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    ハッシュタグ「工房ナビ」記事一覧

    オキコバランスといえば、全国でも有名な広島の工房。その兄弟店である福岡店ができたのが2018年。現在、店長を任されているのが、シャフトメーカーで9年フィッター兼クラフトマンを務めた都濃善朗氏だ。ミスショットの直接的な原因を探る「ダイレクト・コース」というフィッティング理論で、レベルを問わず多くのゴルファーに対応している。 今回の悩めるゴルファーは野球経験者の40歳代男性A氏。野球のスイングが抜けずにスライスが悩み。HS46m/sとパワーがあるため、重いヘッドのドライバーを使用していた。都濃店長のフィッティングと提案したクラブでスライスは改善されたのか? 強い思い込みが原因で合わないクラブを使う オキコバランスの本店は広島、その支店として2018年にオープンしたのが福岡店だ。店長の重責を担う都濃善朗氏が、最近のゴルファーの傾向を次のように語る。 「思い込みが強いゴルファーが多いですね。スピン量が多いとの理由で『LS』(ロースピンモデル)を使いたがるゴルファーが多いのですが、スライサーの場合『LS』は浅重心ヘッドが多くロフトが立ってボールが横滑りしやすい。スライスが強まる傾向があります」 今回の悩めるゴルファーA氏も同じように思い込みが強かったのか、 「野球経験者ということでHSは46m/sと速い。パワーがあるという思い込みもあってか、重いヘッドのクラブを使っていました」 重いヘッドだけなら良いのだが、身体に両腕を引き付けるような野球スイングで、重いヘッドで振り遅れてフェースが返らずスライスを頻発していたという。 「バットは総重量が重く、またフェース面という概念がないので、重心位置による影響はゴルフクラブより少ないと思います。そのスイングでヘッドが返らずスライスしていました」 そこでクラブバランスが重くならない仕様を提案。ヘッドはシニアや女性ゴルファー向けのPXG『Lightning MAX LITE』と、シャフトは競技者向けの三菱ケミカル『TENSEI Pro Black 1K Core』(60S)を組み合わせた。 トップでの位置エネルギーを感じさせない軽量ヘッド まず、クラブバランスを下げるためにヘッド重量189gのPXG『Lightning MAX LITE』をチョイス。 「このヘッドのMOIは高いのですが、フィッティングする際はMOIより重量の方が影響しやすいと思います。重いヘッドではトップで位置エネルギーを感じやすく、振り遅れる可能性が高い。それで軽いヘッドを選んだわけです」 『Lightning MAX LITE』はHS37~38m/sのゴルファーを対象としているから、A氏にはミスマッチに見える。 一方でシャフトだが、こちらは三菱ケミカルの『TENSEI Pro Black 1K Core』の60g台のSフレックス。バリバリのアスリートモデルだ。 「シャフトは全体的に動きづらく硬いシャフトで、シャフト自体の硬さによって、しなり戻るタイプを選びました」 ヘッドは軽量で低HSゴルファー向けだが、シャフトはアスリートモデル。このミスマッチについて、 「ヘッドを軽くしたことで、シャフトが60g台でもクラブ総重量は減りました。それによって、振り遅れがなくなりインパクト時のフェースアングルが安定しました」 方向性が安定し、飛距離は20ヤード伸びたという。 フィッティングが信頼を作る いつでも相談できる場所に オキコバランス福岡店は、福岡市の中心である博多駅から車で30分。福岡タワーやPayPayドームなどがある地域で繁華街の天神とは違う雰囲気。 「繁華街のロードサイドでは、ふと立ち寄るゴルファーもいると思いますが、オキコバランスは明確な来店目的を持つ人に来てもらいたいというコンセプト。繁華街から少し離れた落ち着いた場所に出店したのもそのためです」 福岡店はTNC放送会館というテレビ西日本の本社ビル3階で営業中。高層ビルで、外側からは店舗の存在がわからないほどひっそりしている。 「今回のA氏もそうですが、フィッティングで結果が出れば店の信頼が上がります。落ち着いて、何でも相談できるゴルファーの拠り所でありたいですね」 A氏のように、思い込みの激しいゴルファーは多い。今回のフィッティングでは当初、A氏は違和感を覚えたはずだが「思い込み」のタガを丁寧に外し、意外な組み合わせでスライスから脱却できた。  じっくり悩みを打ち明けられる場所。それが工房の役割でもある。 メーカー担当者コメント 三菱ケミカル マーケティングチームリーダー 小林直樹氏 「野球経験者特有のスイングで、ヘッドの重さによって振り遅れるスライサーですね。軽いヘッドで振り遅れを抑制するフィッティングは成功でしょう。ひとつ加えると、長くゴルフを続けてもらうためには、重さのあるヘッドで、スイング中のヘッドを感じるようになってもらうのもあり。そこを目指すと違うシャフトも選択肢に入ると思います」 オキコバランス福岡店とは 〒814-0001 福岡県福岡市早良区百道浜2丁目3−2 TNC放送会館 3階 TEL 092-832-3020 https://okikobalance.com/
    (公開)2026年05月04日
    東京都八王子市下柚木。野猿街道沿いに工房「バーディーパパ」がある。切り盛りする大石卓己店長は、脱サラして開業し、以後20年来、数々のゴルファーの悩みに対応した。同氏の流儀は「ゴルファーが欲しいクラブを提供する」と、店側の主張を押し付けない。その大石店長を頼ったのが月1ゴルファーのA氏。スコア80台の上級者だがアプローチでのザックリ、トップが頻発して頭を抱えていた。そこで提案したのがロフト角60度でクラブ長34.25㌅という超短尺ウエッジ。A氏のザックリ、トップは解決したのか? 評判に流され欲しがる クラブとスイングのミスマッチ クラフトマン歴20年。敢えてスイング診断に重きを置かず、ゴルファーが求めるクラブを提供するのが大石流だ。最近は、ゴルファーの力量と求めるクラブのミスマッチが目立つという。 「特にドライバーで低スピンモデルの『LS』を使いたがるゴルファーが多いですね。でも『LS』を使いたがるゴルファーの多くが、スイングが未完成でヘッドスピードも足りません。一番はスイング的な問題で、インパクトが安定しないことが理由のひとつだと思います」 インパクトが安定しない理由は、クラブをインサイドに引きすぎてダウンスイングで懐が狭くなり、アウトからクラブを振り下ろす。結果、前傾角度が保てなくなり、インパクトが安定しない。 今回の悩めるゴルファーA氏もそう。ウエッジでザックリ、トップが出るのは前傾が保てないからだという。 そこで、思い切って短尺ウエッジを提案した。ヘッドはミステリーの『235MF』(ロフト角60度)で、シャフトは90g台のFSP短尺専用『FSP TOSS WEDGE』。完成品は34.25㌅、バランスC3。さて、どうなった? ボールを拾うヘッド形状 短尺で軟らかくバランスが出ない A氏の問題解決は、短尺ウエッジが大前提だったという。なぜならA氏の問題は、前傾が保てないことが主因。 「そこで、前傾を保てないと上手く打てないクラブを敢えて提案したのです。ザックリとトップを繰り返すゴルファーはウエッジに苦手意識をもつ。その点も同時に改善したかった」 ミステリーの『235MF』は、ラウンドがついたリーディングエッジと強いFPが特徴で、ボールを拾い上げてくれるイメージを与える。加えて、バウンスは11度。ウエッジショットは、インパクトでロフトが寝る傾向がある。地面とのコンタクト時に跳ね返りを生じさせ、リーディングエッジが刺さることを防止。ヌケを良くすることも重視した。 そして短尺専用シャフトの『FSP TOSS WEDGE』である。 「前傾を保つには短尺が効果的だと思いました。雑誌の企画で見たシャフトで、これだ!と閃いたのです」 短い割には軟らかく感じ、カウンターバランスでヘッドを軽く感じる。クラブの重心を身体に近く感じるため、振りやすく、なおかつ短いから飛ばない。躊躇なく振り抜けるウエッジになった。以後A氏は、アプローチに不安なくラウンドできているという。 遊びながら作る 出来てから気づくこと 大石流は、ゴルファーが欲しがるクラブを提案すること。常連客の多くがヘッドとシャフトの組み合わせに遊び心を持っており、最適解の探求は「実験」にも似た作業だという。 「なので今回のケースは、ざっくばらんな言い方をすると、作ってみて分かったことが多いんです。バランスが出ないとか、だから振りやすいとか……。面白がって作ってほしいという常連さんが多いので、私も勉強になっています」 今回の、ミステリー『235MF』と『FSP TOSS WEDGE』の組み合わせはA氏にハマった。そこで大石店長は、 「他の常連さんにも提案しましたが、誰も欲しがらないんです(苦笑)。売れたのはA氏の1本だけ。でも、売れない理由は明白。ゴルファーはそれぞれ違う悩みを抱えているからです。千差万別だからこそ、今回の発見につながった」 遊びながら、組み合わせを楽しみ、発見する。その発見の積み重ねが、クラフトマンとしての技量を高める。顧客と一緒に実験を楽しみながら、信頼関係を築いている。  メーカー担当者コメント 和宏エンタープライズ 代表取締役社長 足立昌也氏   「『235MF』はフェースの平面加工でスピン性能が高いウエッジです。一方の『TOSS WEDGE』は短尺専用でもしなりや重量感を感じるシャフトなので、長さ的には飛びませんが、思いっきり振れるシャフトですよね。その組み合わせで、前傾を保てないゴルファーに起きる現象改善を求めたのでしょう。絶妙な組み合わせだと思います」 バーディーパパとは 〒192-0372 東京都八王子市下柚木2-5-23 TEL/FAX:042-670-5535 http://www.birdie-papa.com なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2026年04月04日
    栃木県宇都宮市の中心部から少し離れた住宅街。そこで30年以上にわたりゴルファーの面倒を見ているのがヤード・アップの山中敦取締役。御年70歳の同氏は量販店に14年勤務した後、独立して工房を立ち上げた。クラフトマン歴は半世紀に近い。そのベテラン職人を頼ったのが、遥か千葉県幕張市から来た73歳のシニアゴルファーで、悩みはウエッジのザックリとトップ。原因は硬すぎるシャフトに、つかまらないヘッド。薦めたのはキートンのウエッジ『SCREW TYPE R』とターフの『PROTOTYPE』。ザックリは治ったのか? 数値に頼るゴルファー 重要なのは3つの物差し クラフトマン歴45年。パーシモンから現代のクラブまで、ゴルファーに寄り添いながらクラブを提供してきた山中氏は、計測器の進化に一家言持っている。 「弾道計測器が時代と共に進化して、そのデータに頼り過ぎ、自分自身の中に独自の物差しを持っていないゴルファーが多いと思います」 山中氏のいう「独自の物差し」とは、クラブの長さ、重さ、硬さへの感じ方だという。 「自分が使っているクラブに対して、長く感じるのか、短く感じるのか。重く感じるのか、軽く感じるのか。硬く感じるのか、軟らかく感じるのか。3つの物差しは人それぞれですが、この感覚を失って数値だけに頼ってしまうと、いろんな症状が出るんですよ」 その「3つの物差し」を持ち、ウエッジにボンヤリとした違和感を覚え、山中氏を頼ったのが73歳のベテランゴルファーA氏。ドライバーのHSは35m/s前後とゆったりとしたスイング。週1回のゴルフを欠かさないという。 「ウエッジでザックリとトップが止まらないということでした。原因は硬すぎるカーボンシャフトとアドレス時にボールがつかまらないように見えるヘッドでした」 そこで薦めたのが、キートンのウエッジ『SCREW TYPE R』と、ターフの『PROTOTYPE』だった。ザックリとトップは直ったのか? つかまるネック形状 軟らかく速いしなり戻り A氏が使っていたのが、しなりが少ないカーボンシャフトとネックの飛球線側が少し膨らんでいるヘッド。 「まず、しなりが少なく硬く感じるカーボンシャフトですが、しなりが少ないためA氏には少し硬すぎた。A氏のスイングはゆったりとしてシャフトがしならない。ボールに上手く当てようとして身体が浮き上がっていたんです。それがザックリとトップの原因でした」 そこで薦めたのが『PROTOTYPE』。重めのシャフトだが軟らかく、しなり戻りが速い。ゆったりスイングにはその重さと軟らかさ、そして絶妙なしなり戻りで身体が浮き上がらないスイングになったという。 一方のヘッドだ。ウエッジは多くの場合、リーディングエッジが直線に見えず丸みを帯びて見え、それが出っ張りに見える。また、ネックの飛球線側の形状が丸みを帯びたウエッジは、それも出っ張りに見える。出っ張りが2つあると、その2つが直進するように見えて、ボールがつかまりづらく見えるという。 「それでキートンの『SCREW TYPE R』を選びました。このウエッジはネックの側面がストレートに見えて、ネックとフェースの繋がり部分の懐を明確に視認できる。アドレス時にボールがつかまるイメージが出るんです」 この組み合わせでA氏の症状は改善され、60度のウエッジを含め、同じ組み合わせで一気に5本購入したという。 悩むゴルファーに心地よさを売っている 5本のウエッジを新調したA氏から山中氏に喜びの電話があったという。 「朝の10時半くらいでしたね。『いま現場だけど、73年生きてきて、こんなに合うウエッジは初めて!』だと、プレー中のゴルフ場から電話をくれました。嬉しかったですね」 山中氏は45年のベテラン工房マン。それゆえ多くのゴルファーを診てきたという。山中氏がいう「3つの物差し」を持ち、ウエッジに違和感を覚えたベテランゴルファーA氏のフィッティングは、大成功に終わったようだ。 山中はゴルフクラブを売りながら、別の「何か」を売っているという。 「昨今はヘッドとシャフトを接着するだけの工房が多いと聞きます。独立して30年も続けられるのは、手前味噌ですが、丁寧な仕事をしてきたからだと思うんですよ。何を売っているかの? たぶん、心地よさを売っているんでしょう」 パーシモンで修行して、計測機器も頼り過ぎない。そんな職人が、73歳のシニアゴルファーに生涯一のウエッジを提供できた。職人の技が冴える。 メーカー担当者コメント KEYTONE 営業部長 飯野秀樹氏 「ヤード・アップさんはベテランで知見も経験も豊富。そのため『キートン』の顔やネック周りの形状について、深く理解してもらえているのが、今回のフィッティングの成功につながったのではないかと思います」 ヤード・アップとは? 〒320-0831 栃木県宇都宮市新町2-7-4 TEL 028-651-2722 https://yard-up.com/ なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2026年03月09日
    千葉県松戸市。国道6号から少し入ったところで営業するのがグッドワンゴルフ。代表の田中章裕氏は2000年、脱サラしてFCでゴルフパートナーを開業、2018年にグッドワンゴルフとして独立した。現在は地クラブを含め販売の8割を新品が占め、残り2割は下取りで引き取ったクラブの再販だ。その田中代表を頼ってきたのが60歳代の女性ゴルファーAさん。悩みはないが、アイアンを新調したい。出来上がったクラブのフレックスは以前のLからメンズのSへと6段飛び。果たして? 「重いと後半疲れる」はダメ クラブが合わないから疲れる Aさんは月2、3回のラウンドを欠かさないシリアスゴルファーで、平均スコアは80台。特に悩みはないのだが、長く使ったアイアンを新調したいと訪れた。女性ゴルファーの典型で「軽く軟らかすぎるクラブの使用者」だと田中代表は指摘する。 「多くのゴルファーにありがちな話で、重いクラブは後半のハーフで疲れるという話。でも、一概にそうではないんですよ。私は『合わずに、軽くて軟らかすぎるクラブを使うほうが原因になる』と考えているんです」 それゆえ、同店のフィッティングでは「重く硬いクラブ」を薦めるケースが多いという。かくいうAさんもスイングが完成しているレベルで、古くて軽いカーボンシャフトのアイアンを使っていた。 「大半の女性はまず『スチールシャフトなんて』と思ってしまう。ところがスイングを見たところ、気持ちよく振れているようには見えませんでした。原因は軽すぎる、軟らかすぎるクラブでした」 そこで薦めたのが、PRGRの『02アイアン』と日本シャフトの『NS950GH』のSフレックス。にLシャフトからメンズのSシャフトへ一気に6段飛び。シャフトだけでも50g増となったわけだが、なんと、ベストスコアを更新したという。その理由を探ってみた。 寝ているロフトのヘッドで無理なくボールを上げる Aさんが使っていたのはナショナルブランドのレディスモデル。飛びを意識したのか少しだけロフトが立っている。 「ロフトが立っているクラブは、無理にボールを上げようとするスイングになりがちで、ダウンブローにインパクトを迎えづらく、十分なスピンが入らずグリーンにボールを止めにくい。それで、7番でも30度のロフト角のPRGR『02アイアン』を薦めました」 ボールを無理に上げようとしなければ、クラブは自然とダウンブローにインパクトを迎える。 「アイアンでスピンが多すぎるアマチュアは見たことがありません。多くのアマは寝たロフトのアイアンで無理なくボールを上げている。そしてスピンを入れることが大事だと思います」 ヘッドが決まり、次にシャフトを選定する。この段階で、タイミングが取りやすい、つまり振りやすいシャフトを薦めるのだが、あまり深く考えないのがフレックスとシャフト自体の重量だとか。 「振りやすいことが一番なので、フレックスや重量は深く考えません。そのなかで、今回のAさんは縦にクラブのしなりを使うスイングだったため、日本シャフトの『NS950GH』のSフレックスを薦めました」 同店のフィッティングで使っているのが「シャフトウエーブ」というシャフトのしなり計測器。シャフトのしなり波形が縦方向に強いのか、横方向に強いかを計測するツール。Aさんは縦のしなりが強いスイングだったので、手元剛性が比較的強い『NS950GH』のSフレックスをセッティングしたという。 手元硬めでも必ずしも先端緩めではない 縦しなりの強いAさんに「手元硬め」を薦めたのだが、ここで注意が必要だと田中代表は教えてくれた。 「手元剛性が強いシャフトは必ずしも先端が緩めではないんです。手元と先端の剛性が強く、中間部分が緩いシャフトもある。その点は注意が必要ですね」 そしてLフレックスからメンズのSフレックスという6段飛びのセッティングに対しては、 「ずばり気持ちよく振れていたので選びました。オーパースペックではなかったと思います」 最後に田中代表が次のように説明する。 「軽いクラブを握ってしまうと、腕力に頼る傾向になります。ある程度の重さがなければ、逆に身体を使わないスイングになりがち。シニアほどその傾向が強くて、軟らかいシャフトを組み合わせてもシャフトをしならせる体力がないから結果的に飛ばない。重く硬いシャフトでミート率を上げた方が飛びます」 時代と共にクラブが軽く軟らかくなる中で、硬くて重いクラブを推奨する。吊るしのクラブでは味わえない、工房ならではフィッティングだ。 メーカー担当者コメント PRGR マーケティング部 西澤博之部長 「今回の結果について具体的な解説はできない部分がありますが、”手でクラブを振る傾向の方”、”シャフトのしなりがスイングの邪魔をしてしまう方”などには、重め、硬めシャフトをおすすめして振りやすく、当てやすくするケースもあるかもしれませんね」 グッドワンゴルフとは 〒270-2241 千葉県松戸市松戸新田119 TEL 047-308-5515 https://goodonegolf.jp/ なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2026年02月03日
    群馬県高崎市のゴルフプラスといえば、北関東を代表するゴルフショップ。毎年大規模な地クラブ試打会を主催することでも知られており、本店(高崎店)と前橋店、そして系列会社でゴルフ練習場、インドアゴルフも経営している。今回のマイカスタムは、本店の荒井貴之店長に話を聞いた。荒井店長にお悩み解決を依頼したのが48歳の男性Aさん。ゴルフ歴は5年と浅いが、HS50m/s前後のハードヒッターだ。スライスを嫌がりチーピンが癖になった。当たれば飛ぶが、方向性に悩まされている。提案したのは操作性に長けたヘッドwaowwの『BANG』と藤倉コンポジットの限定シャフト『ベンタス ホワイト』。これでチーピンは治ったのか? 「やさしい」はそれぞれのゴルファーでまったく違う ゴルフプラスはフィッティング販売が中心で、地クラブのみならず、大手メーカーのクラブも扱っている。「AI」や「10K」、そして「高MOI」など、いま流行りの商品も充実するが、だからこそ荒井店長は警鐘を鳴らす。 「多くのメーカーが『やさしいクラブ』とPRしていますが、ゴルファーそれぞれに『やさしい』は違うんです。例えば『高MOI』イコール『やさしい』といわれても、ヘッドを操作できないゴルファーにはフェースが開いたら開きっぱなし。ヘッドが回転すれば、ずっと回転してつかまり過ぎる。ゴルファーにとって難しいクラブになりますね」 高MOI=安定する、メーカーはお題目のように唱えるが、ゴルファーは千差万別だと強調する。 今回の患者Aさんにも当てはまる。Aさんはサッカー経験者で、上半身、特に腕の使い方が分からない。スライスに悩んでドローに憧れるが、下半身が強く軸もシッカリして、インサイドから煽って球をつかまえようとリストを使いすぎる。結果チーピンが発生する。 高MOIのヘッドだと、ヘッドは回転しすぎてチーピンが発生。フェースが開いたままだと右プッシュとなる。そこで提案したドライバーヘッドが、ディープフェースで投影面積の小さいwaowwの『BANG』。シャフトは藤倉コンポジットの限定品『ベンタス ホワイト』のフレックスR2。 ヘッドが勝手に動いてシャフトでタイミングをとる もともとAさんは、流行りの高MOIヘッドと60g台のXシャフトを使用していた。 「球が曲がるゴルファーに多い思考として、シャフトが硬くなれば曲がらないと思っている。だけどシャフトのしなりを作れなければ、リストや腕を使いすぎてつかまり過ぎたり、フェースが開けば右プッシュも出る。Aさんの症状です」 そこで、同じ高MOIでも投影面積が小さく低スピンの『BANG』、そして40g台の『ベンタス ホワイト』(R2)を提案した。ヘッドの選択理由は、 「ディープで小ぶりに見えて、つかまるヘッドに見えるからです。Aさんは、無理に操作しなくても勝手にヘッドが動いてくれるように見える。それと低スピンという特徴も決め手でした」 インサイドから煽っても、ヘッドは低スピン。加えてシャフトは40g台でR2の『ベンタス ホワイト』。 「Aさんのスイングは腕の関節を使わないロボットのようで、しなりを作れていなかった。さらに重いシャフトで球にヘッドをぶつけていました。そこでタメ、しなりを作り、先端が当たり負けしない軽くてタイミングが取れるシャフトにしたわけです」 シャフトが軟らかいため打ち急げず、ゆったりしたリズムを意識して、結果しなりが作れるようになった。ヘッドが勝手に動いてくれるように見えるから、リストを必要以上に使わない。 「そのようなスイングに改善され、飛距離も安定して真っすぐ300ヤード。平均スコアも80台になりました」 というから、Aさんの喜ぶ顔が目に浮かぶのである。 長い目で見たフィッティング ゴルファーの未来を繋ぐ 今回のフィッティングでは、 「ヘッドを変えるだけでも良かったと思います。なぜなら、手をこねなくてもヘッドが回転するように見えるから、無理に球をつかまえに行く動きをしなくなります。ただ、長い目で見ると、それではタメもしなりも作れないスイングが身についてしまう。だから、シャフトも軟らかくしました。一種の矯正ですね」 荒井店長は対処療法ではなく、根本的に改善するフィッティングを施した。 「この先もゴルフを楽しんでもらいたい。未来に繋がるようなフィッティングを心掛けました。加えて、なぜ球が曲がるのか? その仕組みも今回のフィッティングで分かってもらえた。それでスコアアップにつながったようです」 ゴルフを楽しく続けられる。その未来をクラブで繋ぐのも、工房ならではと言えそうだ。 メーカー担当者コメント WAOWW 我妻弘津江 社長 「市場では『BANG』よりも高MOIのヘッドが山ほどありますが、その意味でいうと『BANG』は、ある程度操作の出来るヘッドとして開発しました。この方の場合、『ヘッドを返したい』とのことですので、『BANG』がミートしたと思われます。でも、力がある方なので、返しすぎてしまうきらいがある。そこで40gR2というスペックがハマったのでは? シャフトは、重い=硬い、軽い=柔らかい、というのが定説です。また、操作性の部分では、硬いシャフトは敏感に反応する一方、柔らかいシャフトは鈍感です。つまり、遊びが大きいため、操作してもし過ぎない点が好結果に結び付いたのでしょう。近年は軽量で柔らかくても当たり負けしない『シャフトの進化』を痛切に感じます」 ゴルフプラス本店とは 〒370-0069 群馬県高崎市飯塚町485 TEL:027-395-0763 FAX:027-364-8569 https://www.golf-plus.net/ なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2025年09月07日
    2022年、元マミヤの吉川仁氏が立ち上げたのが、「ギアーズ」「トラックマン4」「GCクワッド」などの最新計測器を設置した『4plus Fitting Labo & Golf Salon』だ。レッスン、フィッティング、工房に加え、食事やお酒なども楽しめるサロンも完備。ゴルファーの憩いの場となっている。今回の悩めるゴルファーは47歳の女性Aさん。独特のスイングはダウンブロー度合いが強く、アイアンの球が上がらず飛距離をロスしている。Aさんに薦めたのがグラインドワークスのマッスルバック『MB101A』と藤倉コンポジットの『MCI』(50S)の組み合わせ。Aさんの飛距離は伸びた? ドローの球筋が必ずしもインサイドアウトではない 最新鋭の測定器が揃う4plusはレンジ、レッスン、フィッティング、クラフトに加えサロンでの飲食も楽しめる。それぞれの会員合計は200名ほどで、そのほとんどが熱心なゴルファー。だから、トレンドに影響を受けやすいゴルファーも多いと吉川氏は解説する。 「特にシャローなスイングですね。ゴルフを始めるとスライスに悩まされる時期があるから、ドローボールへの憧れが強い。それで『ドローを打つスイング』=『インサイドアウト』と思い込んでいるゴルファーが多いんです。それで流行りのシャローなスイングを取り入れてしまう。今どきの高慣性モーメントのドライバーとは相性が悪いですから、球が散らばると思いますね」 そんな流行に左右されるゴルファーが多い一方で、今回の悩める女性ゴルファーAさんは流行には見向きもせず、独特のダウンブローでゴルフを楽しんいる。 「ボールを投げるなど、下半身から動き出す動作のスポーツ経験がない女性ゴルファーの多くは、上半身だけでスイングするのでシャフトをしならせる時に必要なタメができない。それで直線的にインパクトを迎え、入射角が強く、バウンスの強いソールだとハネる。打点位置と重心が合わず、飛ばないんです」  まさにAさんがそれだ。低重心で幅広ソールのアイアンに、タメが作りにくいスチールシャフトのセッティング。7番アイアンでキャリーが100ヤード未満と悩んでいた。 高重心、短重心距離で打点位置と重心を合わせてつかまえる Aさんに推奨したヘッドはグラインドワークスの『MB101A』。以前使っていたヘッドより重心は5㍉ほど高い。 「ダウンブローで入射角が3〜6度あって、ヘッドの重心より上に当たっていたインパクトを、比較的重心の高いマッスルバックのヘッドで打点と重心を合わせました」  さらに『MB101A』は重心距離が短く、ボールをつかまえてくれる。それによりミート率も向上したという。加えてソール幅が狭いため、ハネ返りが軽減されてヌケも改善された。シャフトは藤倉コンポジットの『MCI』(50S)をセッティング。その理由を吉川氏は、 「以前使用していたスチールシャフトは、直線的なインパクトを迎えるスイングだとタメを作れなかったと思います。そこでカーボンのしなりでタメを作り、さらに先端が当たり負けしない厚いインパクトが可能になりました」  結果、入射角も2〜5度程度に抑えられ、つかまったインパクトでキャリーも115ヤード程度まで伸びたという。長さは7番で以前の37.75㌅から37㌅と0.7575㌅短くなった。短くなればアップライトにクラブを振りがちになるが、その点にも『MCI』を勧めた理由があるという。 縦にクラブを振る女性は多い 軽く短い初心者セットの弊害 ※実際採用されたのはフレックス「5S」 ここでひとつ疑問が浮かぶ。Aさんのスイングはアップライトでダウンブローが強く、重心と打点が合わないことで飛距離をロスしている。なのに、アップライトなスイングになりがちな短いクラブを推奨した。その理由について、 「『MCI』はタメを作りながらシャフトのしなり戻りが強いんです。結果として、横方向の挙動が強くてボールを拾ってくれました。今回のケースに限ってはヘッド特性との相乗効果で、短いクラブでもインパクトでのダウンブロー度合いが軽減されたと思います」 この現象は女性用の初心者セットでよく見られるという。 「軽くて短いクラブを上半身だけでスイングする女性は多く、ダウンブローのインパクトになって飛ばない女性は多い」 Aさんのケースで、吉川氏は新たな発見があったという。 「Aさんの場合は『やってみよう!』ということで、このセッティングを試して効果があったんです。身体の動きもインパクトの現象も複雑なので、試してみることが重要だと再認識しました」 常識にとらわれず、試してみる。フィッターの探求心がゴルファーの悩みを解決したといえるだろう。 メーカー担当者コメント 藤倉コンポジット プロモーションチームリーダー 飯田浩二氏 「『MCI』(50S)」はヘッドスピード40m/sのゴルファーが対象ですから、Aさんに合っているシャフトだと思います。そして、シャフト重量の割には硬くないという特徴がタメを作る要素になったと推測できます。フィッターの経験が生きたセッティングだと思いますね」 4plus Fitting Labo & Golf Salonとは 〒162-0846 東京都新宿区市谷左内町5 Lowp B1 TEL 03-6842-9033 URL https://4plus-golf.com/ なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2024年11月30日
    神奈川県茅ケ崎市。海岸から徒歩5分の自宅で工房を構えるのが MORI GOLFの森裕起氏。 地クラブメーカーの立ち上げサポートに5年、地元の工房で15年。その後、当時枻出版が営んでいた「EVEN GOLF LAB」で3年、さらに地クラブメーカーに3年勤め、地元に戻って独立して3年が経つ。来年キャリア30年を迎えるベテランだ。自宅に工房を開いてからは、地元茅ヶ崎の常連客やSNSを通じて相談に来るゴルファーに対応している。今回のケースは63歳の女性競技ゴルファーAさん。20年ほど前に父親からもらった重いクラブでゴルフを始めたドローヒッターだが、しばしば出てる振り遅れによる右へのプッシュアウトが悩みのタネ。それをどう解決したのか? 高MOIと軟らかく長いクラブ 一部にしか合わない市販品 来年キャリア30年を迎えるMORI GOLFの森裕起氏。最近の市販クラブには、一部のゴルファーにしかマッチしないクラブが多いと指摘する。 「年々、市販品のクラブはシャフトが軟らかくクラブ全体が長くなっています。一方で高い慣性モーメント(MOI)のヘッドとの組み合わせが多いですよね。ゴルフはテークバックからトップ、そしてインパクトまで身体の右半分での動作が重要ですが、それらの組み合わせのクラブは物理的に振りにくい。長くて軟らかいシャフトのクラブで高MOIのヘッドは、振り遅れる可能性が高いからです。『やさしい』クラブと謳いますが、難しくなっていると思いますよ」 原因は異なるが、振り遅れで頻繁に顔を出す右プッシュに悩むのがAさんだ。父親から譲り受けた重いクラブでゴルフを始めたドローヒッター。悩みを解決するために提案したのがクオイドのヘッド『キングペガサスQS-01』(シャローフェース)とグラファイトデザイン『ツアーAD IZ』(6S)。アッパー気味にインパクトを迎えるドローヒッターには向かないヘッドとシャフトの組み合わせ。なぜ、それがハマったのか? 振り遅れに逆効果のシャフトと浅重心で球が上がらないヘッド 今回Aさんに薦めた『QS-01』と『ツアーAD IZ』の組み合わせは少々複雑と言える。 「Aさんは古くて重いクラブでゴルフを覚えたので、男性向けの重いヘッド、シャフトでなければ気持ちよくスイングできません。それに加えて、ドローヒッターで悩みが振り遅れの右プッシュ。通常ならつかまるヘッドで、先端が走るシャフトを薦めがちですが、Aさんの場合は合わない。なぜなら、タメを使ってアッパー気味にインパクトを迎えて球をつかまえてから、高い弾道でドローを打つスイングだからです」  つまり、スイング自体でドローを打つから、ヘッドやシャフトに余計なことをさせたくない。付け加えれば、さらにタメができやすいシャフトを薦めるということになる。 「そこで薦めたのが『QS-01』(10.5度、シャローフェース)と『ツアーAD IZ』(6S)です。ヘッドは浅重心で球が上がらず、シャフトも先調子ではありません。普通なら薦めるセッティングではありませんが、Aさんの場合はハマりましたね」  改善された理由は2つあるという。 「ひとつは元調子のシャフトによって、よりタメができて、アッパーにインパクトを安定して迎えることができるようになったことです。もうひとつはヘッドの特性でしょう」 『QS-01』は浅重心のヘッドだが、形状はシャローフェースのシャローバック。この形状が重心位置とは別の効果を発揮して、インパクト時にロフトを寝かせてくれるのだという。 「もちろん、Aさんのスイングが前提ですが、リアルロフト10度でも打ち出し角は16度。球が上がらないヘッドで球を上げている。普通なら打てないです」  そのヘッドとシャフトのおかげで、Aさんの右プッシュも顔をひそめ、フェアウェイキープ率が上がったという。 女性には難しい長いクラブ 横ぶりでは球は安定しない もう一つ、今回の鍵となるのがクラブ長だ。完成したドライバーのスペックは、総重量307g、44 ㌅、バランスC8。市販品と比べ、スペックの割にはクラブ長が少しだけ短い。なぜ、そのような短いスペックにしたのか? 「一般的に女性はクラブをアップライトに振った方が良いと思います。身長が低いというのもありますが、クラブをフラットに振るとしなり戻りの方向とは別に、トゥダウンの動きがクラブ全体の挙動を邪魔するんです。それがアップライトなスイングなら、シャフトがしなり戻る動きの中で、トゥダウンの挙動が邪魔する割合が少ない。なので、アップライトに振りやすく短いクラブが良いんです」 特にAさんは、インサイドアッパーのドローヒッター。クラブが長いと邪魔をして、インパクトが安定しない。とはいえ、63 歳の女性競技ゴルファーに浅重心ヘッドと元調子シャフト、総重量307gのクラブは薦めない。 「この方でなければ薦めないし、市販品は全部合わなかったですから」 それが出来るのが工房。長年のキャリアでレアケースを解決している。 メーカー担当者コメント グラファイトデザイン 企画2部 部長 本吉興毅氏 「お話を聞くと、通常ならマッチするシャフトではないですよね。ただ、最近試打会などで女性でも重く硬い男性用クラブが合う方が増えてきました。今回のケースはヘッドとシャフトの特性で『振り遅れ』が無くなったケースで、44㌅というクラブ長も絶妙だと思います」 MORI GOLFとは 〒253-0061 神奈川県茅ケ崎市南湖4-22-8 TEL 090-9959-5700 なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2024年11月20日
    東京都西東京市の新青梅街道沿いは、多くのゴルフ練習場やゴルフショップが軒を連ねる。田無ファミリーランドTIMEZIPS24もそのひとつ。その中で営業するのが、「ブルーゴールドゴルフスタジオ」だ。同店でCTO(チーフ・テクニカル・オフィサー)を務める武井幸喜氏は15年以上の経歴で、練習場に通うゴルファーの面倒を熱心に見る。今回の悩めるゴルファーは60歳代の女性ゴルファーAさん。ゴルフ歴は20年以上だが、ドライバーの飛球がスライスやフックと安定しない。シャフトのしなりを感じられず、長いクラブほど縦振りが強くダウンブローになる。そのAさんに薦めた組み合わせはテーラーメイド『Qi10』と三菱ケミカル『ディアマナPD』の5S。方向は安定したのか? シャフトの硬度とHSは必ずしも一致しない 武井氏は、長年ゴルファーを診ていて思うことがあるという。 「昔はHSが速かったり力のあるゴルファーは、硬くて重いシャフトを使うのが定説でした。でも、最近は必ずしも一致しないケースが多いと思う。そこにとらわれてしまうと、フィッティングは失敗しちゃうんです」 自戒の念を込めて、そう語る。ひと昔前と比べ、シャフトはキックポイントが細かく設計されており、シャフトの選択肢も増えているからだという。 「たとえば野球部出身者とか、見るからに体格の良いゴルファーには、店員の第一印象で硬いシャフトを薦めがち。一方で女性やシニアには、なんの疑いもなく軽量で軟らかいシャフトのクラブを薦めてしまう」 ゴルフ工房には多くのゴルファーが相談に来るが、今回の悩めるゴルファーAさんも、病巣はそこにあった。症状はドライバーの飛球がスライス、フックと安定しない。ドライバーのHSは32m/s前後。スコアは100前後で飛距離は160ヤード。使用しているのはレディスクラブだ。 「シャフトのしなりや軟らかを感じることができないと言います。縦振りの度合いも強くて、ダウンブローにインパクトを迎えるから打点が安定せず、飛球が定まらない様子でした」 通常なら、シャフトのしなり、軟らかさを感じるように、さらに軟らかいシャフトを薦めるが、 「もちろん、そのようにしましたが、Aさんは違和感を覚えていました」 辿り着いた仕様がテーラーメイド『Qi10』(10.5度)と三菱ケミカル『ディアマナPD』の5Sだった。 中調子で先端硬めとカッコ良いヘッド Aさんの違和感の正体は、 「シャフトがしなるとヘッドの重みを感じると言いますが、ヘッドが動いていることが心地よくなかったそうです」 それで一目見て「カッコ良い」と思った『Qi10』を試打。男性向けのスタンダードなモデルだったから、 「硬くて重くて、最初は打てないと思ったんですよ。ところが気持ちよさそうにスイングされていた。それで女性シニアでも硬いシャフトが合うゴルファーもいるんだということに気が付いたんです。先入観はダメですね」 さらにAさんは「軽いシャフト」でも軽さを感じない様子だったという。そこで探求心も働き、重いシャフトの試打も促した。 「薦めたのは『ディアマナPD』の5Sです。全体がしなるシャフトで、中調子で且つ先端が硬め。40g台のRからスタートしましたが、重く硬くなれば振りやすくなってくる。それで5Sに決めたんです」 Aさんはシャフトが硬くなると振りやすくなる。つまり、量販店に並んでいるレディスクラブでは対応できないと武井氏は感じたという。シャフトが重くなればなるほど、気持ちよくスイングしているAさんを見て、 「60g台のシャフトも1発の飛距離を求めるならアリですが、1ラウンドは体力が持たないのでやめました(笑)」 既成概念に捉われるとフィッティングは成功しない Aさんの新たなドライバーは、総重量 288g、長さ43.5㌅、バランスC4。これまでのドライバーが260gのC1だから、重量だけでも30g近く重く、さらにフレックス表示は一気にLからSになった。それによって、 「インパクトが安定して、サイドスピンが減りました。ロフトは10.5度ですから 打ち出し角は減りましたが、ボールは前へ行って、飛距離も180ヤードに伸び ました。何より『もっと早く来ればよかった』と言ってもらったことが嬉しかったですね」 武井氏は今回の件で、冒頭の固定概念 に捉われてはならないということを改め て自覚したという。 「すごく勉強になりましたし、やはり思い込みはダメですね。試打シャフトのラインアップも見直した方が良いと思いました」 今回のケースは、シニア、レディスゴルファーでも稀だという。だからと言って、必ずしも体格や年齢、HSでクラブが決まるわけでないという実例だ。それが出来るのがゴルフ工房の強みである。 メーカー担当者コメント 三菱ケミカル ツアー担当 三好正樹氏 「お話を聞いた限りでは、縦振りがポイントで、重さを使ってヘッドを落とせるのでHSが上がると思います。それに加えて、『ディアマナPD』は手元が軟らかく先端が硬いのでAさんのスイングに合ったと思います。王道の組合せとは言えないですが、重さやフレックスに先入観を持たずに試打をしてもらうと、今回のように最適なシャフトが見つかると思いますね」 ブルーゴールドゴルフスタジオとは 〒188-0014 東京都西東京市芝久保町5丁目8‐2 田無ファミリーランドTIMEZIPS24内 なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2024年11月10日
    東京都町田市の練習場・町田モダンゴルフ内で営業するのが、チューンアップスタジオ&amp;スクール。20年近く工房とスクールを営業しており、多くのゴルファーの拠りどころとなっている。今回の悩めるゴルファーは68歳のシニアゴルファーA氏。スイングアークが小さく、手打ちでタイミングがバラバラ。ドライバー飛距離も180ヤードで、左右に飛球がバラけるのが悩み。そこで提案したのが、飛距離性能に定評のあるアキラプロダクツのヘッド『プロトタイプ GL-02』と、知る人ぞ知るターフのシャフト『バディー OMOYAWA』だ。A氏の悩みは改善された? 人気外資系の高MOIヘッドで「球がつかまらない」が続出 練習場で工房とスクールを開設するチューンアップスタジオ&amp;スクールの中嶋毅氏。多くのゴルファーを診る中で、最近の傾向を次のように説明する。 「大手外資メーカーの人気クラブをプロが使うという理由だけで、購入するゴルファーが多いんです。ヘッドの慣性モーメント(MOI)が大きく、フェースアングルは開き気味。パワーのあるゴルファーなら使いこなせますが、HSの遅いゴルファーなどは球がつかまらない傾向が見られます」 高MOIの米国大手メーカーのドライバー購入者は多いが、それによってつかまらない弾道になってしまい、飛距離をロス、方向性も定まらない傾向があるのだという。 今回の患者A氏は、国内メーカーのドライバーを使っているが、最近流行りの高MOI系で、球がつかまりにくいヘッド。スイングアークが小さく、手打ちで、腕と身体の動きがアンバランスとなる結果、ミート率が落ちて飛球が左右にバラけ、180ヤード程度しか飛ばないのが悩み。 そのA氏にはミート率を向上させる、クラブ重量を上げて手打ちを抑制することを目的として、つかまりと飛距離に定評のあるアキラプロダクツの『プロトタイプ GL-02』と、ターフの『オモヤワ』シャフトの組み合わせを提案した。 68歳、HS37m/sのシニアに総重量316gのドライバー  この組み合わせがA氏に不釣り合いなのは総重量だ。 「A氏はHSが37m/sと遅く、パワーもありません。以前まで300gを切るドライバーを使っていたので、総重量だけを考えても、ふつうならこの組み合わせは推奨しません」 と前置きして、中嶋氏が続ける。 「ターフの『オモヤワ』は短尺でバランスを軽めに仕上げることで、シャフトの性能を一番引き出せる。今回のドライバーは、総重量が316gとA氏には不釣り合いに見えますが、バランスは『C7』に設定しました」  クラブ長は44.5㌅。スイングアークは小さいままだが、『オモヤワ』の重くて軟らかい特性を生かし、手だけでテークバックせず、身体全体でクラブを上げる動作に誘導。さらに、シャフトの軟らかい特性を生かして打ち急ぎを防ぎ、スイングリズムを安定させた。  それに加えて、ヘッド『GL‐02』の球がつかまりやすい性能を生かして、ミート率が向上。結果として、飛球のバラつきが抑えられ、飛距離も10~15ヤード伸びたという。 「極端に言えば、『オモヤワ』は超軟らかい練習用シャフトです。それでタイミングを矯正しますが、タイミングが合ってきても、球がつかまらないヘッドでは、ミート率の向上と飛距離アップにつながりません。なので、総重量が上がってもバランスを下げて振りやすくして、球がつかまる組み合わせなんです」  そして、この組み合わせがA氏にハマった理由はもう一つあるという。 先入観を取り除くために説明せずに打ってもらう クラブを推奨する際、中嶋氏が気をつけるのは、 「とにかく、先入観を持たずに一発目を打ってもらうことですね。今回のA氏にも、クラブ長や総重量を一切説明せずに打ってもらいました。振り心地が良いことがわかったので推奨したんです」 もちろん、クラブバランスについても説明せずに試打してもらったという。 「クラブのスペックを最初に説明すると、その数値に拒否反応を示すゴルファーは 多いんです。例えばバランスは『D2がベスト』と思っているゴルファーは多い。 強い先入観は邪魔になります」 それに加え、 「今回のようなセッティングは、万人向けのクラブをつくる大手メーカーには難しいと思います。地クラブだからこそできることはある」 ゴルフが上手なインフルエンサーが挙って持ち上げる高MOIのクラブだが、人間は千差万別だけに、合う、合わないは当然ある。そのことを改めて確認した今回のマイカスタムだった。 メーカー担当者コメント ターフ 専務取締役 鵜野善光氏 「『オモヤワ』は女性ゴルファーにも好評ですので、A氏のセッティングも可能性はありますね。できれば身長も参考にクラブ長を検討してもらうと、より良いセッティングになると思います」 チューンアップスタジオ&amp;スクールとは 〒194-0004 東京都町田市鶴間447 町田モダンゴルフ内 TEL:042-795-0496 HP:http://ameblo.jp/jeronimo2010 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2024年10月30日
    東京都葛飾区青戸。レッスンとフィッティング、工房の三位一体で営業するのがフィッティングスタジオゼロだ。14年前の開業当時からフィッター兼クラフトマンとして活躍するのが金子正哉氏。その金子氏が歴30年で非常に稀なケースとして話すのが、しなりを嫌う68歳男性ゴルファーのA氏。A氏は独特な理論のコーチに師事し、シャフトをしならせないで、覆いかぶさるようにクラブを使う。今回チョイスしたヘッドはキャロウェイの『パラダイム◆◆◆』と藤倉コンポジットの『ベンタスブラック』(6X)。68歳、HS36m/sのゴルファーに合うとは思えないのだが。 ユーチューバーの意図が伝わらない動画が氾濫 『フィッティングスタジオゼロ』の名の通り、多くのゴルファーのクラブをフィッティングするのがチーフアドバイザーの金子正哉氏だ。最近は珍客も多いという。 「ユーチューブで『シャローイング』が流行った際には、シャローすぎて下からクラブをあおり、天井に向かってクラブを振っているように見えるゴルファーもいるんです。ユーチューブの見過ぎでしょう。『シャローイング』の理論は一理あると思うのですが、極端になるとメリットよりデメリットが大きくなってしまいます。ユーチューバーの伝えたいことが、動画ではうまく伝わっていないのでしょうね」  金子氏も研究のためレッスン動画を見るが、その中には独自の理論を提唱するインストラクターもいる。動画だけでは理解が難しく、実際に話をして初めて理解できることも多いという。  今回の患者A氏は、クラブのしなりを使わないという独特の理論を展開するインストラクターに師事しており、金子氏もインストラクターに会って初めて理論を理解したという。しなりを使わない独特の理論を実践するA氏の悩みは飛距離。しならせないクラブのセッティングに必要なこととは? クラブ重量を上手に使ってHSではなく初速を上げる 金子氏が提案したのが、A氏が過去に使っていたキャロウェイの『パラダイム◆◆◆』と藤倉コンポジットの『ベンタスブラック』の6X。上級者向けのヘッドと、HS36m/sのゴルファーがクラブをしならせられるとは思えない振動数のシャフトだ。 「A氏のスイングは、切り返しで左サイドに荷重してタメを作るスイングではありません。トップからボールに向かってたたみかけるように圧をかけてクラブを振るので、クラブをしならせるスペースはありません。ただ、トップから最短距離でボールにヘッドが向かうので、HSは上がりませんが、ミート率が向上する可能性があった。さらに、ヘッド重量が増加すれば初速が上がる可能性はありましたね」  それで、A氏が過去使っていたヘッド重量が重めの『パラダイム◆◆◆』を採用。ただ、以前のクラブでは打ち出し角が低かったこともあり、ロフト角10.5度に調整。それによって、スピン量を増やすことなく、打ち出し角も増加して、飛距離も220ヤードから10ヤード伸びたという。  しなりを嫌うゴルファーだが、シャフト『ベンタスブラック』(6X)の元調子の性能もタメを作らないA氏のスイングには効果があったという。さらに、クラブ長も44.5㌅に短く設定したことも奏功したという。 しならせないならハンマーで良い できたクラブは総重量321g 、クラ ブ長は 44.5㌅、クラブバランスはC8となった。 「A氏のスイングは独特で、通常なら68歳の男性ゴルファー、それもHS36 m/s のゴルファーに、今回のセッティングは薦めません。ただ、しなりを極端に嫌うゴルファーですから、クラブはハンマーで良いと思います。つまり、総重量が重ければ、クラブバランスは関係ない。さらに短くても良いと思いますね」 通常なら、上級者が好むヘッドで、パ ワーヒッター向けのシャフトを同年代のゴルファーに提案することはない。ただ、金子氏はA氏が支持するインストラクタ ーのスイング理論を理解する機会があった。それが今回のセッティングに対して金子氏が納得した上で、ゴルファーに提案したということになる。 「非常に稀なケースだと思います。200人に1人いるかどうかですね。それでも 飛距離が伸びたので良かった」 金子氏のフィッティング理論は「しなりを使うこと」だが、今回のフィッティングは真逆。成功した要因の一つは、フ ィッターの研究にあったといえるだろう。 メーカー担当者コメント キャロウェイゴルフ PR担当 原哲史氏 「どちらかといえば、『パラダイム◆◆◆』はHSが速めのゴルファーに合うというドライバーのポジションですが、試打会等でもHSが遅い方でもマッチするゴルファーは多いんです。ただ、今回のゴルファーのHSなどを聞くと、一般的にはなかなかいないケースだといえますね」 フィッティングスタジオゼロとは 〒125-0062 東京都葛飾区青戸8-5-19 TEL:03-6662-9180 FAX:03-6662-9181 HP:Https://www.golf-zero.co.jp この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2024年10月20日
    鉄の塊からウエッジを削り出すのが、レッドホイルのクラフトアドバイザー鈴木伸也氏。ひとりで工房を切り盛りするが、その技に引き寄せられて多くのこだわりゴルファーが集まってくる。その一人が53歳のA氏。14歳でゴルフを始め、30代のころはドライバーのシャフトが90g台と常識外のスペックを使っていた。ただ、スイングで身体を痛め、指をケガ。以降、HSと飛距離は落ちてクラブは軽くなっていく。そのA氏が50歳を迎えるのを機に鈴木氏が薦めたのが、ターフの高反発ヘッド『バディ・ハイパー』とスイス発の『TPT21Hi』シャフトだった。 「重い」が正義だと思っている 自分の能力や感覚と向き合わない  レッドホイルの常連客は競技ゴルファーが多い。だから、 「プロのクラブを参考にする人が多く、重いシャフトを使いがち。『重い』が正義だと思っています。それは、自分の能力と真正面から向き合っていない。数値ばかり追って、自分の感覚を重視しないゴルファーが多いですね」 例えば、軽いクラブは、スイング中に遠心力で引っ張られない傾向が強い。それによって、 「クラブとゴルファーの力関係は、ゴルファーが主導権を握ることになります。スイングの精度が求められ、感性も磨かなければならず、鍛錬も必要。でも、みんな逆なんです」 この考え方は、今回の登場人物A氏にもつながる。30代の頃はHS48m/sでシャフト重量は90g台、クラブバランスD9のドライバーを使っていた。しかし、指のケガでHSは現在42m/s。セッティングは軽量の高反発ヘッドと、軽量だがアスリートが使うシャフト。ゴルフはどうなったのか? パワースイングで指に負荷 一気に開放して飛ばしていた もともとA氏のスイングはパワースイング。超重量級のクラブを一気にテークバックし、同時に下半身は左に回転し始め、トップで一気に上げたクラブを左手の親指で受け止め、その反動で一気にダウンスイングに入っていた。その反動が長年続き、親指をケガ。慢性的な症状で重く硬いクラブは打てなくなってきた。 A氏が軽量クラブを求める中で、鈴木氏が薦めたのが、ウエイトなしで189.5gのターフの超高反発ヘッド『バディ・ハイパー』と40g台と軽量で低振動数ながらアスリート向けの『TPT21Hi』。 「このヘッドの恩恵を受けるのはHSが35m/s以下のゴルファーだと思います。一方、『TPT』は軟らかいスペックでもシャフトは締まったアスリート向け。この組み合わせは軽量を求めないなら、普通はあり得ません」 ただ、A氏はベテランの元アスリートゴルファー。スイングが出来上がっているから、先の話の通り、軽いクラブで主導権がゴルファー側になって、クラブを操れる。そして、 「スイングの精度が求められるので、飛距離や方向性を考えれば、ケガもあるから、力いっぱい振れなくなる。そこが狙いなんです」 結果、A氏はスイング中の親指の痛みもなく、全盛期の飛距離とまではいかないが、平均スコアは70台に戻った。さらに、ゴルフが続けられる状態を維持しているという。 第二のゴルフ人生を作る ゴルファー寿命を延ばす A氏は次のように話していたという。 「ケガによって、そしてこのクラブとの出会いによって、飛距離への執着を捨てられました。誰もが300ヤード飛ばしたいと思う。ただ、できもしない事をやろうとしているのではないでしょうか。自分の能力を卑下するのではなく、認めることで私は第二のゴルフ人生を作ることができました」 完成したクラブは振動数214cpm。元スーパーへビー級のクラブを使っていた男が、いまでは総重量266.4gの超軽量ドライバーを使っている。鈴木氏がA氏について、付け加える。 「もともと超アスリートですから、スイングはできている。ただ、クラブが軽くなると主導権がゴルファーになり、速く振ろうとか、何でもできてしまう。だからこそ、余計に力が入らないようにスイングの精度を上げていかなければならない。クラブとしては難しくなります」 でも、それ以上のメリットがある。 「それはスイングの精度を突き詰めてスコアが縮まったことに加え、これから10も20年もゴルフが続けられるということです」 通常では考えられないヘッドとシャフトの組み合わせが、ゴルファーのプレー寿命を延ばしている。 メーカー担当者コメント TPT輸入代理店 ベガサスジャパン 堀口宜篤氏 「もともとアスリート向けのシャフトとして日本に上陸したので、そのイメージが強いですよね。そのイメージではセッティングしない組み合わせですが、いまでは軽く柔らかいシャフトもラインアップしています。とはいえ、高反発ヘッドとの組み合わせには驚きます。今後は軽く、柔らかいシャフトにも注目してもらいたいです」 レッドホイルとは レッドホイルゴルフ 〒133-0065 東京都江戸川区南篠崎1-14-12 TEL:03-5636-8455 FAX:03-5636-8456 この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    (公開)2024年06月10日
    客前で作業を見せる調角で万力を使わなくなった 神奈川県横浜市都筑区。横浜市営地下鉄グリーンライン川和町駅から徒歩10分。閑静な住宅街で営業しているのが、キングゴルフ。一人で切り盛りするのが石森敏晃社長だ。本間ゴルフに入社し営業マンとして9年、ゴルフショップで9年、ゴルフキングとして独立してから13年、業界歴30年以上のベテランだ。 「本間ゴルフに入社した頃は、直営店を増やしていた頃です。営業職で入社しましたが、直営店を転々として、その頃にパーシモンの修理などを憶えました。その後、先輩が独立したゴルフショップに呼ばれ退職したんですが・・・」 ゴルフショップに9年勤めたものの、経営不振で倒産。13年前にゴルフキングとして独立した。 「本間時代は直営店で4店ほど勤務しましたから修理もそこで学びました。それが今でも生きていますが、いまでは使わない技術もありますね」 当時は万力に直接ヘッドを挟んでロフト角、ライ角などの調角を行っていたという。 「当時学んだ職人さん達は同じだと思いますが、専用の工具を使わない方が作業が速かった。もちろん、目盛りはないですが、感覚で数値は合っていましたからね」 しかし、近年は作業風景を顧客に見せることも工房の信頼に繋がる。だから、 「お客さんが見ていますからね。万力に直接ヘッドを挟むことはなくなりました。作業時間は少しだけ遅いですが、専用の工具を使っていますよ」 そんなベテラン工房マンのフィッティングとは? 「軟らかいシャフトは曲がる」は誤解、オーバースペックを見直す 店内には多くの試打クラブが用意してあり、ドライバーだけでも100本以上。 「常連さんは100人ほどで、そのほとんどが試打クラブを借りていきます。長く付き合っていますので、ゴルファー自身がスペックを決めることが多い」 とはいえ、いまだにオーバースペックのゴルファーは多いという。 「オーバースペックのゴルファーは多いですね。特にシャフトのフレックスを『S』にこだわる。軟らかいスペックは曲がると思っているゴルファーも多い。それを見直すことは重要です」 ヘッドの大型化、シャフトの進化によって、全体的には高弾性繊維を採用し、先端強度も高まっているシャフト。それによって、昔のフレックスSと今のSは違うという。 「人間の体は、重すぎたり硬すぎたりする道具を使うと無理に振ろうとします。力みや撓り不足が曲がりに繋がるのです」 実際には「スピーダーエボリューションVI」の60g台のSからまず重量を落として50g台のS、そして50g台のRというように、重量、フレックスをダウンスペックすることで、曲がらずに飛ばすことを推奨しているという。 「昔よく言っていた『お客さんは力があるから70g台のSフレックスですね』という時代じゃない。僕ら工房マンの反省点でもありますね」 用具の進化を見てきたベテラン工房マンだから、説得力がある。 そんな石森氏はパーツメーカーにもお願いしたことがあるという。 ヘッドを重く、グリップも重く クラフトマンゆえの悩み 「パーツブランドのヘッドはもう少し重く設計してもらいたい」 クラフトの作業で、悩むことがあるという。 「大手クラブメーカーの軽量クラブは、ヘッドも軽量化するかわりにグリップも軽量グリップを装着してバランスを適正化しています。最近の地クラブヘッドの場合は、ヘッド重量が軽量だから通常のグリップを装着して短めに組むとバランスが出にくいのです」 石森氏はグリップに関して、重いグリップの方が手元は緩まないという。さらに、グリップが緩むことで方向性を逸しているゴルファーは意外に多いと指摘する。 「だから、198gのヘッドだったら、あと2g位は重くても良い」 それによって重いグリップを装着できてグリップが緩まず、少しだけ短く組んでもバランスも確保でき、飛距離と方向性のバランスの取れたクラブ作りができるというのだ。 「長くても45.5インチまでです。それ以上長いと振りづらくなる。短い方が振りやすくなりますし、方向性も安定しますから」 ただ、ゴルファーはわがままでもあるという。 「曲がらないクラブが欲しいといっていても、結局は飛距離も欲しいというのがゴルファーの本音。ワガママな部分も加味してフィッティングしています」 クラブ長でも、短尺だと方向性が安定するが飛距離を失う。ゴルファーが求める按配を会話の中から得ることができるのも、歴30年以上のベテランクラフトマンの匠の技かもしれない。 この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら
    (公開)2019年11月05日

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