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  • 問われるメーカーの説明力 斬新な機能をテーラーメイドはどう伝える?

    浅水敦
    1971年東京(板橋区)生まれ、埼玉育ち。(株)明光商会入社後、7年半シュレッダー&パウチッ子&ボイスコールの営業(新規開発営業部→第3直販部配属、外務省、宮内庁、旧富士銀行、日本興業銀行、大手宗教法人を担当)...
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    新商品の発売ラッシュが一段落した。年明け早々にキャロウェイとテーラーメイドが大掛かりな記者発表で注目を集めたが、3月に入るとデビューイベントの喧騒は落ち着いてくる。 そこで、テーラーメイドでブランドマーケティングを担当する池田省吾シニアマネージャーに記者発表の舞台裏を振り返ってもらう。同社は派手な演出を得意としており、それだけにデビューイベントに関わる苦労も多いはず。 メーカーは、何をどのように伝えようとしたのか? 案の定、悪戦苦闘のエピソードが満載だ。 (聞き手・浅水敦) M5/M6製品発表会の詳細は下記より テーラーメイド『M5 / M6』を発表 M3 / M4からの進化は「スピード」

    3D映像で立体的に表現

    テーラーメイド M5/M6記者発表会 浅水:今回、御社の記者発表と同時に小売店が試打インプレッション動画を公開した。通常はメディアへの発表が優先されますが、ショップと同時発表の形ですね。SNSの普及でショップ自体が発信力を持ち始めた。そこへの期待感は大きい? 池田:「ゴルファーには試打動画が響く」ので、ショップのクラフトマンやスタッフが打った感想を発信してもらおうと。背景には、インフルエンサーが出過ぎたこともありますね。SNSで同じような投稿をしているので、信憑性が薄くなった印象もあって。それで、発表会の当日に各店がインプレッション動画を公開したという経緯です。 浅水:視聴者の目が肥えてきた。で、そもそも記者発表の目的は何ですか。最近は発表会をやらないメーカーも増えましたが。 池田:発表会の目的は、一般消費者に新商品のローンチを伝えることに尽きますね。まずはメディアに理解してもらい、記事にしてもらうこと。公式な発表会は必要だと思っていて、年1~2回のペースで行っています。 演出方法にはこだわってます。他社を意識することはまったくなくて、その時々の商品に相応しいやり方をします。昨年は「ツイストフェース」だったから、フェース形状がわかるオブジェを作った。今年は「スピードインジェクション」で、ヘッド内部にレジンを注入するのが特徴だから、3Dでの表現にこだわりました。 テーラーメイド M5/M6記者発表会 浅水:会場を暗闇にして、大きなヘッドが空間に浮かぶという演出ですね。かなりコストが掛かったでしょう。 池田:実はそうでもないんですよ(笑)。予算には限りがあるので、演出で使用した外壁は展示会のものを流用したり、コストにはメリハリをつけています。 ただ、3Dにはこだわって、きゃりーぱみゅぱみゅの演出をしている会社の協力を得ています。この会社は、米NBCネットワークの公開オーディション番組「アメリカンゴッドタレント」で優勝した日本人ダンサー・蛯名健一さんの演出もやってます。 ヘッドが宙に浮かぶシーンは特殊なスクリーンを用いた3Dホログラム。壇上のスクリーンが二重になっていて、前側のスクリーンを透明にする。それで浮かんで立体的に見えるようになるわけです。ここは一番伝えたい部分だし、商品説明に入る直前にメディアの注目を集めようと(笑)。 浅水:音響効果も凄かったですね。 池田:ありがとうございます。あれは4.1chで収録した音声素材を360度、5ヶ所に配置したスピーカーを特殊な方法でリレーさせたものです。出力したサラウンドシステムを導入し、音を立体的に伝える工夫を凝らしました。

    同時通訳には限界がある

    テーラーメイド M5/M6記者発表会 浅水:来場者は何人集まったわけですか。 池田:事前の想定は200人でしたが、結果的には230名で座席が一杯になりました。ここにはメディア以外にも小売店関係者や当社の製品を販売するティーチングプロも含まれます。彼らとの契約更新は毎年12月ですが、インフルエンサーとして情報拡散してくれるので、しっかり理解してもらう必要があります。 浅水:米本社で製品開発の責任者を務めるブライアン・バゼル副社長が登壇しましたが、今年は同時通訳を使わなかった。技術面の通訳は難しいですか。
    テーラーメイド M5/M6記者発表会 写真左:ブライアン・バゼル副社長、写真右:マーク・シェルドン・アレン社長
    池田:去年の発表会終了後、御誌の片山さんから「通訳が何を言ってるかわからない」と言われましてね(苦笑)。ただ、それ以前から我々も限界を感じていたんですよ。一流の国際会議で通訳するような方でも、ゴルフのテクノロジーを理解して伝えるのは難しい、そんな結論に達しました。 それと、一連の流れで苦労したのはタイムスケジュールで、これにはかなり苦労しましたね。タイムキーパーをつけて、各自の持ち時間を守ってもらうために「残り時間あと○○秒」って表示したり(笑)。 それでも時間が押しちゃって、質疑応答を迎える前に10分押しになりそうなところを、急がせて5分以内に収めたんです。本番はリハーサル通りにはいきません。 浅水:御社の記者発表はイベント性も重視する。今回のトークショーでは元バドミントン五輪選手の池田信太郎氏とレーシングドライバーの中嶋一貴氏を招きましたが、人選の意図は? テーラーメイド M5/M6記者発表会 レーサー中嶋一貴×バドミントン元代表池田信太郎がテーラーメイド「M5/M6」を語る 池田:舞台裏を明かすと、契約プロがシンガポールとハワイでツアーが始まって誰もいない(笑)。それで芸能人の案も出ましたが、製品特徴は「スピード」なので、これを表現できるアスリートにしようとなったわけです。 そこでカーレーサーの中嶋さん、バドミントンの池田さんにお願いした。二人ともギアを使ってスピードに関わる競技をやっているので、その点が決め手になりました。 浅水:ほかにも候補者はいたでしょう。 池田:はい。具体名は伏せますが、水泳、バスケ、サッカー、野球界から候補者の名前が出ています。でも、調べたらいずれもメーカー色がついていて(苦笑)。

    ギリギリはPRGRのフレーズ

    PRGR RS 浅水:それにしても、事前の準備は大変でしょう。 池田:そうですね。事前に綿密にやりますが、それでも発表会の冒頭部分、バゼル副社長のマイクが数秒間ハウリングしたり(苦笑)。事前に何度もテストしましたが、まあ、ハプニングは仕方ありません。 実は、前夜9時まで会場に別のイベントが入っていたので、それを終えてから設営準備に入りました。みんな寝ていませんし、わたしは午前零時に帰宅して、翌朝7時に会場入り。 記者発表は午後2時からですが、機材の技術面や立ち回りをチェックして、10時に登壇者が会場入り。それからリハーサルという段取りです。もう、スケジュールはパンパンでした。 浅水:ところで、『M5/M6』の特徴は、一度高反発規制を超えたヘッドをギリギリで戻すところにもありますが、「ギリギリ」という表現を一切使っていませんね。 池田:PRGRさんのギリギリがインパクトありすぎるので、使っていません。「高反発フェースを適合内に最大限戻す」という文言についても、本社からリーガルチェックの回答がなかなか戻ってこなかったり、このあたりは悩ましかった。 まあ、当社のヘッドはギリギリで作るんじゃなくて、超えてから作ってますからね、ギリギリを超えるツアースパイシーなクラブです。当社のフレーズとしては「チューニング」を積極的に使いたいですね。
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