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    6月29日から7月2日まで、ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道)で、国内男子ツアー「セガサミーカップ2023」が開催された。コロナ禍の影響で2020年は中止、2021年は無観客、2022年は制限付きとなっていたが、4年ぶりのフル開催。雨が降り悪天候だった昨年に比べ、北海道らしい爽やかな天気に恵まれて、予選ラウンドからギャラリーは倍増。4日間の観客数は8408名で、昨年比239%となった。 主催者は総合エンタテインメントセガサミーホールディングスで、ゲームをはじめとしたエンタテインメントコンテンツのほか、スポーツ、リゾートなど幅広い領域で事業を展開。「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに~」をミッションに掲げる。至る所に大会の盛り上がりを狙った目新しい試みが満載で、子どもから大人まで多くのギャラリーが盛り上がり、マスクを外して笑顔を見せる姿が見られた。 「ゆるセガサミーカップ」では、ゴルフ観戦において日本初のデジタルツインを活用し、人気ゴルフ女子のなみき、あおい夏海、Rumi、望月優香がそれぞれ違う場所から試合の模様を配信。視聴者はPC、スマホからバーチャルゴルフ場にアクセスして、ライブ視聴が可能に。 現地の臨場感溢れる映像を見ながら配信者とチャットができたり、GDOがアパレルメーカー4社「Clubhaus(クラブハウス)」「Golfickers(ゴルフィッカーズ)」「FLOG.G.C.(フロッグ ゴルフ クラブ)」「NAKED GOLF(ネイキッド ゴルフ)」とタイアップして、大会限定オリジナルアイテムやウェアを販売するなど、多様化するニーズに応えるコンテンツを提供。セガサミーホールディングスの大塚博信執行役員は、 「今までの一方通行で受動的な配信から、能動的に楽しめるコンテンツへの足掛かりとして成果がありました。通信環境の整備や、企画内容を精査する必要はありますが、大きな可能性を感じています」 と今後に手応えをつかんだ様子。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/08/2_2.jpg" alt="" width="1440" height="960" class="aligncenter size-full wp-image-78392" /> ギャラリープラザでは「千歳うまいっしょ祭り」と題し、千歳市をあげての一大フェスティバルを開催。「食(たべる)・遊(あそぶ)・踊(おどる)・音(みゅーじっく)」をテーマに企画を立てた。日本発のプロダンスリーグ、Dリーグに参戦中の人気ダンスチーム「セガサミールクス」のパフォーマンスや、地元の子ども達のダンスに多くの歓声が飛び交った。セガサミーホールディングスの福田将人セガサミーカップ事務局長に話を聞いた。 「企画と運営の責任者として本格的に携わったのは今回から。昨年より1か月弱早い開催だったこともあり、とにかく時間が無くて、直前の3か月はほとんど記憶が無いくらい大変でした。世界で一番騒がしいホールで知られるPGAツアー『フェニックス・オープン』の16番ホールをイメージして、ゴルフ好きの上級者も、初めて観戦する人も楽しめるスタジアム型エンタテインメントホール『The Monster16』を企画しました。 ギャラリーも声を出して応援することに慣れていないし、今回はチャレンジかつテストの位置づけとして、継続して盛り上げていきたいです。野球のスタジアムみたいに、生ビールの売り子がいてもいいですしね。大変だったことは選手目線で競技を運営するJGTO側と、とにかく観客を喜ばせたいと考える我々との意見を調整すること。観戦スタイルをブランド化し、ロゴを映えさせる目的で白い幕を採用しましたが、当初は『選手が眩しいから』と、ご意見も頂きました。また、音や声については、選手から『もっと大きな音楽や声援でもいい』という声もありました」 今年は男女ツアーで7大会が北海道で行われる中、本大会が最初の試合だった。とかく女子ツアーと比べられがちな男子ツアーだが、エンタメ企業のプライドをかけ、斬新な企画で男子ツアー人気再燃のきっかけづくりの爪痕を残した。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/08/3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-78385" /> <h2>大会を盛り上げた関係者やギャラリーに話を聞いた。</h2> <strong>タケ小山さん(ゴルフ解説者)</strong> 最初にホールMCを務めたのは2014年のヤマハレディースオープン葛城でした。18番のギャラリースタンドにDJブースを設け、ギャラリーに向けて実況解説。ヤマハの指向性スピーカーで、選手には聞こえない配慮をしましたが、風向きなどで音が漏れてしまった。その後パナソニックオープンでは「ザ・ギャラリーホール」が定着し、観客と選手が一体になる瞬間を楽しむギャラリーも増えています。スポーツで大切なのはファンが熱狂する感動と興奮を与えること。日本人は行儀がよく、静かな応援をしがちなので、どんどん声を出して盛り上げたほうがいい。威厳や歴史があるメジャー大会と騒いで楽しめるカジュアルな大会など、トーナメントによってカラーがあっていいですよね。どうせやるなら徹底的にやって、続けていかなければ。 <strong>藤澤響花さん(モデル)</strong> セガサミーカップSNS応援サポーターとして現地レポートをしました。女子トーナメントではお仕事をしたことがありますが、男子は初めて。新しい取り組みが多く、選手がとてもフレンドリーでギャラリーとの距離が近く、毎日とても楽しかった。男子プロは近寄りがたいと思ってましたが、ファンサービスが満載で、SNSレポートでも協力的。音楽をかけて大声で応援できる16番ホールは、まるで海外のようでした。ギャラリープラザはフェスさながらで、子どもから大人まで盛り上がった。3日目終了後におこなったドラコン大会では始球式を務めましたが、緊張で手が震えてショットはゴロ。もう一度チャレンジしたい。 <strong>内柴有美子さん(エルグワンディレクター)</strong> ツアー観戦は2度目ですが、国内男子ツアーは初めて。16番ホールは選手と観客の一体感があって、静かに見ているより楽しかったです。18番ホールのスタンドでは、インスタでしか見たことがなかったバックスピンのかかったベタピン連発。あんなに緊張する場面でスーパーショットを成功させるプロの技に感動しました。ギャラリープラザもステージが盛り上がって、コースでも音楽が聞こえていたので、16番だけじゃなく、他でも応援ホールをつくって、映像やプロジェクションマッピングなどの演出を入れてもいいかもしれません。飲み物や食べ物の出店がギャラプラに集中せず、分散しているほうが有難いです。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2023年08月22日
    放送権料を出しました <strong>まず、海老沢さんがJGTOに関わった経緯から教えてください。</strong> 「JGTOが一般社団法人になったのは昨年の1月ですが、そもそもは1999年にPGA(日本プロゴルフ協会)から分離・独立しています。アメリカのPGAもツアー部門をクリアにして、世界の一流選手を育てている。日本もそれに倣ったわけですよ。 当時、わたくしはNHKの会長をやっておりましてね、JGTOの初代会長になった島田幸作さんがお見えになって、『新団体をつくったのでNHKも放送してほしい。同時に放送権料を頂きたい』という申し出があったんです。そこで、我々も公共放送としてゴルフ界の発展に協力しましょうと。当時、5000万円の放送権料を出しました。 それ以前にね、わたくしがNHKでスポーツ担当の理事をしていた頃、JGA(日本ゴルフ協会)主催の三大オープンに合計3億円の放送権料を出しました。当時首相だった細川護煕さんのお父さん(護貞氏)がJGAの会長をなさっておりましたが、お話をして、日本のゴルフを盛り上げましょうと。そんな経緯もあったんです」 <strong>JGTOの加盟選手は何名ですか。</strong> 「いわゆるツアーメンバーは183名で、そのうち賞金シードが83名です。これ以外では予選会のQTですね。チャレンジツアーもありますけど、すべて合わせると1456名もおるんですな」 <strong>かなりの大所帯ですが、男子ツアーは長期低迷に喘いでます。食べさせていくのは大変ですね。</strong> 「まあ、今季は海外を含め25試合、隆盛を誇る女子は37試合。比べて低迷とかいわれますが、過去10年ほどは試合数も賞金総額もほぼ横這いで推移しています。全体的に見ればですよ、低迷状態ではありますが、バブル崩壊後、日本全体がデフレ状態に陥ってしまったでしょ。男子ツアーの現状はその一環だと考えています。 ただし、世界でトップを狙える人材の育成は急務ですよ。技術を磨き、体力をつけ、心を鍛える心技体。 これをきちっとやりながら、インタビューを受ける際にはカメラの向こうに何万人ものファンがいる、服装や立居振舞いもしっかりして、子供たちにプロゴルファーになりたいと思ってもらう。 我々は『挑戦と貢献』を掲げていますが、これを継続することで盛り返したいと考えています」 <strong>なるほど。ここでJGTOの成立基盤を確認したいと思います。昨年の収支予算では、「受取会費」が1億2000万円ほどありますね。</strong> 「そうです。我々は選手が得た賞金の4%をトップオフで預かっており、フィットネスカーの管理や選手会の事務局運営費もここから出しているんですよ。 そのトップオフと正会員の年会費(1万円)を合わせて、1億2000万円ぐらいということですな」 <strong>JGTO全体の規模感は?</strong> 「まず、全体の賞金総額は33億5000万円ほどですが、賞金は選手に行きますから事業収益には入っていません。チャレンジツアー15試合と合わせて35億円ほどになります。 で、これ以外にQTへの参加費や放映権料など大会関連の収益があって、先ほどのトップオフを合わせると14億円ほどの収入になる。これに賞金総額を合算して49億円ぐらいかな。これがJGTO全体の規模ですよ」 <strong>経費面はどうですか?</strong> 「そこは職員35名の給料もありますが、一番掛かるのは競技の運営管理費なんですよ。海外と国内の試合に競技委員を派遣するため、かなりの出費になるんです。 ただし、剰余金は4億数千万円残っております。赤字になったこともなく、健全経営ですからね、不景気が来ても大丈夫、ご安心ください(笑)」 <h2>清く正しく納税する</h2> <strong>昨年、一般社団法人になりましたが、公益社団になる選択肢はなかったんですか?</strong> 「公益になると税金をまけてもらえますが、我々はね、儲けた分は払うべきだと考えたわけです」 <strong>一般社団は、公益社団に比べて公益性が乏しいと見られませんか?</strong> 「そうじゃないですよ。法人というのは株式でもなんでも社会的責任を負いますよね。悪いことすれば財団だろうが何だろうが捕まりますよ。 ですから、一般社団にしたのは納税のことだけだと考えてください。我々は世間の信用なくして成り立たないので、清く正しく美しく」 <strong>納税する?</strong> 「そうそう」 <strong>JGTOの活動テーマは「挑戦と貢献」ですが、換言すれば「納税と貢献」になる?</strong> 「そうそう、そういうこと(大笑)。おっしゃるとおりで、ゴルフの選手は個人事業主だから、稼いだものは自己責任で申告する。脱税があったら世間から叩かれますし、申告漏れがないようにきちんと指導をしております」 <strong>ところで、松山・石川の二大スターが米ツアーに吸い込まれた。これも低迷要因のひとつですね。</strong> 「だから人材育成が大事なんですよ。我々は有望な選手をどんどん輩出して、特にスターの存在ですね。歌舞伎でも相撲でも、江戸時代から続く興行は人気役者なくして栄えない。 相撲界も力士をスターにする努力を重ねて、世界に誇れる興行を成立させているんです。ゴルフ界も、こういったことをきちんとやらねばいかんですよ」 <h2>選手会と会長の力関係は?</h2> <strong>会長は「横審」の委員長を長らく務めるなど、相撲界との関わりが深いですが、その大相撲もかつて激震に揺れました。プロゴルフ界の課題は「暴排」ですが、ゴルフと相撲はタニマチ性が強い。この点をどのようにお考えですか。</strong> 「まあ、歌舞伎にしてもそうですが、団体ではなく個人の人気で成り立つ興行は、どうしても熱心なファンがつく。だから線引きが難しいわけですが、団体競技の野球やサッカーは合宿で教育するし、相撲の場合は部屋ですな。親方とおかみさんが親代わりになって、実の親より厳しくやる。 一方のゴルフは、これまで合宿をしませんでしたが、これでいいのか、ということで、去年初めて新人研修を主目的とした強化合宿(宮崎県)をやったんですよ。 今年も3回やりましてね、1回25名で5日間、計75名。技術指導だけではなく、心構えも教育します。 最初は選手会が反対したんですよ。我々は個人事業主だし、それぞれスケジュールを立てて自発的にやっているわけだから、機構(JGTO)が強制的にやるのはおかしいと」 <strong>なるほど、だけど実現させたわけですね。今の話を聞いてふと思うんですが、機構と選手会、どちらの立場が上なんですか。</strong> 「それは、難しくてねぇ。親子関係みたいなもんだけど、我々の人事権は向こうがもってるから(笑)」 <strong>会長も罷免されてしまう?</strong> 「そういうことですな(大笑)。まあ、どっちが上ということじゃなく、先ほどの合宿の話に戻りますが、ゴルフはリオデジャネイロから五輪の正式種目になるわけだから、これを大目標に掲げて切磋琢磨すべきだろうと。 その中に研修もあるんだという説明をしましたら、わかりましたとなったわけですよ。参加は強制ではなく希望ですが、交通費以外はすべて機構が負担します。金額は一人当たり15万〜20万円ほどですね」 <h2>五輪を巡るプロとアマの平行線</h2> <strong>リオ五輪の話が出たので伺いますが、現状、男子プロは五輪の強化指定選手枠8名のうち、半分しか埋まっていません。ほかの競技と比べて極端に少ない。強化指定選手にはドーピング検査が適用され、その煩わしさが理由とされますが、志が低いんじゃないですか。</strong> 「いやいや、それは大きな誤解ですよ。ドーピングは世界的に厳しくなって、発覚すればメダルも剥奪されますし、自分の健康にも関わるから、機構としても積極的に取り組んでます。 我々はJADA(日本アンチ・ドーピング機構)には加盟していませんが、4年前から年2〜3回の割合で、JADAと100%同じ薬物検査法を適用しています」 <strong>ではなぜ「強化選手」の申請に選手は消極的なんですか。指定選手になれば、心身や技術の強化面でいろんな特典が受けられるのに。</strong> 「問題はね、ふたつの流れがあることです。我々は世界の六大ツアーが加盟するIGF(国際ゴルフ連盟)に属していて、ここが設けたドーピング規定に則って検査をしてるんです。 一方、五輪関係の窓口はJGAになりますが、JGAはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)とJADAの方式に則っているわけで、五輪の強化選手になるとJADAが適用されるんです」 <strong>そのあたりがゴルフならではのややこしさですね。プロ団体とアマ団体が並立して、それぞれ違う道筋をつけている。で、JGTOはIGF方式、JGAはJADA方式‥‥。両者の違いは何ですか?</strong> 「五輪の場合は規制が非常に厳しくて、そのひとつが検査官(検尿等)に居場所報告をする義務ですが、難しいのは『今週はこの大会に出ます』と報告しても、予選落ちする場合があるじゃないですか。 それで帰ってしまい、検査官が来たけどそこにいなかった、すると罰則が科せられる可能性がある」 <strong>それを、五輪選手が正式に決まる数年前の「強化段階」でやられる?</strong> 「そう、だから選手は怖がってしまうんですよ。本人にその意識がないのに不利な処分を受ける可能性もありますので、IGFにいわせれば、我々は大会の3か月前からやっている。だから五輪の場合も、代表に決まって以後3か月前からが妥当だと。 つまり、時期的な解釈の問題なんですな。改めて強調したいのは、我々は選手に対して『強化指定登録は自由に決めてください』と、選択肢を与えています。 それと今後、IGFがWADAに準じれば、JGTOもそれに則りますよ。何も日本だけが粋がってね(笑)、反対するつもりはありませんから」 <h2>5千万円大会を推進する</h2> <strong>次にJGTO最大の課題、選手の「職場」(試合)を増やすための施策を伺います。注目は賞金総額5000万円の新規大会(ダンロップ・スリクソン福島オープン)なんですが、ツアーの最高額は2億円。安い大会と高い大会が混在して、両者の折り合いはつきますか。</strong> 「うん。二兎を追うものは一兎も得ずといいますが、要はバランスの問題なんですね。アメリカの高額試合は1000万ドルで、今年のマスターズが850万ドルぐらいだったかな。普通でも500万〜600万ドルなので、日本とは桁が違うんです。 その一方、インドネシアやタイが100万ドルだから、まぁ1億円ですな。日本は2億円が5試合で、関西オープンの6000万円が一番小さかった。今度の5000万円は初めてですが、実はこの金額の大会は積極的にやろうじゃないかと、以前から話し合っていたんですよ」 <strong>会長は5000万円推進派?</strong> 「そう。だけどなかなか見つからなくてね、このたびダンロップさんのご理解を得て、東日本大震災の被災者の方に少しでもお役に立ちたいと。それがこの大会の目的ですよ。 ほかにも希望があれば同額の大会を増やしたいし、数年以内に30試合が目標です」 <strong>つまり、大会のバリエーションに多様性をもたせるわけですね。</strong> 「そういうことです」 <strong>同時に、中継の多様化は如何ですか。今や様々なメディアがあるので、かなりのことがやれるんじゃないですか。</strong> 「そうそうッ、そこです。ぼくはそれを生業にしてきた男だから、いろんな発想がありますよ。 ひとつは、スポーツは生放送でやるべきだという持論がある。デジタル化の時代で衛星も普及している昨今では、生放送じゃなければスポーツは生き延びられない。それを民放さんにもお願いしてるんですが、スポンサーの関係で難しい。 となれば、地上波以外の中継ですね。インターネット放送も視野に入れて、極力ナマでお届けしたい。それで一番簡単な方法は、1番と18番ホールの中継だけでいい。これだと基本はカメラ2台、プラス2〜3台で全選手をカバーできます。 放送コストは基本的に、何ホール中継するかでしてね。ぼくが2001年の11月、御殿場の太平洋クラブでワールドカップを中継したときは18ホール全部やったんですよ。 これはハイビジョンを普及させるために世界へ配信した。かなり金が掛かったけどね(笑)」 <strong>いくらですか?</strong> 「忘れましたあ!(大笑)」 <strong>インターネット中継は、通常の地上波に比べてかなり安く中継できる?</strong> 「感覚的な印象でいえば、通常の十分の一くらいかな‥‥。要するにかなり安くできるわけですよ。 昨年のANAオープンでもインターネット中継をやっていて、少人数でかなり簡素化していました。スポーツの醍醐味はね、やっぱり『生』です。やり方は千差万別なので、機構でも様々な議論をしておりますよ」 <h2>縄張り意識を捨てること</h2> <strong>つまり、JGTOの新たなメディア戦略ですね。</strong> 「実は、本当のところを話しますとね、日本のツアーには放送権がないんです。あるのはHEIWA・PGM選手権とNHKが放送する日本ゴルフツアー選手権だけで、新規の福島オープンとは現在交渉中ですが、こんなこと、日本のゴルフだけですよ。 世界のスポーツ中継ではあり得ませんし、アメリカのツアーは映像をきちんと権利化して、様々なビジネスにつなげてるじゃないですか。ですから新たな規約では、新規トーナメントに放送権をつける方向で考えています」 <strong>最後の質問です。</strong> 「うん? 時間なら大丈夫。このあと何もないんだから(笑)」 <strong>ありがとうございます。ゴルフ界には17団体ありますが、とにかく団体が多すぎる。船頭が多くて業界の方針を決めるにも一致団結が図れませんが、横連携の発想で活性化策はありませんか?</strong> 「あります。たとえば『日本プロゴルフ殿堂』ですよ。これは世界で活躍したプロを顕彰する目的で4年前に設立されたものですが、なぜプロに限定しているのか。でしょ? ゴルフ界の発展に寄与したひとは、たとえば芝草研究の第一人者、クラブ開発の功労者とか、沢山いるはずじゃないですか。だからぼくは『日本ゴルフ殿堂』に改めて、17団体すべてが参加して、日本ゴルフサミット会議で表彰 すべきだと提言しています。 トロフィーを10個つくればいいんです。お金、まったく掛かりませんよ。大事なことは、ゴルフ界に活力を与えて一枚岩で推進することです。活動費はゴルフ場が2400だから、1コース1万円で2400万。練習場は3000‥‥」 <strong>3400です。</strong> 「これで3400万円でしょ。メーカーや専門店も沢山あるから1億はすぐに集まります。集まれば色々なことができるんです。まずは縄張り根性を捨てて、一致団結することですよ」 <hr> この記事は弊誌月刊GEW 2014年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊GEWについてはこちら</a>
    (公開)2023年02月07日
    新型コロナウイルスの感染者が世界で200万人に迫る中、全米プロゴルフ協会、PGAツアー、R&amp;A、USGAなど7団体は先頃、以下の共同声明を発表した。 「今はパンデミックの影響により全ての人が困難な時です。各組織はそれぞれの保険局の指示に従いながら、安全が確保でき責任が持てる場合に大会を開催します」 これに伴いR&amp;Aは今年の「全英オープン」を中止、来年セントジョージズで開催すると発表した。6月の「全米オープン」は9月に、5月の「全米プロゴルフ選手権」は8月に延期。4月の「マスターズ」も11月の開催を発表した。 目を国内に転じると、本日現在、女子ツアーは11戦目の「ほけんの窓口レディース」まで、男子も5戦目の「ミズノオープン」まで中止(関西オープン延期含む)され、今後も開幕の目処がまるで立たない。これにより女子は約10億円、男子は6億円近い賞金が消えたことになる。 日本ゴルフツアー機構(JGTO)元副会長の大西久光氏は、厳しい口調でこう語る。 「ただでさえ不人気の男子ツアーは今後、大会スポンサーが減るかもしれません。今回のコロナウイルスは、世界のあらゆるシステムが一度『白紙』に戻る機会だと思いますが、職場をなくした男子プロも今後の在り方を白紙で考えるべき。 この期に及んで考えることさえしなければ、単なるアホとしか言いようがありません」 同氏は現在、ゴルフ緑化促進会(GGG)の理事長を務めているが、過去には国内初のトーナメント運営会社を設立するなどツアー界の礎を築いた人物。それだけにコロナ禍になす術もなく、呆然と佇むプロゴルファーに喝を入れる。 先頃、3期目の会長に選出された青木体制の舞台裏を含め、JGTOの現状を厳しく問う。以下、一問一答を再現しよう。 <h2>これで変われなきゃアホですよ!</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2017/03/170317_onishi2.jpg" alt="これで変われなきゃアホですよ!" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-36575" /> <strong>新型コロナウイルスとゴルフ界、特に男子プロと関連付けてどのような印象を持ってますか?</strong> 「ひとつ言えることは、コロナウイルスは世界のあらゆるシステムや考え方を含め、すべてを一度『白紙』に戻す契機になるんじゃないか。職場を失くしたトーナメントプロも、今後の在り方を白紙で考えるべきですよ。 この期に及んで考えることさえしなければ、単なるアホとしか言いようがありません」 <strong>何をどのように考え直すのか、具体的なヒントをください。</strong> 「その前に、過去のゴルフ界を簡単に振り返ってみましょう。そこに考えるヒントがあると思いますから。 まず、バブルのピークは30年前、1990年です。それが崩壊して、経済の縮小とデフレが始まった。ゴルフ業界もコースや用品市場など軒並み売上を下げましたが、トーナメントの賞金額だけが2倍近く上がっているんです。 特筆すべきは97年4月、消費税率が3%から5%に上がり、ゴルフ関連の売上数字が全部落ちた。それでも賞金額は上がり続けてるんですね。視聴率も上がらない、ギャラリー数も増えないのにです。 そのことを選手は真剣に考える必要がありますよ。特に上位の選手は、試合数が少なくて賞金が高いから効率的に稼げるじゃないですか。 そんなぬるま湯に浸かっていること自体が問題なので、コロナで試合がなくなったこの時期にトーナメントプロとは何者なのか、なぜ大会を開いてもらえるのか、この点を真摯に考える必要があるわけです」 <strong>なぜ賞金だけが上がったんですか?</strong> 「まあ、諸々の要因があると思います。元NHKの会長だった海老沢さんがJGTOの会長を務められた時、スポンサーに値上げをお願いしたこともありましたし、スポンサーにしてみれば賞金が高い方がPR効果が上がると考えたこともあるでしょう。 実際、これはバブル前の話ですが、ぼくがプロデュースしたダンロップフェニックスの賞金を2億5000万円にしましてね、当時は全英オープンと比肩する額だった。それで世界の一流選手を呼んで本気にさせたわけですが、他のスポンサー企業のトップから『あまり上げないでくれ』と言われたこともありました(笑)」 <strong>そこはインフレとの連動があったのでしょうが、バブル崩壊から30年、この間賞金が上がり続けたのはスポンサー企業の見栄ですかね。うちはこれだけ払えると。</strong> 「まあ、マスターズの場合は観客が増えて入場料収益が高まれば、比例して賞金も増えますが、日本の場合はギャラリー数と賞金は連動しません。ツアー公認の最低額は賞金総額5000万円で、すると選手は安い大会を休んで高額大会に備えるとか、そういった傾向も指摘されます」 <strong>冠スポンサーの出費は、1大会につき賞金総額の3倍と言われますね。ギャラリースタンドやその他諸々のコストが掛かる。すると1億円大会で3億円、2億円大会で6億円です。</strong> <strong>企業の経常利益率を売上の5%とした場合、120億売って6億の大会ができるという計算も成り立ちますが、これは冠企業の社員が汗水垂らして稼いだ金でもある。安い大会は休むという姿勢自体、厳しく問われるべきですね。</strong> 「トーナメントの総コストは、以前はたしかに3倍でした。最近のことは知りませんが、それでも2~3倍ほどだと思います。 おっしゃるように自分達の賞金がどこから来ているのか、それを思えば感謝の気持ちも生まれるはずです。それがなければスポンサーも払う金額への見返りが期待できないし、大会はさらに減るでしょう」 <strong>ひと昔前、ゴルフメーカーの売上は1営業マン当たり1億円という目安がありました。今はそれより遥かに下がってますが、仮に1億円として、120億作るには120人が丸一年、必死に働いた成果です。</strong> <strong>その利益(賞金)をプロゴルファーはたった4日間のゴルフで持っていく。ここに思いを致さないと本当の感謝は生まれません。</strong> 「まったくですなあ。経常利益で5%とすれば売上は20倍。それで総経費3億円の大会とすれば60億円の売上が必要になるし、6億円とすれば120億。これに匹敵する価値をトーナメントが生み出しているのかと言えば、これはまったくないですよ。 すると何が起きるのか。昔はワンマン社長が独断で『大会をやるぞ』と決めましたが、今は役員会に諮られる。そこで『60億の価値があるんですか?』と詰め寄られれば、返す言葉はありませんよ。 大会コストはテレビCMのように連続的な経費ではなく、一回で大きな塊として出る。現状はコロナで中止ですが、それでコストの塊が消えれば経営は一気に楽になる。まして今はコロナで先行きがまったく読めないから、トーナメントの継続を見直そうと考えて当然です」 <strong>スポンサーをやめさせない対策はありますか?</strong> 「その私案を考えている最中ですが、ひとつは冠スポンサーへの依存度を下げることです。あらゆるプロスポーツが肥大化して、サッカーのトップ選手は年俸数十億円とか異常なレベルになってますが、この話は五輪も同様で、健全化を目指す上でダウンサイジングが必要になる。 ゴルフの『冠方式』はわたしが作ったシステムですが、あれはインフレ時代のやり方ですよ。 デフレ時代に合わせるという意味では、たとえば賞金総額の上限を1億円にして、個々のスポンサーニーズを細かく分析する。この大会のスポンサーはテレビ中継を求めないから中継コストを削減できるとか、地域密着型でやりたいなら、大掛かりな観覧席や沢山の簡易トイレも不要になる。 要するに、ニーズを細かく分析して個別に企画を練ることです。『冠方式』の1社依存型は、早急に改める必要があるでしょうね」 <h2>ジャンボ尾崎が開示請求</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/06/onishi-2.jpg" alt="大西久光" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-45006" /> <strong>トーナメント改革を進めるには、選手の意識改革も不可欠ですが、その意識が極めて低い印象です。最近の話でいえば青木会長の3選を巡る紛糾もありましたが、結局は選手会が問題意識を共有できず不発に終わった印象があります。</strong> <strong>簡単に言えば、青木会長と個人的なつながりが深い3人の理事が独断専行的にコトを進める。利益誘導や相反が疑わしいから、3人の理事を外してくれと一部の選手が反旗を翻した。で、3月末の総会で結果が明らかになるはずだった。</strong> 「わたしはJGTOを離れて久しいので、伝聞の部分もありますが、まず、ツアーの出場権を持つ205名の選手が投票権を持っています。そのうち41名が先の理事を外す嘆願書に署名するという動きが総会前にありました。 基本的に理事候補は一人ずつ承認されるわけですが、その要求がなければ一括でまとめて承認されます。 今回は結局、41名分の嘆願書が提出されず、承認も一括になったようです。まあ、事前に選手に対して何らかの働きかけがあったんでしょうね。総会ではどの理事が何票取ったかの開示もありませんでした」 <strong>開示義務はないんですか。</strong> 「開示請求がなければ問題ありませんが、投票権を持つ選手が1人でもこれを要求すれば開示義務が生じます。そこで今回の総会後、執行部に不満を持つ有志が集まって、ジャンボ尾崎に開示請求の代表になってほしいと頼んだそうです」 <strong>なるほど。ジャンボはそれを受けたんですか?</strong> 「はい、それで彼の署名と判子をついた書状を送達したと聞いてます。結果はまだわかりませんが、近く公表されると思いますよ」 <strong>編集部注 採決の結果はJGTOのHPで「別表」に公開された。特記事項は2号議案の昨年度決算報告で賛成97、反対86票、3号議案の理事選任で上田昌孝氏が賛成97、反対86票と拮抗した以外は賛成多数。</strong> <strong>ジャンボ尾崎が代表者名というところに、青木会長との確執を感じさせますが、それはともかく、理事になるための得票数は?</strong> 「過半数だと思います」 <strong>開示して過半数に未達の理事がいたら大問題ですね。</strong> 「それは当然そうでしょう。ただ、それ以前に問題なのは、選手の意識レベルが低いこともありましてね、18人の理事には選手も含まれるわけですが、執行部に問題があったなら、選手会の総意をまとめて反対すればいいんです。 それがね、わずか205人の考えを確認することもせず、白紙委任状が多かった。一体、何をやっているんだと。 試合がないのはコロナが悪い。理事の責任じゃないと執行部は言うかもしれませんが、選手はこれを鵜呑みにして他人任せにしている印象が強い。つまり、何が問題かわかっていない選手が多いんでしょうな。プロゴルファーの低い意識が一方の問題だと思いますよ」 <strong>執行部の問題として、具体的に何が指摘されますか?</strong> 「一例としてAbemaTVツアーの今後があります」 <strong>アベマはいわゆる下部ツアー。レギュラーツアーに届かない若手に実戦経験を積ませる大会ですね。</strong> 「おっしゃるとおりです。アベマとの契約は3年間で、今年末に更新時期を迎えますが、コロナの影響で軒並み開催の目処が立っておらず、来年の継続は微妙です。 で、そもそもの話をすれば、アベマは当初1年契約を強く望んだわけですが、当時の執行部が人脈を辿り、アベマの藤田さんに影響力のある人を介して3年契約にした経緯があります。つまり、トーナメント営業を司る執行部には情熱と人脈、相手を説得する力量が求められるわけですよ。 先ほどの話、現在の理事にそれがないとすれば、アベマは更新されないでしょう。すると若手は実戦経験を積む場を失い、世界との実力がますます開いてしまう。これは大きな問題ですよ」 <h2>古田敦也と時松隆光</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2017/03/170317_onishi1.jpg" alt="170317_onishi1" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-36577" /> <strong>そこで思い出すのが「プロ野球労組」のストライキです。当時ヤクルトの古田敦也が先頭に立って、球団の減少と1リーグ制に猛反対した。相手は読売や西武のトップなど錚々たる企業人だったにも関わらず、結果的に引っ繰り返した。</strong> <strong>そんな大太刀周りを時松選手会長に求めるのは酷だとしても、ちょっとレベルが違いますね。プロゴルファーは個人事業主。それが教育なり連帯なりの脆弱につながっていると思えます。</strong> 「たしかに個人事業主という面はあるでしょうが、それ以上に個人競技の面が強いんだと思いますよ。以前、サッカーの川淵さんに『ゴルフは個人競技だから教育が大変でしょう』と言われたことがありますが、まったく頷ける話です。 サッカーは11人、野球は9人。いずれもチームプレーだから日々の練習にも連係が求められるし、チームに悪影響を与える選手は外に出されてしまう。つまり職場を失うことになりますから、どんなに個性的な選手でも、一人では勝てないという意識が染み込んでいるわけですよ。 ところがゴルフは、自分さえ強ければいい、稼げればいいという世界でしょ。そのような自分本位が災いしてるわけですよ。 今回の理事選に見られるように、仮に選手の為にならない理事がいたとして、それを否認する意志さえ示せないとすれば、選手全員の責任ですよ。 ただでさえ試合が減っているのに、ましてコロナでこんな惨状になっているのに、それでも自分達の職場を改善する努力を放棄するなら、これはまったくアホですよ」 <strong>選手会を労働組合と位置付ければ、団交で休業補償を要求することも必要でしょうが、そのような話はまったく聞こえてこない。一部の上位選手は金持ちかもしれないけど、中堅以下は苦しいでしょう。</strong> 「まったくですね。選手は獲得賞金の3%を機構に収めるわけですが、すると年間9000万円です。コロナで職場を失った時期だからこそ、休業補償すべきだし、そのような話が聞こえないところに組織的な欠陥があると思いますね。 もうひとつ指摘したいのは、男子も女子も同じですが、1試合ずつ中止を発表している。たしかにコロナの今後は誰にもわかりませんが、だとしても中期的な方針なり考え方をきちんと発表すべきですよ。じゃないと選手もファンも不安だけが募ってしまう。 もっと協会が主体になって、試合がなければそれに代わる企画を選手と作って、ゴルフネットワークとの連携で積極的に流すとかね。選手もギャラを受け取らず、ファンと一緒にコロナと戦う姿勢を見せるとか。 試合がないときに何ができるのかがその選手の本質的な価値ですし、だから日頃、高い賞金をもらえるわけですから」 <strong>球打ちが上手いだけで高額賞金をもらえると思ったら大間違いですね。</strong> 「おっしゃるとおり(苦笑)」 <h2>「ゴルフ精神」に本質がある</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/06/onishi-1.jpg" alt="「ゴルフ精神」に本質がある" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-44935" /> <strong>意識的にも組織的にもレベルが低い。それはゴルフ界の教育制度に問題があるわけですか?</strong> 「そうですね。これは自分自身の反省も大いにありますが、強いプロを作ることに精力を注いで、ゴルフ精神を教えることを疎かにしてきました。昔、ダンロップのジュニアスクールを開いた時に、スコットランドの指導者を招きましてね、こんなことを言われたんです。 『ミスター・オオニシ、技術指導はわかったけれど、エチケットとマナーはいつ教えるのか?』と。この言葉に赤っ恥をかいた思いがしましてね、なぜなら指導マニュアルにはエチケット・マナーがなかったからです。今もその状況はあまり変わっていないと思います。 残念なのは、2019年のルール改定で、冒頭の『ゴルフ精神』が削除されました。第1章の『エチケット』で示された文章にゴルフの本質があるわけで、非常に残念なことだと思います」 <strong>編集部注 「ゴルフ精神」要約</strong> <strong>(前略)ゴルフゲームは、プレーヤーの一人一人が他のプレーヤーに対して心配りをし、ゴルフ規則を守ってプレーするというその誠実さに頼っている。プレーヤーは皆、どのように競い合っている時でもそのような事と関係なく、礼儀正しさとスポーツマンシップを常に示しながら、洗練されたマナーで立ち振る舞うべきである。これこそがまさに、ゴルフ精神なのである。</strong> <strong>「ゴルフ精神」は美文だし、崇高な精神が謳われている。これを削除したのは、世界的にゴルフ人口が減少する中、精神性に偏り過ぎると敷居が下がらないという判断があったんでしょうか。</strong> 「その点はよくわかりませんが、『ゴルフ精神』の普及はゴルフの活性化を阻害するどころか、正しく普及するために大切な柱だと思っています。ルールを守る、他人に迷惑をかけない、自分のことは自分でする。 以上に加えて、自然が相手であり、ほかの競技のように他人の邪魔をするのではなく、互いに讃え合いながら切磋琢磨するという競技性がありますよね。 ところが日本のゴルフの現実は、上手な人が下手な人をバカにする、見下すという風潮があって、それがプレー人口の広がりを阻害するという現実がある。 『ゴルフ精神』をきちんと理解すれば、活性化にもつながるという一例ですよ」 <h2>ゴルフは「反・孤立主義」にも通じる</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/onishi-hisamitsu.jpg" alt="大西久光" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-54625" /> <strong>ゴルフは人格形成に寄与すると言われますが、ゴルフをしない人からすれば、ゴルフ万能主義というか、ゴルフへの偏愛が鼻につく感じもありますね。「自然が相手」と言うならば、登山のほうが過酷だし、ゴルフは箱庭的な自然になる。</strong> 「登山を愛好する人は、そこで自然への畏怖なり畏敬を感じればいいと思うんですね。わたしが話しているのは、ゴルフの正しい捉え方という意味であって、それが今のコロナ問題にも通じると思えます」 <strong>つまり?</strong> 「つまりコロナは世界的に、これまでの在り方をすべて一度『白紙』にして、根本から考え直すべきという警告だと思うんですよ。トランプ大統領に代表される自国優先主義、あるいはEUの危機的状況もそうですが、世界は孤立主義に走っている。 ところがコロナは全世界が団結して、協力しないと解決できない。人類に対して『連帯して生きる』ことの大切さを強く求めるメッセージだと思うんです」 <strong>なるほど。自分だけ儲かればいいという強欲資本主義は、わずか二千数百人の大金持ちが全人類の半分と同等の富を握る格差を生み出してしまった。貧しい国の4割は満足に手を洗うこともできませんが、それでコロナが拡大すれば豊かな国も滅んでしまう。</strong> 「もう少し身近な例で言うと、ゴルフ場に一人だけマナーが悪い人間がいれば、その他大勢が迷惑するじゃないですか。バンカーは荒れ放題、グリーンは凸凹、全体の進行も滞ってしまう。 要するにゴルフは自分だけがよければいい、自分だけが楽しむということではなく、自分以外の周囲が楽しむことが大事なんです。 これは『3密』を避けることと同じですよね。コロナで外出自粛となっても、自分一人なら飲み歩いても大丈夫だろうと考える者がいる。すると真面目に自粛している人が迷惑を被るどころか、生命の危機に晒されてしまう。それとまったく同じだと思うんですよ。 『ゴルフ精神』には、どのように競い合っている場合でも、相手に配慮し、洗練されたマナーとスポーツマンシップを発揮すると書いてありますが、他人に迷惑をかけないなんて日常生活で当たり前の話じゃないですか。 ですからコロナは、ゴルフの本質を考えるために『白紙』になる時間を与えてくれた。そのように考えて根本から見直せば、コロナが終息したあとにきちんとした価値を創造できると思います」 <strong>この話を冒頭の問題意識につなげれば、プロゴルファーは「ゴルフ精神」の伝道者たれ、と。そこに根本的な価値を置いて、トーナメントの意義を再構築する。そのような世界観を築くべきでしょうね。単に球打ちが上手いだけではなく。</strong>
    (公開)2020年04月14日
    日本ゴルフツアー機構(JGTO)は12月9日、都内のホテルでスポンサーや業界関係者らを集めツアー終了の表彰式を行った。賞金ランキング賞、最優秀選手賞には2年連続で今平周吾が選出され、ほかに「三井住友VISA太平洋マスターズ」でアマチュア優勝を遂げた金谷拓実の特別賞など、計17部門で表彰された。 「ゴルフ日本シリーズ JTカップ」を制し、今季3勝、賞金ランク3位となった石川遼は選手会長として約3分間、メモを持たずに流暢な挨拶で締め括った。 「我々は、ただゴルフが上手いだけではなく、いろいろな責任と役割を担っています。皆さんが喜ぶことが一番大事だし、それが一番の恩返しになる。男子の良さをメディアに取り上げて頂き、強力に発信していきたい」 写真は、記者会見を終えてスポーツ各紙の報道を見る石川。メディアを通じた男子ツアーの発信を重視するだけに、「日本シリーズ」優勝を伝える各紙の大見出しは満足な成果といえそうだ。 とはいえ、選手会長としての2年間は「完全に不完全燃焼でした」と反省する。JGTOの副会長、選手会の会長、さらに目玉プレーヤーとしての活躍が求められる一人三役をこなしたが、満足のいく出来ではなかったという。 72ホールやるべきです <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/12/jgto-party.jpg" alt="72ホールやるべきです" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-60242" /> 表彰式終了後、JGTO青木功会長、賞金王の今平、選手会長の石川が記者会見に登壇、本誌はそこで2つの質問を行った。ひとつは今平と石川に対して「短縮試合」の在り方について。もうひとつは青木会長と石川に「アマに負けたプロが繰り上げ賞金をもらうこと」の不条理について。 今季は米ツアーの「ZOZO選手権」が開催され、豪雨による日程延長と「無観客試合」の併用で72ホールを終わらせている。一方、今平の2勝はいずれも「短縮試合」であり、米ツアーとの違いが浮き彫りになった。温暖化による気候変動が加速する中、このままでは短縮試合の増加が懸念される。 また、「三井住友VISA太平洋マスターズ」ではアマの金谷に敗れたショーン・ノリスが、優勝賞金4000万円の獲得とランキング加算で今平と賞金王を争うなど、スッキリしない展開もあった。これらについて本誌が壇上の三者に尋ねたものだ。以下、質疑応答を再現しよう。 <strong>まずは今平選手、2年連続の賞金王おめでとうございます。その上で、今季2勝(ブリヂストンオープン、ダンロップフェニックス)のいずれもが悪天候による短縮試合でした。今平さんはZOZO選手権にも出場しましたが、こちらは月曜の予備日を使って72ホールを終わらせている。日本の賞金王として、日米の違いをどう受け止めていますか?</strong> 「やはり、大会自体は4日間をプレーして、気持ちよく終えることがいいと思います。日本と海外の試合を同じようにするのは難しいと思いますが、選手の願いとしては、予備日を設けて、4日間やりたい」 <strong>これはシステムの問題なので、今平さんの賞金王にケチをつけるつもりはありませんが、72ホールやるべきだと?</strong> 「そう思います」 <strong>石川選手会長にも同じ質問をします。</strong> 「月曜に予備日を設けて72ホールを目指す(米ツアーの)姿勢は見習うべきだし、日本も月曜に予備日をとってほしいと思っています。72ホールを戦うことで実力がつくし、最後まで最善を尽くす姿勢は大事です。今年の『日本プロ』は日曜日に36ホールやりましたが、本当の予備日として月曜があることが望ましい。 ぼくだけではなく、選手たちの純粋な気持ちとして72ホールを戦って1位を決めたいと思っているはず。特に今後、気候変動が大きくなる中で試合をやることを考えると、72ホールを目指す姿勢を選手間で共有して、現状は厳しいかもしれませんが、どうやって実現するかを考えたいです」 「短縮試合2勝」での賞金王は、今平の胸中に釈然としない思いを残したように見える。土曜日に「無観客試合」となった「ZOZO選手権」では、午前3時半から130人体制で8時間、前日の豪雨による排水処理を行った。第1組のスタートは午前10時。その2~3ホール先を選手と追い駆けっこをするようにメンテナンスする綱渡りだった。 会場はアコーディア・ゴルフの習志野CCということもあり、系列コースからの応援で人海戦術が可能だったとの見方もあるが、少なくとも、72ホールの完走を目指す米ツアーの執念が際立った。「日本シリーズ」の72ホール目で優勝を取り逃がした今平と、プレーオフで決着をつけた石川。最終戦のドラマを見るにつけ、完走の重要性が改めてわかる。 <h2>アマの賞金をジュニア支援に</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/12/jgto-party1.jpg" alt="アマの賞金をジュニア支援に" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-60209" /> 次に、青木会長と石川に、アマ順位の獲得相当額をプロが得ることについて聞いた。青木会長には記者会見の質疑応答で、石川には囲み取材終了後に単独で尋ねた。 <strong>青木会長に伺います。本来、アマ選手が得られたはずの賞金をプロが繰り上げで得ることに、個人的には強い違和感を覚えます。現状を改め、アマ順位相当の賞金をプールして、ジュニア支援に回すことがフェアだと思えるし、子供へのゴルフ支出で家計を圧迫することも緩和できる。如何でしょう?</strong> 「最近のアマは強い選手が多いですが、それでも近年勝ったのは松山や金谷君ぐらいだから、万度(ばんたび)起きているわけではないと思います。それと、スポンサーとの関係もあるのでいろいろな調整も必要になるでしょう。ただ、提案されたジュニアについては検討しており、いずれはそういうふうにしなければと考えている回答を、出せるようにしたいですね」 <strong>「アマ賞金」の使途は検討中でよろしいですね。</strong> 「(頷く)」 石川の回答は以下の内容だった。 <strong>アマの賞金をプロが繰り上げでもらうことについて石川さんはどう考えますか?</strong> 「そうなった過去の経緯を詳しくは知りませんが、今後もアマが勝つ可能性はあると思っています。今のシステムで宙に浮いた4000万円は(ショーン・ノリスが得ても)仕方ないとは思いますが、ぼくもジュニア時代に様々な経験をしているので、ジュニア支援に回すことは基本的に賛成です」 <strong>青木さんはスポンサーとの調整もあると話していますが、何が障害になるのか?</strong> 「というか、説明の仕方によると思うんですね。それが必要だと、具体的なビジョンをスポンサーに示せば、特別な支障はあるのかなって思いますけど。大事なのはビジョンです」 <strong>石川さんは選手会長も務めている。つまり選手の利益代表者です。これまで得られたアマの賞金がなくなると、選手会で反発が起きませんか?</strong> 「そこはゴルフ界にとってどっちがいいのか、が本質だと思うんです。今の選手も大事ですが、ジュニア育成は将来のゴルフ界が発展するためにはとても大事な課題ですよね。その部分はJGTOが先頭に立ってやらなければいけないし、自分もジュニアからやってきたので事情はよくわかります」 <strong>ジュニア支援に回すのは賛成だと。</strong> 「はい、個人的には賛成です」 石川自身、2007年の「マンシングウェア KSBカップ」で高校生V(15歳)を飾っており、父・勝美氏との二人三脚でジュニア時代に苦労を重ねてきた。それだけに、コメントには説得力がある。 将来が期待されるジュニアゴルファーは、競技成績が優秀なほど家計が圧迫される傾向にある。移動や宿泊、プレー料金の合計が「年間500万円」というケースも珍しくなく、逼迫した親が子供にスコア至上主義を植えつけて、スコアを誤魔化す「消しゴム事件」など看過できない問題も指摘される。 日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長は、「それが多くの挫折者を生む」と警鐘を鳴らすが、高額な負担それ自体が青少年のゴルフ参入を阻み、一部の裕福な家庭の子息に限られ、結果、多くの子供が他のスポーツに取られるという悪循環も無視できない。 これを解決する一助として、「アマ基金」なる機関を創設、アマ選手が得られたはずの賞金を総じてここにプールし、ジュニア支援に回すことは有効だろう。その際、世帯の収入証明などを提出して所得が低い家庭への支援を優先すれば、貧富の差による機会均等の損失を緩和できる。 また、プロが照れ笑いを浮かべて受け取る「繰り上げ賞金」は、ゴルフファンに強い違和感を与える。その違和感の正体は「みっともない」という印象に尽き、他のスポーツと比較したプロゴルフ界の甘さを露呈させる。 <h2>不完全燃焼の2年間</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/12/jgto-party5.jpg" alt="不完全燃焼の2年間" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-60243" /> 石川は記者会見の冒頭、2年間務めた選手会長職について「アッという間の2年でした」と振り返り、こう続けた。 「男子の魅力を伝えるには、こちら側の努力がもっと必要だと痛感しましたが、逆に言えばそれだけノビシロがあるということです。ただ、選手会の在り方やその他についても完全に不完全燃焼でした。選手を守りたい気持ちと、その前にファンに喜んでもらうにはどうしたらいいかを常に考えてきた。 27歳と28歳の2年間で、難しいことが沢山あったし、もっと知識が必要だとも思いました。日本のゴルフ界の発展に向けていろんな発信をしていきたい」 JGTOの副会長と選手会の会長を兼務することは、企業において副社長と労働組合の委員長を兼務することに似ている。双方は二律背反の関係だが、その両立に苦しんだ様子が伺える。 温暖化による気候変動は今後、さらに猛威を振るうと予想されるが、それを織り込んで「72ホールを目指したい」という石川のコメントは、「男子ツアーの魅力を高める」ことと通底している。 「渋野さんに倣って世界に羽ばたける男子を育てることが急務」と語る石川。そのためには「アマ賞金」の有効活用と「短縮試合」の解消がカギになりそうだが、同時にJGTOの執行部が長期的なファン目線に立ち、旧弊を打破する自己改革も求められる。
    (公開)2019年12月09日
    日蓮宗の僧侶(逗子・法勝寺住職)にしてゴルフジャーナリスト。三田村昌鳳氏にはふたつの顔がある。その特異な立場から著した代表作が「ブッダに学ぶゴルフの道」。他の記者とは一線を画した目線が持ち味だ。 その観点で「JGTO株式会社構想」を口にする。今年10月、米PGAツアーの「ZOZO選手権」(習志野CC、千葉県)が開催され、これによって国内男子ツアーの不人気に拍車が掛ると懸念されるが、 「PGAツアーの上陸は、国内ツアーを再整備する起爆剤になる。そのためには、JGTOを株式会社にして、上場を目指すぐらいじゃないと」――。 諸事、急進的な三田村語録。今年2月に古希を迎えたが、舌鋒は錆びる気配がない。 (聞き手・片山哲郎) 日本人プロは体力がない <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:いよいよ10月、PGAツアーの「ZOZO選手権」が上陸します。すると、JGTOの試合が貧相に見えるという懸念もある。どうでしょう。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:まあ、日本の選手は身長がないし、松山ら一部の選手を除いては世界で戦えてない。大きな理由は身体能力が低いことですよ。能力が高い人間はプロ野球とサッカーに行きますから、この点は大きいと思いますね。 それと、ゴルフは身体能力プラス頭脳が大事で、ゲーム運びの能力を含めて頭と心が大事です。そのためアメリカの選手はスポーツ心理学的なカウンセリングを受けていますが、日本人にはそのイメージがなくて、社会的な風潮としても、心療内科への通院を躊躇う空気があるじゃないですか。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:ただ、日本でもメンタルケアを取り入れる競技は増えてますが、なぜゴルフは遅れているのか? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:日本のゴルフ界はどっかで止まってるんだよね。少年期にいろんなスポーツをさせて身体能力を伸ばす必要があるのに、それをやらない。人間性も欠落している。 なぜ欠落したかといえば、ゴルフを選択する子供は親がゴルフ好きだったり練習場の息子とか、ほかにライバルが少ないから球を打たせてれば何とかなった。ある種の温室育ちというか、運動能力の高い子と鎬を削る経験も乏しいわけですよ。 それと、心理学や身体面、物理的な話を含めていろんな学問が発達したけど、これを取り入れてこなかった。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:その面でいうと、制度の問題もありますね。ゴルフは親の金銭的負担が大きいわけですが、アマ規定のシバリもきついからほとんど全額負担になってしまう。 これを解決するには、アマがプロの試合でもらえたはずの賞金をアマ基金にプールして、再分配すればいいと思うんですよ。裕福な家庭は外して、親の収入証明をつけるとか。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:それはいいアイデアだね。そもそも昔はアマがプロの試合で活躍すると、アマの順位の賞金はスポンサーが出さなかったわけですよ。 たとえば中部銀次郎さんが2位だったとすると、2位の賞金は出なかった。優勝、3位の賞金で、今みたいに3位のプロが2位の賞金を繰り上げでもらうことはなかったわけです。それで、コワモテのプロ連中が中部さんに『俺らの職場を荒らすな』と凄んだりしてね(苦笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:それでプロがアマの賞金を繰り上げでもらうようになった? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:それはよくわからないけど、いずれにしても今の時代、有望な子供をもつ親の経済的負担を考えれば、アマが得られたはずの賞金をアマ基金をつくって、そこにプールして配分する発想は有効だと思う。アマ資格は個人に対する縛りだから、団体や学校への寄付は問題ありません。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:親は金が続かないから焦って子供を叩く。子供は叩かれたくないからスコアを誤魔化す。いわゆる「消しゴム問題」も、基金があれば解消するかもしれない。アマが勝って2位のプロが優勝賞金をもらうこと自体みっともない話ですが、なぜ、アマ基金設立ぐらいのことができないのか? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そうだねえ。アマ基金をつくるならJGA、PGA、JGTO、LPGAが横連携する必要があるんだけど、縦割りというか、縄張り意識が強すぎて全体的な構想が描けない。それが一番の問題で、時代は確実に変わっているのに、自分達のやり方でいいと思い込んでるわけですよ。 ところが外の世界は激変していて、GAFA(ガーファ=グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の登場に見られるように国家も旧態依然じゃ立ち行かない。ビッグデータの流れで言うと縄張りなんかないですよ。縄張り意識をもってる組織は、世の中から置き去りにされてしまう。 <h2>縄張り意識が諸悪の根源</h2> <img class="aligncenter size-full wp-image-54515" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/mitamura3.jpg" alt="「JGTOを株式会社にして上場せよ」三田村昌鳳氏大いに吠える" width="788" height="525"> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:GAFAの事業規模は中進国のGDPを超えているし、税制面でも国家の縛りが効かなくなっています。強固な思想とインフラでプラットホームを作った企業が、超国家的な力をもつ。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:その流れで日本のゴルフ界を見わたすと、平成も終わるこの時代に昭和初期の人間が頑張ってますよね。ぼくは本来、各種ゴルフ団体をフェデレーション化すればいいと思うんだけど、縄張り意識が強くて組織を守ろうとする。その意識たるや非常に強固なわけですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:社会構造も昭和と平成ではまったく違いますね。昭和は工業社会、平成はサービス産業社会だから、投資構造や労働の概念も変わってくる。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:まず、会社の在り方がまったく違うよね。昭和の会社はおっしゃるように身動きが取りにくいわけですよ、精神的にも構造的にも。その一方で平成の会社は平気で潰したり企業そのものを売り買いする。 つまり昭和と平成では、物事を生産するって発想が根本的に違うのよ。特にIT系の発想は、面白いことをどうやってマネタイズするかでしょ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:特にIT系はパリピ(パーティーピープル)のノリですね。ちょっとした発想を低資本で事業化する、失敗の損失も軽微だから「取り敢えずノリでやっちまえ」と。一方、昭和的なメーカーは土地買って工場建てて、減価償却を計算する。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そう、まったく違うよね。今のゴルフ業界も動画系のサイトとか、新しいモノが少し入り混じってきたけれど、結果的には弾けてない。弾けられない理由はね、5年先の立体感をイメージできないからだとぼくは思う。 <h2>JGTO株式上場構想</h2> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:さっきの質問に戻ります。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:なんだっけ(笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:本場のツアーがやって来てJGTOが貧相に見えないか。それでスポンサーが離れないか? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:というか、ぼくは逆にPGAツアーを日本で年間3試合ぐらいやっていいと思うんだよね。 PGAツアーを三角形の頂点とすれば、その下の階層をどんな仕組みにするのか、さらに海外の試合に向けてどんな階段を作るべきかをイメージできるじゃないですか。過去からの流れで言えば、日本は偉大なるローカルツアーでいいと思う。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:「偉大」って何ですか。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:堂々とやるってことですが、大改革をするならば、違うビジョンが必要だろうね。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:観念的すぎてわかりません。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:だから、JGTOを株式会社にするとかって話ですよ。金を募って事業化して、最終的には上場を目指す。その上場益を選手に還元する、放映権も確立するとかね。 それでキャッシュフローができればサッカーのJヴィレッジじゃないけれど、自前のトーナメントコースが持てるでしょ。トレーニング施設や各種指導者も揃えられるし、ジュニアも利用できるようにする。つまり、抜本的に違う考え方をしなきゃダメって話ですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:それは米国流ですね。PGAは二束三文の土地にトーナメントコースのTPCを作って、さらに周囲を宅地化した。不動産開発で莫大な利益を生み出してます。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そう。株式会社になれば自由な発想で事業ができるし、するとJGTOも有料の専門チャンネルを放映できるようになる。月額900円で年間1万円、視聴者が30万人で30億円でしょ。 これを原資に映像や出版やアプリもできる。という考え方をすると楽しいじゃない(笑)。今は一般社団法人だし、組織的には(プロゴルファーの)同窓会みたいなもんだから非常に脆弱なわけですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:JGTOの体質は石川遼の立場に表れてますね。選手会の会長は労働組合の委員長、JGTOの副会長は企業側の副社長。その二律背反を彼が一身に背負っている。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そうそう(笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:JGTOの運営費は選手が得た賞金のトップオフ(賞金の3%を機構に運営費として上納)と年会費等で賄われる。選手会はJGTOに理事を入れて、場合によっては会長を罷免できる。機構と選手会はどっちが強いんですか。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:それは、どうだろうねえ(苦笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:選手の年金は? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:ないない。だから株式会社にすれば社会保障も整備できるし、利益が出れば配当もできる。アメリカのPGAツアーは活躍すれば年金が数十億円になるけれど、査定は優勝を含むポイントのほかにメディアへの露出度も加算される。 これをビッグデータに放り込めば、かなり細かく査定できるだろうね。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:JGTOもそうすべき、だから株式会社にするべきだと。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:すべきというか、オレだったらそうしたいと。だって、JGTOのコンテンツはかなり強いわけですよ。選手がいて試合を主管する権利もある。その上で5年、10年先の夢を描ければ、さらにGAFAみたいなところと連携できればね、もの凄い青写真が描けるじゃない。 そのための道筋としては、まず、スポンサーを用意する必要がある。ソフトバンクの孫さん、ユニクロの柳井さん、楽天の三木谷さんとか・・。よくわからないけど10億20億は集める必要があるだろうし、集めるには魅力的な事業計画が必要になる。 <h2>JGTOはF3000</h2> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:事業計画は内部の発想じゃ無理でしょうね。改革は自己否定を伴うし、今の生活を考えればどうしても守勢に回るのが人情だから。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そうですね。ただ、昭和からのスポーツ団体は総じて自分だけでやろうとするけど、GAFAみたいな在り方が主流の現代では他の組織との連携が不可欠ですよ。 PGAツアーは北米以外の放映権をディスカバリーに高値(推定12年契約2200億円)で売ったし、要するに抱え込む発想じゃなくて連携して広げるのが大事なんだけど、業界的発想のひとは外側で何が起きてるかわからないから、今の組織、今の人員、今の発想でどうにかしようと思ってる。それは無理です。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:改革のために第三者委員会を設けて、ドラスティックな青写真を描く? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:第三者委員会というか、株式会社設立準備委員会だろうね。そこにはIT系、例えばグーグルの人間やゴルフに関係ないクリエーターに入ってもらって。 それと、少なくとも選手会の200名程度は社員持ち株会のメンバーになればいい。トップオフは取られるばかりで選手へのリターンがない。その分を株券でもらえば納得できるし、事業が軌道に乗ってくればトップオフを運営費に充てる必要もない。選手は株主であり商品という意識を持たせて、業績が悪い社長はクビにする。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:で、先ほどの話ですが、PGAツアーが来襲すると国内ツアーのスポンサーは撤退する? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:ぼくは、それはないと思う。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:その根拠は何ですか。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:日本だから、まずないと。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:三田村さんは楽観主義者? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:いやいや(苦笑)。黒船も最初はガタガタしたし、明治維新も紛糾したけれど、結局、日本人には対応能力があるじゃない。だから日本ツアーも対応していくと思うんです。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:ですから根拠は? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:今のJGTOは脆弱だけど、マズイと思って動くでしょ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:誰がですか、青木さん? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:だから今の人間じゃダメですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:今のじゃダメって、PGAツアーが来るのは秋ですよ。黒船の来襲まで時間がない。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そのことを含めて、流れに押される部分があるわけでね。会長の青木さんが動くとか能動的な変化じゃなくて、もっと受動的な変化ですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:なんかわからない。何ですか? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:だからさっきも言ったけど、オレはPGAツアーが日本で3試合ぐらいになればいい、そうなるとこれはF1だと。すると、その下にF3000があるように階層が明快になってくる。 PGAツアーの下にJGTOのレギュラーツアーがあって、その下に1県1大会を賞金5000万円ぐらいで作れば、総コスト1億円のトーナメントになる。これぐらいなら地産地消型で行けると思うし、さらにその下にAbemaTVツアーやQTが連なってくるじゃない。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:それでヒエラルキーが出来上がる。地産地消の1億円大会の場合、地元企業が1社200万円×50社で成立するし。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そう。つまりZOZOが来ることの本質的な意味は、三角形の頂点が見えるわけだから、これを基点にその下を整備できるところにある。それぞれの階層についてはね、勝負の世界だから格差はあって当然です。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:なるほど、組織の内側で鳩首会議をゴチャゴチャやるより、「外圧」の方が効果的だと。受動的変化というのはその意味ですね。換言すれば、積極的受容というか。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:それをさっきから言ってるわけ(苦笑)。現状の発想じゃ意味ないし、ゴルフを媒介にしたコンテンツならeスポーツも面白いでしょ。それぐらいの発想をしなきゃダメですよ。 <h2>eスポーツとの連動も!</h2> <img class="aligncenter size-full wp-image-54514" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/mitamura2.jpg" alt="「JGTOを株式会社にして上場せよ」三田村昌鳳氏大いに吠える" width="788" height="525"> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:実は、そこは一番ホットな話題ですね。今秋の茨城国体が初めてeスポーツ(サッカー)に踏み切ります。Jリーグとコナミが主導して。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そう、アレはかなり大きな話だよね。eスポーツのサッカーはアジア大会もやっているし、格闘技系のゲームは賞金数億円の大会もやっていて。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:特に韓国の熱が凄いですね。引きこもりでゲームやってた子供に「学校行けッ」て叱ってた親が、プロゲーマーになって賞金を稼ぐと「もっとゲームをしなさい」って(笑) <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そう、韓国の熱は凄いよね。で、面白いのは一昨年の日本アマに勝った大澤和也で、彼がゴルフを始めたきっかけは『みんゴル』なんだってね。親はゴルフをしてなくて、彼いわく「ですからボク、『みんゴル』めっちゃ上手いですよ」って(笑) もう、そういう時代なんですよ。彼はこれまでとは違うゴルファーの誕生の仕方だし、GAFAと連携するぐらいの発想をもたないと、時代の変化についていけない。もうね、業界の発想じゃ無理なんですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:ゴルフをもっと観念的なコンテンツとして捉える必要もありますね。石川遼が「みんゴル選手権」に参加したり、賞金も出せばeスポーツとの接点ができる。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:eスポーツはアマチュア資格も関係ないしね(笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:そういった動きを各所で進めれば、何かの化学反応が起きるはずで、その連続性が「新しいゴルフ」を生み出していく。「レジャー白書」はゴルフ産業をコース、用品、練習場からしか見てませんが、むしろ外周円の外が活発です。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:そう。要するに、ゴルフじゃないから俺達に関係ないと思うこと自体がダメなんで、どうやったらGAFAと連携できるのか、彼らに魅力的だと思ってもらえるのか、そこの発想力なんですよ。 JGTOは選手の肖像権とトーナメントを主管する権利を握ってるから、ほかは絶対に真似できない。そこに圧倒的なアドバンテージがあるわけだから、この資産をどうやって効果的に広げられるか。今後の大きな課題でしょう。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;">片山</span>:それを三田村さんが取り仕切る? <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;">三田村</span>:オレはもう70だから、20~30代に振らなきゃダメですよ。平成が終わるこの時代に、昭和の人間じゃ話になりません(笑)。 <strong>合わせて読みたい</strong>
    (公開)2019年03月05日
    片山晋呉が日本ゴルフツアー選手権のプロアマ大会で起こした問題が、世間を賑わせている。SNS上では真偽入り乱れた情報が飛び交っており、片山バッシングに拍車が掛る。 日本ゴルフツアー機構(JGTO)は6月6日、報道関係者向けに簡単な経緯と謝罪文を配信し、その翌日、JGTOの副会長で選手会長の石川遼が、以下の謝罪文を配信した。 <blockquote> 今回のプロアマで起きてしまった件に関しまして、不愉快な思いをされたプロアマのお客様をはじめ、スポンサーや関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけし、またファンの皆様にもご心配をおかけしましたことをジャパンゴルフツアー選手会として深くお詫び申し上げます。 </blockquote> 続けて、ツアー改革に着手した矢先の出来事だけに「遺憾であり、とても残念でなりません」と苦衷を明かしている。文面に、片山への批難を込めた印象もあるが、ツアー改革に挑む石川にすれば怒り心頭となるのも頷ける。 とはいえ、事実確認が終わる前の「公式謝罪」は様々な波紋を広げそうだ。片山のファンサービスに対する姿勢は以前から疑問視されており、もっと言えば評判が悪い。しかし、傷害を伴う日大の「暴走タックル」とは異なり「不愉快な思い」が発端だ。 2日続きの公式謝罪は、果たしてそれだけの大罪を片山が犯したのか?  仮に数試合の出場停止を含む重い処分が下されたら、選手会の紛糾を招きかねないなど、波乱含みの様相なのだ。 「早すぎる」公式謝罪の背景には、スポンサー企業(森ビル)への配慮があった。 トーナメントの開催には冠スポンサーが必要であり、長期低迷にあえぐJGTOは、スポンサーへの営業で「プロアマ」を売り物にしている。プロアマの参加者は主催企業の得意先が招かれるなど「接待効果」を期待するため、「不愉快な思い」はご法度だ。JGTOのトーナメント規程(36条)には、 <blockquote> プロアマトーナメントに出場する同伴アマチュアに不適切な対応をしたり、不快感を与えるような態度をする行為 </blockquote> を違反とし、初回は30万円の罰金、3回目以降は懲戒及び100万円など段階的に重くしている。 むろん、これ自体は選手の意識向上を図る上で必要だろうが、今回の片山のケースでは同伴アマが途中でプレーをやめ、帰ってしまったことから騒ぎが大きくなった。JGTOは6月末に詳細を公表する予定だが、急いで謝罪文を出したことが事態を複雑にした面は否めない。スポンサーへの配慮から自発的に行ったもので、日本のツアーが如何にスポンサーに依存しているかを改めて白日に晒した格好だ。 そもそも、男子ツアーはどのような成り立ちになっているのだろうか? ツアーを統括するJGTOの収支構造を見ることで、まずはこの点を明らかにしたい。   海老沢前会長が話したこと GEWは2014年4月号で、当時JGTOの会長だった海老沢勝二氏の取材記事を掲載している。4年前のインタビューだが、組織構造と規模感は現在と変わらないため参考になるだろう。なお、2018年度事業計画の最新数字をカッコ内に付記している。 <strong>JGTOの成立基盤を確認します。2013年度の収支予算を見ると、「受取会費」が1億2000万円ほどありますが、具体的にはどのような中身になっていますか。</strong> 「我々は選手が得た賞金の4%(現3%)をトップオフとして預かっており、試合会場に派遣するフィットネスカーの管理や選手会の事務局運営費もここから出しています。そのトップオフと正会員の年会費1万円を合わせて、1億2000万円(9000万円)ほどあるということですね」 <strong>JGTO全体の規模感はどうなります?</strong> 「そうですねえ、全体の賞金総額は33億5000万円(35億500万円)ほどですが、賞金は選手にいきますので機構の収益には入りません。チャレンジツアー15試合(現AbemaTVツアー12試合)と合わせて賞金総額は35億円(36億8800万円)ほどになります。で、これ以外にQTへの参加費や放映権料など、大会関連の収益もあるんですね。 全体の事業規模という意味では、我々の収益に賞金総額を合わせて49億円ぐらいかな。以上がJGTO全体の規模感です」 <strong>つまりJGTOは50億円規模の事業を運営していて、その4分の1程度が収益というイメージですね。経費面はどうですか。</strong> 「職員35名分の給料もありますが、一番掛かるのは競技の運営管理費です。海外と国内の全試合に競技委員を派遣するため、かなりの出費になるわけですよ。ただし、剰余金は4億数千万円(5億円)残っておりましてね、赤字になったこともなく、健全経営です。不景気が来ても大丈夫、ご安心ください(笑)」 <strong>JGTOの運営費は、選手の稼ぎに頼る部分が多いわけですが、機構と選手会、どちらの立場が上なんですか。</strong> 「それは、なかなか難しくてねえ。親子関係みたいなもんだけど、我々の人事権は向こうがもっています(笑)」 <strong>すると、会長が選手に罷免されることもある?</strong> 「そういうこと(大笑)。まあ、どっちが上ということじゃありません」 以上が記事の抜粋である。   <h2>男女ツアーの逆転現象</h2> 今季25試合の男子ツアーは、ピークの1982年に46試合を開催していた。バブル景気が頂点に向かう90年が44試合など、安定的に40試合台をキープした。それに比べればほぼ半減だから、凋落傾向が否めない。 賞金総額は約35億円で、1試合当たりの平均は1億4000万円。一方、今季38試合の女子ツアーは総額37億円を超え、6年連続で過去最高を更新中だが、1試合当たりの賞金は9800万円と男子に比べ3割ほど安くなっている。 賞金を含めたトーナメントの開催コストは、賞金額の4倍程度を概算とするのが一般的だ。すると、スポンサー企業の出費は女子で4億円弱、男子で5億5000万円超となる。女子は3日間、男子は4日間競技と拘束日数が異なるため、それがコストに反映される面もある。 スポンサー企業はその経費を販促・接待や宣伝費等で計上するが、仮にその企業の利益率を10%とした場合、5億5000万円のトーナメント費用を捻出するには55億円の売上が必要という見方もできる。企業がこれに見合う効果を期待するのは当然のことで、費用対効果を考えれば低コストの女子ツアーに人気が集まるのも頷ける。 その女子ツアーは、スポーツ興行として特殊なコンテンツといえるだろう。一時は不人気にあえいでいたが、2003年に宮里藍が女子高生V(ミヤギテレビ杯ダンロップ女子)を遂げ、プロ転向した翌年の初戦で地元優勝(ダイキンオーキッドレディス、沖縄県)を飾るなど、一躍時代の寵児となっている。 これによりテレビ視聴率が上昇し、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)はプロアマ施策に注力する。参加プロは同伴競技者へのラウンドレッスンだけではなく、前夜祭やプロアマの表彰式で招待客の歓心を得るため、化粧や接遇・テーブルマナーに「ビールの注ぎ方」まで指導され「接待スキル」に磨きを掛けた。 純粋に、プロスポーツの在り方としてどうなのかという議論は別にして、ゴルフを媒介にした総合的な「社用興行」として地歩を固めているため、男子ツアーが「目指せLPGA」となるのも当然だろう。 <h2>プロアマの決め方</h2> トーナメントの数だけプロアマがある。今季は男女合わせて63試合が運営されるため、プロアマも63回ということになる。1回につき40組が定番で、スポンサー企業が40名のプロを選ぶ。プロアマに参加する招待客は、主催企業の重役や得意先、中継するテレビ局の関係者、試合会場となるゴルフ場関係者などに大別される。 プロとアマの組み合わせは前夜祭での「抽選」で決まるケースが大半だが、今回のツアー選手権ではアマがプロを指名する形で組み合わせが決まっている。 片山が関わった「プロアマ問題」では、トーナメント運営会社が招待客とプロの「相性」を事前に調べ、問題が起きにくい組み合わせをするべきだったとの指摘もある。 プロアマの招待客は「選ばれた存在」ではあるものの、すべてが一流の企業人というわけではない。たとえば「ゴルフ場枠」ではそのコースを代表する「強いアマ」が選出されることもある。プロアマの競技方法はベストボールによるチーム戦が一般的だが、「腕自慢」のアマがプロと張り合って、和気藹々のムードが壊れることもあるという。 プロゴルファーは「我」が強い。そのような男子プロと120名ほどの多様な招待客が一日を過ごすプロアマだが、翌日に本戦を控えるプロの一部が「余計な接待などしたくない」と思っても不思議ではなく、同伴アマの性格によっては「不適切な対応」が怒りに発展する場合もあろう。 途中で帰ったケースは今回が初めてということだが、そう考えるとプロアマは、常にクレームと背中合わせという面がある。 以上、男子ツアーの現状とプロアマの位置づけを見てきたが、「片山問題」では図らずも男子ツアーのアキレス腱が露呈した格好だ。プロスポーツ本来の収入源である入場料や放映権料ではなく、ゴルフはスポンサーへの依存度が極めて高い。 JGTOが「プロアマ需要」の掘り起こしに邁進するほど、さらに依存度は高まってしまい、綻びを露呈する可能性も高くなる。その一端が、「早すぎる」謝罪文の発表にも表れている。   <h2>「片山問題」が投げ掛けるモノ</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/06/shingo1.jpg" alt="片山晋呉の「プロアマ問題」 その本質を考える" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-44815" /> JGTOは6日、コトの詳細が明らかになる前に「謝罪文」を配信した。「日大広報部」の問題に触発されて迅速な対応を心掛けた面もあるだろうが、プロアマを重視するあまり、事実確認の前に謝罪するという「前のめり」の対応になった次第。 今回のケースを巡っては、片山を槍玉に挙げて溜飲を下げるネット社会特有のバッシングが賑やかだが、プロスポーツは人気稼業であるだけに、単なる流言飛語では片付けられない。その対応を含め、JGTOには解決すべき課題が多い。 どのような招待客が来たとしても、プロは一律、高いホスピタリティで同伴競技者を満足させる必要があるなら、教育制度の充実が不可欠だ。また、「不愉快に思わせる態度」が処罰対象になるならば、その行為を細かく規定することも必要だろう。セクハラを巡る議論と似ており、極論すれば、プロアマの全40組にビデオ撮影のスタッフをつけて、証拠映像を残す必要があるかもしれない。 コトは「処罰」を伴うだけに、罰せられる側の納得度も無視できない。これを怠ると「選手会」の離反を招きかねず、逸早く謝罪した石川選手会長がハシゴを外される可能性も否めないのだ。 同時に、過度な「スポンサー依存」を見直すべきとの声も高まっている。プロスポーツとしての魅力を高め、プロ野球やJリーグと同様、入場料と放映権料で運営を賄うべきとの主張である。正論だが、ここにもいくつかの課題がある。 ゴルフの場合は試合会場が遠隔地にあるため、アクセス面で大きなハンディを負っている。また、テレビ視聴率を高めるには見応えのある映像作りが欠かせないが、これには中継カメラの台数やスタッフの増員などコストアップを覚悟しなければならない。ひとつのボールをスタジアム内で追う野球やサッカーなどと比べ、ゴルフの特殊性を指摘する声は多いのだ。 また、世界基準の強い選手を輩出すればツアーは盛り上がるという「そもそも論」にしても、日本のゴルフ界には是正すべき課題がいくつもあり、そのひとつが「ゴルフ振興金」の在り方だ。 県単位のゴルフ連盟は、「県の選手強化」等を名目に、ゴルフ場来場者から1人数十円の「振興金」を徴収している。日本ゴルフ場経営者協会の調べによれば、都道府県の7割ほどがこの制度を導入しており、その総額は年間8億~13億円と推計される。10年間で100億円規模という莫大なものだ。 しかし、県連の大半は任意団体なため、多くはその使途を公表していない。霧消している可能性もあるのだが、これを一元化して強化費に充てればどれだけのことができるのか? 少年期に体験する機会が少ないゴルフは、その参入障壁の高さゆえに優れたアスリートが入りにくい。 その結果、練習場経営者や富裕層の子どもなど「人材」は限定的になる。この中で好成績を収めた者は「エリートジュニア」と呼称され、名門倶楽部にも出入りする。タニマチ気分の会員が昼食に「鰻重」をご馳走するなど、少年野球やサッカーではありえない光景だ。そのような環境が「上手ければ偉い」という土壌を生み、スコア至上主義による改ざん問題も散見される。   <h2>「賞金王」の時代遅れ</h2> 今回の「プロアマ問題」は、単に片山が「やらかした」という話ではなく、プロツアーの在り方や日本のゴルフ界そのものを見直すきっかけにすべきだろう。過度なスポンサー依存からの脱皮は、多くの難問を抱えており、これをやれば解決するという単純な構造にはなっていない。 しかし、本質的な部分ではすぐにできることもある。それは、本気で「ファン目線」に立つことであり、時代遅れともいえる「拝金主義」的な在り方を一新することも必要だろう。 国内男女ツアーは毎試合、表彰式で高額な賞金をプリントしたボードを手渡している。それを受け取る優勝者は誇らしげに「金額」を掲げ、副賞の高級外車や地元産品1年分など、贅沢な贈り物がわたされる。パー3ではホールインワンで100万円、過去数年達成者がいない場合は累計数百万円など、諸事、銭金の色を漂わせる。 ゴルファーである壮年の視聴者は、日々懸命に働きながらもそれだけの収入を得られない者が大半だ。あの表彰式の光景を、どのような心情で眺めているのだろうか。 賞金ランクも同様だ。成績を金銭で評価して、「皆さんのお陰で賞金王になれました」と本人は感涙する。六本木あたりの高級レストランで近親者に囲まれ、「祝・賞金王」の宴をSNSなどで配信する。 誰がいくら稼ごうと、そんなことは「ファン」の知ったことではない。ゴルフ界特有の拝金的な嫌らしさが、随所に垣間見えるのだ。 評価をポイント制に切り替えれば、簡単に片付く話だが、なぜかそれをやろうとしない。その一点をもってしても、ファン目線の欠落が如実に表れているのである。 ファンがいるからスポンサーがつく。そしてファンは、様々なジャンルのスポーツヒーローを目の当たりにしている。 メジャーリーガーの大谷翔平(23歳)は、凄味のあるプレーと「爽やかなスマイル」で人気だが、あと数年待てば多額な契約金を得られるにも関わらず、それを蹴って「最低保障金」(2億6000万円)で渡米した。25歳未満の外国人選手に課せられる上限規制等が理由だが、金銭的な価値を歯牙にもかけず、夢と理想を優先した。ファンはそのことを知っているから、あの笑顔に魅了される。 退潮傾向の国内ツアーで、賞金プレートを誇らしげに掲げるプロゴルファー。両者は雲泥の差といえるだろう。 ファンは鈍感ではない。まして、人生で様々な経験を積んだ壮年が視聴層の大半を占めるゴルフの場合、小手先のファンサービスなどには騙されない。 ファンを心底感動させ、応援してもらうのは至難の業だが、それを真剣にやらなければ今回のような問題は何度も起きる。そしてその都度、平身低頭することになる。 <a href="https://www.gew.co.jp/tag/%E7%89%87%E5%B1%B1%E6%99%8B%E5%91%89%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%9E%E5%95%8F%E9%A1%8C">片山晋呉プロアマ問題関連の記事はこちら</a>
    (公開)2018年06月13日
    日本ゴルフツアー機構(JGTO)は6日、報道関係者向けに1枚のプレスリリースを配信した。5月30日に行われた「日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」(宍戸ヒルズCC、茨城県)のプロアマ大会で、片山晋呉が同伴競技者に「不愉快な思い」をさせ、「プレーの続行を断念」したという内容だ。平たく言えば、片山の態度が悪くて同伴アマがプレーをやめた、という顛末である。一体、何が起きたのか? 「関係者に聴取中なので、今の段階で詳しいことは申し上げられません」 広報担当の田中謙治氏はそう前置きして、次のように続ける。 「片山プロへの聴取は終えてますが、プロアマの参加者とキャディ、あるいは調査の過程でほかの人の話を聞く必要があるかもしれません。より正確な情報をつかむために今後2週間ほど時間をかけ、まとまった段階で公表するつもりです」 憔悴しきった声でそう話す。 「不愉快な思い」は主観だから、双方に齟齬を来たす場合が多い。が、田中氏の憔悴は頷けることだ。JGTOは今季、石川遼を副会長に据えてトーナメント改革に乗り出しており、重要施策のひとつに「プロアマ改革」を掲げるからだ。 ゴルフトーナメントはスポンサーがつかないと成立しない。そのため男子ツアーは企業へのスポンサー営業に懸命で、その際、主催企業が得意先を招いてプロと一緒にラウンドする「プロアマ」が売り物になる。いわば接待目的で、企業が冠スポンサーになるのは「接待と宣伝」が大きなメリット。 一方、女子ツアーの隆盛は「プロアマ需要」を上手く取り込んだ面もあり、日本女子プロゴルフ協会は選手に接遇マナーを徹底教育、前夜祭での「ビールの注ぎ方」までレクチャーする熱の入れようだ。これに触発されたJGTOも、プロアマの充実に本腰を入れはじめたが、その矢先、今回の事態が発生した。ツアー選手権はJGTOの看板大会であり、スポンサーは森ビル。そんなわけでリリースでは、 =(前略)森ビル株式会社様をはじめ関係者の皆様方に、この場を借りて深くお詫び申し上げます= と、平身低頭なのである。 コトは、一人のプロの「不始末」にとどまらない。2期目の青木体制は「プロアマ改革」による営業強化で来季以降の試合数を増やし、その収益を若手育成につなげるなど体質強化を図る狙い。今年3月、再選された青木会長は記者発表で、 「スポンサーの評価が高まる施策を1、2年の内に作りたい」 と抱負を語り、同席した石川副会長も、 「なぜ低迷しているのかを検証することが大事です。プロアマの新しい在り方を含め、できることは何でもやっていきたい」 実際、様々なファンサービスを導入して好評なだけに、今回の問題は痛恨事。このような悪評が広がるとスポンサー営業に支障を来たし、選手・関係者の生活を脅かしかねない。ゴルフ界のイメージダウンも懸念される。 制裁委員長は青木会長 配信された報道資料には、以下の記述がある。 =幣機構は、選手が守るべき準則として「プロアマトーナメントの重要性に鑑み、プロアマトーナメントに出場する同伴アマチュアに不適切な対応をしたり、不快感を与えるような態度をしてはならないこと」を明記し、その違反を懲戒・制裁事由の1つと定めておりますので、今回の件は極めて深刻であると受け止めております。= 広報担当の田中氏によれば、今後2週間を目処に経緯の詳細と片山への処分の要否を決めるというが、これを決定するのがJGTO内の懲戒・制裁委員会で、委員長は青木会長が兼務している。 「もっとも重い処分は除名ですが、プロアマ関連で過去にこの処分を受けた者はおりません。厳重注意か、その他の罰則になるのかは、外部弁護士からなる調査委員会を設け、その報告内容によって決まるでしょう」 とはいえ、事態は少々複雑だ。JGTOの運営原資は会員の年会費(1万円)と選手が得た賞金の3%(昨年実績)をトップオフとして充てるなど、「選手の稼ぎ」に支えられる部分が大きい。その現役プロをまとめるのが「選手会」で、石川が選手会長を兼務しながら「選手会理事会」を運営する。そこでの話し合いがJGTOの理事会に反映されるため、選手の声は無視できない。 ツアー31勝の片山は、史上7人目の永久シード保持者であり、「実績主義」が幅を利かす組織では軽視できない存在だ。そういった諸々の事情を含め、2期目の青木体制は早くも不安材料を抱え込んだ。 <h2>「日大広報部」が反面教師</h2> それにしても、詳細が決まる前の今回の発表は異例の早業といえるだろう。片山のどのような行為が「招待客」の逆鱗に触れたかは現段階で不明だが、上記のリリース文を読むにつけ、看過できない事態であったと察せられる。さらにいえば、「日大広報部」の対応のまずさが反面教師となり、素早く踏み切ったと思えるフシもある。 「本来は調査を終えてからリリースすべきかもしれませんが、そのようなこと(日大広報部の対応)を含め、青木会長はプロアマ重視を掲げていることもあり、早めのアナウンスとなったのです。我々としてはマイナス要素ですけれど、出したくない情報でもきちんと出していく。ちゃんとやらなければ、ということです」 2週間後、経緯の詳細と処分内容が公表され、概ね1ヶ月以内に再発防止策を講じるというJGTO。処分が甘ければ拍子抜けとなり、厳しすぎれば選手会の反発を招く。双方の要職を務める石川にとっても、難しい舵取りを迫られそうだ。 <a href="https://www.gew.co.jp/tag/%E7%89%87%E5%B1%B1%E6%99%8B%E5%91%89%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%9E%E5%95%8F%E9%A1%8C">片山晋呉プロアマ問題関連の記事はこちら</a> 【合わせて読みたい】 <a href="https://www.gew.co.jp/column/g_39649" target="_blank">Abemaがチャレンジ完全生放送で「わかりにくいゴルフ中継」に一石</a> <a href="https://www.gew.co.jp/column/g_40730" target="_blank">AbemaTVツアーはノーキャディの「担ぎ」でやってほしい</a> <a href="https://www.gew.co.jp/column/g_43509" target="_blank">「石川遼」はどのように育ったのか? 父親・勝美氏が語る教育論</a>
    (公開)2018年06月06日
    一般社団法人 日本ゴルフツアー機構はこのたび、下記の通り役員の選任を発表した。 ●理事 ・会長(プロゴルファー) 青木  功 ・副会長(GTPA/日本ゴルフトーナメント振興協会 専務理事) 蛇草 真人 ・副会長(ジャパンゴルフツアー選手会会長・新任) 石川  遼 ・常務理事(事務局長兼務/㈱マーク・コーポレーション 特別顧問) 佐々木孝悦 ・理事(ゴルフ緑化促進会 理事長) 大西 久光 ・理事(前吉本興業㈱ 代表取締役副社長) 橋爪 健康 ・理事(GTPA/㈱フジテレビジョン常務・新任 稲木氏後任) 大多  亮 ・理事(GTPA/日本ゴルフトーナメント振興協会 主催者会議議長・㈱CBCテレビ 中日クラウンズシニアアドバイザー) 川合 敏久 ・理事(JGA/日本ゴルフ協会 副会長) 永田 圭司 ・理事(PGA/日本プロゴルフ協会 管理・統括本部本部長) 立木 範明 ・理事(ジャパンゴルフツアー選手会 副会長・新任) 深堀圭一郎 ・理事(ジャパンゴルフツアー選手会 副会長) 薗田 峻輔 ・理事(㈱日本経済新聞社 参与) 杉田 亮穀 ・理事(中央大学法科大学院 教授 森・濱田松本法律事務所 弁護士) 野村 修也 ・理事(プロゴルファー) 渡辺  司 ・理事(プロゴルファー) 佐藤 信人 ・理事(プロゴルファー) 田島 創志 ・理事(㈱ヒザビジョン 相談役・新任) 宇治 重喜 ・理事(㈱青木功ゴルフ企画・新任) 村田 一治 ●監事 ・監事(早稲田大学法科大学院教授・東京大学名誉教授 長島・大野・常松法律事務所 弁護士) 道垣内正人 ・監事(日本公認会計士協会 相談役 公認会計士) 森  公高 ●その他 ・名誉会長 海老沢勝二 ・特別顧問 尾崎 将司 ・相談役 中嶋 常幸 ・相談役 丸山 茂樹 ・顧問 小泉  直
    (公開)2018年03月21日
    ゴルフ界の低迷が続いて久しいが、その要因について俯瞰的に語れる人物は少ない。大西久光氏は例外的で、メーカー、ゴルフ場、トーナメント界の温故知新を細部にわたって熟知している。<br /> 男子ツアーの再活性化案、用具開発の規制強化に走るR&amp;AとJGAを鋭く叱り、自身の考えを披露する。 PART2では、コースごとの特色を見出せないゴルフ場の現状と改善策について語った。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/OGwyc1vdjfc" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
    (公開)2017年03月17日
    ゴルフ界の低迷が続いて久しいが、その要因について俯瞰的に語れる人物は少ない。大西久光氏は例外的で、メーカー、ゴルフ場、トーナメント界の温故知新を細部にわたって熟知している。<br /> 男子ツアーの再活性化案、用具開発の規制強化に走るR&amp;AとJGAを鋭く叱り、自身の考えを披露する。 PART1では、JGTOが抱える問題点や若いプロゴルファーが活躍しやすくなるための改革案。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/paS22jkLLdw" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
    (公開)2017年03月17日
    昨日ダンロップスポーツが発表した通り、新たなトーナメントとして「ダンロップ・スリクソン福島オープン」(7月31日~8月3日、グランディ那須白河ゴルフクラブ)が追加される。同大会は単年契約ながら今後、トーナメント開催のモデルケースとなれるかが注目される重要な試合という位置づけで、JGTOも主催に加わったという。 最も注目すべきは賞金総額5000万円という点。14年度のトーナメントとしては最少額。当然ながらその他の経費も削り、総事業費用のスリム化を図っていく。ダンロップスポーツ広報部の山田照郷部長によると、 「ゴルフの普及と活性化を目的とした『+G(プラス!ゴルフ)プロジェクト』の一貫としての開催となります。通常、賞金総額の3倍以上かかると言われている費用を2倍から3倍の間(1億~1億5000万円)に抑えたいと考えています」――。 これが成功すれば、今後同様のトーナメントを各地で開催しやすくなるというわけだ。 また、現在男子ツアーが開催されていない地域でトーナメントを開催することにより、ゴルフを活性化させたいという狙いもある。JGTOの山中博史専務理事(写真)は会見の中で、次のようにコメントしている。 「選手のプレーを間近で観ることで、その地域でもツアーを盛り上げていただき、今後の試合数増加へつなげていきたいと考えています。そのため、いきなりレギュラーツアーと言わずに、(下部の)チャレンジツアーからでも主催していただけるような環境づくりを目指したい」――。 試合数減が話題になっている男子ツアーにとっては朗報。これに追随する企業が現れてくれれば、JGTOとしては万々歳か?
    (公開)2014年02月13日
    JGTOの海老沢勝二会長は冒頭の挨拶の中で、13年度のシーズンを振り返り、感謝の気持ちを述べた。 「新人として4勝を挙げ、賞金王に輝くなど、松山選手の活躍が目立った1年だったと思います。海外でも活躍してくれて、ほかのプレーヤーにとっても、刺激となったと思います」――。 また、その後の表彰式では最優秀選手賞を始めとする、18部門の表彰が行われた。中でも注目されたのは、半数を占める9冠を達成した松山英樹プロ。受賞時には次のようにコメントしている。 「1年目からこんなに多くの賞をもらい、嬉しいです。来年はアメリカに行きますが、アメリカでもこれぐらい賞をもらえるように頑張ります」――。 その後の記者会見では、賞金王の実感は沸かないとしながらも、アメリカで早い段階でシードを獲得し、日本での試合にも参戦したい意向を明らかにした。 男子トーナメントにおいて、試合数の減少という課題があるものの、明るい話題を提供できる1日となった。 なお、各賞の受賞者は以下の通り。 ・最優秀選手賞/松山英樹 ・賞金ランキング賞/松山英樹 ・Unisys ポイントランキング賞/松山英樹 ・最優秀新人賞 島田トロフィ/松山英樹 ・チャレンジ賞金ランキング賞/K・T・ゴン ・平均ストローク賞/松山英樹 ・平均パット賞/谷原秀人 ・パーキープ率賞/松山英樹 ・パーオン率賞/梁津萬 ・バーディ率賞/松山英樹 ・イーグル率賞/黄重坤 ・ドライビングディスタンス賞/ブレンダン・ジョーンズ ・フェアウェイキープ率賞/川村昌弘 ・サンドセーブ率賞/松山英樹 ・トータルドライビング賞/黄重坤、甲斐慎太郎 ・ゴルフ記者賞/松山英樹 ・Most Impressive Player 賞/石川遼 ・特別賞/尾崎将司(ツアートーナメント初のエージシュートを達成)
    (公開)2013年12月09日
      これを受け、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の海老沢勝二会長は次のとおりコメントを発表。   「松山英樹選手はアマチュア時代の2011年に、三井住友VISA太平洋マスターズで優勝し、米国マスターズではローアマチュアに輝くなど、石川遼選手と共に将来の日本のゴルフ界を背負う逸材として期待されており、今回のプロ転向を祝福いたします。   学業をかねての参戦となるが、プロの道は厳しいものがあり、一層心技体に磨きをかけると共に、マナーやエチケットに気を使い、今まで以上に社会に貢献してほしい。   当面は、3年後の2016年のリオ・オリンピックに向けて精進し、ナンバーワンを目指してください」――。   松山選手はR&Aが発表している世界アマチュアゴルフランキングで1位を獲得したこともあるビッグプレーヤー。世界でも戦える日本人プロプレーヤーの誕生に、ゴルフ業界活性への期待も高まる。
    (公開)2013年04月02日
      昨晩(1月31日)、合宿中のハワイから帰国し、今夜には日本を経つというハードなスケジュールのなか、わずか"26時間"の日本滞在でも実現させたかったのは、今回の日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)主催の懇親パーティーへの参加。その真意について池田は、   「新しく選手会長となり、日本ゴルフ界のために頑張りたいという思いから本日は参加させていただきました。 男子ツアーは年々試合数が減っており、危機感も感じています。具体的に選手会長としてやっていきたいこと、やらなくてはいけないことは沢山ありますが、そのひとつが、本日のパーティーへの出席です。 主催者の方やトーナメントのスポンサーの方々に直接お会いし、少しでも距離を近づけ、意見交換ができればと考えています。そしてその結果が、選手にとってもスポンサーにとっても良い形でのトーナメント運営につながると信じています」   と熱く語り、同パーティーへの参加で、かなり手応えを感じていた様子。   数時間後にはサポートスタッフが残っているハワイへ"トンボ返り"。「選手会長」として、また「選手」として二足のわらじを履いたプロゴルファーは、ツアー発展のために労力を惜しまない様子が伺えた。   選手会長としての初仕事を終え、結果も残すことを宣言した池田が、男子ツアーの"革命児"となれるのか、期待したい。   なお、「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」には藤本佳則、成田美寿々、斉藤愛璃が選出され、それぞれ表彰状、トロフィー、花束が贈呈された。
    (公開)2013年02月01日
      新規開催となるのは3試合。そのうち、2試合は海外(タイ、インドネシア)での開催となる。同機構によれば、ワンアジアとの共催で、60名の出場枠を確保しているとのこと。賞金ランキング加算のタイミングや、賞金総額など、現在詳細を詰めている段階だという。また、現在マレーシアでの試合開催についても協議中という旨が発表された。   一方、中止が決まっているのは「とおとうみ浜松オープン」と「キヤノンオープン」。「サン・クロレラクラシック」については、開催の意向はあるもののスポンサーを探している段階のため、開催が危ぶまれている。いずれも厳しい社会情勢が起因しているものと思われる。   JGTOの海老沢勝二会長は次のようにコメント。   「ギャラリー数、試合数は年々減少しています。また、ゴルフ場の入場者数も低迷して、ゴルフを取り巻く環境が厳しくなっているのが現状です。  そこで、トーナメントのやり方自体を変えていく必要性を感じたため、来年度はアジア各国への進出を果たします」――。   同機構が主管する試合数に変動はないが、国内の試合数は25試合から23試合へ実質減少している。選手のマナーなどが問題視されている昨今、選手1人1人が強い問題意識を持たなければ、試合数減は止められない!?   なお、現時点で確定していない賞金額の詳細などについては1月下旬~2月上旬に発表予定。そのほか、開催スケジュールは下記を参照のこと。   <a href="http://www.jgto.org/jgto/WO02000000Init.do" target="blank">2013ジャパンゴルフツアートーナメントスケジュール</a>
    (公開)2012年12月07日
      藤田はスピーチで、今シーズンを振り返り来年への決意を語った。   「今まで積み上げてきたものに加え、今年は海外で刺激を受けたことが、5部門受賞の結果につながったと思います。また、途中からは世界ランキングを意識し、高い目標を持ってプレーできたのも大きな要因です。  来年は、国内のメジャータイトルも狙いたいですが、海外でも結果を残せるように頑張っていきたいです」――。   これ以外では、■最優秀新人賞島田トロフィ 藤本佳則、■チャレンジ賞金ランキング賞 河野祐輝、■平均パット賞 谷原秀人、■パーオン率賞 B・ジョーンズ、■イーグル率賞 金度勲、■フェアウェイキープ率賞 河野祐輝、■トータルドライビング賞 梁津萬、■MIP賞 石川遼、■パーキープ率賞 金庚泰、■バーディ率賞 池田勇太、■ドライビングディスタンス賞 額賀辰徳、■サンドセーブ率賞 岩田寛、■特別賞 石川遼が受賞している。   特別賞とMIP賞のW受賞の石川は、「1月からアメリカに行くにあたり、今年はいい成績を残せたと思っています。来年は、自分の長所を伸ばし、短所を長所にしていき、自分のゴルフを確立させていきたいです。また、行くからにはまず1勝を目指したいと思います」と意気揚々に語った。   また、JGTOの海老沢勝二会長は、「まだまだ社会情勢も厳しく、経済不況の中ではあるが、来年も引き続き『挑戦と貢献』をキーワードにツアー運営を進めていきたい」と締め括った。   なお、「2012年度ジャパンゴルフツアー表彰式」の模様は、12月29日のCS放送スカイA sports+にて放送する予定となっている。
    (公開)2012年12月05日
      同プロの社会貢献活動は、2006年12月に行われたチャリティイベント「日立3ツアーズチャンピオンシップ」で獲得した賞金を、自身の出身地である奈良県内の児童養護施設と母子生活支援施設に寄贈・訪問したことがきっかけとなり、その後も精力的に取り組んでいるという。   同プロのこれまでの社会貢献活動の実績は、 ■2006年1月、母校である橿原市立耳成小学校にスナッグゴルフ用具(23万円相当)を寄贈・訪問 ■2006年12月、日立3ツアーズチャンピオンシップの賞金180万円を奈良県内の児童養護施設と母子生活支援施設に寄贈・施設訪問 ■2007年5月、マンシングウェアオープンKSBカップでの賞金の一部(100万円)を岡山県内の児童養護施設へ寄贈 ■2007年12月、日立3ツアーズチャンピオンシップの賞金590万円を奈良県内の児童養護施設と母子生活支援施設に寄贈・施設訪問 ■2008年12月、同年シーズン獲得賞金の一部(240万円)を奈良県内の児童養護施設と母子生活支援施設に寄贈・施設訪問 ■2010年6月、日本プロゴルフ選手権大会日清カップヌードル杯優勝の副賞「日清カップヌードル10年分(3600食)」を奈良県内の児童養護施設と母子生活支援施設に寄贈 ■2010年12月、ヤマハ電子キーボード『piaggero』を奈良県内の児童養護施設と母子生活支援施設に寄贈   また、昨年末に社会福祉法人奈良県共同募金会を通じ、同県内の児童養護施設6ヶ所と母子生活支援施設3ヶ所の計9ヶ所へ、50万円ずつ(計450万)を寄付したという。  
    (公開)2012年03月27日
      以下詳細   ◆寄贈物品 日清食品製品10年分(商品360食×10年分=3600食)   ◆寄贈日 2010年6月15日(火)【各施設への商品到着日は6月15日または15日以降】   ◆寄贈先 奈良県共同募金会を通じて、下記の児童養護施設6ヶ所、母子生活支援施設3ヶ所の計9ヶ所へ寄贈 ○児童養護施設 愛染寮(生駒市)、いかるが園(生駒郡斑鳩町)、大和育成園(宇陀郡榛原町)、飛鳥学院(桜井市)、天理養徳院(天理市)、嚶鳴学院(五條市) ○母子生活支援施設 佐保山荘(奈良市)、ライフイン郡山(大和郡山市)、ヒューマンかつらぎ(御所市)   ◆これまでの谷口徹プロの社会貢献活動の実績   ・2006年1月:出身小学校の橿原市立耳成南小学校にスナッグゴルフ用具を寄贈し、小学校を  訪問   ・2006年12月:日立3ツアーズチャンピオンシップでの賞金180万円を、奈良県内の児童養護  施設と母子生活支援施設に寄贈し、後日に施設訪問   ・2007年5月:マンシングウエアオープンKBSカップでの賞金の一部の100万円を岡山県内の  児童養護施設へ寄贈   ・2007年12月:日立3ツアーズチャンピオンシップでの賞金590万円を、奈良県内の児童養護  施設と、母子生活支援施設に寄贈し、後日に施設訪問   ・2008年12月:2008年シーズンでの獲得賞金から240万円を、奈良県内の児童養護施と、  母子生活支援施設に寄贈し、後日に施設訪問
    (公開)2010年06月16日
    会場には石川目当てのTVカメラが10台以上設置、媒体各社が大挙して押し寄せるなど、例年にない盛り上がりを見せた。石川はスピーチで、 「支えてくれた家族とチームのお陰で素晴らしい経験ができました。来シーズンもフル参戦できる身体を作っていきたい」 と歯切れがいい。 これ以外では、■ドライビングディスタンス賞 額賀辰徳、■トータルドラインビング賞 武藤俊憲、■バーディ率賞 石川遼、■フェアウェイキープ率賞 金亨成、■平均パット賞 石川遼、■最優秀新人賞 池田勇太、■イーグル率賞 額賀辰徳 ■ユニシスポイントランキング賞 石川遼、■サンドセーブ率賞 梶川剛奨、■パーオン率賞 B・ジョーンズ、■パーキープ率賞 藤田寛之、■チャレンジ賞金ランキング賞 C・キャンベル■特別賞 片山晋呉、石川遼がそれぞれ受賞している。 なお、動画ニュースではJGTO表彰式のもようを収録した。
    (公開)2009年12月07日
    日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、故島田幸作名誉会長の「お別れの会」を東京と大阪で行う。島田名誉会長は昨年11月3日、64歳で逝去。JGTOの設立当初からリーダーシップを発揮して、組織運営にあたってきた。その功績と早すぎた逝去を悼むもの。大阪会場は1月27日午後1時~2時30分まで、宝塚ホテル(兵庫県宝塚市、電話0797-87-1151)、東京会場は1月30日午後1時~2時30分まで、ホテルオークラ東京(東京都港区、電話03-3582-0111)にて。
    (公開)2009年01月09日