今回、第一弾として、米国三大芝刈り機メーカーの一つであるジャコブセン社と提携し、共同開発したゴルフ場向けの芝刈りロボット『5連フェアウェイ用芝刈りロボット』(価格は7~9万ドルを予定)の販売を2015年度中に開始するという。ちなみに、ジャコブセン社はオーガスタやペブルビーチなど、名門ゴルフ場への導入実績があり、高い技術力に定評がある芝刈り機メーカーなのだとか。
『I‐GINS』は、GPSから取得した座標情報をもとに作業経路を作成。立ち入り禁止区域や旋回方法などの設定が可能な自律走行システム。作業経路の作成は、ゴルフ場のマップ境界線を芝刈り機で走り、その走行軌道をデータ化。走行軌道のデータは、マップ自動作成ソフトに入れ込み走行経路を作成する仕組みで、設定値±3~5cmをうたう自律走行の精度の高さが特徴だ。1ホールずつのデータ化が必要だが、その時間は5分程度。一般的な広さのフェアウェイなら30分程度で芝刈りを完了することができるという(同社調べ・直線速度10km/時の場合)。
『I‐GINS』の開発に至った背景について、同社常務取締役高橋浩二氏は次のようにコメントしている。
「当社の中核事業の一つであるスポーツ事業は、2010年に『キャスコ』が傘下に加わったこともあり、ゴルフ場の経営状態に大きく影響されます。現在、ゴルフ場経営の最大の課題はコスト削減で、コース管理コストの中で芝刈りに発生する労務コストは全体の65%を占めています。しかし、単純なコスト削減は、コースの質の低下を招きます。この課題を解決するため、スポーツ事業のネットワークを活かし、当社の電子機器事業による制御技術を応用したのが自律走行システム『I‐GINS』です。2010年の着想からシステムの完成までに4年半の歳月を費やし、ジャコブセン社との共同開発により芝刈りロボットの実用化に成功しました」
同社によると、『I‐GINS』を搭載した芝刈りロボットの導入により、芝刈りにかかる年間の作業コストの約50%のコストカットが可能になるという。また、およそ3年以内で導入コストが償却できる試算になっているとか。
今後の『I‐GINS』の展開としては、芝刈り作業車のみならず、各種維持管理機械、さらにはトラクターをはじめとする各種農作業機械への搭載も目指すという。また、3年後には、『I‐GINS』事業で、「売上高20億円」を目標とし、国内だけでなく、グローバルな展開を視野に入れていくという。