今回の同時期発売は、これまでのナイキゴルフの流通政策のテコ入れで、今後3年間で2ライン隔年発売を目的とした戦略となる。同社クラブ&ボールビジネスディレクターの信田真樹氏が痛切に語る。
「これまで当社は販売計画を達成するために販売店に無理なお願いをしてきたと思います。結果的には供給過多で、販売店様にご迷惑をかけてきました。今回の2ライン同時期発売は3年間で一回りします。今回から営業スタッフが販売店のそれぞれにマッチする商品供給の提案を行い、ショップ側が在庫リスクを負わないビジネスモデルを構築していきたいと考えています」
そのために、供給する商品のハッキリとした差別化や営業体制の強化が無論必要となってくるが、前者を「SQマッハスピード」と「VR」の両ラインで、後者の営業体制強化は、外部スタッフが含め約20名の少数精鋭でより個別店舗を深掘りしてコンサルセールスを徹底していくという。
ナイキがゴルフに参入して9年目。当初、クラブビジネスではフューチャーオーダーシステムを採用し、販売店の理解を得られなかったという過去の大きな痛い思い出がある。そして、これまでの過剰供給やプロダクトアウトを意識しすぎて消費者ニーズへ対応力が遅れたという面で、販売店や消費者からのナイキゴルフに対する信用の低迷もある。それらをまずは3年間で取り戻すことから始めるということになるようだ。そのため特にドライバーでは、「SQ」の特長といえる"四角"を継続せず、『マッハスピード』では"丸形"1本で勝負するという。