「オリジナルヘッド装着のドライバーも完売しましたが、そのバックオーダーを含めればさらに売り上げはあがります。今回の直営オープンで改めて思ったのは、ゴルファーの眼力の確かさです。それだけに我々には人材教育も求められる。販売特約店(クレイジーファクトリー)へ向けたフィッティング講習にも注力しており、その育成施設の役割も担います。クレイジーファンが全国どこでも同じサービスが受けられる―。ここに拘っていきたい」
今年4期目の会社だが、当期売上高は初年度の40倍という急成長。従業員も前年比2倍(32名)に増員した。
成功要因のひとつに「逆転の発想」があるかもしれない。高級路線のシャフトは独自のデザインで個性を放ち、富裕層ゴルファーに受け入れられた。その後、キャディバッグやゴルフシューズに手を広げ、ブランドの世界観を演出。パーツメーカーがブランドをつくり、ソフトアイテムに派生させる。「業界の常識」にとらわれないセオリーといえるだろう。
その目線は、次のステージへ向けられている。直営構想の発展形として、『ゴルファーの駆け込み寺』を目指すのがそれ。すでに今井克宗など男女6名のプロを社員としたレッスン事業も行っているが、これとは別に斬新な会員メリットを提示して顧客の囲い込みを図る。
1、 顧問弁護士による法律相談
2、 公認会計士・税理士による税務相談
3、 整体師によるマッサージ
4、 運命鑑定士による人生相談
5、 プロと合同で夏冬合宿
6、 ゴルフ場代行予約
などで、プレミアム会員は入会金200万円で全サービスが無料になる。VIP会員(入会金10万円、月会費5万円)になった近隣の企業経営者は、
「同じ趣味嗜好をもつ仲間と出会えるのが嬉しい」―。
VIP会員は500名を計画しており、達成したら、
「ゴルフ場が買える。利益追求型ではなく、会員の交流や研究施設と考えれば成立します。5年以内に実現したい」(橘社長)
と意気軒昂だ。
ゴルフを媒介に様々な戦略を描くクレイジー。すでにパーツメーカーの括りではなく、多元方式でゴルファーと向き合っている。ニューカマーは過去にとらわれない分、発想が柔軟。