グリップの色の好みで男女差はあるのか!異色の座談会を開いてみた
人体が色から受ける影響
私たちの体は、光や色に対して様々に反応するという。これは「トーナス変化」と呼ばれている。 ナツメ社が発行する「色彩心理」によれば、通常の筋肉の状態を数値で23とすると、各色の光線に対する筋肉の変化は赤が42、オレンジが35、黄色が30、緑が28、青が24とのこと。 数値が小さいほど筋肉が弛緩している、いわゆるリラックスしている状態。逆に、数値が高くなるほど興奮状態を表すという。 ゴルフでは、タイガー・ウッズが最終日に必ず赤いウエアを着用する。タイガーは幼少期に仏教徒として育てられたのは有名な話だが、仏教で赤は精進を表す意味があるという。 タイガーのゴルフに対する飽くなき探求心を考えると、なるほどと思う一方、自身を奮い立たせるために赤を着ているふしもある。 また、人は赤から強さを連想するというデータもある。競争相手に自分の強さを誇示するという意味合いもありそうだ。
男女で変わる色の受け止め方
このように人は色から様々な影響を受けるが、色の受け止め方は男女によって違いもあるという。 ナショナルジオグラフィック日本版サイトによれば、そんな研究結果を発表したのが、ニューヨーク州立大学ブルックリン校のイズリエル・エイブラモフ心理学教授。 同教授は、正常色覚を持つ16歳以上の若い男女を対象に色の識別と動体認識を調査したが、ほぼ全ての色について女性は男性よりも色を識別する能力に優れ、より細かな色の違いを見分けることができたという。 これは男女で脳の処理能力の違いがあるという説もあるが、確かに服の色やその組み合わせなどははるかに女性の方が優れているというのは日々の生活でも実感できることだろう。 そこで面白い座談会を試みた。昨今、台頭するカラーグリップの「アレコレ」を男女ゴルファーに見てもらい、その感想を語ってもらった。 サンプルは、男女のカラーバリエーションを多数展開するワークスの『パーフェクトプロ』。特に、レディスのカラーはその色合いには定評があり、対談には相応しいラインアップを提供してもらった。 座談会の出席者は、本誌「ゴルフシューズフィッティング考現学」の筆者である神谷幸宏プロ。 もう一人はMC・司会などで活躍、湘南ガールズコンテスト2017で準グランプリとなった経験も持つ松原千夏さん。 両氏にグリップの色に対する印象を語ってもらった。以下、その内容を紹介する。
「薄いピンクが好き!濃いと疲れちゃうんです」
(レディスグリップのラインアップを見て)アー、カワイイ!
-早速、カワイイという言葉が出ましたが、まずグリップについて感想を聞く前に松原さんのゴルフ歴を教えてください。
現在26歳、ゴルフ歴は1年です。初ラウンドを間近に控え、週2で打ちっぱなしに通っているところです。
-ゴルフを一生懸命やろうとした理由は。
簡単に上手くいかないところですかね。ゴルフって見てるとすぐ打てそうに思ったのですが、甘かったです。上手い人と自分のスイングを動画で見比べると全然形が違う。もう、悔しいと思い、それにハマってしまって...。でも、たまに奇跡的に上手く打てると、もう嬉しくて。いつも上手く打てるようになれば超楽しいってなりますよね。それが頑張るモチベーションです。
-マイクラブは持ってますか。
はい、取り敢えずセットを買いました。
-そのクラブに決めた理由は。
特にないのですが、セットになっていたので…。でも、私はピンクが好きだからピンクが入っているのが良かったかな。あと、続けられるかどうか分からなかったので、まずはお手軽なセットを買って、もっとハマったらドンドン自分好みに変えていこうと考えています。
-グリップもピンクですか?
はい、薄いグレーにピンクの組み合わせです。
-セット購入の際、グリップの色も気になりました?
いえ、気になりませんでした(笑)。詳しく見てなかったので、全体的にピンクと白でカワイイなって思ったので、ネットでポチっとしました。
-ピンクと白が好きなのですか。
ピンクは好きなのですが、濃いピンクではなく薄いのが好きです。組み合わせでいえば、薄いピンクと白。この色の組み合わせだと気分が上がります。
-男性に比べて女性は色別が細かくできると聞きます。男性はピンクだったらピンクみたいになりますが、女性はそれが細かく見える?
ええ、このピンクは嫌だけど、こっちは好きみたいなものはあります。
-薄いピンクが好きな理由は。
濃いと疲れちゃうというか、とにかく気分が上がらないんですよね。
-薄い方が、落ち着くんですか。
そうですね、気分が上がるのでニコッてなります(笑)。
「黒にしたのは安かったのと左右のデザインが違うから」
-神谷さんは、プロゴルファーで日々レッスンもされてますが、グリップは何色を使ってますか?
黒でエンドが緑です。
-何か理由はありますか?
う~ん、まずは値段が安かったこと。あと、左右の手の形状が違っていて、左手はしっかり、右手は柔らかく握れることですね。
-エンドに差し色が入っているということは、真っ黒は嫌なんですね。
はい。少し色が入っているのが好みです。ただ、以前も同じメーカーのものを使っていたのですが、その時はピンクでした。
エー、何でですか?
ちょっと変わった色を使いたかったんです。それこそ薄いピンクでエンドが紫。誰も持っていないグリップにしたかったのです。
-確かにピンクと紫の組み合わせは見ません。それは単純に人と違うものを使いたかっただけ?それともピンクが好きとか。
いや、ピンクが好きというわけではなく、人と違うものを使いたかったというだけです。あと、やっぱり目立つということもありますよね。
-今は黒を使っているわけですが、どんな気分ですか?
やっぱり黒だと普通すぎてテンションは上がらないですよね(苦笑)。テンション上げるなら色をつけた方が絶対にいいと思います。
-やっぱり色があるとお洒落な感じもしますよね。
確かに「ちょっと違うぞ、俺は!」みたいな気持ちにもなれますね。
-クラブを構えた時、グリップに色がついているとその受け止め方も変わりますか。
多少あるかもしれません。
-例えば、黒よりもピンクの方が柔らかく握れるみたいな?
少しあるかもしれません。私はカラーでもあまり強い色、黄色とかはグリップにはちょっと強すぎるかなと思います。
-黄色は、一般的にビタミンカラーで色からパワーをもらえると言われますが、印象として落ち着かなくなる?
ちょっと落ち着かないですね。タイガー・ウッズや石川遼は最終日は赤、松山英樹は黄色を着るとかありますが、私は赤や黄色など強くて明るいカラーを着ると逆にバクバクしちゃいます。 高校生の時に丁度タイガーが全盛期だったのでゴルフ部のウエアが赤だったんですけど、全然落ち着きませんでした。
-自分にはちょっと似合わないと感じる色ってありますよね。
赤や黄色でも少し薄ければいいんですが、濃いのはちょっと…。
苦手な色とかって、色の組み合わせにもよりそうですよね。でも、私は黒だと気分が下がります。何か、面白くないかなと感じてしまいます。
黒は、普通になっちゃいますよね。
『パーフェクトプロ』のレディスグリップみたいに、すごく色んなカラーがあることを知ってしまうと、余計に「なんだ、黒かぁ」と思っちゃいます。 でも、お世辞抜きに『パーフェクトプロ』の黒はピンクの差し色で入っているので、カワイイと思います。こういうのが好きな女の子って、けっこういますよね。
『パーフェクトプロ』のようにカラーバリエーションが豊富だと、「ヘッドやシャフトと色を合わせたい」、「キャディバッグや服とコーデしたい」という気持ちになりますか。
そういうの、女子はすごくあると思います。私のゴルフウエアはピンク系かネイビー系が多いのですが、それに白を組み合わせることが多いですね。だから、このレディスの薄いピンクでエンドが白やネイビーでエンドが白のタイプにはすごく惹かれます!
-ウエアの好きな色のコーデとグリップのコーデがマッチする。なるほど、組み合わせの妙ってあると思いますが、ピンク好きは先ほども話していましたが、ネイビーが好きな理由は何ですか。
落ち着くんです。気分が上がるというよりも安心感が湧きますし、ネイビーは自分の肌の色にも合うって感じるんですね。 私は服を買う時に絶対試着するんですけど、その時に大事なのが自分の髪や肌の色に合うかなんです。そうするとネイビーがしっくりくるんですね。
-自分に合うか合わないかを鏡でしっかり見るのは大事ですよね。
はい。自分のお気に入りの服とか着て、クラブやグリップの色を合わせるのも楽しそうですね。
-逆に、ショップでクラブやグリップの色に合わせたウエアの提案もできそうですよね。ウエア、クラブ、バッグのトータルコーデの提案もできそうですね。ところで、松原さんはネイビーが自分の肌に合うとのことですが、実際に握ってみてもらえますか。
そうですね。やっぱりネイビーは、落ち着いて集中できそうな気がします。 ピンクだと嬉しくてニコニコしちゃうんですが、ネイビーと白の組み合わせだと気持ちを集中する方向に上手く切り替えられる感じがします。でも、全部ネイビーではなくてもいいかな。半分ピンク、半分ネイビーでもカワイイかなと思います。
-青やネイビー系は、集中できる色と言われていますよね。最近は陸上のトラックに青色を使うケースが増えているとのこと。心が静まりリラックスできる、集中力が増すといった効果があるといいます。
季節でグリップの色を変えてみよう!
-あと、季節でグリップの色を考えたりしますか。例えば、芝の色とか木々の色。新緑の時や葉っぱが枯れた時などで合わせる色も変えたくなる気もしますが。
なるほど、そんなに贅沢に変えられたらいいですね。 例えば、春なら桜の花がゴルフ場にもたくさん咲いているでしょうから、それに合わせたピンク。夏はやっぱり爽やかなネイビーと白。あと、個人的にオレンジは苦手な色ですが、白ベースにオレンジとかだったら少し秋を感じられそうです。 あとは、冬ですよね…?
-冬とゴルフは、あまりリンクしないですね。
でも、クリスマスシーズンなので赤もありかなと…。 例えば、赤のスカートを買って上は白。それでグリップも赤で合わせるとかでもいいかなぁ。あと、今まで一度も話に出なかったのですが、この茶色。 一見、地味なんですけど握ってみると手の色にすごく馴染みます。これはエンドが赤ですけど白にしてもいいかな。あと、茶色を少し薄くしてキャメルにしてもカワイイですよね。
-なるほど。手の色に馴染むか。考えたことありませんでしたが、実際に手で握るわけですから、馴染んだ方がきれいですよね。面白い視点だと思います。
「メンズはハッキリした色が多いですね」
でも、こうやってメンズとレディスのカラバリを見比べると全然違いますね。メンズの方が少しさびしい感じになりますね。
-メンズの方がハッキリした色が多く自分の好きな色を選びやすい感じですが、レディスは淡い色合いが多いからどの色にしようか少し悩んでしまいそうです。でも、悩むのが楽しいってこともありますよね。
そうですね。今までレディスばかり見ていましたが、メンズでもいいのがありますね。特に、グレーとゴールドの組み合わせはカッコイイです!
-グレーですか。一見地味ですが、ウエアを含めてアクセサリーでも今グレーを使うゴルフアイテムが増えていますね。
グレーのグリップエンドの下にロゴと同じゴールドを入れてますよね。これって、細かいことかもしれませんが、この線が入るだけで全然見え方が変わってきます。 このデザインは、すごくいいと思います。ちょっと大人っぽい感じの子だったら、グレーとか好みそうですね。
-例えば、女の子3~4人くらいでグリップを見に行ったら、ウエアを選ぶ時みたいに「〇〇ちゃん、これ似合う!」みたいな感じになると思いますが、松原さんから見て、どういう感じの女の子にはこの色のグリップみたいなおススメはありますか。
う~ん、そうですね、ボーイッシュな子だったら青が入るとシュッとしてカッコイイ感じが出てきますね。それこそ青赤白のトリコロールはいいなって思います。
-青って男性的なイメージが出ますか?
う~ん、どちらかというと薄い青の方が男性的ですかね。実は、女の子の服って濃いネイビーの服が多いんですよ。ワンピースにしてもスカートにしてもウルトラマリンブルーというか、濃いネイビーの服がすごく多いんです。 だから、ネイビーはあまり男性的なイメージはありません。ただ、ネイビーの差し色が変わると、またちょっと雰囲気が違うと思いますけどね。あと、可愛い系にはピンクとパープルですかね。
-女性ってパープル好きですよね。
そうなんですよ。私は元々幼稚園の先生をしてたのですが、子供に色画用紙を選ばせると、女の子はパープルを選ぶんです。私の世代までは何でもピンクが売り切れているイメージでしたけど、今の子はパープルがすごい好きですね。
-うちの娘も小学校へ上がる時に学習机を買いましたが、ピンクかパープルで悩んだ末にパープルを選びました。華麗な感じがあるんですかね?
確かにそんな感じはありますね。
僕がパープルというか紫って聞くと、何かコワいイメージなんですが…。
-魔女みたいな感じ?
いや、これくらい薄ければいいんですが、もっと濃いめの紫とかあるじゃないですか。それってちょっとコワい人たちのイメージがありますよね。
あー、分かります。でも、私は薄めのパープルが可愛いと思います。藤色というか、何か騒がしくない感じがします。
-騒がしくない?
幼稚園で藤組とバラ組があったのですが、集合写真を撮ると藤色のバッジをつけているときれいに映るんです。藤色って、爽やかさもあるし可愛らしさも出るんですよね。
でも、逆にそういう意見でメンズも作ってほしいですよね。
-確かにそうですね。男って気が付かないですよね。例えば、差し色とかグリップエンドの線の色なんか、細かいところまで気がいかない。言われると、そうかってなるんですけど、中々気付かない。
でも、ゴルフに行ってグリップ褒められると何か嬉しいですよね。そこ褒めてくれるんだってところを褒められると、男の人ってちょっとテンション上がりますよね。
自分のこだわりの部分を分かってもらうとうれしいですよね。
-それはありますね。
例えば、全部が青だと「あ~、青使ってるんだ」で終わっちゃうけど、それにちょっとした差し色が入ってたりすると違いますよね。そっちでテンション上がります。
-ゴルフって、そういうの出ますよね。また、自分を色んな部分で表現しやすいスポーツというか。だって、ユニフォームがあるわけではないですもんね。ウエアも個人で選んできられますから。
ゴルフって、個性が出せる場ですよね。
-ところで神谷さん、グリップの色と競技性で何か感じることはありますか。
競技性ですか…、う~ん、でも、赤など派手な色ってビタミンカラーですからテンションは上がるんじゃないですか。でも、怒りっぽい人は、少し抑えた色の方がいいと思います。
-赤とか持つと、ちょっと危険な感じか?
そういう人には少し落ち着いた青とか持ってもらった方がいいですよね。ただ、逆に常に冷静過ぎるというか、もう少し熱くプレーしたい人は、少し濃い色を使った方がテンションが上がりそうですよね。
-ゴルフって、ほどほどにテンションが上がらないと、やっていてつまらなくなりますよね。
そうですね。だから、両方同じバランスでやりたいんですよね。冷静な自分もいるし、熱くやれる自分もいて、そのバランスが上手くとれていいスコアにつながったりすると思うので…。冷静な人はあまり地味だと、それはそれで当たり前な感じになってしまいます。
-ところで女子プロは派手な色のグリップをよく使っていますが、男子プロは黒が多いですよね。あれって、何か理由があるんですか?
派手だと落ち着かないんじゃないですかね。赤とか黄色だと眩しいだと思いますよ。
-あー、構えた時にですね。
サングラスしていても芝の照り返しとかあるじゃないですか。だからグリップが派手だと眩しい時があります。
-そうですね。アドレスの時って、絶対にグリップが目に入りますよね。それに目標へヘッドを合わせる時、ヘッドの色とグリップの色が極端に違うとちょっと違和感があるかもしれない。
そうですね。色が気になったら、ずっと気になってしまいますよね。
-そういったことを考えると、黒って邪魔しないかもしれないですね。だから色自体が主張しないものを取り敢えず選ぶという感じですかね。
それが多いかなと思いますね。
-逆に、女性から男性に使ってほしい色とかあるんですか。
さっきも言いましたが、グレーとゴールドを使ってほしいと感じます。これはすごくカッコいい。すごくセンスがあると思いますし、これを男性がつけてたら、「カッコイイ」とか「ゴールドって珍しいね」とかいっちゃいそうです。
おっ、グレー付けちゃおうかな。でも、グレーとゴールドだったら最近のシャフトの色にも合わせやすいですよね。
-この記事で、グレーが売れまくるかもしれないですよね。あと、私と神谷さんの色も被っちゃいそうですね。
黒ばっかりだと重たい感じもあるんですよね。その重さを少し抑える感じで、グレー&ゴールドを入れるとちょっと軽やかになりますし、ゴールドの差し色でパッと明るくなるので全体的なバランスもとれます。
-やはり黒は重たいイメージがありますよね。実際に軽くても重いイメージになってしまう。それがグレーだと軽い印象も出てくる。そうすると、スイングも軽やかになるかもしれない。
そうですね。あるかもしれないですね。今ちょっと思ったんですけど、僕はゴルフに行く前はグリップをちゃんと拭くんですよ。でも、黒だと拭いていてもテンションが上がらないかもしれません。
-あっ、それ分かる。
なんか、単なる作業みたいな感じですよね。だから、グリップをピンクにした時の方が楽しかった気がします。ちょっと汚れたりすると一生懸命に落としたりしていました。
-やっぱり、こだわって選んでいないと気持ちが入らない。
いつも同じ色だとマンネリ化しちゃう。見飽きちゃうんですよね。
-グリップを大切にするという意味でも、少し色にこだわった方がいいでしょうね。今日は貴重なお話ありがとございました。