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  • 町工場が作る流行りのシャフトデザイン

    松浦真也
    元日幸物産株式会社 代表取締役社長 松浦真也 1973年、徳島県生まれ。埼玉大学工学部環境科学工学科卒業後、空調機器企業で原子力関連機器の設計に携わる。2003年よりゴルフジャパン販売代表取締役。実店舗経営でオ...
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    超大手ブランドから地クラブまで、シャフト転写シール製造現場を発見。 ゴルフ用品の一大生産拠点である中国の工場現場から、カーボンシャフトが出来るまでについてお伝えします。前回でシャフトの素管(そかん)まで完成しました。今月も広東省東莞市にある熙川復合材料制品有限公司からお伝えします。 前回(第11回)の記事はこちら

    シャフトにも研磨?

    シャフトを成形焼付後、外周を覆うテープを除去したままの状態では表面にプリプレグの樹脂が固まって出来た凹凸が残っています。それを除去し、設計通りの外径寸法に仕上げるために研磨を行います。 研磨機はシャフト専用の自動研磨機を使っていました。装置の大きさは幅1m、奥行3mほど。まず最初に搬送部にシャフトをセットすると、コンベアで自動的に一本ずつ装置内に送られます。 装置内ではシャフトは縦方向に細い道を進んでゆき、その道の左右には研磨ホイールが高速回転しながら待ち構えています。内部には水が流れ、まるで自動車の洗車機のようです。 社長の魏さんによると、この自動研磨機は10万元程度(約150万円)で「量産のためにはこの装置が必ず必要よ。一日に最大で3000本以上処理できるよ」とのこと。あっという間に、綺麗なカーボン素材の地肌になったシャフト素管の完成です。 町工場が作る流行りのシャフトデザイン

    塗装は「しごき」

    素管は次に重量や外径、振動数などの品質検査を行い、合格品は塗装工程に進みます。塗装はスプレー塗装をする場合もありますが、ここでは伝統的な「しごき塗装」が行われていました。 これはシャフト素管を塗料容器に先端から入れ、容器ごと傾けて塗料にドブ浸けしつつ、バット側から引き抜いて塗料を付着させる塗装方法です。引き抜きの時に、余分な塗料をしごいて除去するのでこうした呼び方をします。 作業は職人による手作業。塗料容器を傾け、それを元に戻しつつシャフトを引き抜き、塗料をしごき落とすのは相当な経験が必要。「均一な厚さで塗装するのは難しいよ」とは魏さんの弁。この後、シャフトは電気炉で塗料の焼付けを行います。この作業でシャフトと塗料は完全密着されます。

    転写シールの製造も行う

    近年においてはシャフトの表面に大きくメーカーのロゴや特徴的な図柄などが印刷されています。完全にシャフト外周全てに模様が印刷されているシャフトも増えてきました。 これを実現するのが転写シールです。あらかじめロゴが印刷されたフィルムを製造し、下地塗装後のシャフトに熱転写していく方法です。熙川復合材料制品有限公司では、この転写シールも大量に製造していました。 町工場が作る流行りのシャフトデザイン

    巻き物フィルム

    まずはベースとなるフィルムです。長さは最大数百mにもなりロール状に巻かれています。これを長さ40m程もある長い机の上にコロコロと広げていきます。フィルムの幅はシールの種類に応じて選定。30㎝程度のものが多いそうです。 この広げたフィルムに対してシルクスクリーン印刷を行います。これは専用の「スクリーン版」を作り、一色ずつ手作業で印刷していく方法です。色数が多く、複雑なデザインの場合はスクリーン版が6枚~8枚にもなるとのこと。版を透明フィルムの上にセットし、上から塗料をヘラで往復させてフィルムに付着していきます。 その後、フィルムは作業場の天井付近で長い状態のまま室内で自然乾燥させていました。室内の空気を扇風機で循環させ、ひらひらと踊るフィルムはまるで「鯉のぼり」の製造工場のようでした。 魏さんによると、「この工程も自動化を考えています。将来は大手シャフトメーカーの仕事も請け負いたい」と意欲的でした。

    熱転写してシャフト完成

    完成した転写フィルムは再びロール状に巻かれ、転写工程に移ります。専用の熱転写機にロールをセット、シャフトを所定位置にセットしスタートするとフィルムが自動的に下りてきて密着。 加熱ローラーで加熱しながら、グルっとシャフトを回せば、シャフトにデザインが転写されます。この間わずか数秒ほど。装置1台で最大一日1万本以上の印刷能力があるそう。 こうして綺麗にデザインが印刷されたシャフトは、クリアー塗装がされて完成となります。シャフトは、長さ、重量、振動数、フレックス、外観検査を経て、クラブの組立工場やシャフトメーカーに出荷されていました。

    MADE IN JAPANは復活するのか?

    1年にわたって中国のゴルフクラブ製造の現場からレポートしてきましたが、今回で一区切りとします。実際の製造現場の雰囲気をお伝えできればと始めたこのレポート、連載が進むにつれていかに世界のゴルフ用品製造が中国、特に広東省という「巨象」抜きでは語れない状況なのか、痛感させられました。 米中の貿易戦争が懸念される昨今、ゴルフ用品の市場もこうしたリスクを意識せずにはいられません。 1988年に私の父が初めて中国大陸にヘッド研磨工場(現在のSINOゴルフ)を立ち上げてから今年で30年。既に世界の大手ゴルフクラブメーカー製品は大半が中国製になり、その技術革新のスピードには日本のゴルフ製造業は追いついていないと感じます。MADE IN CHINAはもう高級品なのです。 いつの日か日本のゴルフ製造の再興を願いつつ、レポートを終わります。またどこかの現場でお会いしましょう。
    松浦真也の現場放浪記の記事一覧はこちら 月刊ゴルフ用品界2018年5月号に掲載された「現場放浪記 第12回」をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら。
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