「フルミルドのアイアンヘッド『MUQU』(ムク)を12月1日より、松坂屋名古屋店で受注をスタートします」
愛知県の自動車部品金型メーカーのMS製作所は11月1日、愛知県名古屋市でアイアンヘッド『MUQU』の記者発表を11社合同で行った。冒頭のセリフは、MS製作所の迫田邦裕副社長。1個36万円のアイアンヘッドがどのようにして生まれたのか。記者発表を振り返りながら解説したい。
<h2>黒子からの脱皮へフルミルドアイアンに11社が参画</h2>
『MUQU』を製造販売するのMS製作所は、愛知県清須市で自動車のドア周りに装着される雨漏り防止のゴム部品「ウェザーストリップ」の金型製造会社。それが12月に金型成形で使用する5軸加工機を用いてフルミルドでアイアンを製造販売する。背景には、金型業界は黒子で20年前と比べて業者が半減しており、自動車産業は従来の内燃機関から「電機製品」への移行を迎える転換期でもある。市場規模は将来、自動車のEV化で、4兆582億円縮小するという。
そこで同社は主業務の安定を図りつつ、初のB2C商品で糸口を探るため「完全フルミルド」のアイアンヘッド『MUQU』でブランド化に挑戦する。それに加え、同様に同社以外でも愛知を中心とした中部地方には、二次下請けの立場ながら技術力があり、小さいながらも名工を抱える工場が沢山あるという。そこで、MS製作所はアイアンヘッドの装飾や梱包材などを同地方の専門企業に依頼。プロジェクト名を「KASANE CHUBU」として中小企業の匠の技を遺憾なく発揮して、存在感をPR。「地方創生」の第一弾が『MUQU』だという。
<h2>「MUQU」のイメージはドラマ「陸王」</h2>
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冒頭の通り、記者発表はMS製作所を含め11社合同で開催された。愛知を中心とした中小企業11社がタッグを組んで「KASANE CHUBU」というプロジェクトを結成。2020年に東京五輪を迎えるなか、完全フルミルドという製法で作られた『MUQU』で、これまでのアイアンの製法に一石を投じながら、「ゴルフ」の当たり前を変えていきたいという。さらに、「KASANE CHUBU」はものづくりの力でスポーツシーンで革命を起こすことも目的としており、それに対して中部地方の匠達が挑戦していくという。
参画企業は、まず設計・監修に携わった地クラブブランド『ZONE』を展開するメヴァエルの鈴木育生社長
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メッキを担当した名古屋メッキ工業
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シボ加工を担当したワールドエッチング
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パッケージを担当したヒラダン
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鏡面加工を担当した名古屋精密金型
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「KASANE CHUBU」プロジェクト第二弾商品でゴム成形を担当する扶桑化学
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『MUQU』の彫金加工を担当した淺野鍛冶屋
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「KASANE CHUBU」プロジェクトで七宝焼きのゴルフマーカーを提案している田村七宝工芸
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『MUQU』の説明書等を和紙での作成を担当予定の丸重製紙企業組合
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『MUQU』のロゴ、ブランディングを担当するクーグート
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<h2>12月1日、松坂屋名古屋店ゴルフ売場で受注開始</h2>
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1個36万円のアイアンヘッド『MUQU』は、5番~PWの6個セットが216万円と高額。完全フルミルド製法ということで、納期は2~3ヶ月を要する。オートクチュールに近いイメージで、素材も「S25C」「S50C」「SUS303」から選択可能。1個からも購入可能で、12月1日より松坂屋名古屋店のゴルフ売場で受注を開始する。販売目標は3年で100セット。