混沌とした時代だからこそ、強いメッセージが人を動かす。
月刊ゴルフ用品界創刊500号を機に、各社トップにインタビュー。ビジネスヒント満載の言葉の数々をお届けします。
今回ご登場いただくのは、株式会社ファイン 代表取締役CEO 酒井 雅英氏。
スマートスピーカーで切り開くシュミレーションゴルフの未来
「まずは創刊500号、おめでとうございます」
<strong>ありがとうございます。御社はシミュレーションメーカーとして、2016年に累計出荷1000台を突破しましたが、社歴について教えて下さい。</strong>
「わかりました。当社の創業は1989年1月で、今年創立30周年を迎えました。ゴルフランド事業部の立ち上げは2000年のことになります」
<strong>シミュレーションゴルフの世界で約20年は老舗の部類ですね。参入の経緯は?</strong>
「もともと、自社運営をしていたアミューズメント施設『U PARA(ユーパラ)』に設置していた他社の初期型ゴルフシミュレーターに満足できず、一から自社開発することになったのがゴルフランド事業のスタートです。当初は独自の開発が思うように進まず、英国のスマートゴルフ社から3ラインセンサーの技術提供を得て発売した『Joy Golf』がベストセラー商品になりました」
<strong>現在の市況はどうですか。</strong>
「インドア施設の建設ラッシュに伴い、当社のシミュレーションも浸透度を高めていますが、事情は少々複雑なんです」
<strong>というのは?</strong>
「10年ほど前に『ゴルフバー』ブームが起きて、海外メーカーが日本支社を作って大挙参入した時期がありましたよね。今は淘汰されて4社ほどが事業を継続していますが、問題は撤退メーカーのアフターサービスです。故障した場合、施設側は修理できず、シミュレーション業界全体の信頼が揺らいでしまった。その信頼回復のために強固なサポート体制を確立、実践して自社商品のユーザーに対して適切かつ満足できるサポートを提供しています。それと同時に、他社製品にもサポート可能な部分に関しては、積極的に対応させていただくことで業界全体の健全化に注力してきました。
<strong>家電業界には全メーカーの修理を請け負う代行店がありますが、これと同様、アフターサービスの一元化やゴルフコースのデータ共有化ができるといいですね。市場育成と拡大には共同歩調は欠かせません</strong>
「そうですね」
<strong>最近は大手建設会社やデベロッパーからも引き合いが多いそうですね。</strong>
「はい。設計の段階でシミュレーションゴルフを導入する方が増えており、年々そのニーズは高まっているんですよ。ゴルフを楽しんだり、トレーニングはもちろん、昨今はほかのコンテンツとのスムースな連携が求められています」
<strong>個人宅にシミュレーションゴルフを入れると家族の目が厳しくなる。ただ、本体はインターネットに繋がっているから、既設のプロジェクターとスクリーンで映画やYouTubeを楽しめる。連携というのはコレですね。</strong>
「その通りですが、マウスの切り替え操作がややこしいという声を頂戴していて、ユーザビリティへの対応が急務でした。今は音声認識で、自宅のエアコンや照明を操作したり、テレビ番組を録画できる時代じゃないですか。数年前から広がり始めたスマートホームは、アマゾンやグーグルが発売するスマートスピーカーの登場で浸透しつつあります。家の中で使われるIoT(モノのインターネット)機器やサービスは、雨後のタケノコのように増えており、参入企業は住宅や家電、ネットベンチャーなど多岐にわたってます」
<h2>「映画館」に早変わり</h2>
<strong>シミュレーションゴルフも音声操作の時代に入る?</strong>
「はい。当社では、グーグルスピーカーを用いた音声対応モデルの開発を進めてきた経緯があって、実はこのほど完成に漕ぎつけたんですよ。今秋投入するAI・音声認識プログラム搭載の『JoyGolfSmart+』がそれです」
<strong>小さい子供がいる家庭では「ディズニー映画」と発生するだけで「映画館」に早変わりするとか。家庭内のシミュレーションゴルフはそうなると。</strong>
「それだけじゃなく、エクササイズやフィットネスにも簡単に利用できるため『健康増進』にも一役買う。もはや『ゴルフ』の領域を超えたと自負しているんですよ(笑)。また、グーグルスピーカーは8ヵ国語に対応していますので、世界展開も加速させたいですね」
<strong>海外の導入状況は?</strong>
「最近はASEAN地域、特にベトナムからの問い合わせが増えています。5~6年前の屋外練習場は海外の駐在員が利用者の大半でしたが、今は現地の方が目立つようになり、ゴルフ人気が高まりつつある。当社は2013年に逸早くホーチミン市へショールームを開設し、ASEAN市場に本格参入した経緯があるんです。昨年12月には現地法人ベトナムゴルフランドを設立しています」
<strong>将来構想を着々と進めてますね。5G(第5世代移動通信システム)との連動はどうです?</strong>
「もちろん考えています。5Gは通信速度や容量が飛躍的に高まり、特にデータ通信は4Gと比べ100倍強の速度。10秒が0.1秒未満ですから、コーチングの方法や効率も劇的に変わるでしょう。そこで我々は5G時代を見越して、インドアゴルフ企業の利益に還元できるプログラミング開発をやっているんですね。AIを駆使した取り組みです」
<strong>近い将来、シミュレーションゴルフが市場活性化の主役になるかもしれません。</strong>
「その気概で頑張ります!」
<h2>ファインのこれまで</h2>
<ul>
<li>平成元年1⽉
愛媛県新居浜市において㈱トミナガを設⽴。酒類の輸⼊・販売事業を開始(現㈱サケネット)</p></li>
<li><p>平成4年3⽉
㈱トミナガから㈱ファインに商号を変更</p></li>
<li><p>平成6年4月
東京都千代⽥区神⽥岩本町に東京⽀店を設置し、アパレル、フットウエア事業を開始(現㈱ファインプラス)</p></li>
<li><p>平成10年10月
愛媛県松⼭市に本部ビルを竣⼯。アミューズメント、飲⾷事業を開始(現ゴルフランド)</p></li>
<li><p>平成12年9月
⼤型スポーツ・アミューズメント施設「ユーパラ」の全国展開を開始。ゴルフコンテンツを導⼊</p></li>
<li><p>平成13年4月
スポーツ、アミューズメント機器の⾃社開発、製造・販売を開始</p></li>
<li><p>平成16年6月
東京⽀店を現本社所在地の東京都千代⽥区神⽥鍛冶町に移転</p></li>
<li><p>平成16年8月
韓国にて現地法⼈㈱U-PARAを設⽴(現ゴルフランド ソウルオフィス)。U-PARA事業の海外展開を開始</p></li>
<li><p>平成17年1月
イギリスのスマートゴルフ社とアライアンス契約を締結、シミュレーションゴルフの開発。ヨーロッパ・アジア・オセアニア圏での販売を開始</p></li>
<li><p>平成17年4月
3ラインサラウンドセンサーを搭載する「JoyGolf」の⽇本国内販売を開始</p></li>
<li><p>平成17年11月
名古屋オフィス/ショールームを開設</p></li>
<li><p>平成18年2月
東京ビッグサイトでのジャパンゴルフフェアにジョイゴルフを初出展</p></li>
<li><p>平成18年5月
普及型シミュレーションゴルフ「Excite Pro」、練習⽤シミュレーター「Excite Master」をリリース、販売を開始</p></li>
<li><p>平成20年9⽉
インドアゴルフ練習場、⼀般家庭にも導⼊可能な「G-Shot GolfSimulator」をリリース、販売を開始</p></li>
<li><p>平成23年4⽉
スイング画像練習機「G-Shot Navi」の販売を開始</p></li>
<li><p>平成25年7月
ベトナム ホーチミン市にショールームを開設、ASEAN市場に本格参⼊する</p></li>
<li><p>平成28年2月
シミュレーションゴルフの累計出荷台数1000台を突破。2017年11⽉ ⾼速カメラセンサー搭載の「JoyGolf Smart+」を開発、販売を開始</p></li>
<li><p>平成30年9月
シミュレーションゴルフに⼈⼝知能を取り⼊れたAI型シミュレーションゴルフの開発に着⼿</p></li>
<li><p>平成30年12月
ベトナム ホーチミン市に現地法⼈ ㈱ベトナムゴルフランドを設⽴</p></li>
<li><p>平成31年1月
福岡オフィス/ショールームを開設</p></li>
<li><p>平成31年1月
創業30周年を迎え第2の創業としてシミュレーションゴルフの性能向上はもとより、お客様の新しい豊かなライフスタイルを提案できる企業となる事を社是とする</p></li>
<li><p>平成31年3月
沖縄オフィス/ショールームを開設</p></li>
<li><p>令和元年10月
AI・⾳声認識プログラム搭載「JoyGolf Smart+」リリース予定</p></li>
</ul>
<p>