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    ハッシュタグ「礒﨑博文」記事一覧

    2204ゴルフ練習場限界突破論12 最終回 既成概念をぶち壊す実践主義 ゴルフ練習場限界突破論、今号で最終回となりました。12回にわたり本連載をご覧いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。 2021年4月に、茨城県水戸市のゴルフ練習場ROYAL GREEN Mitoを新業態の Golf &amp; Entertainmentにリニューアル。これと同時に本連載がスタートし、誌上ライブとして様々な挑戦をお届けしました。最終回の今号は集大成として、1年間のチャレンジで得たものを、今後どのような形でビジネスにつなげていくかを詳述したいと思います。 <h2>Golf &amp; Entertainmentの更なるバージョンアップ</h2> リニューアルの詳細は本連載で随時書きましたので割愛しますが、最も特徴的なのは1階と2階打席でコンセプトを明確に変えたことです。この1年で「ゴルフを楽しむ時間、空間」に対するニーズが予想以上にあったことに安堵しております。 そこで今年は、エンターテイメント施設として新たに2つのサービスをスタートさせます。 ①地域連携による飲食事業 リニューアルオープン以降、地元の食材を活用した簡単なフードを提供してきましたが、今年は本格的にランチ、ディナーを提供できる体制になります。メニュー開発は、東京の著名なカフェの業態開発も担当されるパートナーと共に、コンセプトから構築しました。 その際、飲食事業立ち上げのリスク対応として、オペレーションコストを下げること、食品ロスを減らすことを重視。さらに茨城県の魅力を伝えることも加え、地元の食材をふんだんに使った「オリジナルカレー」でチャレンジしていきます。 当店の近隣には大型の物流倉庫や製造工場があるものの、ゆっくりと気持ちよくランチタイムを過ごす場所は多くありません。そのため飲食の業態でも十分に勝算があると判断しました。狙いは、ランチ目的で来店頂き、食後はゴルフも楽しめる。食事とゴルフをセットにしたプランなどで、新規ゴルファー創出のきっかけにしたいと考えています。 食材の仕入れなどは、当店の真向かいにあり開学70年の歴史を持つ、公益財団法人 鯉淵学園農業栄養専門学校と連携します。同学園の直売所から、当日の採れたて野菜をメニューに加えることや、管理栄養士を目指す学生が社会経験の場として、当店のカフェメニューを考案し、実際に販売します。学生に実践の場を提供することで、地域連携、学生教育にも貢献したいと考えました。 ②ROYAL GREEN Mitoならではの滞在型ゴルフツーリズム 次に宿泊・観光事業です。弊社のビジョンは「地方創生×ゴルフ市場の活性化」です。茨城県は観光資源が乏しいと思われがちですが、「ゴルフ」は非常に大きな資源です。 しかし、都心近郊から車で約1時間圏内であるため日帰りゴルフが多く、宿泊して県内観光をする需要が未開拓です。そこで下記3つのプランによるROYAL GREEN ならではの滞在型ゴルフツーリズムプランを確立し、地方創生、ゴルフ市場の活性化を達成したいと考えております。 1 愛犬と過ごすゴルフツーリズム コロナ禍においてペットを飼う人が急増していますが、ペットを飼うと旅行に行きにくくなる点に注目し、愛犬と共に過ごすプランを用意。 2 ビギナーからファミリーまで楽しめるパッケージプラン 当店自慢のレッスンプロによるラウンドレッスンが付いたプラン。ゴルフアパレルやグッズのショッピング、飲み放題付きのディナーなど、ROYAL GREEN Mitoの全てが詰まった滞在型パッケージプラン。 3 法人向けゴルフワーケーションプラン 全館・全打席Wi−Fiを完備、カフェタイムはフリードリンクプランや、プライベートルームを利用したミーティングやプレゼンなど、休憩時間はゴルフで息抜き。完全に仕事とゴルフを両立したプラン。 <h2>ゴルフ練習場のすべての「不」の解決を!ROYAL GREEN Mitoの成功モデルを全国へ</h2> 当社の中長期戦略において柱となるのが、ゴルフ業界向けDX事業です。近年注目されるDXですが、既存のゴルフ業界に見られる「省力化」「無人化」「デジタル化」の施策だけではなく、我々はDXを活用した「すべてのサービスの最適化」「業務効率化によるハードとソフトのアップデート」を掲げます。 具体的には、ICデータシステムを活用したデータマーケティング、LINEやSNSを活用した顧客とのコミュニケーションなど、「デジタルマーケティング」を常時行なっていますが、異業種では一般的であるものが、ゴルフ業界ではまだまだ浸透していないのが現状です。 ゴルフ練習場業界の特性として、「異なる商圏」でも「非常に似た事例」があり、「集客力向上の課題」については全国共通。そこで私たちは「全国のゴルフ練習場の仲間づくり」を実現したいと考えます。すでに数社と連携が始まっており、その内容の一部は下記の通りです。 お互いの売上や来場データの全てを持ち寄り、徹底的な傾向分析や対策の共有をして最善策を講じる。この点がDXを活用した「すべてのサービスの最適化」となる。 また、施設により異なる販管費・施設管理費予算の有無や、店舗のスケール感において事例を共有し、弊社のシステムやノウハウを提案。この点が「業務効率化によるハードとソフトのアップデート」となる。 その他にも、当店のホスピタリティサービスに基づいたオペレーションマニュアルの共有や、補助金、助成金を活用したファイナンスサポートなどがあります。 弊社の強みは「直営店舗」があることです。そこで1年間チャレンジしてきた成功事例や、もちろん失敗例も活用した新たな施策を、出来るだけ多くのゴルフ練習場に広めていくことを『事業』としてスタートします。本事業を通して、 →集客が向上、収益が安定し更なる投資につながる。 →顧客満足度が上がり、来場数増、練習場全体が盛り上がる。 →新規ゴルファーが創出され、ゴルフ人口増によりゴルフ場、用品へも波及。 →「ゴルフ業界の発展」につながり、全国の「地元への地域貢献」につながる。 1年間寄稿した本連載を通して、様々な挑戦やその背景、新規施策や顧客の反応など、リアルタイムでお伝えしました。「地方創生×ゴルフ市場の活性化」というビジョンをもとに、今後も当社ならではの挑戦を続けてまいります。今号をもって終了となりますが、今後ともぜひご期待頂けますと幸いです。 これまでお読み頂きました皆様に改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年05月29日
    この連載も11回目となり、いよいよ次回が最終回となりますが、改めて私の経歴をご紹介します。 弊社の代表に就任する以前は、不動産ポータルサイトのHOME’Sを運営する株式会社LIFULL(ライフル)に勤めていました。在任期間は2007年から7年間で、この間は従業員数が100名弱から約1000名に増えるなど、急成長していた時期で、学生の人気企業ランキングでは常に上位でした。 同社には「日本一働きたい会社プロジェクト」がありました。人事部が制度を作るのではなく、他の社員がプロジェクトリーダーとなり、どんな会社であれば社員が幸せになれるのかを考えるプロジェクトです。当時私も立候補し、「組織を作る」という業務を担当しました。 このプロジェクトには井上高志社長(ライフル創業者・現社長)も参画。我々は起業の想いや様々な経験談を直接耳にしながら、会社をより良い組織に構築することを考える貴重な時間を過ごしました。 そして、この時の経験から「社長のリーダーシップ」「人財が集まる風土」「人が育つ教育プログラム」の重要性が、今の私をつくる大きな学びとなり、その学びから当社は以下の3つを大切にしています。 1)ビジョンの共有と徹底 組織においてビジョンやミッションは重要だが、単なるスローガンで形骸化するケースも見られる。自社にとって何のためのビジョンなのか? ゴルフ業界が厳しい時代を迎えるからこそ、業界の課題を理解した上で活性化に寄与できる組織運営を遂行する。それに必要なのがビジョンであり、スタッフ全員にその本質の理解を徹底させる。 「地方創生×ゴルフ市場の活性化」 これが当社のビジョンであり、地域資源を活用しつつ、より多くの人がゴルフの楽しさを感じるきっかけをつくることで「地域経済とゴルフ業界」の活性化に貢献する。 全ての活動の判断軸に、上記のビジョンを明確に据える。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/04/RG_mito_0424_3661.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-71652" /> 2)『利他主義』 これは私自身の理念であり、コーポレートカルチャーとなるもの。スタッフ、お客様、お取引先様、その他当社に関わるすべての人に、我々と「出会ってよかった」と感じて頂ける行動をするという揺るがない指針が「利他」である。どの企業でも社員の組織に対する貢献意欲に濃淡があり、一枚岩になりきれないという課題があるが、当社では「利他主義」を行動基軸として解決に導く。 4つの利他 ・会社からスタッフへの利他 スタッフを採用する際、当社で働く「2つの価値提供」を約束する。 会社の利益を上げることで給与を上げること/仕事を通じて自身の成長の機会を提供すること 会社全体の利益が上がっているのに、人件費を抑制することは絶対にしない。スタッフ本人の真摯な努力は「給与待遇の向上」と「自分自身の成長」という2つの報酬につながり、成果を上げたスタッフには必ずそれを提供する。 ・スタッフからお客様への利他 すべてのお客様に「出会ってよかった」を感じて頂くために、スタッフ全員が心を込めてご案内する。当たり前に聞こえるかもしれないが、これを実行し続けることで「利他の心」が当社の企業文化となる。 ・スタッフ同士での利他 スタッフ全員が協調性をもって円滑に仕事をすることはとても難しいが、スタッフ同士のコミュニケーションでは相手が求めていること、感じていることを察して行動する。 ・会社からお取引先様への利他 発注元がお取引先様に対し、上から目線で接する場合があるが、当社は「発注元だから」という考え方ではなく、双方の関係は対等であり、その上でどうすればお取引先様が当社に対して、より良いものを納める為に頑張りたいと思って頂けるかを第一に考え行動する。 何よりも、会社が全スタッフへ利他主義を実践すれば、スタッフ→お客様→お取引先様という形で利他が循環するため、ロイヤルグリーン水戸に来てよかった、株式会社ウィルトラストの仕事を担当できて良かったと、プラスの循環ができ、自社の成長につながると信じている。 3)夢を尊重したスタッフ教育 会社経営で最も大事なのは、人財教育であると考えている。特に当社は「サービス業」(装置産業ではなく)なので、最後の決め手は人になる。どんなにすばらしい戦略や理論を構築できても、また、店舗をお洒落で華美にリニューアルしても、そこに関わるスタッフがいなければ成功に導けない。 当社のスタッフ教育の基本はやりたいことをさせ、自ら成長の機会を得たくなる仕組み作りを意識。そのために半年に一度、社員面談で各人の夢を確認しながら半期を振り返り、評価を行った上で、次なる課題と目標を設定する。 その夢が当社で実現できそうなことであれば、会社も一緒にその実現に向けて準備を進め、当社ではなく違うフィールドに移るならば、そこに向けて必要なスキルを当社の業務で養えるよう指導する。 個人が判断する集団 以上が、前職の学びから構築した当社の組織作りの根幹です。私が代表取締役に就任して今年で10年目を迎えます。初めは私の考えや方針に対して否定的な声も聞こえましたが、根気強く、ブレずに続けた結果、スタッフの考え方に変化が見られ、今では一人一人が仕事を楽しみながら取り組んでいる手応えを感じます。 とはいえ、課題は沢山残されています。私が目指す組織は、上司が管理しなくても、自分自身で制度や状況を把握、試行錯誤しながら個々に意思決定できる集団です。今後はプロジェクトの担当を任命せず、自ら手を挙げた者をリーダーとする。一度任せたら、そのリーダーを徹底的に信じ、やり遂げるまで見守る。失敗の責任は私が取る。そんな方針で組織を作っていく考えです。 「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」 この言葉は、私の大好きなアフリカの諺ですが、今号のテーマに「組織づくり」を選んだのは、前職で経験した仕事内容と、ゴルフ業界の現状にギャップを感じる部分があったからです。ゴルフ練習場の多くは人件費率に目標を設定し、省人化を目指していると思います。「人財」への投資を積極的に行う企業も見られますが、それでも急成長中の他業界との差は大きいと感じます。 私自身、ゴルフ業界の既定路線を踏襲すれば、経営効率を考えて人件費を抑え、利益体質の企業を目指すべきと考えることもあります。しかし、既成概念に囚われず、業界に風を吹かせ、新たな価値創造を実現することが自分の志と心得ます。 そのため、あえて組織を大きくし、たとえ目先の利益が多少薄くなったとしても、新しいことに挑戦できる盤石な組織を作っていきたいと考えています。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年04月27日
    2月と8月の商売は、低調だと言われます。「二八(にっぱち)」という言葉もあるように、ゴルフ練習場も同様で、売上が年間を通して最も厳しい数字になります。 年末から年明けにかけて、連日最高気温が10度を下回り、客足が鈍くなってきました。そこで、これから最も厳しい2月を迎えるにあたり、ROYAL GREEN Mitoの冬対策を紹介したいと思います。参考にして頂ければ幸いです。 本業以外での収益をつくる 当店はこれまで、ゴルフ練習場以外の収益モデルをつくれなかったことが課題として残っていました。練習場として客足が鈍る夏や冬場に、自社の強み、自社のコンテンツを活かした新しい収益モデルをつくれれば経営はグッと楽になる。そんな想いを以前から抱えていました。 そこで2021年はふたつのことにチャレンジしましたので、以下に詳述していきます。 <strong>その1 企業イベント提案</strong> 『自動車ディーラーのショールームに顧客向け感謝祭イベントを提案』 ○顧客(ディーラー)の目的:既存顧客に向けた感謝祭を行うことで、満足度を高め、次回買い替えの際も自社の商品を選択してもらえる ○集客人数:100名 ○提案内容(感謝祭コンテンツ):1)ゴルフレッスン 2)ゴルフアパレル展示会 3)パター対決 4)コスメブランドの体験会 5)人気スイーツとコーヒーのサービス 私たちは、ゴルフレッスン・当店の取扱ブランドの展示・パター対決を担当。感謝祭に来場されたお客様へのプレゼントや、パター対決での景品などは全てROYAL GREEN Mitoの商品、サービスが採用され、売上総額はゴルフ練習場祝日の売上を超えました。 イベント当日は私も接客しましたが、レッスンなどイベント全体の満足度が非常に高く、ディーラーからも高い評価を頂きました。富裕層に当店のPRをでき、その後、来場につなげることができたこのイベントは、本業以外の収益モデルとして確かな手応えをつかみました。 <strong>その2 ROYAL GREEN Mitoで結婚式の2次会</strong> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/RG_WD_PARTY_04.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-71235" /> 12月末、結婚式の2次会を当店2階で開催しました。計100坪の2階にはレストランやダーツ、ビリヤードのスペースを新たに設け、リニューアルオープンからどうしてもトライしたい企画だったので、初めての受注に念願が叶いました。 ポイントは、参加者全員がゴルファーではない中で、新郎新婦や出席者が幸福感に包まれる時間を演出することです。お料理は自社での提供だけではなく、地元企業の飲食店と協業しました。この店は地元の食材を活かした料理が得意で、当日のメニューについては結婚式2次会らしさが出るものをご用意していただきました。 2次会の内容は弊社の若手スタッフが中心に考え、トップトレーサーを活用したゲームや、ROYAL GREENの空間を活かした企画が好評でした。参加者は約50名で、費用は一人5000円。2階フロアのみ、3時間のイベントで祝日一日分の売上と同額でした。 以上のふたつの実績は、大きな自信になりました。1番目の企業向けイベントは、自動車ディーラー以外でも可能なので積極的に法人営業をします。結婚式の2次会は、アレンジすれば企業の社員イベントや誕生日会など様々な展開が可能です。このようなチャレンジを続けながら、当店が目指すGolf &amp; Entertainmentスタイルを構築していきます。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/RG_Mito_WED_QR.png" alt="" width="610" height="610" class="size-full wp-image-71236" /> 結婚式の二次会の様子をまとめたムービーをご覧いただけます <h2>厳しい季節環境こそホスピタリティ経営の好機</h2> 私は2月・8月の厳しい時期は、テンションが上がります(笑)。売上は他の月に比べて落ちますが、お客様に感動を与えられるチャンスがたくさん生まれる時期だけに、様々なトライ&エラーを重ねます。 私が代表取締役に着任した9年前からずっと続けているのが、ホッカイロと暖かい飲み物(アールグレイ等)を無料で提供するサービスですが、ただ単に配るのではなく、1時間毎にスタッフが打席を周り、一人ずつ丁寧に言葉をかけていきます。 「本日は寒い中ご来店頂きありがとうございます。少しでも温まりながら練習して頂きたく、ホッカイロとお飲み物をご用意しました。よろしければお召し上がりください」 このサービスは例年、お客様に好評です。私もスタッフと同じように打席まわりをしますが、皆様の笑顔を見るととっても嬉しくなります。他にも「女性客にブランケットを提供する」「昼間は日当たりが良く暖かい打席から案内する」なども、当店のホスピタリティサービスとして徹底しています。 ここで最も大切なのは、提供するスタッフが、お客様に感動を提供することの価値を理解して、その気持ちをもつということです。全スタッフが「お客様に喜んで頂きたい!」との気持ちで一つ一つの施策を実行できれば、お客様はROYAL GREENのファンになり、厳しい冬であっても、数多く足を運んで頂けるようになると思っています。 <h2>チャージキャンペーンの仕掛けと成果</h2> 当店では、夏と冬の前にチャージキャンペーンを行います。通常は1万円のチャージが最高額で、10%のポイント還元をしていますが、キャンペーン時は3万円(20%還元)、5万円(25%還元)と、非常にお得なプランを用意します。さらに22年3月末までにチャージ分を消化すると特別ボーナスポイントが付与される特典も用意しました。 とはいえ、冬場に3万〜5万円を打席で消化するのは難しいと思われがちなので、ボーナス達成のコツをお客様にこう伝えます。 「2階にグループ打席がございますので、代表の方がまとめてお支払い頂けます。お友達と忘年会・新年会としてご利用されてみてはいかがでしょうか?」 反応は良く、5万円のチャージが目立つようになりました。 <h2>ICカードで取得できるデータの可能性</h2> ICから取得できるデータは、繁忙期・閑散期ごとに戦略を変えてマーケティングに活かせます。2022年春には、より効率的に集客を可能にするシステムも独自で開発する予定ですので、当連載で進捗内容を報告していきます。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年03月30日
    新年明けましておめでとうございます。昨年はROYALGREENMitoのリニューアルなど多くの挑戦をした年でしたが、今年も失敗を恐れずチャレンジしますので、よろしくお願い申し上げます。 さて、2021年11月は、当店にとって最高のひと月となりました。 当店独自の施策が実を結んだという手応えを感じましたので、本号ではその内容を紹介します。具体的な数字は控えますが、前年比で記載しますので、参考にしてみてください。売上と前年比は次のとおりです。 ゴルフ練習場=166% レッスンスクール=600% 物販=300% 以上に法人売上が加わり、合計で243%と大きく飛躍しました。 当店では「練習場部門」の売上に関して、データ分析と施策に関わる議論をスタッフ全員で行っております。図1は11月現在、約8000名にICカードを発行し、顧客の住所、チャージ金額、来店頻度などを抽出、細かく分析したものです。 最初に「商圏分析」(※図1)です。リニューアル前は、顧客全体の70〜80%が半径10㎞圏内(車で約15分)の近隣客でしたが、4月のリニューアル後は確実に商圏が広がり、茨城県内でも遠距離、さらに東京・千葉・埼玉・栃木・神奈川からの来店客も増えました。しかし、来店頻度を見てみると、半径10㎞圏内からが45%にも関わらず、月1回以上の来店客が全体の35%に留まっているため、近隣客を再来店につなげる余地はまだまだありそうです。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/isozaki_graph-1.jpg" alt="" width="788" height="825" class="aligncenter size-full wp-image-71136" /> 課題は、近隣客のリピート率の向上と、中域・広域客が再来店したくなる仕掛けづくりです。そこで、10月から様々な仕掛けを行いました。 <h2>エリア別顧客へのアプローチ</h2> 当店では、初来店のお客様に対して顧客情報(住所や年齢)を確認した上で、必ず次の質問をします。 ◯近隣客の場合 ・普段はどちらの練習場を利用されていますか? ・ゴルフの練習の頻度はどのくらいですか? 近隣客は継続利用が見込めます。 当店の良さを一度で感じて頂くのは難しいかもしれませんが、二度三度来店されれば必ず満足頂けるので、再来店につながる初回来店特典を用意しました。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/isozaki_graph-2.jpg" alt="" width="788" height="668" class="aligncenter size-full wp-image-71139" /> 新規客は「2000円チャージ」が圧倒的に多いのですが、初回ICカードの発行手数料300円と、1日利用単価平均1200~1300円で考えると、2000円では次回来店分のチャージがほとんど残りません。そこで、チャージ残高が多ければ再来店の動機づけになるという仮説を立て、「3000円以上チャージ」には特典(60分の打ち放題券をプレゼント。3000円チャージ1枚、5000円チャージ2枚、1万円チャージ3枚)を付与。その結果、練習回数の多い人はほぼ3000円以上、さらには初来店にもかかわらず1万円のチャージも見られるようになりました。数字で見ると、実に73%のお客様が3000円以上のチャージをしてくださることになりました。こうして、近隣客の当月中の再来店獲得に繋げることに成功したのです。 一方、広域客へのアプローチは、当日利用の「現金払い」よりも、ICカードにメリットを感じてもらうため、ICカード利用時は現金払いよりも安くなるように設定していることを積極的に告知、高額チャージの促進を図りました。 さらに県外利用者のほとんどが、当店近隣のゴルフ場でプレーする前後に来店していることが分かりました。そこで、当日のゴルフ場のレシート提示で割引になる特典を用意。 今後、近隣ゴルフ場にもこのサービスを伝え、積極的に相互送客を促進していきます。 <h2>LINEでコミュニケーション</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/isozaki_graph-3.jpg" alt="" width="788" height="306" class="aligncenter size-full wp-image-71138" /> 次に、LINEを使ったマーケティングについて説明します。 2021年夏以降、LINEの「お友達登録促進キャンペーン」を打ち出しました。これにより4か月間で約2500人が増加、11月現在の登録者数は6409名です。一般的な店舗アカウントでのLINEブロック率の平均は、広告代理店調べによると40%前後。当店のブロック数は569(8・8%)と非常に良い数字になっています。なぜ、登録数を伸ばしながらブロックされず、顧客と良好なコミュニケーションがとれたのか? その要因は次の通り。 ◯四半期毎の施策とセグメント配信 例:「10月~12月LINEキャンペーン LINEお友達で最大10倍ポイント(P)付与」 100球利用 通常10P→50P 打ち放題 通常10P→100P このキャンペーンは12月末で終了し、1月以降は新たなキャンペーンメッセージを配信します。引き続き特典を受けるには、配信画面をフロントスタッフに見せてICカードへ登録する仕組みです。そのためアカウントをブロックすると、メッセージが受信できず、1月以降の特典を受けられません。初回のLINE登録案内時に、当店スタッフから、 「ブロックすると次回の特典を受けられないので、ブロックせずにメッセージをお待ちくださいね」 と伝えることで、低いブロック率を維持できているのです。 また、メッセージ配信をする際には十分な注意を払います。それはブロックされるタイミングで最も多いのが、「不要だと感じるメッセージを受け取った時」だからです。 性別、年齢、活動エリア等を分析した上で、サービスの対象客にセグメントして配信することで受信のストレスを軽減。受信者が喜ぶメッセージを届けています。 私たちが大切にしているのは「安売りをしない」ことです。単純な値引きで来店を促すのではなく、再来店につながる特典を用意し、「当店の魅力を二度三度の来店で感じてもらうことによる顧客化」をゴールに設定しています。 現在、ICカード登録者数では年齢構成が20〜60代で満遍なく分布していますが(9月号参照)、一般的に年齢と来店頻度は比例して高くなる傾向です。そのような状況を踏まえれば、冬場は寒くて来場者が減少したから値引きで集客しよう! ではなく、顧客属性ごとに、どのタイミングで、どんな特典を、どのように提供すれば喜んで頂けるのか? そのことを常に考えています。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年03月20日
    日本生産性本部は先頃、「レジャー白書2021」を発刊しました。これによると2020年のゴルフ場でのプレー人口は520万人で、2005年に記録した1080万人から大きく減少。2019年比でも10%ほど減っており、深刻な状況だと指摘します。 とはいえ、このままではゴルフ人口の長期減少は確実でしょう。少子高齢化はますます進み、団塊の世代が後期高齢者に突入すればゴルフリタイアも発生します。厳しい将来を覚悟しなければなりません。 そのような状況下、我々ゴルフ練習場こそが、日々新しいゴルファーを生み出す施策を打ち出し、実行する必要があります。そこで本号では、当店が最近始めたサービスと、顧客との触れ合いから生じたエピソードを加えつつ、市場活性化のヒントを探っていきたいと思います。 地元企業との連携で生み出すゴルフ&エンターテインメント この連載の1回目のタイトルは「ゴルフ練習場をやめます」でしたが、その真意は、従来の練習場の運営方針をガラリと変えて、単に練習するだけの場所ではなく、エンターテインメント性を加えながら「大切な人と豊かな時間を過ごす」を新たな理念に掲げました。 現状、ゴルフへの注目は高まっており、今年のゴルフ場来場者数はコロナ前の水準を超えるところも目立ちますが、実は「売上」でみると減少局面は明らかです。理由は、表彰式や飲食を伴う『ゴルフコンペ』が極端に少なくなってしまったことによる、客単価の低下です。 たとえば145コースを運営するPGMの昨年実績は、客単価91・3%でした。今年上半期には回復傾向が見られましたが、減少の月も散見されます。企業が主催する大型コンペが軒並み中止、飲食やお土産需要が大幅に減ったのです。 これにより悪影響を受けるのはゴルフ場だけではありません。当店では年2回、ROYAL GREENのお客様向けに約80名規模のコンペを開催し、顧客との関係を深めてビジネス面でも大きなメリットを得てきました。もちろん当店だけではなく、自動車ディーラー、保険代理店、IT企業、不動産企業など、多くの企業が様々な目的でコンペを開催していました。その機会が失われたことは痛手になると思います。 そこで弊社は、ゴルフ場でのコンペに替わる提案をして、お客様から喜んで頂きました。まずはその内容を紹介します。 <h2>TTRを活用した1か月間のロングラン「バーチャルコンペ」</h2> 10月に100名超の大規模コンペを予定していた、茨城県水戸市内に支社を持つA社は8月下旬、新型コロナの影響で2年連続コンペの中止を決めました。ただ、先方より「2年連続の中止を参加者に伝えるのは忍びない」ということで、代替案の有無を打診されたのです。 そこで弊社はROYAL GREEN Mitoでトップトレーサー・レンジ(TTR)を活用したロングラン・バーチャルコンペを提案、実現しました。内容は以下のとおりです。 ・打席は、コンペ同様4名で楽しめる2階グループシートの大型ソファを事前予約にて使用 ・ルールと競技方法はコンペさながら、TTRの「バーチャルゴルフ」セントアンドリュースInコースにて新ぺリア方式、HC上限36で設定 ・コンペに必須のドラコン・ニアピンイベントは、TTRのドラコン・ニアピンモードで、いずれも一球限定で行う 開催は10月1日~11月10日で、計100名が参加。賞品等を含めた合計売上は約30万円となりました。 この提案を実現するにあたり、当店はA社に次の約束をしています。景品の選定、参加者の予約管理、当日の進行案内、新ぺリア方式の集計(隠しホールの設定等)のほか、プレー中の「盛り上げ役」も当社のスタッフが行い、徹底的に盛り上げますと約束したのです。 9月末の受付開始から予約枠が勢いよく埋まり、平日、土日祝日問わず連日のように参加者が来店。本番では、未体験の「バーチャルラウンド」やコンペ概要に多少戸惑いの表情はありましたが、プレーが始まるとすぐにやり方を理解して、9ホールのハーフコンペを約2時間、友人や家族と楽しむ姿が見られました。日没後もプレーでき、天候に左右されないことも、ゴルフ場とは異なる魅力です。 参加者のうち4割は新規の来店者で、茨城県全域から集まったため顧客開拓にもつながりました。プレーを終えた参加者の多くが「とっても楽しかった。初めてだけどこんなコンペもありだね」と、沢山の笑顔を見ることができました。 今回の試みは、練習場でコンペを行なうという新たな企画につながりそうです。様々な来場者がゴルフを楽しめる機会を自ら企画し、発信することで、売上の向上にもつながります。現在、当店の客単価は1200円となり、これは4月のリニューアルオープン前に比べて160%ほど高まっています。 <h2>リニューアル後も変わらず支えてくれる昔からの顧客</h2> 9月下旬、10年以上前から足繁く通うお客様から嬉しい相談を受けました。人生で2度目のホールインワンを達成したので、記念品を提案してほしいとのこと。そこで、当店の体験レッスンチケットと刺繍入りの記念品を提案、喜んで頂けました。 同じ頃、別のお客様からエージシュートを50回達成したので記念品を提案してほしいとの依頼も。実は初めてのエージシュートが当店主催のコンペで、私が同伴プレーヤーでした。あれから記録を50回まで伸ばしての記念品の依頼だけに、とても嬉しく、心を込めて記念品を作ろうと現在制作中です。 2人とも長年の顧客で、リニューアルに伴い単価が上がったにも関わらず、「素敵な練習場になって嬉しいよ」「若い人たちの挑戦を私たちが応援しないとね!」と応援してくれるのです。 前号で、神戸ゴルフ倶楽部の体験記を書きました。日本最古のゴルフ場から学んだことは、変えるべきこと、変えてはいけないこと、そのふたつがあるということです。 変えてはいけないこと――。それは、喜ぶ顔を見るために、誠心誠意努める姿勢に尽きます。次号の誌上ライブもお楽しみに! <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年03月13日
    コロナ禍が落ち着きを取り戻しつつある中で、ROYAL GREEN Mitoの2階・グループシートには、家族や恋人、友人同士が楽しむ姿が戻ってきました。「ゴルフの練習」が目的ではなく、トップトレーサー・レンジのゲームモードで遊んだり、子供とソファでくつろいだりと「大切な人と時間を楽しむ」ために集まっているのです。当店のコンセプト「ゴルフ&エンターテイメント空間」が受け入れられてきた、私はそのように受け止めています。 本来、この連載は当店が連発する様々な試みや挑戦を誌上ライブでお届けすることが主旨ですが、今回は少し毛色を変えてみます。実は9月16日に、日本最古のゴルフ場「神戸ゴルフ倶楽部」でプレーする機会を得たのです。ゴルフ業界に入って以来、一度は訪れたいと思っていただけに念願が叶いました。 そこで、本稿では神戸ゴルフ倶楽部とROYAL GREEN Mitoの在り方を照らし合わせ、私なりにゴルフ文化・事業はどうあるべきかを書きたいと思います。 歯応えがありすぎるテーマですが、この仕事の原点回帰の意味を込めて執筆に挑戦します。 <h2>仲間と集う最古の俱楽部</h2> 神戸ゴルフ倶楽部の誕生は1903年、今から118年前のことでした。創設者は英国人貿易商のアーサー・ヘスケス・グルームで、同氏はある日、六甲山山頂の別荘で、友人たちと故郷イギリスで盛んだったゴルフの話になり、突然「ここにゴルフ場を造ろう」と言い出したとか。なんと、グルーム氏はゴルフ経験がなかったそうです。 「友人と過ごす場所(ゴルフ場)を自分たちの手で山頂に造る」――。そんな突拍子もない発想は、ゴルフ練習場を従来の概念とはまったく異なる発想で再構築したいと考える私にとって、大いなる刺激と親近感を与えてくれました。 小さな木造のクラブハウスには、往時の写真が飾られています。異国の地で貿易を営む仲間たちやその家族。建設の風景や近隣に住む日本人キャディの子供。その写真ひとつひとつを池戸秀行支配人は、丁寧に説明してくれました。私は話を聞きながら、グルーム氏がこの地に「ゴルフを仲間と楽しむ文化」を移植したこと、以後118年間、その文化を守り伝承してきた人々の労に感謝の念を覚えました。 <h2>神戸ゴルフ倶楽部を歩いて</h2> 現代のゴルフはパー72がほとんどです。より遠くへ飛ばし、より少ないスコアでプレーすることがゴルフの楽しさを代表します。多くのゴルフ場は、こうしたゴルファーのニーズをほどよく刺激して、難しさと優しさを織り交ぜた絶妙なコースセッティングを施します。カートナビや高性能のゴルフクラブがプレーヤーをサポートし、快適なゴルフライフを提供することで、日本のゴルフ産業は発展してきました。 一方の神戸ゴルフ倶楽部はパー61で、当初から「神戸ゴルフ倶楽部ならではの過ごし方」を提供しています。実際にプレーしてみて驚きました。コースは平らなところが一切なく、ホールアウトするには体力が必要です。30代で体力に自信がある私も、ゴルフなのか、山登りなのか、わからなくなるほどでした。 昔、来場者は「籠」に乗ってゴルフ場へ通ったそうですが、開場前の造成は想像を絶する苦労があったと思われます。機械はなく、ほとんど人力で山を切り開いたと思わせるアンジュレーションが、やわらかな凹凸をつくります。当日は薄曇りでしたが、六甲山頂のゴルフ場から神戸港を一望できます。我々は誰一人スコアをつけず、最古のゴルフ場を全身で味わいました。 我々をフォローをしてくれたのが神戸ゴルフ倶楽部の学生キャディです。一人で4人分のキャディバッグを担ぎ、登坂します。その負担を軽減するため、通常の14本ではなく10本に絞り、ゴルフ場の軽量バッグに入れ替えます。事前にコースレイアウトを見ながら、どのクラブを選ぶかを考えるのも楽しいものです。 ほかにも沢山、「神戸ゴルフ倶楽部ならではのゴルフ文化」を体験しましたが、私が最も印象に残ったことは、個々の物事ではなく、個々の事象の全体が俱楽部の文化として大切に守られ、118年間、変わらず愛されてきたことです。ここに、ゴルフ界を活性化する大事なヒントが隠されていると感じました。 神戸ゴルフ倶楽部が変わらず提供してきた価値は「仲間とゴルフを楽しむ時間」そのものだと、私なりに解釈した次第です。 <h2>「神戸」から学んだ温故知新</h2> 改めて触れるまでもなく、日本のゴルフの発展史には多くの人々の功績がありました。ゴルフ場設計の名匠達(井上誠一、上田治、富澤誠造氏ら)が丹精込めて造り上げたゴルフ場でプレーすることが、ステータスとなったこと。AON(青木功、ジャンボ尾崎、中嶋常幸)が展開した息詰まる熱戦の数々が、ゴルフファンを増やしたこと‥‥。ゴルフ市場の発展は、素晴らしいゴルフ場の開発と、スコアを競うゴルフのプレースタイルが日本人の気質に合ったこともあるでしょう。 この間、神戸ゴルフ倶楽部は六甲山頂で孤高を保ちました。パー72へ変更したり、より戦略的なコースレイアウトに改造したら「売上」はもっと伸びたかもしれません。しかし変えることはしなかった。 主観ですが、時代に合わせた変更は「仲間とゴルフを楽しむ」という思想的価値と、相容れなかったからではないでしょうか。 今、ゴルフ界に求められていることは、変化の乏しかった業界に新風を吹き込み、新たなニーズを開拓することだと私は信じています。だけどその一方で、変えてはいけない不変的な価値もある。そのことを神戸ゴルフ俱楽部から学びました。私たちがイノベーションを起こす際にはこの原点をしっかりと理解して、その上で発想しなければなりません。 弊社が描くビジョンは、自社の売上・利益を求める以上に、ゴルフ界に新風を吹き込み、「ゴルフの多様な価値」を生み出して、業界の活性化につなげるところにあります。 ROYAL GREEN Mitoを通じて、より多くの人々にゴルフの楽しさを伝えたい、ゴルフを通して「大切な人と共に過ごす時間」を提供していきたいと改めて強く思いました。 今号は、大きな気づきを得た神戸ゴルフ倶楽部での体験を、どうしても書きたかったのです。次号からはROYAL GREEN Mitoのリアルな挑戦をお届けしていきます。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年02月27日
    当店が所在する茨城県は2021年8月8日にまん延防止等重点措置が、8月20日には緊急事態宣言が発出されました。感染リスクが少ないことで追い風を受けてきたゴルフ業界ですが、ついに弊社店舗(水戸店)にも『営業時間の短縮や入場制限への協力』要請が出されたのです。 建築物の床面積が1000m2超の商業施設は、午後8時以降の営業自粛と入場制限(通常時の2分の1)を要請するというものです。 要請に従い、引き続き細心の注意を払った店舗運営を進めますが、スタッフの夜間勤務シフトがなくなった今だからこそ、事業部横断的な全体ミーティングを増やし、今できることと今後の施策を練り直すなど前向きなチャレンジを続けています。 さて、本稿ではゴルフ練習場における「物販」について実践的な考察を展開したいと思います。 ゴルフ業界では一般的に、練習場では廉価な消耗品(ボールやグローブ等)以外の販売は難しいと言われています。その理由は、来場者の目的は「練習」であり、ショッピングではないから、です。 一部の練習場では施設内に大型中古チェーン(ゴルフパートナー、ゴルフ・ドゥ等)が併設され、物販の売上を確保していますが、これはショップのブランド力によるところが大きいと推察します。 2021年4月、リニューアルオープンをする際に、私たちは「練習場では本格的な物販は難しい」との常識を打ち破るべく、売場面積約13坪の「ショップ&ブティック」を1階に設けました。そのコンセプトは、 1、ROYAL GREEN Mitoでしか購入できない商品 2、ROYAL GREEN Mitoで購入することのメリット この2点を追求しています。 まずは「1」についてですが、この商圏で当店でしか扱っていない商品を仕入れることは、特にハイエンド系のブランドにおいて非常に難しいことでした。 が、行動しなければ何事もはじまりません。当店の経営指針は「Golf &amp; Entertainment」及び「新規ゴルファーの創出」であり、この点を基に調査した結果、渋野日向子プロが全英女子オープン制覇の際にアパレル契約を結んでいた『BEAMS GOLF(ビームス ゴルフ)』にアタックしたのです。 2021年1月、奇跡的にビームス原宿本社にて商談の機会を得、リニューアルの構想とイメージボード、そして熱い想いを約1時間に凝縮、ダメもとでぶつけました。その結果、 「ビームス ゴルフのビジョンと重なる部分が非常に多く、同じ想いを持っていると感じました。ぜひお取引をしませんか」――。 その瞬間、わたしは耳を疑いました。実のところ、茨城県水戸市のはずれのゴルフ練習場では相手にされないと思っていたのです。 <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/02/IMG_1271.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-70508" /> さらに、2021年にデビューしたブランド『UNBIND(アンバインド)』との取引も決定。一般的なゴルフアパレルとは一線を画し、3S(SKATE/SURF/SNOW)を原点に、ストリートファッションとしても通用するウェアのデザインやコーディネートに加え、特殊素材を用いるなど機能性も備えています。 デザインと機能を両立したベルトレスのグローブや、特殊繊維が織り込まれたグリップ力の高いソックスは多くのリピート顧客を生み出しています。いずれも県内の練習場では当店が唯一の取扱店です。 両ブランドの共通点は「ゴルフの新しい楽しみ方を多くのゴルファーに伝えたい」という想いで、従来のゴルフアパレルにはない独自の世界観が、商品1点1点に凝縮されています。 それらが先述した当店の「ショップ&ブティック」のコンセプトとしっかり噛み合っており、売場は前記2社とシューズのアディダスに厳選して展開しています。 <h2>三位一体型の販売</h2> 次に、ゴルフギアです。こちらはテーラーメイド、キャロウェイ、スリクソンのほか、地クラブを含め30ブランドからセレクト。 さらに独自のポイント戦略を考えました。ECが普及した現在、弊社の規模では単純なポイント戦略では太刀打ちできません。 近隣には新品・中古の大型量販店が、大量仕入れによるコストメリットを駆使したポイントと品数で勝負するため、同じ土俵には乗れません。そこで、当店独自の購入メリットを2つ構築したのです。 1、当店独自で提供できる付加価値 私たちの強みは「ゴルフを練習する環境」を提供できること。そこで初心者向けクラブセットの販売にはゴルフスクールとの「セット割」を含めたサブスクリプションサービスをつけました。 具体的には、クラブセットとレッスン・スクール料金をセットにして、12か月割賦で提供。その際、スクールは半額になる特典を付与します。また、ファッション性が強く単価の高いアパレルの購入者には、近隣ゴルフ場のペアや特別招待券をセットに販売します。 2、当店独自の方法での商品案内 クラフトマンがお客様のスイングに合うクラブを提案、調整する既存のやり方に加え、レッスンプロがフィッターとして加わり、「スコア向上に必要なクラブ選定」の視点で提案します。 いわゆる三位一体の販売は非常に高い評価を受けており、リニューアルに伴い取扱ブランドや品数を増やしたことで、約3倍の売上増となりました。 7月に開催した1ブランドの販売会では、2日間で100万円超の売上を記録しましたが、その要因としては、事前の完全予約制に加え、会員限定PRIVATE ROOMでクラフトマンとレッスンプロが同席して、試打を交えて1時間半、徹底的にコンサルセールスをしたことと無縁ではありません。 高級感あふれる特別打席で、クラフト&フィッティングのクラブ販売は、まさに練習場ならではと言えるでしょう。 アパレルやグッズについても、フロントスタッフ全員がしっかりと商品について勉強し、知識を身に着けた上で、お客様を観察、コミュニケーションを図りつつ、提案することができています。 これらは接客の教科書にある当然のことかもしれませんが、スタッフが率先して接客のロールプレイングをしている姿を見ると、当店で購入する一番のメリットは、我々の「提案力」だと改めて感じています。 練習場は、消耗品だけではなく、高単価なアパレルやキャディバッグ、スクール生へのクラブセット販売など、専門店に負けない成果を出せます。五輪やコロナ、猛暑などで外出が減った7、8月ですが、想定以上の数字で乗り越えました。次回の誌上ライブ配信もお楽しみに! <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年02月20日
    梅雨の明けた7月末現在、茨城県水戸市のゴルフ練習場「ROYAL GREEN」は猛暑の影響もあり、新規来店数、総来店客数も落ち着きましたが、リニューアルオープンから4か月、累計約6000名の来店客がICカードに登録しています。 そこで今号では、当店の新たな施策と4か月間の顧客動態を分析します。ちなみに我々は施設を「店」と呼びます。業界では「場」もしくは「施設」と呼ぶのが一般的だそうですが、私には「店」と呼称するほうがシックリします。 さて、次の数字は当店会員登録者の年齢構成比です。 20代=19% 30代=17%40代=21% 50代=17%60代以上=16% 合計90%となったのは、10代の登録者と生年月日未記入が数%あったためですが、いずれにせよ、20~30代で36%を占めたことは特筆に値すると思います。周知のようにゴルフ人口は高齢者が多く、確たるエビデンスはないものの、平均年齢は60代前後とされています。 日本ゴルフ場経営者協会による入場者実績(ゴルフ場利用税調査による実数)では70歳以上が25%となり、これに照らしても当店の顧客年齢の若さが際立っています。コロナ禍による20~30代ゴルファーの増加は、同業経営者との情報交換でも実感できます。 ただ、そのような情勢はあるにせよ、当店がリニューアルの際に企画した新たなコンセプトやサービスが若い世代にウケたという感触があり、最大の要因はトップトレーサー・レンジ(TTR)の導入を核にした様々な施策にあります。 TTRはゴルフとエンタメを融合したシステムで、2018年9月、米国から日本に上陸。現在、国内では約40の練習場が導入しています。それ以前、私はTTRを導入して人気だったラスベガスの「トップゴルフ」を視察して、衝撃と感銘を受けました。そこでは音楽、飲食、ゴルフとハイテクの融合で素晴らしい空間演出をしていたのです。この経験が、当店のコンセプトとTTRの導入を決意させました。 とはいえ、我々のコンセプトは「トップゴルフ」の模倣ではありません。『ゴルフボールを打つという時間に、楽しさを加える空間デザイン』にこだわり、TTRの機能を最大限に活かすための議論を重ねました。リニューアルオープンから4か月、成果は着実に現れています。 <h2>TTRを活かす発想術</h2> TTRには大きく分けて二つのモードがあります。1人利用で練習の質を高める「セルフモード」と、誰かと一緒にゴルフを楽しむ「グループモード」です。通常のゴルフ練習場にTTRを導入するとセルフモードの利用が主となり、グループモードはその価値を最大化できません。 そこで当店は「1階エリアをセルフモード」「2階エリアをグループモード」の利用を推奨し、二つの価値を最大化することを決めました。その結果、セルフモードの利用率が全体の65%なのに対し、グループモードが35%と、想像以上にグループ利用を促進できました。 これは、店舗スタッフがお客様一人一人にTTRの使い方、楽しみ方を丁寧に説明した成果です。具体的には、練習がメインのセルフモードは「フリー計測モード」と「クラブ別計測モード」があり、特に後者はマイクラブの練習データ(球数や平均飛距離等)をアプリに保存できるため、個人練習には最適です。利用者は日々の練習内容を記録して予習・復習に役立てられます。 新規ご来店のお客様には、打席までスタッフが誘導し、TTRの各モードを説明、アプリのダウンロードを促しますが、これには通信インフラが必要です。当店は1、2階合わせ全84打席にTTRを設置していますが、全打席でスムーズにつながるWi-Fiネットワークを新たに完備。 これが威力を発揮した結果、他のTTR導入施設のアプリダウンロード率は約20%なのに対して、当店は36%になっています。 <h2>2階の新活用法で売上アップ</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/02/RG_mito_0410_3409.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-70498" /> 次に2階エリアについて説明します。こちらは女性専用の6打席、グループ用4打席など4区画に分類し、女性用打席には1脚60万円のチェアを備えるなど空間演出に注力しています。夜間はチェアに内蔵される照明が灯り、幻想的な雰囲気を生み出しますが、2階はTTRのゲーム機能がメインとなる「グループモード」を推奨。このモードではシミュレーションラウンドやニアピン・ドラコン等のゲームが楽しめます。 本来は4打席設置できるスペースを2打席(通常の1打席幅2・5mを5m)にし、大型ソファのグループシートなどで最多4名までゆったりと利用できます。リニューアル前は1打席2名までの利用でしたが、現在は3~4名以上のグループ利用が増えています。 2名以上のご来店には必ず2階打席の利用を推奨するよう、社内ルールを徹底しました。むろん、強制はできませんが、一度2階エリアを体験すると、その空間に驚かれ、若い世代にはデートコースとしての価値も認めてもらえるようです。 収益面でのポイントは、1打席に4名入った場合、1人当たりの60分料金(1000円)は1階打席(1100円)とほぼ同額なので、打席売上は1打席60分で4倍になります。 従来は1階のニーズが高く、そのため2階の稼働率アップが改善ポイントでしたが、リニューアル前に比べて2階売上は約6倍に急伸しました。これはとても大きな収穫だと考えています。 また、2階打席の利用には、ゴルフ以外にもカフェでのドリンク提供やビリヤード・ダーツの利用料金も全て含まれ、そのことも高い顧客満足につながっています。 グループ利用の促進には、別の利点もあります。たとえば1階エリアに友人4名で来店され、4打席並びで確保できない場合、バラバラになります。場所が離れると会話をするため1打席に集まり、その間「空き打席」が生まれます。これでは満席時にほかのお客様をご案内できず、機会損失につながってしまう。 4名を2階のグループシートへ誘導すれば問題を解決でき、稼働率が高まるわけです。 ただし、一方では課題も浮き彫りになってきました。若い層が楽しく過ごす世界観は、練習に真剣に取り組む顧客から「うるさい」などのクレームになりやすい。その対策として、エリア別に色分けをして、グループ客は同じエリアへの誘導を徹底するなど、課題をクリアする必要性を実感しています。 とにかく、日々改善です。次号の誌上ライブ配信もお楽しみに! <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年02月13日
    今号では2021年4月にリニューアルオープンし、早くも来場者の属性に変化が見えた茨城県水戸市のゴルフ練習場「ROYAL GREEN」の顧客分析記事を書く予定でしたが、どうしても今号でお伝えしたいニュースがありますので、急遽、内容を変更します。 2021年1月、経済産業省から『事業再構築補助金』の概要が発表されました。総予算1兆1485億円、同じく経済産業省の目玉である『ものづくり補助金・IT導入補助金』の予算が2300億円であることを考えると、今回の補助金がどれだけ大きいかわかります。 これは、新型コロナにより大きな影響を受けた企業を支援するための補助金ですが、支援対象の企業やその目的を読むと、弊社も国が目的とする「補助対象企業」になるのではないかと思い、リニューアルと同時並行で申請の準備を進めました。 その結果、私たちは400社限定の卒業枠(補助額上限1億円)に、第1回目の公募で申請(2021年4月28日)。約1万7000社の応募の中で、採択されたのはわずか45社でしたが、弊社も6月18日に採択を勝ち取ることができました。採択率わずか0・2%です。 そこで、弊社が『事業再構築補助金』の事業計画にどのようなプランを描いているのか、なぜ国は弊社に1億円を補助する決断をしてくださったのか、このような視点で本稿を展開したいと思います。 <h2>国が支援したくなる事業とは</h2> 補助金の原資は国民から集めた税金です。私は補助金のそもそもの目的を国の立場に立って考えました。 なぜ補助金という制度が生まれたのか。国が補助することで成し遂げたいことは何か。加えて、現状で起きていること、言わずもがな『新型コロナウイルスの蔓延』についても意識しました。 国が過去最大規模の支援に踏み切った一番の理由は、戦後最悪の危機に直面しているからこそ、日本経済を牽引する企業を後押ししたかったのではないでしょうか。 それらを踏まえ、私は、この補助金を申請するにあたり、最も重要なポイントは、「社会や地域への貢献度」・「企業自体の成長性」この二つだと判断しました。 国のメッセージを私なりに解釈し、私たちが、ゴルフ業界で、日本を牽引する企業になっていこうという強い想いが生まれたので、既存事業リニューアルの挑戦に加え、さらなる次の手を打つことに決めました。 ただし、この補助金による新規事業をスタートするということは、更なる投資という大きなリスクを負うことにもなるので、改めて相応の覚悟をもって進めていかなければならないと、決意しました。 具体的には、5年後の2026年に①従業員100名以上②資本金5000万円以上③売上10億円という数字を国にミッションとして提出しました。未達であれば1億円の補助金は一部返還を求められる可能性もあります。 茨城県内に2店舗で合計2億円の売上規模からすると、一般的には無茶な挑戦と思われるでしょう。 ましてや「ROYAL GREEN Mito」をこの4月に再オープンしたばかりで、多くの課題と向き合う大切な時期に、更なる新規事業に着手し、現状維持が精一杯と言われるゴルフ練習場業界において売上を5年間で5倍以上にする目標を立てたわけで、周囲から「無謀」の声が上がることも想像できます。 しかし、私たちには自信があります。以下、株式会社ウィルトラストのさらなる挑戦の5年計画の一部をご紹介します。 <h2>新事業の二本柱</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2022/02/DSC04117.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-70491" /> その1 ROYAL GREEN Mitoのサービス拡充 ~グランピング・ペット・飲食事業~ 「地域貢献」「エンターテイメント拡充」「商圏の拡大」を意識して、グランピング施設やペット共生による宿泊事業、本格飲食事業を新たにスタートする予定です。 既存のエンターテイメントにペットと共に宿泊できるサービスを追加することで、自然を味わいながら滞在型でゴルフの練習や余暇を過ごすことができるため、地元だけでなく全国からも、利用して頂けるお客様が増えるはずです。 ペット事業参入の理由は、『コロナ禍』にあります。ステイホームもあり、犬や猫を飼う人が急増しました。今はペットと家で楽しい時間を過ごせますが、ワクチンの普及で収束すれば、コロナ感染症によるステイホームは終焉を迎えます。 そうして日常が戻ると、飼育しているペットがいることで外出先を制限されることが増えると予想されます。 そこで、弊社は、ゴルフ×ペット×ツーリズムという考え方で、ペットと一緒に滞在したくなるゴルフツーリズムプランを提供しようと考えています。 飲食事業においては、現在カフェ&バーの形態から、更に投資をし、本格的に食事のできる飲食事業としてスタートさせます。茨城産のおいしい食材を数多く使った料理を提供することで、茨城ブランディングの向上も目指します。 その2 ゴルフ業界全体の次のステップへ! ~ゴルフ業界向けDX事業の立ち上げ~ これから5年間の目標売上達成の肝となる「ゴルフ業界に向けたDX事業」の構築を目指します。 私の前職がデジタルマーケティングの企業だったため、余計にそう感じるのかもしれませんが、他業界と比べてゴルフ業界は、IT化が非常に遅れています。 今後、政府がデジタル分野を推進するにあたり、ゴルフ業界もIT分野での遅れが課題となるはず。裏を返せば、IT分野での遅れを取り戻せれば、ゴルフ業界復活の可能性が高まります。 そこで着目したのが、ゴルフ練習場のICカードならびに今回当店が導入したトップトレーサー・レンジです。ゴルフ練習場で得られる様々なデータを融合し、集客や購買、価格設定に向けてのマーケティングに活用することが本事業の根幹。そのため独自システムを開発予定です。 まずは弊社で導入・運用し、課題を見つけ、準備が整い次第、全国2700のゴルフ練習場に対してデジタルマーケティングの領域で、集客支援やお客様満足度向上、料金設定の最適化などを提案することが目標です。机上のマーケティング論だけではなく、提案先企業と一緒に企画していきたいと思います。 新たにゴルフを始めたくなるきっかけを作るゴルフ練習場が、日本中にたくさん生まれることで、ゴルフ人口を増やし、地方経済・日本経済の活性化につなげていけると思っています。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2022年02月06日
    4月24日、ROYAL GREEN Mito(茨城県水戸市)は全面改修を終えてグランドオープンを迎えました。当日の来場者は400名超と大きな手応えをつかみ、その1か月後、5月24日時点で発行したICカードは約4000人分。 この数字は、目標の135%と絶好調でした。そこで今号では、スタートダッシュに成功した私たちのマーケティング戦略につき、その一部を紹介します。 <h2>広告費をかけず1万4000名(4月24日~5月24日)</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/11/RG_mito_0410_3566.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-69508" /> まず、オープンに際しては折り込み広告やWeb広告など、一切費用をかけませんでした。その一方、有名ゴルフ業界誌から地元誌、新聞各紙含め10媒体以上、さらにはNHKのTVニュース(茨城版)でも放送されるなど、多くの取材を受け、認知度が高まったことがあります。 なぜ、これだけ多くの取材があったのか? 私なりの回答は、当施設が「旧来のゴルフ練習場ビジネスの枠を超えた」と受け取られ、メディアが興味を覚えたのではないかというものです。 弊社が新たな概念でリニューアルに踏み切った背景には、ゴルフ業界を取り巻く『負』を解消したい想いがありました。 この理念を実現するには、前回までにお伝えした通り、『顧客軸』×『業界(ゴルフ)軸』×『地方軸』の3軸を有機的に絡ませ、その結果「従来の枠を超える形」になったわけです。。 「顧客軸」で言えば、新規ゴルファーと既存ゴルファーに加え、ゴルフに全く興味がない地域住民へのアプローチ。それぞれどのような価値を提供すれば笑顔になっていただけるかという観点で、接客サービス・商品開発・リニューアル店舗デザインを設計しました。 「ゴルフ軸」で言えば、過去から現在を俯瞰的に分析して、未来志向の必須要件を考え、取り入れました。 「地方軸」として茨城県内に目を向ければ、魅力度ランキングが毎年のように最下位であるため、『観光』の切り口で『県外から集客して地元経済を刺激する』ビジョンを掲げました。 いずれも、過去の『負』を解消する新たな機軸であり、メディアが注目した所以でしょう。 オープンから1か月、毎日店頭に立ち、接客をしていて驚いたのが、こういったメディアを見た来場者が非常に多かったことです。 報道では弊社の事業コンセプト・経営戦略などの紹介が多く、こういった記事も集客につながりました。 特に、ゴルフ業界関係者や企業経営者が弊社のビジネスに興味を持ったうえで、ゴルフの練習を目的に「顧客」として来店頂いたことは大きな自信です。 <h2>独自のSNSマーケティング</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/11/RG_mito_0410_3543.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-69509" /> 広告費をかけずにリニューアルに踏み切れたもう一つの理由は、私たちならではの『SNSマーケティング』に自信があったからです。SNSというと猫も杓子もTwitterやInstagramが使われていますが、当社が生成に注力したのはUGC(User Generated Content)です。 UGC生成とは、簡単に言うと、一般ユーザーによって作られたコンテンツを生成するということです。 自社としては当然、魅力的な店舗情報をInstagram上で発信しますが、それよりも大事なことは、如何に一般ユーザーがSNSで投稿したくなるか、の仕掛けづくりです。これで火がつけば、当店のコンテンツが一般ユーザーの手によってつくられます。その着火は爆発的で、圧倒的なスピードでROYAL GREENがリーチされていくのです。 私たちが生成したUGCは沢山ありますが、もっとも戦略的に仕掛けたのが「レディースシート」「グループソファ」「プライベートルーム」の世界観でした。写真を撮りたくなる、SNSにアップしたくなる仕掛けです。 インスタ映えという言葉をよく聞きますが、まさにそれです。レディースシートは1脚60万円と高額ですが、夜間には内蔵された照明が内側から灯をともし、幻想的な世界を演出します。 また、グランドオープン前に影響力のあるインフルエンサーを招待。練習打席だけではなく、ビリヤード、ダーツ、カフェなどで楽しんで頂き、みなさん楽しそうに写真を撮っていました。 が、その写真の公開日(オープン3日前)をこちらでコントロールしたのでインフルエンサーが一斉に情報発信、一気にムーブメントを起こせました。 オープン初日からInstagramを見た若い来場者がたくさん見られ、インフルエンサーが撮影した箇所で同じポーズを撮りながら写真を撮影し、自身のInstagramにも投稿する。 それを見て別の人が来店するという連鎖が起きて、今の時代の言葉でいう『バズる』状態になったのです。 その効果も測定しました。当社では公式HPとGoogleマイビジネスの双方で「流入チェック」をしていますが、グランドオープン後、Instagramの投稿数を増やしたことに比例して検索閲覧数が伸び続け、昨年の同時期に比べ5倍を記録。 注目すべきはGoogleマップの検索件数と電話問い合わせで、リニューアル前と比べ約8倍になりました。この二つは実際の来場につながると思われます。 <h2>20~30代の比率が激増</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/11/RG_mito_0410_3450.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-69510" /> 次にUGC生成のポイントについて触れます。Instagramのアカウント開設は4月24日ですが、当社独自で写真の投稿をしなかったものの、1か月足らずで800人近くにフォローされました。 ROYAL GREEN Mitoのアカウントをご覧頂くと、我々の戦略を感じ取れると思いますが、このあたりはSNSマーケティングの肝なので、詳細を知りたい方はご連絡ください(笑)。以上の結果、オープン後ほぼ1か月の段階で、来場動態に大きな変化が表れています。 日本のゴルファーは圧倒的に男性・高齢者が多く、女性比率は全体の1割程度ともいわれています。 リニューアル前のROYAL GREENも市場データとほぼ同じでしたが、リニューアル後、4000名にICカードを発行して驚いたのは、60代以上の割合が、なんと19%。女性比率も17%と、市場平均とは良い意味で乖離しているのです。 嬉しいのは、60代以上の顧客が離れたのではなく、若年層の来場が増えて結果的に60代以上の占有率が下がったことです。肌感覚ですが、『家族や友人などのグループ客が増えた』ことが影響したのでしょう。 今までのゴルフ練習場は単身客が中心でしたが、大きな変化が伺えます。次号ではさらに踏み込んだデータを踏まえて現状報告をしていきます。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2021年11月28日
    今年3月、私たちは伊勢神宮に足を運び、これから挑戦する事業を必ず成功させようとの想いを込めて、主要メンバーでご祈祷をしてきました。そのときの集合写真を載せましたが、スタッフ全員誇らしい表情をしています。弊社の一番のストロングポイントは「チーム力」、そのことを表わす一葉の絵です。 <h2>新業態へのチャレンジ、最高のスタート</h2> 4月12日、松山英樹がマスターズ優勝の偉業を遂げた同じ日に、当社は総額2億2000万円を投じたROYAL GREEN(茨城県水戸市)のオープニングレセプションを行いました。快晴の中、約100名の関係者が来店され、「これこそゴルフ練習場の新しい形だ」「素晴らしい挑戦」など高く評価して頂き、私自身、この1年間、魂を込めたプロジェクトに間違いはなかったと確信できました。しかし、オープンまでの道のりは決して平坦なものではなく、神経をすり減らす険しい日々の連続でした。 昨年4月、当施設の売上は新型コロナの影響を受けて昨対50%減となりました。これを乗り切って大規模改修に漕ぎつけたのは、過去の様々な苦難を乗り越えたことが自信となり、スタッフ一同の団結力を高めたことにあります。 私がこの施設の再建を引き受けたのは8年前ですが、事業再生スキームを進める中で建物が競売となり、競落者から借りることになったものの、条件が合わず裁判になりました。争点は競売において移行した土地を含む権利形態で、勝算があって臨みましたが結果は敗訴。経営権までもが相手に移るという判決で、一時は会社の存続が危ぶまれましたが、2019年4月に和解が成立、ビジネスが継続できる目処が立ったのです。その過程で私は先方に対して、 「私たちと事業継続契約を結ぶことは必ず御社にとってプラスになる」 という旨を粘り強く説明。その熱意が相手の心を動かしたのだと思います。倒産覚悟からの大逆転。全社員の熱意が私を支えてくれました。 地獄を見た者は強くなる――。この経験を乗り切ったからこそ我々は強くなり、新型コロナによる大打撃も乗り越えられたのだと思います。 この間、私が思い描いたのは次代を担うゴルフ練習場の在り方です。その要点を一言でいえば、「ただ練習するだけの施設」から脱却して、「この空間で大切な人と共に過ごす時間の価値」を創造することに尽きます。一見、観念論的な夢想に聞こえるかもしれませんが、だからこそ挑戦する価値がある。まずはその意志を固めました。 とはいえ大きなハードルがあります。理想の空間を実現するには建物を改修する必要があるものの、これは自社所有ではなく賃貸だったため、買い取りを成立させる必要があります。所有者は先の裁判で争った企業です。買い取りは一筋縄ではいかない高いハードルでした。 次のハードルは資金計画です。大規模なリニューアル工事は自己資金では賄いきれず、資金調達が必要でした。我々は金融機関に何度も足を運び、後述する事業計画を丁寧に説明。その結果、金融機関から融資を取り付けることに成功したのです。 このような資金計画を前提として、建物の所有企業と折衝します。裁判で争った間柄ですが、2020年8月に合意。その席上、先方が言った言葉は、 「礒﨑さん、あなたの熱意には負けましたよ」――。 <h2>「ゴルフ練習場をやめます」</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/11/royal.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-68974" /> 次代を担うゴルフ練習場、そのモデルケースとして我々が選んだのがアメリカのトップゴルフです。音楽、飲食、ゲーム感覚‥‥、いわゆるエンタメ要素満載のドライビングレンジで、若者やファミリーから人気を博しています。日本のゴルフ練習場が「練習の場」を提供しているのに対し、トップゴルフはそこで過ごす「時間に価値を感じてもらう」仕掛けをたくさん仕込んでいます。 その世界観を日本へ移植するためには、既成概念を壊す必要があります。業界からバッシングを受けることを承知で、打席で友達と会話をしながら、料理を食べながら時間を過ごすサービスの提供や、ゴルフ以外でも楽しめる仕掛け作り(3箇所のプロジェクターを使ったパブリックビューイングスペースやビリヤード、ダーツのレクリエーションルーム)を施しました。 とはいえ、練習場の本分はゴルフの上達です。静かに、一人で集中したいというニーズがあることも確か。楽しいエンタメ空間と一人で黙々と練習できる環境を両立することが必要ですが、この課題を私たちは自由な発想と知恵で乗り切ろうと考えました。そのひとつがターゲットとゾーニングです。1階打席=ゴルフの技術向上、2階打席=エンタメ空間と分類し、両階とも「トップトレーサー・レンジ」(TTR)を全84打席に導入しただけではなく、アスリートゴルファーに対してはTTRの練習に適したモードをベースに提案、初心者にはTTRのエンタメ要素が強いモードの提案など、双方のニーズに合わせます。 ちなみに2階は女性専用6打席、グループ用4打席など4区画に分類しました。打席で飲食を楽しめるなど、個々のサービスも充実を図っていきます。 空間づくりにはもうひとつ「茨城の経済に貢献する」という軸があります。今回のリニューアルには、できるだけ地元企業に参画してもらいました。エントランスに大きく広がる吹き抜けの天井には茨城県産の柳杉を用いたり、カフェでは県産の食材を使用した料理を提供していく予定です。 4月8日――。取引関係者を招いたレセプションの4日前に「社員と社員の家族」を招いてプロジェクトヒストリーを発表しました。これまでの苦労を6分間の映像にまとめたもので、同時にこのプロジェクトのMVPを発表、苦労を共にした社員を表彰する際は、私もさすがに目頭が熱くなりました。 このメンバーがいたから実現できたプロジェクト、だからこそ、家族にもお父さんやお母さん、息子さんが働いている会社がどんな職場なのか見てほしかったのです。そして誇りに感じてほしかった。結果、大成功。社員と家族もウィルトラストファミリーとなりました。 次号からは、リニューアルオープン後のお客様の反応、様々な仕掛けの手応えをリアルにお伝えしていきます。 <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2021年11月08日
    <h2>読者の皆様、初めまして!</h2> 茨城県で練習場2店舗(水戸、ひたちなか市)を運営するウィルトラストの礒﨑博文と申します。私は2013年、27億円の多重債務を抱えるゴルフ練習場運営法人の株を取得し、事業再生に挑戦した若輩の新参者でございます。よろしくお願い申し上げます。 唐突ですが、弊社は今春、 「ゴルフ練習場」をやめます! と宣言しました。 創業は1970年、地元ゴルファーに利用されて半世紀の施設ですが、今後はゴルフの練習環境だけを提供するのではなく、 「大切な人と共に過ごす時間・空間の提供を最大の価値」 とする新業態、「ゴルフ&エンターテイメント空間ROYAL GREEN」に生まれ変わります。 私は、今こそゴルフ界にイノベーションを起こす好機だと確信しており、その第一人者として、業界変革を実現する野心を抱いております。脱・練習場宣言はそこに向けた第一歩であり、賛同者から多くの支援を頂きました。 また、金融機関から1億5000万円の融資を得、さらに地元自治体からの多大なる支援を取り付けて、今年4月、水戸市内の施設(約1万4000坪)をフルリニューアルで開業しました。 詳細は次号に譲りますが、本連載では私が考えるゴルフ業界の未来像や、地方経済の実情、リニューアル後のお客様の反応など様々な切り口で「誌上ライブ配信」をしていきます。名付けてゴルフ練習場「限界突破論」――。皆様の参考になれば幸いです。 <h2>ゴルフ市場の拡大で 茨城経済に寄与したい</h2> 「3密回避」に有効なゴルフは、新型コロナの影響を受けつつ、昨年半ばから上向きになったと見られています。若者初心者の増加や休眠ゴルファーの復活もあり、特に練習場業界では昨対アップの施設が多く見受けられます。 しかし、大局的には、ゴルフ市場を牽引した戦後生まれが後期高齢者になる「2025年問題」など、すでに大きな危機が潜行しています。また、弊社が事業展開する茨城県は、都道府県別の「魅力度ランキング」で常に最下位に低迷するなど旗色が悪い。実際には梅園の名所・水戸偕楽園など魅力的なスポットも多く、県民人口は全国11位(約285万人)、平均年収も8位(約494万円)と上位の一角に数えられます。 ゴルフ市場に目を転じると、県内のゴルフ場は約120コース、練習場は約130施設で全国トップクラス。国内有数の市場規模を誇りますが、これにより「北関東」のゴルフ市場は過当競争に陥っています。 私がゴルフ市場への参入を決めたのは、まさにこのアンバランスが理由でした。 茨城県のゴルフ市場規模は大きいものの、ゴルフ業界の未来は衰退予測。そのことに加えて、県全体の観光ブランディングは非常に弱い――。同時に、ゴルフ場利用税はゴルフ場所在地の自治体に10分の7が落ちる仕組みであり、貴重な地方財源です。一連の状況を総合すれば、県を巻き込んで域内のゴルフ産業を活性化し、さらに「茨城経済の活性化」にも寄与できると考えたのです。 そこで弊社は事業目的を、ゴルフ界と茨城経済の活性化に定めました。従来の目的を再定義して、 『心から楽しむ時間・空間の提供』 となったわけです。 私たちの施設を通じて、より多くの人々が「ゴルフ」と触れ合う機会をつくり、ゴルフの楽しさを感じて頂く。ゴルフは人生の一部にすぎませんが、一人ひとりが豊かな日々を過ごすお手伝いをしたい。心からそう願い、始動したのが「ROYAL GREEN Mito」のリニューアルプロジェクトでした。弊社の基本精神は「利他主義」です。 <h2>地方創成とゴルフ市場の活性化</h2> <img src="https://www.gew.co.jp/wp-content/uploads/2021/10/RG_Mito_main_03.jpg" alt="" width="788" height="525" class="aligncenter size-full wp-image-68709" /> ゴルフ練習場の対象顧客は、基本的にはゴルファーか、これからゴルフを始めたいと思っている人たちです。しかし、対象者はそれだけでよいのでしょうか? 否――。プレー人口を拡大するためには、「ゴルフ目的」や「練習目的」以外の人々をどうやって我々の施設に取り込めるか、施設の魅力を感じてもらえるか、が重要になります。「練習場」という古臭い呼称の見直しを含め、ノンゴルファーが訪れたくなる業態にすることが最も重要です。 具体策を考えるにあたり、いくつかの軸を作りましたが、その主軸となるのが、 「地方創生×ゴルフ市場活性化」 つまり、ふたつの軸を掛け合わせて相乗効果を促す構造です。端的に言えば「ゴルフ」と「地元」を掛け合わせて「別の何か」を生み出すもの。顧客サービスの内容やデジタルマーケティングを踏まえた集客の仕組みの中に、常にこの軸を意識します。具体的には魅力度ランク最下位×農業生産出荷額全国2位を掛け合わせ、飲食で茨城ブランドの底上げを目指します。お洒落な空間で打席と食事席を一体化。結婚式の二次会や企業催事の場としても提案。『既存事業(ゴルフ)×地元(茨城)=新しい価値』の観点で考えました。 手前味噌ではありますが、決して他の練習場では真似できない、私たちの「想い」がしっかりと詰まった、新しい業態による店舗が完成したと思っております。 4月半ばのオープンは、多くの来場が訪れて賑わいました。茨城へお越しの際には是非、ご来店ください(笑)。ゴルファーもノンゴルファーも、自信を持ってご案内させて頂きます。 この構想を実現するために8年の歳月を費やしました。周囲の反対をよそに、一部上場企業を脱サラしたのは30歳のとき。ゴルフ業界への参入には私なりの勝算はありましたが、とはいえ多重債務を抱えるゴルフ練習場を買収し、代表取締役へ就任するには幾多の難問がありました。 金融機関から融資を受けるために再建計画の細部を詰め、道筋を立てる必要がありましたし、それだけではなく、建物の競売、債権者との民事裁判は第二審まで戦い、結果敗訴。また、10人の地権者にはそれぞれ思惑があり、これをまとめるために何度も足を運んだなど‥‥。難関を突破した原動力は、私の唯一の武器である「情熱」だったと思います。 次号から、私が経験した様々なリアルをお伝えします! <hr> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 <a href="https://www.gew.co.jp/magazine">月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら</a>
    (公開)2021年10月24日

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