月刊ゴルフ用品界2017年8月号
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営みを遣り出す。 加えて、姫路・飾磨港から生野鉱山を南北につなぐ一本の道「銀の馬車道」があり、さらに生野鉱山から明延鉱山・中瀬鉱山をつなぐ「鉱石の道」が続く。鉄鉱石が運ばれた道の最中に尾形(市川町)が座している。 即ち、鉱石が採れ、砥石が在る。共栄が此の地に生まれたのは必然。だから鉄も打つ。 「良質の研磨は良質の鍛造品があればこそ。そして研磨の善し悪しは、その後のメッキにも表れる」 研磨の技を磨きながら、後に鍛造場を創り、そしてメッキ場を拵えた。それが共栄ゴルフの一貫生産への歩みである。神髄二五感に染みる和の国の鍛造 六十年―。合力を求める者達が匠の技に恃んできた。その永きにわたり練られた巧手が、万国で認められてきた。 「共栄の鍛造は何かが違う」 何故か。 「台湾・中国の鍛造といえばプレス鍛造が多く、成型鍛造ともいわれる。トン数の大きいフリクションプレス機で、金属を型に抑えつけて肉を伸ばす。一方、当方はハンマープレスで打ち鍛えて成型する。バリが多く無駄が生まれるが、鉄の組成が均一になる。それによる打感は柔らる。 「生業は国内外も含め、相手先銘柄製造が八割。その中で海外の嗜好は頭に入っている。海外で求められるのはバックフェースのシンプルなデザインでもあり、当方の製法も理解されている。それが受け入れられている共栄の鍛造品だという自負がある」 そして鍛造品に命を吹き込む研磨。無垢から創り上げる匠達が居た。神髄三巨匠にあらず匠の集団 巷、ヘッドの造り手には、巨匠と呼ばれる強者が居る。三浦技研・三浦勝弘、ゾディア・千葉文男、マスダゴルフ・増田雄二―。しかし、共栄には巨匠は居ない。 「纏め役は居るが、巨匠といわれる個が創ってきたのではない。故に、匠の集団といわれたい」 去る六月三日、共栄ゴルフは第五十七期事業計画発表会を姫路市内で開催。製造協力会社、銀行関係が出席したほかに、全社員が参加。一己ではなく、関係会かくて芯がある」―。 鍛冶屋が刀を打って鍛える。それにより柔らかく芯がある。 「球を潰す感覚が手に伝わる」 舶来鍛造品にみられる柔らかいが抜ける打感とは異とされる。 「此の国の人々は繊細で、打感を五感で捉えて球を操作し、そして味わいが分かる」 和食が辺境の地でまで食され、和の文化が闊歩している。同じくして和の打感を理解する土壌が育ちつつある。二代目社長の坂本敬祐が例える。 「芯は出汁と同じ。海外で戴く味噌汁に似ている。出汁は味に深みを与え、そして、その深さには底がある。芯がある打感は、深く、そして底がある。芯がない鍛造品に、何かが足りない気がするのは、その所為です」 無論、海外の鍛造品も創ってきた。スポルディングに始まり、ブリヂストン、テーラーメイド、KZGなどにも携わり、海外品も熟知している。そして己の銘であるVEGA、ZESTAIMが共栄の鍛造品として、国内は言わずもがな、アジア、欧州でも急成長を遂げている。その意味では各地域の出汁を知ってい

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