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    ハッシュタグ「予約システム」記事一覧

    合同会社タタタが展開する、店舗向けの予約管理システム『予約管理システム部 山田太郎』が、インドアゴルフへの導入数を伸ばしている。 これまでの導入先は、ピラティス、スポーツジム、塾、サウナ、貸会議室、シェアオフィス、公共機関や行政など75社以上。 東京メトロなどとも取引があり、利用店舗数は数百を数える。インドアゴルフでは、「YGCゴルフ倶楽部」3店舗など、10店舗以上に採用されており、直近では「ゴルフプライム小松スタジオ」(石川県)に導入された。 インドアゴルフでの採用が増えている要因は、初期費用0円、最大5店舗まで月額1万5000円という導入のしやすさにある。通常の予約管理システムは初期費用がかかるのが一般的で、月の予約数や登録従業員数に制限があることも多い。安い料金プランでも、中身を充実させるとオプションが付き、高額になるケースは珍しくない。 また店舗ごとに利用料が必要なことも多く、店舗数を拡大するほどコストが上がる。中小のインドアゴルフは5店舗以内が多いため「5店舗まで月額1万5000円」は、店舗オーナーにとってはコストメリットが高い。それ以上の店舗数でも、1店舗につき月額3000円の追加料金で済み、予約や登録従業員数の制限もないという。 それらが受け、他社からの乗り換え案件も多い。とは言え、店舗の肝である予約管理システムを変更するのは、店舗も会員も負担が大きいのも事実。そこに関しては、現行システムから顧客情報や設定を15万円で移行するサービスを用意し、移行後のサポート体制も手厚い。 機能面も、豊富な料金プランの設定や予約制御、「アリゲイト」などの入退室管理システムとの連携も実装されており、充実している。 システム費用の見直しを検討しているインドアゴルフは問い合わせてみる価値はありそうだ。 ■『予約管理システム部 山田太郎』 <a href="https://yamadataro.jp/">https://yamadataro.jp/</a>
    (公開)2025年07月05日
    出店ラッシュに沸いたコロナ禍のインドアゴルフ業界。その勢いも徐々に陰りが見え始めてきた。その中において、首都圏を中心に126店舗(2月20日時点)を展開、未だ勢いの衰えないインドアがある。「SMART GOLF」の存在だ。運営するのは株式会社SMART GOLF。共同代表の高須賀優人氏と大石康太氏がチームを牽引する。好調の理由はどこにあるのだろうか? 両名に徹底取材した。 <strong>今インドアゴルフ業界で勢いのあるお二人ですが、出会いは立教大学の野球部だったようですね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 高校3年生の冬に新1年生が集合して全体練習を行うんですね。そこで初めて会いました。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 全部で200人くらいはいましたね。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 立教大学はキャンパスが池袋と新座で分かれているんですが、大石と私は同じ池袋だったこともあり、自然に仲良くなりました。 <strong>当時のお互いの印象はどうだったんですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 印象ですか(笑)。当時からそんなに変わらないですね。高須賀は不思議と言うかマイペースと言うか、そんなに浮き沈みのない性格だなと思います。でも昔から考え方が数学的かつ論理的で、違う角度から物事を考えるんですよ。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 専攻は文系でしたけど、元々は数学や科学が好きなので、そういうところはあるかもしれません。大石の印象は、元気で人当たりが良くて、同期や先輩の中にもどんどん入っていけるムードメーカーでした。実際、大石は六大学野球のリーグ戦でベンチ入りしていたんで。 <strong>当時から2人でビジネスをやろうと話していたんでしょうか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> いえ、全くなかったですね(笑)。会社員として第一線で働きたいとは思っていましたが、起業するとは考えもしなかった。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 私も同じです。卒業後、私はサントリーホールディングスに入社し、ずっと営業をしていました。成績はずっと中の上くらいでしたが、最後は東京の第一線の部署で、店舗コンサルに従事していました。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 私は卒業後、野村證券に入社して飛び込み営業をやっていました。地域のお客様からどれだけお金を預けてもらって運用できるかという仕事で、数字が重視されました。その後、転職したM&Aキャピタルパートナーズでも新規営業からのスタートでした。企業売却を行いたい売主と買収したい買主を繋ぎ、成約に向け推進する役割の業務を行っていました。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 2人とも気合系です(笑)。 無人インドアに商機 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/03/takasuka.jpg" alt="" width="788" height="527" class="size-full wp-image-86773" /> 高須賀優人氏 <strong>その後、それぞれ独立し一緒に事業をやることになったわけですね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 卒業後もたまに飲みに行って、お互いの仕事の話などをしていて、大石も私も常にチャレンジしたいという考え方なので、一緒に副業をやろうとなったんです。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 高須賀とは野球部時代からずっと仲が良くて、フラットに物事を話せる存在だった。副業の話が出た時、彼も転職したばかりで、私も東京の精鋭部隊に移った時期でした。お互い環境が変わり、色々な経営者を目にしていた。敢えて言葉を選ばずに言うと、中には偶然うまくいってしまったというような経営者もいて、そのことにジェラシーと言うか、自分もできるのではというエネルギーが湧いてきたんですね。 <strong>その中で、何故インドアゴルフを始めようと思ったのですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 副業で始めたので、人の雇用や管理の煩雑さは省きたいというのがありました。その中で、無人インドアゴルフという発想が出てきたんですね。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 二人で車を借りて色々なインドアを回ったよね? <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 目をつけていた沿線のインドアを30~40か所くらい。市場調査の中で、コロナで会員数がもっと減るかと思ったのですが、逆に増えているところも多かった。これは需要があるのではないかと商機を感じました。そこで2021年の4月に豪徳寺に1号店をオープンしたという経緯です。 <strong>出店エリアはどうやって導き出したんですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 賃料との兼ね合いも加味しながら、港区、渋谷区、新宿区などの競合が多いエリアは省いていき、所得層や人口数など、様々な調査の結果、田園都市線や小田急線の沿線、世田谷区、杉並区が狙い目なのではないかと思いました。 <strong>現在126店舗ですが、ここまで出店を加速できる要因は?</strong> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/03/oishi.jpg" alt="" width="788" height="575" class="size-full wp-image-86774" /> 大石康太氏 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 共同でオーナー権を持つ資産家・投資家の小暮さんという方が最初の10店舗分の2.5億円を貸してくれて一気に出店を加速できたんです。その方とは元々お付き合いがありましたが、店舗運営で重要な人の採用と教育がないというビジネスモデルを評価してもらえました。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 私達がどんなビジョンを持っていたとしても、資金がなければスタートできていなかった。小暮さんは経営者としても素晴らしい方で、本当に親身になって一緒に戦ってくれるんです。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 当初は30店舗を目標にしていたところ、100店舗を目指そうよって言われて、大石も私もハッとしたんです。実際に100店舗を達成したわけですが、今ではその目標が400店舗になっています。経営者としての意識を高めてくれる方で、恩返しをしたいという想いも原動力になっています。 <strong>でもいきなり大金が預けられて、怖さはありませんでしたか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 実は高須賀が1店舗目を出した直後にすぐに会社を辞めちゃいまして。ちょっと待て、副業じゃなかったのかと(笑)。2.5億円を調達できるといっても、口頭ベースで契約書も何もなかったんですよ。本当にクレージーですよ(笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> ベンチャーが初期の段階で、その金額を調達できるというのは稀なことだったので、これはチャンスだと思って100%こちらにコミットしようと。私は、何事も自分の気持ちさえしっかりしていれば大丈夫だと考えるタイプなので、大石にも早く会社を辞めろという空気を出していましたね(笑)。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> その時、マンションも買って2人目の子供も生まれたばかりでしたけど、私も2.5億円という資金を調達できたのはチャンスだと思いました。それで半年後、3店舗目ができる直前に会社を辞めてこちらにコミットしたという経緯です。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 私と違って大石は家庭もある中で決断してくれたのは本当に感謝ですね。 <strong>お二人は共同代表ですけど、役割分担はどうなってるんですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 私は資金調達やFCオーナー集めなど、社外の役割を担っていて、大石が人の管理・採用や組織設計など社内を見てくれています。ただ一緒に担っている領域が大半でして、マーケティングや、出店場所も全部一緒に決めています。 <h2>ユーザー目線から生まれたスマートゴルフの独自システム</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/03/dakyu.jpg" alt="" width="788" height="493" class="size-full wp-image-86775" /> 打球診断 <strong>本題のスマートゴルフのコンセプトの話に入っていきたいのですが。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 心がけているのは、固定概念を持たないということ。自分達だからできる発想があるし、一番大切なのは「ユーザー目線」なんですね。ゴルフはハードルが高いというか、専門用語を当たり前に使っていますけど、初心者には分かるはずがない。当社の店舗ではそういったハードルをなくし、通いやすい環境を作りたいと思いました。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> そのために初心者でも自分で課題を見つけて、自力で解決できるような仕組みが必要だと思ったんですね。それで昨年12月より独自システムの提供を始めたんです。 <strong>具体的にどういうものですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> シミュレーターでショットを打つと、打席の専用モニターに弾道と独自の打球診断が出てきて、番手ごとに求められる適正な数値と、課題解決に繋がるシミュレーターのモードに自動で切り替わってくれるんです。さらに監修の三觜喜一氏による当社オリジナルのレッスン動画も観られる仕組みです。 <strong>至れり尽くせりですね。例えば、「あなたはスライスだから、ドローになるようにインサイドアウトの練習方法を教える」みたいなイメージですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> そうです。中上級者の方でも、番手ごとの適正スピン量などを分かっていないことが多いので、あらゆるレベルのゴルファーに有益なシステムだと思っています。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 例えば野球で150kmの球を投げるという結果があるとして、どんな投げ方でも結果が同じであれば一緒だと思うんですよ。ところが今のゴルフのシステムはどちらかと言うと結果よりも体の動きにフォーカスしているものが多い。例えば体のセンターラインがズレているからこう動きましょうとか。 <strong>確かに、最近の測定器は骨格の角度表示など、動きにフォーカスしたものが多いですね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> はい。でもどんなスイングでも、狙った所にボールを落とせていて、その結果に満足しているなら無理に直す必要はありませんというのが基本の考えです。その上で、結果は良いけど、そこに行きつくまでの弾道傾向がこうだから、適正にするためにこういう練習をしましょうといった形で提案する。その上でカッコいいスイングをしたいとか、どうしても自分では直せないという場合に、オプションのレッスンも受けられるという順番です。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 少しアプローチを変えて、結果と体の動きをバランス良くやっていこうという提案です。 <strong>確かに基本的にゴルフは狙った場所にボールを運ぶものですからね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> はい。このシステムも、シミュレーターと連携できないと始まらない。私達の細かい要望をOK ONゴルフのディオントーキョーさんが理解してくれて、韓国側との調整もやってくれたことに感謝です。 <h2>700人参加のオンラインコンペ</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2025/03/smartgolf3.jpg" alt="" width="788" height="526" class="size-full wp-image-86776" /> スマートゴルフガーデン西麻布店 <strong>他に特徴はありますか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 当社は無人インドアではありますが、会員同士の繋がりを作りたいとずっと思っていました。そこで以前より定期的にオンラインコンペを開催してきましたが、システム投資をしたことで今では700人が参加してくれています。 <strong>それは多いですね。どうやって告知しているんですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 当社のクラウドにSTORESの予約システムとシミュレーターを連携しています。会員が打席に来た時点で、専用モニターがマイページになっていて、オンラインコンペ開催中のバナーが表示される仕組みです。会員はそれをタッチするだけで参加完了。あとはシミュレーターが自動でコンペモードになる。コンペの開催コース、ルール、ホール数も自動的に設定されています。会員はラウンドして帰るだけです。全て打席の専用モニターで完結できる点が強みなんですね。 <strong>それなら手軽に参加できますね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> はい。打席モニターやオリジナルアプリには会員のニックネームでコンペのランキングが出る仕組みになっていて、コンペ商品は自宅まで郵送されます。現在は会員の満足度向上のためですけど、いずれはこのオンラインコンペが入会動機になってくれるのが理想です。 <strong>今はTGLも話題ですからね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> まさにあれは理想ですね。韓国でもシミュレーションゴルフの大会が盛んです。私達もいつかプロを巻き込んで、オンラインでプロと会員が一緒にコンペやラウンドができたら面白いと思っています。 <strong>一方でリアルなコンペも開催しているようですね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 最近はレッスン生を対象にしたコーチ主催のコンペが多いですが、先ほど言ったように会員同士の繋がりを作ったり、点を線にしていくという意味で、例えばオンラインコンペを勝ち抜いた会員によるリアルゴルフ場での決勝戦とかは私達にしかできないことなのでやってみたいと思っています。 <h2>業界企業との協業で会員の満足度向上と業界活性化へ</h2> <strong>さて、先日アルペンとの協業も発表されました。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> これは当社の会員がゴルフ5さんで買い物をすると、アルペンポイントが5%アップするのと、ゴルフ5の店内ポスターやチラシからスマートゴルフに入会した方に入会特典やゴルフ5でのお買い物券をプレゼントして、相互送客をする取り組みです。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 世田谷店やアルペントーキョーなど、ゴルフ5の基幹店の周りにスマートゴルフが多いので、エリア限定の施策や試打会、フィッティングイベントなども行う予定です。実際に今回のキャンペーンで当社の会員が何人もゴルフ5でアイアンセットを購入しているという報告をいただいています。先方もフィッティング販売を強化していきたいという中で、当社の会員がゴルフ5でフィッティングを受ける際にスマートゴルフで蓄積したデータのカルテを共有し、それをフィッティングに活かすというシステムも検討しています。 <strong>それは面白いですね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 実際に会員の立場に立つと、普段蓄積したデータがあるのに、フィッティングで数球打っただけでクラブを選定されるというのは不安だと思うんですよ。データを共有できれば、会員にもゴルフ5のフィッターさんにも安心材料になるはず。 <strong>それがやがて各クラブメーカーのフィッティングノウハウとも共有されて、スマートゴルフ会員限定のフィッティングプランができればさらに面白いですね。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> それは我々も是非やりたいなと思っていますね。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 最終的にはゴルフ5との取り組みで入会してくれた会員の専用モニターに、蓄積データを元に推奨クラブが表示されて、それをゴルフ5で購入し、また店舗で練習という形で、練習と購入というルーティーンができたらいいなと思っています。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2024/12/b41912d2b7d590bfa3b2c40a25a92810.jpg" alt="スマゴル" width="788" height="525" class="size-full wp-image-84500" /> 新業態「スマゴル」も展開中 <strong>最後にゴルフ業界をこうしたいというような未来像はありますか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> ゴルフ歴の長い方にスマートゴルフでしか得られない特典や価値を与えられるようにするというのは大前提ですが、これからはやはり若年層や新規ゴルファーを増やすことが業界の課題だと思っています。オフシーズンは練習しないという方もいますが、そこを何とか我々のインドアゴルフで、年間を通してゴルフをしてもらえるようにしていきたいですね。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 韓国ではインドアが人気ですが、私はやはり大自然の中で仲間と4人で気持ち良くラウンドできることが素敵な時間だと思うので、練習場所にスマートゴルフを選んでいただいて、ゴルフ場とインドアをグルグル循環するような仕組みを作れたらと思っています。 <strong>インドアがゴルフ場、用品とも連携できている好例だと思います。屋外練習場との協業はいかがですか?</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> 競合と思われてしまう節があるのですが、会員へのアンケートでも7割が屋外練習場とインドアを併用しているので、共存できる関係だと私は思っています。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> ゴルファーならシミュレーターのデータだけではなく、やはり実弾を見たいと思うんです。屋外練習場とのコラボも大歓迎です。 <strong>事業目標を聞かせて下さい。</strong> <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> まずは年内に200店舗を達成。2年以内に300店舗、3年以内に400店舗を目標にしています。それと、よりカジュアル路線の新たな業態である「スマゴル」店舗も出店しました。こちらもテストしながら数を増やしていきたい。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> これは私の夢ですが、車を持たない20~30代の会員向けに、例えばレンタカー会社や交通系の企業と協業してゴルフ場への導線が作れたらと思っています。 <span style="font-weight: bold; color: #e74c3c;"><strong>高須賀</strong></span> とにかく店舗型ビジネスはスピード感を持って面を取りに行くのが重要です。でも数だけじゃなく、その中身も大事にしたい。会員のゴルフライフが豊かになるような場所にしたいですし、一日でも早く「スマートゴルフがナンバーワンだよね」と言ってもらえるようになりたいです。 <span style="font-weight: bold; color: #1c4ca0;"><strong>大石</strong></span> 圧倒的に勝つというのが私の理念です。それを掲げて頑張ります。
    (公開)2025年04月01日
    鹿沼グループは、 DX化によりこれまで受付業務を行っていた時間を有効活用し、来場者とのコミュニケーションや対話によるサポートとサービスを充実させている。その一環として、1月より自社予約システムにおいて、新たなポイント制度を開始した。 同グループのWEBサイトから予約を行うと、代表者に100ポイントを付与。ポイントは次回以降、WEBから予約する際に利用することが可能になる。 2021年よりDXを積極的に推進し、LINEと自社予約システムを連携している同グループは、セルフでのチェックイン・チェックアウトを促進している。自社WEBの会員は2万6000人を突破、予約での利用率30%、セルフチェックイン利用率も30%、セルフチェックアウトの利用率は90%を超えている。LINE登録者も積極的に集めており、開始3年で2万6000人を有している。 鹿沼グループの詳細およびWEBサイトは左記まで。  ・鹿沼カントリー倶楽部 <a href="https://www3.golfyoyaku.jp/rsv_sys/kanuma-g/kanuma45/mcalendar/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www3.golfyoyaku.jp/rsv_sys/kanuma-g/kanuma45/mcalendar/</a> ・鹿沼72カントリークラブ <a href="https://www3.golfyoyaku.jp/rsv_sys/kanuma-g/kanuma72/mcalendar/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www3.golfyoyaku.jp/rsv_sys/kanuma-g/kanuma72/mcalendar/</a> ・栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部 <a href="https://www3.golfyoyaku.jp/rsv_sys/kanuma-g/tgc18/mcalendar/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">https://www3.golfyoyaku.jp/rsv_sys/kanuma-g/tgc18/mcalendar/</a>
    (公開)2025年01月04日
    名峰筑波山を眺望する霞ヶ浦畔のなだらかな南丘陵地に位置する『JGM霞丘ゴルフクラブ(茨城県稲敷市)』は、2024年2月よりリニューアル工事をスタートし、この度完全リニューアルオープンとなった。 エントランスやフロント、ロビー、レストラン、ロッカールームに至るまで、開放感と清潔感のあるデザインを採用し、フロントにはアクセントとなるグリーンの絨毯がその日のゲストを出迎える。 さらにLINEを含む新しい予約システムや自動チェックインの導入など、より幅広いゴルファーが来場しやすいゴルフ場へと生まれ変わった。 【JGM霞丘ゴルフクラブ 概要】  ・住所:〒300-0623 茨城県稲敷市四筒2002 ・電話:029-894-2112 ・アクセス:圏央道稲敷ICより約15分/稲敷東ICより約10分
    (公開)2024年09月24日
    24時間無人インドアの出店ラッシュと共に成長したのがクラウド型の予約サービスだ。今や当たり前のように使われているシステムだが、そのニーズに逸早く対応したのがSTORES(ストアーズ)という企業だ。 サービスの開始は2014年4月。当初はブランド名を「Coubic」(クービック)としていたが、現在は『STORES 予約』に変更。様々な業態の店舗に利用されている。 その中でも特に支持されているのがゴルフ関係の施設で、「SMARTGOLF」50店舗以上のほか、「伊勢丹ゴルフスクール スイング」(都内新宿区)、「マックゴルフガーデン」(大阪府)など導入店舗は数百店舗に及ぶ。 「見やすい」「使いやすい」画面と低コスト&即導入のスピード感 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/IMG_9326_cmyk.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="aligncenter size-full wp-image-79355" /> 同社が支持される大きな理由は操作画面の見やすさと使いやすさにある。実際に前述のSMARTGOLFも20社以上のスポーツ特化型の予約システムを比較した結果、利用者が最も見やすく、使いやすい点が導入の決め手になった。また、2017年より新宿御苑ゴルフスタジオを運営する坂本龍楠プロも、 「同様のサービスを実際に5社ほど使って検討してみたところ、操作が分かりにくかったり、システムが重かったりするものが多かった。一方『STORES 予約』はデザインが柔らかく、UIも見やすかったことが決め手になりました。当施設ではレッスンがメインですが、生徒さんからも『かんたん予約』の機能が使いやすいと言われます」 と語る。この「かんたん予約」は利用者が前回の履歴を使って同じ内容を簡単に予約できる機能だ。2回目以降の予約が楽になるため、導入施設の顧客満足度向上に繋がる機能だと言える。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/IMG_9666_cmyk.jpg" alt="" width="1000" height="750" class="aligncenter size-full wp-image-79357" /> そしてもう一つの強みは、初期費用0円、月額利用料1万2980円~という圧倒的な導入費用の安さにある。加えて予約画面の作成も非常にスムーズに行える点も特徴だ。 前述のマックゴルフガーデンは当初、予約サービスの自社開発を検討していたが、『STORES 予約』のコストメリットとサービス開始までのスピード感が決め手となり導入に至った。 <h2>様々な予約機能をラインアップ</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/stores2.jpg" alt="" width="1040" height="640" class="size-full wp-image-79359" /> 外部連携で、予約受付・管理をさらに便利に 実際の予約機能も抜かりはない。グループレッスン枠や特別なイベント枠を自由に設定できる「レッスン・イベントタイプ」、レギュラー枠の「メニュータイプ」、在籍・振替予約にも対応した「スクールタイプ」の3種類を用意。 1つのアカウントでこの3種類の機能を使えるのが同社の強みで、時間ごとに様々なメニューを作りたいインドア運営者にとっては重宝しそうだ。 さらに有効期限や残り回数のリマインドメールを自動配信する「回数券」機能や、様々な金額や回数の設定に対応する「月謝課金」機能も用意しているので、会員ごとのきめ細かな料金プランに対応できる。もちろん各種クレジットカードによるネット決済も可能だ。 またLINEと連携した予約や集客機能にも対応。Zoomとも連携しているのでオンラインレッスンなども行える。 さらに同サービスは店舗用、利用者用のスマホアプリも無料で提供している。大多数の予約サービスはウェブサイトから使うのが主流だが、アプリを経由することでより使いやすさが増している。 <h2>入退室管理システムに連携</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/stores3.jpg" alt="" width="1040" height="640" class="aligncenter size-full wp-image-79360" /> また24時間無人インドアの利用を想定し、「RemoteLOCK(リモートロック)」や「iDoors(アイドアーズ)」などの入退室管理システムとも連携済み。予約から入退室までトータルでインドアゴルフの運営をサポートする。 <h2>インドアの会員定着と収益UPに</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/screenshot_homeNEW-1.jpg" alt="" width="1000" height="681" class="aligncenter size-full wp-image-79361" /> 同社は他にもネットショップを開設できる『STORES』というサービスも提供している。これを活用することでゴルフクラブやインドア限定の練習器具など物販に注力することも可能だ。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/service_creditCard.jpg" alt="" width="1136" height="720" class="aligncenter size-full wp-image-79362" /> 店頭での販売にも対応できるようにiPad1台で始められるPOSレジ『STORES レジ』や、キャッシュレス決済サービス『STORES 決済』も用意。専用の決済端末も利用可能(導入費用:0円/決済端末代:通常価格1万9800円、条件達成で0円)なので、ネット上から店頭まで決済を一元化できるのも強みだ。しかもこれらは全て同一アカウントで無料利用できるから驚きだ。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/service_QR.jpg" alt="" width="1136" height="720" class="aligncenter size-full wp-image-79363" /> 無人インドアの出店が増えている今、他店との差別化が重要になってくる。店舗を存続する意味でも収益アップは必須になるが、同社は予約サービスから付加サービスまで一気通貫でインドアゴルフの集客と収益アップに寄与する構えだ。 STORES株式会社 TEL.03-6705-8497 <a href="https://www.st.inc/">https://www.st.inc/</a>
    (公開)2023年12月08日
    <h2>本格展開を開始した「第3の領域」「AI CLUB TRACER」</h2> 今年1月、「PGA Merchandise show」(PGAショー)での発表を皮切りに本格的に展開を開始したアンプラスの自社製品『FOCUS(フォーカス)』(176万円)が既に数十台を販売しインドア市場にじわりと浸透し始めている。 同社は『FOCUS』をシミュレーターでもなく弾道測定器でもない「第3の領域」として位置付け、「AI CLUB TRACER」(AIクラブトレーサー)と命名し商標登録もしている。 この新領域「AIクラブトレーサー」の秘密は同社独自のクラブを自動認識するAI技術(特許取得済)にある。アドレスするだけでアイアンとドライバーの違いも自動検知するため、事前準備不要で使うことができる。 さらに、他と一線を画すのは打った直後のまだ余韻が残っている段階で即座にショットを分析して「足元」にデータを投影する点にある。実際にショットされたマットの位置(=ゴルファーの視線上)に、実際のフェース軌道を描くので、ゴルファーの直感に訴えると同時にさらなる理解に繋がり、スイングやショットも改善しやすくなるというわけだ。 また、データはあえて削ぎ落としシンプルかつ直感的に表示しており、レッスンやフィッティングで最も重要なインパクト前後40~60cmのヘッド軌道をアニメーション表示することで実際のスイングを再現している。 一般的な弾道測定器では「クラブパス」や「フェース角」を「数字」で表示するため、読み解くには専門知識が必要だ。ましてや一般ゴルファーはこの数字を羅列されてもどう改善に役立てればいいのか困るだろう。 一方、『FOCUS』は視覚的にアニメーションでヘッドの動きが表示されるため、一目でエラーと改善点が分かるというわけだ。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/focus.jpg" alt="アンプラス FOCUS" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-79582" /> 「5UNDERS GOLF RANGE」(港区)を運営する山田直知プロによると、 「『FOCUS』はインパクト前後のヘッド軌道を可視化できるので、生徒さんにミスの原因となっている軌道のエラーを伝えやすくなり、納得感も上がりました。レッスン現場で多いのは、その場では上手くできても次のレッスンまでの自主練でできなくなってしまうケースです。『FOCUS』を使えば自主練の質も上げられると思います。 それと私は上達の近道は球の曲げ方を習得することだと考えています。そのためにはクラブ軌道の変え方や仕組みを理解することが必要で、『FOCUS』は正にそういったレッスンがしやすい。私の指導法に合致すると思ったのが導入の理由です」 また、クラブ軌道のアニメーションの下に表示する3つのデータは、例えば飛びの3要素であるボールスピード、打ち出し角、スピン量を表示し、飛距離アップレッスンや飛ぶクラブのフィッティングに活用するなどといった変更も都度できる。現場目線で作られた製品と言えるだろう。 <h2>独自計測項目「ゾーン角」とは?</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/amp1-scaled.jpg" alt="" width="2560" height="1750" class="aligncenter size-full wp-image-79456" /> さらに『FOCUS』独自の計測項目として「ゾーン角」が表示できるようになっている。「ゾーン角」(商標登録申請中)とはインパクトの約30㎝手前のフェース角のことを意味しており、これが20度~30度の間になっているとインパクトでフェースをスクエアに戻しやすい傾向があるとしたものだ。同社の膨大なショットデータにより導き出したもので、今後も検証を重ねていく構えだ。「ゾーン角」によってレッスンやフィッティングの幅が広がりそうだ。 <h2>『FOCUS』×Foresight Sportsのコラボが実現</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/focus2.jpg" alt="アンプラス FOCUS" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-79584" /> 実は『FOCUS』はPGAショーのForesight Sports(フォーサイト・スポーツ)社のブースでも展示され、世界中の業界関係者から注目を浴びた。その結果、フォーサイト・スポーツ社の『GC』シリーズと『FOCUS』をパッケージにして販売するコラボ製品『FOCUS powered by Foresight Sports』が実現した。 アンプラスは『GC』シリーズと『FOCUS』を連動させ、モニターと足元に同じ数値が出るように改良。新製品の『GC3アナリシスパッケージ』の価格はソフト込みで70万4000円(税込)と従来の『GC』シリーズに比べて安価だ。 『FOCUS』と組み合わせても246万円程度と、『GC』シリーズの最上位機種『GCクアッド』と遜色のない金額で導入できる。そのことからも同コラボ製品が今後の主流になっていくことが予想される。両社は協力して同コラボ製品だけでなく『FOCUS』単体も北米を始めとした世界中に広めていく構えだ。 <h2>打席セットアップがスマホで自動化</h2> さらに同社は導入施設向けに、遠隔で施設のあらゆる電源の自動ONOFFや操作ができる新機能の提供を開始した。操作はスマートフォンから行うだけで予約システムとの連動も可能だ。直前まで電源をOFFにしておき、予約者が入室する5分前には打席と画面映像が全て準備できているという流れが綿密に計算され自動化されている。これが広がれば無人インドアの省電力化にも繋がりそうだ。 <h2>実務も「足元」を重視</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2023/11/amp2.jpg" alt="" width="1200" height="672" class="aligncenter size-full wp-image-79457" /> 新技術を次々と展開する同社だが、営業マンには数か月~1年に渡る打席の施工現場を経験させることでインドアの打球事故で多いボールの跳ね返りを始めとする危険察知能力やユーザーへの安全対策を徹底的に体で覚えさせ、これをクリアすることを必須としている。 一見技術集団に思われるが、このような愚直な営業育成プロセスにこだわることで創業以来20年以上ボールの跳ね返り事故0件を守り続けている。『FOCUS』のコンセプト同様、営業方針も基本の「足元」を大切にしてきたことが同社の現在と未来の成功を物語っている。
    (公開)2023年12月01日
    先月号で、練習場の収益を上げるには委託型のスクールではなく、練習場自身が運営する「直営型スクール」が必要と述べましたが、本稿で具体的な手順を紹介します。 まずはレッスンプロが練習場に場所を借りて個人的に指導する「委託型」のデメリットを考えてみましょう。この場合、練習場の取り分はスクールで使用したボール代だけのケースが多いので、周辺施設との価格競争でボール代が下がれば、練習場の取り分も減少します。様々なプロにレッスンを委託すると指導に互換性がなくなり、生徒募集もプロ任せだから客数が伸びないことも問題。そこで「直営化」が必要になります。まずはその手順を列記しましょう。 1)直営スクールの開校を決断。2)レッスンプロを説得し、個人事業主となってもらい、スクール売上を一定割合で配分する方式に改める。3)プロの同意を得たらPGAゴルフスクールの開校を申請し認可を得る。4)生徒にスクールが直営方式に替わり料金体系も変わることを周知。5)開校、という流れです。 プロの了承が得られれば、決断から4か月後には開校可能。 仮にスクールの客単価が月額1万3000円、生徒数約100名として年商1600万円、利益を半々に折半すれば800万円の収益となり、生徒募集と休会防止をしっかり行えばこれらの数字が3倍になることも可能です。 とはいえ、最大の難関は「決断」に際して社内外の了承を取り付けることでしょう。特に従来のやり方に慣れたプロやオーナーを説得する作業は、机上論ではなく、感情が入り混じるだけに一筋縄ではいきません。まず、経営層に対する口説き文句は3点です。 1)価格競争に備えてボール代を含めた料金体系にすること。2)スクール収益を伸ばして打席外収入を増やし価格競争に対する耐久力を強化。3)直営化によって生徒数を大幅に増やし固定客化を図る。 この文脈で関係者の了承を得たら、次はレッスンプロの説得に入ります。大事なのはプロのメリットを明確に示すことで、直営化すれば1)生徒数が増えプロの収入も増える。2)個人事業主なので束縛が少なく従来通りの活動ができる。3)入会、休会、予約、チケット発行、集金などの面倒な業務から解放される――。 彼らにとって、いずれも魅力的な囁きに聞こえるでしょう。 説得を終えたらプロと新たな契約を結び、冒頭の3)で述べた「申請・認可」を得る作業です。 申請先はPGAで、認可料1万円とテキスト料(10冊購入が認可条件)が1万5000円。計2万5000円です。レッスンプロの多くはPGAやLPGAの資格所有者ですが、スイング理論は様々だから生徒の混乱を招きがち。 そこで、レッスン理論はPGAの「教本」の内容に統一し、生徒に教本を配布すれば直営スクールとしてのスイング論が統一されます。また、PGAのブランド力も活用できます。 <h2>パートの気持ちに配慮する</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2022/09/2112uchida.jpg" alt="" width="739" height="337" class="aligncenter size-full wp-image-73271" /> 次は開校の準備です。最初にやるべきは月会費の「自動引き落とし」で、銀行またはクレジット会社と契約しますが、取引銀行または引き落とし手数料の安い金融機関との契約のほか、クレジット処理ができる仕組みも必要です。 以上を終えたら、スクールの予約システムとレッスンカルテの構築作業に移りますが、特にカルテは必須です。委託型の場合は個々のプロに生徒が紐づくので、特定のプロからレッスンを受け、生徒には日時を含めた選択の自由がありません。一方の直営型は、好きな時間にどのプロからでもレッスンを受けられるため自由度が増し、受講回数や生徒数が伸びます。 ただし、前任プロの指導内容がわからなければ指導の継続性が損なわれます。この問題を避けるためにカルテで指導内容を記録すれば、どのプロから習っても継続性を担保できます。 最近はiPadを使った電子カルテが普及しており、これを導入すればネットでのレッスン予約やチケットの回収も行えます。 指導内容の記入が苦手なプロでも、話せば自動的に文字変換する仕組みがあり、スイング画像も簡単に保存。生徒は自宅でカルテを見て、プロとコメントのやり取りも可。使用料を考えても利用価値は高いのです。 直営スクール開校に際しての料金設定、その他の調整事項は別掲の資料を参照してください。新料金の設定は、従来のスクール料金にボール代を加えて値上げするケースが多いのですが、近隣スクールの料金も事前に調べましょう。 さて、残された最大の課題は生徒への説明です。月会費の自動引き落としに関わる書類手続きやチケットの買い直しなど、一時的に出費と手続きを強いることになります。 説得の際、練習場やプロの事情を説明すると反発を招きかねないため、「生徒のメリット」を強調します。先述したレッスンを受ける「自由度」の向上やカルテの「利便性」だけではなく、 「練習場直営のスクールになるので、受講日の入場料は無料です。打席のボール代やショップでの割引サービスなど、いろんな特典をご用意しています」――。 直営化で値上げする際、電子カルテの導入は最高のエクスキューズになり得ます。 忘れてはならないのがスタッフへの「配慮」です。直営化で作業量が増えてしまい、現行の人員ではオーバーワークになるかもしれませんが、生徒の確保が不透明な段階でフロントの正社員を雇用するのは冒険です。 そこで、開校準備と開校してからの数か月は、多少割高でも派遣社員を活用し、円滑に運び始めてから正社員の獲得に踏み切る方法もあると思います。 この時に気をつけたいのはパートさんへの配慮です。まず、既存のパートさんに正社員にならないかと打診してください。「最初に声を掛けられた」ことで彼女たちのプライドが保たれますが、大半は主婦なので、正社員に名乗りを上げる人は少ないでしょう。 また、パート主体の組織に正社員が一人で入ると、離職する傾向があるため、できれば複数名の同時採用を推奨します。同期入社は互いの絆が強く、耐性が強まり、離職率が下がる傾向にあるのです。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2022/09/2112uchida2.jpg" alt="" width="770" height="518" class="aligncenter size-full wp-image-73272" /> <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年09月04日
    東京の立川市柏町にある「カシワゴルフ」は、10打席全てに最新のトラックマン4を設置した先進的な屋内ゴルフ練習場である。5月に新規オープンしたが、その取り組みで、デンマークにあるトラックマン本社からCOOが施設を見学に来たほどだ。 この「カシワゴルフ」を運営する豊泉興産株式会社の豊泉幸夫代表取締役に「カシワゴルフ」の取り組みについて話を聞いた。 豊泉家は立川で300年以上続く農家で、豊泉代表の父親の代まで農業を営んでいた。父親は、立川でウド栽培の先駆者であった。立川市のホームページでも、ウドは「東京うど」として紹介される名産だ。 武蔵野で行われていた室(むろ)での栽培方式が、立川の地質に適していたため盛んになり、生産量は立川市が東京で1位となっている。 立川は新宿から中央線で46分と利便性の高い場所にある。これがある意味災いし、農業の継続が難しくなった。 それは、1972年の市街化区域農地の宅地並み課税である。この法律施行により、300年続けた農業から事業転換して、父親の代でゴルフ練習場を始めた。1972年6月20日のオープンだったが、なぜゴルフ練習場に事業転換したのか? <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2022/08/kashiwa3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="size-full wp-image-73399" /> 豊泉代表の説明を聞こう。 「農業を継ぐつもりで、都立農林高校に通っていましたが、この法律が施行されると農業が継続できるのかと考え、大学は日大の農獣医学部に進んで様子を見ていたのです。大学に入学したのが1970年で、宅地並み課税されると、この近郊で農業をするのが厳しいこともわかってきた。また、父親がウド出荷のため築地に向かう際、高速道路から芝のゴルフ練習場を目にしていたんです。事業転換には何の業種がよいのか。自分もゴルフに興味があり、学部のゴルフ部に入りました」 そんな状況下、当時流行していたボウリング場などの案もあったが、 「自分がゴルフを始めていて、東京都心でもゴルフ練習場が成り立っているなどで、練習場への事業転換を決めたのです」 新事業の立ち上げに際しては、地域でゴルフに詳しい知人を含めて多くの協力やアドバイスをもらったという。練習場は2階建て48打席で170ヤード。ネット用の鉄塔は高さ35m、最大震度7、風速60mに耐えられる構造にした。 「カシワゴルフ」という命名は、 「立川市と合併する前、この地区は北多摩郡砂川町で、合併して立川市砂川町になり、さらに地名変更で1972年4月に砂川町がいくつかに分かれ、この地区は柏町になったのです。 それが練習場オープンの直前だったので、新しい町名を入れ『立川カシワゴルフセンター』としました。現在は『立川』と『センター』を取って『カシワゴルフ』です」 地元密着の想いがわかる。 <h2>総投資額20億円</h2> <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2022/08/kashiwat.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-73396" /> 1970年に尾崎将司がプロデビュー、ゴルフブームに火をつけて、男子ツアーの試合数も1971年の34試合から1972年には47試合に急増している。この年の「日本オープン」をNHKが初めてテレビ中継した中で、「カシワゴルフ」がオープンした。 豊泉代表が振り返る。 「当時、お客様の半分ほどが『カシワゴルフが出来たのでゴルフを始めよう』と来場され、1階は土の打席だったので、アイアン用のマットをダフって飛ばすお客様も多かった。ゴルフブームのおかげで事業は順調に推移しました」 その屋外ゴルフ練習場が「屋内」に業容変更した理由は、冒頭に触れた相続税が関係している。 「父親が2012年に亡くなりました。カシワゴルフの土地に将来住宅を建てられる『広大地指定』で相続税が減免される制度があり、相続税を支払うことが出来ましたが、2018年に広大地指定の相続税減免制度がなくなってしまい、二次相続について相続税が数億円になることが判明したのです。そこで金融機関や税理士、コンサルタントを交えたプロジェクトチームを立ち上げ、4年かけて資産売却も含め相続対策を検討しました。ゴルフ練習場の土地3600坪の内、2500坪を売却して、残りの土地で1階をテナント(スーパー)、2階を屋内練習場にする計画ができたのです」 練習場をやめる選択もあったが、 「ゴルファーが集まれる場所を残して、従業員の雇用も確保したい」 との想いであった。 そのころタイミング良くトラックマンの売り込みがあり、他の機器も検討したが、最終的にトラックマンを導入した屋内練習場の構想が固まった。資産売却、建屋建設、テナント探し等、再開発事業を手掛ける大和ハウス工業と組んで進めた。 2021年5月9日に50年続いた屋外練習場を一旦閉店。事前に近隣住民や顧客に閉店の旨を告げ、スムーズに新しい屋内ゴルフ練習場の建設へと移行。 2022年5月20日に新生「カシワゴルフ」が誕生した。資産売却、建屋建設、トラックマン導入、システム構築を含め、総額20億円のプロジェクトであった。 屋内練習場として建屋を建設したので、天井も高く、打席もボールが跳ね返らないように設計され、練習グリーンや工房も備えている。 「トラックマン4の導入で、300ヤード先の球の転がりまでわかります。今までの練習場より打球の行方が確認できるので、お客様からの評価も上がっています」 新生「カシワゴルフ」は会員制。10打席を効率よく活用するため、1コマ50分で、基本は予約日から起算して1カ月先まで6コマ限度で予約できるシステムだ。全日会員で月額2万5000円である。 <img src="https://cms-backend-gew.com/wp-content/uploads/2022/08/kashiwa2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-73398" /> 「この予約システム、集金システム、レジ回りキャッシュレス等を構築するにあたり、トータルコーディネートを大塚商会にお願いしました。当初、スーパーの2階で気楽に屋内練習場を始めようと思いましたが、従来のノウハウでは対応できなかった。システム構築には数千万円を投じましたが、多店舗展開や24時間対応まで可能な、将来の広がりも考えたシステムです」 都市近郊の農家が法律の改正に柔軟に対応し、ゴルフに事業転換しながら更に事業継続している。 豊泉代表は関東ゴルフ連盟の競技委員会副委員長の経験もあり、ゴルフへの強い想いがあったからこそ、ゴルフ練習場を次の世代へ継承できる道筋をつくることが出来た。 都市部の練習場が閉鎖傾向にある中で、同社の新しいシステムがゴルフ練習場に新風を吹き込むことを期待したい。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年08月27日
    住友ゴムグループの(株)ダンロップゴルフスクールは2月2日、大阪府泉大津市に「ダンロップゴルフスクール ヤトゴルフ泉大津ヨドコウ校」を開校することを発表した。 会場となるヨドコウゴルフセンターは、全長200ヤードあり横幅も広い大型のゴルフ練習場で、非常に開放感のある打席で練習することが可能。クラブハウスはモダンな雰囲気が特徴で、施設内にはヤトゴルフ泉大津ヨドコウ店が併設、練習に合わせて気になるギアもその場で購入もできる。 「ダンロップゴルフスクール ヤトゴルフ泉大津ヨドコウ校」では、認定インストラクターがダンロップスクールオリジナルの教材をベースにダンロップスウィングビジョン(独自のデジタル技術を駆使した映像によるスイング解析)を使い、初心者の方にもわかりやすく指導する。 スクールシステムはフリー回数制を採用。顧客のスケジュールに合わせた受講がしやすくなっている。 ■「ダンロップゴルフスクール ヤトゴルフ泉大津ヨドコウ校」の特長 ・フリー回数制の採用で、月に何回でも受講可能。 ・球数を気にせずレッスンに集中できるよう、ボール代込みの金額設定。 ・50インチモニターで映像を見ながらのレッスンで、効率よく上達できる。 ・200ヤードのドライビングレンジで開放的な練習が可能。 ・インターネット予約システムで、24時間予約や変更が可能。 ・ゼクシオおよびスリクソンのクラブも授業内で貸し出し可能。 ■「ダンロップゴルフスクール ヤトゴルフ泉大津ヨドコウ校」の概要 所在地:大阪府泉大津市青葉町2-1 ヨドコウゴルフセンター <iframe src="https://www.google.com/maps/embed?pb=!1m14!1m8!1m3!1d13151.867980650468!2d135.3915608!3d34.503721!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x0%3A0xa9ef540a85220e52!2z44Oo44OJ44Kz44Km44K044Or44OV44K744Oz44K_44O8!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1613104075095!5m2!1sja!2sjp" width="600" height="450" frameborder="0" style="border:0;" allowfullscreen="" aria-hidden="false" tabindex="0"></iframe> プレOPEN:2021年1月12日(火) ~31日(日) 開校日:2021年2月2日(火)  定員数:定員5名/1クラス 開講曜日:火、水、木、土、日 時間:10:00~20:20 月会費:15,400円(税込) ※入会時に入会金3,300円(税込)、テキスト代2,750円(税込)等 別途必要 問合せ先:ヤトゴルフ泉大津ヨドコウ店  TEL:0725-32-9333 受付時間:(月~金) 10:30-20:30  (土・日・祝) 9:00-19:00  定休日:金曜日
    (公開)2021年02月13日
    ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)の創業は2000年5月。ゴルフ場予約サイトの先駆けであり、同時にEコマースとメディア事業の三本柱で認知度を高め、成長してきた。 現在は練習場事業(トップトレーサー・レンジ)とレッスン事業(ゴルフテック)を加えた5本の矢で「複合事業体」を形成している。 予約事業では楽天など、それぞれの分野に強力なライバルが存在するが、「ゴルフ専業の矜持」を芯金にしてワンストップ経営を目指している。原動力はゴルフへの愛だという。 創業社長の石坂信也氏は米国常駐で世界戦略の施策を練る。これを受けて今年4月、国内事業統括として吉川雄大氏が副社長に就任した。GDOの副社長だけにゴリゴリの競技ゴルファーかと思いきや、 「ゴルフは社会人デビューで、スコアは90前後です」 と、意外にも「ふつうのゴルファー」である。しかし「ふつう」ということが、同社の事業展開に大きな意味を持ちそうなのだ。 まずは動画インタビューを、その後、事業戦略の詳細について一問一答を掲載しよう。(GEW・片山哲郎) <iframe width="788" height="433" src="https://www.youtube.com/embed/5xk3vTT1QHg" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe> <h2>副社長就任はコロナの真っ最中</h2> <strong>副社長の就任とコロナの直撃がほぼ同時期。大変だったでしょう。</strong> 「まったくおっしゃるとおりで、本当に大変でした(苦笑)。 社長の石坂が2年ほど前に活動の軸足をアメリカに移して、新規事業を開拓するという形なんですね。そこで、わたしが4月から国内事業を統括することになりましたが、とはいえ石坂とは、オンラインで密に連絡を取り合っております」 <strong>米国での事業はレッスンチェーンの「ゴルフテック」が中心?</strong> 「そうですね。弊社がゴルフテックの株式を一定数所有していて、元のオーナーも一部保有はしてますが、基本的には弊社の連結対象事業です。 アメリカはFCを含めて約200か所、日本では13か所でスクールを運営しています」 <strong>石坂さんは以前「アメリカに居続けることが大事なんです」と話していて、「米国ゴルフ村」の住人になりきることで人脈なり情報共有が深まるんでしょうね。</strong> 「まさにそうだと思います。弊社はグローバル戦略を前提にアジアでも挑戦していますが、アメリカで何がしかの爪痕を残さないとグローバルとは言えません。 そんな考えが石坂にありまして、日本からの出張ベースだと『外の人間』になりますので、ゴルフテックを橋頭保にインサイダーとして入り込もうと。それ以降、向こうで得られる情報の質が格段に変わったそうです」 <strong>吉川さんは声がいい。おまけに立て板に水だから、今日は独演会になりそうですねぇ。</strong> 「いえいえ。最初は気分よく喋らせるのが片山さんの作戦だとわかっています(笑)」 <strong>それは深読みです(苦笑)。いずれにせよ、ゴルフテック以外のグローバル戦略って何ですか。</strong> 「正直、それを模索している最中なんですね。 日本では一応、ゴルフ場の予約サービスとECを中心とした物販事業、メディア事業が三本柱になりますが、たとえば物販で進出した場合、並行輸出という形で同じ物が使えるのか、あるいは特許を含めて先行企業が何を抑え、どこにどんな障壁があって、どんなライバルがいるかなどをウオッチしている段階だと思います」 <strong>それで吉川さんが国内事業を統括する副社長に抜擢されたと。なぜ吉川さんだったのか。</strong> 「そうですねえ。まず、わたしの経歴から申し上げますと、2003年に損保会社からGDOに転職しまして、ゴルフ場に当社の予約サービスを販売する営業からスタートしました。これを10年やりまして、その責任者を経て2013年から全社のマーケティングをやってくれ、と。 それで5年間、全社マーケティングとブランディングを担当して、2018年から軸足を練習場業界の仕事に移しています。副社長を拝命した理由は、マーケティング時代に全社の事業に関わったこともあるのかなと、個人的にはそう思っています」 <h2>ECの売上が大半占める</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/yoshikawa2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-64615" /> <strong>副社長の就任は4月。当時は緊急事態宣言に向かうコロナの緊張期だったわけですが、それもあって今年上半期(1~6月)の連結業績は150億円超で昨対1割ほど落としている。</strong> <strong>大雑把にいえば国内120億、海外30億という割合ですが、中長期的な国内外比率はどうですか。</strong> 「もちろんゴルフテックについては事業計画がありますが、国内外比率は明確に定めていないんです。 まあ、今回コロナで感じたのは、不測の事態の難しさですね。インドアレッスンみたいな店舗事業は行政の要請で休業を迫られ、アメリカもまったく同じです」 <strong>アメリカのほうが厳しいですね。特にカリフォルニアあたりはロックダウンと休業要請を繰り返した。</strong> 「そうですね。休業中の売上は基本ゼロになって固定費だけは出ていくと。アメリカの200店舗は軒並みクローズになってしまい、今も打席制限を設けながらの稼働です。国内のゴルフテックは6月1日に再開しましたけど」 <strong>とはいえ、コロナの今年を除いては順調な歩みを見せてます。前期の連結業績は342億円超で、国内は268億円超。いずれも増収増益ですが、過去5年で見るとどうですか?</strong> 「おかげさまで、ずう~っと右肩上がりを続けております(笑)。先ほどの3事業に加えまして、練習場事業はトップトレーサーの販売(23施設)がそれなりに来ていて、さらにレッスン事業も加わります。売上的には圧倒的に物販が多いのですが、」 <strong>物販事業の販売比率は全体の7割ぐらいですか。</strong> 「んー、細かいセグメントは非公表ですが、7割には届かないという感じでしょうか」 <h2>条件が揃えば若者はゴルフをする</h2> <strong>ゴルフに関わるすべてをカバーしたいのがGDOの野望というかポリシーですが、コロナで若者需要が盛り上がったのは御社にとっても好事でしょう。</strong> 「そうですね。特に緊急事態宣言明けの盛り上がりは弊社のデータにも表れています。 ただ、弊社には436万人の会員がおりますが、20~30代の構成比は2割程度と少ないので、全体に与えるインパクトは強くない。実感値としては、凄いという感じではないんですね。 ただし、若者台頭の兆しはもの凄く意義があると思っていて、コロナで得た最大の学びは、業界は長年若者需要の創出に苦しみましたが、環境が整えばゴルフをしてもらえることが明確になった。 果てしない徒労ではないんだと、実感できたところに意義があります」 <strong>暖簾に腕押しじゃないんだと。</strong> 「そこは本当に大きいと思いますね」 <strong>さて、先ほど上半期について軽く伺いましたが、今年第3四半期(1~9月)までの商況はどうですか。まずは物販から。</strong> 「4月はさすがに10%以上の落ち込みでしたが、5月には前年並みに回復して、6月以降は前年超えという推移です。 9月は昨年、消費増税の駆け込み需要があったので、それを加味するとあまり伸びた感じはないんですが、若者の動きは堅調で、4月の前年割れの時期でもこの世代は割れてません。 今後はコロナの状況によりますので、若者需要はまったく読めませんが、伸びる前提で考えるのはリスキーだと思っています」 <strong>リスキーでもやるぞ、という判断が働いた場合、どんな若者対策がありますか。</strong> 「そうですねえ。具体的にはマーケティングの投資の仕方だと思ってまして、現実には世代を切り分けるマーケティングをしてませんが、前提としてこれぐらいのリターンが来るだろうというシミュレーションがあって、来なければロジックを調整して下げるという形ですね」 <strong>んー、全然わからない。</strong> 「すみません(苦笑)。要するに販促及び広告宣伝です。我々の投資はオンラインが中心なので、広告もグーグルやフェイスブックなどデジタルメディアに出稿しますが、検索連動型のリスティング広告などにおいて、投資のサジ加減を見るってことでしょう」 <strong>なるほど、若者市場は小さいから投資を控えるわけですね。</strong> 「というわけではなく、若者がこれぐらい稼働するんじゃないかと試算して、見積もったリターンに届かない可能性があると判断したら、追加の広告宣伝が必要になるかもしれない。このあたり余裕をもって覚悟するという話です」 <strong>う~ん。よくわからないけど、GDOはメディアだから、ある種の公益性を持っている。多少持ち出しでも若者に投資するぞって気概なり考えはありませんか。</strong> 「その考えは、ございますッ。コロナの結果として今の盛り上がりは想定していませんでしたが、若者のゴルフへの注目度は確実に高まっているじゃないですか。 レジャーの選択肢が狭まる中で、相対的にゴルフが選択されやすい状況下、既存ゴルファーへの継続的な施策だけではなく、そうじゃない人に対してもドカ~ンと何かやりたいなと。今、具体的な施策を練っている最中なんですよ」 <strong>ドカンと予算化する?</strong> 「予算化を含めて考えますが、ただまあ、ドデカイ花火が上がるという感じではなくて、我々の身の丈に合った規模感ですね」 <h2>ウミガメに食べさせないように</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201104_gdo3.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64683" /> <strong>なんか、禅問答みたいになってきましたねえ。オフレコはオフレコと言ってください。書きませんから。</strong> 「そうですか。その意味ではオフレコになるのかもしれませんが、大事なのはイベントを中心にゴルフへの注目度を上げる話しだと思っていて、弊社は以前から従来のゴルフとは違う形のゴルフを手掛けています。 走りながらプレーするスピードゴルフや雪上ゴルフ、LEDの光るボールで夜、湘南ビーチで球を打ってもらうとか。社内的には『従来のゴルフで新規開拓は難しい』と考えていまして、未経験者にゴルフをアレンジして寄せていくという作業です」 <strong>ゴルフもどき?</strong> 「そうなんですが、打てば楽しさがわかりますよね。それが裾野を広げるための肝になる活動だと思っていまして、従来型のゴルフで集まらないなら、やってほしい対象者に合うようアレンジする。 社内的には『ゴルフを持ち出す』と言ってまして、」 <strong>持ち出すとは?</strong> 「はい。外に持ち出すという意味で、そのひとつが海で遊ぶ若者に『砂浜で打ってみてよ』というやり方です」 <strong>それってオフレコじゃないでしょう。周知の活動だから、別に書いてもいいですよね。</strong> 「そうですね(笑)。これらは実績の話ですから」 <strong>同じ文脈で女性はどうですか。</strong> 「あのぉ、一般的には女性固有の対策があるのかもしれませんが、弊社としては女性向けの企画とか、ジェンダーで切り分けることに積極的じゃないんです。大事なのは性差ではなく趣向ですから。 去年、宮古島でロックフェスがありまして、ここに協賛でゴルフを持ち込んだんですよ。会場の横にビーチがあって、そこで海に向かってボールを打つイベントをしたら、これがもの凄い反響で、1000人近い若者が男女関係なく盛り上がって(笑)」 <strong>打ったボールが気になります。</strong> 「浮くボールを使いましてね、弊社のスタッフが海にぷかぷか浮いて回収しました」 <strong>ウミガメが食べないように?</strong> 「はい、そこはとても大事ですから(笑)。企画の意図としましては、男女関係なく『音楽好きの若者』という括りです」 <strong>なるほど。業界がレディス対策を考えると、昼食にプチケーキを出すとかステレオタイプになってしまう。つまり表層の企画ですね。女性だからプチケーキ、クラブの色はピンクとか。</strong> <strong>御社の場合はそうではなく、もっと内面の嗜好性に刺すことが大事だと。</strong> 「おっしゃるとおりで、個々のマインドをどう見るかがとても大事だと思うんですよ。成果の有無は、やってみないとわからない部分もありますので、やり続けることが本当に大事。ある意味、この活動にゴールはないと思ってます」 <h2>激変するゴルフ場の「予約市場」</h2> <strong>予約事業はどうですか。というのも、御社がこの事業を始めて20年。当初はフロントランナーだったけど、状況は急速に変わっています。</strong> <strong>たとえばPGMは10億投資して自社クラウドを持った。予約や集客を含めて自前路線を強化しています。</strong> 「そうですねえ。まず、競合という意味では100コース以上あるアコーディアとPGMは、ポータルサイトという見方もできますので競合ではないと思っています。 単独系のゴルフ場も自前のウェブ予約を持っていて、我々はこれを『自社ウェブ』と呼んでるんですが、実は我々の商品にはゴルフ場向けの『自社ウェブ予約システム』もありましてね、予約の仕組みを商品として提供してるんです」 <strong>それは「WEB PACK」という商品ですね。</strong> 「そうです。この商品の背景を説明しますと、GDOが立ち上がった2000年頃は『インターネットってなに?』という話や、ネットでビジターを集客することに懐疑的なゴルフ場が多かったんです。新参者の我々が『ネットで集客しましょう』と営業しても、ゴルフ場にしてみれば胡散臭かったわけですよ。 その胡散臭さを消すために、ゴルフ場に対して『御社も自社でオンライン予約システムを持ちましょう』と働き掛けたんですね」 <strong>百聞は一見に如かず。自分でやればどんなものかわかるわけで。</strong> 「おっしゃるとおりです。で、GDOで集客すると1回あたり数百円の手数料が掛かりますが、2回目もGDOから予約が来たら、また手数料が掛かるじゃないですか。 ゴルフ場にとっては負担が重いから、GDOからの予約は新規顧客の獲得チャネル用に使って頂き、2回目以降はゴルフ場の自社ウェブでビジターを囲ってくださいという提案です。 GDOとゴルフ場はコンフリクトしませんよ、と」 <strong>コンフリクトって?</strong> 「ああ、摩擦です。対立、軋轢というような意味でして、それを生まないための方策が自社ウェブ・サポートの考え方です」 <strong>顧客を渡すわけですか。ずいぶん気前がいいですねぇ。</strong> 「渡します。というか、ゴルフ場には囲い込む努力をして頂き、同時に弊社もゴルファーに『2回目もGDOを使ってください』と選ばれる努力をするわけです。ゴルフ場も我々と同じシステムを使っているので、」 <strong>同じシステムを使いながら、その上でフェアな競争をしましょうと。別の観点で言えば「仕組み代」で稼ぐ発想ですか?</strong> 「そうですね。仕組み代のほかに運用のお手伝いもしています」 <strong>つまりゴルフ場は御社の顧客であり、ライバルでもあるという面白い関係性ですね。一方でガチンコ勝負の相手は楽天になる。こちらは「楽天ID」の強みを生かしてレベニューマネジメントに注力していますが、御社はこれに対抗しますか。</strong> 「いえ、しません。レベニューはゴルフ場の収益を最大化するためのロジックなので、ゴルフ場が値付けする際の根拠になります。 一方、我々が提供する予約システムは、そこで決められた値段をオンライン上で売る『販売の仕組み』だから『対抗』という形にはならないと考えております」 <strong>「根拠」と「仕組み」という観点で見れば、GDOはゴルフ場の仕組みを抑えている。つまり蛇口を握っているんだと。</strong> 「いえ、そこは蛇口を抑えるという話じゃなくて、」 <strong>ゴルフ場の自社ウェブに入るって、そういうことでしょ。</strong> 「まあ、形としてはそうかもしれませんが、ゴルフ場の自社ウェブを我々が操作できるわけではないので、入り込むとか抑え込むというイメージではなく、あくまで仕組みの提供にすぎません」 <h2>コンサル事業への進出は?</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201104_gdo4.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64685" /> <strong>とにかく御社は「仕組み」と「実数」をもっています。実際のゴルファーの動きがわかるから、机上の分析よりも遥かに強力なデータですね。その「仕組み」から得た情報を解析して、コンサル業に発展しますか。</strong> 「う~ん。コンサルという肩書で料金を頂くことはしてませんし、やる計画も今はないですね。やらないと決めたわけではなく、最適価格を一定のロジックに基づいて提供することをコンサル業としてやるかとなれば、正直、そこまでの状態にはなっていないんです」 <strong>「状態」というのは?</strong> 「状態というか、体力ですね。レベニューマネジメントのロジック開発には莫大な投資が必要なので、我々の体力ではなかなか・・・。 まあ、弊社には予約、買い物、スコア管理やニュースの閲覧といったように、ゴルファーの趣味嗜好を分析する材料は沢山あります。 それでゴルフ場に対して『御社は〇〇なゴルファーに好まれるから〇〇のプランにしましょう』と提案はしますけど、それでお金くださいとは思ってないんです。あくまでウチを使って頂く材料にすぎません」 <strong>個人的には「アーコス」に注目していて、あれをグリップエンドにカチッと着けるとショット履歴が収集できる。それで御社はゴルファーが何を読み、何を買い、どこでどんなショットを打ったか全部わかる。</strong> 「まあ、物理的にはわかります(笑)」 <strong>するとメーカーは御社へ日参して「GDOさん、次は何を作ればいいですか?」と教えを乞うんじゃないですか?</strong> 「そうなれば、それほど嬉しい話はございません、ハイ・・」 <strong>そうなってない?</strong> 「なりきれてないですねぇ」 <strong>それはリソースの配分という意味で?</strong> 「それも、あります」 <strong>GDOは事業単位が複雑に絡み合う構造だから、優先順位の付け方も大変なんでしょうねえ。</strong> <h2>究極のワンストップを目指す</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201104_gdo2.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64682" /> <strong>メディア事業はどうですか。基本はゴルフ関連情報の配信ですが、収益は広告がメインですね。</strong> 「メディアは業種としての性質上、やはり波があるんですね。どのメディアも事情は同じでしょうが、広告主がコロナでコスト圧縮に走ったのでかなり苦しい状況です」 <strong>どれぐらい苦しいですか?</strong> 「う~ん、だいぶ、です」 <strong>上手く逃げましたねえ。</strong> 「誘導尋問に引っ掛かるところでした、あぶなかった~(笑)。片山さんの取材は気が抜けません。 で、この間、我々の在り方を改めて顧みたんですね。そこで浮き彫りになった一番の課題は、プロモーションの提案方法です。たとえばメーカーが新製品を出したときに単発というか、案件単位の提案をしている。 これを梃入れするためには、年単位とまでは言いませんが、広告主のトータルコストの中で一定のシェアを預けてもらえる存在にならないと、挽回できないと思っています」 <strong>一方ではユーチューバーが雨後の筍状態で、多くのメーカーが便利扱いしてますね。どう見えます?</strong> 「そこは役割分担があるのかなぁと思っていて、バズらせるにはユーチューバーなりインフルエンサーは有効かもしれませんが、購入のレベルまでもっていくにはユーチューブでは完結しないと思うんですよ。 購入までにはいくつも段階があって、知識を深めるのに静的なコンテンツを読む、あるいは試打会で実際に打ったりと複数の要素が絡むじゃないですか。ユーチューブはあくまで振り向かせる役割で、そこから先にはつながりにくい、と」 <strong>知識を深めるには読書だし、雰囲気を伝えるのは映像、体感するには試打といったようにそれぞれ持ち味がある。</strong> 「そうなんです」 <strong>それをGDOはワンストップでやりたいと。</strong> 「やりたいですねえ(笑)。現状、ユーチューブで花火をあげることはできてないので、その領域も得意ですってなりたいですね」 <strong>吉川さんがユーチューバーになればいいでしょう。その誠実な人柄で「ん~、なかなかいいですねえ」とやれば売れるかもしれない。イケメンだし。</strong> 「いえいえ(苦笑)。まあ、そのあたりは、今後力を入れるべき分野だと思っています。 それとは別に動画コンテンツは今年、ディスカバリーゴルフと提携して、USPGAツアーを8月からGDOの画面で流しているんですよ」 <strong>それは知りませんでしたが、米ツアーはNHKとジュピターゴルフネットワークが莫大な金額で放映権を取っている。そこに割り込むって凄いですねえ。契約形態は?</strong> 「実はマーケティングパートナーという言い方をしてまして、先方にすれば有料視聴者を獲得するのにGDO会員へのアプローチが有効だと。一方の我々はPGAツアーのライブ配信という虎の子のコンテンツが手に入ります」 <strong>バーターですね。</strong> 「バーターです。もちろん個人情報そのものは提供しませんし、GDOのドメイン上で配信して、視聴会員になりたい人を送客するという話です。ディスカバリーゴルフの日本法人と交渉して、予選ラウンドだけですが、数試合流したところ反響は上々です」 <strong>予選ラウンド限定なんですね。</strong> 「はい」 <strong>まあ、それでも美味しい話には違いないけど(笑)</strong> <h2>安売り競争は自分の首を絞める</h2> <strong>とまあ、御社はいろんなことをやってますが、社員数は何人ですか。</strong> 「今は500人近くですね」 <strong>それを事業別に割り振ると?</strong> 「実は、弊社の場合は単純な割り振りにならないんですよ。たとえば物販事業ですが、ここはEコマースと中古ショップのゴルフガレージがあって、売上は圧倒的にECですが、人数ベースでは半々です。 予約事業につきましては、弊社は名古屋、大阪、福岡に支社があって総勢60名ほどですが、予約以外にローカルの広告営業や練習場向けの営業も兼業しているので、単純に事業別の構成比は出しにくいんです」 <strong>それでも敢えてザックリ言うと?</strong> 「んー、そうですねえ、予約と物販がそれぞれ100名強、ゴルフテックは本部を入れて100名弱、メディアは編集と運営を入れて40~50名というイメージで、ここはウェブ制作も手掛けています。 トップトレーサーの練習場事業は20名ほどの規模感で、あとは間接部門等という感じですね」 <strong>そのあたりも御社ならではでユニークです。個別の事業収益と人数には凹凸があって、全体としてバランスをとっている。複合事業体ゆえの柔軟性で、全体の利益頭は予約事業ですね。</strong> 「はい、利益面では圧倒的です」 <strong>一方で全体のキャッシュフローは最大売上の物販事業が支えていますが、一時は大手量販との価格競争が壮絶でした。今は落ち着いたけど。</strong> 「そうですね。売上を取りに行くために、無理して叩き売りみたいなことは『しない』というスタンスを決めてますので」 <strong>数年前は大手量販が「GDOの安売りを止めろッ」て目の敵で。</strong> 「濡れ衣です(苦笑)。昔から目の敵という感じはあるんですが、他の流通を見渡して下を潜るぞという感じは正直、本当にやってないとキッパリ申し上げます。 そこはメーカーとの信頼関係もありますが、安売りに依存するとキリがないし、結局は自分の首を絞めるので歯を食いしばって頑張ろうと。で、この話はゴルフ場のプレー単価もまったく同じなんですよ」 <strong>そこは「業界観」の話ですね。プレー単価の下落はゴルフへの敷居を下げるけど、歯止めがきかないとゴルフ場自体が疲弊して結局はフィールドが減ってしまう。</strong> 「はい。それでゴルフ場から『どうやって単価を上げたらいいんだろう』という相談を日々受ける中で、これに応えたいのが営業マンの心理ですが、業界はマクロでデフレという状況下でずう~っと同じジレンマを抱えている。答えを見出せてないのが正直なところです。 活性化にはプレー人口を増やす視点と、一人当たりのプレー回数を増やす視点がありますが、前者の場合は『手軽なゴルフ』が切り口で、スルーやハーフでサクッと帰る。これが定着すれば敷居は下がります。 でも、ゴルフ場はでかい固定資産を抱えていて、ハウスには維持・修繕費も掛かるので『レストランをやらないと利益が出ない』という事情も十分わかります」 <strong>ゴルフ場の造成ラッシュは70~80年代で、80年代半ばからのバブルに向かってクラブハウスも豪奢を競った。でかい空間容積を競ったわけですが、今となればクリーニングコストや光熱費もばかにならない。</strong> 「まったくおっしゃるとおりです」 <strong>で、大半は開業から40年ほどだから、ハウスの建替え時期を迎えます。そこで求められるのはゴルフ場経営者の思想ですね。形骸化した豪華路線をやめてスタート小屋だけにする。それで実質路線に転じるとか。</strong> <strong>その際、御社の茅ヶ崎GC(神奈川)がモデルケースになりそうです。9ホールのコースで最新の手引きカートにフリードレスコードなど、次世代ゴルフのニューノーマルを体現している。</strong> 「ありがとうございます」 <strong>あれは自己資産ですか?</strong> 「いえいえ、自社ではとても持てません(苦笑)。茅ヶ崎は受託運営で、賃料をオーナーである自治体に払っています。 その経緯を簡単に話しますと、以前からゴルフをしない人にゴルフをさせるには『今までと同じじゃダメでしょ』という議論が社内的にあったものの、好き勝手にやれる自己資産がなかったわけです。 GDO流を気兼ねなくやれる『研究開発の場』がほしかったところに、茅ヶ崎の案件が出てきましてね。是非やりたいと手を挙げて、ようやく自分たちの『ベース』が持てたんです。ニューノーマルを体現する場としてもいろんなチャレンジをしていきます」 <h2>ゴルフは社会人デビューです</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201104_gdo1.jpg" alt="" width="788" height="525" class="alignnone size-full wp-image-64681" /> <strong>吉川さんはゴルファーですか?</strong> 「はい。下手ですが大好きです(笑)」 <strong>ゴルフの何が好きですか?</strong> 「なんですかねえ~。巷で言われる気持ちよさ、打つときにでっかい空間を独り占めできることでしょうか。やってもやっても上手くならないところも好きですし、単純にゴルフ場が好きなんです。 ゴルフ場営業の時代は支配人と商談しながら窓外の景色を眺めたりして(笑)。みなさん自分のコースを愛していて、そんな話を聞くのも好きでした」 <strong>ゴルフデビューはいつですか。</strong> 「大学を出て8年間、損保会社で働きましたが、そこでゴルフを覚えたんです。営業でゴルフは必須でしたから。スコアは90前後なんですが、本当に大好きで」 <strong>立場上、言いにくいかもしれませんが、一番好きなコースはどこですか。</strong> 「それはやはり、言いにくいですねえ(苦笑)。う~ん、一番好きということじゃなくて、一番衝撃を受けたのは小樽の旧コースなんですよ。本場のリンクスには行ったことがないんですが、きっとこんな感じなんだろうなあ、と思わせてくれる感があって」 <strong>一連の話を聞いて思うのは、吉川さんは「普通の感覚」のゴルファーですね。それが好ましいと思えるのは、ゴリゴリのゴルファーだとゴルフの「べき論」にとらわれたり、いびつになるケースもある。</strong> <strong>プレイ・ファーストで前の組を煽る、威圧するなどが典型ですが、煽られてゴルフをやめた初心者がどれほどいることか・・・。煽り運転とまったく同じでタチが悪いし、業界にとっても損失が大きい。</strong> 「そこはまったくおっしゃるとおりです。で、その話は練習場も同じだと実感するのは、トップトレーサーを導入する際に常連さんが抵抗勢力になることがあるんですよ。 トップトレーサーはバーチャルの的当てゲームとかエンタメ要素がありまして、練習場のオーナーさんには『将来のゴルファーを育てましょう』ということもセールストークのひとつなんですね。それで若者が楽しくて騒いじゃう。すると『どうにかしろッ』て常連からクレームが入るんですよ。なるほど、こういう対立構造かと。 怒る気持ちもわからなくはないんですが、もっと大らかに交われる関係になればハッピーだし、そこをどうにかしたいですよね」 <h2>GDOが「一番わかってる!」</h2> <strong>3~5年の中長期で、GDOをどんな会社にしたいですか。</strong> 「そうですねえ。ご承知のとおり、弊社の事業領域にはそれぞれ強い競合がいます。予約事業は楽天さん、物販は大手2社(アルペン、ゼビオ)が強固だし、メディアはゴルフ以外にも沢山の競合がいる。 そこでウチの存在感は、ゴルフ専業の強みを生かして『ゴルフといえばGDO』と思って頂けることに尽きます」 <strong>会員は436万人。ノビシロとしてはどうでしょう。</strong> 「436万人は事実ですが、実際の稼働会員はそこまでおりません。会員登録を忘れた休眠会員も大勢いらっしゃるので、ここの復活が非常に大事。その面では伸びる余地は十分にあります。 GDOを思い出して頂くには、肝はデータなんですね。たとえば片山さんが過去に一度はGDOを使っていたら、コミュニケーションを設計できます。 そのときに大事なことは、受け手が気持ち悪くない程度にポップアップをサイトに出したりと、とにかく『気持ち悪い』感覚を排除することなんです。じゃないとストーカーみたいになってしまうので(笑)」 <strong>わかります。AIがスマホの検索履歴を監視して、「あなたが知りたいのはこれでしょ」とばかり、次々情報を送ってくる。ネットの世界は非常に気持ち悪いです。</strong> 「その気持ち悪さを排除するのがとても大事なんですね。送信するメッセージの内容を我々は『シナリオ』と呼んでますが、たとえば片山さんが購入したいドライバーをカートに入れたまま『もう一日考えよう』と放置して、その後24時間動かない場合は『在庫が少ないのでお急ぎください』というメッセージが入ったりします。 データの動きをトリガーにして配信するメッセージには、沢山のシナリオがあるんですが、これはAIじゃなく、我々人間が考えるんです。放置したままの片山さんは今、どんな気持ちなんだろうって推論する」 <strong>酔っぱらってたんでしょ。</strong> 「すると『お酒は冷めました?』というメッセージも考えられるじゃないですか(笑)。そういった心境を辿る作業を『カスタマー・ジャーニー』と呼ぶんですが、休眠会員の復活を含めて会員の意識に根付くには、気持ちいい、違和感がない、気が利いてるメッセージが非常に大事なんですよ。 その際、我々はゴルフ専業だからゴルファーの気持ちが一番わかる。そこの熱量は他社にない強みだと思ってます」 <strong>なんか、文学的な話ですね。ITの分野でアルゴリズムが急加速している反面、ヒトの情緒の解釈が肝になる、と。「ゆらぎ」や「f分の1」といったように、人間回帰が改めて注目されている。</strong> 「そこの探求なんですね。愚直にそれを続けながら、信頼感や『なんとなく好き』という感覚的な価値の話です。 たしかに楽天のスーパーポイントには絶対的な価値がありますが、我々が追求するのはGDOが好きだから『GDOで予約しよう』『クラブを買おう』という感覚的な価値観なんです。 ゴルファーの気持ちを徹底的に深掘りして『なんとなくGDOが好き』、その次には『大好きだ!』と言って頂ける企業を目指します」 <strong>美しい言葉でいえばゴルフ愛ですかね。観念的だけど、観念が複合事業体の芯金になっている。</strong> 「そこはとても大事です!」
    (公開)2020年11月12日

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