「本学がなぜ強いのかわかりません。わたしは、ゴルフに関して学生を叱ることは一切ありませんから。ただし、道に外れた行為に関しては、怒ります」。そんな教育論を披露した阿部監督は、ゴルフを人格形成のひとつと捉えているようだ。技術論ではなく、本質論。そのような文脈で、国内男子ツアーの窮状を次のように分析した。
「ゴルフ界には、JGAを筆頭に沢山の関連団体がありますが、活性化を考えたときにプロの果たす役割はとても大きいと思います。プロが活躍する姿をみて、子供たちも憧れる。ゴルフをしたいと思うわけですが、肝心のプロゴルファーが勘違いをしているケースが多い」
「一例として、移動時の格好があります。プロ野球やサッカー選手は、必ずスーツにネクタイで移動する。ゴルフは個人競技ですけれど、ジーパンや半パン、ひどいのはサンダルで移動しているわけですよ。あのような姿をみて、ゴルフが紳士のスポーツだとはいえません。JGTOが厳しく指導することも必要ですが、何より選手個々の自覚が欠けている。そのように思えてなりません」
同大ゴルフ部の教育は、服装の徹底から日常生活の管理まで細かく及ぶという。
「うちのゴルフ部員は、必ず学生服に革靴でゴルフ場へ出入りするように決めています。スパイクでゴルフ場に来るような生徒は、その場で追い返す。また、飲み会などで外出する際には、届け出が必要ですし、1~2年生の飲酒は厳しく禁じています。練習時にはユニホームの着用を義務付けますが、これは、本学の生徒であることを周囲に認識して頂く狙いもあります」
PGAは現在、暴力団との交際問題で大揺れに揺れているが、
「それはプロの話なので、学生レベルで語るのは難しい。しかしながら、学生時代に社会常識や人格形成をきちんとすれば、防げると思います」
ところで、大学ゴルフ界の頂点に君臨する東北福祉大は、どれぐらいの「コスト」で運営されているのか? 同大の場合、総合ポイントが重視されるという。日々の練習や月時の活動状況、大会における成績などをポイントで算出し、活動費が支給される。
「活動費は年によって異なりますが、平均的には250万円程度だと思います。この金額は、本学の運動部では最高ですね。そのほか、月の部費が1人5000円、遠征用のバスなどOBの寄付によるものも多いですし、周辺のゴルフ場や練習場からは、多くの支援を頂いております」――。
プロは移動時にスーツを着用すべし! 多くの聴衆が頷いていた。