「実は、当社契約のタイガー・ウッズ、ダスティン・ジョンソンだけではなく、日本法人のマーク・シェルドン・アレン社長にもツアー向けのヘッドを提供しています。つまり、ヘッドの反発係数を1個1個計測して、ルールギリギリのモノを渡しているのです。彼らと同じヘッドを量産できないだろうか? それが『M5/M6』の出発点でした」
テーラーメイドゴルフは1月11日、都内会場で2月15日から発売する『M5/M6』ドライバーの記者発表を行った。
年明けからティザー広告で、フェース部に装着したスクリューにより新製品の登場感を煽っていたが、今回ツイストフェースがSLEルール規定値ギリギリに進化。
タイガー・ウッズやダスティン・ジョンソンなどツアーユースのヘッドをすべてのアマチュアゴルファーが手にいれることができるようになる。冒頭のコメントは、やや興奮気味に話す同社開発責任者ブライアン・バゼル氏のコメントだ。
M3、M4からの進化は「方向性からスピードへ」
『M5/M6』は、昨年爆発的なヒットモデルになった『M3/M4』の後継機種。『M3/M4』は周知の通り、方向性に大きな影響を与えるオフセンターヒット時の曲がり幅を抑えるため、フェースをねじる「ツイストフェース」テクノロジーを採用したモデルだ。
『M5/M6』も「ツイストフェース」を継承するものの、ヘッドの反発力をSLEルール規定値ギリギリにしボール初速を上げるため、新技術「スピードインジェクション(後述)」を開発したという。
規定値ギリギリのドライバーといえば、
PRGRの『RSシリーズ』が思い浮かぶが、テーラーメイドによれば製造するすべてのドライバーヘッドの反発係数をルール上最大限に設定したという。
その開発プロセスについて米本社の開発責任者ブライアン・バゼル氏が次のように説明する。
M5、M6ドライバーはすべて当たりくじ!?
「最高のフェースを作ったとしてもその後、ゴルフクラブとして完成させるためには溶接し研磨、塗装等の工程を経るため、どうしても公差が生まれてしまいます。
つまり、みなさんが今お持ちのドライバーはもしかしたら、初速が遅めのモノ、ラッキーな方は速めのモノかもしれないということです。
また、当社の検証結果では、市場にあるドライバーの70%がルール適合の上限値にある程度余裕を持たせていることが分かりました」
ゴルフクラブは工業製品である。ルール適合内で反発係数をギリギリに設定すると、公差を超え歩留まりが悪くなるのは想像に難くない。そこで、各メーカーは数値に余裕を持たせる、ということなのだが、『M5/M6ドライバー』ではその“公差”の概念を払拭している。
「一旦すべてのヘッドを高反発にしてから、ルール限界値へ設定する」--。
という大胆な手法で製造に取り組んでいる。詳しく説明してもらおう。
新技術スピードインジェクションとは
「生産されるすべてのヘッドを一旦、ルール上限を超えたところで作ります。そして『スピードチューン』を施して、ルール上限の内側ギリギリに揃えます。
具体的には、フェースのトゥ&ヒール側の赤いチューニングポートからレジンを注入し調整。すべてのヘッドを詳細に計測しクラウドへ送信、独自のアルゴリズムにより計算された分量を2つのポートからそれぞれ注入します。
先述の通り、ヘッドの製造工程にはどうしてもバラツキが生じてしまいます。例えば、トゥ側に0.4g、ヒール側へ0.8gのレジンを注入する場合もあればその逆もありうるわけです。つまり、ヘッドの個体差によって異なる量のレジンの注入が必要になってきます」
最終工程もクラウドのアルゴリズムで計算
「出来上がったヘッドがSLEルールの上限を超えていないか? 超えてしまうと“違反クラブ”とみなされてしまうので、それは絶対避けなければなりません。レジン注入後にもう一度クラウドへ送り、独自のアルゴリズムの計算式により精度の高いものにしています」
2019年モデルの『M5/M6』ドライバーは、ボール初速をより高めるため、さらにフェースを薄くしているという。従来のM3よりも20%薄肉化。ハンマーヘッド構造との相乗効果により、66%スイートエリアが拡大したと豪語する。
先日発表された
キャロウェイの新ドライバー『エピックフラッシュ』は、ボール初速を上げるために、逆にフェースを厚くしているあたり、各社の特徴が出ていて非常に興味深いところだ。
M5、M6のドライバーヘッドは全3種類
新製品のドライバーヘッドは『M5 ドライバー』(460㎝3)、「M5 ツアー ドライバー(3月中旬発売)』(435㎝3)と『M6 ドライバー』は460㎝3のみで計3タイプを用意。
標準装着シャフトについても、56gのKUROKAGE(M5、M5TOURへ装着、硬度Sで総重量308g)、54gの「FUBUKI」(M6同、総重量299g)を改良したオリジナルデザインに仕上げるなど、細部にわたってこだわりを見せる。
カスタムシャフトは3種類を用意
『M5/M6』のカスタムシャフトは下記のとおり。
- グラファイトデザイン「Tour AD VR-6」
- 藤倉ゴム「スピーダー661 EVO Ⅴ」
- 三菱ケミカル「Diamana DF 60 」。
なお、ドライバーの価格は『M5』、『M5 TOUR』が7万8000円(カスタムシャフト9万5000円)、『M6』が7万2000円(カスタムシャフト8万9000円)で、『M5』が6000円、『M6』が7000円アップとなっている。
カスタムモデルは‶地クラブ″に匹敵する価格帯
懸念されるのが、年々上昇するドライバーの定価設定。2019年モデルは初代『Ⅿ1』比で6000円、『M2』比9000円アップしており、ゴルフギアライターの児山和弘氏が次のように話す。
「標準シャフト装着モデルもそうですが、今回『M5』のカスタムシャフト仕様は、9万5000円と地クラブの価格帯に突入しました。製品に対する自信の表れなのでしょうが、正直なところ驚いています」
その性能やいかに? GEW編集部では『Ⅿ5/M6』ドライバーの試打レポートを近々掲載予定。
M5、M6ドライバーは2月15日発売!
問い合わせは、テーラーメイド ゴルフ カスターマーサービスコール 0120-558-562
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