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    ハッシュタグ「時田由美子のおんなとゴルフ」記事一覧

    月刊ゴルフ用品界2017年2月号 『おんなとゴルフ』に掲載。 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <hr /> ゴルフ場・練習場・メーカー・小売店など、ゴルフ業界の多くの企業は女性の集客に課題を抱えている。 ゴルファーも業界の担い手も男性が多い中で、女性集客の担当に女性スタッフを指名する企業がある。女性スタッフの活用はどんどん進めてほしいところだが、より有効に成果を出すためのコツはなんだろうか? <h2>女性集客強化で気をつけること</h2> 女性集客を劇的に強化したいと思ったら、まず、経営者やマネジメント層がその方針を全員に公にすること、そして「専任者」をつくることをおすすめしたい。 その理由は、男性売上をつくるよりも女性売上をつくる方が難易度が高く、費用対効果が悪いからである。会社の主力が男性商品ならば、兼務させると絶対に女性商品が後回しになる。 なぜなら、規模が小さく難易度が高いものに挑戦することは、すなわち、労多くして功少なし。 売上を作ることが難しいだけでなく、規模が小さいことで原価率があがったり、顧客の獲得コストがかかったりで、会社の利益を食ってしまう。これを担当者の責任にされてはたまらない。 だから、後回しにされず成し遂げるためには、担当者の兼務は避け、異なるKPIを立て、男性とは別の予算をつけることが望ましい。なんなら、男性の話が聞こえないように、担当者が座る席の場所を分けてもいいぐらいだ。 <h2>担当を女性スタッフにする際に気をつけること</h2> 女性担当のほうがいい理由をあげてみよう。 もっとも良い点は、女性ニーズの仮説がスムーズにあげられること。簡単に言えば、女心がわかることだ。日ごろから自身が感じていたり、友達の意見を耳にしていたりすると、そこから、この商品はここが不便だからもっと便利になるのではないか?こんな売り方が良いのではないか?と、連想をすることができる。 自分になんらかの想いがあると、社内に対しての説得力も増すし、女性客と対話するときにも互いに共感しあうことができ、安心感を与えることもできる。 逆に、担当を女性スタッフにする際に気をつけるべきこともある。 まず、当事者でありすぎることで、自分の主観が強すぎて間違った判断をするリスクが高まる。たとえば、商品ターゲット層が富裕層なのに主観で値付けが高すぎると断言したり、ターゲットが初心者なのに自分が初心者の気持ちがすでに理解できない腕前になっていて、課題を軽視してしまうことがある。 後者は実際にありがちで、たとえば「赤ティの距離を当然だと思っている」「自身がゴルフ友達に困っていない」「社割でクラブを買っている」など、業界の中にいることで今のゴルフに疑問や不満を持たなくなっている時におきやすい。 この問題への対応は、ユーザインタビューやリサーチ調査で客観性を担保することで補うことができる。 次に、男性マネジメントの関り方の問題がある。女性のことはよく分からないし、まぁ任せようと、難易度が高い課題なのに、丸投げして任せてしまうケースだ。 担当女性は当然壁にぶつかり、どうしてよいのか分からなくなる。ここで放置するとプロジェクトが空中分解してしまう。この問題への対応は、できるだけ担当女性には熱心かつできる人を選ぶことだ。 はっきり言うと、難しい課題こそ、能力やハートがない人を担当にすべきではない。女性集客を考えるときに、同じ能力ならば担当は女性がいいが、できない女性よりはできる男性が成果をあげる可能性が高い。 もし、能力は未熟だが熱意が高い女性ならば、マネジメントがサポートしながら、小さな一歩を賞賛できるようなKPIを設定し、熱意を成長に変えてあげて欲しい。そうすれば、プロジェクトを継続していけるだろう。 <h2>自分がその担当になりたいときに気をつけるべきこと</h2> 女性領域にせよ新規事業にせよ、自分がここをどうにかしたいと思うものを見つけたとき、それを推し進めるのに熱意は欠かせない。人は強くやりたいことがあるとき、内から湧き上がる気持ちで周囲の説得ができるし、事前の準備・根回しもできる生き物だ。 思い返してみよう、自分たちの子供がゲームを買って欲しいとねだる姿を。彼らは、いきなりはおねだりしない。欲しいことをほのめかし、親にお願いする前にいい子にする。駄目といわれそうなら、みんな持ってる! 持っていないと自分にこんなデメリットがある! とそれを打ち消すデータを持ち出す。 キーマンが母親なら父親を味方につけ、話すタイミングを見極める。断られても何度も食らいつき、ときに人目をはばからず泣く。成績を上げるからと交渉し、祖母に泣きつく・・・。この「熱意」が親を動かす(折れる)。 もちろん、会社と親子は違うが、実際に熱意でチャンスを獲得しているビジネスマンやゴーサインを得て成功した新規事業は、世の中にあふれてる。 いきなり上司に提案して駄目な可能性が高くても、あらかじめユーザーの声や他社成功事例をリサーチしたり、「こんなのあったらいいですよね!」と周囲に小出しに拡散したり、「女性のお客様からこんな声が寄せられていて、一緒に考えて欲しい」と具体的な巻き込みをしたり――。 女性集客は難しく、費用対効果が悪いものだからこそ、ウィルやウォントが大切だ。できれば、経営層がそう思ってくれるのが一番である。 <img class="aligncenter size-full wp-image-43608" src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/04/1702golf-pdf.png" alt="ゴルフをするのに好きな月" width="393" height="205" />       全国20代~60代の女性ゴルファー約1000人に「一年の中で、ゴルフをするのに一番好きな月」を調査した結果がグラフである。予想を裏切るような結果ではないが、このグラフから女性の動向を探ってみよう。 明らかな動向は、女性は真夏よりも真冬のほうが苦手ということである。グラフを見ると、真夏(7・8月)を一年で一番好きと言った女性が64人も居るのに対して、真冬(1・2月)を選んだ女性はたったの1名。よほど寒いのがイヤらしく、春の足音にレディースウェアが売れ始める3月ですら7人しかいなかった。 逆に8月を一番好きという女性がいることにびっくりする次第だが、結果をさらに詳細に分析すると、8月と答えた16名は、すべて競技経験者や上達意欲が高い方であった。仮説となるが、上達意欲が高い方はラウンド数が多い傾向にあるので、夏にプレーフィーが安くなることが関係しているかもしれない。なお、スコアは気にせず楽しむ派の女性たちは、より快適なシーズンを求める傾向が強くなる。 初心者をゴルフに導くなら秋よりは春がねらい目という仮説も立ちそうだ。仮に、秋にラウンドデビューした場合、その後真冬に2~3ヶ月もお休みしたらゴルフ熱も腕前も冷え切ってしまう。 何事においても初心者は、最初の成功体験の連続性が「ハマる」ための要素となるので、変なタイミングで冬眠させることは避けたいところ。ならば、秋より春が最適だ。2月にスクールに入り、GWにデビュー。そこから11月まで2ヶ月に1回のペースで4ラウンド。 「来年中に100を切りたい!」と目標を持たすことができたら最高だ。ちなみに、冬にはじめるとゴルフウェア代が高くつきゴルフはお金がかかるという印象が強まるが、暖かい時期なら、ポロシャツとスカートで十分なので、お財布にもやさしい。 みなさんの会社の商品やサービスの売れ行きは、このグラフとどのように相関しているだろうか?そんな目線で見てみると、今年の販促時期の見直し・確認などができるかもしれない。
    (公開)2018年04月23日
    月刊ゴルフ用品界2016年11月号 『おんなごゴルフ』に掲載。 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 前号で「はたらく女性、特に未婚の女性」は成長市場と言えるため、積極的に狙うべきだということを書いた。では、未婚の女性をどうやってゴルフ市場に巻き込んで行けばよいのか? このコラムは男性読者が多いことを前提に、女性ゴルファーの生体・背景の理解向上を目的の1つにおいている。スポーツとしてのゴルフからかけ離れてしまうかもしれないが、女性ゴルファーと男性の関係について紐解いていこう。 <h2>「恋愛」ほど強力なツールはない</h2> 年齢を問わず、未婚の女性にとって「恋愛」ほど強力に女性の行動力を増加させるものはない。これは、彼あり・彼なしを問わず、恋愛スイッチが入っている女性全てが対象となる。 一般的にゴルフは、はじめる・続けるハードルは高いスポーツと言われている。例えば、友達が欲しい・余暇を充実させたいなど、よくある動機でゴルフをはじめたいと思っても、「お金がかかる・道具がない」「コースデビュー時の想像以上に辛い体験」など様々なハードルを前に、多くの人が挫折を繰り返してきた。 軽い気持ちでは、乗り越えられないのだ。対して「恋愛」のパワーはすごい。おそらく男性には想像ができないほどに、「恋愛モード」に入った女性の恋愛脳は、彼女たちを変え、行動力を与えるのだ。 最も行動力を持つのが、心に思う男性がいて片思いをしている女性や、彼と付き合いはじめの女性だ。彼女たちは、大好きな彼と共通の話題をもったり、少しでもいっしょに楽しい時間を過ごしたりする努力を惜しまない。 「その日」のために永久脱毛に通いだしたり、料理をしない女性が料理をはじめたりする。そして、彼と仲良くなるきっかけや一緒の時間を過ごすために、彼と同じ趣味をはじめてみようと思い、行動するのだ。 私の友人にも、大好きな人と共通の話題を持つために、サッカーのルールを一生懸命に覚えようとしたり、テレビをみるようになった女子や、トレーニングマニアの彼に感化されて自身も「筋トレ」をはじめた友人がいる。 同じ女性同士で見ていて笑えるくらいに、恋する女性は健気に自分を変える。恋愛のためならお金がかかることも、大変なことも、辛い体験も乗り越えられるのが女性だ。 次に行動力を発揮するのが、相手はいないけれど恋愛スイッチが入った女性たちだ。具体的にいうと、出会いが欲しい・恋愛したい・結婚相手と出会いたいと思っている女性たち。そのためにゴルフをはじめるまでいかないが、既にゴルフをはじめている女性たちのラウンド数を増やしたり、休眠ゴルファーを復活させるくらいは可能である。 私たちの身近にも、独身男性がいるか否かが、誘われゴルフの参加可否の検討ポイントになっていることが多分にある。そして、その日のゴルフのためにウエアを新調するなど、恋に向かう女性のパワーは、男性の想像を上回る投資活動も生み出す。 <h2>独身男性ゴルファーが女性ゴルファーを増やす</h2> このことから、独身男性(バツの有無を問わず)にゴルフをしてもらうことは、独身女性ゴルファーを増やすためにとても有効な手段になりうる。 なぜなら、ゴルフ未経験の女性がゴルフをはじめるには、様々なハードル・知識・手ほどきが必要だからだ。道具をどう揃えていいのかわからない、練習場にいってもお作法がわからない。練習でゴロしか打てずにメゲそうになったとき、頑張る気力が求められる。ここに男性がいれば、男性は教え好きの方が多いので、車デートの流れで何度も練習に行くことができ、手取り足取り教えてもらえたりもする。 そして、ラウンドデビューの試練だ。女性はラウンドデビューのためにかわいいウエアを準備してのぞむ。 しかし、スタートしてみると、走れ!急げ!チッ(舌打ち)でイライラの伝播など、ただでさえ上手く当たらず焦っているのに、ビギナーに優しくない人が混ざっていると、「ゴルフ=辛い思い出」と、トラウマを与える。これがお互いに気持ちがある関係や下ゴコロのある関係だと、できるだけ相手に楽しんでもらえ嫌われないよう面倒見よく、心もプレーもサポートしてくれる。 2サムでまわれる関係ならなおよい。デビューに限らず、ビギナーで120以上打つような女性たちにとって、2サムは、他の同伴者に迷惑をかける気持ちや、前後を気にする気持ちが和らぐので試練が減り、快適にラウンド慣れの階段を上がることができる。 同じ男女の仲でも、これがご夫婦になると、お財布が同じであること・試練を乗り超えるためのアツイ愛情、夫のサポートの仕方(甘えさせ度や言動)に差がでてくる。よって、「新規ゴルファーを増やす」という視点においては、旦那さまより「彼氏」の方が、ゴルフ業界にとっての価値は高いと言える。 ゴルフ業界ができることはあるだろうか? 例えば、休日でも2サムでゴルフができる環境を充実させることは喜ばれそうだ。また、平均所得が20年前とくらべて相当低下している20代の男性が、女性にクラブをプレゼントできるような仕掛けは難しいだろうか。 実は、様々な機関の調査から、女性へのプレゼントの予算は「20代男性」が最も高い予算を上げる傾向があることがわかっている。 未婚女性にとって、恋愛や出会いは、ゴルフをはじめるハードルを超える、大きな原動力となる。男性にとっても同じことが言えるかもしれない。
    (公開)2018年02月20日
    月刊ゴルフ用品界2017年1月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 女性や若い男女を取り込みたいという話は、昨今業界でよくあがる話だが、みなさんの会社では、具体的にどんな人物像をイメージしているだろうか? 例えば、未婚か既婚か、何歳で、どんな働き方で、どんな年収で、休日はいつで、どんな生活をしているのか。そして、大切なのは、その中のどんな人達にリーチしていくのかである。 <h2>年収とゴルフの関係</h2> リーチ対象として「年収」について考えてみたい。その理由は2つあり、1つは、ゴルフはお金がかかるイメージがハードルになっていること。そしてもう1つは、リーチできる人口を大幅に広げるためだ。 例えば、ゴルファーを100万人増やすためには、転換率を大甘に10%と見積もっても、少なくとも1000万人以上にリーチする必要がある。日本の労働人口が6500万人であることを考えると、高所得者層にしぼってリーチしても、母数がたりないのだ。 もちろん、会社の経費でプレーをしたりクラブやウェアを買ったりする方もいるが、そういう人は日本経済と相関して減っている。また、女性や若い男女の社会的立場を推測すると、自腹でゴルフに行っている方が主なはずだ。 <h2>年収1000万円以上のプチ富裕層を狙っても人口は増えない</h2> 高所得者の登竜門として、年収1000万円という目安がある。プチ富裕層などと呼ばれたりもして、ゴルフ業界としても狙いたいセグメントである。では、日本にその人達がどれくらい居て、今後どう推移しそうか、現状を見てみよう。なお、年収1000万円層の手取りは、税金などが引かれて740万円くらいで、賞与を年2ヶ月として14ヶ月で割ると、毎月の手取りは約53万円となる。 国税庁の「平成25年度民間給与実態統計調査」によると、年収が1000万円以上の層は3・9%であり、10年以上前は5%以上だったことから、年収1000万円はどんどん狭き門になっていることがわかる。人口でみても、250万人から178万人と、3分の1近く減少している。 この状況から、年収1000万円以上の層を狙ってリーチしても、ゴルフ人口100万人増には全く近づけないと言える。また、ゴルフ人口が700万~ 800万人であることを考えると、多くのゴルファーは年収1000万円以下とわかる。 <h2>男性のお財布はどんどん苦しくなっている</h2> 年収減は上の層だけに起きていることではない。現在、日本人男性の平均年収は515万円であるが、これは15年ほど前から比べると約60万円もダウンしている。 また、年収減だけでなく、手取りも減っている。東洋経済の調べで、年収800万円の男性(40才以上で、専業妻、15才以下の子が2人)の手取りは、2002年に662万円だったのが2015年には603万円と、同じ総支給額なのに13年間で59万円の手取り減、毎月に直すとマイナス5万円になっているのだ。 この背景には、所得税・住民税・社会保険料率のアップがある。賞与にも社会保険がかかるようになった点も大きい。 さらにお財布への打撃は、家計支出にも及ぶ。消費税増だけでなく、教育費もあがっているのだ。大学の学費は、バブル時代の1985年から2013年で、私立1・6倍・国立で2・2倍という具合に。 昔の豊かな時代より、年収が減り、手取り率が減り、避けられない支出が増えて、さらに、終身雇用も怪しくなって老後不安に備えて投資しなくちゃ‥‥。これでは、自分のお小遣いでゴルフができる既婚男性が減るのは当然と言える。 <h2>年収400万円台の男女が始められる・つづけられるゴルフに</h2> ゴルファーの年収は、弊社の女性ゴルファーアンケート、あるいは他社の調査から、日本の平均収入より高いことが明らかである。しかし、ゴルフの裾野を女性や若い男女に広げるためには、400万円台の層をターゲットに入れられるようにすべきだ。 仮に現在、年収600万円以上の層が主ターゲットだとすると、これを400万円台まで広げると、対象人数が広がり、あらたな1000万人がリーチ対象となるイメージだ。そして、既婚・子供あり・妻がパートタイマーの平均年収男性と、年収400万円台の未婚男女やDINKS夫婦(共働き子供なし)で、どちらが使えるお金が多いかも考えて欲しい。 業界が女性を取り込みたいというなら、よりいっそう400万円台の層を意識する必要がある。女性の平均年収は、フルタイムで298万円以下。20・30・40代と年代別にみても、男性のように上がることはなく、年収400万円以上の女性は男性の半分以下しか居ないのだ。 このように、大きく裾野を広げるためには、未婚男女・DINKS夫婦が、ゴルフができる世界をつくる必要があるわけだが、そういう彼女たちは、若いかもしれない、数年は下手かもしれない、マナーはこれから学ぶのかもしれない。都内在住ではなく、地方が中心になるかもしれない。 もっとリーズナブルにしようとか、業界が変わるべきだという議論ではなく、みなさんの企業で戦略的にペルソナを年収400万円台の人々において考えてみてはどうだろうか。 どんな商品・価格・流通チャネル・マーケティング戦略にすべきか? 今までの概念や常識を捨てられた時、そこに数十万人のブルーオーシャンが広がっている可能性がある。
    (公開)2018年01月23日
    月刊ゴルフ用品界2016年12月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 人口減が懸念されている日本。50年後には3分の2に、100年後には半減すると予測されている。特に、子どもを育てる若い夫婦より高齢者が多く、他エリアからの転入が少ない地域はその傾向が強くなり、残酷な表現だが、いやでも地方は消滅していくと予測されている。 この不可避な未来におけるゴルフ業界を想像してみると、地方の中堅ゴルフ場の多くに消滅の危機が訪れることは避けられそうにない。 <h2>結婚しない男女が増加中</h2> この背景にあるのは晩婚化・未婚化だが、これらは進むばかりだ。初婚年齢は約30才となり、20年前より3才以上上昇した。未婚率においては、1980年に30代後半で5・5%だったものが、2010年には23・1%まで上昇し、2015年の国勢調査ではさらに上昇すると見られている。 未婚のまま40才を迎えた男女で、その後に結婚できるのは1~3%の現状だから、9割以上の人はそのまま結婚をせず生きる予測となり、ざっくり言うと4人に1人は結婚をせずに生涯をおくる時代が到来している。 では、なぜ結婚をしない人たちが増えているのだろうか? <h2>「適当な相手にまだ巡り合わない」から</h2> 親世代のみなさんは、結婚しない我が子に対して「うちの子は関心がないようで・・・」などというが、実はあらゆる機関の調査で「いずれ結婚したい」と考えている人の割合は減っていないことがわかっている。だが、晩婚化や生涯未婚率は上昇するばかりだ(ちなみに女性より男性の方が悪化状況)。 結婚しないのにはワケがある。先述のいずれ結婚したい意思をもつ未婚男女に「独身でいる理由」を尋ねると、20代~40代のすべての年齢階層において最も多い理由は「適当な相手にまだ巡り合わない」というものだ。 これを聞き、勘の良い読者は、この理由に矛盾を感じるかもしれない。未婚の男女が増えている社会において出会いがないとはどういうことかと・・・・。しかし、本人たちは何の矛盾も感じていない。それどころか、なぜ自分が今そうなっているかを理解している人も少ないだろう。 なぜなら、これは本人の問題ではなく、社会が生み出したものだから。ここがとても大切な点だ。 会社の外に出て、自ら積極的に「狩り」をしないと結婚できない社会になっている 大きな背景は2つだ。第一に、男性側の変化がある。成長期の日本と比べて男性の年収は大幅に減少しており、将来の雇用不安は増えている。これらが結婚への不安点になり、大黒柱として誰かを養うよりも一人で生きる方が楽なのではないかという価値観を生みつつある。 女性も同じで、不安な社会であるからこそ、男性に生活力を求める傾向があり、両者がマッチしない。 第二に、結婚にいたる出会いルートの変化があげられる。まず、社内恋愛の減少だ。女性の産休・育休制度が整うなかで、結婚後も出産後も同じ会社で仕事をつづける女性が増えており、寿退社という言葉すら懐かしいレベルだ。 昔のようにステキな旦那様に出会うための就職という概念はなくなり、逆に、同じ会社で何人もと付き合うと後々面倒くさいことになるし、そもそも夫と同じ会社は嫌だという心理が働き、社内での恋活・婚活を自然に避けるようになっている。 これによって「社内結婚」というルートが活性化しなくなった。次に、昔は近所や親戚のおせっかいおばちゃんがお見合い話を持ってきたり、人を紹介したりする文化があったが、これがすっかりなくなったことだ。 実はこの紹介による結婚がなくなったことが、受身形が多い日本人男女において、致命的打撃になっている。 要するに、現代の男女は、会社の外に出て、自ら積極的に「狩り」をしないと結婚できない社会になっているのだ。そのことに気づかずに、親世代と同じような価値観で過ごしていると、本人も気づかないうちに年を重ねることになってしまう。 <h2>恋愛が怖くなる三十路半ば</h2> 女性は30代半ばを過ぎると女性ホルモンの減少がはじまり、個人差はあれど、男性に惚れる力「惚れ力」が弱まると言われている。 40近くになると、大好きな彼の子どもが持てないかもという気持ち・外見的魅力が減って萎縮する気持ちが芽生え、それらの気持ちが恋活・婚活を消極的にするケースが増える。40代後半になると親の介護問題が具体化し、それが心理的足かせになって、結婚に踏み切れなくなるというデータもある。 ようするに、この難しい年齢に到達する前に男女とも動くことが好ましいのだが、ぶっちゃけ、女性から見ると先述の「まだ結婚したくない男子」は超クセモノだ。女性にとって最大の価値は「時間」なのに、つきあっている彼女の心を掴んで離さなかったり、付き合うこと自体を避けたがるのだ。 <h2>私達ができる、小さくて大きな貢献</h2> 未来が不可避なら、どうすればよいのか? おせっかいな近所の紹介おばちゃんがいなくなった現在、セルフでの活動ができない人のために、周囲の人々がもっとおせっかいをすべきだ。 友人を紹介したり、配偶者の愚痴は封印して家庭の良さを自慢したり。特に、ゴルフ業界で働く人達は、ゴルフで培った優良人脈が豊富なはず。 未来の子どもたちのためと言うとゴールが遠いかもしれないが、男性ゴルファーにゴルフをしない女性をペアリングすると、高い確率で女性もゴルフをはじめるし、ゴルファー同士をくっつけるとゴルフデートが生み出され、業界にとっても即効性のある貢献ができる。人口減を不安視する私達ができる小さくて大きな貢献である。 女性たちはもっとゴルフをしたいと思っている。しかし、そのモチベーションは上下する。では、どんな時に女性はラウンドに行きたくなるか? 女性1000人に聞いた結果がグラフである。 1位が「天気が良い時」である。予定を入れていない休日に、空をみあげて、あーゴルフでも入れておけばよかった?などと思うのだ。ゴルフ業界にとって、なんと勿体無い機会損失だろう。ここで当日にさくっと予約してゴルフにいけるようなサービスが充実していると、彼氏やダンナさまとの2サムが活性化して嬉しいとの声もある。 2位の「練習で調子がよい時」4位の「ラウンドで調子がよい時」をみると、女性は、叱って伸ばすより褒めて伸ばす方があっていると考えられる。次のラウンドではよいスコアがでるかも! 当たる感覚がたのしい! と、ルンルン気分の時に、単純にラウンドに行きたくなるのだ。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2018/01/1612_tokita.png" alt="おんなとごるふグラフ" width="788" height="515" class="aligncenter size-full wp-image-37914" /> 世の中には、難しい物をこなすのがカッコイイという人もいるが、多くの女性はそうではなく、大切な余暇をよい気分で過ごしたいのだ。これは挫折をしやすい時期=ビギナーが階段をのぼるために特に重要なポイントである。 このように考えると、ビギナー~アベレージ女性のラウンドモチベーションをあげるためには、ゴルフを「簡単に・優しくすること」が効きそうとわかる。簡単なゴルフクラブ・易しいゴルフ場、そして優しいプレーヤーが、もっと増えるべきだ。 3位の「ウェアを買った時」は、きっと男性にはでてこないモチベーションアップ要因ではないだろうか。ウェアを買うとテンションがあがり、せっかく買ったウェアをもっと着たいと思う女性が多い。だから女性たちは、アパレルブランドに自分たちが新しく買いたくなるようなウェアを展開してほしいと思っているし、ウェアを買った自分たちお客様に、ラウンド機会を提供するようなイベントや企画をもっとしてほしいと思っている。
    (公開)2018年01月11日
    月刊ゴルフ用品界2016年11月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 前号で「はたらく女性、特に未婚の女性」は成長市場と言えるため、積極的に狙うべきだということを書いた。 では、未婚の女性をどうやってゴルフ市場に巻き込んで行けばよいのか? このコラムは男性読者が多いことを前提に、女性ゴルファーの生体・背景の理解向上を目的の1つにおいている。スポーツとしてのゴルフからかけ離れてしまうかもしれないが、女性ゴルファーと男性の関係について紐解いていこう。 「恋愛」ほど強力なツールはない 年齢を問わず、未婚の女性にとって「恋愛」ほど強力に女性の行動力を増加させるものはない。これは、彼あり・彼なしを問わず、恋愛スイッチが入っている女性全てが対象となる。 一般的にゴルフは、はじめる・続けるハードルは高いスポーツと言われている。例えば、友達が欲しい・余暇を充実させたいなど、よくある動機でゴルフをはじめたいと思っても、「お金がかかる・道具がない」「コースデビュー時の想像以上に辛い体験」など様々なハードルを前に、多くの人が挫折を繰り返してきた。軽い気持ちでは、乗り越えられないのだ。対して「恋愛」のパワーはすごい。おそらく男性には想像ができないほどに、「恋愛モード」に入った女性の恋愛脳は、彼女たちを変え、行動力を与えるのだ。 最も行動力を持つのが、心に思う男性がいて片思いをしている女性や、彼と付き合いはじめの女性だ。彼女たちは、大好きな彼と共通の話題をもったり、少しでもいっしょに楽しい時間を過ごしたりする努力を惜しまない。 「その日」のために永久脱毛に通いだしたり、料理をしない女性が料理をはじめたりする。そして、彼と仲良くなるきっかけや一緒の時間を過ごすために、彼と同じ趣味をはじめてみようと思い、行動するのだ。 私の友人にも、大好きな人と共通の話題を持つために、サッカーのルールを一生懸命に覚えようとしたり、テレビをみるようになった女子や、トレーニングマニアの彼に感化されて自身も「筋トレ」をはじめた友人がいる。 同じ女性同士で見ていて笑えるくらいに、恋する女性は健気に自分を変える。恋愛のためならお金がかかることも、大変なことも、辛い体験も乗り越えられるのが女性だ。 次に行動力を発揮するのが、相手はいないけれど恋愛スイッチが入った女性たちだ。具体的にいうと、出会いが欲しい・恋愛したい・結婚相手と出会いたいと思っている女性たち。そのためにゴルフをはじめるまでいかないが、既にゴルフをはじめている女性たちのラウンド数を増やしたり、休眠ゴルファーを復活させるくらいは可能である。 私たちの身近にも、独身男性がいるか否かが、誘われゴルフの参加可否の検討ポイントになっていることが多分にある。そして、その日のゴルフのためにウエアを新調するなど、恋に向かう女性のパワーは、男性の想像を上回る投資活動も生み出す。 <h2>独身男性ゴルファーが女性ゴルファーを増やす</h2> このことから、独身男性(バツの有無を問わず)にゴルフをしてもらうことは、独身女性ゴルファーを増やすためにとても有効な手段になりうる。 なぜなら、ゴルフ未経験の女性がゴルフをはじめるには、様々なハードル・知識・手ほどきが必要だからだ。道具をどう揃えていいのかわからない、練習場にいってもお作法がわからない。練習でゴロしか打てずにメゲそうになったとき、頑張る気力が求められる。ここに男性がいれば、男性は教え好きの方が多いので、車デートの流れで何度も練習に行くことができ、手取り足取り教えてもらえたりもする。 そして、ラウンドデビューの試練だ。女性はラウンドデビューのためにかわいいウエアを準備してのぞむ。しかし、スタートしてみると、走れ!急げ!チッ(舌打ち)でイライラの伝播など、ただでさえ上手く当たらず焦っているのに、ビギナーに優しくない人が混ざっていると、「ゴルフ=辛い思い出」と、トラウマを与える。これがお互いに気持ちがある関係や下ゴコロのある関係だと、できるだけ相手に楽しんでもらえ嫌われないよう面倒見よく、心もプレーもサポートしてくれる。 2サムでまわれる関係ならなおよい。デビューに限らず、ビギナー?120以上打つような女性たちにとって、2サムは、他の同伴者に迷惑をかける気持ちや、前後を気にする気持ちが和らぐので試練が減り、快適にラウンド慣れの階段を上がることができる。 同じ男女の仲でも、これがご夫婦になると、お財布が同じであること・試練を乗り超えるためのアツイ愛情、夫のサポートの仕方(甘えさせ度や言動)に差がでてくる。よって、「新規ゴルファーを増やす」という視点においては、旦那さまより「彼氏」の方が、ゴルフ業界にとっての価値は高いと言える。 ゴルフ業界ができることはあるだろうか? 例えば、休日でも2サムでゴルフができる環境を充実させることは喜ばれそうだ。また、平均所得が20年前とくらべて相当低下している20代の男性が、女性にクラブをプレゼントできるような仕掛けは難しいだろうか。実は、様々な機関の調査から、女性へのプレゼントの予算は「20代男性」が最も高い予算を上げる傾向があることがわかっている。 未婚女性にとって、恋愛や出会いは、ゴルフをはじめるハードルを超える、大きな原動力となる。男性にとっても同じことが言えるかもしれない。
    (公開)2017年12月31日
    月刊ゴルフ用品界2016年10月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <hr /> <h2>はたらく女性がモテモテな時代が加速</h2> 100万人単位で人口が減っているゴルフ業界にとって、自由にお金を使える女性や働く女性の取り込みが欠かせないことは説明するまでもない。ただし、他の業界もそのような女性の「お財布と時間」を必死で狙っていることを忘れてはいけない。女性はどの業界からもモテモテなのだ。 女性を取り巻く環境は、ここ20年でずいぶん変化してきた。「M字カーブ」という言葉をご存知だろうか? 女性の年齢を横軸、働いている割合を縦軸にした就業状況グラフにおいて、25~45才の結婚・子育てゾーンがM字に凹むカタチを表した言葉だ。 近年、このM字カーブは、働く女性の増加(働いていない女性の減少といったほうが現実的かもしれない)によって、Mの凹みがほぼなくなるところまで変化している。これは、何を意味しているのだろうか? 確かに日本の少子化は大問題で、今後人口が増える見込みはない。しかし、このM字カーブ視点でみれば、従来M字ゾーンで消えていた幻の消費者(家計の決済権はあるがお財布は夫のもの)が、自ら社会に出てきて、自身のお財布を持って消費活動をするのだ。 これは消費者の観点でみれば、女性人口の増加と言うことができるのではないだろうか? そして、その人口割合は、さらに増していくと見られている。 <h2>専業主婦でいることが許されない時代に</h2> では、その代わりに誰が減ってしまうのか? それは当然、専業主婦だ。そう、現在の平日のゴルフ場を支える一端を担うみなさんである。その背景をみてみよう。 第一に、家庭において、男性の年収がなかなかあがらない時代背景がある。この企業にいれば定年まで安泰という企業が減っていく中、妻に一緒に家計をささえてほしいと共働きを求める男性が増えているのだ。 第二に、国の後押しがある。2015年10月に発足した第3次安倍晋三改造内閣の「一億総活躍社会」は、50年後も人口1億人を維持し、一人ひとりが家庭や地域や職場で自分の力を発揮し、生きがいをもてる社会の実現をめざすという宣言だが、すべての女性に働いてほしいというメッセージが強く発信されている。 反発は大きいが、年収103万円以下におさえて働く主婦や専業主婦の「配偶者の扶養控除制度」は廃止方向で進んでいるし、国の動きを受けて、トヨタやホンダが配偶者に対する家族手当の廃止を決めるといった企業側の動きもでてきている(トヨタは子供手当てをアツくする方向にシフト)。 言葉は悪いが、家にいる主婦を社会の働き手として外に出そうと必死だ。 女性たちにおいても、自然とそのようなマインドに変わりつつあり、寿退社というワードは今の20代には「なんですかそれ? でき婚ですか?」状態だし、子供を授かることにおいても、会社に属しながら出産・子育てを乗り越える女性が増えている。 女性社員の産休・出産復帰のための制度も整いはじめ、子供ができたから辞めなければいけないという空気感ではなくなってきている。当人にとっても、両立が大変ではあるが、生涯的に考えればそのほうが手厚い支援を受けられることを女性たちもよく分かっている。 もちろん、「自分のお金」があることの安心感や自由さも。 ゴルフ業界への影響としては、専業主婦が減り、働く女性が増えると、土日祝によりゴルフを楽しむ女性が増えることが考えられる。もちろん、女性たちがゴルフを趣味にしてくれたらの話であるが‥‥。 <h2>狙うは未婚の女性</h2> 働く女性の中で、ゴルフとの相性がよい皆さんがいる。それは所謂「お一人さま」、未婚の女性たちだ。 従来の雇用機会均等だけでなく給与・待遇面でも男性との平等化が進み、管理職への登用に女性枠が設けられるような動きも耳にするようになってきた。しっかり働きつづければ、年収が男性なみに高い女性ゾーンができていくのだ。未婚女性ならば、そのお金を全て自分のために使うことができる。 結婚する・しない、子供を望む・望まないなど、幸せの形は人それぞれで、多様性は尊重されるべきだが、未婚化や晩婚化が進む中で、残念ながら「一人で生きる女性が増えていく」ことは確実視されている。 では、そんな彼女たちは、どんなプライベートを過ごし、どんな悩みを抱えているのだろうか? 結論からいうと、非常にゴルフと相性がよい悩みを抱えている。それが「孤独感・寂しさ」である。 彼女たちは、フとした瞬間に孤独感や不安を感じることが増える。たいていそれは何の予定もない夜や休日に生じるが、Facebookなどのソーシャルメディアを見ている瞬間に襲われることもある。まず、友人たちが家庭をもちはじめると、土日に過ごす相手がいなくなる。 共感できる会話も変わり、会ってもなんとなく空気が以前と違う。気づけば、誰とも話さない休日ができたり、彼氏も数年いなかったりで、このままではマズイと気付く。余暇・人間関係など、プライベートを充実させたいニーズが増していく。そんな彼女たちと、新しい仲間や異性との出会いが創出できるゴルフはとても相性がよい。 今後、ゴルフ業界が狙うべき(救うべき?)対象が見えてきただろうか? 彼女たちは減る一方の男性と違って成長市場ゆえ、私たちは、あらゆる産業が彼女たちのお財布と時間を独占したいと狙う「モテる女性」ということを理解した上で、謙虚かつ大胆に、彼女たちを落とさなければならない。
    (公開)2017年11月16日
    月刊ゴルフ用品界2016年9月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <hr /> プレーヤーも業界で働く人も男性が中心のゴルフ業界において、女性の置かれた環境を理解できる、あるいは理解したいと考える人は多くない。 また、今ゴルフを続けている女性プレーヤーのみならず、ゴルフ業界で働いている女性でさえ「これが普通」「私たちの時代はこうだった」と思っている方が多く、現状にさほど疑問を感じていない方もめずらしくない。そこで常々思うのは、ゴルフを続けられなかった人の気持ちは、続けている人には理解できないということだ。 弊社は今、ゴルフに関心がありつつも始められない平均所得の女性でも「ゴルフが始められる」「続けられる」ようにすることで、女性ゴルファーを増やしたいと考えている。その中で、長期的に「女性ゴルファーを全ゴルファーの3割にすること」を数値目標としており、誤解を恐れずに申し上げれば、全体のゴルフ人口が減少し、結果的に女性比率が高まったとしても、それでよいと考えている。 <h2>少数派の世界とは</h2> 男性諸氏がイメージしやすいように、女性がゴルフ場で置かれている環境を「男女共学の高校」に置き換えて説明しよう。ただし、この高校は商業科で、共学ではあるものの男女比率は1:9とする。1クラスを30人とすると、男子は3人、女子は27人のイメージだ。想像力のある男性なら、この段階で居心地の悪さを感じるかもしれない。 圧倒的なマジョリティは女子となるこの学校の男子は、どんな扱いを受けるだろうか? 体育の時間になると教室は気ままに着替えだす女子に占拠され、男子は廊下やトイレで着替えることになるかもしれない。売店のランチは年ごろの女子に合わせた少なめ量や、さっぱりとした品揃えかもしれない。 入学を検討する男子中学生は、商業科の内容に興味を持ちつつも男子の少なさに受験を躊躇うことも考えられる。さらに、その高校の授業料が高額だったら? これが、今の女性ゴルファーの状況だ。 男性の所得水準に合わせたランチ価格や内容、コースにある女子トイレを男性が使うなど、一般社会ではありえないモラルの低さ。男性視点で定めた長すぎるレディースティの距離など、数えあげればキリがない。これで、男女が支払う価格が一緒かつ高いのだから、女性の方がゴルフに対するコスパが悪いと感じて当然だろう。 次に、少数派が1割から3割になった世界を想像してみよう。先述のクラスで言えば男性10人・女性20人の世界だ。3割になると少数派といえども存在感が増し、配慮されるようになる。着替えには男子更衣室が用意され、ランチは男子が満足する視点が加わる。そして、入学を検討する男子の心理的ハードルが下がることは間違いない。割合は、力関係に多大な影響を及ぼし、その分岐点が「3割」だと私は考える。 <h2>割合を増やすには</h2> 割合を増やすことは、現状の差が大きいほど難易度があがる。みなさんなら、男子生徒を増やすためにどんな施策をされるだろうか? この正解は一つではないと思うが、手前味噌な例で恐縮ながら、私の過去の悩みを紹介したい。弊社は長らくこの問題を抱えていたのである。 弊社は女性の人生を豊かにすることをビジョンに女性特化サービスを展開しており、起業して数年は女性だけの組織だった。当時の社員数は15人ほどで、どこかで男性社員を‥‥と思いながらも、女性社長というマイナスイメージや、社員もパートも全員女性となると、最初の男性を迎えるハードルは高く、受け入れる社内の反応も気がかりだった。それでも会社を育てるために「多様性」が必要と考えていた私は、同じ悩みで失敗・成功経験をもつ先輩経営者や男友達などに相談しまくり、次のような男性社員が好ましいという結論を得た。 ①女性が多い職場の経験者 ②長男タイプ(責任感・頼りがい・人に気遣いでき優しいなど) ③入社後すぐに活躍できる専門職(Webマーケティング・制作開発など) 最初の男性を募集するために、私は「成果報酬型」求人媒体に広告を出した。理由は、当時主流の期間掲載型だと、掲載料を払ったからにはこの中から採用したいと妥協心が生じ、そもそも女性の職場と書くことで応募者が減り、長期化することが明白だったからだ。 半年かけて約20人と会い、一次で3時間(多い人で5時間)かけて、実はあなたが一人目の男性社員であること・男性を求めている背景・メリットデメリットを正直に伝えた。 記念すべき第1号の男性(34歳)は「男性一人の職場ではなかったが近い環境で働いた経験があり、逆にちょっと燃えます」と笑顔で言ってくれたのが決め手の一つ。 現在は専門職を中心に男性社員は15%で、これが3割になれば、より幅を広げられるだろう。マジョリティと違う属性の人を取り込もうとする時、難易度やコスパが高くなるのは当然だが、どこかの割合までいくと変化が生まれると信じている。 <h2>多数派の人の助けが必要</h2> マジョリティ側の協力も大切だ。先日、選挙の参加年齢が18歳に引き下げられたとき、ソーシャルにポストされた「無理ゲー」という言葉をご存知だろうか? これは、難易度が高すぎて「クリアするのが無理なゲーム」を指す若者コトバ。若者たちが支援したい政策を掲げる政治家に投票しても、若年人口はそもそも少ないため、18歳~20代の全員が投票に行ったとしても、投票率58%の70歳以上に数で勝ることはできない。このような現実に対して若者たちは「結局、無理ゲーだ」とソーシャルポストしたのだ。 でも、望みはある。マジョリティのみなさんが、正義感をもって若年層向けの施策が必要だと考えるようになってくれること。ゴルフ業界におけるレディス問題も同様だが、やはり無理ゲーなのだろうか?
    (公開)2017年08月11日
    月刊ゴルフ用品界2016年7月号、8月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <hr /> <strong>「どうして起業しようと思ったのですか?」――。</strong> イベントで登壇したり、メディアの取材をうける機会が増えた今、必ず聞かれるのがこの質問。そこで今回は、私がなぜゴルフ業界で起業したのか、なぜCURUCURUは「女性」に特化しているのかについて触れてみたい。 なぜなら、弊社の企業理念には私自身の原体験が色濃く反映されており、苦しくても成功するまであきらめないという想いの源泉があるからだ。 <h2>5才の決意</h2> 「将来、女性のための会社をつくって貢献したい」と最初に思ったのは、私が5才のころだった。 4才の時に父が病気で他界し、はたらく母の背中を見ていたことがきっかけだった。父の死後、看病のために無職になっていた母が、2つ年上の姉と私を抱えながら、正社員の仕事をさがすのは容易ではなかった。シングルマザーは急なお休みが多くなり、企業にとっては採用リスクが高いからだ。 その後、祖母の同居により正社員の仕事を見つけたものの、当時はまだマイノリティだった母子家庭で子供が偏見の目にさらされないよう母は、人並みの習い事をさせてくれたり、借家から一軒家を買ったりした。 子どもの前では明るく振る舞いながらも、影で寂しさや辛さに耐える姿を見ていて私は、日本はおかしいと思った。日本はなんて弱者に冷たいのか!と。 その想いが「将来、女性のための会社をつくって貢献したい」との決意を抱かせた。もちろん子どもなので、深刻な固い決心というよりは、私が変えるんだ!と明るくハツラツとした心持ちだったように記憶している。 我が家のように、一家の大黒柱である旦那様が急にいなくなることは珍しくない。母親が大切な家族を守るためには、女性でも望めば経済力をもてる社会が必要だ。 また、女性には「喜びや悩みを共有しあえる仲間」が人生に欠かせないのだとも気付いた。幸い母は社交的だったので、ママさんバレーの仲間に悩みを話したり、近い境遇の友達と交流することで、一人で頑張らなければいけない孤独感から開放されていたように思う。 私は、女性にとって友達や共感できる場は、人生を豊かにするために欠かせない要素と確信した。このような幼少期の経験と、10代を通じて自分に起きた様々な出来事がプラスされ、現在の弊社のビジョンである「はたらく女性を応援したい」「人と人のつながりをつくり、孤独にならない女性を増やしたい」という人生テーマが、自分のなかで言語化されていった。 <h2>最初の起業から学んだこと</h2> 実は、私の起業チャレンジはCURUCURUが最初ではなく、それ以前に挫折した経験もある。最初の失敗はよい経験になったので、2つの学びを紹介したい。 いつか起業したいと考えていた私は、20代前半に最初の起業チャレンジを行っている。当時、パソコンとインターネットが日本に普及しはじめたタイミングで、勤務先ではじめてエクセル・ワードに出会った。そのとき、パソコンスキルは女性の働き方を変えるに違いないと確信し、OLさんのためのパソコンスクールチェーンを全国につくり、資格取得やスキルアップに貢献したいと考えた。 その後、自身もインストラクターとなり起業準備をしたが、こんな魅力的な市場を大手が見逃すわけがない。すぐにアビバなど大手が参入し、店舗出店合戦による低価格化・業界飽和がおきた。 当時の私は、彼ら以上の価値を提供する自信を持てず、結局この夢は2年強であきらめることになる。失敗からの1つめの学びは、市場は変化するという概念と、資本力のある大企業とまともに戦っても勝ち目はないということだ。小さな企業は大手企業ができないことをやる視点が欠かせない。 この間、小さな成功体験を得ることもできた。趣味で作っていたOLさん向けのPC系資格取得応援サイトが、そのジャンルで日本最大規模になり、PC系の資格をとりたいOLさんの人気Q&amp;Aサイトになったことだ。 なるほど、インターネットを使えば、地方在住でも資金がなくても、自分の能力以上のことができると実感でき、次に起業するときは絶対にインターネットを活用しようと決めた。これが2つ目の学びだった。 <strong>大手ができないことにこそこだわる、インターネットを使う。失敗から、今につながるコンセプトを得た。</strong> <h2>ゴルフとの運命の出会い</h2> ゴルフに出会ったのは、夢を失い地元名古屋のIT企業に再就職し、SE兼責任者(CTO)をしていたときだった。取引先との定例コンペに紅一点で参加していた先輩が、妊娠によってゴルフができなくなり、お願いだから半年後のコンペにでて欲しいと、クラブ一式を譲ってくれた。 最初はイヤイヤ始めたが、次第にゴルフの素晴らしさに気付いた。まず、普段接することができない人たちと新しい親交を持つことができた。見渡せば、親戚や夫婦で、おばあちゃんも楽しんでいる。「つながりや仲間をつくる」という、まさに自分のビジョンと一致するツールの発見だった。 しかし、すぐに若い女性にゴルフは優しくないと感じるようにもなった。万単位でお金がかかる・着たいウェアがないといった目に見えるものだけではない。 ゴルフをやらない人のみならず、ゴルフ場や年配ゴルファーさんたちまで、若い女性を偏見の目で見る。調べると、そこには男性文化があり、若い女性は長らくマイノリティで、業界にとって投資価値が低いという背景が見えてきた。このままでは普通のOLさんはゴルフができない!と思うと共に、この市場に未開拓なニッチ分野を発見した瞬間だった。 <h2>創業前の失望</h2> 性別や立場を超えて新しい友だちがつくれ、家族や仲間との交流をはかれるゴルフ。ゴルフを始めた会社員時代の私は、子供のころからの志であった「女性応援」「人と人のつながりを作る」に照らしあわせ、もっと多くの女性がゴルフができると、みんなの人生が豊かになるのではないかと考えるようになった。 しかし、昔からナゼナゼと考える癖がある私は、早々に沢山の違和感を感じた。例えば、男性が使うティーグラウンドはキレイなのにレディースティは端にありボロボロな違和感。ゴルフ雑誌をはじめて見た時、中のマンガが青年誌調の画でエロ的に見えた違和感‥‥。 <strong>なぜこの業界は女性の居心地が悪いのだろう? さっぱり理解ができなかった。</strong> 疑問に思ったことは調べる派なので、ゴルフ市場を調べてみることにした。市場規模・男女比・年齢分布・業界プレーヤー・歴史‥‥等々を調べるうちに、当たり前のことに気付いた。ゴルフは昔から中高年男性中心の遊技で「若い」女性は超マイノリティでお飾り的な存在。ゴルフ業界は固定費型ビジネスが多く、日本の人口が減ることが経営課題になっていくはずなのに、若い女性プレーヤーが少ないから、常に後回しになるのだと。 ゴルフをはじめてから自分が感じていた疑問‥‥。ゴルフウエアのMサイズが日常着のMサイズより大きくデザインも可愛くない理由、女性用のクラブが少ない理由、キャディさんが男性だけにヤードを言って私に言わない理由‥‥。すべて納得できた。 さらに、働き手も男性が多く、誰も本気で若い女性のことを考えてくれない。私は、これではいつまで待っても普通のOLさんがゴルフを楽しめる世界はこないとがっかりした。 <h2>創業時の苦労</h2> でも、あきらめられなかった。誰も女性に真剣じゃないなら、自分が動くしかない。ビジネス的にもニッチでいけばチャンスはあると感じた。そこで、自らコミュニティサイトをつくり、アンケートで自分と同じ不満を抱えている女性がいることを確かめることにした。 当時は名古屋の自宅で一人で活動をしている段階だったが、インターネットで都内のIT企業の広報やメディアで活躍するような女性たちと交流するうちに、ゴルフは「おやじのスポーツ」から「オシャレな趣味」になると手触り感を得ることができ、私はゴルフでの起業を決意した。 コミュニティサイトの次に行ったのが、若い女性向けのゴルフファション通販サイトを作ることだった。なぜなら、百貨店がないようなエリアではオシャレなウエアが買えなかったり、東京にしかないブランドがあり、アンケートなどでもウエアに対する不満が多かったからだ。 しかし、ここから大苦戦がはじまる。 私は営業や物販の経験がなかったし、大した資金もなかった。そして、ゴルフ業界にもアパレル業界にも知人がなく、展示会という言葉も知らないほど必要な知識がなかった。 仕入先を開拓するだけでも四苦八苦した。よく分からなさすぎて、最初に黄色のタウンページで探したほどに。 特に当時はネットショップが今ほど信用されていなかったので、「試着もせずゴルフウエアをインターネットで買う女性はいない」「(私の)経験がないから売れなくて安売りするのではないか」などと、事業計画書を見せても厳しい意見を沢山いただいた。 しかし、ぜったいに御社の価値を下げるような安売りはしません。これからはネットでウエアを買う時代がきます。女性は求めていますと、熱意とデータで話すうちに協力するよと言っていただける方が増えていった。 もちろん不安ばかりだった。だが、ネットショップをOPENしてすぐに、ゴルフブームも重なって、女性誌のananやNHKの番組から取材を受けることができ、この方向性で間違っていないと確信した。あの時代に、実績のない素人の話に耳を傾け、厳しい意見をいただいたことを今ではとても感謝している。 その後、法人化し近年もサービスを拡充しているが、業界のみなさんの手が回らないことをやるのが弊社のコンセプトゆえ、みなさんには一瞬引かれるような企画の説明にあがっているような状況である。 例えば「女性はお店での試打が恥ずかしいから、試打クラブのセットを作って無料で宅配レンタルしたい」など。最初は女性の反応や既存サービスへの影響を心配されたが、現在では主要ブランド全てにご協力いただいている。 何事も結果は後からしか見えない。心配しながらも参画いただいているのは、弊社の、女性を取り巻くゴルフ環境を良くしたいと願う熱意が伝わっているからと思わせていただきたい。 <h2>専業としての覚悟</h2> 繰り返しになるが、私がゴルフで起業したのは、「人と人のつながりをつくるゴルフ」を、もっと多くの女性、特に平均年収に近い女性でも楽しめるようにしたかったからだ。 しかし、この業界に飛び込んで分かったことは、業界のみなさんが私たちと同じように女性にゴルフをして欲しいと思っていて、でも費用対効果の悪さにジレンマを抱えていることだ。もう業界を批判していても始まらない。業界が儲かるやり方じゃないと動くに動けないのだ。 私たちは専業だからできることがある。小さく、しがらみが少ないからこそ提案していけることがある。私たちは、顧客目線でサービスを提供しそれを広げることによって、女性にとって・業界にとっての課題を解決していく。 <strong>それができてはじめて女性におけるゴルフのライフスタイルを変えていけるのだ。そして、それが弱者の戦略でもあるのだ。</strong> <hr /> <a href="https://www.curucuru.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">女性ゴルファーのためのコミュニティーサイト「CURUCURU」</a>
    (公開)2017年07月26日

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