11月23日発売の『インプレスX RMX(リミックス)』がそれで、語源はヤマハらしく、音楽用語でいう"新融合"というもの。別々の音源をミックスして、新たな音を創造する。
画期的といえるのが販売手法。ヘッド(4万5150円)とシャフト(3万2550円~)を別売することで、ユーザーは好みのヘッドに好みのシャフトを組み合わせて購入できる。キャロウェイゴルフは2008年、同様の販売手法となる「iMix」で先鞭をつけたが、市場の気運が高まっておらず、割高感もあったなどから頓挫した経緯がある。ヤマハは従来の『V』『D』ドライバーを"リミックス"へ集約して、一気呵成に浸透させる算段だ。
ラインアップは、460㎝3のヘッド2種類(9度、10度)、シャフトはヤマハオリジナルとカスタム仕様(ツアーAD GT-6、ディアマナB60、ATTAS4U6、ランバックスタイプS65)の全5種類。ヘッドは、左右のウェイトによる弾道調整と2種類のライ角調整を備え、計26gのウェイト調整で最大8㎜の重心移動(横)が可能だとか。フェース調角機能は搭載していない。
同社調査によると、一般ゴルファーの大半はフックフェースのドライバーをアドレス時にスクエアにひねって構える傾向があるとか。そこでリミックスは、スクエアフェースのまま球のつかまり具合をライ角調整だけで行うシンプルな提案を行った。
「アドレス時の見た目を極力変えず、性能を引き出せることを重視しました。また、複雑なホーゼル機構はヘッドの高重心化につながり、スピン量が多くなる。ウェイト調整の余剰重量が少なくなるデメリットもあるため採用していません」
つまり、ヒール側のウェイトはシャフトを固定する役割も兼ねている。
ライバルはズバリ、『R11S』だ。ヘッド単体+カスタムシャフトの組み合わせで8万9250円はガチンコ勝負。年間200回以上の試打会でゴルファーに訴求していく構え。
店頭でバラ売りのイメージを植え付けるため、専用什器を用意する。従来の店舗在庫は『V』、『D』で平均8本だったが、新システムではヘッド4個とシャフト8本が標準になるという。自在な組み合わせの妙で店頭在庫はこれまでの2割減、過剰供給の抑制にも一役買え、顧客はカスタムモデルの選択でもすぐに購入できるメリットがある。
前記のシャフト以外でも、受注後最短3日で納品できる。ゴルフHS事業部の田嶋良平事業部長は、
「可変式ドライバーはもはやトレンドを超え、スタンダードになりつつあります。昨年の売れ筋クラブTOP10は実に6割を占め、近い将来、7割が調整機能付きドライバーになるのではないか。シャフトに限っては当社製品の4割弱をカスタムが占有(12年モデル)しており、将来的にはリシャフト市場も席巻していければ」―。
11月12日の発表会は報道陣と小売関係者の2部構成で行われた。その後、六本木のレストランで主要小売店95名を集めた立食パーティを行い、決起集会とした。発表会は賞金レース1、2位の藤田寛之と谷口徹がトークショーで盛り上げたが、残念なのは立食パーティに両プロの姿がなかったこと。関係者は「プロは超多忙なので」と無念さを隠さなかったが・・・。いずれにせよ、バラ売りに踏み切ったヤマハの英断は吉凶いずれ?
なお、動画ニュースでは11月13日、<a href="https://www.gew.co.jp/movie/maker/yamaha/post-362.php">都内で開催された記者発表のもよう</a>を収録した。
また、動画クラブでは<a href="https://www.gew.co.jp/movie/maker/yamaha/post-363.php">藤田寛之、谷口徹トークショー</a>を収録した。