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    ハッシュタグ「ゴルフ場買収」記事一覧

    ツリーベルは、埼玉県上尾市に位置する「リバーサイドフェニックスゴルフクラブ」を運営するフェニックスの全株式を取得、6月20日より運営を開始した。 本取り組みは、同社が展開するインドアゴルフスクール「ZENGOLF」の会員に、スキルアップと実践をつなぐ“ゴルフの本質的な楽しさ”を届けるとともに、ゴルフクラブ会員にとっても、より便利で魅力的なサービスを提供することを目指している。 現在、一都三県にて54店舗のインドアゴルフスクールを展開している同社は、施設間の相互利用を可能とした利便性の高いサービスで、多くの会員に支持されている。「ZENGOLF」で磨いたスイングやショットを、実際の芝の上で実践できる環境が整ったことで、インドアとアウトドアをつなぐ新たなゴルフ体験の流れが誕生した。 今後は、「ZENGOLF」でのインドアレッスンを活かしたラウンドレッスンの開催や会員限定イベントなど、本コースならではの体験価値を提供する予定。さらに、ゴルフクラブの既存会員に向けても、「ZENGOLF」のインドア施設を活用できる仕組みを整備し、日常の練習環境を強化していく。 インドアとアウトドアが相互に行き来できる環境をつくることで、両会員の間に新たな交流と相乗的な価値が生まれていくことを目指している。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/06/56273-15-37a1b9b62986a6cc3a4ddb0.jpg" alt="" width="1029" height="684" class="aligncenter size-full wp-image-88475" /> 【コース概要】 ・ゴルフ場名:リバーサイドフェニックスゴルフクラブ ・所在地:埼玉県上尾市平方2606-1 ・開場日:昭和40年11月3日 ・コース設計:発知 朗 ・コース規模:18ホール・6601ヤード・パー72 ・アクセス:首都高速「与野」ICから車で25分/関越自動車道「川越」ICから車で30分/東北自動車道「岩槻」ICより車で35分/圏央道「桶川北本」ICより車で15分/JR川越線「指扇駅」より路線バス運行 ・公式サイト <a href="https://www.riverside-phoenix.co.jp/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www.riverside-phoenix.co.jp/</a>
    (公開)2025年06月24日
    アコーディア誕生の背景 <strong>まずは基本的なことから伺います。御社はゴールドマン・サックスの一員としてゴルフ場運営を任されていますが、それはどういった立場によるものなのか? このあたりからお願いします。</strong> 「ご存知かどうか、ゴールドマン・サックスはニューヨークに本店を構える世界的な投資銀行なんですね。証券の世界ではメリルリンチがトップですが、顧客の資金を運用する業界においては、証券のメリルと比肩する立場の会社です。 それで日本にゴールドマン・サックスの東京支店がありましてね、ここの『戦略投資部』がゴルフ場の再生ビジネスをやろうとなったわけです」 <strong>経営破綻に陥ったゴルフ場を買収する仕事ですね。日東興業やスポーツ振興など、チェーン展開のコースを買っています。</strong> 「日本でのゴルフ場買収は3年前から始まりまして、GS社は投資案件として魅力的と考えたのでしょう。ただ、買ったゴルフ場は運営しなきゃいけませんよね。そこで去年の5月に管理・運営の専門会社としてアコーディア・ゴルフが設立されました。GS社の100%出資会社です」 <strong>ゴルフ場の買収は誰が選別するんですか。</strong> 「買収は戦略投資部が中心になって行います。チェーン経営のゴルフ場などは、個別のコースごとに儲かる儲からないにかかわらず、ひとまとめに仕入れることもありますが、一番大事なのはタイミングなんですよ。 その意味で、複数のコースを経営する日東興業やスポーツ振興とはご縁があったわけでして、我々運営会社は仕入れたコースをどう料理するか。『料理』というとメディアの皆さんは、すぐに『売却』を想像するのかもしれませんが、そうではなくて、発展的に育てるということです。 わたしが最も恐れるのは、10年後のプレー人口減少なんですよ。たしかにジュニア育成も大事ですが、30〜40代のプレー頻度を高めないと市場の先細りは明らかじゃないですか。 先細りを防ぐためには、プレーの機会を積極的に提供することで、ハイエンド(高級)以外のゴルフ場を安くて楽しめるコースに変えないと、市場はジリ貧に陥ってしまう。それだけは避けたいと考えているんです」 <h2>買収100コースは「目標」じゃない</h2> <strong>現状、買収目標は100コースですが、達成すればかなりの影響力を持ちそうですね。</strong> 「いや、『100』というのはひとつのターゲットであって、目標ではないんですよ。だって、国内2500コース分の100なんて微々たるシェアじゃないですか。これでは大した影響力を持てませんから(笑)」 <strong>そうですか。GSと張り合ってローンスター(PGM)も意欲的ですが、現状、どちらがリードしてますか。</strong> 「今のところ、シェアで言えば五分五分でしょうねぇ。運営準備のコースも含めれば、双方桔抗してると思いますよ」 <strong>会員数は?</strong> 「17万人です」 <strong>売上はどうですか?</strong> 「う〜ん……初年度(2003年)の事業計画は200億円でしたけど、結果的には一桁台のアップでした」 <strong>一桁台のどれくらいですか?</strong> 「後半です」 <strong>となると、7~8%のあたりでしょうね。クラブハウスの内と外では、どれくらいの売上比率ですか。</strong> 「まぁ、個々の詳しい販売比率はご勘弁願いたいんですが、ざっくり言って7(外)対3(内)かな。という感じですね」 <strong>「内」というのはレストラン、ゴルフ用品、土産物などの売上ですが、その比率に変化はあるんですか。今後は四分六を目指すとか…。</strong> 「いや、7対3でいいと思いますよ。ただし、全体の売上金額が上がるので、比例してクラブハウス内の売り上げも頑張る必要があるでしょうね」 <h2>1コースで10万人を目指せる</h2> <strong>その点はのちほど詳しく伺いますが、コース経営のバロメーターは入場者の数ですね。マックスでどれぐらい入りますか?</strong> 「けっこう行けると思いますよ。大雑把に言えば、18ホールのツーウェイで夏が一日240人、冬は200人で、年間8万8000ラウンド。これに早朝ゴルフや薄暮プレーを組み合わせれば、9万5000〜10万人はキャパとしてやれるでしょうね」 <strong>10万人? それは通常の倍以上じゃないですか。</strong> 「別に驚くことはありませんよ(笑)。ハワイには年間12万人も入るゴルフ場があるし、LAのランチョパークも10万人を越えてますから。 比べて日本はせいぜい4万人じゃないですか。これでは施設の有効活用になっていません。ウチは会員制なのでゆったり感が必要ですが、それでも5万5000〜6万人を目処にしていきます。ちなみに去年はトータル150万人の目標に対して、10%強のアップでした」 <strong>7月下旬、都内のホテルで1周年のパーティを開いて、まあ大盛況でした。会場には何人来てました?</strong> 「およそ450人です」 <strong>その席でいろんな発表をされましたが、個人的に印象に残ったのは用品販売への注力です。</strong> <strong>去年のショップ売上は5億7000万円で、最新の資料(2004年1〜5月期)では昨対325%を記録している。専門店も心中穏やかじゃないですね。</strong> 「おかげさまで好調です(笑)。本格的に、という意味では、去年の夏から始めましてね、商品は事業所別で仕入れるなど、責任者には自由な裁量権を持たせています。 以前は全国13ブロックに分けていましたが、今回からリージョン制(地域主義)を導入して、ファイブ・リージョンでやってます」 <h2>地域主義を徹底する</h2> <strong>「事業所」というのは何ですか?</strong> 「ゴルフ場のことですよ」 <strong>ゴルフ場別に仕入れるんですか。</strong> 「ええ」 <strong>そりゃまた、かなり面倒くさいですねぇ。</strong> 「まぁ、傍目には非合理的に映るとは思いますが、今はそれでいいと思ってます。なぜか。最大の理由は地域性にあるんですよ。 というのも、社内のブロックやリージョン会議で話題になるのは『地域性』に関することが多いんですね。 たとえばメンバーで影響力のある人が、Aというドライバーを使いはじめる。すると一気に広がって、その地域ではどのキャディバッグにもAが入ってるという現象が起きるんですよ。こういったことは、大きなエリアの統一性では括れない動きなんです。 同様に、ショップの見栄えも統一していません。ある地域では小さな専門店型だけど、別の地域では量販店型といったように、規模も造りも違った形になっている。これは、その地域の一番店に影響されるからなんです」 <strong>ショップの責任者が地域の一番店を見てしまう。模倣というか、対抗上、そういった形になりやすいんでしょうね。</strong> 「ただし、今はそれでいいと思ってます。大切なのは、ゴルフ場にも商品がたくさん揃っていて、値段も街のショップに負けませんということを、まずは知ってもらうことなんですね。 そのためには地域の有力店と同じ形、同じ値段ということが、当面は必然じゃないですか。 嬉しいのは、スタッフのやる気なんですよ。以前は(会員権の)償還問題でメンバーからもの凄く叩かれた。会社更正、民事再生…って、意気消沈ばっかりですよ。 ところが、最近は夜遅くまで活発な議論をやっていて、何かというと、売り場のディスプレイをどうしよう、サービスのあり方はこうだとか、侃々諤々やってるわけですよ。 実際、販売アイテムも当初はボールとか消耗品が中心でしたけど、去年の秋口から『クラブもやっていいですか』と現場から要望が出始めた。考えてもみてください。前向きに生きるということが、どれほどの活力を生み出すか…」 <strong>企業は社員の情熱が生命線ですからね。その際、地域主義は自主性でもある。自主性が活力の源になる、と。</strong> 「まったくおっしゃるとおりです(笑)。なので、所属プロや研修生もリストラ対象にはしていません。将来はインストラクション販売もやろうと思っているので、『どんどん雇え』とハッパをかけているんですよ(笑)」 <h2>クラブの割引は市場原理です</h2> <strong>ショップの売上はどれくらい伸びそうですか。</strong> 「う~ん、プロショップはまったくわかりませんねえ。10倍か、20倍か、あるいは100倍に届くのか……」 <strong>取り引き件数はどれくらいですか?</strong> 「どうでしょう、ひとつの事業所で100件はあると思いますよ。いずれはセンター仕入れの割合を高めたり、ボリュームディスカウントも必要になるとは思いますが、前提として『地域主義』を変えるつもりはありません」 <strong>気になるのは、7月からポイント還元を併用して3割引きを始めています。ポイントは系列コースの利用頻度に応じて加算され、そもそも15%引きの商品に、最大18%のポイント割引が併用される。</strong> 「ええ」 <strong>あるメーカーは、日本型のプロラインを構築するなら、むしろ付加価値販売を目指すべきだと言ってます。3割引きはやり過ぎじゃないか……。</strong> 「その点については、まず、基本的な考えから申し上げます。我々がショップに注力しているのは、ゴルフ場で消費する商品をゴルフ場で売るのは当然だという、サービス業としてはごく当たり前の発想からなんです。 その流れでメンバーの付加価値を考えたときに、我々はゴルフ場の運営会社なんですから、頻繁に来ていただく、上達する、楽しんでもらう、そのためのお手伝いを全部する。そういった仕事じゃないですか。 こういった本義に照らすなら、物販は中心になり得ません」 <strong>なり得ない……。だとすれば危険な雰囲気が漂いますね。</strong> 「ん?」 <strong>割引商品が客集めの道具に使われる。</strong> 「ちょっと待ってくださいよ。ポイント還元を含めて『3割引き』は街のショップもやってるじゃないですか。『街より下げて売りなさい』と、そんな指示を出したこともありませんし、殊更目くじらを立てる必要はないはずです。違いますか?」 <strong>「街」より下げて売りませんか?</strong> 「あのね、要は市場原理ですよ。誰でも利益を確保したいのが本音でしょ。街のショップが15%引きなら、その程度が妥当じゃないか。2割引きなら、そのあたりが常識的な攻防ラインになるわけで、要するに、価格競争をウチが率先するつもりは全くありませんし、この点は強調しておきます」 <h2>中古最大手ゴルフパートナーと提携</h2> <strong>あのぉ、竹生さんの発言は、多分に「確信犯的」ですね。過激なことをボンッと言って、世間の注目を集めてみる。要するに観測気球です。</strong> <strong>先日のパーティでの「3割引き宣言」がまさにそうで、来場していたメーカー関係者も「エッ!」て驚いた顔をしてました。</strong> 「まぁ、おっしゃるような『確信犯的』は、敢えて否定しませんがね(苦笑)。いずれにせよ、わたしの発想に『業界のため』というのはないんですよ。 マーケットの中心は、あくまでもお客様じゃないですか。お客様の支持がなければウチの会社に未来はないし、もちろんゴルフ業界にも未来がない。それが基本じゃないですか」 <strong>まったく同感です。この業界は「業界目線」が強すぎて、自縄自縛に陥ってますから。「業界のため」が、業界を悪くしています。</strong> 「先ごろ、中古チェーンのゴルフパートナーさんと提携しましたが、これも理由はメンバーへのサービスなんですよ。 たとえばPRGRの『TR-X』……、『DUO』の前のモデルですが、これを使っているメンバーがカーボン複合ヘッドの『DUO』も使ってみたいと考える。で、8万円の商品を3割引きで5万6000円、なおかつ中古下取りで3万円、差し引き2万6000円+消費税で購入できるなら、わたしだったらもの凄くハッピーですよ(笑)。 一方では、系列コースの1割がハイエンド(高級)コースになるでしょうが、そこでは百貨店と同じ品揃えで、積極的にDMを打つなど、外商販売も視野に入れます」 <strong>考えてみれば、ポイント還元もその他のサービスも、一般的には当たり前のことですね。ゴルファーである生活者は、当たり前にそれらのサービスを享受している。</strong> 「そうですよ。顧客サイドに立ってみれば、いろんなことが発想できる。一番わかっていなかったのが、うちの支配人とゴルフマスコミ…。ゲストを入れなきゃゴルフ場は儲からない、そんな論調だったでしょ。 支配人の発想も、グリーンフィを安くして食堂とショップでぼればいいと。『ぼる』というのは語弊があるかもしれませんが、単純に言えばそうですよ。沁みついた意識を根柢から変えて、まずは会員メリットを提供して、1回でも多く来ていただく。そこがこのビジネスの基本なんですから」 <h2>スクール販売にも注力する</h2> <strong>旧来の会員ビジネスは逆風です。会員制ならではの排他性と特別感は、今やネット予約でどこのコースにも行けますから。</strong> 「だからこそ、ホームコースのメリットを提案しなければならないんです。ホームコースで頻繁にプレーすることは上達の早道だし、いろんな付加価値を揃えることで、何度も足を運んでいただけますから」 <strong>上達といえば、御社はクリニック、スクール、フィッティングにも力を入れるとか。</strong> 「そうですね。これはアメリカのプロラインを念頭に置いて、プロや研修生、そういった『軍団』を鍛えます」 <strong>気になるのはフィッティングに使う計測器ですが、どこのメーカーを採用するんですか。</strong> 「いや、そこは何も決まってないんですよ。本格始動は再来年の1月なので、まあ、じっくり考えます」 <strong>気になるというのは、仮に特定の計測器メーカーと組んだ場合、そのメーカーは非常に大きなメリットを得ます。単にスケールメリットだけではなく、測定方法の普及に付随して、そのメーカーの仕様がレッスン市場でマジョリティを取れますから。</strong> 「でしょうね。ただ、我々としては特定のメーカーに縛られたくないわけですよ。(クラブ販売も)ニュートラルな立場でリコメンド(推奨)するのが基本なので、輸入機器も選択肢に加えながらじっくり検討する予定です。 ただ、難しいのは、メンバーのプライドを傷付けないか……。そこは非常に気になりますね」 <strong>HS40と言ってたのが、計ってみたら36とか…。</strong> 「そうそう」 <strong>なんだ、女と一緒かと(笑)。</strong> 「いやいや、笑い事じゃありませんよ。メンバーさんのプライドには物凄く配慮が必要で、不愉快になりそうなことは極力避けるべきなんです。なので、今のヘッドスピード偏重主義を、ミート率重視に変えられないか。そんなことも思いますよね。実際、ミート率はとても大事な要素ですから」 <strong>というか、フィッティングの目的はHSの向上が大きいので、別にいいんじゃないですか。「バイアグラ効果」と一緒でしょう。</strong> 「………それは、言えるかもしれませんけどねぇ(苦笑)」 <hr>
    (公開)2023年03月14日
    ゴルフ界の問題は日本の問題と同じ <strong>御社は創業わずか5年で上場しました。当初からそこを狙っていたわけでしょうが、そもそもPGMとはどんな会社なのか? そのあたりからお願いします。</strong> 「わかりました。まず、当社の創業時はゴルフ場の倒産ラッシュがありましてね、この傾向は会社が立ち上がる前から顕著でしたし、わたし自身、7つの会員権を持っていましたが、そのうち4つが倒産ですよ(苦笑)。 一人のゴルファーとしても何とかならないかと……。そんなことを思っていた矢先、PGMから『経営をやってもらえないか』と打診を受けたのです」 <strong>会長への就任は2002年ですが、それ以前からゴルフ市場の荒廃を深刻に受け止めていたわけですか?</strong> 「そうですね。わたしの経歴を簡単に話しますと、大日本印刷に長らく勤めまして、1979年から8年間、アメリカ法人の社長をしていました。その後ヘルスケア業界最大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&amp;J)に移って、J&amp;Jメディカルの社長や日本法人の社長など、日米の大手企業で様々な経験を積んだわけです。 PGMからの誘いはJ&amp;Jを辞めてコンサルティング業をしていた頃ですが、そういった観点から思うことは沢山あったんですよ」 <strong>たとえば?</strong> 「わたしの頭の中はゴルフ業界だけではなく、日本の国家や制度、そこで活動する企業群が21世紀にどのように出直すのか……。そんなことを常に考えているんですね。 医療制度や社会保障も同じです。少子高齢化が加速して、託児所や幼稚園、私学の倒産も増えているじゃないですか。次世代に向けてシステムを変革するのがこの国の大命題になってくる。思考しながら提案し、具体的な手段を講じていく。一連のことを手掛けるには、マーケティングの発想が不可欠です」 <strong>なるほど。それらはゴルフ業界の課題とも通底しているわけですね。</strong> 「そうです。日本では93%のゴルフ場が赤字でした。ゴルフというスポーツのポテンシャルは変わらないのに、周辺環境が変化したからです。 社用ゴルフの激減が卑近な例ですが、プレーに対するウィシュ(願望)は同じなのに、それを妨げる障壁がある。つまりゴルフ業界が抱える問題は、学校や病院の問題と同じなんですよ。ゴルフ界が抱える問題は、ゴルフ界に限ったものではありません」 <h2>浪花節の経営じゃダメですよ</h2> <strong>つまり「変革」が急務だと。変革をする際に、変革の軸を刺すことが大事ですね。その軸を市場のどこに刺すんですか?</strong> 「そうですねえ。日米の大手企業に勤めて、さらにコンサルティング会社を経営した経験で思うのは、『文化の違い』に尽きるでしょうね。 要するに、変革は文化の溝を認識して、ブリッジング(架橋)をすることです。谷を埋める作業ではなく、橋を架けるコンセプトで、互いの強みを活かしていく。これによって新しい方向性を創造することが『軸』になると考えています。 で、そのことを深く考えられる人が日本に少ないのは、日米で大手企業の経営を体験した人が少ないからなんですよ。 自分をPRするわけじゃありませんが(笑)、わたしはコンサルティングでもトヨタ、日産、味の素など、グローバル企業を手掛けてきました。そういった目線で考えたとき、PGMもわたしが描くストーリーに乗っていると判断したし、上手く舵をとれば今のゴルフ市場の在り方を変えられる。まあ、そんなふうに考えたわけです」 <strong>観念論としてはわかりますが、具体的にはピンときません。経営破綻に陥ったゴルフ場を、今のストーリーでどのように再建するわけですか?</strong> 「わたしはね、学者でも評論家でもメディアでもなく、経営者なんですよ。その視点で日本の現状を見た場合、ふたつのグループに大別できると思うんですね。 ひとつは『今のままでもなんとかなるだろう』と考える既存勢力、もうひとつは『ダメだからイチからやり直そう』と考える勢力です。わたしはまず、後者の立場をとりますが、なぜならファンダメンタルのシフトが要求される現代では、一度ゼロにリセットしたほうが合理的で、そのことはダイエーとマイカルの再建にも顕著に表れています」 <strong>ボロ家を増改築するよりも、一度更地にして建て直した方が効率的。</strong> 「という話です。両社とも流通グループの雄として成長してきたわけですが、市場の変化に対応できず、結局は苦戦しましたね。問題はここからです。 マイカルのスポンサーとなったジャスコ(現イオングループ)の場合、支援はするけど『その前に法的整理をすべきだ』と主張して、一度潰しているんですよ。 ところがダイエーは潰さない方向でスキームを組んで、銀行もその流れで協力したじゃないですか。ゼロにしたほうが早いのに、日本的な情緒を優先して、未だに試行錯誤を続けています。実はね、それがコンフォタブル(心地良い)なわけですよ」 <strong>つまり、再建過程の努力自体が浪花節というか、悲運に酔える?</strong> 「そうそう、まったくそのとおりです(笑)。ビジネスはね、浪花節的な感情を含めて、気持ち良さを求めるものではありませんよ。 そりゃ、潰れればいろんなバッシングを受けますが、純粋な意味での経営は日本の社会性やシキタリと切り離して考えるべきであって、先ほど申し上げた『文化の違い』はそのことを指しているんです」 <strong>非情ですねえ。</strong> 「日本人が言うと『非情』なんだけど、ピーター・ドラッガー(米経営学者)は『再生の早道を考えるのが大切だ、再建が成功すれば雇用も生まれるじゃないか』と主張しています。これが文化の違いなんですよ」 <h2>「ハゲタカ」には異論あり</h2> <strong>そのような思考がPGMの経営に反映されているわけですか? 瀕死のゴルフ場を虎視眈々と狙っていることから「ハゲタカ」とも呼ばれてますが。</strong> 「あのね、ぼくは『ハゲタカ』と呼ばれることには異論があるんですよ。なぜなら、うちはアメリカ流のバッサリではなく、日米の中間手法をとっているからです。 ただし、コース買収のストラテジー(戦略)は例外なく倒産企業に絞り込む。法的整理をされてないゴルフ場は絶対に買わないし、その点はイオンと同じスタイルかな。 なかには整理前に『買ってくれ』というコースもありましたが、引き受けませんでした。 まずは一度、きちんと潰れることです。倒産は裁判所が決めるから、その過程でうちは一切絡みません。裁判所はゴルフ場を持っていても仕方ないから、入札になる。入札はガラス張りだから談合もない。非常にスッキリしてるじゃないですか」 <strong>そうですね、買収に至る諸々の雑事が一切ないから非常にスッキリしています。で、再建側の人間として、破綻コースに共通する問題点は見えますか?</strong> 「見えますねぇ。裁判所は民事再生会社のスポンサーを募り、新たな引き受け先が事業化管財人を出しますが、わたし自身、エスティティ開発や地産では管財人を務めました。 そのような経緯から思うのは、破綻コースの最大の穴は前経営者の責任ですよ。会員から集めた預託金を、勝手に株や土地に投資したじゃないですか。 本来、預託金は預かり金だからきちんと経理処理をすべきだし、そこになければいけない資産なのに、多くの経営者は勝手に流用したわけですよ。 これ、商法違反じゃないですか。アメリカの経営者なら間違いなく逮捕されますが、日本はそれをやりません。地産のときも前経営者は脱税容疑だったでしょ。つまり日本そのものが間違っているんですよ。 にもかかわらず『ハゲタカ』という言葉を我々に向ける。むしろどちらが『ハゲタカ』なの……? わたしはそう問いたいですよ。 それと、破綻コースに総じて言えるのは集中力の欠如もありますね。地産の場合は29のホテルがあって、いずれも赤字に苦しんでいました。同じことは西武にも言えますが、ゴルフ以外の事業にも投資していたのでゴルフ事業が散漫になったわけです」 <strong>要するに片手間だった?</strong> 「そう。これじゃきちんとした経営は期待できませんよ」 <h2>この仕事は「不良債権買取再生業」</h2> <strong>経営で大事なのは集中力だと。すると、PGMの集中力はどの方向に向けて発揮するんですか?</strong> 「うちは現在18ホール換算で118コースを運営しておりますが、これをもっと増やしたいと考えていて、すなわち集中力は『数』ですよ。集中力は当面、チェーンメリットの追求に発揮する方針です。 我々の仕事は経営的に『不良債権買取再生業』だと思うんですね。だって、買収コースの100%が倒産企業じゃないですか。買収額は表面的に10億〜20億円なんですが、個々に抱える不良資産は少なくとも50億円、多いところでは200億円に達するものもあるんですよ」 <strong>とはいえ、負債をすべて継承するわけじゃないですよね。</strong> 「そうですが、だとしても入札は一発勝負で、再生に失敗したら不良資産だけが残るじゃないですか。 再生に成功を収めるためには『ゴルフコース・マネジメント・ビジネス』に特化する必要があって、ゴルフ場をマネジメントしながら健全化の源泉である利益を出す。これによってメンバー、株主、従業員の満足度を高めていく。そんな道筋になるわけです」 <strong>それで今、キャッシュフロー・ベースでどれくらい改善したわけですか?</strong> 「買収コースの8割以上が黒字になりました」 <strong>すごいですねぇ。で、どのように?</strong> 「私どものビジネスコンセプトは『チェーンオペレーションの徹底』で、10コース程度のチェーンではゴルフ場経営の採算が合いません、合わないから倒産してしまう、という視点に立っています。 数を持たないとコストは下がらない。だから数が大事なんで、このコンセプトはアメリカで50年以上も前のビジネスモデルなんですよ。 会社の近所にとんかつ屋があって、カツ丼が870円です。コンビニのカツ丼は半額以下で、双方成立してますが、400円のコンビニはこれを可能にするシステムがあるわけで、決してマジックではありません。ゴルフ場も同じですよ」 <strong>PGMは2010年までに、運営受託を含めて200コース(現在100コース)を目指してますが、社内的なチェーンオペレーションによるコストの優位性とは別の視点で、他社対抗的な意味合いのシェアもありますね。</strong> <strong>仮に200コースを取ってもシェア1割に届きませんが、限界シェアについてはどんな判断ですか?</strong> 「それについては今のところ、未知数ですね。国内2430コースのうち、当社とアコーディアさんを併せても現段階では7%程度じゃないですか。我々の力が及ぶ範囲はどれくらいなのか……。 まあ、2010年で200コースは発表している数字なので、間違いなく目指しますが、それ以降は未知数なんですよ」 <h2>買収環境は厳しくなってくる</h2> <strong>先ほどコンビニのカツ丼の話が出ましたが、コンビニ業界の激越なシェア合戦が派生する形で「99円ショップ」を生み出して、社会で価格破壊が進んでいます。御社はつまり、それをゴルフ業界に持ち込むわけですね。</strong> 「いやいや、そこを目指して経営してるわけじゃありませんよ(苦笑)。採算の中で大事なことは適正利益を出すことで、そこは重視していきます。とはいえ、競争はいつの時代も同じことで、永遠に続くテーマです」 <strong>御社の競争相手はアコーデイアですが、今後ふたつの局面で競合が激しくなってきます。ひとつはコースの買収競争、もうひとつは顧客の獲得競争ですが、その際、PGMとアコーディアの違いは何でしょう。</strong> 「そうですねえ。まず、アコーディアさんはマクドナルド・スタイルで、すべてのコースに統一感を持たせています。色や看板、スコアカードも共通化するなど、経営はやりやすいと思います。 これは想像ですが、1コース当たりの入場者数は向こうが多いでしょうし、単価も安いはずだと思います。ところがウチはそれと反対で、PGMのカラーを出しません。そこが一番の違いでしょうね」 <strong>その理由は?</strong> 「まあ、一言でいえば哲学の違いだと思います」 <strong>わかりません。哲学って何ですか?</strong> 「うん、ゴルフコースは地域のニーズによって成立します。だからメンバーの心象に配慮する必要もある。経営破綻で買収されて、『進駐軍』が我が物顔で居座ったらどうなりますか?」 <strong>もの凄く居心地悪いというか、腹が立ちますね。だって、そもそも自分が払った会員権で造ったコースなのに、他人が我が物顔で振る舞うわけだから。</strong> 「ですよね。メンバーさんの気持ちを考えれば、進駐軍的な振る舞いをしたり、何から何まで新しいやり方に変えるべきではありませんよ。 だから我々は買収後もコース名を変えないし、PGMのコーポレートカラーも押し付けません。それで傍目にはPGMとわかりにくいわけですが、それでいいと思ってます。 破綻コースは今後も沢山でると思いますが『買収されるならPGMの方がいい』と、そんな希望を口にするところは多いんですよ」 <strong>アコーディアは現在87コースですが、あそこはチェーンの着地点を「取り敢えず100コース」と考えています。</strong> 「うん……」 <strong>PGMの目標はその倍だから、買収は当面続きますね。</strong> 「そうですね」 <strong>その一方で、第三勢力、つまり国内の様々な企業がゴルフ場買収のビジネスに参戦してきています。当然、買収状況は厳しくなるし、そんな事情を考えれば「進駐軍的な手法」は得策じゃない。「配慮」というのはその意味ですね。</strong> 「おっしゃるとおりです」 <strong>目標の200を達成したら、一転、マクドナルド・スタイルに転じるかもしれない。その方が合理的ですから。</strong> 「まあ、良し悪しの判断をするのは時期尚早だと思いますが、将来においてその必要性が生じれば、そうなるかもしれませんね」 <strong>運営コースの利益ターゲットはどれくらいですか?</strong> 「まあ、今はコメントを控えましょう(笑)」 <strong>ゴルフ場って図体が大きいから、売上も大きいと思われがちですが、実のところ中小企業なんですよね。経営状況が「中の上クラス」でもキャッシュフローで年商5億円。年間来場者5万人で客単価1万円。これに年会費と名変料が付く程度で。</strong> 「あのね、ゴルフ場をアバウトな数字で考えたら駄目ですよ。コース経営はディテールビジネスですからね、これまでの大雑把な手法は通用しません。 たとえばリゾートコースといった場合、北海道のリゾートや東京近郊の『リゾート的』なコースでも、実態はまったく違うじゃないですか。そこをきちんと把握しないと」 <strong>その違いを御社の場合、何分類してるんですか?</strong> 「そうねえ、マーケティング的には12分類ですが、これにリージョン(地域)の気候やGDP、絶対人口とゴルフ人口の兼ね合い、消費特性などを吟味する必要があります。 リージョンは県単位がベースになって、先ほど申し上げた要素をマトリクスで判断するわけですが、これ以上は企業秘密です(笑)。それでもね、かなり話した方ですよ。ちょっと話しすぎたかなぁ」 <strong>ありがとうございます。それでは最後にビジネスビジョンを伺います。これ、凄く大事なことだと思うので。</strong> 「大事ですね。我々のキャッチフレーズは『Love Life Love Golf』で、ビジョンはこの言葉に集約されているんですね。 博報堂は以前、コカ・コーラを普及させるときに『スカッと爽やかコカ・コーラ』とやって成功しましたが、会社の名前を打ち出すよりも、商品を想起させる言葉の方が遥かに浸透しやすいわけですよ。 従来のゴルフはビジネスマンの世界に偏りすぎて、女性や子供が入れないというイメージがありました。当社はそれを壊すために、逸早く業界のリーダーになることを掲げたし、そのために創業から5年で上場しました。 その上で、ゴルフビジネスの最大のリスクは何だと思いますか?」 <strong>それはもう、天候要因、天変地異を含めてこれでしょうね。</strong> 「そうなんです。だからそれをヘッジするためにも、全国チェーンを追求しているわけですよ。 先頃『P-CAP』制度を導入して、会員は系列コースで安くプレーできるようになりました。それで『価格競争勃発か?』と書かれるのは筋違いで、重ねて申し上げますが、うちは安ければいいという考えは持っておりません。 正当な価値を提供し、質の高い利益を得るのがビジネスビジョンだと心得ています」 <hr>
    (公開)2023年02月27日

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