「開発ごっこ」を糾弾したヤマハの新作『RMX』が狙ったモノ

「開発ごっこ」を糾弾したヤマハの新作『RMX』が狙ったモノ
ヤマハ一筋27年の藤田寛之が「クビを覚悟」で開発陣に迫ったという。「やる気あんの?」 これを聞いたゴルフ事業のトップ、吉田信樹部長は強い衝撃を受けたとか。開発と契約プロの真剣勝負、その末に完成したのが業界の歴史で2番目に慣性モーメントが大きい(同社調べ)新作の『RMX』だったという。記者発表を8月5日、都内のゴルフスタジオで開催した。

「テクノロジーごっこ」をやめた新『RMX』

YAMAHA RMX 発表会に先立ち、契約プロの藤田寛之、谷口徹、今平周吾によるティザー動画を公開。それが「テクノロジーごっこは、もう終わりにしよう」という台詞だった。 そもそも『RMX』のこだわりは「小ぶりで顔が良い」「打感が良い」など、プロや上級者に好まれる「フィーリング」重視の開発姿勢だったという。ところが、数年前からキャロウェイ、テーラーメイドの外資2社が革新的なクラブを発売し、クラブに求められるトレンドが「高初速」「楽に飛ぶ」「球が上がる」「曲がらない」などシンプルになった。国内メーカー劣勢、外資優勢の傾向について吉田部長は、 「彼らはいずれもゴルフ専業メーカーです。ゴルフが好きで、だから開発の着想も斬新になる。国内メーカーの大半は専業ではないし、当社も楽器が発祥です。ただ、だからこそ広い世界の考えや技術をクラブ開発に投影できる」 YAMAHA RMX 記者発表 藤田寛之 その要素を集中的に取り入れ、ゼロから「性能」が出るクラブを追求したとか。発表会に登場した藤田寛之は、 「今まで自分より飛んでいなかった人が、急に20ヤードくらい先まで飛んでいるということが多かった。ヤマハへの愛情の裏返しではありますが、ティザー動画の中では、クビになるんじゃないかなくらいのことを正直に言いました」 また谷口徹も、 「今の海外ブランドのテクノロジーや初速を見ていて、『いいなあ』と感じることがあった。動画の撮影の時に、メチャクチャ言っていいですと言われました。ヤマハとの契約更新に響くかもしれないと思いましたが、正直に伝えました(笑)」

新『RMX』飛びの秘密は「リング」にあり

YAMAHA RMX クラウン(構えたとき) 前述のように、新作でこだわった性能は「飛んで曲がらない」こと。「曲がらない」ことを実現するために慣性モーメントを追求したという。「120」は5180g・㎠、「220」はルール上限に迫る5760g・㎠の慣性モーメントを実現した。 しかし、高慣性モーメントを追求した結果、ヘッドが従来の『RMX』よりも大型化。それにより、ボールを捉えた時の撓みがヘッド後方まで及び、エネルギーがフェースに戻り切る前にボールが飛んでしまうという現象が生まれてしまったという。 RMX BOOSTRING そこで、エネルギーロスを抑えるために同社が開発したテクノロジーが、クラウンからソールに沿ってフェース周りを囲んだ「BOOSTRING(ブーストリング)」というリブだとか。 RMX 飛びの秘密 これにより、ヘッドボディの剛性を高め、撓みをフェース周辺に集めることに成功。フェースに凝縮されたエネルギーにより高初速を実現し、「飛び」に繋がるという。

本当に新『RMX』は飛ぶのか? 前作と打ち比べ

果たして、本当に新『RMX』は変わったのか? GEWの片山記者も新『RMX』を試打。前作との打ち比べで飛距離性能を動画で検証した。

新『RMX』に込めた想いは「愉悦」? ヤマハゴルフ吉田部長独占インタビュー

吉田部長は「精神的、情緒的な価値」を新『RMX』に込めたという。それはいったい何なのか? 同氏は頭を悩ませ、言葉を絞り出すように語っている。以下、動画インタビューで。

新『RMX』の価格・発売日

RMX 『RMX 120』・『RMX 220』ドライバー 7万5000円(シャフト:オリジナルカーボン TMX-420D/フレックス:S、SR、R) 『RMX FW』 3万4000円(シャフト:オリジナルカーボン TMX-420F/フレックス:S、SR、R) 『RMX UT』 3万円(シャフト:オリジナルカーボン TMX-420U/フレックス:S、SR、R) 『RMX 120』 10万8000円(6本セット:#5~PW) 1万8000円(オプション:#4) 『RMX 220』 10万5000円(5本セット:#6~PW)・2万1000円(オプション:#5、AW、SW) ※カーボンシャフト 9万円(5本セット:#6~PW)・1万8000円(オプション:#5、AW、SW) ※スチールシャフト なお発売日は9月6日を予定している。