「アマチュアのショットデータを50万発分収集し分析したところ、ハイ&トゥ、ロゥ&ヒール打点がミスヒットに繋がっていることが分かりました。新製品はここを定義して、打点傾向に合わせてフェースをねじる『ツイストフェース』を新たに採用しました」
テーラーメイド ゴルフは1月16日、都内で新製品発表会を開催した。登壇者は米本社ディビッド・エイブルスプレジデント兼CEO、トッド・ビーチ上級副社長、日本法人マーク・シェルドン―アレン社長の3名で、冒頭のコメントはその時のもの。昨年末から噂にはなっていたが、ついにヴェールを脱いだ。
新製品は2月16日から投入される『M3』、『M4』シリーズ。今年1月4日~7日に開催された「セントリー・トーナメント・オブチャンピオンズ」で、契約のダスティン・ジョンソンが供給されたばかりの『M4』ドライバーを実戦投入し2位に8打差をつけ圧勝したのは記憶に新しい。
なかでも最終日12番(433ヤード/PAR4)ではワンオンに成功し、ホールインまであわや20センチのスーパーショット。終始飛んで曲がらないドライバーショットで他を一切寄せ付けなかった。小誌が年に一度行っている「メーカー総合力ランキング」でも革新的な製品開発力で定評のある同社だが、相変わらず役者揃い。絶好のタイミングで投入となる。
『M3』、『M4』ドライバーの特徴は、まっすぐ飛ばすために、“フェースをねじる”という新発想の「ツイストフェース」とフェースの反発力を高める「ハンマーヘッド」テクノロジーの2点に集約されるだろう。
「ツイストフェース」って何?
一般的に『ハイ&トゥ』で打つとフェースがクローズになるため、打点面が左を向きかつロフトが立ってしまい低弾道フックになる。一方『ロー&ヒール』ヒット時のフェースは開き、打点面が右を向いて高弾道スライスになるというのが定説だ。
リサーチ・ディベロップメント・エンジニアリング担当のトッド・ビーチ上級副社長が次のように説明する。
「ヒューマンテストを繰り返した結果、フェース構造を新開発のツイストフェースにすることにより、『ハイ&トゥ』エリアをオープンかつロフトを寝かせることで低弾道フックを、また『ロー&ヒール』エリアをややクローズドかつロフトを立たせることで高弾道スライスをそれぞれ低減させることに成功しました」
これにボール初速アップとスイートエリア拡大に貢献する「ハンマーヘッド」が相まって、通常15ヤードの曲がり幅が「ツイストフェース」では約5ヤードにまで軽減するという触れ込みだ。
『M3』『M4』の印象は?
ゴルフギアライターの田島基晴氏に『M3』『M4』の印象を聞いてみると、
「最新の『Dプレーン理論』によると、ボールはインパクト直後からフェースの向いた方向へ打ち出されることが分かっています。フェースが開いてトゥ側に当たって飛びだすと、ギア効果は働かないというのが定説で、チーピンが出る時は概ねフェース向きがクローズになっています。
また、フェース向きが真っ直ぐでも、打点位置がヒールに偏っていると、チーピンが出やすくなります。高速度カメラで撮影するとよくわかりますが、ヒール打点のフェースは急激に左を向き、それに連動してボールも左に飛び出します。
ヒール&チーピンと『ツイストフェース』との整合性についても説明がほしかったですね。この部分は後日、じっくり打って検証してみたいと思います」
*「ツイストフェース」のデータ根拠については、本誌2月号「月刊ゴルフ用品界」(1月31日発売)にて詳報
テーラーメイド開発担当者に聞く
上記以外には、どのような工夫が凝らされているのか? ハードグッズプロダクト柴崎高賜マネージャーに詳細を聞いてみた。以下一問一答で再現しよう。
M3とM4の具体的なスペックの違いについて具体的にお聞かせください。
「『M3』はヘッド体積460㎝3、440㎝3の2タイプがあり、シャフト長は45・5インチ(標準仕様)。一方の『M4』は、460㎝3のみの設定で45・75インチ(同)になります」
モデルによって長さが違うんですね?
「重心深度の移動距離ができる「Yトラック」を搭載した『M3』のヘッド重量は『M4』よりも約4g重いため、45・5インチの設定。また、装着グリップのモデルは同じですが、重量帯は『M3』が47・5g、『M4』はやや長尺のため42gを採用。グリップはクラブに直接振れる唯一の接点なのでで非常に重要なアイテムと認識しています。また、テーラーメイドのゴルフクラブに対する考え方は360°デザインであり、ヘッド、シャフトに加え、当然グリップもこの中に含まれます」
装着グリップにも拘っている。
「はい。グリップはクラブに直接振れる唯一の接点ですので非常に重要です。USPGAツアーでは昨今、バックラインを強調したグリップを装着するプロが増えており、近い将来プロパーでも採用するかもしれません」
「M3」、「M4」のドライバーヘッドは全3機種
新製品のドライバーヘッドは『M3』が460と440の2機種、『M4』は460のみで計3タイプを用意。
標準装着シャフトについても、55gの「KUROKAGE」(『M3』へ装着、硬度Sで総重量309g)、54gの「FUBUKI」(『M4』同、総重量299g)を改良したオリジナルデザインに仕上げるなど、細部にわたって拘りを見せる。
カスタムシャフトは、以下をラインアップ。
■『M3』(460、440)
グラファイトデザイン「IZ‐6」、藤倉ゴム「スピーダー661EVOⅣ」、三菱ケミカル「ディアマナRF60」、シャフトラボ「ATTAS COOL6」 *ATTASは「460」のみ
■『M4』
グラファイトデザイン「IZ-6」、藤倉ゴム「スピーダー661EVOⅣ」
なお、ドライバーの価格は『M3』7万2000円(カスタム8万9000円)、『M4』が6万5000円(同8万2000円)で、『M3』が前モデル同様、『M4』が2000円アップとなっている。