ゴルフシャフトの性能競争はこれまで、ボール初速やスピン量といったインパクト後のアウトプットを磨く方向で進化してきた。TRPXが今春展開する『Aero NINE』は、その流れに正面から異議を唱える。コンセプトは「振られて、飛ばせ」。インパクト前の局面にシャフトが介入することで、ゴルファーの根本的な悩みを解消しようとする一本だ。
「ヘッドスピードが上がらない」「振り遅れる」。これらの悩みは一般にスイング技術の問題として語られるが、同社は「そのほとんどはシャフトを使えていないことが原因」と断言する。
シャフト自体が正しく機能すれば動作は改善されるという設計哲学が、開発の出発点にある。
中核技術は「超高弾性90tシート材」だ。一般的なカーボンシャフトの弾性率が24〜46トン程度であるのに対し、90tシートはその倍近い超高弾性域に属する素材。しなり戻りのエネルギーが大きく、小さな力でも大きな反発力を生むため、力に頼らず「シャフトに仕事をさせる」感覚を実現する。
先端部には『Fabulous Ni-Ti』シリーズで実証済みのNi-Ti超弾性線(形状記憶合金)を継続採用。インパクト時にフェースをスクエアへ自動矯正するこの機構が、90tシートの反発力と組み合わさり、飛距離と方向性を同時に追求する設計が完成している。
重量帯は30g、40g、50g、60gの4種展開。レディース・シニアから上級者まで対応するが、90tシートの特性はヘッドスピードの遅いゴルファーほど効果を実感しやすい。スイング改造を避けたいシニア層や練習時間を確保しにくいゴルファーへの訴求は、カスタム工房にとって有効な提案軸となるだろう。
Ni-Ti素材のコストと独自設計を踏まえたプレミアム設定だが、工房でのフィッティング販売を前提とすれば合理性はあると言えるだろう。
価格は77,000円。
TRPX『Aero Nine』
TRPX https://www.trpx.jp/