石川はプロデビュー以来、3年連続で1億円を突破しており、昨季は1億5146万円。義援金に振り向ける賞金は4月7日開幕のマスターズから積み立てられる。また、国内ツアーで奪取したバーディ1個(イーグル含む)につき10万円を義援金とすることも明らかにしている。昨季のバーディ数は350。2010年度の実績をもとにすれば、約1億9000万円という支援額になる。各紙とも「2億円を目指す」との石川のコメントを掲載。プロスポーツ界ではイチローの1億円を筆頭に、松坂大輔が100万ドル、松井秀喜とダルビッシュがそれぞれ5000万円を寄付している。
石川の義援金についてサンケイスポーツは、「税金は持ち出し」との解説記事を加えている。『実は、ツアーの獲得賞金は、実際に受け取るときは税金分を差し引かれている。仮に額面で総額1億円としても、数千万円は手取額が目減りする。しかし石川は、その分も自己負担で補充する』(同紙)――。地震発生後、多くの企業・団体、著名人から義援金が寄贈されたが、石川はグッズ販売の収益金を振り向けると発表、ネット上で賛否両論が渦巻いた。そのような批難の声を、「プロスポーツ界最高額」で黙らせたことにもなる。
チャリティーレッスンなどで活発な支援活動を行う女子プロゴルファーに比べ、男子の影は薄かった。地震直後に谷口徹と近藤共弘(各300万円)、キム・キョンテ(1000万円)が義援金の寄贈を決め、ジャンボ尾崎らが街頭募金活動を行ったが、大半の男子プロはサイト上に「募金箱」を設置するにとどまっている。
プロゴルファーの役割を「ゴルフ産業」の視点に限定すれば、ゴルフのイメージアップとプレー人口拡大への寄与に集約される。巷間、ゴルフ自粛ムードが蔓延しているが、プロゴルファーはそれを払拭する責務も担っており、その面でも「遼くん効果」への期待は大きい。今季男子ツアーを通じて、バーディ奪取のたびに義援金となれば、被災地への関心を風化させないことにもつながる。