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    ハッシュタグ「健康」記事一覧

    ゴルフの展示会といえば、ジャパンゴルフフェア(以下JGF)を思い浮かべる人が多いでしょう。確かにJGFは、今年は約4万人、コロナ禍前の2019年には約6万人もの人が来場した国内最大級のゴルフの展示会です。しかしJGFに劣らない規模で、ゴルフ事業者も出展する展示会があります。日本最大の国際スポーツ・健康産業専門展「SPORTEC」です。 SPORTECは、2011年に第1回が開催され、その後年々規模が大きくなり、2019年には4万人規模に成長しました。SPORTECはセミナーが多く開催されていることも特徴の一つです。「ゴルフと健康との融合」をテーマに活動している私は、2015年から毎年足を運び、ブースを見学したり、セミナーを聴講したりと情報収集してきました。(図1) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2410komi1.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83393" /> (図1)日本最大の国際スポーツ・健康産業専門展「SPORTEC」 SPORTECは9つの展示会で構成され、運動パフォーマンスを高めるためのフィットネスマシンやトレーニング機器、エクササイズ、スポーツテクノロジー、健康食品&サプリメント、トレーニングウェアやグッズなど、世界各国から500社以上の出展社が一堂に集まり、多岐にわたる商談が行われています。また大学などのスポーツ教育・研究機関や、スポーツで町おこしを進めたい自治体、そしてスポーツ庁も出展。更に今年は、疲労回復やリラクゼーション、スポーツ障害対策に特化した「リカバリーEXPO」も同時開催されました。スポーツ健康産業の裾野の広がりを感じます。 ゴルフ関連では、ゴルフのパフォーマンス向上のための機器、技術、サービスに特化した「ゴルフパフォーマンスコンベンション」(以下GPC)が同時開催され、リニューアルをして今年で3回目となります。 筆者はこのGPCで、昨年と一昨年に登壇し、昨年はゴルフと健康・医療・介護との連携について、一昨年はゴルフによる健康経営について講演。共にゴルフに新たな価値を創出する内容でした。(図2) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2410komori2.jpg" alt="" width="1000" height="751" class="size-full wp-image-83394" /> (図2)2023年のゴルフパフォーマンスコンベンションにおける筆者の講演 今年はゴルフセミナーが激減 今年のSPORTECは7月16~18日に開催され、3万7611人の来場者がありました。 出展社数は523社で、昨年の547社を若干下回ったものの、GPCは昨年の10社が今年は20社と倍増。SPORTEC、GPC共に盛り上がりを見せました。今年は五輪イヤーだっただけに、国民のスポーツ&健康に対する関心の高さが分かります。 ただ一つ気になった点が、ゴルフ関連セミナーが激減したこと。昨年の19講演が今年は1講演のみ。この点を主催のTSOインターナショナル株式会社セールス部門、副部門長の栗原謙氏に質問すると、 「GPCはパフォーマンスの向上をコンセプトにしているため、ゴルフ関連セミナーは座学よりブース内での実践セミナーに力を入れました」 また、ビッグサイトの改修工事で会場の一部が使えなかった事も一因と裏事情も話してくれました。 ちなみにSPORTEC全体のセミナー数は、昨年の105講演に対して今年は83講演で22講演減。ゴルフ関連セミナーの減少分が、全体のセミナー減になった計算です。 座学より実践セミナーに力を入れたのは、スコアアップのための実技指導的な内容が集客できると判断したからと推測しますが、昨年、一昨年と筆者が講演したような市場考察や価値創出のセミナーも、ゴルフ業界の発展には不可欠。目先の集客も大切ですが、中長期的な視点に立ったセミナー構成も必要でしょう。 <h2>社会構造の変化への対応</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/2410komori3.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83395" /> (図3)ゴルフのパフォーマンス向上に特化した「ゴルフパフォーマンスコンベンション」 栗原氏はGPCの今後について、 「トレーナーや指導者が主役になっていくでしょう。フィットネス業界もゴルフ業界もトレーナーや指導者のレベルアップが求められます。ゴルフ人口の拡大には、適切な指導を受け、スコアアップ、飛距離アップなどの成果が見えること。ゴルフ施設の利用者増を望む施設事業者と、機器や用品を活用してより良い指導を目指す指導者の〝学びの場〟を提供したいですね」 と話してくれました。 先月のGEW9月号でも述べましたが、ゴルフが上手いだけで身体のことを全く学んでいないレッスンプロより、ゴルフは下手でも身体のことを熟知しているフィットネスインストラクターやフィジカルトレーナーの方が、質の高いゴルフ指導ができると私は思います。しかしそのように認識している人はとても少なく、多くの人は「ゴルフは上手い人から教わるべき」と思っています。 ゴルフ業界に指導リテラシーの啓蒙が求められる中、指導者の指導力向上につながる「場」の提供はとても良いことです。加えて、今のゴルフ業界に足りないものは、異業種から学ぼうとする姿勢や異業種との共創です。私が近年欠かさず同展示会を訪れるのは、健康産業や他のスポーツから学ぶことが多いからです。 どの産業も、人口減少や社会構造の変化に対応しなくてはいけませんが、多くのゴルフ事業者はゴルフの範疇で右往左往し、何ら課題解決ができていないと感じます。それどころかコロナ特需で安心しきっているゴルフ事業者も少なくありません。このままでは、必ずゴルフは斜陽産業と化すでしょう。 R&amp;Aは2020年、「ゴルフをやる人はやらない人に比べて寿命が5年長い」と発表しました。ゴルフ事業者はこのゴルフの効能にあやかるだけでなく、ヘルスケア事業者との共創で新たな価値を創出し、社会構造の変化に対応すべきです。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年10月06日
    ゴルフは自分より上手い人から教わりたいというニーズがあり、ゴルフが上手くなければ人に教える資格がないと考える人も多いでしょうが、本当にそうでしょうか? 自身を「運動オンチ」と公言し、ゴルフ未経験ながら多くのゴルファーを上達に導いている人がいます。その人は、日本脱力関節調律協会の代表理事・山本ゆう子さんです。 「脱力関節調律Ⓡ」という、身体パフォーマンスを高める独自のメソッドで、多くのゴルファーの身体機能を向上させ、飛距離アップやスコアアップの成果を出しています。またそのことを通じて身体の不調を解消、多くの人を健康増進に導いています。今回は山本代表の活動と脱力関節調律を紹介しつつ、ゴルフ指導のあり方を考えてみましょう。 6月6日、ゴルフ関係者のみならず、ヘルスケア関係者や施術家などおよそ90人が集まるイベントが都内で開催されました。日本脱力関節調律協会(以下、WJT協会)の設立5周年記念イベントです。(図1) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/2409komorizu1.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="size-full wp-image-82777" /> (図1)日本脱力関節調律協会の設立5周年イベントにて WJT協会の設立者で代表理事の山本さんは、大学在学中に柔道整復師と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー資格を取得。某ストレッチ専門店でアルバイトをしていました。大学卒業後、大阪で施術の仕事をしている中、高齢者の身体がみるみる変化するのを目の当たりにし、脱力関節調律メソッドの原型が生まれたとのこと。  身体を良くする施術サービスは、ストレッチやマッサージ、整体など世の中に多くありますが、それらとの違いを本人に尋ねたところ、 「脱力を促し、正しい関節の動きを取り戻すこと。そしてお客様自身が解剖学を理解すること」 との返答。筆者も山本代表の講義を受けたことがありますが、一見難解に思える骨格の構造を、タブレットを用いてビジュアルで解説、分かりやすいと感じました。(図2) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/2409komori2.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="size-full wp-image-82778" /> (図2)タブレットを用いて身体の構造を説明する山本代表 その後、多くのゴルフ好きのお客様から、ゴルフに関する質問や要望があり、それに応えていたところ飛距離やスコアなどがどんどん良くなったそうです。そこで山本代表は、 「人は予防のためには頑張れないが、ゴルフのためなら頑張れる」 と気づき、ゴルフに特化した「ゴルフ関節調律Ⓡ」が生まれました。 ゴルフの上達は目的のひとつですが、それで完結ではなく、その先に健康増進を見据えている。そのことは山本代表が掲げるビジョン「歳を重ねることに夢が持てる世界をつくる」に表れています。 誰でもできる正しいスイング ゴルフ未経験の人間がゴルフを教えられるのか? 山本代表は、ゴルフスイングを学んだ経緯について、 「人体の動きとして最大効率の動作を伝えていたら、それがゴルフの理想的な動作だと気づきました」 と振り返ります。 筆者はかねてから「ゴルフはやさしい」「正しいスイングは誰でもできる」と述べています。なぜならゴルフスイングは、人間にとって極めて自然でシンプルな回旋運動だからです。にもかかわらず上達が難しいのは阻害要素があるからです。それは、①身体バランスの崩れ、②身体機能の低下(柔軟性の欠如、関節の可動域不足など)、③誤った情報や勘違い、④思考と感覚とのズレ、⑤誤った思考パターンや感情(メンタル)等です。詳しい解説は省きますが、阻害要素の殆どは身体と脳(思考と感情)に起因しています。 山本代表のメソッドは、その身体に起因する部分、①と②を脱力関節調律という新たな手法で改善し、多くのゴルファーをやさしく上達に導いています。山本代表と従来のゴルフ指導者との決定的な違いは、解剖学や生体力学など人体に関する基礎学問を学び、身体パフォーマンスを向上させる術があるか否か、です。この術によって阻害要素を取り除けば、ゴルフはやさしいのです。 「ゴルフは難しい」「そう簡単には上達しない」と、ゴルファーの夢を壊すようなことを平気でいう指導者がいますが、そのような人はもっと勉強して欲しいと思います。 ゴルフ指導者の要件とは? ゴルフ未経験者でもゴルフ指導はできますが、ゴルフに無知でいいわけではありません。山本代表はその都度、ゴルフやゴルフ用語などを調べる「学びの姿勢」を徹底しているそうです。以上の話を整理すると、ゴルフ指導者の要件が見えてきました。それは次のようなものです。 ・解剖学や生体力学など、身体に関する基礎学問を学んでいる人 ・上達の阻害要素が何かを把握し、それを解消できる人 ・マニュアル通りのスイングを指示強制するのではなく、学習者の能力を最大限に引き出すことが出来る人 ・分からないことは即学ぼうとする「学びの姿勢」のある人 ゴルフ指導者には、必ずしもゴルフの腕前が必須ではありません。ゴルフスクールでは見本を見せることが必要なので、最低限ボールを打つ技術は必要ですが、常に70台で回る腕前はまったく不要。「名選手必ずしも名コーチにあらず」です。 山本代表はある日突然、「このメソッドを1000人に広めよう」と思い立ったそう。しかし自分でセッションを提供できる数には限界があるため、このメソッドを提供できる指導者を育てることで、より多くの方に広めることができるという思いから、2019年、WJT協会を設立し、指導者の育成に乗り出しました。その結果、現在198名の資格認定者を輩出しています。(2024年6月現在)(図3) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/2409komori3.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="size-full wp-image-82779" /> (図3)多くの資格認定者を排出している日本脱力関節調律協会 ゴルフ指導者の認定制度を有する団体は、現在の認定制度を見直し、世の中に求められる指導者を輩出して欲しいと思います。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年09月05日
    「観測史上最高」が続出した7月、米国では50℃越え 高温でアスファルトが溶けて高速道路の防護柵が相次いで傾いたり、道路が陥没するほどの激しい猛暑は、2019年前後から日本では報告されるようになった(北、2024)。当時は、2020東京オリパラを控えており、マラソン競技やゴルフ競技の会場やプレーの時間帯など、暑さ対策について様々な議論がされてきたが、今日の猛暑はその当時よりも深刻になっている。 この原稿は7月15日に書いているが、この日沖縄県(那覇空港)で観測史上最高の35.7℃となり、108年ぶりに3日連続の猛暑日となったことが報じられた。7日前の7月8日には、和歌山県新宮で39.6℃、東京都府中市で39.2℃となり、いずれも観測史上最高を記録した。 暑さは年を追うごとに厳しさを増しており、特徴的な猛暑日を取り上げて原稿を書こうとしても「観測史上最高」はすぐに塗り替えられる状況にある。いま書いている内容も、じきに古くなるのだろう。 ただ、この状況は日本だけではない。7月7日、アメリカのラスベガスでは観測史上初の48.9℃、デスバレーでは53.9℃を記録するなど、健康に日常生活を送るには困難なほどの猛暑に見舞われている。ヒトは文明の発展と引換に「地球の健康」をないがしろにしてきた。本稿ではプラネタリーヘルス(地球の健康)と言う考え方に着目しその最新動向を概説する。 <h2>「プラネタリーヘルス」(Planetary Health)の概念と広がり</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/image1_cmyk-1.jpg" alt="" width="1000" height="760" class="size-full wp-image-82333" /> 「プラネタリーヘルス学環」の構成(長崎大学ウェブサイトより) 【ヒト含む生物の健康は地球の健康と一体的に考えるべき】という「プラネタリーヘルス」と言う概念が浸透しつつある。環境省によれば、比較的新しい概念であるため、国際的に合意された定義や考え方は、現時点では明確には存在していないとされる(環境省、2023)。 三菱UFJリサーチ&amp;コンサルティング株式会社(2021)によれば『地球と人間は別々の存在ではなく、相互依存関係にあることを前提に置き、全ての生態系と地球の健康の共存を目指すプラネタリーヘルスという概念が誕生した』とされている。つまり、地球が健康でなければ人類も健康に暮らせない、ゆえに地球の健康を維持するために考え行動しよう、と言う考え方である。 プラネタリーヘルスという言葉は、国際的な医学研究誌であるランセットに掲載された論文(R Horton et al.,2014)の中で初めて示された用語であり、2015年にロックフェラー財団とランセット誌が「Rockefeller Foundation-Lancet Commission on Planetary Health」を立ち上げたことで、プラネタリーヘルスの考え方が世界的な広がりを見せ出したとされている(長崎大学ウェブサイト)。 <h2>日本における「プラネタリーヘルス」のフロントランナーは長崎大学</h2> 国立大学法人長崎大学は、大学を挙げて「プラネタリーヘルス」に取り組んでいる。2020年に「プラネタリーヘルスへの挑戦」を宣言し、2021年には「プラネタリーヘルス入門」を全学生必修科目とした。そして、2022年10月には「大学院プラネタリーヘルス学環」(募集定員5名)が開設された。授与される学位は博士(公衆衛生学)とされる。 永安武学長によれば、長崎は江戸時代に海外に開かれた唯一の窓口だったことから、海外から持ち込まれる感染症の対応にも迫られ、それ以来続く長い経験の蓄積などもあって、必然的に「グローバルへルス」を理念に掲げる大学となっていったことがベースにある。 そして、近年の気候変動、環境汚染、未知の感染症、人口問題、食糧問題、格差、ジェンダー、宗教や文化の対立、高まる核リスク等、多くの地球規模の課題を抱えており「グローバルヘルス」をさらに発展させ『地球の健康の実現』という目標を新たに掲げ、地球規模の課題解決に資する教育・研究を推進していくことを宣言している。 <h2>「プラネタリーヘルス」と「SDGs」の違い</h2> SDGsは2030年に達成すべき17のゴールが掲げられており世界中で多様な取り組みが生まれているが、そこに矛盾点があることにあまり焦点が当てられていない。代表的な一例として、本来、全てのゴールに気を配るべきであるが、一部の目標だけを選んで取り組む場合が多くなってしまっている(長崎大学ウェブサイト)。 他方、プラネタリーヘルスでは地球全体のバランスを考えるので、1つの事柄に対して別の事柄の関係性を見ていくことに重きをおいている。例えば、森林を伐採して農地に転用した場合、食糧問題は解決するかもしれないが、生態系や温暖化にはマイナスの影響が出るかもしれない。このように、常に「自然と人間社会との関係性」や「ローカルとグローバルの関係性」を考え、長期的な目標を見据えて短期目標をクリアし続けていくことがプラネタリーヘルスの特徴であるとされる。 【出典】 1)北 徹朗(2024)急がれるゴルフ業界を挙げた暑熱対策、ゴルフ市場活性化セミナー2024配布資料、https://www.golf-gmac.jp/wp-content/uploads/2024/04/gmac_kita2.pdf(2024年7月16日確認) 2)環境省総合環境政策統括官グループ(2023)第六次環境基本計画に向けた基本的事項に関する検討会取りまとめ、https://www.env.go.jp/council/content/i_01/000136528.pdf(2024年7月16日確認) 3)三菱UFJリサーチ&amp;コンサルティング株式会社(2021)Planetary Healthに関する取り組み事例と日本に向けた示唆、https://www.globalhealth.murc.jp/vc-files/GlobalHealth/20210630_PlanetaryHealthDoLG.pdf(2024年7月16日確認) 4)長崎大学大学院プラネタリーヘルス学環ウェブサイト:https://www.planetaryhealth.nagasaki-u.ac.jp/(2024年7月16日確認) <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年08月03日
    PREMIUM GOLF STUDIO(プレミアムゴルフスタジオ)代官山を運営するPGSは、生涯を通じてゴルフという遊びを極めたいというゴルファーに向け、最新鋭の技術を使用した『ゴルフ人間ドック』を開始した。 『ゴルフ人間ドック』は、通常のゴルフレッスンとは異なり、「なぜこういう球が出るのか」「なぜ同じミスが出るのか」の原因解明の糸口になる、合理的かつ客観的な数値に基づく自分だけの診断結果を提供する。 ゴルフの熟練度や目指すゴールによって目的が異なるのと同様に、筋肉や骨格などの身体構造やクセも人それぞれに異なっている。加えて加齢とともに変化もしていく。まずはこのことをしっかりと把握することが上達において最も重要なカギとなる。 【ゴルフ人間ドック 特徴】 世界のトッププレーヤーが使用するGEARS(ギアーズ)、Swing Catalyst(スイングカタリスト)、CAPTO(キャプト)、GC QUAD(GCクアッド)などの最新鋭の機材を組み合わせて、複合的な視点から客観的に数値を解析。 1)ゴルフスイングに関する世界最高峰のプログラムTPIを活用。 2)4つの最先端の解析機器で、すべてが丸裸。 3)診断結果を的確に伝える”ゴルフ診断医”の存在。 4)加齢と共に変化する身体に合わせて、スイングを最適化していく。 【ゴルフ人間ドック 料金】 ・1回目:9万9000円 ・2回目以降:4万9500円(前回測定から1ヶ月以内)、6万6000円(前回測定から6ヶ月以内)、8万8000円(前回測定から1年以内) ゴルフ人間ドックの詳細は下記WEBサイトまで。 <a href="https://p-g-s.jp/golf-medical-checkup/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://p-g-s.jp/golf-medical-checkup/</a>
    (公開)2024年07月31日
    ゴルフ業界は、コロナ特需で一時的に潤ったものの、それも終焉を迎え、団塊の世代が後期高齢者になることでゴルフ人口の減少が危惧される2025年問題を目前に控えています。そんな中、ヘルスケアサービスに挑戦し、市場を拡大させている業界があります。旅行・観光業界です。旅行にヘルスケアサービスを付加した業態は「ヘルスツーリズム」と呼ばれ、独立行政法人経済産業研究所によると、その市場規模は2019年で約2兆8600億円。2025年には約3兆6700億円に成長し、2030年には約4兆5200億円に達すると予想されています。ゴルフの市場規模が約1兆1660億円といわれますので、いかに大きな市場であるかが分かります。 ゴルフと旅行は親和性が高いと感じます。共に非日常を楽しむこと、ある程度の距離を移動すること、ファッションを楽しんだり、訪問先の自然や施設、食事などを楽しんだりと共通点が多いからです。 「ゴルフツーリズム」という言葉があるくらいで、ネットで調べると、〝ゴルフを目的とする旅行スタイル〟と書かれています。かくゆう筆者も、自身が主管するゴルフスクールのお客様を対象に、かねてからゴルフツアーを企画してきました。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/20240701.jpg" alt="" width="1000" height="800" class="size-full wp-image-82009" /> 図1 ゴルフと温泉、そして星空観賞をセットにしたゴルフツアー企画 企画の際にこだわっていたのは、ゴルフ以外の楽しみを付加することです。具体的には、観光や温泉はもとより、海ならシュノーケリング、山なら星空観賞などのアクティビティです。(図1)ゴルフのみか、ゴルフ+観光かのアンケートを取ると、圧倒的に+観光を希望される方が多いです。ゴルフ好きは、旅行や観光もお好きなのだと感じます。そこで今回は、「ゴルフ×旅行」について考えてみたいと思います。 単なる「健康っぽい旅行」ではないヘルスツーリズム 冒頭でお伝えしたヘルスツーリズムの第一人者でNPO法人日本ヘルスツーリズム振興機構の理事でスポーツ健康科学がご専門の髙橋伸佳さんにお話しを伺いました。 「ヘルスツーリズムは、単に健康っぽい旅行ではなく、旅行をきっかけに健康への気づきを与え、健康増進につながる行動変容を促すものです」と高橋さん。「行動変容」とは、今までの生活を健康につながる行動様式に変えることです。健康な人ほど、健康には無関心。しかし不健康になってから慌てても遅い場合が多い。そこでヘルスツーリズムによって、健康のための気づきを与え、健康行動を促すのです。 65歳以上の高齢者が、総人口の約3割(2022年9月現在)に達する超高齢化時代の今、健康は必要不可欠な要素です。著者が主管するゴルフスクールは、「ゴルフと健康との融合」がテーマですが、それは正に、ゴルフの上達をきっかけに健康増進につながる行動を促すことにあり、ヘルスツーリズムの考え方と同じなのです。 旅行の健康への効果を伺ったところ、髙橋さんがかかわった「旅の健康学的効果」(日本旅行業協会)での実験結果を用いて次のように解説してくれました。 旅行中は様々なシーンや因子があるので必ずしもとは言えないが、旅行には「癒し」効果が絶大で、それは旅行後も持続する。具体的には脳や身体の休息、ストレスや怒り、敵意の低下が認められたとのこと。 ゴルフの健康効果に関しては、GEW(2023年4月号)の本連載で述べていますが、旅行もゴルフ同様、健康効果が期待できるのは興味深いです。 <h2>ヘルスツーリズム認証を取得した小松CCの挑戦</h2> ヘルスツーリズムの価値を評価する認証制度があります。「ヘルスツーリズム認証」がそれで、旅と健康という視点から、観光商品を客観的に評価する第三者認証サービスで、これを取得すると、ヘルスケアサービスとして優れた旅行商品であるとお墨付きが得られます。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/20240702.jpg" alt="" width="1000" height="1418" class="size-full wp-image-82010" /> 図2 小松CCのヘルスツーリズム認証プログラム このヘルスツーリズム認証をゴルフ場ではじめて取得した事業所があります。石川県にある小松カントリークラブ(運営:北国リゾート開発株式会社、以下小松CC)です。小松CCは歩行診断をベースにした独自の健康増進プログラムで同認証を取得。プログラム名は「楽しく歩ける〝生涯スポーツゴルフ〟と〝心と体の食〟再発見の旅」です。(図2) プログラムの一部を紹介しますと、まずは説明と健康チェックからはじめ、計測器を装着して歩行活動量を測定しながら18ホールをラウンド。測定データを基に、健康運動指導士による歩行実践指導やラウンド前の準備運動指導を個別に行うというもの。ラウンド後は「グルメナイト」と題し、地産地消食材による会席料理を食しながら、薬膳コーディネーターの女将が「疲労回復・栄養補給と食」について話しをしてくれ、会食を楽しみながら学ぶことができるとのこと。 小松CC、営業企画部長の北芳光さんは、講演の中で次のように述べています。「ゴルフはたくさん歩くから健康的といわれていますが、歩き方には個人差があります。万歩計の歩数が多ければ健康的かといえば必ずしもそうではない。股関節の可動域を広げ、正しい姿勢で大きな歩幅で歩けば、歩数は少なくなるがその方が健康的。このプログラムでは、そのような体験と指導を通じて行動変容に繋げていただく」と。(図3) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/07/20240703zu3.jpg" alt="" width="1000" height="818" class="size-full wp-image-82012" /> 図3 歩き方で運動量が変わる!正しい姿勢で歩けばより健康的(資料提供:小松CC) 特筆すべきは、小松CCはこの認証プログラムで、健康経営®に取り組む企業を対象に、健康経営サービスを提供していることです。 ゴルフが健康経営のツールとして最適であることは、GEW(2023年10月号と11月号)で述べ、小松CCの取り組みもその中で紹介していますが、ゴルフを活用した健康経営サービスはまだまだ普及しているとはいえません。小松CCに追従するゴルフ施設が出てくることを期待しています。 ゴルフと親和性の高い旅行業界に学び、2025年問題を乗り切ろうではありませんか。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年07月10日
    「チャーシューメーン!」 ゴルフマンガの主人公がショットを放つときの掛け声です。 実は、声を出すと腹圧が上がり、体幹が安定。筋肉が弛緩し、力みも解消される。パワーが出せる効果もあります。投擲の選手が「ウリャー」と叫ぶのはそのためです。 我々の筋力は普段、力を100%発揮できないようリミッター(制御装置)がかけられています。骨や関節、筋腱組織が壊れないようにするためで、本来の筋力の20~30%程度しか出せませんが、大声を出すとリミッターを外すことができます。これを「シャウト効果」と言います。ゴルフは比較的静かにプレーするスポーツですが、今回は「声とゴルフ」の効果を考えてみましょう。 大きな声を出すと、心肺機能や口腔機能、認知機能の向上など、健康面で高い効果が得られます。なぜなら、大声を出すことは深い呼吸を伴う全身運動だからです。呼吸によって心肺機能が向上し、普段あまり使わない筋肉を使うことで血流が良くなり、基礎代謝量のアップが期待できます。血流が良くなると体温が上がり、免疫力も向上します。 また、深い呼吸により腹筋や横隔膜が刺激され、胃腸の働きが良くなると、お通じが良くなり、デトックス効果が高まって肌も綺麗になるでしょう。口腔機能が向上すれば嚥下力の低下も防げ、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。誤嚥とは、唾液や食べ物が食道ではなく、気管に入り込むこと。誤嚥性肺炎は、誤嚥が原因で肺炎を引き起こすことです。 「フレイル」という言葉をご存じでしょうか? これは加齢により筋力や認知機能などが低下し、心身が老い衰えた状態。健康と要介護の中間状態の虚弱(frailty)が語源です。一度要介護になると、健康に戻る可能性はゼロに近くなりますが、フレイルの段階では、早期の対策で健康を取り戻すことが可能です。 フレイル予防で大切なのが「運動」「栄養」「口腔ケア」、そして「社会参加」の4点です。大声を出すと、頬や顎を動かすので表情筋をたくさん使います。表情筋は脳に最も近いところにある筋肉なので、多く動かすと脳に刺激を与え、高齢者の認知症予防にも効果的と言われます。 <h2>認知症予防の朗読プログラム</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/202406zu2.jpg" alt="" width="788" height="1115" class="size-full wp-image-81705" /> (図1)東京都墨田区の「声出し脳トレーニング教室」 発声トレーニングで、高齢者のフレイル予防や認知症予防に取り組む有限会社げんごろう(言語朗)は、都内の自治体を中心に発声トレーニング教室を開催中。発声トレーニングは姿勢を正し、腹圧も上がるので体幹トレーニングになり、ゴルフの上達にもつながるはず。その教室が東京都墨田区の主催で開催されると聞き、足を運びました。(図1) この教室は「声出し脳トレーニング教室」といい、ショルダーフレーズは「認知症予防のための朗読プログラム」。墨田区の公共施設で行われ、1クール全14回。1回90分で定員25名です。クールの前半は、声出しのための身体づくりや発声のメカニズム、口腔ケアや認知機能についてなど、毎回内容が異なる講義と発声トレーニングで構成。クールの後半は2つのグループに分かれ、最終回の「リレー朗読発表会」に向けて取り組みます。リレー朗読とは、詩や物語を複数人で1行ずつ朗読する同社独自の手法。朗読作品は墨田区の民話が多く、より地域の絆が深まるとか。 受講生の多くは、全14回の教室が終了した後も「自主グループ」として活動しています。同社が活動を支援し、発表の場を設けることで、前述の「社会参加」も促しているのです。同社取締役で本教室の講師を務める平尾麻衣子さんは、 「14回の教室で完結せず、その後の朗読グループが自主活動を続けることが最も大事。この教室はその入口に過ぎないのです」 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/zu2-1.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="size-full wp-image-81706" /> (図2)「オーラルフレイルと口腔ケア」に関する講義 筆者が見学したのは4回目の教室で、参加者は20名(男性1名)でした。90分の教室は、約25分間のストレッチと腹式呼吸の練習から5分間の休憩を経て、「オーラルフレイルと口腔ケア」に関する講義が約22分間。その後約13分間、表情筋の柔軟性を高めるフェイストレーニングを行い、最後に約25分かけて早口言葉による健口トレーニングを行うという流れでした。(図2~3) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/202406zu3.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="size-full wp-image-81707" /> (図3)健口トレーニングを披露する唯一の男性参加者 冒頭で行ったストレッチと腹式呼吸は、首から肩にかけての柔軟性を高めたり、腹圧を上げて体幹(腹筋)を鍛えたり、肋骨周辺の柔軟性を高めたりと、すべてゴルフに役立つものばかりでした。(図4) <h2>孤独から救うゴルフのチカラ</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/06/202406Zu4.jpg" alt="" width="1000" height="563" class="size-full wp-image-81708" /> (図4)発声トレーニングはゴルフにも役立つ<br /> 筆者は、以上のトレーニングがゴルフの上達にも役立つと確信。そこで同社と協創して、声出しゴルフトレーニングを開発、社会実装するプロジェクトに取り組むことにしました。目的は、楽しくゴルフの上達を図りながら、フレイル予防や認知症予防につなげて健康寿命を延伸させること。げんごろう社の平尾さんは、 「発声トレーニング教室は男性の参加者が少ないので、ゴルフを絡めることで、ゴルフ好きの男性に訴求できるのではと期待しています」 高齢男性の孤独が社会問題になっています。現役時代は仕事で人と接する機会が多くても、退職するとそれが一気にゼロになります。人付き合いがなく社会から孤立、楽しみや生き甲斐を失い、老け込んで寝たきりや要介護になりQOL(Quality of Life)が低下する。このような社会問題も、ゴルフを絡めた一連の活動で解決できると考えています。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年06月12日
    「真冬でも楽しめるスポーツ」としてゴルフ場建設は相次いだ 近年の猛暑により、真夏のゴルフの課題が語られることが多いが、真冬のゴルフも辛い。実際、NGK(日本ゴルフ場経営者協会)が発表しているデータでは、東京都など雪でクローズすることがあまり起こりにくい地域においても、真夏よりも真冬の入場者数の方が少ない。 「暑い」とか「熱中症リスク」とは言いながらも、ゴルファーは真夏でも喜んでゴルフ場に出かけ、逆に寒い冬には足が遠のいていることをデータが示している。考えようによっては、冬のゴルフ場にはまだビジネスとして伸びしろがある。 総合保養地域整備法(いわゆるリゾート法)の後押しによって急激に増加・発展した「リゾートスポーツ」の代表格としてゴルフ場とスキー場が挙げられるが、当時はゴルフ場開発数の方が圧倒的に多かった。要するに、ゴルフは通年に渡り顧客を呼び込める、という点から多くの開発が行われたわけだが、実際は真冬のゴルフ場ではティーイングエリアやグリーンが凍結していることもあるように、極寒プレーとなる。 本号では、真冬のゴルフを楽しむための、寒冷環境下での健康リスクと予防方策の話題を提供する。 <h2>冬場のゴルフに重要なのは「前夜の睡眠」</h2> 冬場は血圧が上がりやすくなり心臓への負担が大きくなる。これは、寒さで体温の発散を防ぐために血管が収縮するためである。暖かい室内から寒い屋外への移動により血圧が急激に変動し、心臓の血管が過剰に収縮して心筋梗塞の原因となることもあるし、寒さで骨格筋が収縮し硬くなり柔軟性が低下しやすくなるため、筋や腱などの損傷も起こしやすくなる。 これらの対策としてよく言われることに「寒い冬には気温の変動が少ない屋内での運動を行いましょう」とか、「外へ出る時は早朝などの冷え込む時間は避けましょう」などがあるが、ゴルフの場合は無理である。また、「十分な防寒をしましょう」とか「運動前にウォーミングアップで身体を温めて筋肉の柔軟性を確保しましょう」等々、常識的な話も多い。 本稿では、冬場のゴルフでは【前夜の睡眠】が特に重要であることを強調したい。寒さでトイレの回数が増えることにより熟睡を妨げられたり、睡眠不足になりやすい季節でもある。また、「明日はゴルフだ」と緊張やワクワクしてなかなか寝付けなかったり、早朝に出かけることが多いためにゴルフ前夜は睡眠時間が短くもなりやすい。 <h2>真冬のゴルフ前夜に熟睡できるグッドアイデア</h2> 筆者(今年47歳)は中年期に入った頃から夜中にトイレに起きる日が増えた。特に冬場、身体が冷えてトイレに立つことが多いと感じる。この対策として、まずはエアコン(暖房)を強めにかけてみたが、喉が渇いて目覚めてしまった。そのため、エアコンはやめて布団の下に敷く電気マットを購入したが、暑くて布団からはみ出ていたり、温度を下げると逆に寒かったりして苦慮してきた。 3年程前、グッドアイデアを思いついたので紹介したい。筆者は冬場、ズボンの下にインナー(タイツ)を履いているが、就寝時にインナーの上から使い捨てカイロを貼って寝るとよく眠れる。仮に布団からはみ出てもズボン下に貼っているため寒くない。 カイロを貼る具体的な場所は「太腿の前と裏」(計4枚)と「ふくらはぎ」(計2枚)である。これに「脛」(計2枚)を加えてもよいが、太腿とふくらはぎの最低6枚貼っておけば、とてもよく眠れる。冬場、夜中に目覚めることがある方には是非試して頂きたい。 この方法は試行錯誤の末に筆者に適したものを見出したわけだが、普遍的な学術研究として似たような論文が無いかを検索したところ、次のような研究が見つかった。 <h2>「陸上競技の冬季練習における蒸気温熱シートの有用性」(小田ら、2006)</h2> 学術誌「スポーツ科学研究」(早稲田大学)に掲載された、小田英志らの研究では、下肢を温熱シートで温めることによる有用性を評価している(図1)。この研究では、「競技者にとって単なる防寒ということではなく、ウォーミングアップを補完し、筋や腱をほぐし、運動の準備を整えるという点で、生理学的にも価値の高いものであった」とし、「フィジカル面のみならず、寒冷ストレスに対する精神的な支えや安心感につながっていることも大きな特長といえる」としている。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/kita.jpg" alt="" width="788" height="375" class="size-full wp-image-80183" /> 図1加温用トレーニングパンツの構成図 (小田ら2006,スポーツ科学研究3,pp.48-60より引用) 筆者の熟睡法(前述)と同じ部分を加温しており、早朝からプレーが始まるゴルフにおいては、この研究が示すように下肢の保温は「ウォーミングアップの補完」にもなり得るのではないかと考えられる。睡眠不足では、交感神経が活性化して血圧が上昇するとされるが、寒さでも血圧は上昇するので、冬の睡眠不足はダブルで危険である。冬場に安全で楽しいゴルフを継続するためには、前夜からの下肢の保温がポイントとなる。 <h2>日本には寒い住宅が多い:WHOの寒さ回避勧告(2018年11月)</h2> WHO(世界保健機関)は2018年11月に「住宅と健康ガイドライン」発表し、冬の住宅の最低室内温度として「18度以上」を強く勧告した。18度を下回ると循環器疾患、16度を下回ると感染症などの発症や転倒、怪我のリスクが高まると指摘し、特に高齢者や小児はもっと温かい温度が推奨されている。 特に、日本は「寒い住宅」が多いとされており、国土交通省のウェブサイトによれば、日本の居間(調査対象2090世帯)の平均温度は16.7℃と報告している。その内訳を見ると12℃以下の住宅も数百見られる。 図2のようにWHOの勧告では「健康」の観点において、住まいの暑さよりも寒さの方を問題視している。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/02/kita2.jpg" alt="" width="468" height="202" class="size-full wp-image-80184" /> 図2WHO住宅と健康ガイドライン(左:表紙、右:勧告概要の翻訳)(長寿科学そ振興財団「住宅と健康長寿」より引用) <h2>寒さ対策を考えることは暑さ対策のアイデア創造に繋がる</h2> 近年、「猛暑下のゴルフ」と対峙する季節が約半年(概ね5月~10月)にもおよび暑さ対策は喫緊の課題ではある。他方、「真冬のゴルフ」がこれまであまり話題にあがらなかったのは、夏場に比べて出かける人が少ないこともあるのかもしれない。筆者は、ゴルフ場での寒さ対策を考えることは暑さ対策のアイデア創造に繋がると考えている。今後の連載で披露して行きたい。 ・小田英志ら(2006)陸上競技の冬季練習における蒸気温熱シートの有用性、スポーツ科学研究(早稲田大学)3, 48-60 ・公益社団法人長寿科学振興財団ホームページ:<a href="https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/kenkochoju-ikigai/jutaku-kenkochoju.html" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/kenkochoju-ikigai/jutaku-kenkochoju.html</a>(2023年1月16日確認) ・国土交通省ホームページ:<a href="https://www.mlit.go.jp/common/001500202.pdf(2023年1月16日確認)" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www.mlit.go.jp/common/001500202.pdf(2023年1月16日確認)</a> <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年02月03日
    コロナ環境下で一時的にゴルフ人口が増えているという報道もあるが、人口減少や少子高齢化の推移を見ると、今後もゴルフ人口の減少傾向が続くことは間違いない。この連載では、筆者が提唱する「18-23問題」(2018年~2023年にかけてのゴルフ人口激減)に立ち向かうための改善策や基礎資料に基づく提言を述べさせて頂く。 <h2>ゴルフと健康に関するシステマティックレビュー</h2> シュプリンガー・ネイチャーが発行する「Sports Medicine」は、2022―2023年のインパクトファクター(impact factor:IF)が11・9を超える権威あるジャーナルである。IFとは学術雑誌を評価するための指標であり「論文がどれだけ他で引用されたか」の学術的な影響力を示す。すなわち、Sports Medicineはスポーツ科学分野の論文誌としては非常に高いIFであり、信頼できるジャーナルと言える。 2022年12月発行号に「ゴルフと健康」に関する最新レビュー(総説)が掲載された。アバーテイ大学(スコットランド)のグレアム・G・ソルビーらは、システマティックレビューにより、ゴルフと健康に関連する572件の論文を対象に分析している。 この総説(Golf and Physical Health: A Systematic Review, Sports Medicine, Volume 52, issue 12, December 2022)に掲載された先行研究では、ゴルフは身体活動量を増加させ、心血管疾患などの危険因子を改善することなど、既に「ゴルフと健康」の括りで多くの有用性が示されてきていることを前提としつつも、特に「ゴルファー」や「キャディ」を対象とした健康への有用性を調べた系統的レビューがこれまで存在しなかったことに着目している。 レビューに際しては、PubMed、SPORTDiscus、CINAHLのデータベースを用い2021年7月に行われ、筋骨格系、心血管系、代謝や体組成といった観点からまとめられている。 本稿では、この研究結果に示された内容のうち「ゴルフと健康」において有用性が高いことが読み取れた幾つかの点について、そのエッセンスを紹介したい。 <h2>ゴルフの筋骨格系への有用性の議論</h2> 安定性やバランス能力については、ゴルファー群の方がノンゴルファー群に比べて、有意に高い改善を示した研究が多く見られる。例えば、ステップテストによる検証をした研究(Du Bois AM et al.,2021)や、ゴルファーとノンゴルファーを比較した横断的な検証(Gao KL et al.,2021)(Tsang WWN et al.,2021)(Tsang WWN et al.,2011)などにおいて「バランス機能の改善」が見られている。 また、筋肉量や筋厚を検討した論文は少ないものの、結果は概ねポジティブであり、ゴルファー群では「腕の筋肉量の増加」(Dorado C et al.,2002)と「筋厚の増加」(Herrick I et al.,2017)などが認められている。 歩行速度に着目した研究では、ゴルファーとノンゴルファー、あるいはゴルフプログラム参加前後の数値に変化は見られなかった(Shimada H et al.,2017)が、タイムドアップアンドゴーテスト(椅子から起立後に数メートル歩行後、目印を折り返して着席する高齢者向けのテスト)での数値改善は観察された(Stockdale A et al.,2017)(Du Bois AM et al.,2021)とされる。 キャディを対象とした研究では、「アキレス腱の剛性が高い」(Hoshino H, et al.,1996)、「大腿四頭筋強度が高い」(Goto S et al.,2001)(Hoshino H et al.,1996)、「骨密度が高い」(Goto S et al.,2001)など、多くの指標でポジティブな結果が示されている。 <h2>ゴルフの心血管系や体格に対する有用性の議論</h2> ゴルフプレーにより血圧の低下が認められた(Neumayr G et al.,2018)とされる論文が存在するものの、介入や観察条件、あるいは横断研究の単純比較だけでは、因果関係が不明な部分が大きいことが指摘されている。 また、ゴルファーのBMIはノンゴルファーよりも低い(Herrick I et al.,2017)ことや、20週間のゴルフシーズン後にBMIが有意に減少した(Parkkari J et al.,2000)という報告もあるものの、「ゴルフとBMI」について分析した研究の多くでは、横断的研究(Stockdale A et al.,2017)(Gao KL et al.,2011)(Müller-Riemenschneider F et al.,2020)(Stenner B et al.,2019)(Webb N et al.,2018)および介入研究(Neumayr G et al.,2018)(Neumayr G et al.,2021)のいずれにおいても、ゴルフプレーやキャディ業務がBMIに直接的な影響を与えない、と結論づけている。 ただ、BMIの変化を観察した研究は全体的には少なく、対象者の条件統制などゴルフとBMIを普遍的に示すにはエビデンスが明らかに不足していることも指摘されている。 <h2>「ゴルフ特異的な健康効果」は存在するか?</h2> ゴルフは、筋骨格系、心臓血管系、代謝機能等において、健康にポジティブに作用する可能性がある。本誌(GEW)2021年9月号において『キャディ業務従事者の歩数の多さや骨密度の高さ』について筆者の研究結果を紹介したが、このレビューにおいても、キャディ業務の有用性が複数の研究で確認されている。 「ゴルフと健康」に関する研究は、英語で書かれた査読付き論文だけでも600件程度が存在する。今回紹介したレビューでは、サンプルの質、研究デザイン、介入の長さ、活動頻度などの条件や要因をさらに精査して検証される必要があるとされているが「ゴルフ特異的な健康効果」を見出す成果にはいずれの研究も至っていない。 過去に「ゴルフが認知症に効く」などと大きく報じられたことがあるが、これらの効用はゴルフに特化したことではなく、他のスポーツや日常生活の中でも体得できる場面が数多くある。他にはないゴルフの最大の特徴は「プレー時間の長さ」である。健康効果を探る研究にとどまらず、この観点からゴルフの在り方や魅力が再検証される必要がある。 参考文献 ・Graeme G. Sorbie et al.(2022)Golf and Physical Health:A Sys-tematic Review,Sports Medi-cine,Volume 52, issue 12, December 2022,pp. 2943-2963 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2023年04月03日
    「2020年の東京五輪開催に向け、日本人がいかに動ける体をつくり健康で文化的な生活ができるか? その一助を担うイベントとして、非常に大きな意味を持つものと考えています」 ところで、同見本市には日本ゴルフフィットネス協会(JGFO)が、「ゴルフフィットネスパビリオン」と称して、テクノジムジャパン、セガ、デサントなど、共同出展社6社を集めてブースを構えた。2006年に設立されたJGFOとは一体どのような団体なのか? 岡森雅昭代表に話を聞く。 「当協会では『生涯ゴルフ』をテーマに、運動指導者、医療者、ゴルフメーカー、ゴルフ施設・運動施設運営者など、各分野のエキスパートと連携をとり、ゴルファーをサポートするための情報発信を行っております。また、当協会主催・推薦資格や講習会情報、ゴルフフィットネスイベントや展示会などの活動をしている団体です」 同パビリオンでは、実際に試打席を設置。スイング分析と同時に身体の動作分析を実施し、健康で長くゴルフを続けるための最適なアドバイス・運動プログラムを提供した。前出の岡森代表によれば、 「これまで国内のゴルフは、レンジとフィットネスの連携ができていなかった。相互の理解が薄かったと思います。ですが、生涯スポーツであるゴルフを長く楽しむためには、健康でなければ叶いません。腰痛やケガ、体力の衰えにより飛距離が落ちるなど、健康面での理由でゴルフをやめてしまうケースが多い。ゴルフ人口をこれ以上減らさないためにも、『ゴルフフィットネス』を提唱し、健康で長くゴルフを楽しんでいただくための活動を広めていきたい」――。 ゴルフ産業は、スイング理論やクラブ性能のみならず、もっと「健康」というキーワードを前面に押し出し、ゴルフ人口減少に歯止めをかえる必要がありそう。 【JGFO概要】 ■一般社団法人 日本ゴルフフィットネス協会 ■URL:<a href="http://www.jgfo.org/" target="blank" rel="noopener noreferrer">http://www.jgfo.org/</a> ■問い合わせ先:東京都港区南青山1-17-2 YZ CUBE #B(03~6721~1322)
    (公開)2014年12月15日
      この企画は、ゴルフが歩きながら観戦できるスポーツであることに着目して、「トーナメント観戦での歩行が健康に役立つ」ことや、このような考え方を普及させて「健康産業としてのゴルフ」を啓発することが最大の狙い。ギャラリーに歩数計を貸し出し、観戦後の歩数に応じてゴルフボールをプレゼントするもの。参加料の500円は、大会事務局を通じて全額「宮城県立こども病院」に寄付された。   参加人数は2日間で233名(男性190名、女性43名)。歩数計100個はゲートオープンから約1時間半で底をつき、急遽予備を配布するほどの盛況だったという。なかには日ごろ使っている自分の歩数計を使ってイベント参加した人もいたほどで、平均歩数は1万1770歩、もっとも多く歩いた人は3万8635歩だったという。健康維持の目安は、一日1万歩。4万歩弱の「優勝者」は、トーナメント観戦でほぼ4日分のカロリーを消費した計算になる。   参加者の声はおおむね好評だった。「歩数を稼ぎたいから18ホール全部歩いた」、「いい運動になって一日楽しかった!」、「普段はあまり歩かないので疲れたけど、トーナメントで歩数計を貸してくれる企画はおもしろい」、「チャリティでボールがもらえる企画はうれしいね」――。   SRIスポーツは、今後このような試みがゴルフ業界全体に広がって行くよう啓発活動を続ける予定。同社の子会社であるダンロップスポーツエンタープライズはトーナメント運営会社の最大手だけに、ゴルフの「健康産業化」という切り口で展開しやすい。ほかの大会にも波及すれば、プレー人口の底上げにも寄与しそう。
    (公開)2009年10月09日

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