月刊ゴルフ用品界2017年8月号
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81嶋崎平人の特許REAL STORY vol.5アポロ計画を推し進めたのは米航空宇宙局(NASA)である。NASAでは、航空宇宙、通信、電気、環境、素材、IT技術、医学、光学、物理、センサー、生産技術など多様な技術分野において、毎年数千の発明が生みだされていると言われる。米国特許でNASAのキーワードで検索すると21,993件がヒットする。最先端の開発が生み出す技術が特許の宝庫とも呼ばれている。NASAが保有する特許はなかなか実用化に至るのは難しかったが、宇宙産業の商業化を目的とした国家政策も後押しし、NASAのHPで保有特許や開発技術等を紹介して、積極的にライセンス契約を行うなど動きが見られる。アポロ計画の中から生み出させた技術として、ゴルフウエアやシューズに使われているゴアテックス(デュポン)は宇宙飛行士の服の技術を応用して開発された。また、宇宙船が大気圏に突入する際に船を高温から守る素材を応用して、テフロン加工のフライパンがつくられた。また衛星放送、カーナビなどは宇宙技術から生まれている。高い障壁である宇宙への挑戦が新たな技術を生み出している。1974年出願 EXXON社シャフト特許されている。 ALDILA社のホームページを見ると、同社のグラファイトシャフトがクラブメーカーに初めて採用されたのが1982年で、この発明と時期が一致している。グラファイトシャフトの生産方法が確立し、その良さが認知され、メーカーの正規品にも採用されたことがわかる。石油会社の特許 ALDILA社のホームページを仔細に見ると、1972年にグラファイトシャフトを開発(develop)したとの記述はあるが、発明(invent)したとは書かれていない。この意味は、グラファイトシャフトを商品化したが、この商品そのものを発明したわけではないことを表明したと理解できる。同社のグラファイトシャフトの商品化は、クラブの発展に大きな貢献を果たしている。 それでは、グラファイトシャフトを発明したのは誰なのか、引き続いて米国特許を調査してみた。まず、ゴルフクラブ用シャフトで1972年以前に出願されている特許を見つけることはできなかった。私が調査した中でゴルフクラブ用シャフトに炭素繊維(グラファイト・ファイバー)を使った最も古いものは、1974年9月24日に出願され、1977年5月17日に登録されたUS4,023,801(GOLF SHAFT AND METHOD OF MAKING る。 この特許では炭素繊維が入った樹脂シートの巻き方を角度指定するなどの方法が詳細に書かれているが、次号ではグラファイトシャフトの登場に至るまでの様々な試行錯誤を特許の側面から振り返ってみたい。SAME)(FIG1,2)であった。EXXON RESEARCH and ENGINEERING社より出願されたものだが、EXXON社は石油会社でカーボン素材を提供する側からの特許と思われた。ALDILA社から最初の特許が出願されたのは1979年4月であり、1972年の商品化から7年ほどの歳月が経過している。特許登録されたのは1982年3月16日で、US4,319,750(GOLF SHAFT HAVING CONTROLLED FLEX ZONE)(FIG.7,19)である。シャフトのフレックスを調整する方法の特許で、製造方法も含めて細かく記載1974年出願 EXXON社シャフト特許 シャフト製造法図東京都立大学工学部機械学科卒業。ブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当。クラブ開発に携わり、特許を二十数件出願。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。宇宙技術が生み出した特許

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