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    ハッシュタグ「熱中症対策」記事一覧

    ゼネラルは、水冷式ネッククーラー『ウェアコン2』の受注生産を展開している。同製品は冷却・加熱を行い、首元に装着することで作業時の身体負荷軽減をサポートするのが特徴。 従来モデルから冷却性と装着性を向上させ、ワイドフィットプレートの採用により冷却面積は従来比150%に拡大。さらにパワーファンの強化により最大風量は113%に向上し、より広範囲かつ効率的な冷却効果を実現した。また、3D支持構造を採用し、装着時の動きに追従する安定した装着性とフィット感を高めている。 性能面では、外気温環境下において最大マイナス20℃の冷却効果を確認(一定条件下において)。加えて、最大約40℃の加熱機能も備え、季節を問わず使用可能な設計になっている。バッテリーの持続時間は最大7時間で、長時間の屋外作業にも対応する。 近年は、建設・製造現場に加え、ゴルフ場のコース管理作業など、屋外で長時間作業を行う現場での活用も広がっている。ファン付き作業服(Fanウェア)を併用することで、空気循環と体表冷却を組み合わせれば、より実用的な暑熱対策となる。送風機などの環境面の対策だけでは対応が難しい猛暑環境下において、作業者個々の安全性向上および作業効率の改善に寄与する新たな選択肢として注目される。 外形寸法:(mm)幅×奥行×高さ ネック部:約150×196×99 バッテリー:約80×31×108 操作部:約35×23×99 質量(g) ネック部:約330 バッテリー:約300 操作部:約50 内容物: 本体(ネック部・操作部) バッテリー:2個 バッテリーケーブル:2本/長短 充電アダプター:1本 ACコード:1本 バンド:2本 簡単ガイド 価格は72600円。 『ウェアコン2』 ゼネラル TEL044‐381‐8653
    (公開)2026年05月11日
    スポーツ・健康関連の製品を展開する株式会社TAIKANは、夏ゴルフの熱中症対策となる飲料『グリセリンローディング セルウォーター』をゴルフ業界向けに発売した。同製品は細胞の中に水分を「溜め込む」ことで熱中症を予防する特徴があるという。 熱中症は脱水症によって引き起こされる。脱水症とは、暑い環境で体温を下げるために発汗し過ぎることで、体内の水分と塩分(電解質)が失われる症状だ。対策としては小まめに水分補給することだが、通常の水は摂取後20~30分で吸収されるものの、すぐに汗や尿として排出されてしまう。そこで、アスリートやオリンピック選手に活用されているのが、グリセリンの強力な保水力を利用して、通常よりも多くの水分を細胞内に保持(ローディング)できるようにする「グリセリンローディング」という水分補給方法だ。これは1970年代に世界では主にオリンピック選手が利用してきた水分補給法で、2011年~2018年までドーピング対象品目になったほど効果的なものだという。 『グリセリンローディング セルウォーター』はまさにこの水分補給法を利用した製品だ。飲用方法は、1回1包(80g)を500mlの水に溶かして飲むだけだ。 同社が啓蒙するのは、加齢による体質変化だ。30代、あるいは60代といった人生の節目で体内の水分保持力は低下するが、そのことに気づかず「自分は今まで平気だったから」と過信し、結果として熱中症が重症化するリスクがあるという。 従来のスポーツ飲料と違い、細胞内に水分を溜めることができるため、熱中症対策に効果がありそうだ。 ■製品詳細(1包:8000mgあたり) ・使用法:500mlの水に1包を溶かして摂取。スタート前(朝の飲用)およびプレー中の継続飲用を推奨。 ・栄養成分:エネルギー:30kcal、炭水化物:7.464g、食塩相当量:0.0064g。 ・配合成分:グリセリン、クエン酸、ビタミンC、B群(B1、B2、B6、B12、パントテン酸Ca、ニコチン酸アミド、葉酸)
    (公開)2026年05月06日
    ほんやら堂は、夏のあらゆるスポーツシーンにおける熱中症対策として、常温携帯が可能で、必要な瞬間にマイナス5度を体感できる冷感ネックスリーブ『CHILL-Ace(チルエース)』を発売した。 真夏の屋外競技やトレーニングでは、体内に蓄積する熱による集中力の低下が大きな課題となる。『CHILL-Ace』は、3層構造を採用した独自の冷感ネックスリーブ(意匠登録出願中)により、室温30度の環境下でマイナス5度の表面温度を約4時間維持。保冷バッグを持ち歩けない場面や水場のない環境でも、カバンやポケットから取り出して開封するだけで、瞬時にクールダウンが可能で、スポーツ現場で求められる「今すぐ冷やしたい」というニーズに応えてくれる設計となっている。 M・Lの2サイズ展開に加え、ストッパーを採用。激しい動きの中でも外れにくく首元にフィットする。また、保冷剤や事前の冷凍が不要な常温携帯・使い切りタイプのため、遠征や練習時の荷物を最小限に抑えられ、使用後はそのまま処分可能。汗を吸ったアイテムを持ち帰る煩わしさもない。さらに外側の不織布が結露を抑えることで、ウェアやユニフォームを濡らすこともなく、集中力を求められる競技シーンでも快適に使用できる。 全国のバラエティショップ、自社ECサイトなどを中心に展開。今後は、スポーツ施設やフィットネスクラブ、競技会場の売店など、スポーツ・レジャーシーンに特化した販路への導入を順次拡大予定。 【CHILL-Ace 商品仕様】 ・商品名:CHILL-Ace(チルエース) ※意匠登録出願中 ・内容量・価格:1枚入り220円、3枚入り605円、6枚入り1089円 ・サイズ:Mサイズ(首回り約36cm)、Lサイズ(首回り約42cm) ・カラー:グレー(無香料)
    (公開)2026年03月24日
    異常とも言える猛暑が常態化するなか、ゴルフは「自己管理」だけでは成立しにくい環境になりつつある。熱中症対策が叫ばれる一方で、ウェアやインナーの領域は、いまだ個人任せの側面が強い。 そんな現状に対して発売されたのが、「冷やす」のではなく「熱の発生を抑える」というアプローチのインナーウエア『UV&Heatプロテクトアンダーシャツ モックネック』。 その開発背景から技術、現場での体感、そしてゴルフ業界への提案までを、フェニックス牧野俊輔代表に話を聞いた。 フェニックス牧野俊輔代表 「夏のゴルフは危険と隣り合わせ」という現実 GEW 弊誌2月号で「猛暑対策」について牧野代表に取材させていただきましたが、「夏のゴルフは危険と隣り合わせ」という問題提起をされていましたね。改めて今、ゴルフ業界に対してどんな危機感をお持ちですか。 牧野 近年の異常な暑さで、ゴルフ場では熱中症による体調不良や、命に関わる事例も報告されています。対策への意識は高まりつつありますが、実際にはプレーヤーの服装や暑さ対策が自己管理に委ねられている部分が多く、そこに強い危機感を持っています。 GEW そのなかでフェニックスが掲げているのが「熱の発生を抑える」という考え方ですが、製品設計では、どこから取り組まれたのでしょうか。 牧野 最初に着目したのは素材です。東京ビッグサイトでの展示会で、住友金属鉱山が開発した近赤外線カット素材と出会ったことが開発の起点でした。 従来のように「体を冷やす」のではなく、熱中症の要因となる近赤外線を遮断し、体温を上昇させないインナーが作れるのではないかと考えました。 紫外線だけでは不十分。近赤外線まで遮断する設計思想 GEW 『紫外線』と『近赤外線』をダブルでカットする設計ですが、効果の役割分担はどのようになっているのでしょうか。 牧野 紫外線は主に肌表面にダメージを与えますが、近赤外線は体の内部にまで届き、深部体温の上昇を引き起こす要因になります。 そのため、紫外線対策だけでは体温上昇への対策としては不十分です。表面も防ぎ、内部に届く熱も防ぐ。この二重の設計が必要だと考えました。 GEW その考え方を実現するために、どんな素材や技術を採用しているのでしょうか。 牧野 近赤外線を吸収する『SOLAMENT®』を練り込んだ糸と、紫外線を反射する酸化チタンを練り込んだ糸を組み合わせた、高機能繊維『トゥルーボーテ®』を採用しています。 それぞれの糸が異なる波長に働きかけることで、近赤外線と紫外線の双方をブロックできる点が最大の特徴です。 違いが出るのはラウンド後半。体温上昇を抑える効果 GEW 最近では様々な特徴を持った冷感インナーが出てきていますが、それらとの違いは、どんなものでしょうか。 牧野 炎天下であれば10〜20分ほどで違いを感じていただけますが、一番差が出るのはラウンド後半です。 体温が上がりにくく、後半の疲労感が軽減され、集中力が最後まで持続しやすい。これは一般的な紫外線対策インナーとの大きな違いだと思います。 GEW 実際に着用テストやヒアリングでは、どんな声が多かったかお聞かせ下さい。 牧野 最も多かったのは「汗の量が減った」という声です。これまでハーフ終了時にインナーを着替えていた方が、着替えずに18ホール回れたという声もありました。 後半になっても集中力が落ちにくく、翌日の疲労感が違うという反応も多いですね。 価格1万4800円の理由。日本製へのこだわり GEW 『UV&Heatプロテクトアンダーシャツ モックネック』の価格は1万4800円(税込)と、インナーとしては高価格帯です。品質面について教えてください。 牧野 この製品は、熱中症リスクに向き合う「命を守るためのインナー」だと考えています。そのため、日本国内での製造にこだわりました。 品質基準の高い国内工場で縫製・検品を行い、繰り返しの着用や洗濯でも着用感が大きく変わりにくい設計にしています。 GEW 耐久性について、具体的な検証結果はありますか。 牧野 1年間で50〜100ラウンド相当の着用を行いましたが、破れや糸のほつれ、型崩れはほとんど見られませんでした。洗濯後の寸法変化率も約マイナス0.7%とわずかです。 機能成分は繊維内部に練り込まれているため、洗濯による機能低下も起きにくい設計になっています。 売り場で伝えるべき核心。「後半で差が出る」 GEW 売り場で「他の冷感インナーと何が違うのか」と聞かれた際、最も伝えたいポイントはどこでしょう。 牧野 「着た瞬間」ではなく、「ラウンド後半で疲れ方に差が出るインナー」だという点です。 暑さを感じてから対処するのではなく、体温上昇の要因を遮断することで、長時間快適にプレーしやすくしています。 ゴルフを起点に、屋外労働・レジャーへ拡張 GEW 現在の販路と、今後の展開について教えてください。 牧野 現在は自社オンラインストアを中心に、楽天市場、Yahooショッピング、Amazonで販売しています。 今後はゴルフ場やゴルフショップなど、実際に手に取っていただける場を増やしていきたいと考えています。 GEW 長時間屋外で働く方などにも最適な商品ですが、ゴルフ以外の分野への広がりについて今後の展開をお聞かせ下さい。 牧野 昨年は農業や建設現場、配送業などの屋外作業、釣りやレジャーといった分野でも使用されました。 ゴルフを起点に、夏の過酷な環境下を少しでも安全に快適に過ごすためのインナーとして、用途を広げていきたいですね。 GEW 今後のラインアップについても教えてください。 牧野 同じく近赤外線と紫外線カットを備えた『アドベンチャーハット』を予定しています。 現在、インナーはユニセックスで販売していますが、メンズ・レディース別設計の新モデルを6月に発売予定です。 女性は首元までしっかり覆い、胸周りのデザインも改良しています。 男性は後頭部を意識するなど、性別ごとのニーズを反映しています。 「我慢のスポーツ」から「装備で守るスポーツ」へ GEW 「冷やす」のではなく「熱の発生を抑える」というアプローチは、新たな定番になりそうですね。 牧野 猛暑が続くなか、ゴルフは「我慢」で成立させるスポーツではなくなっています。装備としてのインナーを見直すことが、安全で持続可能な夏ゴルフにつながる。 その選択肢の一つとして、私たちの製品を提案していきたいと思います。 お問い合わせ フェニックス ☎050‐3704‐8100 https://store.pnxsports.com/
    (公開)2026年03月01日
    保護者が最も心がける熱中症対策は「水分補給」と「帽子」 小学4年生から中学3年生の子どもを持つ全国の保護者870名を対象とした「子どもがいる家庭の熱中症・暑さ対策に関する実態調査」(2024年5月に株式会社明光ネットワークジャパンが実施)のレポートによれば、子どもが実施している熱中症対策として「こまめな水分補給」(73.5%)、「帽子の着用」(51.2%)、「室内を適切な温度に調節」(49.1%)の順に回答が多かったとされている。 同じく、筆者らが実施した、小学生の子どもを持つ保護者500名に対する調査(2022年5月実施)によれば、「子どもの熱中症対策について親として最も心がけていること」について、男性の66.8%、女性の74.4%が「水分補給」を挙げ、同じく「帽子による調節」(男性6.0%、女性9.2%)が続いている。筆者らが実施してきた先行研究においては、帽子の効用を高めるには、素材、色、形状を工夫することも暑熱環境下においては重要であるあることを明らかにしてきた(Kita et al.,2019)(北ら,2022)(北,2023)。 子どもの熱中症対策の盲点は「色」への配慮 筆者の調査(2022)では、「帽子」の「素材」「色」「形状」に関する意識についても調べている。調査結果を表1に示した。「帽子の素材」については、気を遣っている割合が男性42.0%女性46.0%、「帽子の色」については男性32.4%女性30.4%、「帽子の形状」については男性37.2%女性39.6%となった。このように、「色への配慮」が全項目の中で最も低い傾向であった。この調査では、ウエアについても同様の設問を設けたが、同じ傾向であった。この結果からは「帽子を被っていれば安心」と思い込みがちで、色への配慮は盲点になっている可能性が示唆される。 しかしながら、図1(撮影:北 徹朗)に見られるように、5月の気温においても赤帽は50℃近くにまで蓄熱し、白帽とは20~30℃もの差が生じている。黒髪をむき出しにしていると60℃を超える表面温度であることが観察できるので、高温になる赤帽であったとしても被らないよりはマシである。児童が履いているグレーのパンツも高温になっていることが見てとれる(北,2024)。 図1.児童用赤白帽の屋外環境下での蓄熱の状況<br />(撮影:北 徹朗、撮影日:2023年5月27日) 大人と比べてプラス7℃:子ども特有の暑熱環境「こども気温」 サントリーとウェザーマップ社が2023年に行った共同検証実験において、子どもの背の高さで計測した温度が、大人と比較するとプラス7℃程度にもなった結果から、子ども特有の暑熱環境を「こども気温」と称し2023年より子どもの熱中症対策に関する啓発活動が行われている。 この検証実験においては、日向と最も涼しい日陰では、WBGTに4.2℃の差(熱中症警戒レベル2段階分の低減)があったとされ、その結果から、日陰に入ることで日差しを避け身体にかかる熱ストレスを大きく低減させることができるので「連続した日陰を歩くことによって熱中症リスクを有意に低減することが確認されている」としている。 起伏やカート道路、風の通りの善し悪しなど、ゴルフ場のWBGTは一定ではない ゴルフ場におけるこの観点からの提言は、筆者がGMACセミナー2024において「急がれるゴルフ業界を挙げた暑熱対策」として具体的に述べている(図2)。 図2.<br />暑さポイントに応じたマッピングとスコアカードの工夫(GMACセミナー2024発表スライドより) 特に起伏のあるゴルフ場ではホールごとにWBGT値にバラつきがあることが予想される。他方、河川敷の様な平坦なコースでは、前述の先行研究で述べられるように「連続した日陰を歩くことによって熱中症リスクを低減することができる」と思われる。特に起伏のあるコースでは、来場者の参考になるよう、目安となる数値データを収集し示しておくことも熱中症対策として有用であり、夏場のゴルフ場マネジメントには必須であろう。 参考文献 ・株式会社明光ネットワークジャパン(2024)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000178.000071552.html(2025年7月20日確認) ・北 徹朗(2022)子どもの暑さ対策における保護者の「帽子」に対する意識、未公刊 ・Kita et al.,(2019)Changes in Temperature Inside a Hat During the Play of Golf -Comparison of Hats with Different Shapes-、International Journal of Fitness, Health, Physical Education &amp; Iron Games, Special Issue Vol.6, No.2, pp.163-166 ・北 徹朗ら(2022)帽子の素材・色・形状が暑熱環境下でのスポーツ実施中の生理指標と帽子内温湿度に及ぼす影響、デサントスポーツ科学Vol.42、pp.37-51 ・北 徹朗(2023)帽子の形状・色の違いが帽子内温湿度に及ぼす影響-暑熱環境下における各種スポーツ実施中の経時的変化-、繊維機械学会誌Vol.76、No.4、pp.199-205 ・北 徹朗(2024)人工暑熱環境下における児童用帽子の表面・内側温度の経時的観察-暑熱対策帽子の製品化に向けた赤白帽・黄白帽・桃白帽の比較検証-、日本運動・スポーツ科学学会第31回大会抄録集、p.24 ・サントリー食品インターナショナル株式会社(2025)https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1594.html(2025年7月20日確認) ・北 徹朗(2024)「急がれるゴルフ業界を挙げた暑熱対策」(GMACセミナー2024:地球沸騰化時代、夏のゴルフを安全に楽しむには -ゴルフと環境とSDGsを徹底討論-、2024年3月9日発表資料 北 徹朗|きた・てつろう 博士(医学) 武蔵野美術大学教授・同大学院博士後期課程教授 GMACゴルフ市場活性化委員会有識者委員(企業連携・交流部会副委員長) <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年08月11日
    10種目(1200名)のスポーツコーチにおける熱中症知識指数の比較 ドイツは700カ所を超えるゴルフ場(世界6位)を有するゴルフが盛んな国の1つである(R&amp;A, 2021)。同国ハイデルベルク大学(医学部)のSophie Leerら(2024)による、ドイツの10大屋外スポーツのコーチ(1200名)を対象とした研究(Gaps in Heat-Related Knowledge, Practices and Adaptation Strategies Among Coaches in German Outdoor Sports)によれば、スキー、サッカー、ゴルフに関わるコーチの熱中症に関する知識が特に低かったことが示されている。 具体的には、各スポーツコーチにおける熱中症症状に関する知識指数(KOSI:knowledge of heat-related illness symptoms index)をみると、スキー(9.85±1.80)、サッカー(10.07±2.33)、ゴルフ(10.09±1.75)では、全体の平均値(10.31 ± 1.81)よりも顕著に低値であった。逆に、山岳スポーツ(10.56±1.73)と馬術(10.56±1.61)のコーチにおける知識レベルは高かった、とされている(図1)。 図1.ドイツの屋外スポーツコーチにおけるKOSI 値(黒:正偏差、白:負偏差)<br />(Sophie Leer et a(l. 2024)International Journal of Public Healthより引用) なお、調査対象者の平均年齢は44歳(最年少18歳,最高齢81歳)であり、そのうち68%が男性、コーチ歴は平均15年(±11年)であった。 熱中症対策の実施状況と改善可能性 ドイツスポーツ医学予防協会(German Society for Sports Medicine and Prevention:DGSP)の勧告に基づく10の予防策について、スキーのコーチを除く1080人に対して調査が実施された。熱中症予防対策の実施状況において顕著な欠陥が見られた種目として、テニス、山岳スポーツ、サッカー、水泳の順に多く、次いでゴルフが挙げられている(図2)。 図2.ドイツの屋外スポーツにおける暑熱対策の実施状況と改善の可能性(黒:実施度、白:改善可能性(%))(Sophie Leer et a(l. 2024)International Journal of Public Healthより引用) また、屋外スポーツのコーチにおける「熱中症予防に関する知識」、「熱中症予防の実践度」、「熱中症予防行動の選択肢」が、どの程度相関しているかについても分析されている(図3)。それによれば、コーチにおける暑さや熱中症に関する知識は予防行動には反映されていなかった。 図3.ドイツの屋外スポーツにおけるコーチの熱中症の「予防知識」・「実践度」・「予防行動の選択肢」の相関分析<br />(Sophie Leer et a(l. 2024)International Journal of Public Healthより引用) 他方、「熱中症予防行動の選択肢(Options for action)」と「熱中症予防の実践度(Practice)」の間には有意な相関関係が認められており、知識よりも現場で対応可能な選択肢の有無の影響の方が大きい可能性が示唆されている。 現在の予測では、約60年後に、医学的に許容できる気温リスク環境下で夏季五輪を開催できるのは、世界33都市のみと想定されている。22世紀初頭には地球上で開催に適した都市は僅か4都市とされる。この研究では、こうした状況を踏まえ、トップスポーツ選手よりもはるかに裾野が広く参加人口規模の大きいアマチュアスポーツにおいて、今後も懸念される極端な暑さに対して、十分な備えをしていると言えるのか疑問である、と締め括られている。 参考文献 ・R&amp;A(2021)Golf Around the World 2021 ・Sophie Leer et al.(2024)Gaps in Heat-Related Knowledge, Practices and Adaptation Strategies Among Coaches in German Outdoor Sports、International Journal of Public Health 2024 Dec 4;69:1607928. <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年07月02日
    水に溶かすだけで経口補水液が作れる 加賀スポーツは今年、水に溶かすだけで経口補水液を作ることができる経口補水塩タブレット『O.R.S』の販売を本格的にスタートする。同商品は英国製で、日本の発売元はアドバンスという会社。加賀スポーツはゴルフ流通を任されたということになる。 そもそも経口補水液とは、水分と電解質をカラダに素早く吸収キープできるように設計された飲料。熱中症対策に近年注目されており、一般的に販売されているものは飲料として販売している。 一方、『O.R.S』は1個が約3gのタブレット。必要に応じて水に溶かすだけで経口補水液を作ることができるから、携帯性も高い。さらに、100mlの水に1個のタブレットを溶かす場合は、WHO(世界保健機関)の経口補水理論と同等の濃度の経口補水液を作ることができ、200mlなら一般的な経口補水液、500mlならスポーツドリンク同等の濃度にできるなど、体調や状況に応じて、電解質濃度を調整できる点も大きなメリットだ。 もうひとつメリットがある。それは糖分含有量だ。一般的にスポーツドリンクには糖分が多く含まれている事が多い。中にはコーヒーなどに用いるステックシュガーが11本分(約33g)の糖分が配合されているものもある。一方で『O.R.S』のブドウ糖含有量は、タブレット1個で1.59g。糖分の過剰摂取も抑制できる。 さらに、一般的に経口補水液はドラッグストアで販売されていることが多いが、『O.R.S』はゴルフ場や練習場、ゴルフショップでも販売可能。賞味期限もドリンクと比較して圧倒的に長い点も保存に適しているといえるだろう。 加賀スポーツの池田智和チームマネージャーは、 「夏場の地面は35度を優に超えます。『O.R.S』は体内への水分保持時間が長いので1ラウンドで1個~2個程度摂取することで効率のよい水分補給が可能になるので、夏場のゴルフには最適だと思います」 12個入りと24個入りが用意されるが、タブレット1個当たり164円ほど。昨年の夏は酷暑でプレー中に熱中症が発生し死亡に至った例が複数報告されている。命を落とすリスクを考えれば、安い出費だろう。今年の夏は『O.R.S』を携帯するゴルファーが増えそうだ。 お問い合わせ 加賀スポーツ 03-5657-0148 新規事業推進室
    (公開)2024年07月03日
    武蔵野美術大学の北徹朗教授(医学博士)は、ゴルフと熱中症の関係を調査・研究している。とはいえ同氏がユニークなのは、ゴルファー向けというよりも、むしろ「ゴルフ場目線」に立っているところだ。 キャディの歩数や「深部体温」を計測したり、支配人の意識調査を行うことで、熱中症対策の現状と課題、解決策を提示する。「月刊GEW」6月号に掲載したインタビュー記事をウェブ用に再掲する。 なぜ熱中症の研究なのか? 大学の体育教員で医学博士でもある北さんが、なぜ「ゴルフと熱中症」の研究を始めたんですか。 「ゴルフの熱中症には専門のメディカルドクターもいらっしゃるので、私から専門的な発言をするべきじゃないとは思いますが、それを前提に申しますと、ゴルフは屋外で4時間半ぐらい日に当たるし、高齢者も多いじゃないですか。 なので、単純にリスクが高そうだから調べてみようと思ったわけです。ただ、そもそも熱中症とは別に、ゴルフ場でキャディの歩数を調べたんですね。ゴルフ場スタッフの労働環境を調べる目的でした」 あれは骨粗鬆症がテーマだった? 「いえ、骨粗鬆症というか、鶏と卵の話と似てるんですが、そもそも骨が強い元気な人がキャディをやっているのか、それともキャディをやってるから元気なのか・・・。ほかの調査では、ホテルで荷物を運ぶポーターも骨が強い人が多いんですね。骨は刺激が加わると強くなるので。 それで、女性の場合は50歳を過ぎるあたりで骨が弱くなりますので、キャディの場合はどうだろうと。ふと思ったのがキャディの歩数調査の動機です」 ふと閃いたわけですね。研究テーマの発見は思いつきが多いわけですか。 「だいたいそうです」 学者の本分は研究して論文を発表することだから、テーマの「発見」が生命線になる? 「そうですね。まず、思いついて、それからほかに誰がどんな研究をしているのかを調べます。昔は図書館で丸一日調べたものですが、今は世界中のデータベースがネットで拾えるから比較的楽なんですよ。で、スポーツ分野でゴルフ関係の研究は、そもそも事例が少ないんです」 それは、ゴルフを研究する学者が少ないという意味ですか。 「というか『日本ゴルフ学会』には、過去30年の研究動向を調べた査読付き論文が百数十篇載ってるんですが、断トツで多いのがバイオメカニクス的な研究なんです。要するにスイングの動きなどが中心で、さっきの骨とキャディ業務の関係みたいな研究はあんまりないんですね」 すると、北さんみたいに産業の視点でゴルフを研究する学者はいない。独壇場ですか? 「いえいえ(苦笑)。でもまぁ、自分で言うのもアレですけど、新しいことを思いついたら大半は最新の研究になりますので」 熱中症の症状はどのようなもの とにかくキャディの歩数を調査した。それから熱中症という流れですが、どんな経緯で熱中症に? 「キャディの歩数を調べて驚いたのは、もの凄く歩くんですよ。私の調査結果では一日2万1606歩で、それ以上に驚いたのがコース管理の人。なんと4万3629歩も歩いてました。 ただ、問題は歩く時間帯なんですね。コース管理の仕事はお客さんを入れる前の早朝とプレー後の夕方に歩数が極端に増えますが、キャディは日中のもろに暑い時間に歩くので、当時出したレポートにも『キャディ業務は心配だ』と書いている。それが熱中症に着想したきっかけです」 肝心な話、熱中症というのは何ですかね。 「・・・ん?」 熱中症はヤバいと言われるし、僕もそう書いてますが、実は何がどうヤバいのかよくわからない。 「なるほど。私は専門家ではありませんが、授業で学生に説明する資料がありますので、まずはこれを読んでみます。 熱中症とは、高温多湿な環境で体内の水分及び塩分、すなわちナトリウムなどのバランスが崩れたり、循環調節や体温調節など、体内の重要な調節機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。 目眩や失神、筋肉痛や筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛や吐き気、嘔吐、倦怠感、意識障害、痙攣、手足の運動障害、高体温などの症状が現れます」 う~ん、長いですねぇ。 「すみません、もうちょっとです。症状は、いわゆる立ち眩みの『熱失神』、こむら返りや筋肉の痛みの『熱痙攣』、脱水が進行して嘔吐などが起こる『熱疲労』、それから意識障害や全身の痙攣などが現れる『熱射病』に分類されます。 このような症状が重症度によって軽症のⅠ度、中等症のⅡ度、重症のⅢ度に分類されるんですが、重症になると脳や内臓障害も起きますし、最悪の場合は死に至ってしまうわけです」 なるほど・・・。 「熱中症になるには3つの条件がありまして、『環境』と『行動』と『からだ』です。 まず環境ですが、これはWBGT(暑さ指数)の要素になっている『気温』『湿度』『輻射熱』(日射・放射等周辺の熱環境)で、近年WBGTが気温よりも重視されてますが、これは気温が高くても風が吹いていたり、湿度の関係で身体への影響が変わるからです」 WBGTの構成要件を考える 気温はわかりますが、湿度はなぜマズいんですか。 「人間は汗を出して深部体温を下げるんですが、ダラダラ汗をかかなくても毛穴から蒸散してるんですね。ところが、湿度が高いと皮膚にまとわりついて蒸散しにくくなる。それで深部体温が下がらないのが良くないんです。 熱中症で一番バシッと決まるパターンは、高温多湿の無風状態なんですよ」 3番目の「輻射熱」ってなんですか。 「あれはですね、地面のアスファルトからの照り返しや、近くにエアコンの室外機があったり、マンホールの鉄製の蓋があったりすると、」 反射熱みたいなもの? 「まあそうです。太陽からの強い日射や、道路や建物などからの放射で多くの熱をもらうんですが、これは気温に反映されなくて、周辺の物自体の熱なんです。 WBGTの測定器は気温、湿度、輻射熱が個々に表示できますが、3つ合わせたWBGTが気温よりも大事になるわけです」 今年4月の「改正気候変動適応法」で、WBGTが35を超えると特別警戒アラートが出ることになりましたが、この35は気温の目安だと何度ぐらいですか。 「気温約40度がWBGT35の目安ですが、環境省などが指針としてるのはWBGT31以上で35度以上。この場合、運動は原則中止という指針です。 28~31以上が31~35度で、激しい運動は中止。25~28が28~31度で、積極的に休憩をとるなど、それぞれのレベルに応じて指針が示されています。 ただ、ゴルフ場って広いじゃないですか。日向もあれば日陰もある。18ホールの場所によってWBGTは大幅に変わるんですね。特に日陰で風通しの良いホールは数字が低くなるでしょう」 WBGTの測定器をスタート室前のアスファルトの上に1台だけ置くゴルフ場もありますね。それで「35」だからヤバいとなっても、実際にはコースの場所によってまったく違う。 「おっしゃるとおりです」 「からだ」について考える 以上が「環境」の話ですが、「からだ」についてはどうですか。 「熱中症に関わる『からだ』の要因としては、激しい労働や運動によって体内に著しく熱が生じたり、暑い環境に対応できないことが挙げられます。 特に身体の調節機能が衰えた高齢者や、肥満、糖尿病、精神疾患をもっていたり、下痢などで脱水症状や二日酔い、あとは寝不足も、WBGTが高くなくても熱中症のリスクは高くなります」 飲酒はなんでマズいんですか。 「まず、脱水症状になりますよね」 なんで? 「アルコールは利尿作用があるのが大きいです。寝不足で酒飲むと物凄く酔っぱらうじゃないですか。寝不足と二日酔いは大敵です」 3番目の「行動」は? 「これは、激しい運動などで体温を上げるような活動です。上腕を曲げると片方が収縮してもう一方は弛緩しますが、筋肉の動きが激しくなると体温は上がる。体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、身体にどんどん熱が溜まってしまうんです。 身体の奥の『深部体温』は、健康時に37度前後に保たれてますが、これが上がるといろんな不調が生じるんです。意識が朦朧とする、頭痛、吐き気、倦怠感などの症状が出た場合は、深部体温の上昇によって脳や消化器官、肝臓に影響が出ている可能性がある。 あるいは全身の痙攣や意識障害を起こすとか。身体の奥底の温度は普通、そう簡単に上がらないので」 深部体温は、内臓や脳の温度とも言えるわけですか。 「そうですね。これを正確に測る方法としては直腸や膀胱、血液もありますが、一番簡単なのは耳の穴に1cmぐらい検温器を入れる鼓膜温の計測があります」 先日NHKの番組で、脳は非常にデリケートだと。1度上がるだけで大変だと話してました。 「そうですね。個人差はあると思うんですが、一般的には0.5度上がっただけでも影響があると言われるので、1度上がったら相当なことだと想像はできますよね」 真夏のキャディは過酷な労働 北さんは2021年8月に、冒頭の「歩数調査」とは別にキャディの「体温変化」を調べてます。これ見ると、けっこう厳しい数字が並んでます。 「そうなんです。この調査はキャディの『着衣環境』を調べたもので、8月の別の日に首都圏のふたつのゴルフ場でやりました。 Aコースの被験者は51歳の女性で、当日の気温は29.6~41.8度とかなり高かった。湿度は38.7~67.2%、WBGTが27.7~33.9、風速は0.1~3.49m。 それからキャディ服はポリエステル95%と綿5%の長袖で、背中は通気構造で内側はメッシュ素材、帽子はヘルメットという条件です。 驚いたのは、キャディ業務の前と後で鼓膜温が約3度上がってたことなんですよ。業務前が36.3度で後が39.2度という結果だったので、」 えっ、3度上がるって凄いですよね。 「かなり凄いです。一般的に深部体温が40度以上になると、脳機能に障害が起こる危険があって、これが続くと脳だけでなく、肝臓など全身の臓器に障害が起こる可能性も指摘されますから」 キャディ帽というか、ヘルメット内の温度はどうなっていたんですか。 「大きくふたつのピークがありまして、正午前の温度が44.3度、午後2時前が38.9度でした。 キャディ帽は一見、ツバが広くて白いから涼しそうに見えるんですが、中はヘルメットだし、頭に汗止めのタオルを巻いてからヘルメットを被るキャディもいますので、もの凄く暑いんですよ。 ユニホームも長袖で首までしっかりボタンをしているのと、化繊の白い手袋をするのも問題です。クラブ持って動き回るから運動量も非常に多い。ですから夏のキャディ業務は、極めて過酷な労働なんです」 もうひとつのBコースは? 「Bコースのキャディは27歳で、当日の最高気温は36.8度、WBGTのピークも31.7だったので、Aコースよりは楽な条件でした。鼓膜の深部体温も前と後で同じ35.5度だから、全然変わらなかったです」 今年の夏は去年よりも暑そうだし、仮に熱中症でキャディさんが亡くなったら一大事です。ただでさえ人手不足なのにキャディの成り手がいなくなる。ゴルフ場側も責任を問われる。 WBGT計測器の保有率約1割 厚労省は企業に対して、暑熱下における職場環境の改善を指示してます。この点について北さんは、ゴルフ場支配人の意識調査も行ってますね。 「はい。2022年3月に支配人の意識調査を行いまして、225コースにアンケートを送り81コースから回答を得ました。 まず、厚労省が出した『職場における熱中症予防マニュアル』についてですが、このマニュアルを『知ってるが読んだことはない』が20.3%で、『知らない』は22.0%。合わせて4割以上の支配人が中身を知らないという結果が、当時は出ています」 だけどそれは2年前の調査でしょ。今はもっと意識が高まってるんじゃないですか? 「だといいんですが・・・。この調査をした2022年は暑さ問題がもの凄く言われた年なんですね。2019年の5月26日に北海道で観測史上最高の39・5度を記録して、道内のゴルフ場で36歳の男性が熱中症の疑いで亡くなってます。 この年、ファン付きウエア市場が急拡大して、ゴルフ場でも目立ちはじめている。ですから2022年の段階では、もっと意識してるだろうと思って調べたわけですが、」 支配人の意識は低かった? 「はい」 となると、今の意識も2年前と大して変わらない? 「どうでしょう、かもしれませんが・・・」 同じ調査で深刻なのは、ゴルフ場のWBGT測定器の保有率です。これが当時8%で、9割以上が持ってなかった。今も同じならかなり問題ですね。 「今の保有率はわかりませんが、ただ、熱中症はゴルフ場にとって自分事になってないような気はしています」 測定器の保有率は論外としても、ゴルフ場がやれる熱中症対策はいろいろあるんじゃないですか。 「そうなんです。9割以上のゴルフ場は一応、会員制が建前なので、メンバーの心象を害さないためのドレスコードがありますが、ウエアを外に出すと4度涼しくなるという調査結果もありますので、シャツインが必須というドレスコードが変わってくれば、もっと楽になるのかなぁと」 色の調査もありますね。 「あれはうちの大学院生が中心になって調べたんですが、色によって温度は変わります。様々な色の帽子を屋外に並べて帽子内温度を測ったところ、綿ポリ製の薄いピンクが38.4度で一番低かったです。 次が黄色の40.2度、白の40.3度と続くんですが、帽子の表面温度は白が圧倒的に低くて、これは日射反射率や吸収率が原因だと思います。 それと、去年から日本の紫外線量が急激に増えて、オーストラリア並みになってますが、紫外線については黒っぽい色が通しにくいので、一概に白がいいとは言い切れない面もありますね」 考えられるキャディの対策 キャディの熱中症対策はどうですか。 「キャディ対策という意味では、頭部が熱くなるのが一番問題なので、ヘルメットの構造を、通気性が高いものにするのが効果的だと思います。 それと、温度計付きヘルメットはどうでしょう? ヘルメットに温度インジケーターを付けて、青は大丈夫で黄色は注意、赤は危険とか、外からわかると休息させる目安になるじゃないですか。とにかくヘルメット内は高温なので、そのあたりの工夫が必要でしょう」 冷却機能付き手袋というのも商品化されてますね。 「はい。すでにデサントも商品化してますが、実は手の平は深部体温を下げるのに効果的だという研究結果が出てるんです。 よく、脇の下を冷やすといいと言われますが、手の平には動脈と静脈が入れ替わる動静脈吻合血管がある。手の平を冷やすのを『手掌冷却』と言いますが、これがとても大事なんです。 冷やす適温は12度で、運動を開始する30分前のプレクーリングが有効だと言われています」 すると、キャディがナイロン製の白手袋をしてるのは逆効果? 「おっしゃるとおりです。ゴルフ場によっては接客マナーとして白い手袋を義務付けたり、キャディ本人も日焼け止めのつもりかもしれませんが、手掌冷却の観点では逆のことをしているわけです」 なるほど、知らないっていうのは怖いですねえ。 「そうなんです。プレクーリングの観点で言えば、プレーヤーはスタート30分前に練習グリーンにいることが多いじゃないですか。ジャストアイデアなんですが、12度に保たれる冷感グリップがあれば夏のヒット商品になるかもしれませんね」 グリップメーカーに提案しておきましょう(笑)。 ゴルフ場ができる対策は沢山ある ほかにゴルフ場ができる対策は? 「それが、まだまだあるんですよ(笑)。たとえば複数のホールにクーリングエリアを設けて、大型扇風機を置くのもいいですよね。大学の体育授業でも使ってますが、タイマーを1分ぐらいにセットして風に当たる。1台13万円ほどで買えますが、凍らせたペットボトルを扇風機の前にフックで掛けると効果的です。 クーリングエリアにはアイスボックスを置いて、冷たいおしぼりや氷などで手掌冷却するといいかもしれません」 なるほど、簡単にできることはけっこうあるんだと。にも関わらず、ゴルフ場は熱中症対策に消極的だと映ってしまう。なぜですかね。 「まず、知らないこともあるでしょうし、変える勇気がないのかもしれません。大袈裟に騒ぐと、お客さんが離れるんじゃないかと心配になるとか」 知らないから過剰に身構えるんでしょうね。WBGT計測器の保有率もそうだけど、ヘタに置いたらプレー中止を迫られるとか。でも、測り方によって安全な場所も沢山ある。 「知ればお金を掛けずにできることは沢山あるわけですよ。環境省や食品メーカーのウェブサイトには熱中症対策にお勧めの食事がいっぱい出てるし、塩キウイスムージーも良いと言われるので、これを朝食や茶店で出せば、1杯700円ぐらいで売れると思うんです」 世間に情報は山ほどある。 「あります。それから熱中症は本人の自覚が大事なので、それを促す方法としてはチェックインシートも考えられます。 シートには前夜の睡眠時間や飲酒、朝食の有無といった項目を設けて、チェックすれば本人の意識づけになりますし、ゴルフ場も『この組は注意しよう』と把握できる。 あと、コースマッピングも有効だと思うんですね。ゴルフ場はホールによって高台や窪地、池や林といったようにWBGTが違うので、WBGTが高いホールはスコアカードに簡単なマークを付けて、ここはムリして歩かないでカートに乗ろうとか。 熱中症は本人の気づきが大事なので、社内でPOPやポスターを作って目立つところに貼っておく。それだけで大分違うと思います」 食堂のメニューに「熱中症に塩キウイスムージーをどうぞ」とかね。 「そうですよね。以前GEWに、ゴルフ場の農園でバナナをつくってるという記事が出てましたけど、それと同じ発想で、熱中症に効く果物を自分の農園で栽培して、大々的にPRするとか。 健康志向の高まりで農薬を気にする人もいるでしょうが、『無農薬の〇〇スムージーです』って提供すれば喜ばれると思うんですよ」 それはいい発想ですね。地産地消に取り組むゴルフ場のレストランはこれから増えるだろうし、熱中症に効くとなれば一石二鳥。 「ですよね(笑)」 熱中症というと危機感ばかり先に立つけど、前向きに社内で議論すればいろんなアイデアが出て、むしろ会議が楽しくなるかもしれない。 「それって非常にいいことですよね。会議を通じて社員の意識も高まるし」 言い足りないことはありますか。 「まだまだいっぱいあるんですけど」 いっぱい書くと散漫になるので、ポイントだけでいいでしょう。 「じゃあ、大丈夫です(苦笑)」 学者の「机上論」と言われたくない 最後の質問です。北さんは学者として、社会に役立つ研究をしてますが、その研究は論文を書くための机上論として満足なのか、それとも社会の現場に落とし込むのが目的なのか。「現場」は学者の領分じゃないのかな? 「あのぉ、自分で言うのもおかしな話ですが、ここまでいろいろ考えてる大学の教員は少ないと思うんですよ。ですから、たとえばゴルフ場経営者の方に『机上の空論だよ』って片付けられるのは、正直、そうじゃないって気持ちは強くあります。 それと、私が現場を大事にするのは、現場の方と話していると、より現実的な落としどころが見えてくるんですね。今度、あるゴルフ場チェーンの経営会議に参加して熱中症対策を話すんですが、幹部や支配人がいらっしゃるので、僕の話を一方的にするんじゃなくて現場の声に耳を傾けたい。それが今から楽しみなんです(笑)」 学者の世界は「象牙の塔」と言われますね。社会と隔絶されたところで研究に没頭する。つまりこの言葉には「学者バカ」みたいなニュアンスがあるじゃないですか。 「あのぉ、僕の場合はあくまで、実社会に役立つことをやりたいんですよ。ゴルフ産業の研究は2003年頃に始めまして、いろんなアンケート調査をしたり、海外のゴルフ場を調べたり、沢山研究をしてきました。 でも、誰にも読まれず無視されて、苦しい時期があったんです。もうやめようと思って最後に出したプレスリリースを、GEWが取り上げてくれたじゃないですか。2015年のことです。 それをきっかけに注目されて、ゴルフ業界の人脈もできました。ですから、僕の研究が注目されて、ゴルフ産業発展の一助になればとても嬉しいし、もの凄くやり甲斐を感じているんですね。 とにかくゴルフ業界に還元したい。社会の役に立ってこその研究だと思ってますから」 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年07月02日

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