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    2025年10月に、有馬カンツリー倶楽部を運営する弊社が開発した「ディボットスティック」を発売して13年目を迎えた。「ディボットスティック」はティーペグ兼ボールマーク修復具という2ウェイ商品だ。  「グリーンフォーク」ではなく「ボールマーク修復具」と称しているのは、ディボットスティックの先端部が「フォーク(分岐・枝分かれ)」ではなく「スティック(棒状)」になっているから。関東でも同形の製品をインフルエンサーが販売しているが、これは弊社とライセンス契約を交わしたものである。 ディボットスティック ベントグリーンのボールマーク修復方法は、着弾してグリーンが凹んだ部分の外側から中心に向かい、斜めにグリーンフォークを刺し、柄を立てるようにして芝を中央へ寄せ戻し、最後にパターのソールで軽く叩いてならすのが正しいと言われている。 しかしゴルフ場へ入社してから15年間、コース管理に在籍していた私はこの修復方法を好まない。その理由は3つある。 寄せるときに芝の根やランナー(ほふく茎)をブチブチ切ってしまうことがひとつ。2つ目は、グリーン面が固いと力がいること。グリーンフォークの形状によっては刺さらないときもあり、非力な女性や子どもは直しにくいだろう。 そして3つ目は、周りからきれいな芝を寄せてあげても、それは患部を一時的に覆い隠すだけで、数日もすれば患部は顔を出し、結局長い期間ボールマーク跡が残ってしまう。 ボールの強い衝撃を受けた患部の芝生表面は必ず枯れる。周囲から無理やり寄せられたために患部は強く固結してしまい、水も空気も地中に通らない。そうして患部は長く残ることになる。 どうすれば芝生は回復するのか? 周囲から健全な芝生が伸びてくるのを待つしかない。 グリーンフォークは全国のゴルフ場のスタート室で、昔から無償配布されてきた。プラスチック製やステンレス製など素材は様々。形状も様々。フォークになっている部分の根元が太く分厚いものや、簡単に折れそうなほど細いのもある。 形状によって使い方が変わるかどうかも大半は明示されず、直し方はゴルファー自身に委ねられる。そうしたことも、私がグリーンフォークを好まない理由の一つである。 昔々、ゴルフの上級者から、 「コウライ芝のボールマークはグリーンフォークを刺して患部を押し上げて直してきたけど、ベント芝は周りから寄せて直すんだよ。ベント芝の根を切らないようにね」 と教えられた。 だが、 「持ち上げようが、寄せようが、根を切ってしまうことには変わりないのに……」 私は釈然としなかった。 ゴルフ場はバブル崩壊以降、経費削減を厳命してきたが、グリーンフォークの無償提供を止めるわけにはいかなかった。ゴルフコースの品質を保つには、ボールマークはゴルファーが直すという「マナー」が必須だったからだ。 当時、有馬CCでは年間約3万5000人の来場者があり、年1回、約1万本のステンレスグリーンフォークを仕入れていた。スタート室前に「ご自由にお取りいただき、グリーンの維持にご協力ください」と掲示して、在庫が減れば嬉しい反面、「取るな、減るな」と願う気持ちもあった。減ればその分、コストが増えるからである。 そんなことに無頓着なゴルファーのキャディバッグには、様々なゴルフ場のグリーンフォークが入っている。ほとんどが忘れ去られ、バッグの肥やしと化している。 そうした状況が続くと、グリーンフォーク市場は縮小し、メーカーは苦境に立たされるはず。完全に負のスパイラルに陥っていた。 【エアレーション効果】 そんなとき、私は一つのボールマーク修復具に出会った。 2013年1月、サンフランシスコのゴルフ場から持ち帰った、先端がスティックタイプでプラスチック素材のボールマーク修復具。裏には“PitchPro Golf.com”とある。 すぐに書かれているサイトを見た。その名は「the PitchPro divot tool(ピッチプロ・ディボットツール)」。 すでに日本でもスティックタイプのディボットツールはあったのだが、修復方法が明示されていなかったため、グリーンフォークよりも使い方が困難な代物だった。 しかしピッチプロは違った。Youtube動画で修復方法を教示していたのである。 メーカーが使い方を教示していることに驚いたが、さらにその直し方に驚愕した。動画で見せていたのは、ボールマークの患部に対して何度も斜めに刺しているだけなのである。 「こんなんで本当にボールマークが直るのか?」 と、日本に帰るや否やグリーンで試したら、本当に直ったのである。 科学的な理屈はわからないが、とにかく平らになる。また刺すだけで直るなら非力な人でも使いやすい。 さらに気づいたことがある。グリーンフォークで直すよりもはるかに芝生の回復が早いのである。 この理屈はすぐに分かった。何度も抜き差しすることで患部をほぐし、空気と水の通りを良くし、空いたところから新芽が出やすくなる。つまり「エアレーション」である。 このツールは、ボールマークを本当の意味で修復できる優れものだと実感した。13年前の出会いが「ディボットスティック」開発へのきっかけとなったわけだが、皆さんにもぜひ試して頂きたい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年05月17日
    2025年9月、有馬カンツリー倶楽部はアウトコースの「ルート変更」を行った。新たな2番ホールがこれまでの7番ホールとなり、3番ホールはこれまでの5番ホールにという具合である。アウト9ホール中6ホールをシャッフルした。 コースのルーティングプランについてコース設計の書籍や資料では、「与えられた用地の中で18ホールを最初に形作るコースの命」などとある。倶楽部の理事会でルート変更の話をした際にも、設計者保田与天の意向に反しないかと危惧されたが、すでに42年前に隣接する北摂三田ニュータウン建設に伴うアウトコースの大改造を行っていたので、あまり気にするところではなかった。 それでも、それぐらい重要と考えられているルートをなぜ変更したのか。当社のサイトやSNSではそれらしい理由を後付けで考えて記載したが、この誌面では本当のことを書きたくなった。連載タイトルの主旨とはほど遠い内容だが、少しお付き合いいただきたい。 ルート変更を考えるに至ったきっかけは「コースの混雑」である。42年前のアウトコース大改造以来、距離が短く右ドッグレッグの2番パー4ホール、右奥と左手前では使用クラブの番手が変わる斜めのグリーンが特徴の3番パー3ホール、打ち下ろしの距離が短い4番パー4ホール、この3ホールの流れが悪く、とにかくよく混む。 「詰め込みすぎ」などと言われるが、それだけが原因ではない。短距離ホールが続くことが混雑の原因となっていたのだ。 そのためマスター室では、2番のティーで混みあわないように1番パー4ホールのスタート時間を遅らせて調整するが、早くスタートしたいのがプレーヤー心理。いくら調整しても、前組がセカンドショットを打てば、すぐにスタートしていく。そして、2番のティーで詰まる。これを42年間繰り返してきた。 これまで、2番のティーや4番のグリーンを後方に下げられないかなどのホール改造が議題に上がっては立ち消えてきた。東京大学西成先生の渋滞学を、著書や動画から勉強もした。しかし一向に答えが見いだせずに「しゃあないな」とあきらめていた。が、そうは言っても、混みすぎのクレームは後を絶たない。そのたびに議題に上り続ける。 昨年の秋も倶楽部理事長の知人からクレームがあり、再び議題に上がった。その際は、会社役員会で上がった議題ということもあり、久しぶりにさまざまな意見がでた。そして過去にない視点から発せられたのが「1番ホールからの並びが問題なのでは?」である。 1番ホールはレギュラー(ホワイト)ティー377ヤード、直線のいたって普通のパー4ホール。確かに1番がスムーズに進むために、間を開けずに2番ティーに次々とやってくる。その2番ホールは距離が短く、右ドッグレッグのために前の組が完全に見えなくなるまで待たなければならない。ほぼグリーン周りまで人が進んで、ようやくティーショットが打てる。2番のティーショット間隔よりも1番を終えて2番にやってくる方が早いのである。 抜け道を活用する その意見がでたときに、コースレイアウト図を食い入るように見て思いついた。 旧ルート 数年前に管理専用道路として、1番から2番ホールへ進むカート道路と、6番から7番ホールへ進むカート道路を繋ぐ抜け道をコース管理が作っていたことを思い出したのだ。 「この抜け道を活用すれば流れを変えられる!」 混雑する2番ホールの前に6番パー3ホールを持ってくることで、コールオン(前組にホールアウトを促す)をしなければ、毎組パー3の1ホール分の時間を空けながら2番ホールに進むことになる。そうすることで2番からの悪い流れを変えられるかもしれない。 他の変更の流れもコース管理道路を活用することで、「うまく調整できる!」と私はその場で大声を上げた。 混まなくなった新5番(旧2番) 役員会なので慎重な意見もあったが、しっかり検証することと、万が一評判が悪くなった場合には元に戻せばいい、あくまで道路を繋ぐだけだからと、その場で説得した。今まで全く進展しなかったことが大きな一歩を踏み出せるかもしれない。とにかく早く変更してみたかった。 1年後の2025年9月は開場65周年に当たるので、そこに照準を合わせることを早々に決めた。工事前に社内コンペやゴルフ研修などで従業員に何度も新たなルートプランでプレーをしてもらい、感想や印象を確かめてきた。 コース管理の面々には無理を言って、シーズンに入ってからカートが行き交えるだけの道路拡張工事や看板作成をしてもらった。この記事の執筆は10月だから、ルート変更の営業を始めて1か月後。評判は当然、賛否両論ある。 しかし、新5番となった旧2番ホールからの混み具合に関しては、ほぼ解消されたと言っていい。全体の流れやハーフに掛かるプレー時間も以前より良くなったように感じる。 その一方で、茶店がある新4番となった旧6番パー3ホールで混み合うことが多くなった。新たな問題の出現である。 容易に解決できる問題なんて、なかなかないんだなぁと思いつつ、それでも1歩進むためには「まずはやってみる」ことが大切なんだと、改めて感じている。 有馬カントリークラブ新ルート <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年01月13日
    今年6月13日、武庫川女子大学経営学部の西道実教授のゼミ授業が有馬カンツリー倶楽部で行われた。西道先生は心の働きを人間関係から研究する社会心理学が専門だ。同ゼミでは「ゴルフ産業」をひとつの研究テーマとされており、ゴルフ練習場・多田ハイグリーンの野原和憲社長が積極的に協力されている。 そんな中で「女子学生たちにゴルフ場を体験させたい」という依頼が私のところにきた。快諾即答し、どういうことを目的にゴルフ場を体験してもらうかについて野原社長を通じて打ち合わせをおこなった。その席で私は、 「学生みなさんがゴルフ場で体験したいことを自分たちで主体的に考えて、それを実行する授業はどうか」 と提案した。当コースはこれまでゴルフ初心者の大学生にコース体験をしてもらう「Gちゃれ」など、楽しいラウンド体験を目的に、ゴルフについてわずかながらの知識や技量の習得を進めてきた。毎年実施することで、余計なものをそぎ落とし、効率よく上達するカリキュラムが洗練されてきた実感はある。 しかし一方では内容が固定化し、新鮮さがなくなっている気もする。別視点で考えると、初心者の学生に「ゴルフはこうやるもんだ」と強要してきたといえるのではないか、と思うようになった。 そこで今回は、ゴルフ場側からカリキュラム等に一切の要望を出すことなく、学生さんたちにゴルフ場でやりたいことを自由に考えてもらうことにした。 自分たちが想像していたゴルフ場と、実際に来て見たゴルフ場とは違いがあるのか。主体性を持つことで見る角度が変わってくるかもしれない。そこで感じたものが、素直なゴルフに対する感情であり、私にとってはそれを知る機会にしたいと考えたわけだ。その結果、事前のゼミ授業ではいろいろな案が出た。 ・バレーボールがしたい ・バドミントンがしたい ・BBQがしたい ・星空観賞がしたい ・芝生の上で寝ころびたい ・クラブハウスを見学したい ・クラブハウスのレストランでランチしたい ・ゴルフカートでドライブしたい ・ドライバーでかっ飛ばしたい ・コースでゴルフを体験したい ・コーチにゴルフを指導してもらいたい 予想以上に様々な意見が拾えたことは収穫だった。さすがに、お昼からの半日授業なので、星空観賞とBBQは除外したが、それ以外はすべてOKとした。 いよいよ当日、16人の女子学生がやってきた。 まずはクラブハウス見学から。ポーターにキャディバッグを預けるところからスタートし、チェックインからチェックアウトまでの流れとともに施設と役割を説明した。コース管理事務所では管理費についても説明し、あまりにも巨額の経費がかかることに多くの学生が驚いていた。 次はレストランでランチタイム。アルコールの注文や食後のデザートもしっかり堪能。もっとゆっくりさせてあげたかったが、大幅に時間オーバーとなり先を急ぐ。 ここからようやくゴルフ練習。スナッグゴルフで模擬ゴルフを体験したあと、ドライビングレンジとカート運転講習の2か所を2チームに分かれて各30分、交代でレッスンを実施した。 その後、コースでラウンド体験というところだが、自由時間が削られたのでスタート前のティーグラウンド上で〝バレーボール〟がはじまった。10番ティー横の18番ホールでラウンド中のお客様が、ジーっとこちらを凝視していたのでヒヤヒヤしたが、学生のみんなは全く意に介さず楽しんだ。 そしていよいよ自分たちでカートを動かしながらのラウンド体験。ティーショットをかっ飛ばす人もかっ飛ばせなかった人もいたが、みんなそれなりに楽しんでくれたようだった。さて、ここからが重要である。 後日、西道先生から学生の感想が送られてきた。自分たちで考えた企画が実現したこともあり、とても詳細かつ素直な感想をたくさん頂戴した。しかし、私にとっては大きなダメージを受ける内容も多く含まれており、そのひとつが次の感想だったのである。 「ゴルフ場はあえて高貴な部分を残しており、上手くならないと行けない場所」 私が、ゴルフ場の運営を含めた舞台裏をオープンに見せたことで、ゴルフへの高い障壁をより強く感じさせる結果となったようだ。にもかかわらず我々は、 「気軽にゴルフ場に来てね」 と伝えている。彼女たちにすれば「気軽さ」とは程遠い現実を直視する一日となったようで、改めてゴルフ場と世間を隔てる壁を確認した。 今回のようなイベントや「Gちゃれ」の体育授業では、気軽にゴルフ場でゴルフを楽しむことができる。しかし、自発的に初心者が気軽にゴルフを楽しめるような環境は、今の有馬カンツリー倶楽部にはない。 経営は、事業継続が第一の目的であるため、会員をはじめとする一般ゴルファーを最も大切にしなければならない。なおかつ初心者も受け入れていきたいという考えそのものが無謀なのかもしれない。 しかし、より多くの若年層や初心者にゴルフを拡げていくには越えなければならない壁でもある。長年答えが出ない難問に正面衝突した気分だ。どうすれば初心者が気軽にゴルフ場に足を運べるようになるのかをもっと真剣に考えなければ。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年10月26日
    有馬カンツリー倶楽部では2025年1月からアプローチ練習場の拡大工事を自社で少しずつ進めている。コース管理のスタッフだけではなく、前キャディーマスター兼ゴルフプロコーチもわざわざ大型重機の免許を取り、ユンボに乗って土を動かしている。ひとえに「ゴルフが上手くなる練習場をつくりたい」との一心からだ。 日本最初のゴルフ練習場は、1929年にオープンした霞ケ関カンツリー倶楽部(埼玉県)の併設練習場だと言われている。その後、多くのゴルフ場に併設する形で練習場が作られてきた。 有馬CCの練習施設は、手前味噌だが、関西屈指との評判がある。人工芝15打席、天然芝2打席、約1万m2の広大な平坦地には260ヤードのドライビングレンジとベント芝の練習用パッティンググリーンが6面、アプローチ練習エリア、練習用バンカーなどが揃っており、会員の入会動機にもつながる当クラブ最大の特徴である。 そのため「一般開放して営業しないのか?」と聞かれることもあるのだが、当日プレーするゴルファーや会員のためのサービス施設のため、広く開放することはできない。しかし単なる「サービス施設」のままにするつもりはなく、一般開放をせずに、何とか練習施設の事業化をできないものかと思案している。 近年、この練習場を活用して子どもたちや学生、社会人など多くの「ゴルフ初心者」を受け入れてきた。その中には「打ちっぱなしの練習場には何回も行ったことはあるけど、ゴルフ場ははじめて!」という人も多い。そして、こうした活動を続ける中で、ゴルフ場でおこなう練習の重要性がはっきりと感じられるようになってきた。 それは、人工芝での練習と、天然芝のゴルフ場でのプレーには「大きなギャップ」があることだ。 練習場に通う目的は、大きく3つあると言われている。 1)スイングの形をつくる 2)スイングのリズムをつかむ 3)アプローチを身につける だが、これらを練習場で身につけても、ゴルフ場での本番ではなぜか上手くいかないケースが多い。 インドアゴルフ大手のステップゴルフは2023年11月、会員に向けて調査を行ったが、その結果インドアゴルフのデメリットが明らかになったという。ゴルフ場では天然芝の長さや傾斜、風などの諸条件が異なるため、インドア環境と実際のプレー環境は違う。そう感じる会員が約56%にのぼっている。 また、株式会社ライズ・スクウェアが2022年12月に発表したシミュレーションゴルフ経験者アンケートでは、シミュレーションゴルフのデメリットとして一番多かったのが「コース感覚とは違う」だった。 2010年代以降、IT技術が進化し、弾道測定器やスイング解析システムなど、最新技術を導入したゴルフシミュレーターが登場。コロナ禍以降、インドアゴルフが爆発的に増え、近くでいつでも気軽に練習できる環境が整いつつある。 しかし問題は「次の一歩」だ。筆者は、ゴルフ場でプレーする楽しさを感じられる環境づくりが、最も重要だと考えている。 JGRA(公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟)も同じ問題意識をもっており、ゴルフ練習場には人が集まるものの、ラウンドプレーへの移行が進まず、短期的にゴルフを離脱する人が増加中。この問題を深刻視しているようだ。 ゴルフ場に行ったことがない、ゴルフ場に行っても練習場のように上手くいかず、楽しくない、という環境を変える必要がある。そのためには練習段階で天然芝に慣れ、自然環境の中で練習するカリキュラム、つまりゴルフ場の練習施設を「練習の場」として活用することが有効ではないだろうか。実現するには、我々ゴルフ場が練習場やゴルフスクールと連携する必要がある。 有馬CCでは、併設練習場を一般開放するのではなく、契約企業とBtoB活用することで、練習施設の事業化を目指していきたい。 練習場やゴルフスクールにとっても、カリキュラムに提携ゴルフ場での練習を取り入れ、練習ギャップを埋められれば、独自色の発揮や集客に役立ち、会員の短期離脱を防げるはず。さらにこうした事例が積みあがることで業界の横断連携が進めば、ゴルフ人口の減少を食い止められるのではないだろうか。 すべてがwin-winになることを夢見て、一歩一歩前進したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年09月29日
    2025年3月31日、有馬カンツリー倶楽部で4回目となる大阪YMCAアフタースクールの「ゴルフ体験イベント」を行った。今回は、いつものしろがねこども園(兵庫県川西市)だけではなく、大阪土佐堀YMCAアフタースクール(大阪市)のこどもたちも参加。総勢46名の小学生が遊びに来てくれた。 YMCAのアフタースクールはこどもたちにとって、学童クラブとして家庭に代わる生活の場となっている。夏休みや春休みの学校が休みの間は、朝から夕方まで長い時間をともに過ごす。 大阪市のど真ん中にある土佐堀YMCAは、ウエルネスセンターとして体操・バスケット・フットサルなどの施設が備わっているが、木々のある自然の遊び場はない。そのような街中の環境にいるこどもたちにとって、自然の中で遊ぶことは非日常的なアクティビティなのだろう。言うまでもなく、参加した小学生たちは思う存分、芝生の上ではしゃぎまくっていた。 今回もYMCAの大型バスに乗ってゴルフ場に11時前に到着。そこから12時半ごろまでドライビングレンジでスナッグゴルフをしたり、ドライバーでフルスイングをして遊んだが、芝生の上でお弁当を食べてからが遊びの本番! 斜面で芝滑りをしたり、ボール遊びをしたり、カートに乗ったりして、ゴルフ場は時ならぬこどもたちの歓声に包まれた。 産学連携の一環として 当日は、「Gちゃれ」でお世話になっている流通科学大学(神戸市)の内田遼介准教授と、内田ゼミの学生6名が見学及びアシスタント指導員として参加した。これは内田先生の依頼によるもので、 「スポーツ心理学を学ぶゼミ学生に社会貢献活動をさせたい」 との想いからだ。 そこで、大学のすぐ近くにあるYMCAアフタースクールのこどもたちに対して、ゴルフ体験教室の開催を計画。こどもたちとの交流を通じて学童保育に貢献させたいと考え、そのための第一歩として学生たちを連れてこられた。 今後弊社はこの取り組みについて、産学連携の一環として積極的に協力していくつもりである。 ゴルフのファーストティプログラムがアメリカ全土に広がったように、学童保育とゴルフの親和性は高いと考えている。 その地域にとって、ゴルフは欠かせないスポーツとして、ゴルフ場は欠かせない場所として、そこに住む人たちに広く受け入れてもらえるよう、これからも努めていく。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年07月27日
    私が大学を卒業し、新卒で株式会社リクルートフロムエー(当時)に入社したのが1993年4月。最近メディアでもよく取りあげられている、バブル経済崩壊による「就職氷河期世代」の1年目に当たる。 前年までの大量採用が、一転して有効求人倍率が1倍を切る極端な就職難が始まる最初の年だ。そして1995年、阪神淡路大震災によってさらに関西の景気はどん底となる。その翌年の4月、私は家業である有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)に入社した。 将来、経営者として継ぐ可能性が高いという恵まれた環境にあったため、事前にゴルフ業界のことを何一つ学びもせずに飛び込んだ。また、当時社長だった叔父、専務兼支配人だった父からは、将来への危機感が全く感じられなかったので、大した不安を感じることもなく入社をしてしまった。 その後、ゴルフ場を取り巻く環境は急速に悪化していく。ゴルフ離れによる来場者の減少、不景気による会員の退会急増とともに、預託金の返還問題などの大波が怒涛のように押し寄せる。 近隣同業他社との競争のため、プレー価格の見直しや予約ルールの変更を急ぐなど、のんびり考える暇もなかった。会員数の減少に伴い、それまで会員の紹介が必要だった予約をいち早く、一般ビジターからの直接予約も受け付けるようにした。また、当時始まったばかりの「ゴルフ三昧」や「ゴルフダイジェスト・オンライン」などのポータルサイトとも早々に契約した。 しかし、それでも効果はなかなか上がらなかった。当倶楽部はオープン以来一度もプロの試合を開催したことがなく、近隣に「有馬」と名がつくゴルフ場が4コースあるが、その中でも最もマイナーなため、知名度がイマイチで、新規顧客獲得への努力が実を結ばなかったのだ。 関西のゴルフライターに、 「20年以上取材しているけど、こんなに近くに、こんなに良いゴルフ場があるとはまったく知らなかった」 と言われたのはさすがにショックだったが、それぐらい認知度の低いゴルフ場だった。 そんなことするな! そこで、名前を知ってもらうために、ニーズのあるところへパンフレットやチラシを置きに行こうと考えた。サラリーマン時代にドサ回り営業は嫌というほど経験している。ニーズがあるところとはゴルファーのいるところであり、当然ゴルフ練習場とゴルフショップである。 当時の営業課長と話し合い、私と2人で兵庫・大阪のゴルフ練習場や大きなゴルフショップをほぼ網羅するように、2か月に1度は回ろうと決意を固めた。ところが・・・。 まず叔父と父から、 「ゴルフ場の人間がそんな恥ずかしいことをするな!」 と言われ、カチンときた私が、 「そんなら集客はどうやるんや?」 と問い返すと、 「コースが良かったらお客は来る」 私は言い返す気にもなれず、無視して練習場やショップに足を運んだ。が、話はそれで終わらない。訪れた先々の練習場でひと悶着。 「どこのゴルフ場や!いまさらどの面下げてきとるんや!今まで偉そうにしとったくせに。チラシなぞ置くな!全部持って帰れ!」 と、頭ごなしに怒鳴られた。 あまりにも激しい罵声を浴びて、私は先代の言葉に裏付けられる、ゴルフ場の「上から目線」、ゴルフ場がその他の業界関係者にしてきた対応が、こじれた関係を作ってきたことを理解した。 ゴルフ人口を増やすにはゴルフ関連業界同士の連携が欠かせない。特に「ゴルフを練習する場」のゴルフ練習場と「練習の成果を発揮する場」であるゴルフ場の連携は、絶対に欠かせない運命共同体のはずである。それにも関わらず、お互いがそっぽを向いているような関係ではゴルフ人口の増加は〝夢のまた夢〟。 確かに、商圏範囲の大きさが異なる練習場とゴルフ場には意識差があり、単純な相互送客は容易ではない。〝時すでに遅し〟かもしれないが、今からでも本気で連携の方法を探るべきだと思っている。 幸い、当倶楽部の近郊にはゴルフ界の発展を期して奔走している練習場・多田ハイグリーンの野原和憲社長がいる。同氏はGEWでも時々執筆しており、様々な改革に挑戦中。ゴルフを広めるために共に話ができる練習場経営者の存在は心強い。 今年3月29日(土)、全日本ゴルフ練習場連盟のジュニアゴルファー検定制度に則った検定会&ラウンド体験会を、多田ハイグリーンと有馬カンツリー倶楽部の共催で実施。これを機に、練習場とゴルフ場が共同で行う様々な事業に挑戦したい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年06月22日
    2024年11月19日(火)、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では休場日を利用して、初めてゴルフに無関係なイベント『愛犬マルシェ&ドッグラン』を開催した。 『愛犬マルシェ』は株式会社錦の主催で、阪神・播磨エリアを中心にこれまで20回以上開催されている。今回は有馬カンツリー倶楽部と共催という形で、ゴルフ場で初めての開催となった。 開催場所はゴルフ場内のドライビングレンジ約1万m2を使い、隣にある第2駐車場をメイン駐車場とすることにした。 最初に犬のイベントがしてみたいと声を掛けたのは弊社からで、知人を通じて2024年6月、初めての打ち合わせを行った。錦さんは、ドライビングレンジ1万m2の広大な芝生を見て、 「ここで開催できたらこれまでにない盛り上がりになる」 と、すぐに開催することを決定。ただし、平日の休場日にしかできないことと、できるだけ荒天を避けたいため11月の開催となった。 マルシェについては錦さんがすべて手配するということだったが、ドッグランについては弊社が行うことになった。初めてのことで右も左もわからないが、ドッグランの主催経験がある方からアドバイスを受けながら準備をはじめた。 ネットのサイズ、小型犬・中型犬・大型犬、接種証明のない犬用の貸し切りゲージなど、ドッグランブースは3ブースに分けることや、受付での注意事項などレクチャーを受けながら進めた。 一方のマルシェは39店舗、キッチンカー6台が来ることになった。目標の来客数は400名。錦さんは、 「平日なのでとても無理かなあ。半分でも御の字」 という予想。そして当日……。 11月中旬ということもあり、最高気温9.5度で昨季一番の冷え込みとなり、さらに強風も吹き荒れる曇り空。受付で座っていると震えが止まらないような状態だった。 ゴルフの企画は不人気 そんな中、オープンの10時前からぞくぞくと人と犬が集まりだした。 人が犬に引きずられるような大きな犬、赤ん坊のように乗せられたベビーカーから顔だけ出す犬、防寒のため温かい服を着せられた犬、いろいろな犬がどんどん集まってきた。薄着の犬はマルシェで買った暖かい服に着替えをして、マルシェも賑わいだした。 ドッグランにもどんどん集まりだした。普段走ることができないからなのか、ロープを外されると一目散にブースの周りを何周も走り出す犬を多く見掛けた。 沖縄おにぎりや焼き鳥、ハンバーグ、パンケーキなどのキッチンカーも大はやりで午後1時半にはすべて売り切れになった。 最終的に来場者は約300名。気温が低いこともあり、滞在時間は普段より短めだったそう。それでも平日にしては大賑わいということで、主催の錦さんは喜んでくれた。 ドッグランの利用は80匹。これも普段よりは多いとのこと。ゴルフ場でゴルフ以外のイベントは初体験だったが、ゴルフ場という広大な芝生スペースの活用法として、もっといろいろ考えても良いと思った。それほど普段とは全く違う風景が、とても楽しく感じられた。 好評につき、すでに次回の『愛犬マルシェ&ドッグラン』は2025年4月15日(火)に開催が決定。とても楽しみだが、このイベントを通じて新たな気づきも得られた。 https://www.instagram.com/aiken_marche/ 実は、隣接する練習グリーンでパットゴルフ企画も同時に行ったが、利用者は0、皆無だった。 犬イベントにゴルフは必要ないということが分かった。犬を飼っている人にゴルファーは少ないのか、犬遊びとゴルフ遊びは同時にできないということなのか。次回は余計な企画はやらないでおこう。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年05月11日
    2024年に入ってから、大阪YMCAしろがねこども館の担当者と、ちょくちょく話をさせていただいている。先だっては、こどものゴルフ体験だけでなく、こども館がある兵庫県川西市が公立中学校部活の教員顧問制を廃して「社会移行」を進めていることなども含め、数時間に及ぶ議論をした。   有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)と大阪YMCAが関わりをもつようになったきっかけは、弊社が加盟している一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(以下NGK)が参画している、文部科学省の「土曜学習応援団」プログラムを通じたゴルフ体験教室の開催依頼だった。 春休みの3月27日に約40人が参加した「土曜学習応援団」ゴルフ体験教室を、有馬CCで開催したことを皮切りに、夏休みに入ったばかりの7月29日には大阪YMCA松尾台こども園にて、こちらも約40人の小学生が参加したスナッグゴルフによる出張ゴルフ体験教室を実施。さらに8月27日には、ファーストティ有馬教室サマーデイキャンプに、約15人の大阪YMCAの小学生が参加してくれた。 大阪YMCAしろがねこども館のアフタースクールでは、学童保育として、平日の放課後や夏休み、春休みなどに小学生を預かり、適切な教育、遊びを通じて安心して過ごせる環境を提供されている。 また、楽しみながら取り組める社会体験プログラムなども積極的に行い、子どもたちが自ら「したい」「学びたい」という気持ちを伸ばすように努められている。 春休みや夏休みには、早朝から夕方遅くまで子どもたちを預かられている。そのため、日々子どもたちの新たな学びを作ることは本当に大変な業務といえる。 日本とアメリカの違い そうした学童保育のご苦労に対し、弊社では微力ながら今後も協力していきたいと考えている。なぜなら、弊社が推進しているこどもたちのゴルフ体験教室である「ファーストティプログラム」の活動は、学童保育との親和性が高いと考えているからである。 「ファーストティプログラム」発祥のアメリカでは、学校教育や放課後教育に広く活用され、子どもたちを事件や事故から防ぐ放課後の安全な見守り活動の一旦を担っている。例えば、アメリカのバージニア州にあるファーストティ ハンプトンローズは、サウス ハンプトンローズYMCAの専門プログラムの一つとなっている。 バージニアビーチナショナルゴルフクラブの敷地内にファーストティの拠点があり、専用の9ホールコース、練習場、学習センターに加え、地域内にある複数のゴルフコースでプログラムを提供されている。 このように、アメリカではYMCAのプログラムの一つとして、子どもたちの健全な成長に「ファーストティプログラム」を通じてゴルフが活用され、日常生活に欠かせないものとなっている。 一方、日本の現状はどうだろう?周知のように、日本では学校教育にゴルフが活用されている事例はほんの一握りで、放課後教育についてはいまだ皆無といえるのではないだろうか。 ゴルフやゴルフ場の存在は、日本の子どもたちの日常生活にとってはまだまだ遠いものであり、ゴルフが持っている公益性を広く理解してもらうことなど全く考えられないのが現実である。 日々の放課後教育にゴルフ場を活用することは、まだまだ困難かもしれない。しかし、春休みや夏休みの教育プログラムでは、「ファーストティプログラム」を通じてゴルフが学童保育に一役買うことができるということは分かった。 こうした小さな積み重ねが、将来においてゴルフの公益性を広く世間に知ってもらう礎になるかもしれない。そう願って今後も活動を続けていく。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年02月09日
    有馬カンツリー倶楽部では毎年、兵庫県教育委員会が進めている中学2年生の職場体験学習「トライやる・ウィーク」に参画している。 「トライやる・ウィーク」は、1995年の阪神淡路大震災、1997年の神戸連続児童殺傷事件を機に、中学生に働く場を見せて学習させようという趣旨で、1998年度からスタートした。職場体験、福祉体験などを1週間行う活動だ。 県内の公立中学校に通う2年生を対象としているが、有馬CCでは2000年度より、隣接する三田市立ゆりのき台中学校の2年生を受け入れている。さらにここ数年は、各事業所に送る最大人数の10名を受け入れている。 三田市内では73ヵ所の事業所で受け入れているが、弊社はその中でも抽選になることが多く、人気の事業所となっている。2024年度は、5月27日(月)から31日(金)にかけて実施した。今年はサッカー部、野球部、バレーボール部に所属する運動部系の元気な男子生徒10名がやってきた。 学校からは、事前に各自の行動目標を記した書面をいただいている。そこには人間関係や礼儀、接客、裏方の重要性を学びたいなど、それぞれしっかりした目標が書かれていた。そして、いざ活動開始。 行動目標に書かれているように、全員が真剣に職業体験に取り組んでいる印象を強く受けた。弊社では例年、半日だけではあるが、ゴルフ体験の時間を設けている。 体験活動後のお礼状には、仕事で得られた経験もさることながら、ゴルフ体験が楽しかったという感想が多く書かれていた。 スポーツ大好き少年たちにとって未知のスポーツ体験はとくに楽しい。それが先輩から後輩へ受け継がれ、毎年定員いっぱいの人気の要因となっている。 将来の従業員確保も 「トライやる・ウィーク」は弊社にとっても、とても大きな価値ある取り組みだ。地元に住む少年たちにゴルフ場での職業体験やゴルフ体験を実施することで、将来ゴルフを始める最初のきっかけづくりや、アルバイトを含めた将来の就業場所として考える選択肢のひとつになるのではないかと考えている。実際に〝トライやる・ウィーク〟がきっかけとなり、アルバイトキャディーになった大学生もいる。 現在、地元での就業を考える上で、ゴルフ場が選択肢となる人の数がとても少なくなっているように感じる。日常生活とゴルフ場がかけ離れているため、行ったことも見たことも入ったこともない場所を、いきなり就業場所に選ぶことは、まずないと思えるからだ。 弊社は、大阪・神戸のベッドタウンとして人口が増えたニュータウンに隣接している。だからこそ、近隣住民との日常生活における距離感はとても遠いと感じている。 そもそも、従業員の多くが近隣地域の住民だ。近隣地域を大切に考えている姿勢を内外に分かりやすく伝え続けていくことは、事業継続において最も重要な事項といえる。 地域行政や自治会等の取り組みに対して積極的に参画して地域交流を深めることで、近隣住民との距離感を縮めていく。 そうすることで、ますます困難となっている雇用問題の解消にもつながるのではないかと考えている。 トライやる2024-(予定表) <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年11月24日
    いつもは子どもや学生に向けた「ゴルフチャレンジ」について書く機会が多いのだが、今号は、有馬カンツリー倶楽部が加盟している地元兵庫県三田市ゴルフ協会の新規プロジェクトについて紹介したい。 2024年7月より、三田市ゴルフ協会加盟のゴルフ場七か所をプレーしてめぐる『ゴ朱印めぐり』プロジェクトを始めた。「ゴルフ」と「御朱印」を掛けたわかりやすいネーミングである。 当コースのほか、有馬冨士カンツリークラブ、神戸三田ゴルフクラブ、サングレートゴルフ倶楽部、三田ゴルフクラブ、三田レークサイドゴルフクラブ、千刈カンツリー倶楽部の7か所のゴルフ場を七福神の神様になぞらえ、オリジナルの朱印シールを専用ゴ朱印帳に貼って収集していくスタンプラリーである。 近年、寺社の御朱印だけでなく、「御城印(お城)」「御船印(船舶)」「御湯印(温泉)」「御鉄印(鉄道)」「御翔印(空港)」など様々な御朱印があり、流行しているが、ゴルフ場やゴルフについては、まだ行われていないようだったので、全国に先駆けてゴルフ場専用の「ゴ朱印」と専用のオリジナル「ゴ朱印帳」を考案。三田市ゴルフ協会の新たなプロジェクトとして実施するもの。 このプロジェクトの実施で、三田市へのマイクロツーリズム及びインバウンドツーリズムの活性に一石を投じ、地元地域の振興に寄与していくことを目的としている。そのため「ゴ朱印帳」にはゴルフ場の情報だけでなく、近隣の観光スポットやグルメスポットも掲載している。 ゴ朱印帳は、初版1000部限定とし、販売価格は原価ギリギリの1100円(税込み)。 また各ゴルフ場でプレー時にゴ朱印帳を持参の方のみ、無料で「ゴ朱印」シールをお渡しする。すべてのゴルフ場をプレーした場合には、満願シールも配布する。 評価は「数値」だけ? 三田市ゴルフ協会の会長は元三田市長が担っているが、実際に協会の運営を担っているのは7か所のゴルフ場支配人である。事務局は現在有馬カンツリー倶楽部にある。そのため、本プロジェクトについてもゴルフ場及び発案した当クラブが中心となって進めている。 地域振興及び協会の取り組みの活性のために実施するプログラムではあるが、「ゴ朱印」には、もうひとつ目的があった。 それは、市内7か所のゴルフ場それぞれの個性を差別化して可視化することである。 ポータルサイトによるゴルフ予約が一般化している現在、ゴルフ場を決める3大要因はすべて「数値」である。 1つ目に「価格」、2つ目に「最寄りインターチェンジからの距離や時間」、3つ目は「口コミなどの評価ポイント」である。いずれも数値でのみ判断され、ゴルフ場が本当に伝えたいそれぞれの特徴がなかなか伝わらない。 そこで、「ゴ朱印帳」を制作するにあたり、お互いのゴルフ場を比較しながら、他のゴルフ場にはない特徴を引き出し、それを掲載してゴルファーに知っていただく。そうすることで、同じ市内でも特徴が異なるゴルフ場を見つけて「次はここに行ってみよう!」と思ってもらえるかもしれない。そうしたものを作りたかった。 近隣ゴルフ場の特徴を理解し、自社のゴルフ場の特徴との差別化を明確にする。そうすることで、近隣ゴルフ場同士が「数値」のみで競争する原理から脱却し、近隣同士がお互いで送客し合う方向に舵を切る。このような工夫を重ねることで、地域全体に多くのゴルファーを引き寄せることができるのではないかと考えている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年09月29日
    前日までの雨が嘘のような快晴で、絶好のゴルフ日和となった3月27日、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)にて「YMCAしろがねこども館」の学習イベントがはじめて開催された。 きっかけは、弊社が加盟している一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(以下NGK)が参画している文部科学省の「土曜学習応援団」プログラムを通じてのことだった。 「土曜学習応援団」とは、土曜日をはじめとして夏休み、冬休み、平日の授業や放課後等を対象に、地域や学校からの要請を受けて、多様な経験や技能を持つ民間企業・団体・大学などが学習プログラムを提供。子供たちの豊かな学びを支えながら、地域の特色や魅力ある教育活動を推進していく取り組みだ。2012年より、文部科学省が活動を開始したもの。 この取り組みに対し、「ゴルフ界はウェルビーイングな社会の実現に貢献する」というビジョンを掲げているNGKが、①生涯にわたって運動・スポーツを継続する子供の増加と体力の向上、②誰もがスポーツに参画できる社会の実現、を目的に【みどりの体験学習教室「ゴルフ場で自然を学ぼう」】という教育プログラムで参画しているため、今回のイベント開催に至った。 今回連絡をいただいたYMCAしろがねこども館のアフタースクールでは、学童保育として、平日の放課後や夏休み、春休みなどに小学生を預かり、適切な教育、遊びを通じて安心して過ごせる環境を提供されている。 また、楽しみながら取り組める社会体験プログラムなども積極的に行い、子どもたちが自ら「したい」「学びたい」気持ちを伸ばすように努められている。様々なプログラムを通じて、指導員のサポートのもと、子どもたちが小集団の中で様々な影響を受けながら 互いに認め合い、達成感を得る。そのような体験を重ねることで、子どもたちの健全な内面の育成を目指されている。 その流れで今回は、春休みのビッグイベントとしてゴルフ体験に白羽の矢が立ったわけだ。 ファーストティとの相性 春休みや夏休みで学校が休みの間は、平日の早朝から夕方遅くまで、毎日子どもたちを預かっている。そのため日々、子どもたちの新たな学びを作るために試行錯誤が行われている。そうした学童保育のご苦労について、わずかではあるが理解することができた。 今回のプログラムは、NGKの【みどりの体験学習教室「ゴルフ場で自然を学ぼう」】ということではあったが、弊社が以前から行っているファーストティプログラムを活用することにした。 時間は午前11時から午後2時まで。プログラムは午後1時までに終了し、その後芝生の上で持参のお弁当を食べて、30分程度芝生で自由に遊んで終了といった内容である。 参加した37名の小学生に怪我や事故はなく、とても楽しいイベントとなったようである。また、指導員の方々にもご満足いただき、「ぜひ次回もお願いします」という言葉を残して帰られた。 今回、ファーストティプログラムを活用したのは、以前から学童保育と親和性があると考えていたからである。ファーストティはアメリカで発祥し、広く受け入れられている。ゴルフの技術指導に偏ることなく、礼儀や誠実、スポーツマンシップなどナインコアバリュー(9つの徳目)を重視するのが特徴で、学校教育や放課後教育に活用されている。現在も積極的にOB・OGのボランティアが参加して、子どもたちを事件や事故から防ぐ放課後の安全な見守り活動の一翼を担っている。 ゴルフを通じて子どもたちの健全な人格形成を図り、「ライフスキル(生きていく上で必要な能力)」や、人生の価値を教えることを目的とした教育プログラムであり、YMCAアフタースクールの目的とも一致している。 今回、YMCAの学童保育イベントとして協同し、これまで考えてきたことが確信に変わった。 普段の平日の放課後保育に活用することはまだ難しいかもしれないが、今回のように春休みや夏休みの定期屋外プログラムでは、ファーストティプログラムを通じ、ゴルフが学童保育に一役買うことは間違いない。ウェルビーイングな社会に向けて、ゴルフの可能性を広げたい。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年09月08日
    有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では、2016年から大学体育ゴルフ授業の「Gちゃれ」を毎年行っていることを、誌面上で何度もご紹介してきた。 この授業プログラムを開発し、そして推進しているのが一般社団法人 大学ゴルフ授業研究会(北徹朗代表・武蔵野美術大学教授)だ。多くの大学でゴルフが教材とされているものの、その大半は学内での打ちっ放しで完結するカリキュラムとなっており、ゴルフ場の楽しさを体験できない。そこで、受講学生が正課教育(大学体育)で学んだ知識や技術を、課外教育(ゴルフコース)に接続するコースデビュープログラムとして、「Gちゃれ」が位置付けられている。 当クラブでは、大学ゴルフ授業研究会の承認を得、連携している大学授業の状況により、ゴルフコースで実施する正課教育も「Gちゃれ」と拡大解釈している。 毎夏に「集中講義」として開催している甲南大学と追手門学院大学がその対象だ。「集中講義」とは、夏休み期間などの短期間に集中して授業が行われ、単位が付与される授業のことである。 大学体育では、スキー授業合宿などで集中講義が実施される例が多い。これと同様に甲南大学と追手門学院大学では、3日間のゴルフ合宿によって1単位が付与される正課授業が行われ、近隣の施設で宿泊しながら有馬CCでゴルフ授業を実施している。 ただし、3日間だけではカリキュラムの時間数が不足するので、大学内での座学やゴルフ部施設、学外にある近隣練習場でのゴルフ練習などで事前授業が行われている。 以前、当クラブで始めるにあたって、大学の担当教授に授業の目標を質問したことがあり、 「できることなら18ホールをプレーさせることを目標にしたい」 ということだった。 有馬CCでの授業は、両大学ともに、当クラブのゴルフコーチが講師となって授業を進めている。 講師として進めていく上で、弊社で定めていたミッションがある。 「初心者学生に対し、どのようにゴルフを教えれば、ゴルフ場でゴルフを楽しませることができるか、ゴルフを好きになれるか」 である。 試行錯誤をつづける ただし、大学の先生とゴルフ場側では、ミッションや目的に乖離がある。当クラブ以外にも「Gちゃれ」を受け入れているゴルフ場はあるが、特に近年は全国的に入場者が堅調なため、初心者の学生にコースを開放することが難しい。ゴルフ場が全面協力して、授業のペースを優先しながらプレー環境を提供することは困難という事情もあり、先生方は目標について、妥協せざるを得ないケースもあった。  そんな中、「Gちゃれ」をはじめて6年が過ぎ、弊社のミッションもある程度データが揃ってきたため、2023年の「Gちゃれ正課授業」より新たなミッションを加えることになった。 「いかにして集中授業の3日間で、18ホールをプレーラウンドできるまで成長させられるか」 ようやく、先生方の授業目標と合致するに至ったのである。 2023年8月に甲南大学14名、9月に追手門学院大学23名がそれぞれ受講、新たなミッションの完遂を目指して動き出した。 一般ゴルファーに交じったプレーラウンドのため、当然プレーペースは守らなければならない。最終組のスタート後に3ホール程度のプレーとは異なり、ハーフプレー2時間10分が目標と、通常と同じペースである。この間、初心者がいかに楽しくプレーできるかを念頭に、弊社コーチ陣は試行錯誤。まだまだクリアすべき課題はたくさんあるが、なんとか多くの組が18ホールを完走することができた。 技量に応じて柔軟にルールを設定したり、スクランブル競技形式などを用いてチームで進めたりなど様々な工夫を重ねながら、初心者が18ホールを、周囲に迷惑をかけることなく、しかもゴルフを楽しめることがもっとも大事。よりスムーズな方法が確立すれば、ゴルファー育成に役立つだけに、もっともっと様々な方法にトライしていきたいと思う。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年06月09日
    有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)には、2017年8月から始めた初心者ゴルフ体験の「ビギナーズ・プラン」がある。 当時は大学生の体育授業にゴルフ場を提供する「Gちゃれ」を始めた頃で、練習場である程度打てるようになってからゴルフ場デビューするのではなく、まずは実際にコースに出て、ゴルフの楽しさを知ってもらうことも大切ではないかとの思いで試験的に始めた。 プラン内容としては、最終スタートを終えた午後2時以降に90分の時間制でコースを利用できるようにした。9ホールのハーフプレーや、時間制でも2時間の設定にすると、プランのターゲットではないアスリートゴルファーが参加するかもしれず、それでは始める意味がないと考えて「90分」とした。 また初心者は、自分自身でゴルフ場予約などするわけがない。既ゴルファーがゴルフを始めたい(始めさせたい)と思っている家族や親族、友人を連れて来ると考えるのが当然だと思い、ゴルフをできる人が予約して初心者を連れてくる、そして責任を持ってゴルフ場の利用方法を教えるという「エチケットリーダー制」を取った。 2017年から始めたこのプラン。当初、当倶楽部会員に大々的に案内し、自社ホームページやSNSでも紹介したが、まったく予約が入らなかった。「後続組を気にすることなく、他のプレーヤーに迷惑をかけることなく、ゆっくりゴルフ場のコース体験を楽しめますよ!」といくら案内しても、まったく反応がなかったのである。 何故なんだろう?と数名の会員に直接聞いてみた。すると、みなさん異口同音に同じ回答だった。 「練習をまともにしたこともない人をゴルフ場に連れて行くこと自体考えられない。連れて行くだけでもゴルフ場に迷惑をかけてしまう」 これが、長年に渡って培われてきた、日本のゴルファーが一般的に等しく持っている考えなのかと思い知らされた。 いつからかはわからないが、とにかくゴルフ練習場で打てるようにならなければ、ゴルフ場に足を踏み入れてはならない。もしも初心者を連れてプレーでもしたら、後続の組から罵声を浴びせかけられたり、ゴルフ場職員から早くプレーしろと怒られたりするかもしれない。そうした想像がすぐに思い浮かばれて「とても初心者を連れて行けない」と思うのではないか。その思いは会員であればなおさら強いのかもしれない。 この深く刻みこまれた考え方を覆すのはとても困難である。しかし、私はこれを変えていきたい。幸いビギナーズ・プランは大したリスクのないプランである。利用者が居ないからといって止めることなく、地道に継続することにした。 ゴルフ場の「空気」を変える 前述した「Gちゃれ」の活動を継続し、翌年の2018年からは「ファースト・ティ」という子ども教室の活動も開始した。これにより、以前は当ゴルフ場では見たことのない子どもや学生などを見かける機会が増え、会員や来場されるゴルファーの意識が少しずつ変化していった。ゴルフ帰りに、練習場で子どもたちに教えているコーチに声をかける会員や、飲み物を学生たちに差し入れてくれる会員もでてきた。 始めてから丸6年。現在、毎月20~30人の初心者がビギナーズ・プランを利用して来場している。近隣のゴルフスクールも積極的に活用してくれている。ビジターからの問い合わせも少しずつ増えている。 2023年に練習場の打席をリニューアルしたり、練習場に専用トイレを設置して、練習環境を整えたことも増加につながっているのかもしれない。「有馬カンツリー倶楽部では、初心者が安心してゴルフの体験や練習をできる」というイメージが付き始めているなら嬉しく思う。 「練習場で打てるようにならないとゴルフ場の敷居は跨げない」という従来の空気が払拭されて、「まずはゴルフ場で楽しいゴルフ体験をしてから始める」という新しい文化を広げることはとても大事。初めてのゴルフ体験が楽しい思い出になれば、18ホールのラウンドプレーを目指して自発的に練習場へ通うはず。そんな習慣が醸成されれば、ゴルフはもっと広がっていくと夢見ている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年04月21日
    唐突だが、昨年度より有馬カンツリー倶楽部の地元兵庫県三田市にある「三田市企業人権を考える会」(三企考)の監査役を仰せつかった。昭和53年に三田市企業同和教育推進協議会として設立した団体で、現在は三田市産業政策課内に事務局を構えている。 「三企考」は三田市内の事業所で構成され、企業内での人権教育を通じて働きやすい職場づくりをすすめている。年に数回、人権に関するセミナーなどの主催や研修用書籍、DVDの提供を行っている。 弊社は昔から加入しているものの、ほぼ「三企考」を活用することはしてこなかった。 しかし令和4年4月1日より、労働施策総合推進法において中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化され、職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントなどを一元的に防止する対策が企業に求められるようになった。そのため「三企考」でもハラスメント問題を取り上げることが多くなった。 そこで、弊社でもパワハラ防止措置の義務化を前に、DVDを借りて社内勉強会を開いたり、セミナーにも参加したりと、ここに来てようやく「三企考」とつながりを持つようになった。 こうした動きもあってか監査役の申し出を受けたということである。 しかし市内事業所の考え方として、職場環境改善と「三企考」の活動が一致しないのか、セミナーの参加者はいつもまばら。10人参加しても半数以上が市の職員ということもあった。 そこで、さっそく私は提案した。 スナッグゴルフによる職場コミュニケーション向上のレクリエーションイベントとハラスメントセミナーをセットにして、加入事業所に案内してはどうかと。 すると、事務局である産業政策課の人たちは意外にもすぐに乗り気になってくれた。よほど人集めに苦労しているのだろう。 まずは「市役所職員でスナッグゴルフの体験をしてみたい」との要請がきた。開催日は今年の9月6日。開催会場はゴルフ場でも市役所前の芝生広場でもなく、いつもセミナーを開催している屋内多目的ホールである。しかし面積は約457㎡とかなり広い。時間は業務終了後の18時から19時30分までの90分。参加者は三田市産業政策課と都市整備課の有志9名だった。 大切なのは「ゴルフの原則」 まずは、スナッグゴルフのランチャー(アイアン)を使って、軽く打つ練習をしてクラブの扱いに慣れてもらい、その後は6ホールを作って、18ホールのローラー(パター)によるパット大会を行った。 あくまで職場のコミュニケーション向上を目的としたレクリエーションである。まずは楽しむことが第一。ゴルフについての技術指導等は一切言わないようにした。しかし、ゴルフの原則である「安全を含め、周囲や他者に配慮しつつ、ルールを守る。その上で全員が楽しめるようにする」ということは声を大にして説明した。 ラウンドプレーだからこそ、後からプレーする人が問題なく気持ちよくプレーできるようにする。これはスナッグゴルフであろうが、屋外だろうが、屋内だろうが変わらない〝ゴルフの原理原則〟である。 この原理原則があるからこそ、職場での立場が違う人同士が一緒に楽しむことができるレクリエーションになるし、職場コミュニケーション向上にも役立つと考えている。 それこそが事務局の人たちに体験して感じて欲しかった一番大切な要素である。 短い時間ながら、初めてクラブを握る人も、普段からゴルフをされる人も一緒になって汗をかいてもらった。 今回のスナッグゴルフ体験を通じて、今後の「三企考」活動だけでなく、ハラスメントや人権問題を防止するためのツールのひとつとして広く〝ゴルフ〟を活用していただけるようになれば嬉しく思う。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年01月30日
    有馬カンツリー倶楽部では、大学ゴルフ授業「Gちゃれ」やファーストティなどへの取り組みを通して、ゴルフをしたことがない人たちにゴルフ場でゴルフを楽しんでもらうチャレンジを積極的に行っている。 グループのゴルフ場を持たず、大きな資本傘下でもない中小零細の当コースが、なぜこのような取り組みをするに至ったかを私の経験を踏まえて少しお話したい。 私が求人雑誌の広告営業マンを辞して家業である現在の会社に入社したのは、阪神淡路大震災の翌年1996年4月。コース管理職員からゴルフ場勤務をスタートした。 すでにバブル景気の終焉後だったため、ゴルフ場景気の悪いことは理解していたが、当時経営責任者だった叔父や父から「ゴルフコースがキレイであればお客様は増えるはず」という呪文をいつも聞かされていた。そんな呪いを本気にすることはなかったが、まずはターフメンテナンス技術の習得に没頭した。正しい判断をすれば元気になって素直に応えてくれる天然芝の管理業務は、人を相手とする営業職に疲れ切っていた心を充分に癒してくれた。 そんなコース管理業務を楽しんでいた数年のうちに、ゴルフ場業界の周辺環境はめまぐるしく変化していた。新しい大手企業が勃興し、集客のための低価格競争は激化。弊社のような中小零細企業は完全に後手に回り、周辺の価格を伺いながらビジタープレーフィを決めているような始末。来場客数減少のため、経営状況はひっ迫していた。そこで過去の営業時代を思い出して、少し集客を手伝うことにした。 集客を第一に考えるなら、ニーズのあるところを攻めればいい。第一に近隣のゴルフ場、次にマーケットエリア内にあるゴルフ練習場やスクール、その次に同エリア内にあるゴルフショップ。要するに市場エリア内のゴルファーがいるところを狙えばいい。言い方は悪いが、価格同等クラスの他のゴルフ場から客を奪ってくるのが手っ取り早いと考えた。 市場調査を徹底して行い、景気動向を予測し、他所よりも先に価格を決めてオープンにする。他所に予約する前に先に予約を促す。知名度がなければチラシを作って練習場やショップに置かせてもらう。当時始まったばかりのポータルサイト予約もいち早く登録した。 当時の私は、我々のような小さな企業は余裕がないため、ニーズがない(ゴルファーがいない)ところに力をいれても仕方がない。新しいゴルファーを増やすような労力に見合わないことは、豊富な資金力のあるところに任せればいいと考えていた。このような考えは前職の影響である。同業他社は同じニーズを奪い合う〝敵〟である。完全な新規顧客を探しだして新たに作るよりも、他社顧客を奪うほうがはるかに少ない労力で効率よく数字を得られる。それが営業現場では当たり前だった。 だから集客に悩みながら、近隣のゴルフ場と仲良くしている支配人を見ると不思議で仕方がなかった。 それからさらに数年が経った2012年、会社の代表となった。その当時、集客力はある程度備えていたが、デフレ景気真っただ中のため、価格競争から抜け出せず、平均単価を下げない努力をしていたものの、上げることもできずにいた。何とか同業他社との差別化を図り、価格競争からいち早く脱却したいという思いが強くなっていた。また団塊の世代がリタイアする2015年問題がゴルフ業界で大きく取り沙汰されていたため、縮小市場でのさらなる競争激化が予想され、弊社のような弱小企業は簡単に飲み込まれてしまうという不安も付きまとっていた。 他社連携の可能性を 業界最大の問題である市場の縮小をどう防ぐのか。高齢を理由にリタイアしていくゴルファーは止められない。それに見合うだけの新規ゴルフ参入者がいないためにゴルフ人口は減少の一途を辿っている。 この業界最大の問題解決は、需給バランスを保つために同業他社が減少するか、もしくは新たなゴルファーをつくるかの二つしかない。そこで弊社では、他社に先駆けてゴルフ場で新規ゴルファーを創ることにより差別化を図り、そうすることで弊社の存在価値をあげ、会社の存続につなげようと考えた。 これまでは弊社のような弱小企業が新規参入者を増やすような努力をするべきではないと思ってきたが、日本全人口の約5%、そこからさらに縮小する狭いゴルフ市場にとらわれず、残りの人口95%に対して挑戦しよう。そう考えると小さくなっていた視界が急に広がった気がした。 しかし、これまで日本ゴルフの歴史において、ゴルフ場で新規参入者を増やしてきた実績はない。プレーペースに対する問題が大きいため、初心者がプレーするフィールドがゴルフ場につくられてこなかった。初心者へのコース提供には乗り越えるべき数多くのハードルがある。 弊社にとってGちゃれやファーストティへの参画はそのハードルをひとつひとつ下げるための試験的な取り組みである。すぐに結果がでるものではないが、着実に少しずつ種を蒔いている。そのうちに、新規ゴルファーという芽が有馬CCのコースに出てくるだろうと信じている。 現在のゴルフ市場内での集客競争において、「近隣同業他社とはライバル関係である」という考え方について、私は今も変わらない。 しかし、「新規ゴルファーを創造する」という業界課題の解決については、他社連携はいくらでも可能であると考えている。 私自身、この取り組みを始めたことによって前職で植え付けられてきた「数字を効率的に得る」ためだけの直接的な狭い視点から、俯瞰的視野を持って、広く物事を考えることを教わった気がする。 様々な人たちと「新規ゴルファー創造」について様々なアイデアを出し合い、実行することで実績を積み、さらに良い策を協働して練り上げていく。そのような関係が構築できれば素晴らしいと思う。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2023年11月05日
    有馬カンツリー倶楽部の経営は、ゴルフ場運営会社の新有馬開発株式会社とレストラン運営会社の株式会社ニューアリマの2社で構成されている。ともに同じ代表者の兄弟会社である。 2022年4月、会社設立以来60年を超えて初めて、2社それぞれのパーパス(企業の存在意義)を定めた。新有馬開発は「すべての人にゴルフを拓き、これからのゴルフ文化を創造する」とし、ニューアリマは「すべての人に食を拓き、これからの食文化を創造する」とした。 これまでに紹介してきた〝Gちゃれ〟や〝ファーストティ〟などの取り組みが、ゴルフ場運営企業の存在意義を示すものとなったが、レストランについても「すべての人に食を拓き」に基づき、同様の取り組みを始めている。 ゴルフ場に来場されるゴルファーにしか提供してこなかった〝ゴルフ場の食〟を、ゴルフをしたことがない人も含めて広く提供するという取り組みである。 その第1弾がオリジナルレトルトビーフカレーのEC販売だ。国民食といえるカレーは、ゴルフ場レストランにとっても定番食である。限られた時間内で速やかに提供でき、気軽に食べられるメニューとして、日本のほとんどのゴルフ場で存在していると思われる。 有馬カンツリー倶楽部レストランでもオープン以来の定番メニューとなってきた。フルーツチャツネを使った甘味と少しの辛味、じっくり煮込んだ濃厚なコクのある昔ながらの欧風カレーである。 ビーフカレーはオープン以来60年に渡り同じレシピで作られており、 現在の料理長で6代目。初代料理長が作ったレシピを、代々受け継いできた。 初代料理長は明治から続く神戸の老舗ホテルレストランで腕を磨いた人で、ゴルフ場のレストラン設立時にヘッドハンティングしたそうである。当時のホテルで提供していたカレーレシピに料理長のアレンジを加えたものが、有馬カンツリー倶楽部カレーのレシピとなった。 自社ECで1000食販売 60年間、倶楽部メンバーを中心に多くのゴルファーに「美味しい!」と親しまれてきたカレーだが、このままでは、ゴルフと無関係な人には知ってもらうことも食べてもらうこともできない。ゴルフ場ではこんなに美味しい食事を提供しているんだということを知ってほしい。美味しい食事がゴルフを始めるきっかけになれば、どんなに素晴らしいことかと思い、EC販売をはじめようと考えた。 本当は料理長が作ったカレーを提供したいが、さまざまな超えるべきハードルがある。そこでまずは味を再現したレトルトから始めようと考えた。OEMの会社に何度もサンプルを作ってもらい、1年を掛けてようやく完成。 まずはマクアケというクラウドファンディングの先行販売サイトで1か月間販売した。 目標金額25万円に対し100万円を超える支援を頂いた。これをきっかけにインターネットのヤフーニュースで「神戸のゴルフ場で出されたカレーがうますぎて驚愕」という記事が掲載されると、自社のショップサイトにおいて1か月間で1000食を売り上げた。北海道在住の女性によるリピート購入コメントでは「これまでにこんなに美味しいレトルトカレーを食べたことがない」という評価を頂いた。 このことから〝ゴルフ場の食〟にはまだまだ大きな力が秘められていると確信した。 現在、事業再構築補助金を活用し、料理長が調理した冷凍食品を中心とするEC販売の準備を進めている。また、レトルト第2弾としてカレー同様に60年間変わらない味のビーフハヤシが完成、2023年7月に先行販売を開始する。 ビーフカレーの60年変わらない製造工程 ●カレールーを作る 1)玉ねぎなどの野菜をカットし、ソテーパンに牛脂を溶かして野菜ソテーをつくる。 2)強力粉とカレー粉を野菜ソテーと合わせる。 3)低温オーブンでカレールーの水分を抜く。40分おきにスパテルでルーをかき混ぜる。 4)4時間後、カレールーをフードカッターで粉砕し、サイドオーブンで2時間焼いて完成。 ●ビーフカレーソースを作る 1)カレー肉をカットし、フライパンで肉をソテーしたのち、チキンブイヨンで20分煮込む。 2)作ったカレールーをチキンブイヨンでミキシングし、カレー煮込み用の鍋に入れる。 3)フルーツチャツネ、ウスターソースなどの調味料を合わせ、火にかける。 4)カレーソース濃度を確認して、肉を入れて再度煮込む。 5)カレーソースの状態を確認して、玉ねぎ、ニンニク、土生姜を加えて仕上げる。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2023年10月08日
    有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)が2018年8月より、小学生を対象に毎月「ファースト・ティ」ゴルフ教室に取り組んでいることは以前この誌上で紹介した。 「ファースト・ティ」とは、1997年に活動を開始した米国フロリダ州に本部を置く団体で、全世界で200以上の支部、1000か所以上の施設で、累計1500万人以上の子どもたちが参加しているゴルフレッスンプログラムである。 日本でも特定非営利活動法人ファースト・ティ・ジャパンを本部とし、全国12か所のゴルフ場で活動している。 このレッスンの目的は人間性を育むことであり、ゴルフの技術指導は最優先事項ではない。ゴルフを通じて子どもたちの健全な人間形成を図り、「ライフスキル」(生きていく上で必要な能力)の学習を目的とした教育プログラムである。 さて、有馬CCで約5年近く活動を続けているが、最近では参加者が10人に満たないことが多くなっていた。なかなか地元の子どもたちや保護者への認知が広まらず、新規参加者が増えない状況が続いている。地元兵庫県三田市行政の子ども課外活動に協力しているが、それだけでは足りないように感じていた。 そんなことを悶々と思い悩んでいた2023年1月、地元のいちご生産農家「原田いちごファーム」の代表である原田社長と懇意になり、何か一緒にイベントをやろうということになった。 さっそく今年の春休みに「いちご狩り」とファースト・ティの体験コラボを企画した。ファースト・ティの有馬CC教室は、毎月第2・第4土曜日に開催している。そこで3月25日の土曜日に、コラボ企画を実施しようということになった。 企画の中身は、まず「原田いちごファーム」に現地集合して約40分のいちご狩りを体験、その後有馬CCに移動してファースト・ティのゴルフ体験教室を実施するもの。午後0時50分頃からスタートして、移動時間約30分を挟み、午後4時30分にイベント終了のスケジュール。 募集期間は約2か月と短く、大々的な広報もできず、お互いのサイトやSNSでの発信を精力的におこなう程度だったが、結果は子ども28名、大人と合わせて約60名と、想定を大きく超えて盛況だった。 複数の「コト消費」 当日の天気が危ぶまれたが、何とか雨は降らず、大盛況の中イベントを終えることができた。各家庭でスムーズに移動していただいたので、時間内にすべてのカリキュラムを終えることができた。 「いちご狩り」と「ゴルフ」には接点が何もないように思うが、結果として共に「体験」というキーワードがアピールポイントとなったように思う。春休みに家族が近場で複数のあそび体験ができる、いわゆる複数の「コト消費」が一度に楽しめるといったことが、訴求ポイントとなったのではないだろうか。 コト消費とは商品を所有したり、サービスを利用することによって得られる経験や体験を重視する消費行動のことである。現代のレジャー思考には欠かせない大切な要素となっている。 18ホールラウンドのゴルフプレーは、一日の大半を要する。そのためゴルフをもっと普及させるためには、9ホールプレーなど短時間で終えられる柔軟なゴルフが必要であると、近年声高に言われている。 ゴルフを始める人々にはそうしたことが障壁をなくすひとつの要素となるだろう。しかし、それだけでは足りないのではないだろうか。ゴルフに要する時間が短くなっただけでゴルフへの新規参入者が増えるとは考えにくい。 せっかくゴルフを短時間で終えることができるのである。その他の時間の有効活用もあわせて提案していくことが、新規参入者を呼び込むきっかけになるかもしれない。今回のイベントの成功で、そう考えるようになった。 ゴルフ場のある地域までわざわざやってくるのである。その地域でしか味わえない美味しいものや体験なども紹介できれば、ゴルフだけではなく、複数のさらに楽しい経験が得られるかもしれない。地域観光の目的も、そういったものではないだろうか。 有馬カンツリー倶楽部では、これからも地元事業者や体験施設との楽しい連携企画をもっともっと増やしていきたいと思う。 三田で遊ぼう!家族で参加!いちご狩り&ファースト・ティ 開催日時 3月25日 12:50~ 集合場所 原田いちごファーム(三田市尼寺) 対象 5才頃~中学生のお子様と、ご家族の皆様 費用 こども 3,500円(いちご狩りとゴルフ体験) おとな 2,500円(いちご狩りのみ) 当日のスケジュール 12:55 いちご狩り開始(40分間) 13:45 移動(有馬カンツリー倶楽部へ) ※車で約20分 14:30 ファーストティプログラム開始 16:30 イベント終了 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2023年09月17日
    有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)には、40歳代の会員有志が集まって2018年に発足した「accエンジョイゴルフ会」というプライベート会があり、年2回のゴルフコンペをエンジョイする。 今、この会では新たなゴルフコンペの形を模索中だ。会員同士が楽しむコンペという枠を超えて、会員以外にも裾野を広げながらゴルフ仲間を増やそうというのである。ゴルフ場デビューの人もいきなりコンペに参加して、技量の違う人たちと一緒に楽しくプレーできる姿を目指す。そうしてゴルフファンを増やしていきながらコンペを盛り上げ、会員仲間を増やそうという魂胆だ。ゴルフ場経営者にとっては願ってもないありがたい話である。 まずは、この考えに基づいたコンペルールを決めなければならない。要するに、技量に合わせて個別のルールを設定しようというのである。そこで「新ルール」による実証実験コンペを2023年3月に行うことが決まり、それに向けて何度も会合?飲み会?が持たれ、私も途中からアドバイザーとして参加した。 初回の実証実験コンペルールは「囲み記事」のとおりである。初心者ゴルファーがなじめるよう、技量に応じた名称を「クジラさん」や「カエルさん」「イカさん」「カニさん」「ニモさん」など、有馬CCのティーマークの色に合わせて名付けられ、使用するティーの位置は、自己申告により平均スコアと飛距離に応じて自由に設定できる。「ニモさん(初心者)」クラスはOBをなくし、OBになっても罰なしで、OB杭を横切った付近、またはフェアウェイからプレーを続行できる。バンカーも手投げOKだ。 このように各クラスのルールを設定し、3月のとある土曜日、8名が参加する実証実験ゴルフコンペに臨んだ。当日の天気は快晴、来場客数は45組160名とまあまあの込み具合。今回がゴルフ場デビューという「ニモさん」が1名。「カニさん」3名、「イカさん」2名、「カエルさん」2名という8名。上級者で会員の「カエルさん」2名は「進行は大丈夫だろうか?」「ニモさんがいて、前に付いて行けるだろうか?」ととても不安がられていた。 一般のゴルファーも「仲間」を増やしたい 実験コンペは、進行について問題がなく、ニモさんは「すごく楽しかった!」という感想。グロススコアはなんと108という、驚きの結果だった。最初の4ホールはゴルフラウンドの方法がわからず、周囲の指示を受けてから動く、そして走るという具合だった。しかも初めて芝生から打つためなかなか前に飛ばず、とても心配になった。しかし、すぐに少しずつ前に飛ぶようになった。 4ホールを経てラウンドの仕方がわかり始めてからは、あわてることもなく、周りを見て速やかにボールのところまで行き、打つ、そして前に進むという動きに変化した。 最も意識して伝えたのは「レディーゴルフ」。安全を確保した上で、準備のできた人からプレーするという2019年の規則改定から取り入れられたルールである。周りの人のプレーを見ながらも、ただ立ち止まって見ているのではなく、その間に安全なルートを通りながら自分のボールのところまで速やかに移動する。こうした動きの積み重ねが、初心者にもゆとりをもったプレーにつながることが実証された。 何より一番良かったことは、今回のコンペで、「カエルさん」ゴルファーが、「ニモさん(初心者)」をゴルフ場に連れてきても、条件を柔軟に設定してあげれば後続組に迷惑をかけず、適切なプレーペースを保てることを実感できた。このことがとても大きかった。 ラウンド後の表彰兼反省会では、「ニモさん」には、事前にゴルフ場に連れて行ってレッスンする機会を持ち、たとえ3ホールでもラウンドの仕方やカートの動かし方、乗り方を教えてあげれば、もっとスムーズにコンペに参加できるだろうという意見も出た。ゴルフ場としては、薄暮の時間帯なら空いたホールでゆっくりラウンドの仕方を練習させてあげられると伝え、そうした機会も試していこうとなった次第。 新しいゴルファーをつくるという課題は、けっしてゴルフ業界内だけのことではない。既存ゴルファーにとっても、自分たちのコンペを活性化させるには新規の参加者を増やすことが重要な課題だ。周囲にゴルファーがいなければ新たに育てる必要があるが、これまでのゴルファーの常識では、初心者をゴルフ場に連れていき、デビューでいきなりコンペに参加させた上に、ゴルフを楽しませるなどということは考えられないことだった。 その意味でも、今回の小さな実証実験コンペは大きな意義があったと思う。有馬CCの一部の会員ゴルファーは、ゴルフ場デビューの「ニモさん」が、どうすればゴルフコンペでゴルフを楽しめるか? その方法を理解できたのだから。 有馬カンツリー倶楽部 エンジョイゴルフコンペ特別ルール 技量によってルールが変わります。ご自身がどのクラスか事前に申告し、コンペ参加者全員の了承を得た上でスタートしましょう。 ※ジェネラルエリア:セーフゾーンにおけるティーイングエリア、パッティンググリーン、バンカー、ペナルティエリア(池など)以外の区域 クジラさんクラス(アベレージスコア80以下の方対象) ・ティーマーク位置 (平均飛距離200ヤード以上)…ブルーティ (平均飛距離150〜200ヤード)…グリーンティ ・パッティンググリーン…ノータッチ ・ジェネラルエリア…ノータッチ カエルさんクラス(アベレージスコア80〜90の方対象) ・ティーマーク位置 (平均飛距離200ヤード以上)…グリーンティ (平均飛距離150〜200ヤード)…ホワイト、イエロー、レッドティ ・パッティンググリーン…ワングリップO.K(コンシード) ・ジェネラルエリア…ノータッチ イカさんクラス(アベレージスコア90〜110の方対象) ・ティーマーク位置 (平均飛距離200ヤード以上)…ホワイトティ (平均飛距離150〜200ヤード)…イエロー、レッド、ピンクティ ・パッティンググリーン…ワングリップO.K(コンシード) ・ジェネラルエリア…6インチプレース(置き直し)O.K カニさんクラス(アベレージスコア110〜150の方対象) ・ティーマーク位置 (平均飛距離200ヤード以上)…ホワイト、イエローティ (平均飛距離150〜200ヤード)…レッド、ピンクティ ・パッティンググリーン…ツーグリップO.K(コンシード) ・フェアウェイ・アプローチ…ワンクラブプレース(置き直し)O.K ・ラフ…罰なしでフェアウェイに移動O.K ・バンカー…罰なしで手出しO.K ※バンカー、ラフから移動の場合は、ピンに近づかないこと ・各ホールパーの3倍までのスコア及び打数の限度あり ・ダブルペリアはすべて無制限とする ニモさんクラス(アベレージスコア150〜初心者の方対象) ・ティーマーク位置…ホワイト、イエロー、レッド、オレンジティのうち各ホール好きな位置からO.K ・ティーショット(第1打)…罰なしで打ち直し1回のみO.K ・パッティンググリーン…ワンパターO.K(コンシード)※半径パター1本分の距離ならO.K ・フェアウェイ・アプローチ…自由に打ちやすいところにプレース(置き直し)O.K ・ラフ…罰なしでフェアウェイに移動O.K ・バンカー…罰なしで手出しO.K ・O.B…罰なしで、O.B杭を横切った付近、またはフェアウェイからプレーを続行できる ※バンカー、ラフ、O.B杭周辺から移動の場合は、ピンに近づかないこと ・各ホールパーの3倍までのスコア及び打数の限度あり ・ダブルペリアはすべて無制限とする <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2023年05月28日
    有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では、2016年より大学体育ゴルフ授業「Gちゃれ」に参画してきた。若年層の非ゴルファーに対し、大学体育の授業を通じてゴルフ体験の機会をゴルフ場で設けていくという取り組みである。 2022年10月、弊社は「Gちゃれ」の新たな取り組みを実践する機会を得た。それは従来通り有馬CCで授業をするのではなく、別の場所で行う出張授業である。 2022年の6月、「Gちゃれ」授業を行っている流通科学大学(兵庫県神戸市)の先生より、10月に行われる滋賀大学大津キャンパス(滋賀県大津市)の「身体運動の科学」という授業への協力要請があった。3年毎に行われる授業で、これまでは学内での講義と実践練習、そして近くのゴルフ練習場での実践練習というカリキュラムを、3日間に分けて行ってきた。例年の受講者数は10名程度だったという。 滋賀大学の先生の要望は、「Gちゃれ」としてゴルフ業界関係者の協力を仰ぎ、授業を活性化したいというものであった。具体的な要請は2点。コーチの派遣と近隣ゴルフ場への協力依頼ということだった。 まず、コーチ派遣である。2022年度も10月15日(土)・16日(日)・30日(日)の3日間、授業が予定されていた。都合上、初日のみコーチを派遣することで了承を得、ヘッドコーチともう1名の計2名を派遣することとなった。 次にゴルフ場への協力依頼である。滋賀大学大津キャンパスから車で約5分のところに瀬田ゴルフコースがある。弊社が加盟している(一社)日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石専務理事を通じて話を進め、12時から17時まで同コースの練習場を拝借することで快諾を得た。 トーナメントコースでのゴルフ授業は定員オーバー これを踏まえ、9月になってから定員20名で履修登録の募集をかけたところ、なんと60名を超える学生が履修を希望した。そのため、抽選で履修生が決められた。女性8名、男性12名の計20名が参加したが、全員まったくのゴルフ初心者だった。 トーナメントコースで授業が受けられる魅力だけでなく、ゴルフ需要の高まりが学生にも届いていることが要因にあるのかもしれない。 当日のプログラムは「囲み記事」のとおりである。 授業の最後には、瀬田ゴルフコース支配人、スーパーバイザーのご厚意で、TOTOジャパンクラシックトーナメントの開催を間近に控えて整備が進められているコースの見学ができた。 学生のみなさんは、目の前に広がるゴルフコースをはじめて見て、思わず「お~」「広い」「きれい」「すご~い!」などの歓声があちこちでもれていた。「いつかこんなところでゴルフをしてみたい」という声も聞かれた。 盛りだくさんの内容で盛り上がった当日の授業を終え、滋賀大学の先生からはお礼とともに、学生のモチベーションが残り2日間に渡り維持できるか心配になってきたとの不安の言葉が聞かれた。 翌日2日目の夕方、先生からメールが届いた。 「本日実習2日目も無事に終わりました。学生はゴルフの難しさに悪戦苦闘しながらも、昨日基礎を教えていただいたこともあり、少しずつ上達しているように思います。授業はあと1日ありますので、ゴルフの面白さを伝えられるようにまた頑張って指導したいと思います」 2023年も、ゴルフを拓く様々なチャレンジをしていきたいと考えている。 ■囲み記事 滋賀大学大津キャンパス 身体運動の科学第1日目 ■日時 10月15日9時〜17時 ■場所 午前 滋賀大学大津キャンパス 午後 瀬田ゴルフコース練習場 ■内容 8時50分 滋賀大学大津キャンパス集合 9時〜11時 講師紹介(有馬カンツリー倶楽部黒木コーチ、松井コーチ) ゴルフについて、ルールとマナーの講義 ゴルフクラブの握り方,振り方の確認 11時〜11時45分 休憩 11時45分〜12時 瀬田ゴルフコースへ移動 12時〜16時 スナッグゴルフによる模擬ラウンド体験 アイアンショット,ドライバーショット練習 16時〜16時30分 後片付け,北コース見学 16時30分〜17時 諸連絡,現地解散 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2023年05月14日
    2022年2月7日―。新型コロナウイルス感染防止の観点により蔓延防止等重点措置が発令されている最中、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では、流通科学大学(兵庫県神戸市)人間社会学部のスポーツ心理学ゼミにおける1日ゴルフ体験プログラム「Gちゃれ」を開催した。 新型コロナの感染者数が日々増加する中での開催が危ぶまれたが、ゼミ担当〝うっちー〟先生の強い意志によって、実現にこぎつけることができた。先生は、 「長期間におよぶコロナ禍の影響でゼミ生同士の交流の場が失われています。本来であればゼミコンやゼミ合宿、ゼミ旅行をするなどしてゼミ生間の親睦を深めるのですが、そういったイベントが開催できない社会情勢が続いています。 そこで、それらに代わる交流の場として、日帰りスポーツイベントを企画。特別にゴルフ体験ができる機会を設けました。積極的に参加してゼミ生間の交流を深めてほしい」 と、今回の意義を話した。 そこで我々は「親睦を深める」という目的のために、「ゴルフを通じて楽しむ」ことができる内容を議論。そうして決まったのが、午前中の練習後にDCPゲームを行なうことである。 〝DCP〟は〝ドライブ・チップ&パット(Drive, Chip and Putt)〟の略で、アメリカで発祥したゴルフゲームのひとつ。ジュニア競技としてマスターズ・トーナメントとPGA(全米プロゴルフ協会)、USGA(全米ゴルフ協会)が共同で実施している。毎年、全米50州のコースで300以上の地区予選が行われ、最終的に各地域の優勝者が、オーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブで開催される「ドライブ、チップ、パット全国決勝大会」への参加権を獲得するという、とても大規模な競技である。 このDCPのゲーム内容は、3つのスキル(ドライビング、チッピング、パッティング)のカテゴリーごとにポイントが与えられ、最も多くのポイントを獲得した選手が優勝者となる。要するに「飛ばす」「寄せる」「転がす」の3つのゴルフ要素を分解して、それぞれに得点を付けて競うといったゲームである。ドライビングレンジ、アプローチ練習場、パター練習場の3つが競技会場となる。 この度の体験プログラムは、コロナの感染拡大を懸念して欠席する学生や濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされた学生などが出て、最終的に男子学生4名の参加となった。このうち2名が全く初めてゴルフクラブを握った。 DCPゲームは4名の学生と〝うっちー〟先生、そして〝しーま〟コーチの6名で競うこととなった。 まずは「D」のドライビングである。飛距離を競ってポイントをつける。ここでは、ゴルフ経験者の〝ふうま〟君が274ヤードで22ポイントをゲット、トップに立った。 初心者の〝くろ〟君も〝やっく〟君も200ヤードを超える飛距離を出して大健闘! その次に「C」のチッピングだ。ここではもう一人のゴルフ経験者の〝おとや〟君がピンそば50㎝にピタリと寄せて、20ポイントをゲットして逆転に成功。 そして最後の「P」パッティングである。①1・8m、②4・5m、③9・0mの3か所からチャレンジする。それぞれにポイントを付与するため、全員に優勝のチャンスがある。〝うっちー〟先生も〝しーま〟コーチも長いパットを寄せきれず、〝おとや〟君が逃げ切って優勝。初心者の〝くろ〟君も短い距離で順調にポイントを取ることができ、合計点でも大健闘の結果となった。 楽しみながら「本質」を理解 今回のテーマは「親睦を深める」なので、「Gちゃれ」で初めてDCPゲームを取り入れた。少人数とはいえ、予想以上に盛り上がったのではないかと思う。毎回、経験者と初心者が一緒になって楽しめるゲーム方法を模索している。 DCPゲームは経験者にとっても、自分の長所短所が明確になるという点で今後の研鑽に役立つのではないか。右も左もわからない初心者にとっては、ゴルフの3つの要素について楽しみながら知る機会であり、それぞれの要素を理解して楽しむことが本格的なゴルフデビューへの第1歩となる。 アメリカではジュニアに対して行われている競技だが、大人も含めたゴルフの入り口にはとても有効な手段のひとつと考えている。 最後に「Gちゃれ」の翌日、〝うっちー〟先生から、以下のメールが届いたので紹介しよう。 「昨日はゴルフ体験イベントを開催いただきありがとうございました。 経験者も初心者も、それぞれゴルフ場でのゴルフ体験がとても楽しかったようで、帰宅後に『来年度もあるなら参加したい』とメッセージをくれました。 今回は基本的にゼミの学生のみを対象としましたが、来年度はもう少し参加者の枠を広げて開催できますと有難く存じます。15名程度集めることができれば、ゴルフに対する印象が1日ゴルフ体験を通じてどのように変化していくのか、ある程度の傾向を把握できるように思います」 さらに産学連携を推し進め、初心者のゴルフに対する意識変化を把握することができれば、より効果的なゴルファー創造策が見つかるのではないかと考えている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2023年03月15日