨年です。今年の夏は異常に暑く、来場者が減った練習場が多かったのですが、その様子がわかります。 しかし、夏以外は昨年と比べてほぼ同程度で、平日はむしろ増えている。コロナ明け以降の来場者は減少傾向の練習場が多い中で、荒川ゴルフクラブの健闘ぶりがわかります。 図3では「新規来場者」を表示しています。新規来場者も夏以外は昨年同程度で健闘しています。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image3-1.jpg" alt="" width="1000" height="498" class="size-full wp-image-81836" /> 図3 図4は「総打球数」です。やはり夏は昨年と比べて減っていますが、それ以外は同程度でしょう。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image4-1.jpg" alt="" width="1000" height="500" class="size-full wp-image-81837" /> 図4 <h2>「属性分析から」</h2> 次に属性分析から金額関連を除外したグラフです。 図5では「時間帯-曜日分析」の平均来場者数を表示しています。土日は日中の来場者が多く、平日は朝と夜が多いのがわかります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image5-1.jpg" alt="" width="1000" height="480" class="size-full wp-image-81832" /> 図5 図6は「曜日ごとの平均総打球数」です。荒川ゴルフクラブでは平日と土日祝日で料金体系が異なりますので、それに応じた打球数になります。平日朝9時〜12時までの間は球数無制限の打ち放題。その後、平日16時30分までサービスタイムで、300球までお得に打てるプランがあります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image6-1.jpg" alt="" width="1000" height="476" class="size-full wp-image-81838" /> 図6 土日祝日の夜には2時間300球をお得に打てるナイトサービスタイムがあり、さらに夏の早朝営業期間には早朝打ち放題があります。グラフはまさに、それを反映した感じになっています。 佐藤社長は以前から来場者分析を重視され、曜日・時間帯ごとにターゲットを決めて、各ターゲットの客層が喜ぶプランを設定しています。単なる値引きではなく、曜日・時間帯ごとの来場者属性にマッチするプラン設定で、全打席が常に稼働する状態を作り出す工夫をしているのです。次回は年代・性別等の様子について詳述します。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年06月25日
    イトーゴルフガーデンは、東京都武蔵野市関前にある2階建て57打席150ヤードの練習場だ。井の頭通りに面しており、道を挟んで東京都水道局と境浄水場がある緑豊かな環境である。取材は平日の午前中だったが、1階打席は満員で、朝から賑わいを見せていた。 筆者は都内から車で訪問したが、交通のアクセスも良く、また、三鷹駅北口からバスで10分程度の立地。ちなみに境浄水場は1924年に通水した、日本で最大規模の緩速濾過方式の浄水場で、沈殿・濾過・殺菌処理された水は、千代田・渋谷・世田谷区などに給配水されている。この練習場の成り立ちやコンセプトについて、株式会社イトーゴルフガーデンの伊藤博通社長に取材した。 イトーゴルフガーデンが竣工したのは1972年10月。創業者は博通社長の父・平司氏で、同氏は現在会長を務める。伊藤家は代々この武蔵野の地で農業を営んでいた。練習場の横には樹齢300年を超える武蔵野市登録文化財の市登録天然記念物である「伊藤家の大ツバキ」が植えられている。伊藤家は長く、この地で生活を営んできた。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/202405shima2.jpg" alt="" width="1000" height="854" class="size-full wp-image-81819" /> イトーゴルフガーデン大椿 練習場の創業は、平司会長が40歳の時だった。伊藤家は、都市近郊にある利点を生かし様々な作物を栽培していた。特に平司氏は、それまで栽培されていなかったカリフラワーやブロッコリー、セロリなどの西洋野菜に果敢に挑戦するなど、農業経営は順調であった。 ところが、1964年の東京オリンピックを機に首都高速道路が各地に伸び、1967年に中央自動車道が開通すると、流通革命が起き、東京近郊の農家にも大きな影響がでてきた。長野県などの品質の良い高原野菜が即日市場に出回ることで、競争力が衰えてきた。また、高度成長期の都市化が進み、土地の価格が上昇。農業の継続が厳しくなる。 「そこで、当時38歳だった父は農業から土地を有効活用して、新事業を決意しました。近隣に小規模のゴルフ練習場があった。父はゴルフ経験がなかったものの、そこを訪ねたらたいへん賑わっていた。伊藤家の土地を使って大きな練習場を経営しよう、と閃いたそうです」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/202405shima3.jpg" alt="" width="1000" height="672" class="size-full wp-image-81820" /> イトーゴルフガーデン開所式 アクションは早かった。取引銀行に都内の練習場の収支を調査してもらい、経営の数値を把握する。近隣の三鷹の友人がゴルフ練習場を経営していたので、話を聞いて「ゴルフというスポーツはもっと流行るにちがいない」と確信。ゴルフ練習場のための事業資金1億7000万円を銀行から借り入れたという。 1971年に農業を止め、練習場の設計など準備を進め、1972年5月に着工、10月に完成。高度成長期で建築資材が高騰する中、即断即決が奏功して、完成後すぐ価格が3倍に上がったのを避けられた。 イトーゴルフガーデンは開業時に「有限会社イトーゴルフセンター」だった。平司氏がシンプルな社名を好み苗字から取ったが、苗字の「イトウ」を「イトー」としたのは、当時イトーヨーカドー、ダイエーなど音引きの企業名が増えたことにちなんでいる。ゴルフブームもあり、経営は順調に推移していった。 バッティングセンターも 1975年に空き地を利用して7ホールのショートコースを併設。1980年に、敷地内に緑を多く植えたことから「ガーデン」の文字を加え、現在の「株式会社イトーゴルフガーデン」に社名変更。現在、ショートコースはアプローチ練習場と5打席のバッティングセンターになっており、野球の練習もできる。周辺には少年野球チームが多く、親子や子供たちに喜ばれているが、運営にはシルバーセンターの人材を活用している。息子の博通氏は2012年10月に代表取締役社長に就任し、現在60歳で経営を担っている。 「学生時代はゴルフに興味がなく、自動車の草レースやエンジンの分解などが趣味でした。24歳で、自然な流れで家業に入りました。練習場やバッティングセンターの設備の修理は、部品さえあれば私ができる。趣味が生きてますね(笑)」 イトーゴルフガーデンの特色は、 70ヤードまで天然芝で、アプローチの球の転がりやスピンコントロールが体験できる。芝から打てるアプローチ練習場もあり、 「お客様のスコア向上、健康維持、コミュニケーションの場を目指しています。お客様が気持ちよく練習できるよう、ボールとショットマットは早めに交換しています」 このような配慮がウケて、平日の午前中でも1階打席は待ちがでることもある。平日は8時30分開場なのだが、7時過ぎから、 「お客様がバッグを置いて、楽し気に会話しながら待っている。コミュニケーションの場になってます」 特に平日の午前中が人気なのは、博通社長が提案した工夫による。バブル崩壊後、客数が減少した時に、平日の午前中に入場すると3カゴ以上打った場合1カゴサービスの割引を始めた。これを20年以上続けているが、火曜日のレディースデイも、女性客は終日1カゴサービスが受けられる。 来場者は年間10万人で、商圏は武蔵野市内が中心だが、アクセスの良さで都内からも来場する。女性の来場比率は2割。ゴルフスクールは2階打席を活用し、フリーのプロ、インストラクターのレッスンには施設使用料を課していない。練習場には来場者の打席・ボール使用料が入るだけでOKと太っ腹だ。練習場のコンペIGG会は426回を数える。 地域貢献にも前向きだ。消防団、防犯協会、武蔵野法人会などに積極的に参加して、会長・団長などの役職を親子2代にわたり引き受けている。練習場の課題として「人材確保と相続税による事業継続の難しさ」があるそうで、次世代へ如何に残していけるかを思案する日々だとか。地域密着の練習場・イトーゴルフガーデンの賑わいが、次世代も続くことを期待したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年06月23日
    これまで連載してきた「練習場行脚録」が、先月号から「進化するゴルフ練習場の裏舞台」にタイトルが変わり、練習場におけるデータ分析の活用法を中心に紹介することになりました。前回はざっと概要を紹介。本号から各論に入ります。 前回のお話 本当は各練習場の生データを紹介したいのですが、特に金額関連の生データは開示したくない施設が多いでしょうから、主に架空のデータを使います。また、生データの方がわかりやすいケースで金額が出てこないものは、個別の練習場が特定できないよう配慮しつつ紹介したいと思います。了解が得られた場合は、練習場経営者の生の声もできるだけ紹介するつもりです。 さて、各論に入りましょう。今回紹介するのは「ダッシュボード」です。これは、弊社の分析システムにログインして一番最初に表示される画面のこと。日々の様子をざっと確認したり、昨年比や天候との相関を確認する目的の画面です。 図1のように、上にグラフ表示、下に数字が表示されます。表示する期間は自由に指定でき、まずは「売上げ」がグラフ表示されています。売上げはお客さんがICカードにチャージした金額です。このチャージは税務上「売上げ」にするか「預かり金」にするかは練習場により異なりますが、分析としてはチャージした分を売上げと表現しています。 昨年比は日付で合わせて表示できますが、土日を合わせて表示する方が比較しやすいという意見もありましたので、切り替えができます。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image2.jpg" alt="" width="1000" height="576" class="size-full wp-image-81633" /> 図2 図2が曜日合わせで表示した様子で、土日祝日は大きな○マークで表示されます。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image3.jpg" alt="" width="1000" height="578" class="size-full wp-image-81634" /> 図3 図3では「利用額」を表示しています。チャージした分はその日のうちに全て利用せず、チャージしなくても貯まっていた分で打つことがありますので「売上げ」とは違うデータになります。期間を限定して、プレミアムが沢山つくチャージキャンペーンなどを行うと「売上げ」が非常に高くなりますが、「利用額」は連動しないものです。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image4.jpg" alt="" width="1000" height="582" class="size-full wp-image-81635" /> 図4 図4では「総来場者数」を表示しており、これも重要な情報です。土日祝日と平日を比較して、平日にどのくらい伸ばせる可能性があるかが想定できます。後述する天候との相関も観察すると良いでしょう。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image5.jpg" alt="" width="1000" height="583" class="size-full wp-image-81637" /> 図5 図5では「新規来場者数」を表示しています。新規来場者は昨年比を見たいデータで、コロナの影響でゴルフを新たに始めた人が多かった一昨年・昨年に比べて現在がどうなっているか、さらにこの先の動向を考える上で大事な指標です。 より詳しく新規来場者を分析する画面もあり、この点は別の機会に紹介しますが、まずはざっくりとこの画面で日常の動きを確認しておくと安心です。常連客もいつかは諸事情により来場しなくなることもありますので、常に新規来場者の獲得施策を打ち続けることが大事です。 データの裏付けは必須 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image6.jpg" alt="" width="1000" height="566" class="size-full wp-image-81646" /> 図6 図6では天候情報の「気温」と「総来場者数」を表示しています。気温と来場動態の関係がわかりやすく見られるよう、雪国の生データを出しましたが、地点名は塗りつぶしてあります。「気温」は最高気温を折れ線グラフで表示しています。冬で気温が低い日は来場者が減る傾向にあり、高温の夏日も減ります。冷暖房設備の導入等を検討する際、参考になる情報です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image7.jpg" alt="" width="1000" height="567" class="size-full wp-image-81644" /> 図7 図7は天候情報の「降水量」と「総来場者数」のグラフです。多少の雨ならラウンドをやめて練習場に、という人も多いのですが、大雨では外出を控えるため「雨の日特典」を検討するのも良いでしょう。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image8.jpg" alt="" width="1000" height="570" class="size-full wp-image-81643" /> 図8 図8は「降雪量」と「総来場者数」のグラフです。大雪の日は来場者数が減る傾向ですが、練習場を休場することもあり、翌年以降の振り返りデータとして重要な観点です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image9.jpg" alt="" width="1000" height="567" class="size-full wp-image-81642" /> 図9 図9は「最大風速」と「総来場者数」のグラフです。強風の日も外出を控える人が増えますが、練習場がネットを下げて長いクラブを使えない営業にするなどの影響もありますので、振り返りに重要な観点です。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/image10.jpg" alt="" width="1000" height="256" class="size-full wp-image-81641" /> 図10 図10はダッシュボード下部に表示される数値データで、昨年比も表示されています。グラフになっていないデータでは、1回の来場で利用した1人当たりの平均金額(平均利用額)、1回の来場で打った平均球数(平均打球数)、1人が期間中に平均何回来場したか(平均来場回数)、1打席が1日に平均何回利用されたか(打席回転数)も数値で表示。各数値を詳細に確認できる画面もあり、別の機会に説明します。 ここ数年、コロナ禍で市況は大きく変動しました。そのため営業形態の変更が検討課題になるかもしれませんが、営業会議では現状をしっかり把握することが重要です。裏づけなく変更しても効果は期待できず、お客さんの不満が増えて逆効果になってしまう恐れもあります。 今回紹介したような分析システムがあると、経営者は練習場にいなくてもネット環境があれば常に確認できます。また、このような機能がなくても日報・月報などはどこの練習場でも作成していることでしょう。日々現状把握を行うことが、練習場改革の第一歩です。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年06月06日
    ゴルフ練習場のシステムは、次の経緯で進化してきました。まず、現金・コインでのボール販売機からプリペイドカードでの前払い制度が広がり、そしてボールをカゴで運ばなくても自動でティーアップされるようになり、さらにリライトカードのチャージ制度が登場した。近年、一番増えているのはICカードでのチャージ制度でしょう。さらに横浜市のハンズゴルフクラブのように、カードは使わず「顔認証」でチャージやチェックインができるようにもなりました。 来場するゴルファーとしては料金の払い方やチェックインの方法が変わるくらいの印象だと思いますが、練習場側にとっての大きな変化は「来場者データの統計処理が可能になった」ことでしょう。 リライトカードやICカード、そして顔認証のように来場者を練習場側で管理して、顧客ごとに残高管理ができるようになり、来場者の属性データが得られるようになった。これは、練習場経営上とても大きな変化です。性別・年齢・住居地域の把握だけではなく、来場の特性(来場頻度や曜日・時間帯など)や行動の特性(一度の来場でのチャージ額、打球数や打席の選択など)を統計処理して分析できるようになる。来場者の傾向分析ができれば、料金体系やキャンペーンなどの検討が高い精度で可能になります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/05/graph2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-81508" /> グラフ2 私がお付き合いしてきた練習場経営者や支配人は戦略家が多く、システム化される前から自力でデータを積み重ねて分析し、実際に成果を出してきた現場をたくさん見ました。その一方、ICカード化をしたのになかなかデータを活用できていない練習場もありました。 そこで私は、当社のゴルフ練習場向けシステムを使い、データを有効活用してもらえないだろうかと考えました。もともと様々な分析が可能な帳票なども装備していましたが、どちらかというと財務処理的に必要なものが多く、練習場の経営戦略を検討する目的で使いやすく提供したいと考えたわけです。 ハンズゴルフクラブの元支配人で、売上を大幅に改善した実績のある山崎博之さんは練習場コンサルティングの仕事をされています。全日本ゴルフ練習場連盟の会合などでご一緒する中、コンサルティングの仕事で使う分析の仕方をシステム化したいとの話もあり、システム化できれば山崎さんも、練習場システムからエクスポートしたデータをExcelでグラフ化するなどの手間がなくなるので「是非やりましょう」と意気投合。練習場分析システムの開発を進めました。 当初は山崎さんのコンサルティング内容で使うグラフなどを中心に用意したので、どちらかというと「全容を把握した上で目標設定をして達成度管理を行う」ための機能が多かったのですが、できた機能から順次練習場で使ってもらうと、「目標設定の前に、現状把握をもっと細かく行いたい」との要望が多く、具体的な希望を叶える形で次々とシステム化していきました。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/05/graph3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-81509" /> グラフ3 本当は開発コストも回収しなければならないので、分析システムに関わる月額利用料をいただこうと考えましたが、もともとシステム全体の保守費をいただいており、さらに上乗せするのは抵抗を感じたことと、せっかく便利な機能なのでまずは使用施設を広げたいと考えて、追加費用なしで提供しました。 データは「宝」です! 多くの練習場で導入され、私自身がサポートしながら、データがきちんと集計されているかなどを確認しつつグラフを眺めると、実は練習場それぞれに特徴があり、それは各練習場の営業方針の違いや、立地条件の違いなどが見事に反映されていると分かってきました。 練習場の皆さんと会話する中で、「よそはどうなの?」との質問も多く、金額的な生々しい情報は話しませんが、傾向程度を紹介すると「とても参考になる」と喜んでいただけます。次の目標は「お互いに開示しても支障ない、参考にしあえるデータは見られるように」というシステム化を検討しています。 さて、具体的なグラフを紹介しましょう。 グラフ1は日単位での売上げ・利用額・総来場数・新規来場数のグラフですが、ここでは総来場数を表示している状態です。昨年同期と比べると今年の状況が分かりやすいのですが、日付で重ねるよりも曜日で重ねた方が比較しやすいと思います。 グラフ2で気象データを見ながら検討することもできます。気温・降水量・最大風速が折れ線で表示されています。12月になって寒くなると来場数も少し減った感じでしょうか。雨が降ると減ったり、強風でネットを下げてドライバー禁止の時にも減少する様子が分かります。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/05/gurahu4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-81510" /> グラフ4 次に、打席ごとの様子を見るグラフ3では、打席回転数(1日に何回打席が利用されたか)を表示しています。この例では1階の方が2階よりよく使われているのが分かります。端の打席のデータがないのは、この例では個室で別管理になっているためです。グラフ4で打席ごとの平均打球数は1階も2階も大差なく、特定の打席だけ多い感じですが、特定打席でのスクールやイベント等が関係しているのかもしれません。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/05/gurahu5.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-81512" /> 球貸し・時間貸しの傾向もグラフ5・6のように見ることができます。この例の球貸しでは平均160球くらい打っている感じですが、なぜか去年より今年の方が打球数が増えていますね。弾道シミュレータを導入した影響など何らかの背景があるはずです。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/05/gurahu6.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-81513" /> グラフ6 時間貸しの方が球貸しより打球数が増えるのは、どの練習場も同じです。このグラフを見る感じでは、時間貸しは去年より増えているというわけでもありませんね。 今回はデータ分析の様子をざっと紹介しましたが、次回からは詳細な話しや、協力練習場の生の声も紹介します。現状を分析せずに方針を考えても意味はなく、ICカード化などでデータが採れても、活用しなければ宝の持ち腐れです! <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年05月30日
    東急あざみ野ゴルフガーデン(横浜市)は2月17日、あざみ野ガーデンズ10周年記念「澁澤莉絵留プロによる特別イベント」を開催した。 午前中は、小学1年生~中学3年生までを対象としたジュニアレッスン会を開催。澁澤の力のこもったアドバイスによりレッスンを受けたジュニアは、飛距離が伸びたり捕まった球を打つなど、最後には笑顔で打席を後にする子供たちが多かった。午後はトップレーサーを使用して、澁澤と3球ずつの勝負をするニアピン大会を開催した。 あざみ野ゴルフガーデンの岩崎智支配人は、 「ジュニア育成の観点から、現役のプロに教わるという環境を用意できて良かった。ニアピン対決は、静岡や千葉などの遠方からの参加者もいて、開始前から行列ができるほどでした。記念撮影も含めて大いに盛り上がりました。」 とコメント。また、 「このようなイベントを開催することによって、練習場に愛着を持ってもらったり、プロを応援するようになったりするので、ロイヤルティを高めるためにも非常に重要なイベントであると再認識しました。」 と語った。
    (公開)2024年03月15日
    横浜駅から徒歩15分の三ッ沢公園の近隣に、三ッ沢ゴルフセンターがある。周りは緑に囲まれた閑静な住宅街。車で取材に訪れたが、このような住宅街の中に広い練習場があることが、驚きであった。住所は横浜市西区北軽井沢である。 1階12打席、2階10打席、70ヤードの練習場。その成り立ちやコンセプトについて、株式会社三ッ沢ゴルフセンターの酒匂光秋社長とチーフインストラクターの永島新太郎氏に取材した。 三ッ沢ゴルフセンターは1974年の開業である。酒匂社長の父・辰蔵氏が創業した。辰蔵氏は羽田で株式会社酒匂製作所を経営していた。同社は1946年の創業で、エレベーター用ガイドレールおよび各種部品の製造加工を中心に、現在も高精度・高効率に向けた技術革新と多様化に対応中。酒匂社長の長兄が会長を務め、その子息で甥が社長として経営を続けている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/mitsu2.jpg" alt="" width="1000" height="770" class="size-full wp-image-80508" /> 三ッ沢ゴルフセンター 正面 辰蔵氏はゴルフが大好きで、横浜にある戸塚カントリー倶楽部の設立からのメンバーだった。1970年頃、羽田地区で貸していた工場が閉鎖になり、その跡地利用で、大好きなゴルフの練習場を始めたいと思ったが、練習場にするには少し手狭で、ゴルフ仲間の不動産企業から1000坪の土地を紹介された。 「それが現在の練習場の敷地です」 と前置きして酒匂社長が続ける。 「当時は、今も隣接するマンションだけがある空き地でしたから『こんな土地を買って失敗するのではないか』と周囲が止めたそうですが、父は『横浜駅から歩けて便利』と決断しました。横浜駅から徒歩15分なので、建売住宅を建てればすぐに売れてしまうでしょうね(笑)」 練習場は開業の2年前から準備、造成を始めたそうだが、酒匂社長は当時大学生であまり関わらなかった。開業してからは辰蔵氏の三男である酒匂社長が経営・運営をほぼ任されて現在に至っている。 開業時の社長は父親だったが、本業の酒匂製作所の仕事が中心で、週に1回、日曜日などゴルフ帰りに顔を出す程度であった。酒匂社長はほぼ50年、練習場経営に携わっている。スタート時は酒匂製作所が運営する形態だったが、1998年に株式会社三ッ沢ゴルフセンターとして独立。練習場の名称は、土地の名前を取った「北軽井沢ゴルフガーデン」と「三ッ沢ゴルフセンター」の2案があったが、近隣に三ッ沢公園があるので、場所がわかりやすいだろうと後者に決めた。 「開業当時、この北軽井沢には電話線が通っていなかったんですよ。そこで私が電電公社に行って頼みましたが、若かったせいか、『電話線は引けません』と相手にされなかった。父親のツテを頼って何とか電話線が引かれ、北軽井沢の番号が出来たのです」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/mitsu3.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-80512" /> 三ッ沢ゴルフセンター 打席 北軽井沢の地名は、長野県の軽井沢を連想させる。 「タクシーに乗って北軽井沢というと、軽井沢ですかッ?と驚かれることもあります(笑)」 横浜市による町名由来を調べてみると、こうある。 《昭和7年の町界町名地番整理事業の施行にともない、青木町の字西軽井沢と南三ツ沢の一部から新設した町。昭和19年4月1日の西区新設にともない、中区から編入。同時期に新設した南軽井沢を考慮し、町名は字名の「西」を「北」に改めて町名とした。軽井沢の由来は、最近の地名研究では水の枯れたサワの「カレイ沢」説が有力という》 長野の軽井沢とは無縁のようだ。 固定資産税の負担大 現在の70ヤードのフィールドは開業当時のままで、ネット用の鉄塔も創業時のままである。酒匂社長は、「最近、強度について調査を実施して問題なかった」 とのことで、当面は建替え等の予定はない。打席数は創業当時、28打席あったが、1988年にクラブの長尺化に伴い打席幅を広げ、2Fの2打席を潰してハウスを広げ、現在の22打席に改装している。 「1974年開業直後にオイルショックがあり、オープン直後は運営が厳しかったが、父親のゴルフ仲間がゴルフの帰りに立ち寄ってくれたりして軌道に乗りました」 とはいえ、苦境もあった。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/mitsu4.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-80513" /> 三ッ沢ゴルフセンター フィールド 「1990年、近隣に大手企業が三ッ沢パークサイドという80打席150ヤードの練習場を開業、その影響で経営危機になりましたが、常連客が来場されたり、ゴルフバブルでその練習場が満員になって、弊社に流れて乗り越えられました」 その競合練習場は閉場してマンションになり、現在は近隣に競合施設がなくなっている。酒匂社長は自社の強みを、 「横浜駅から歩ける練習場で、アウトドアで解放感があり四季折々の風が感じられ、日々の都会の喧騒からのリフレッシュや、自然の中でスポーツをする醍醐味の片鱗を感じられる。また、天然芝で、本物の弾みや感覚を大事にする上級者は元より、初心者にも好評です。地域に密着したオアシス的な練習場を目指し、快適な練習環境をはじめ、ゴルフ用品やゴルフスクール、会員権売買のお手伝いなど、ゴルフライフをサポートしています」 地域貢献として、中学生の職場体験も受け入れており、交通系電子マネーで支払い出来るシステムも導入している。スクールについて永島チーフインストラクターは、 「初心者を含めてゴルフを楽しんでもらえるよう、個人レッスンとグループレッスンがあります。将来の継承・種まきの思いもあり、ジュニアスクールにも力を入れています」 好立地だけに固定資産税の負担が大きく、気候変動を含めて未曽有の災害への備えも必要など、練習場の経営環境は楽ではない。しかし酒匂社長の親族はゴルフ好きで、事業を続ける意思が強い。横浜駅近でアクセスが良く、車を利用しない世代が増える中で、地元のオアシスとしての継続を期待したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年03月10日
    東京都江東区大島にある大島ゴルフセンターは、地下鉄都営新宿線の大島駅から徒歩3分の至便なところにある屋外ゴルフ練習場である。3階48打席で100ヤード。駐車場は52台収容と十分な広さがあり、 「ゆとりがあるため、駐車場が満車になったことはありません」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/oojima2.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-80365" /> 大島ゴルフセンター 受付 同練習場を経営する株式会社スガエンタープライズの菅登志夫社長は笑みを浮かべる。同氏は昨年10月に社長へ就任、ちょうど1年が経ったところである。 菅家のルーツは四国とのこと。菅という苗字は、菅原道真が由来だという。菅原道真が船で大宰府に向かっている途中、暴風雨に遭い立ち寄った土地が、愛媛県越智郡小西村星之浦。その時、菅家の先祖は大破した船の修理を行い、その功績により「菅」姓を賜ったという。 「ですから当家の家紋は『丸に梅鉢』で、天神様・道真に由来していると聞いています」 菅社長の祖父・菅金助氏は、その四国愛媛の出身で、広島の造船所に勤め、その後、三重県鳥羽の造船所で重量物設置などの技術を習得・考案し、1920年に鳥羽で「菅組」を創業した。創業1年後、台風で根元から折れた伊勢の二見浦夫婦岩の40t以上ある女岩の修復工事を請負い、会社の基礎を築いた。 その後1923年の関東大震災の復興に「菅組」の技術を役立てたいとの思いから、現在ゴルフ練習場のある江東区で「東京菅組」を立ち上げた。1986年に社名変更して株式会社スガテックとし、大手製鉄メーカーなどのプラント設備の設計・製作・建設・整備など、幅広い分野で活動している。その「菅組」の倉庫があった場所が、現在の大島ゴルフセンターである。 菅氏の伯父で金助氏の長男・光孝氏がゴルフ好きで、社長時代、会社の資材置き場などの倉庫があった現在の台東区大島に、1976年「大島ゴルフセンター」を創業した。この練習場の名称は地名の「大島」からとり、創業時から現在まで変っていない。もとは「菅倉庫」という別会社を、株式会社スガエンタープライズにし、ゴルフ練習場の運営を始めている。 菅氏は大学卒業後スガテックに入社、その後外資系金融機関で働き、昨年7月にスガエンタープライズに入社、10月から社長という経緯である。練習場の運営会社は代々親族が社長を務め、現在の菅社長で4代目。同氏は社会人になってからゴルフを始め、20年ほど前にカレドニアンGC(千葉県)のメンバーに。スコア90前後のゴルフを楽しむ。 「自宅が大島ゴルフセンターの近くなので、この練習場には以前から一人のゴルファーとして通っていました。従兄の現会長が70歳を超えたので、自分が社長をやることになりましたが、前社長はゴルフをしなかったので、自分はゴルファー目線で練習場の経営に取り組みます」 と、顧客目線を大事にする。 有意義な待ち時間を提供 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/oojima3.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-80368" /> 大島ゴルフセンター打席 大島ゴルフセンターの創業当時は2階建て32打席だったが、開業10年後に3階48打席に改修。それ以降大きな改修はないという。社長就任後、同施設の周辺人口や年齢構成などを調査会社に依頼した結果、 「この地域は特に高齢化が進み、現状のままでは先行き不透明であることがわかりました。より広いエリアの若い世代や、違う客層を取り込む必要があると思っています」 そこで、社長就任直後の昨年11月にトラックマンレンジを導入。100ヤードの屋外練習場では飛球がすぐにネットに当たるため、 「弾道や飛距離が判ることが必要だと考えたのです。この商圏にはほかに大型の練習場があり、その顧客を取り込めるチャンスが増える。計測器やシミュレーションを備えた屋内練習場も増えているので、屋内よりも打音や球の打ち出しが良くわかる屋外のメリットを訴求することもトラックマンレンジ導入の理由です」 3階に『トラックマン4』を使ったシミュレーションルームを設置して、スピンやクラブの入射角など高度なショット分析で、上級志向のゴルファーを満足させるレッスンも可能。また、今年10月にフロント周辺の内装を中心にリニューアルした。 特に来場者に喜ばれるのが1階にオープンした「コスタコーヒー・カフェ」だという。ヨーロッパでナンバー1のコーヒーブランドだそうで、練習場利用者だけでなく、近隣住民が気楽に利用できるようカフェ用の入り口も用意した。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/oojima5.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="aligncenter size-full wp-image-80369" /> 「練習場利用者には割引価格で提供し、混雑時の打席待ちや練習後の休憩に利用されています。スタバなどで30分ほど、ゆっくりコーヒータイムを過ごすことは普通ですし、フリーWi-Fiも用意してあるので待ち時間を楽しく有意義に過ごせます」 10月のリニューアルに合わせてスクールも一新、データに基づいた練習メニューをインストラクターが提供し、スクール生400人を目標に施策を打つ。ICカードの導入で来場者の年齢構成も明確になり、 「20代が一番多くICカードを作っています。若者は車離れをしているので、駅近のロケーションが効いているんでしょうね」 と分析している。 同施設の東側には荒川が流れ、千葉に近く、東側在住のゴルファーは千葉側の低価格な練習場に行く傾向が強いため、商圏は西側10km圏内。ポスティングやSNSでの発信もこの地域が中心だ。年間来場者は9万人前後で、今回のリニューアルにより幅広い 地域からの来場を期待している。 菅社長のポリシーは、 「地元に愛され続けるゴルフ練習場であり、カジュアルで若い世代にも気軽に来場頂ける雰囲気づくりを目指しています」 東京23区内の屋外ゴルフ練習場は、承継問題や業態転換で減少傾向が続いている。その中で安定経営の「大島ゴルフセンター」は、貴重な存在になることは間違いない。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年02月18日
    千葉県柏市のガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジは、ゴルフ練習場内のスタジオでシニアゴルファーの健康寿命にフォーカスした「身体機能改善/フレイル予防の無料レッスン会」を月に4回開催する。 フレイルとは心身の活力が低下することでストレスに対する抵抗力が弱まり、生活機能低下、要介護への危険がある状態の事。ゴルフを楽しく続けることはフレイル予防にもなり、また認知症予防にもなると言われている。国立長寿医療研究センターと東京大学、杏林大学との共同研究で、ゴルフで記憶力が改善され、認知症予防に効果的であることを明らかにしたとの発表もある。 そのゴルフをするためには移動手段として車の運転や、ある程度足腰がしっかりしていないと楽しむことができない。この課題に取り組み、ゴルフを楽しみながら健康寿命も伸ばすことを目的とした無料レッスン会が、ガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジで開催されている。 【身体機能改善/フレイル予防の無料レッスン会 詳細】 場所:ガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジ内スタジオ 住所:〒277-0932 千葉県柏市藤ヶ谷新田57 電話番号:04-7193-0270 開催日:第2・第4火曜日と金曜日  時間14時30~15時30 定員:各日3名 対象者:ガーデン藤ヶ谷ゴルフレンジ利用者 料金:無料 ※9月30日まで、何度でも受講可能 URL:<a href="https://www.fujigaya.com/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www.fujigaya.com/</a> 詳細は右記藤ヶ谷ゴルフレンジまで電話にて。
    (公開)2024年02月07日
    関越道の所沢ICから15分、所沢と狭山を結ぶ広々とした2車線の所沢掘兼狭山線に面した、交通至便な埼玉県所沢市下富に「新富ゴルフプラザ」はある。所沢の緑に囲まれ、解放感を感じる、2階62打席250ヤードの屋外練習場だ。同施設の成り立ちやコンセプトについて、有限会社新富ゴルフプラザ・坂東枝美子専務に取材した。 「新富ゴルフプラザ」の敷地面積は約3万㎡。これまで訪れた多くの練習場と同様、元々地主で、自分の農地や牧場などを活用した練習場だと思っていた。ところが、事情はかなり違うらしい。坂東専務いわく、 「この練習場は34年前、1990年に父(故・実氏)が創業したのです。父は北海道出身で、大学卒業後、兄と不動産業を千葉で起業。その後独立して埼玉の清瀬、入間で不動産事業を営んでいました」 実氏は、事業を始めた後30歳ぐらいでゴルフにハマり、競技ゴルファーの道を歩む。スコアも60台で回る腕前になっていた。坂東専務が母親に聞いた話では、 「父がある日突然、ゴルフ練習場を始めたいと。それで現在の土地を一緒に見に行ったそうです」実氏は事前に家族には相談せず、練習場開業の準備をしていたそう。 一部は借地だが、練習場用地を買収し、4年の歳月を費やした。住まいも所沢に転居している。「母親に相談もせず、よく始めたと思います(苦笑)」 この、所沢市下富の地を選んだのは、田園の中で隠れ家的な練習場をつくりたかったことと、まとまった土地を手配できたからだという。不動産業をしていたので、この地域に道路を通す計画があることを逸早く察知したことも、思い切って買収できた一因である。 ただ、道路はもう少し早く開通する計画だったが、開業から20年以上過ぎた10年前にやっと開通した。開業前、よく練習に通っていた入間の金子ゴルフセンターのオーナーと親しくなり、そこからの情報が役立ったとのこと。開業当時、一人娘の坂東専務は中学生であった。 「新富ゴルフプラザ」の名称を最初に聞いた時、筆者はこの地区の地名かと思ったが、「新富」という地名はない。現住所の「下富」の「富」と、新しいゴルフ施設をつくるとの想いで「新」をつけて「新富ゴルフプラザ」とした。プラザは人が集まる「広場」の意。練習場のキャッチコピーは「楽しいゴルフをクリエイトとする緑のゴルフ&ウエルネスパーク」で、「新富ゴルフプラザ」の名称は父・実氏が命名した。 「あとで父親の友人に聞いた話では『坂東ゴルフ』や『東武ゴルフ』などの名前も候補だったそうです」 <h2>父親の急逝で決断した</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/01/shintomi.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="aligncenter size-full wp-image-80081" /> 開業時は2階45打席250ヤードの規模であった。この地区にはゴルフ練習場がなく、また実氏が様々なゴルフ大会・競技で優勝し、ゴルフを通じて知り合った仲間にPR。経営は順調に推移していった。100名規模のコンペを開催すると、すぐに定員が埋まった。実氏はいつも2番打席で練習していたという。 その父親が4年前、急逝した。「当日の午前中まで仕事をしていて、電話で話もしていたので、本当に驚きました・・・」 と、坂東専務は言葉少なに振り返る。一人娘であり、その日から仕事を引き継いだというが、それ以前は週2回のアルバイトで、フロントの手伝いはしていたものの経営にはノータッチだった。 「父はあと20年ぐらい頑張るだろうと思っていたので、突然のことで、誰も私が継ぐとは思っていなかったですし、母も継ぐことを薦めませんでした。でも、父が苦労してつくった練習場を、自分の代では潰せないと思ったのです」 ただ、事業承継の可能性を見越し、10年前からゴルフ練習場の勉強会に顔を出して業界関係者とのつながりは持っていた。 「父は時々、『ゴルフは3世代で楽しめるスポーツだ』と、ゴルフの素晴らしさを話していたので、継がせたい思いはあったかもしれません。母は経理を担当していたので当社の代表を務めていますが、実質的な経営は私が担っています」 経営を引き継いで最初の3年は、練習場事業の把握に努め、リスク回避のための防球ネット整備などに力を注いできたが、これから自分の色を出したいと意欲を示す。今年は60ヤードのアプローチエリアを整備。 「力の弱い女性やシニアがスコアアップするためには、アプローチが重要なので、その点を改善しました」 同施設の特徴のひとつは、開業時からコースボールを使用していることで、このことがアプローチ練習にもプラスに働いている。インスタグラムにも力を入れており、フォロワー数も3000を超えた。練習場業界の中では多い方で、SNSでの情報発信が若者ゴルファーの来場を促進しているという。 また、スクールも「新富らしさ」を打ち出す構え。スクール用のオリジナルノートや、スイング動画を共有できるソフト等を整備してきた。可視化やプロとのコミュニケーションが重要と考え、「新富ゴルフアカデミー」のカラーを鮮明にしていく。現在、年間10万人以上の来場者があるという。 父・実氏の立てたコンセプトに加え、一人娘の専務の野望は、 「男性ゴルファーが女性を連れてきやすいNO.1のゴルフ練習場を目指します」 と、新たな旗を立てている。女性がゴルフを始めるときには、男性の存在が大事。このあたり、女性経営者ならではの視点と言えるかもしれない。 「女性が入りやすい、快適な練習場をつくりたいですね。それと、女性でも練習場経営を承継できる好例になりたいと思っています」 ジェンダーフリーの時代だが、ゴルフ界はまだまだ女性経営者が少ない。筆者は、新風を吹き込んでほしいと願っている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/01/shintomi3.jpg" alt="" width="816" height="612" class="aligncenter size-full wp-image-80082" /> <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年01月25日
    「よみうりゴルフガーデン」は、東京都稲城市と神奈川県川崎市にまたがる広大な敷地の遊園地「よみうりランド」内に位置する練習場。今回の取材は車で訪問した。よみうりランドのゲートから中に入った、よみうりランド大駐車場の横に位置している。住所は神奈川県川崎市多摩区である。取材したのは8月で、よみうりランドの駐車場からアクアエリアのプールに向かう家族連れが多くみられた。同練習場の成り立ちやコンセプトについて、株式会社よみうりランド・よみうりゴルフガーデンの山田孝治支配人を取材した。 練習場の事業主体は株式会社よみうりランド。同社は読売新聞グループ本社の基幹7社の一つで、総合レジャー事業、不動産事業、ボールパーク事業、サポートサービス業を担っている。レジャー事業の中には遊園地部門、ゴルフ場経営のゴルフ部門、競馬・オートレース・競輪等施設運営の公営競技部門、ゴルフ練習場・温浴施設・親子向け屋内遊戯施設等を経営する健康関連部門、食堂・売店経営の販売部門と広範だ。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/yyomiuri2.jpg" alt="" width="1000" height="678" class="size-full wp-image-79389" /> よみうりゴルフガーデン受付 よみうりランドは「大衆へ奉仕する」という創始者・故正力松太郎の言葉から始まっている。会社設立は1949年で公営競技事業に始まる。ゴルフは昭和30年代「一部の上流階級のスポーツでしかなかったゴルフを一般大衆へ開放しよう」という創始者の思いから、1961年(昭和36年)に東京よみうりパブリックコース(現:よみうりゴルフ倶楽部)をオープンしている。 1964年東京よみうりカントリークラブ、1978年千葉よみうり、1985年静岡よみうりをオープン。1993年3月21日に練習場の「よみうりゴルフガーデン」を開業した。今年で開業30年を迎え、ラウンジには30年記念のディスプレーが施されていた。練習場は2階建て1、2階各40打席、計80打席で、距離180ヤードは創業時と同じ。 実は同じ場所で、1974~92年までテニスコート「よみうりテニスガーデン」を経営していたが、市場規模が大きいゴルフ練習場に業態変更。ただし、ゴルフ場に併設される練習場を除けば、練習場単体として経営するのはよみうりゴルフガーデンのみ。山田支配人いわく、 「少子高齢化でゴルフ市場の拡大が望めない中では、練習場事業の拡大も厳しいのではないか」 と、現状を冷静に見る。 フロントの女性は制服を着ていて、雰囲気はゴルフ場の受付けのよう。よみうりランドは東京2場、千葉1場、静岡1場と計4コースを運営しており、その雰囲気が色濃くある。ラウンジから外をみると650㎡の天然芝のパッティング練習場があり、ゴルフ場のような雰囲気を漂わせている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/yomiuri5.jpg" alt="" width="1000" height="692" class="size-full wp-image-79392" /> よみうりゴルフガーデングリーンスピード 「このパッティンググリーンは東京よみうりCC、よみうりGCと同じグリーンキーパーが管理しているので、ゴルフ場と同じクオリティーを保っています」 練習場のパッティンググリーンとしては最高水準と思われ、グリーンスピード、刈り高が表示されていた。その奥には5打席のバンカー練習場があり、専用のターゲットグリーンを併設。コース仕様の質の高い砂を使用して、実践的な練習ができるという。 練習場を複眼的に見る <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/yomiuri4.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-79391" /> よみうりゴルフガーデン・バンカー 「ゴルフ場で培ったノウハウを存分に活かした本格的なレベルのパッティンググリーンと、練習用バンカーを備えることが当練習場の特徴のひとつです。また、フレンドリーで親切な接客を通じて、地元のゴルフ愛好者に末永く愛される練習環境の提供を基本としています。スクール運営にもこだわっており、ゴルフを楽しく続けてもらうことを念頭に置き、専属のプロが一人ひとりの技術レベルに合わせて最適なレッスンを心掛け、継続的に練習場に足を向けていただけるようにしています」 練習場の各打席はフルオートティーアップ、冷暖房完備で、この暑い夏でもダクトから冷風が送られ快適に練習できる配慮が行き届いていた。商圏は半径10㎞圏内で、川崎市多摩区、麻生区、稲城市が中心とのことである。来場者の年齢は60~70歳代が中心で、男女比は8:2とのことである。 「来場者の多くが地元地域の居住者で、ゴルフを通じて健康促進と充実した時間を提供しています」 フロントで事前清算してから打席を指定。ボール貸し、打ち放題ともに両立できるシステムだ。 よみうりランドの社員である山田支配人は1997年入社で、同練習場の支配人になって1年半、その前はよみうりランド内にあるフラワーパーク「HANA・BIYORI」の支配人を務めていた。以前はよみうりGCのキャディーマスターも経験しており、 「ゴルフ場を経験してから練習場の支配人になって思うのは、同じゴルフでも双方の雰囲気はぜんぜん違って、練習場では心からフランクになれるんですよ(笑)」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/yomiuri3.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-79390" /> よみうりゴルフガーデン・グリーン ゴルフ場に比べると、練習場は気楽にゴルフに接することが出来る雰囲気があり、敷居の低さを実感したとのことである。また、現在は練習場の支配人と兼務で、全国に4か所あるフランチャイズの全天候型屋内キッズ施設「KID‒O‒KID(キドキド)」のキッズ施設運営課の支配人も務める。多様な部署を経験した上で練習場の支配人をしている中で、練習場の課題を山田支配人は、 「全体として高齢化が進んでおり、次世代、若年層、女性ゴルファーの掘り起こしが喫緊の課題です」 子供施設の運営に携わり、よみうりランドという、家族連れや子供が多く集まる施設に位置する練習場だけに、練習場事業を複眼的に見られることが同氏の強み。若年層や女性ゴルファーを取り込むための新しいイベントや発想、他の事業との連動性を含め、練習場業界に新風を吹き込むことを期待したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2023年11月12日
    ステップゴルフは、広島で写真館や広告事業など幅広く事業展開をしているスタジオアイと連携し、2025年を目処にインドアゴルフスクールを20店舗まで出店すると発表。このプロジェクトを「STEP 20 PROJECT in HIROSHMA(STEP 20プロジェクト)」として推進していく。 最初の店舗として、広島県広島市中区紙屋町に「STEPGOLF 広島 紙屋町」を来春のグランドオープンを目指して進行中。店舗の体験や先行入会は、2023年12月を予定している。「STEPGOLF 広島 紙屋町」はSTEPGOLFの直営店となるが、店舗の施工等はスタジオアイが行い、2店舗目以降については、スタジオアイとパートナーとして、出店してく予定だ。 また、今回のSTEP 20プロジェクトでは元日本代表でもあるJリーガーの佐藤寿人がステップゴルフ広島アンバサダーに就任。佐藤寿人は、ゴルフのベストスコアは81、多い時は月5回のラウンドをしているという、ゴルフ好きで有名な選手。イベントでの参加やSNSを通じた情報発信、ゴルフを楽しむための企画立案などを一緒に行っていく。
    (公開)2023年10月20日
    WOWCA蕨(わらび)ゴルフクラブは埼玉県のJR蕨駅から徒歩10分、蕨駅と西川口駅の間の県道110号線沿いにある。周りにはドラッグストア、スーパー、スポーツクラブ、飲食店があり、便利な商業地の中にある。 入り口には、この練習場の象徴である大きな枝垂れ桜がある。取材時には桜の季節は過ぎて、青々と葉が茂っていた。この練習場の成り立ちについて、WOWCA蕨ゴルフクラブの貫井(ぬくい)俊男支配人にレクチャールームで話を聞いた。部屋の壁紙は、図書館のように本が並べられたデザインで、他の練習場とはちょっと違う雰囲気を感じた。 同施設の設立は1974年と、半世紀になる。貫井氏の父・紀男氏が開業したもので、同氏は現在82歳で健在である。 貫井家は、墓誌の残された記録から、少なくとも300年以上前の享保年間からこの蕨の地で広く農業を営んでいた。紀男氏の父親は太平洋戦争で戦死され、一家の大黒柱を失った中、残された家族は農業や土地の賃料などで生活を営んでいた。紀男氏は大学を卒業してすぐ、残された土地の活用を考えて1年ほどガソリンスタンドで修行し、1964年にガソリンスタンド事業「貫井石油」を始めた。当時、都市化が進み、今後の土地活用を進める中での決断であった。 幸い、曽祖父の時代に蕨と西川口の間に道路を作る計画があり、曽祖父が自分の土地に道路を通すことを了承。県道が通る交通至便な土地となり、ガソリンスタンドの営業に好立地であった。ガソリンスタンドを続ける中で、貫井家の土地をゴルフ練習場用に貸してくれないかとの話が持ち込まれた。父親の紀男氏は、先祖伝来の土地を貸すつもりはなく断ったが、税金対策を含めて農地や遊休地の活用を思案、自らゴルフ練習場を経営する決断をした。練習場が1㎞圏内にないことも理由の一つだったという。 「当初は、ゴルフの練習をしている間に、ガソリンスタンドで洗車してもらうことも考え、ガソリンスタンドと練習場を両立できるはず」 と考えたが、準備を進める中で両方の経営は難しいと考え、土地を広く使えるゴルフ練習場に経営資源を絞ることにしたという。 紀男氏は大学時代を含めて、ゴルフは未経験だったが、人づてを頼りながら2年かけて準備を進め、1974年に開業。2階建て、32打席70ヤードで、現在と同じ規模である。9ホールのショートコースも併設した紀男氏は、ガソリンスタンド経営時代から、モノを販売することが好きで、ベンホーガンの特約店となりクラブ販売にも注力した。 練習場の創業時の名称は「蕨ゴルフクラブ」で紀男氏が命名。近隣に「蕨ゴルフ練習場」が在り、ショートコースも併設したので「蕨ゴルフクラブ」とした。貫井支配人が当時の記憶をこう話す。 「ゴルフブームもあり、昭和から平成に向かう時代でお客様がどんどん増えました。午前中は練習場、午後はショートコースで『一日遊べる』と好評だったようです。私が子供の頃、待合室には人が溢れ、たばこの煙で白かったことを覚えています。お客様は店屋物で味噌ラーメンを注文して、休憩の合間に食べてショートコースへ行ってました」 地域の憩いの場となった。しかし父親の紀男氏は、現在に至るまでゴルフを一切しないという。 <h2>「桜花」と「謳歌」</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/10/warabi2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-79146" /> そのショートコースは、1996年から段階的に縮小していった。コース管理の大変さと越球問題があったからで、売上も含めて土地効率が悪かった。最初にショートコースの3ホールを廃止して、スポーツクラブとした。その後、1998年に4ホールをスーパーにして、土地活用を推進した。貫井氏は1995年に大学へ入学、理学部であったが、卒業後経済学部に学士入学して、「街づくり」をテーマに学んでいた。 父親の紀男氏が、蕨駅前再開発の役員をしており、父親との会話のなかで街づくりに興味を持ったことがきっかけであった。2002年に会社に入り、他の練習場経営者との交流や情報収集して、ゴルフ練習場を改革していく。最初に取り組んだのは営業時間の拡大で、営業開始を朝9時→6時に変更。その後、打席の塗り直し、ボール、マットの更新などを進めていった。 また、ショートコースの残り2ホールをアプローチエリアや試打イベントに活用していたが、2010年にドラッグストアに変えて経営効率を図る。現在は貫井氏が実質的に経営をして、父・紀男氏に報告する体制となっている。ただ、開場当初から、打席間は天井までの仕切りネットがあり、お客様安全第一主義は変わっていない。 貫井支配人がポリシーを語る。 「練習場経営では、日々の『生活の場』を意識しています。誰でもゴルフを始められるよう、レッスン、レンタルクラブ、二木ゴルフの中古クラブを販売したり。仲間ができる仕組みづくりとして、スクールやコンペなどを用意。また、練習場はどうしても敷居が高いので、スポーツクラブ的な雰囲気を心掛けているんですね。『楽しさふくらむ』の想いを表現したロゴマークやキャラクターなどで、親しみやすい雰囲気づくりを目指しています」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/10/warabi3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-79148" /> 現在の名称「WOWCA蕨ゴルフクラブ」は、2010年に貫井支配人が考えた。 「WOWCAは『おうか(桜花)』と呼びます。練習場の入り口にある枝垂れ桜であり、蕨のWを意識し、人生を『謳歌』してもらいたいとの想いを込めました」 正直読みづらいが、そこに込めている同氏の想いが伝わってくる。事業継続については、 「練習場は設備産業なので、クラブハウスは1997年に建替え、打席は自分の代の責任として2016年に建替えました。鉄塔は安全調査を実施していますが、創業当時のままなんですね。ただ、鉄塔の建替えは次の代にかかわるので慎重に考えています。生涯スポーツとしてのゴルフは、街づくりを考える上で大切な役割を担っていくと思います」 WOWCA蕨ゴルフクラブは、年間入場者7万人を超え、地域の生活の場として根付き、街づくりの中に溶け込んでいる。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2023年10月15日
    都心から車で20分、東急多摩川線の沼部駅から徒歩6分。多摩川に架かる新幹線の橋の下流側に、東京多摩川ゴルフ練習場はある。場所は東京都大田区田園調布南で、河川敷なので番地はない。開場は1951年11月。 翌52年には東京ゴルフ練習場連盟が発足しているが、当時加盟した9ゴルフ練習場の1つで、現在まで残っているのは東京多摩川ゴルフ練習場のみ。都内で最も古いゴルフ練習場で、36打席250ヤードの屋外練習場である。 その成り立ちについて、同練習場の2代目田中誠氏と、田中氏の孫にあたる株式会社東京多摩川ゴルフ練習場の取締役・池田陽太氏に話を聞いた。田中氏の娘・成美さんの子供が陽太氏である。田中氏は1936年生まれで今年84歳、1960年の日本アマチャンピオンで、世界アマに出場し、ジャック・ニクラウスと戦った経験もある。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/09/2023092202.jpg" alt="" width="1000" height="666" class="aligncenter size-full wp-image-78831" /> この練習場を創業したのは、田中誠氏の父・光義氏である。光義氏は渋谷で指物師(家具職人。箱、机、椅子、たんすなどを、板材をさし合わせて組み立てる職人)をしていた。ゴルフクラブの修理ができないかとの相談を受けて、修理をはじめたという。そんな折り、田園調布在住のゴルフ愛好者から、練習場をつくりたいとの話が持ち上がった。戦後すぐの時代とあって、近隣に練習場はない。現在の多摩川河川敷の場所は畑だったが、前述のゴルフ愛好者に銀行関係者や企業のトップなど富裕層がおり、出資して、光義氏が管理をまかされた。東京多摩川ゴルフ練習場の誕生である。 距離は現在と同じで250ヤード。その後、堤防が拡張されて左側の打席はなくなったが、当時は今より多く50打席程度だった。場所は現在より100mほど上流側で、公共のグラウンドができて現在の場所へ移動した。田中氏は、 「開場当時はボールがなく、ゴルフ場のキャディさんから1個50円前後で買い上げたり、当時代々木にあったワシントンハイツに行ってボールをもらって運営していました」 と振り返る。田中氏の父・光義氏は、明治38年(1905年)生まれで創業時は41歳であった。「東京多摩川ゴルフ練習場」の名称は、創業時からのもので光義氏が命名した。田園調布にあるため、今であればその名称を使ったら良いと思うが、当時は何の迷いもなくこの名称に決まったという。 創業時は近隣の田園調布在住のゴルファーが徒歩で訪れたり、中村寅吉プロが練習に来たりして、経営は順調であった。創業から10年ほど経過して、出資金を返却し、株式会社東京多摩川ゴルフ練習場となった。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/09/2023092203.jpg" alt="" width="1000" height="666" class="aligncenter size-full wp-image-78833" /> 対岸にはショートコースの多摩川ゴルフ倶楽部があるが、練習場が出来て10年後ぐらいに親族が開場した。当時は、川を渡ってショートコースに行ったとのことである。気楽にゴルフを楽しめる環境で、多摩川にあるゴルフ天国の様相であった。現在、ショートコースの経営は変っているが存続している。 <h2>無人インドアも新たに開設した</h2> 東京多摩川ゴルフ練習場は河川敷に位置するため、河川法の対象となる。設立された1951年当時は旧河川法が適用され、河川敷の利用に関しては緩やかな時代であった。1964年の法改正により、新河川法の適用となっている。 多摩川は一級河川で国交省の管轄だから、同省に占用料を支払って運営している状況だ。河川敷なので、建築物を建てられず、受付も簡易な小屋である。防球ネットの柱は木製で、簡単に取り外しができるとのこと。打席は創業から土を使用しており、打撃部分にはショットマットを置いている。以前は土から打つこともできたが、現在は整備の関係からショットマットを使用する。 フィールドは天然芝で、バンカーやアプローチエリア、天然芝のパッティンググリーンも備わっている。また、池田氏が経営にかかわるようになってから、ボールの綺麗さにこだわっており、 「3か月に一度、ボールの塗装を塗り直しています」 池田氏は、河川敷にあるゴルフ練習場ならではの苦労、特に水害についてこう話す。 「2019年10月の台風19号の時は、ゴルフ場横の堤防ギリギリまで水位が上がり、練習場にあった全ての設備や藤の木が流されて、1か月近く閉鎖しました。ブルドーザーで流れ込んだ土砂をどけるなど、本当に大変な作業でした」 ただ、この洪水を機に、アナログで受付していたものを、デジタルの会員証にして、LINEで会員にリアルタイムで情報を流せるなどのシステムに変えた。 河川敷練習場特有の制約から、屋根を付けることが出来ないので、雨天の場合はクローズとなる。 「今までは、雨が止んだら数時間後に再開していましたが、LINEで再開時間などを知らせて利便性を高めています。ただ、台風や大雨のときは常に水没の危険があります」 もう一つの難題は、河川敷の占用について3年ごとに更新があり、国交省に使用許可の書類を提出する必要があること。池田氏は、 「書類は細かく、内容も厳しくなっていますが、前職でメディア関係の会社にいたので、慣れている分、対応できています」 一方、河川敷ならではのメリットもある。およそ2万3000m2の土地を国交省から借りて営業しているが、田園調布の私有地であれば相続税は莫大となって、事業継承は厳しくなる。占用許可が継続できれば、都市部で課題となっている事業継承問題はクリアできる。国がこの河川敷を水防や公共目的など、別の用途を考えた場合は問題だ。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/09/2023092204.jpg" alt="" width="1000" height="666" class="aligncenter size-full wp-image-78834" /> 「最近、近隣の屋外練習場4~5か所が閉場したため、開放的な広い場所で打てる屋外練習場は貴重です。自分の代で開業100年を迎えることが可能なので、この仕事を続けていきたい。そのためには、現在年間4万人以上の来場者をさらに増やすこと。スクール事業を伸ばしていきたいですね」 そのため、同練習場の近隣にある事務所の1階に、新しく無人インドア練習場とパーソナルジムを併設した施設をつくった。 「時代のニーズに合わせ、若くて新しい顧客を取り込んでいきたい」 と、次代を見据えている。 東京の田園調布にある250ヤードの屋外練習場が継承され、100周年を迎えることを期待したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2023年09月24日
    JR蒲田駅の西口から徒歩15分、東京大田区新蒲田の住宅街に囲まれて「加藤農園ゴルフリンクス」はある。1966年開場、今年で57年の歴史がある。 「農園」の名称から田園地帯の練習場をイメージするが、実際には住宅地に位置している。このゴルフ練習場の成り立ちについて、事業会社である有限会社NOUENの代表取締役加藤賢治氏、夫人の亜弓取締役に話を聞いた。 加藤家は、この地で400年以上前から農業を中心に営んでいた。歴史的にはそれ以前から居住していたというが、近隣の菩提寺「大楽寺」の過去帳が焼失して不明とのこと。代々農業を営んでいたが、途中、籠生産や畳屋などをしていた時期もあったようだ。 明治以降も農業を続け、戦前戦後も、大消費地に近接していることから、桃、梨、ぶどうなどの果実、野菜、コメなどを栽培していた。昭和に入り宅地化が進み、1960年頃には近隣で農業を営むのは加藤家だけとなってしまった。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/08/kato2.jpg" alt="" width="1683" height="1164" class="size-full wp-image-78415" /> 加藤農園ゴルフリンクス 創業時栄一会長・打席 ちょうどこの時期、東京電力の変電所をこの地域につくるとの話があり、土地の一部の売却を迫られた。加藤社長の父・栄一氏(現会長)が農業からの転換を考え、親族の官僚のアドバイスも得て当時流行っていたバッティングセンターやゴルフ練習場などが候補にあがった。 バッティングセンターは使用する土地の面積が少なく、また、親族が横浜の日吉でゴルフ練習場を始めており「風呂屋の番台に座っているのと同じで、現金収入で楽な商売」との話を聞いた。それで農業をやめてゴルフを選んだが、栄一氏はゴルフ経験が全くなかったという。 開業にあたり、クラブハウスは地元の工務店に建ててもらい、1階11打席40ヤードの土の打席で、スタンスマットとアイアンマットを土の上に置いた。フェアウェイは天然芝。ボールは人が手作業で拾い、回収したボールはイモ洗い機を使って洗浄、乾燥させて箱に入れ、来場者に提供していたという。 開業時から天然芝の練習用グリーンを備えていた。さらに地元の来場者から「バンカーを造ったら」との発案を受け、開業1年足らずで練習用バンカーも設置した。当時3歳だった加藤社長は、 「バンカーで砂遊びをした記憶があるんですよ」 と振り返る。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/08/kato4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-78417" /> 加藤農園ゴルフリンクスバンカー ネットの高さは15mで、当時は建築許可がいらない構造物で、ネット柱も知り合いから建設業者を紹介してもらった。開業から比較的順調なスタートを切った。 蒲田地域には町工場の経営者でゴルファーが多く、この練習場に仲間とともに集まってくれるようになった。当時はまだ、栄一氏もゴルフを知らない中で、顧客が練習場を支えてくれたという。開場は10月、その翌月の11月には顧客が役員会をつくって月例コンペ「栄会」が発足した。現在は解散したというが、400回以上の回数を重ねた。 栄一氏は当時、ゴルフ場にコンペを予約する方法がわからず、顧客が主体となって予約、開催してくれたという。栄一氏は、 「設備に不具合があると、蒲田の工場の常連さんが直してくれたり、あれよあれよという間にスムーズに立ち上がった。地域に支えられ、賑わいのある練習場となりました」 と、当時を振り返られているとのことである。 地元を愛し愛され 「加藤農園ゴルフリンクス」の名称は創業時から変わらないが、そこには2つの想いが込められている。親戚が、自分たちのルーツを忘れてはならないと「加藤農園」を提案。また「リンクス」は、知人からのアドバイスで人と人のつながりを大事にする「輪・和」から取った。 筆者は、名前の由来を知る前にこう考えていた。「リンクス」はゴルフ発祥のセントアンドリュース・オールドコースに代表される「ゴルフリンクス」から取ったもので、「農園」との組み合わせも、現在のSDGsの考えに近く、モダンな名前だなと。しかし、今回改めて由来を聞いて、ルーツや「輪・和」を大事にする意図を知った。地域のゴルファーが栄一氏を支えてきたことを含めて、色褪せない本質の価値を再認識した次第。 1983年、加藤社長が大学3年の時に、事業継承を前提に現在の2階打席にリニューアル。1997年には、やはり「地元の工務店」に依頼してクラブハウスを全面改修。2003年に今後の事業継続・継承を考え、事業を会社組織とした。 都市型の屋外練習場が継承できない最大の問題は相続である。事業を継承するためには、法人化も含めて長期的な対策が必要だ。東京の環状八号線に近い大田区にある「加藤農園ゴルフリンクス」では、20年前からその準備をしていたことになる。 社長夫人の亜弓取締役も、 「法人化の目的を明確にすることが大切です。事業を次の世代につなぐことを含めて考えています」 現在、他社で社会経験を積んだ2人の子息が入社して、3世代の経営体制が整っている。 経営ポリシーは「若者からシニアまで、みんなが楽しんでもらえる練習場」だが、実際、そのとおりの来場比率になっている。20代:21%、30代:15%、40代:15%、50代:28%、60代:12%、70代:9%と、各世代が満遍なく訪れる。 特に若い世代の来場比率が、他の練習場に比べて明らかに高い。この点について加藤社長は、 「息子達が経営に加わって、携帯アプリなどSNSの活用で若い世代を取り込めました。その一方、シニア世代が弱いので、自分たちがその課題を解決する必要があります」 2018年、新たな取り組みを始めている。近隣の蓮沼駅近くの商業ビル2Fに、4打席の屋内練習場「インドアスクール Choccoto」を開業。ちょこっと練習できる利便性を重視したもので、不動産会社からの提案を形にした。 「将来のゴルフ練習場はどうあるべきか。課題を常に考えて、トライしています」(加藤社長) 地元のゴルファーに支えられ、地元に仕事を発注し、地元の声を形にする。「加藤農園ゴルフリンクス」の名称と思想は、栄一会長から脈々と受け継がれている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/08/kato3.jpg" alt="" width="1753" height="1203" class="size-full wp-image-78416" /> 加藤農園ゴルフリンクス 開業時ハウス入口 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2023年08月27日