• TOP
  • GEWとは
  • ライター一覧
  • GEW 購読申し込み
  • GEW 見本誌申し込み
  • 広告掲載について
  • 運営会社
  • 事業内容
  • 企業理念・ミッション
  • CEOメッセージ
  • 会社沿革
  • プライバシーポリシー
  • サイトポリシー
  • お問い合わせ
  • ゴルフ業界求人
  • PGA会員専用求人
  • 月刊GEW4月号 奮闘ニューカマー群 近未来ゴルフ市場の発展図

    ハッシュタグ「北徹朗」記事一覧

    快晴時よりも曇りの方が紫外線量が多いことも 筆者は、以前の連載において、日本に降り注ぐUVインデックス値(紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを示す指標)が、近年「極端に強い(Extreme)」という域にまで上昇し、オーストラリアの夏並みの紫外線レベルに到達する日が出現するようになっていることを紹介してきた(北、2024)。 気象庁によれば、地上に到達する紫外線量は、快晴時を100%とすると、曇りの場合約60%、雨の場合約30%の量になるとする一方、雲の間から太陽が出ている場合には、雲からの散乱光が加わるため快晴時よりも多い紫外線が観測されることもあるとしている。要するに、ギラギラと太陽がまぶしい時ではない状況下の方が、より紫外線レベルが高いこともある。 紫外線は目に見えない上に、感覚的にもわからないため、紫外線量を把握できる測定器や紫外線チェッカーを持っていない限りは、対策を怠りがちである。従来、「紫外線対策」と「暑さ対策」はセットで言われることが多かったが、今後は冬場でも紫外線対策がますます重要になってくると思われる。 そこで本稿では、真冬(2月)のゴルフプレー中の紫外線量と、冬場に人気の高いスポーツである「スキー」と「マラソン(ランニング)」実施中の紫外線量(UVA)を観察したので、その概要を紹介したい。 <h2>2025年2月のスポーツ実施中におけるUVA観察</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/zu1.jpg" alt="" width="788" height="591" class="size-full wp-image-86927" /> 図1.皇居(マラソン5キロ) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/zu2.jpg" alt="" width="788" height="591" class="size-full wp-image-86928" /> 図2.東京湾カントリークラブ(ゴルフ) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/zu3.jpg" alt="" width="788" height="591" class="size-full wp-image-86929" /> 図3.横浜海の公園(マラソン2.5キロ) <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/zu4.jpg" alt="" width="788" height="591" class="size-full wp-image-86930" /> 図4.湯沢高原スキー場(スキー) 筆者が2025年2月に実施した「ゴルフ」、「スキー」、「マラソン(ランニング)」の3種類のスポーツ実施時にUVAデータを収集した。これらスポーツのプレー中、着衣等に覆われていない頬に計測機器を装着しUVAを計測した(マラソンは皇居と海辺の2カ所で実施・計測)。活動内容と実験当日の気象環境は表1の通りであった。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/hyou1.jpg" alt="" width="788" height="174" class="aligncenter size-full wp-image-86933" /> また、スポーツ実施日(紫外線データ計測当日)の会場の様子を図1~4に示した。 <h2>観察の結果:ゴルフ場の紫外線量データが最も高かった</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/hyou2.jpg" alt="" width="788" height="220" class="aligncenter size-full wp-image-86932" /> 4つのスポーツ実施中のデータを確認したところ、2月13日に実施した東京湾カントリークラブでのハーフラウンド時に計測したデータが最も高かった。次いで、皇居マラソン(2月8日)、湯沢高原スキー場(2月23日)、海の公園マラソン(2月16日)の順に高かった(表2)。 <h2>【提言】「WBGTと紫外線量が同時に計測・表示されるモニタ」の新規製品開発</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/04/zu5.jpg" alt="" width="788" height="485" class="size-full wp-image-86931" /> 図5.冬場のスポーツ実施中のUVAとWBGT(数値は表1.2のデータを四捨五入) 近年の突発的猛暑により、事業所のみならず個人でハンディタイプのWBGT(暑さ指数)測定器を持参する人を夏場には見かけるようになった。だが、「暑さ」と「紫外線量」は必ずしも相関しないこともよく知られている。実際、今回筆者が収集した紫外線(棒グラフ/青)とWBGT(折れ線/橙)のデータを重ねて見ても、両者に相関関係は認められなかった(図5)。 すなわち、それほど暑くない日であっても紫外線量が高い日がある。だが、前述のように、暑さと違い紫外線量は感覚的にはわからない。そこで、WBGTと紫外線量の両方が同時に計測・表示されるモニタがあれば、ゴルフをする人にとってはより合理的な対策が取りやすくなる。こうした製品はありそうでまだないので、早期の製品開発が期待される。 1)北 徹朗(2024)ゴルフプレー中における着衣の色と紫外線透過量の観察、GEWゴルフエコノミックワールド2024年10月号 2)気象庁:オゾン・紫外線について,https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq21.html(2025年3月18日確認) <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2025年04月05日
    ワークマンではゴルフウエアの売り上げが前期比255.6%増 作業服とその関連用品専門店の最大手として有名な、株式会社ワークマンの2024年3月期決算説明会資料(2024年5月7日)によれば、「ファン付ウエア」の売り上げは好調で前期比24.3%増だったとされている。 ちなみに、ワークマンでは、2022年5月からゴルフウエアの販売(ワークマンゴルフ)を開始している。この部門においては前期比255.6%増と大きく売り上げを伸ばしており、ゴルフ部門での存在感を示しつつある。 <h2>ファン付ウエア研究は「長袖」が主流</h2> ファン付ウエアに関する研究論文は2017年頃から散見され始めた。2019年頃になるとファン付ズボンに関する検証も試みられるようになっており、気象環境や作業・活動状況に応じた様々なエビデンスが報告されている。 近年の研究では、ファン付ウエア内に着用するインナー素材について、桒原ら(2021)が「綿製インナーの残留汗量がポリエステル製よりも有意に高い」と言う結果を示している。要するに、インナーに綿を着用した場合は、汗が多く残る、と言うことだが、主観的な濡れ感覚には有意な差は見られなかったとしている。同じく、着衣内温湿度、皮膚温、発汗密度などにも、インナー素材の違いによる有意な差は見られていない。すなわち、この結果からみると、インナーに着用する素材は、あまり気にしないでもよいと考えられる。 また、榊原ら(2024)は、ファン付ウエアの効果を発揮しやすい気象環境について、温度28℃~35℃、湿度55%~64%の範囲内の環境の際、使用効果が高いとしている。 ただ、これらの研究は、全て長袖ファン付ウエアを対象として検証された論文である。この理由としてはおそらく「作業服」として建設現場や労働作業を想定した研究であるためと考えられる。 <h2>ゴルフの場面で好まれるのは「半袖」か「袖なし」</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/kita1.jpg" alt="" width="788" height="489" class="size-full wp-image-83746" /> 図1.<br />武蔵野美術大学のゴルフ授業用ファン付ウエア 真夏のゴルフの場面では、その運動特性から考えても、長袖よりも半袖や袖なし(ベストタイプ)のファン付ウエアが好まれることが多いのではないか。2019年にゴルフ用ファン付ウエアの先駆けとして株式会社プロギアから発売された製品も半袖タイプと袖なしタイプであった。 武蔵野美術大学でも、2022年度よりゴルフ授業用にファン付きウエア50着を活用してきたが、全て袖なしタイプを揃えている(図1)。 <h2>猛暑下における袖なしファン付ウエアの効果観察</h2> ゴルフ場での実験プロトコル作成にあたり、まずは研究の手始めとして、普段から袖なしタイプのファン付ウエアを愛用している76歳男性に協力してもらい、畑での農作業時の着衣内温度を測定させてもらった(図2)。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/kita2.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="size-full wp-image-83745" /> 図2. 野菜の苗の植え付け作業中の着衣内温度計測 (袖なしファン付ウエア着用中) 〈実験概要〉 ・ 実験日:2024年8月4日(日) ・ 実験開始時の気象環境:WBGT34.0℃、気温34.8℃、湿度69.3% ・ 実験終了時の気象環境:WBGT37.6℃、気温45.9℃、湿度37.7% ・ 被験者:日常的に農作業に従事する健康な男性(76歳) ・ 作業時間:9:40~10:20(前半20分Tシャツのみ,後半20分ファン付ウエア着用) ・ 作業内容:ブロッコリー8本、キャベツ8本の苗の植え付け  約40分間の農作業中の着衣内温度を観察したところ、図3のような結果が得られた。作業開始20分後からファン付ウエアを着用・稼働させたが、図を見ると、一見、着衣内温度自体は低下しなかったように見える。しかしながら、ファン付ウエアは猛暑下における使用が前提のため「外気温との差」を見ることが重要である。次にその観点からの推移を述べたい。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/kita3.jpg" alt="" width="1000" height="625" class="size-full wp-image-83747" /> 図3真夏の農作業における着衣内温度変化 <h2>袖なしファン付ウエアは7.5℃も涼しかった</h2> 観察当日、実験概要に示したように、実験開始時(WBGT34.0℃、気温34.8℃、湿度69.3%)に比べ、実験終了時(WBGT37.6℃、気温45.9℃、湿度37.7%)には著しい気温上昇が認められる環境であった。 「外気温との差」の観点からみると、ファン付ウエア稼働直後(10:00)における外気と着衣内温度の差は4.5℃、20分後(10:20)には7.5℃となった。すなわち、長袖で手首まで袋状になった形状でなくとも、袖なし形状でも7.5℃も涼しかった(図4)。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/11/kita4.jpg" alt="" width="1000" height="631" class="size-full wp-image-83748" /> 図4 袖なしファン付ウエア着用時の「気温」と「着衣内温度」の差 冒頭で述べたように、先行研究ではファン付ウエアが効力を発揮する温湿度環境が調べられているが、筆者らが過去に示したプレー中の帽子内温度実験(グリーン上で温度急上昇)のようにゴルフの種目特性により、ファン付ウエア使用の最適解が異なることもあり得る。また、半袖や袖なしタイプは空気の漏れによる冷却効果低減が懸念されることもある。それらの実際はどうなのか、フィールドでのラウンド検証が必要である。 <h2>参考文献</h2> 1) 株式会社ワークマン:2024年3月期 決算説明会資料(2024年5月7日)、https://www.workman.co.jp/ir_info/pdf/2024/43ki_03_kessan.pdf(2024年10月17日確認) 2) ワークマンゴルフ:https://workman.jp/shop/e/egolfgs/?srsltid=AfmBOoooe_nDZU9AXb6kLI-TXePMLOkhZFi1OIV53tZimtG8deKzmri1(2024年10月17日確認) 3) 山崎慶太ら(2017)建設作業員の快適感・暑さ感に及ぼす空調服の影響に関する実測調査に基づく基礎的検討、空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集G-44 4) 笹森暁ら(2019)ファン付き作業服が建設作業員の生理・心理反応に及ぼす影響に関する研究(第11報)、人間‐生活環境系シンポジウム報告集43巻 5) 桒原浩平ら(2021)ファン付き作業服内のTシャツ素材が生理心理反応に及ぼす影響、空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集F-9 6) 榊原康生ら(2024)歩行時に長袖ファン付作業服を着用すると生理・心理負担が軽減される温熱環境、日本建築学会環境系論文集第89巻第820号 7) 北 徹朗(2024)猛暑下における体育実技授業のガイドライン―武蔵野美術大学での試み―、大学体育123号、pp.101-103 8) Kita et al.,(2019)Changes in Temperature Inside a Hat During the Play of Golf-Comparison of Hats with Different Shapes-、International Journal of Fitness, Health, Physical Education &amp; Iron Games、Vol.6, No.2,pp.163-166 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年11月02日
    日本に降り注ぐ紫外線量が初めて「極端に強い/Extreme」の域に達した(2023年夏) 以前の連載において、「ゴルフをする人はしない人に比べて生涯の皮膚がん罹患率が2.4倍高い」(B Stenner et al.,2023)と言う研究を紹介した。この論文の著者らは、ゴルフを月1回以上行うオーストラリア人の皮膚がんの生涯罹患率の高さから、ゴルフの様な長時間の紫外線暴露を伴うスポーツにおいては特に予防策を講じる必要がある、と結論付けている。 気象庁が公開しているデータによれば、2023年の夏に日本に降り注いだUVインデックス値(紫外線が人体に及ぼす影響の度合い示す指標)が初めて、極端に強い(Extreme)という評価レベルにまで上昇している(図1)。2005年データと比較すると20年前は全体的なレベル自体が低い(図2)。 このように、近年、日本ではオーストラリアの夏並みの紫外線レべルに到達する日が出現するようになっている。過去20年間のデータを見ても、日本の紫外線量がこの域に達したことは一度もない。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/uvi_tsu2023-1.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-83358" /> 図1.2023年のUVインデックス値の推移 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/uvi_tsu2005.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-83359" /> 図2.2005年のUVインデックス値の推移 <h2>着衣の色が紫外線透過に及ぼす影響(2024年7月28日、栃木県某ゴルフ場での実験)</h2> 一般的に黒など明度の低い色は紫外線を透過し難いとされている。だが、これらの色は日射吸収率が高く蓄熱し高温になりやすいため、猛暑時の着用は適切でないことはこの連載でも紹介してきた。 本稿では、2023年夏から新たに見られだした、極めて深刻な紫外線量の問題意識から、ゴルフプレー中における、紫外線透過量データを着衣の色別に収集することを試みた。実験方法・実験環境の概要は下記であった。 ・ 実験日:2024年7月28日 ・ 実験場所:栃木県のゴルフ場 ・ 実験開始時の気象環境:WBGT27.6℃、TA28.7℃、湿度81.2%、風速0.15 m/s ・ 実験終了時の気象環境:WBGT27.8℃、TA29.2℃、湿度83.1%、風速0.18 m/s ・ 被験者:スムーズなラウンドに支障ない技量の健康な成人男性4名。 ・ 着衣の色:被験者はそれぞれ、白・ピンク・濃紺・グレーのポロシャツを着用 ・ データ収集:9ホールプレー(9:28~12:36)中の着衣内紫外線量(mW/cm²)データを10秒おきに収集した。 <h2>ピンクが最も紫外線を透過させ、濃紺は全く通さなかった</h2> 実験の結果、紫外線検出量が最も多かったのはピンクであり、胸の内側に装着したセンサーからは、平均値0.017 mW/cm²、最大値0.095 mW/cm²が検出された。2番目に多かったのはグレーで、平均値0.003 mW/cm²、最大値0.019 mW/cm²であった。次いで3番目が白で、平均値0.002 mW/cm²、最大値0.013 mW/cm²が検出。そして、濃紺については紫外線透過を一度も検出しなかった(0 mW/cm²)(表1)。 <h2>「暑さ」と「紫外線」対策、効果的な色は真逆</h2> 実験当日は、高温多湿(最高気温29.2℃、最高湿度91.4%)であり、体感的には直射日光を感じ難い気候であった。着衣表面温度を一番上昇させたのは濃紺であったが、紫外線を全く通さなかったのも濃紺だけだった。北ら(2022)の先行研究では、蓄熱を抑えられる色として「ピンク」の有用性を示したが、紫外線透過の観点からは真逆の結果となった。 過去の観察では、猛暑下では薄いピンクと濃紺の表面温度の間には、20℃程度の温度差が生じることもあった。つまり、猛暑下に濃紺や黒系などを着用するのは、熱中症リスクを高める恐れがある。しかしながら、紫外線対策を考慮すると、ピンクや白では透過する矛盾が生じる。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/10/20241004kita.jpg" alt="" width="1000" height="457" class="aligncenter size-full wp-image-83383" /> <h2>「表面は白」で「裏地が濃紺」:急がれる蓄熱しにくい上に紫外線も通さないウエア開発</h2> こうした矛盾を解消できる、蓄熱しにくく紫外線を通しにくい帽子やウエアの新開発が望まれる。ハーフ2時間以上の時間を要するゴルフにおいては、オーストラリアでの研究報告に見られるように、紫外線対策についても真剣に考えられなければならない新たな問題である。 例えば、表面は白やピンクなど日射反射率の高いカラーとし、裏地やインナーに黒や紺など紫外線を通しにくいカラーを施したデザイン開発はどうか。日傘では、既にこの発想で製品化されているのものが多いように思われる。 <h2>UVカットスプレーの持続性、発汗量との関連など検証実験が必要なことは多い</h2> 裏地やインナーの工夫とは別に、UVカットスプレーなどを着衣表面に直接塗布した場合の持続効果はどうだろうか。この点についても一考の価値がある。着衣の素材との相性も考えられるし、色や素材によって効果的な組み合わせが見つかる可能性もある。また、発汗してシャツが湿っている場合や、雨などに影響を受ける可能性も考えられる。暑さ対策と紫外線対策においては不明な点が多いため、ゴルフプレーを想定した、こうした様々な環境での検証実験が必要な状況である。 「暑さ」と「紫外線」の両方に強い帽子やウエアの開発や、UVカットとして既に存在する製品をどのように活用すれば効果的かなど、フィールドでの実験検証が必要なことはまだまだ多い。画期的なアイデア創出とそのエビデンス検証が急がれる。 <h2>参考文献</h2> 1)Brad Stenner et al.,(2023)Golf participants in Australia have a higher lifetime prevalence of skin cancer compared with the general population,BMJ Open Sport &amp; Exercise Medicine, Volume 9, Issue 3 2)気象庁(2024)日最大UVインデックス(観測値)の年間推移グラフ,https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_daily_uvindex_obs.html 3)Kita et al.,(2024)Observation of Clothing Color and UV Transmission in Hot Environments:A Pilot Study on Playing Golf in Mid-Summer in Japan,The Conference of Digital Life vol.2 Proceedings 4)北 徹朗ら(2022)帽子の素材・色・形状が暑熱環境下でのスポーツ実施中の生理指標と帽子内温湿度に及ぼす影響,デサントスポーツ科学Vol.42,pp.37-51 北 徹朗|きた・てつろう 博士(医学) 武蔵野美術大学教授・同大学院博士後期課程教授 GMACゴルフ市場活性化委員会有識者委員(企業連携・交流部会副委員長) <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年10月04日
    国連のプラネタリーヘルスとウェルビーイングに関する新たな報告書(2024年7月公表) 2024年8月も「観測史上最高」や「猛暑日過去最多」が各地で相次いだ。気象庁が発表している「観測史上最高気温ランキング」(2024年8月18日現在)を見ると、上位21件(41.1℃~40.4℃)のうち14件が2018年以降に観測されている。2000年以前に観測されたものは2件しかなく、この5年程度で地球が急激な気温上昇している状況がわかる(表1)。 表1.日本における最高気温ランキング(2024年8月18日現在 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/hyou1.jpg" alt="" width="1000" height="994" class="size-full wp-image-82752" /> ) 2024年7月15日に国連環境計画(UNEP)と国際科学会議(ISC)は、プラネタリーヘルスとウェルビーイングに関する報告書(A global foresight report on planetary health and human wellbeing)を発表した。数百件のリファレンスを用いたこの報告書は96ページにも及び、世界の気候変動等に関する新たな課題を予測し示している(図1)。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/zu1.jpg" alt="" width="424" height="600" class="size-full wp-image-82754" /> 図1.<br />2024年7月に発表された報告書 <h2>報告書の内容は2024年9月に開催される国連未来サミットでの議論に反映される</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/zu2.jpg" alt="" width="880" height="649" class="size-full wp-image-82755" /> 図2.<br />8つの重大な世界的変化・現象(報告書より) 報告書では、中長期的な観点から、3つの地球の危機(気候変動、自然と生物多様性の喪失、汚染と廃棄物)を加速させている8つの「大きな変化」について言及(図2)し、18の「変化の兆し(Signal of change1~18)」が強調されている。この報告書は、9月22日~23日にかけてニューヨークで開催される国連未来サミット(Summit of the Future)での議論に反映される予定である。 <h2>報告書ではSDGs目標達成の遅れが指摘される</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/zu3.jpg" alt="" width="785" height="562" class="size-full wp-image-82756" /> 図3.<br />SDGsの17個の目標の進捗状況評価(報告書より) 2015年に国連加盟国が採択したSDGsについて、10年が経った現在の状況について、報告書は「成果は期待外れ」としている。項目によっては、2015年以降何の進歩も見られないばかりか、さらに悪化・後退しており、環境関連の項目についても目標から大きく外れている(図3)。 <h2>太陽光を宇宙に反射させて地球を冷却する研究</h2> 報告書に記載される18 の変化の兆し(Signal of change1~18)のうち、7番目に興味深い研究動向が示されている。(Signal of change 7:Deployment of Solar Radiation Modification,日射調整装置の導入) 具体的には、太陽放射修正:Solar Radiation Modification (SRM)と呼ばれる分野の研究が進んでおり、太陽光を宇宙に反射させて地球を冷却する(温暖化を抑える)ことを目指している。但し、本研究については環境や生物、社会経済への影響などの議論もあることが記されている(図4)。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/09/zu4.jpg" alt="" width="776" height="571" class="size-full wp-image-82757" /> 図4.<br />Signal of change 7:Deployment of Solar Radiation Modification(報告書より) 参考文献 1)気象庁(2024)歴代全国ランキング,https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/rankall.php(2024年8月18日確認) 2)United Nations Environment Programme International Science Council(2024)Navigating New Horizons: A global foresight report on planetary health and human wellbeing、https://wedocs.unep.org/handle/20.500.11822/45890(2024年8月18日確認)
    (公開)2024年09月04日
    <h2>連載タイトルと話題提供の観点</h2> 「サステナブル」や「サステナビリティ」という用語が世界に広まるきっかけは、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」が公表した報告書であるとされており、用語の本来の意味は開発行為における環境問題を指す。近年では「経済システムの持続可能性」や「気候変動の問題」、「人権問題」等々、その対象は広く用いられている。 サステナブル(Sustainable)という単語は形容詞であり、直訳すると「持続可能な」となる。サステナビリティ(Sustainability)は名詞形であり、一般的に「持続可能性」と訳される。 そこで、本連載のタイトルは『ゴルフサステナビリティ』(ゴルフの持続可能性)とし、主に以下の6つの観点から話題提供することとしたい。 <h2>観点①:サステナブルな日本のゴルフ人口</h2> レジャー白書によれば、日本のゴルフ人口は1992年の1480万人をピークに右肩下がりを続けている。ゴルフ人口1000万人の大台を割った2000年台半ば頃に「2015年問題」が言われ出し、次に来るゴルフ人口激減の高波が危惧された。だが、様々な提言や施策は奏功することなく、その後もゴルフ人口減少は続いてきた。 2023年10月に刊行された「レジャー白書2023」では、最新データとして「日本のゴルフ人口は過去最低の510万人」と発表されている。このように、日本のゴルフ業界は30年以上にも渡り、ゴルフ人口減に伴う「ゴルフの持続可能性」を憂い続けてきた。 本連載では、まずはこの現状を前提として「サステナブルな日本のゴルフ人口」と言う観点に軸足を置く。 <h2>観点②:サステナブルなゴルフの環境</h2> 『ゴルフの環境』には、暑さや寒さあるいは気候変動といった「自然環境」の問題と、ゴルフ場への交通あるいは用具の問題、価格やプレーフィーなどの経済状況といった「プレー環境」という意味合いもある。 2023年は暑さだけでなく日本に降り注ぐ紫外線レベルも急上昇した。日本では「気候変動適応法」が改正されるなど温暖化は深刻さを増しており、暑熱と紫外線の低減策が急がれる。例えば、筆者が従事する大学業界では「前期(4月~8月)には体育・スポーツの授業を屋外では行わない」ことを決めた大学も出始めている。 また、この観点からは、新規にゴルフを始めたいが状況が整わないといった「プレー環境」の問題も取り上げたい。 <h2>観点③:スポーツ・クリエーション</h2> ゴルフは単なる遊びであるにもかかわらず様々な制約があり、堅苦しいイメージを与え続けている。近年、フットゴルフやゴルフトライアスロンなど、ゴルフ場を利用した新しい遊び方が出現し始めているが、「ゴルフ場の持続可能性」という立場からは、もっと色々な用具や遊び方が提案されるべきである。 日本のゴルフ場数は減少傾向とは言え、現在も2100カ所をも超える数が維持されていることは素晴らしい。従来のプレースタイルを頑なに変えずに、遊び方が1つだけのままで閉鎖に追い込まれるか、新たに多様なプレースタイルやサービスを導入して、将来も持続的に運営できるゴルフ場化に舵を切るか、スポーツ・クリエーションの観点からゴルフ界への提言をしたい。 <h2>観点④:健康効果検証研究の展望:「ゴルフが主」で「健康効果は副」</h2> 「健康のため」にゴルフに親しむ人は多い。それ自体はとてもよいことである。だが、ゴルフ事業者や業界団体を挙げて「健康のためにゴルフを!」というキャンペーンを打つことには共感が得られにくい。そもそも「●●のためにゴルフを」という、何か別の目的での訴求の仕方は、過去30年に渡り多数の事例があるが、世間の人々には響かなかった。 古くは、ヨハン・ホイジンガ(1973)が「遊びの目的は行為そのものの中にある」と定義し、遊びはその遊びそのものが目的であることを記しているように、「ゴルフそのものの特性」や「楽しみ方の本質」を追求するべきである。 例えば、ドレスコードを厳しく規定することが、ゴルフ遊びの本質にどの程度の影響を及ぼしているのか。また、初心者や高齢者には適応し難いルールや環境であるならば、彼らが「楽しい!」「またやってみたい!」と思えるように改善・適応するべきではないか。 「ゴルフと健康」を掲げる対策を考える上で、「ゴルフは楽しい!」と夢中になること(ゴルフが主であること)が重要であり、その結果として健康効果(副)が付随する。主と副が逆転して 「健康のためにゴルフをやろう」というのでは本質的ではなく有効性にも乏しい。 人々がゴルフを楽しみ、ゴルフにハマるような環境やルールにカスタマイズしたり、アダプテーションする必要がある。 <h2>観点⑤:世界のゴルフエビデンス</h2> 筆者がゴルフサステナビリティに関連すると感じた国内外の研究を紹介する。「何がエビデンスなのか」をしっかりと理解できれば、まずはゴルフ事業者自らの持続可能性のために、一歩を踏み出しやすくなるのではないか。それぞれの積み重ねが、結果として日本のゴルフ界全体の持続可能性を高めることに繋がって行く。 <h2>観点⑥:教育機関におけるゴルフの考察</h2> 日本のゴルフ産業界では、従来、初等中等教育(体育授業)へのゴルフ導入の期待がある。筆者は大学でゴルフ授業を担当し、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会を創設した。大学に限らず、教育機関におけるゴルフや授業の在り方、そしてその現状についても調査・研究をしているが、幼児から高齢者までの「ゴルフ教育」についての話題にも触れたい。 参考文献 ・外務省(2015)持続可能な開発(Sustainable Development)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/sogo/kaihatsu.html(2023年12月13日確認) ・公益財団法人日本生産性本部(2023)レジャー白書2023―余暇の現状と産業・市場の動向― ・ヨハン・ホイジンガ著、高橋英夫訳(1973)ホモ・ルーデンス、中央公論新社 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://bt3.jp/url/ts/g/z9lenol2">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2024年01月01日

    すべて読み込まれました。